JP4012255B2 - クメンからフェノール及びアセトンを製造するための改良法 - Google Patents
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Description
クメンからフェノール及びアセトンを製造するための全ての現存方法は、次の重要な段階から成る:
1.クメンをクメンヒドロペルオキシド(CHP)に酸化させること。
2.酸化生成物の蒸留及び工業用CHPの製造。
3.CHP及びその中に含有されるジメチルフェニルカルビノール(DMPC)を酸性分解させて、最終生成物のフェノール、アセトン及びα−メチルスチレン(AMS)にさせること。
4.酸性触媒の中和及び反応生成物から塩の分離。
5.反応生成物の分離及び精製。
通例、フェノールの製法に関する研究は、方法の1段階だけを改良する目的で実施された。この際、方法の選択性、エネルギー係数及び安全性を、できるだけ同時に改良する試みは為されなかった。最も重要な係数は、蒸気消費量である。
不所望な副産物の主量は、CHPの酸性分解段階で生成されるので、殆どの研究者はまさにこの段階を先ず注目する。反応性DMPCを含有する工業用CHPの分解の経過中に化学反応が起こり、この反応は、最終生成物の損失や、使用性の低い廃物、いわゆるフェノール性タールの生成を引き起こす。
方法の選択性の最重要の基準は、価値のある副生成物、特にα−メチルスチレン(AMS)の収率である。周知のように、AMSを水素添加して、クメンにするか、又は生成物として直接単離することができる。
AMS収率の上昇のために、様々の可能性がある:
a)反応媒体の組成の選択(化学的変法)、
b)反応器型及び熱排出法の選択(工学的変法)、
c)化学的及び工学的変法の合体。
本検査により、触媒として使用される硫酸の触媒特性は、フェノール−アセトン−反応媒体中で、フェノール分子間及びフェノール−及びアセトン分子間の強力な水素架橋結合の生成により、フェノール−アセトン比率の変化により、及び不活性溶剤、例えばクメンの添加により、数倍も変化することが判明した。触媒活性の変化は、水によっても、少なからず強く影響される。
フェノール:アセトン:水:クメン:硫酸の変動比率の組合せは、第1、2、3図に示されている本実験データの分析が示すように、この多成分−反応媒体の触媒特性の質的変化に結びつく。
CHP−分解の反応定数のこの重要な変化は、多成分−溶液中で、硫酸の触媒活性の大きな変化が起きることと関連する。この現象は、ある触媒から他の型の触媒への変移を証明する。本来、超強触媒(Magic acid)から弱触媒への変移が問題である。このことから、反応媒体の組成が変えられる、様々な特許及び技術における選択性での大きな差異が自明となる。即ち、AMSの収率は、フェノール及びアセトンの等モル混合物から成る反応媒体で、理論値の約40〜45%である(RU第1361937号明細書)。
アセトンの大過剰量が使用され、モル比アセトン:フェノール=5:1である、米国特許(US)第2663735号明細書による方法では、AMSの収率は、理論値の55%を越えない。
また、ルーマニア国特許(RO)第63168号明細書による方法では、反応媒体として、クメン20重量%までを含有する、フェノール及びアセトンの等モル混合物も使用する。この場合には、AMSの収率は、理論値の約60%である。
ルーマニア国特許(RO)第1563181号明細書による方法では、反応媒体は20%のアセトンの過剰量及びクメン1〜2%だけを含有する。この場合には既にAMSの収率は理論値の約70%である。
米国特許(US)第5254751号明細書及び米国特許(US)第5530166号明細書による方法では、AMSの収率は理論値の約80%に達する。この方法では、クメン20重量%まで及びモル比アセトン:フェノール=1.5:1を含有する反応媒体を使用する。同時に、この方法のために、混合反応器及び管状反応器を使用する。前記のAMS収率は大操業設備で達成されたことが強調される。
米国特許(US)第5254751号明細書及び米国特許(US)第5530166号明細書で達成される結果を、米国特許(US)第4358618号明細書で、15重量%までのクメン含量及びフェノール対アセトン等モル比(モル比アセトン:フェノール:クメン=1:1:0.23)で得られる。この特許では、混合反応器及び2個の管状反応器から成る組合せを使用する。この際、反応媒体の組成は、全反応器中で一定のままであるが、異なる温度範囲を使用する:混合反応器中50〜90℃、管状反応器中120〜150℃。
本検査及び特許データの結果は、反応媒体中に付加的に供給されるアセトン及びクメンの量は、方法の選択性のために重要であるが、決定的ではないことを示す。本検査が示すように、前記の全因子の組合せが極めて重要であり、しかも最適モル比アセトン:フェノール:クメン:水、及びこの比率のために厳守されるべき反応器、即ちCHPの分解のための混合反応器、及びジクミルペルオキシド(DCP)及びDMPCの分解のための管状反応器の適正選択も極めて重要である。実際に、全特許及び機能性操作技術において、アセトン:フェノール:クメン:水の最適モル比を特性とする反応媒体の組成は、混合−及び管状反応器中で一定である。
しかし、意外なことに、前記の反応器中での反応媒体の組成は、高選択性及び同時に最少量の副産物を達成するために、明らかに相互に異ならなければならないことが確認された(例2〜9参照)。
フェノール及びアセトンの実際の製法では、方法の選択性が極めて重要であるばかりでなく、生成物の分離を困難にさせ、エネルギー消費を著しく高める副生成物、例えば酸化メシチル(MO)及びヒドロキシアセトン(HA)の量も非常に重要である。
この事情は、前記の特許において、今まで考慮されていなかった。本研究が示したように(第1表参照)、AMS収率及び前記の副生成物量の少量化のための最適条件は一致しない。即ち、クメン15重量%を含有するフェノール−アセトンの等モル混合物中で、米国特許(US)第4358618号明細書で推奨された温度範囲での温度上昇は、750ppmまでへの不所望なMO含量の上昇を引き起こすことが、実験的に確認された。このことは、一方で、全方法において、温度上昇の際に、AMS収率の改善が達成され、他方で、MOの濃度が著しく大きくなることを意味する(第1表参照)。全方法で、フェノール中のMO−含量(<10〜15ppm)が厳正に要求されるので、方法の最適化に関して、AMS収率の観点のみならず、前記の副生成物及び不純物の割合の最少化の観点も極めて重要である。
米国特許(US)第2663735号明細書及び米国特許(US)第1109297号明細書におけるように、反応媒体中のアセトン高含量を伴う方法においては、分解生成物中のMOのもっと高い濃度(1200ppm)を得る。副生成物が多量に存在することは、方法における著しいエネルギー消費に繋がる。
酸化から最終生成物の単離までの前記の全方法段階において、最終生成物の化学的損失が生じ、一方で、全方法のエネルギー消費の約75%が、CHPの分解生成物の精留の段階で失われる。
クメン酸化段階で製造された希CHPを、CHP分解段階への導入のために所望される含量に濃縮させるために、著しい量のエネルギーが付加的に必要である。35%以上の酸化反応の選択度は、クメン変換率を強く減少させるという原因から、操作過程中の酸化段階におけるクメンの変換率は15〜35%であるので、得られる酸化生成物は濃縮される。濃縮は多段階で実施され、従って得られる工業用CHP中のクメンの残余含量は、1〜2から10〜15重量%までである。その際、酸化段階でのクメンの低変換率を必要とすることによって、後続の酸化段階へのクメンの回収のために、CHPから非変換クメンを分離させるために付加的なエネルギー消費が生じる。
計算及び操作経験から、1通過当たり、20%のクメン変換率で、クメン1t(トン)の完全な変換を達成するために、クメン3.87tを留去させなければならないことが明らかである。この際、蒸気消費は1.2t/フェノール1tであり、工業用CHP中のクメン含量は1〜2%である。
この段階で、主蒸気消費と共に、CHPからDMPC及びアセトフェノン(ACP)への副反応が起こることが実験的に確認された。この副生成物の量は、工業用CHP中の1〜2重量%のクメンの残余含量で20%に上昇する。10〜15重量%までの工業用CHP中のクメン含量の増加は、化学的損失を8〜10%まで減少させる。CHPの安定性へのクメンの影響の実験で、CHPの熱的分解を、工業用CHP中の20重量%以上のクメンの濃度で完全に妨げることが可能であることが明らかとなった。
本研究及び計算が示したように、工業用CHP中のクメン含量が25重量%にまで上昇する場合には、濃縮段階におけるエネルギー消費は、約70%に降下し、蒸気0.95t/フェノール(t)である。同時にCHPの化学的損失は実際に完全に抑制される(第2表参照)。
工業用CHP中の非留去クメンの含量の増加は、この段階における化学的損失及びエネルギー消費を減少させるが、CHPの均一な酸性分解の実施を困難にさせる。従って、特許中には20重量%までのクメン含量が挙げられたが、本方法の研究者及び実施者によって、10〜12重量%以上の工業用CHP中のクメン濃度の使用は推奨されなかった。
つまり、CHPの酸性分解の段階で高クメン濃度を使用する基本問題は、この段階の安全な実施である。この問題が解明されないと、高められたクメン含量を有する媒体での方法の実施は次のことになる:
反応器中での非分解CHPの蓄積、及びCHPの分解の際の1600kj/kg(380kcal/kg)の発熱が、700℃への温度上昇と等価である場合には、爆発。
2番目に解明すべき問題は、分解生成物の精留の段階で、この混合生成物中のクメン含量が上昇する際の、エネルギー消費の著しい上昇である。
本出願者によって実施された分析及び計算は、公知技術水準による方法では、CHPの濃縮段階でのクメンの非除去によるエネルギー消費の減少が、分解生成物の分離及び方法の最終で初めて分離されるクメンの酸化段階への回収のためのエネルギー−及び操作消費によって著しく凌駕されることを示す。この際、全クメンは、全方法段階を通過しなければならず、続いてフェノールを精製して数ppmの不純物にすることを著しく困難にさせる。
本出願者によって完成された複合方法で、前記の欠点を回避し、全過程のためのエネルギー収得を得ることができる。この際、分解段階での安全性が高められ、同時に、選択性を上昇させ、かつ副産物量を低下させる。更に、中和段階での塩を著しく減少させることができる。この利点は、例2〜9及び第4図で表示される本出願の実験から明らかである。
本出願の検査が示すように、ジクミルペルオキシド(DCP)及びDMPCの変換反応及びCHPの分解は、様々な組成の反応媒体中で実施することができる。それによって、より高い選択性及びより高いDCP変換率が達成される。
即ち、クメン15重量%までを含有するフェノール−アセトンの等モル混合物において、最適選択性は、0.5重量%のDCPの残余含量で達成され、これは、最終生成物(フェノール、アセトン及びAMS)の0.5%abs.の総損失に相応する。
本出願人によって完成された方法では、反応媒体中のモル比フェノール:アセトン:クメン=1:(1〜0.77):(0.35〜0.87)で、フェノール1トンに対する、AMSの収率及びクメン消費、及び0.06〜0.09重量%のDCPの残余含量(即ち、DCPの変換率ほぼ100%)でのフェノール性タールの生成に関する最高の結果を達成することができ、これは、他の出願では達成されない。同時に、フェノール性タールの最少生成及び相応してクメンの最高使用がAMSの非最高収率で達成されることを確認した(第4図)。
第4図は、様々な技術の有効性の比較は、AMSの収率では、全く正確であるとは限らず、フェノールに対するクメン消費により、方法の有効性を比較することが正しいことを示す。
第5及び6図に表示されている本検査結果は、クメンなしで、分解(RMS)の反応組成物中に溶解したNa2SO4の量2000ppmは、RMS中のクメン含量40重量%で、2ppmまで減らされることを示す。この効果を、本発明による技術においては、DCPの変換段階での反応媒体の組成の変化によって、また中和段階でのクメンの付加的な供給によって達成する。同時に、この条件下でRMS中に溶けた水の量は12%から3.5重量%にまで減少される。
結果的に、本発明による方法は、反応媒体の変動組成により、次の若干の技術的問題を解決する:
1.分離に導入される生成物からのナトリウム塩(Na2SO4、NaHSO4、Na−フェノラート)の効果的除去(これは、他の技術では達成されない)、
2.RMS中の水の含量の減少によるエネルギー消費の低下、その蒸発熱(2255kJ/kg(539kcal/kg))は、クメンのそれ(326kJ/kg(78kcal/kg))よりも著しく高い。
3.CHPの安全な分解を保証する。
4.DCP及びDMPCの変換の反応器中の高選択性を保証する(これは他の技術では達成されない)。
5.副生成物、酸化メシチル及びヒドロキシアセトンの生成を減少させる(第3表参照)。
改善方法の実施のための特に有利な順序の原則図式は第7図にあり、それを次に記載する。
酸化生成物を、導管10を経て、装置1Aに導入し、そこで、導管9を通って酸化に戻されるクメンの一部の蒸発が、酸化生成物中に含まれる熱によって行なわれる。それ以上の濃縮は、1又は2つの連続する装置1B、C(第2の装置1Cは、図式には記載されていない)中で、収得される工業用CHP中のクメン含量が21%を越えるが、30重量%よりも少ない量で、外部から供給される熱によって実施される。
酸化生成物のための蒸留装置として、通例使用される標準装置(外部−及び内部に設置された循環蒸発器を備えた真空蒸発器、薄膜凝縮器を備えた薄層蒸発器等)を使用することができる。蒸発器の型に関係なく、器底生成物中26〜28重量%のクメン含量が有利である。収得される工業用CHPは、次の組成(重量%)を有する:
CHP 75〜64、有利に67〜65、
クメン 21〜30、有利に28〜26、
DMPC 8〜3、
ACP 1.2〜0.4、
DCP 0.5〜0.2。
DMPC、ACP及びDCPの濃度は、酸化反応器中の媒体の酸化度、温度及びpHにより、強く変動し、従って、前記の組成に限定されるものではない。限定は、クメン及びCHPの濃度にだけ関係する。
CHPの分解のために、管中を流れる水によって冷却される、3個よりも少なくない熱交換体2(A、B、C)から成る、慣例の装置を使用し(第7図)、一方で、CHP及び循環する分解生成物は、ジャケット室に存在する。冷却水は導管12を経て、濃縮酸化生成物は導管11を経て導入される。混合器13中で、酸化生成物を、反応器2中で循環する分解生成物及び触媒と混合させる。CHPの分解は、触媒として、硫酸を用いて実施され、その濃度200〜300ppmは、伝導度測定器(記載されていない)によって自動的に調整される。硫酸を、導管15を経て、ポンプ14によってポンプ送りされる反応組成物に導入される。CHPの分解は、有利にクメン28〜26重量%を含有する媒体中で、モル比フェノール:アセトン=1:1で実施される。クメン濃度は、装置中で、21〜30重量%で変動することができる。
前記の装置中での、変動濃度のクメンを含有する工業用CHPの分解は、クメン含量に応じて、次の式に従って実施される:
[式中、GZirkは、循環する酸化生成物の量(t/h)であり、
GtCHPは、分解に導入される工業用CHPの量(t/h)であり、かつ
%クメンは、工業用CHP中のクメンの重量割合である]。
前記の方法でのCHP−分解の方法の実施は、工業用CHP中の変動するクメン含量での、及び相応して、フェノール:アセトン:クメン=1:1:(0.38〜0.61)のモル比を特性とする反応媒体の変動組成での安定性及び安全性を保証する。
工業用CHP中の変動クメン含量において、前記の式(1)に相応するCHP−変換率の大きさは一定のままであり、図式中に示したように配置されている(第7図参照)小管状反応器である熱量計16の温度差ΔT1の大きさを介して調整される。1通過当たりのCHP−変換率は、76〜88%である。式(1)で決定される比率から逸脱する場合には、記号ΔT1は、弁を経て、反応器2A、2B及び2C中への冷却水の通過量を修正する。
式(1)の比率と、CHP−分解の反応器中の冷却水の流通量をΔT1に応じて調整する弁への修正効果との関係は、CHP−分解の方法の二重保護を保証し、この段階での二量体AMS及び複合フェノールの生成を最少にさせる。
未反応のCHPを含有するCHPの分解生成物は、蒸発器3中に到達し、そこで、アセトンの一部は、分解反応の発熱を利用して除去され、その結果、アセトンの濃度及び相応してDCP及びDMPCの変換の反応器4中でアセトンから生成されるMO及びHAの量が下げられる。アセトンの蒸発は、断熱的に、主に400〜666hPa(300〜500mmHg)の真空で、又は標準圧で行なわれる。アセトンは導管17を経て導出される。
アセトン含量を低下された生成物は、蒸発器3の下部から、管状反応器の原則により作動するDCP及びDMPCの分解反応器4に至る。この流れ中のCHPの濃度は0%である。蒸発器3中のアセトンの除去により、混合反応器2中でCHPの分解が実施される反応媒体とは異なる反応媒体中で、引続き、反応器4中でのDCPの分解及びDMPCの脱水が経過する。
高められたAMS収率のための反応媒体の組成の最適化のために、クメン画分(流れIV)及び循環水(流れIII)は、工業用CHP1tに対して、160及び1〜30kgの量で、導管26又は28を経て管状反応器4に導入される。結果的に、反応器4中で実施された変更による反応媒体の組成は、モル比フェノール:アセトン:クメン=1:(1〜0.77):(0.35〜0.87)に相応する。
管状反応器4中のDCP及びDMPCの分解は、実施例2〜9に記載したように、導入されるクメン及び水の量に応じて、151〜168℃の温度で実施される。
DCP及びDMPCの分解の調整は、装置中で1.5〜21.4の範囲で保持される比率ΔT1/ΔT2によって行なわれる。
ΔT1値は、小反応器(熱量計16)における入口及び出口での分解生成物の温度差である。ΔT2値は、DCPの変換の反応器4における入口及び出口での温度差である。比率の値は、1.5〜21.4の範囲で保たれねばならない。最良値は、3〜8である。この条件は、CHPの分解の安全な実施、及び97%以上のDCPの変換率でのDCPの選択的変換を可能とさせ、これは、他の方法では達成されない。
分解生成物は、反応器4からの排出後に、30〜50℃の温度に冷却される。この際、導管26を経て、工業用CHP1tに対して、塔7の上部からクメン画分255kg/tまで、カラム8の塔頂部の分離器27’から水20kg/tまでを導入することができる。
分解生成物はなお硫酸を含有し、その除去のために導管20を経て中和器5に導入される。硫酸の中和は、導管19を経る、アルカリ性剤、例えばNaOH、Na2CO3及びNa−フェノラートの導入により作用される。この際、中和段階において、硫酸ナトリウムは、濃縮された水性相として、装置5の床部で分離され、これは、ポンプ23及び導管22を経て傾瀉により除去される。分解生成物へのクメン画分の導入により達成される反応媒体の組成の変更は、中和の際に生成される塩を、公知技術水準におけるよりも2〜3倍短い時間で、かつより高い有効性で(95%よりも多い)有機相から分離させることを可能にする。導管21を経てその先に導かれる有機相(流れVI)中の塩濃度は10〜20ppmである。
現存の全ての技術において、塩の分離は、多くの時間(1.5〜24時間)を要することが強調される。これは、塩の排出のための大きな容積を伴う嵩高い装備を使用することを強制する。それにも拘らず、塩の分離の有効性は90%を越えない。従って、分離塔の熱交換体の安定した安全な機能のために、特殊な構造を有する高価な合体濾過器を取り付けなければならない。これは、分解生成物中の塩含量を10〜20ppmに下げるが、本発明により、濾過器を使用しないで達成される。
アセトンは、場合により、蒸発器3中で分離され導管17を経るアセトンの導入後に、塔6で、分解生成物から分離され、導管24を経て更に加工される。アセトンから分離された分解生成物(流れVIII)は、塔6の塔底生成物として取り出され、導管25を経て、更に精留に導かれる。
分解生成物からのクメンの分離は、2個の連続して設置された塔7及び8中で実施される。塔7において、塔頂生成物として、クメン含有画分が生成し、これは、AMSを1%以下で、フェノールを0.3重量%以下で含有する。次いで、この塔の頂部を経て、実際に、分離器27中のクメン画分から分離する全ての水も排出され、塔8に導入される。塔7の塔底生成物として、粗製フェノールが、導管29を経て、塔8に導かれる。塔8の塔頂生成物として、導管18及び分離器27’を経て、画分のクメン−AMS(流れIX)が取り出され、これは公知方法で更に加工される。塔8の塔底生成物として、導管30を経て、実際にクメン及びAMSを含有しない粗製フェノールが取り出され、公知方法で更に加工される。
塔8の塔頂を経て、分離器27’中でクメン及びAMSから分離する全ての水が取り出され、次いでDCP及びDMPCの変換の反応器4に導入される。この方法は、過程中での新たな水の要求を、2〜3倍下げ、かつ相応して排水量を比率的に下げることを可能にする。図式に描かれた2個の塔を使用する本発明による方法におけるエネルギー消費の総減少は、分離に導入される分解生成物の本発明により使用される組成の場合に、分解生成物中の水の溶解性を、10〜12から3.0〜3.5重量%まで下げることにより条件付けられる。
方法で使用される蒸気の総減少は、酸化生成物の濃縮及び分解生成物の分離段階への熱の節約により、0.4〜0.6t/フェノールtである。
本発明により実施される方法と、RU第1361937号明細書、米国特許(US)第2663735号明細書、ルーマニア国特許(RO)第1563181号明細書、米国特許(US)第5254751号明細書、米国特許(US)第5530166号明細書、米国特許(US)第4358618号明細書における方法との特別な差異は、次にある:
1.CHPの濃縮段階は、クメンの残余含量21〜30重量%、有利に26〜28重量%までで実施される。
2.CHPの分解及びDCPの分解は、混合反応器又は管状反応器中で、前記の反応器中の反応媒体の相応に異なる組成で実施され、一方で、他の全技術における反応媒体の組成は一定のままである。
3.管状反応器中でのDCP及びDMPCの分解は、次の条件下で実施される:
a)アセトンの一部を前以て除去し、かつ/又は付加的にクメン画分及び水画分を導入させることによって達成される、反応媒体中の減少されたアセトン含量で、
b)DMPCの変換の反応平衡をAMSの側へ移動させ、殆ど100%変換率を達成することができる温度で。従来の技術では、反応媒体中のフェノール:アセトンの比率は、1:1〜1:1.5に相応し、即ち、その際、付加的な量のアセトンが添加される。本発明により使用される反応媒体中のアセトン含量の減少法も、DCP及びDMPCの分解反応器中の水及びクメン画分の同時の導入法も、以前にはまだ使用されていなかった。前記の方法の結び付きは、高い選択度を可能とし、この際、実際に100%変換率が達成され、このことは他の技術では達成されなかった(選択度は90%以下である)。
4.CHP及びDCP/DMPCの分解過程の調整は、比率ΔT1/ΔT2によって行なわれ、この際、ΔT2は、DCP及びDMPCの分解反応器における入口と出口の間の温度差であり、ΔT1は、CHPの分解のための装置中の熱量計の温度差であり、それによって、方法の要求される安全性及びその高選択度が同時に達成される。従来の技術では、方法の安全性の保障のために、熱量計の方法(ΔT1)が使用されるだけである。
5.中和段階で生成される塩の効果的な除去のために、付加的な量のクメン画分が中和段階に添加される。その類例はない。
6.中和段階後の分解生成物の水含量は、5重量%を越えず、このことは方法のエネルギー消費を減少させる。従来の技術では、水含量は6〜12重量%である。
7.DCP及びDMPCの分解反応器中で、及び塩の除去段階で、導入されるクメン画分は、使用される塔を通って分離され、過程中のこの段階で回収される。
8.過程中で、新たな水の要求及び相応して排水精製のための出費は減少される。
本発明による技術の所与の利点及び差異は、例2〜9に説明されている。その例を第3表に示す。
例1(比較例):
次の組成の酸化生成物:
(これは、達成された総選択度3.17モル%に相応する)を、工業用CHPを得るために、濃縮段階に導入する。工業用CHPは、濃縮後に、次の組成:
を有し、これは、2段階(酸化及び濃縮)を経て達成された総選択度92.7モル%に相応する。濃縮段階におけるDMPC及びACPへのCHPの部分分解による選択度の損失は、0.47%(abs.)である。濃縮段階での蒸気消費は、CHP100%に対して、0.69tであり、得られたフェノール1tに対して1.12tである。
50.502t/hの量で得られる工業用CHPは、分解段階に送られる。分解は、反応媒体中にH2SO4200〜300ppmの存在で経過し、その組成は、得られる分解生成物、CHP及び付加的に導入されるアセトンによって決定される。
分解は、米国特許(US)第5530166号明細書(例2)に則り、その中で分解生成物の循環によって充分な混合が生じる、混合反応器の原則により作動する、3個の連続して設置された反応器から成る一組の反応器中で実施される。
最後のCHPの反応器から出る分解生成物は、管状反応器の原則により作動する、DCPの分解反応器に到達する。
CHPの分解が実施される反応媒体に、6025kg/hの量で、出願された比率により、アセトンを導入する。
反応媒体は、付加的な量のアセトンの添加後に、所与の具体的な例で1:1.36:0.2である、フェノール:アセトン:クメンのモル比を特性とする組成を有する。
CHPの分解及びDCPの分解の反応器中で、同じ反応媒体組成が保たれる。
DCPの分解反応器中の温度は、90〜100℃であり、水の濃度は1.38〜1.7重量%である。所与の例では、それは、1.5重量%である。
CHPの分解段階で付加的に反応媒体中に導入されたアセトンは、DCPの分解反応器の後に設置されている蒸発器中で留去される。蒸発器中で排除され冷却器中で濃縮されたアセトンは、過程におけるCHPの分解段階に回収される。
最終生成物フェノール及びAMSの損失を回避するために、アンモニア−溶液が、硫酸の部分中和のために、蒸発器に加えられる。
CHPの分解の調整及び制御は、段階の安全性の故に、分解生成物の循環導管中、及びDCPの分解反応器中への生成物の導入管中に取り付けられている2個の熱量計の間の一定の温度差の厳守により行なわれる。蒸発器後の生成物流中の最重要な不純物及び副生成物の濃度を次に示す:
AMS収率は、分解段階後に、理論値の76%であり、フェノール性タールの生成は、44kg/フェノールtである。
得られた分解生成物を、NaOHにより中和し、水含量10〜12重量%まで水を加え、塩の分離段階に導く。大部分の塩の分離後に、分解反応組成物(RMS)中の塩の含量は2000ppmである。
水12重量%を含有するRMSを、分離の常法に導き、そこで、アセトン、クメン−AMSから成る混合物、フェノール及びタール濃縮物の生成物の分離が行なわれる。
アセトン及びクメン−AMSの混合物の分離段階での蒸気消費は、2.9t/フェノールtである。
消費率クメン/フェノールは、分解段階で、1318kg/tである。
結果として、過程中で次のものが得られる:
例2
選択度は93.17モルに達し、その組成は例1における組成と同じであるクメンの酸化段階の生成物を、CHPの濃縮段階に加える。濃縮後に、工業用CHPは、次の組成:
を有し、これは、2段階を経た総選択度93.17モル%に相応し、その濃縮段階でのCHPの非選択的分解の欠如を証明する。
濃縮段階での蒸気消費は、100%CHP1tに対して、0.576tであり、得られたフェノール1tに対して、0.933tである。
63t/hの量で得られる工業用CHPを、前記の方法図式に記載されたように実施される分解段階に導入する。
分解は、フェノール:アセトン:クメン=1:1:0.61のモル比で厳守される反応媒体中で経過する。
循環生成物の導入は、式(1):
Gzirk=(480*63)/30=1008t/h
により調整され、この際、1通過当たりの変換率は一定に保たれる。変換率は、反応器Aへの入口でのCHPの濃度に対する、循環生成物との混合後の反応器Aへの入口と、反応器Cからの出口でのCHP濃度の間の差として計算され、(4.3〜0.73)/4.3*100=83%である。
比率度△T2/△T1=2.3である。CHPの分解過程の温度は、比率△T2/△T1=2.3及びGzirk=1008t/hで50℃である。これは、反応器2A、B、Cの熱交換体中への冷却水導入を変化させることによって達成される。
RMSは蒸発器に到達し、ここではアセトン、クメン、水及びフェノールの混合物が、4400kg/hの量で、453hPa(340mmHg)の真空下で留去される。
蒸発器3の下部から出た生成物流に、クメン10000kg/h及び水1000kg/hを導入する。実施された変更法の結果として、反応媒体はモル比フェノール:アセトン:クメン=1:0.78:0.87を特性とする。DMPC及びDCPの分解反応器に到達する生成物中の水濃度は、2.50重量%である。DMPC及びDCPの分解過程は、168℃の温度で経過する。DMPC及びDCPの分解反応器後の流れの中の最重要の不純物及び副生成物の濃度を次に示す:
AMS収率は、DCP及びDMPCの分解段階後に、理論値の90.6%であり、フェノール性タールの生成は、24.4kg/フェノールtである。
得られた分解生成物は、水含量3.5重量%が脱水されるまで、及び塩の分離段階に至るまで、NaOHで中和される。
分解生成物中のクメン含量を40重量%まで高めることによって、塩の分離は効果的に行なわれ、中和段階5からの出口で、有機相中の塩濃度は3ppmである。
塩を分離して精製された生成物(流れVI)は、塔6に到達し、そこでアセトン画分が塔生成物として(流れVII)取り出される。この塔の塔底生成物は塔7に到達し、そこで、分離器中で分離されるクメン画分及び水の分離が行なわれる。クメン画分は10000kg/hの量で反応器4に到達し、水相は1000kg/hの量で(流れIII)、塔7の分離器から、塔8に導かれ、そこでクメン画分及び水は塔頂生成物として取り出される。分離器での分離後に、クメン−AMSの画分は水素添加のため、水はDCP及びDMPCの分解のための装置に導入される。
アセトン及びクメン−AMSの混合物の分離段階における蒸気消費は、2.46t/フェノールtである。
使用率クメン/フェノールは、分解段階で1300kg/tである。
結果として、次のものを過程中に得る。
例3:
例2による過程(この際、工業用CHPは、次の組成を有する):
これは、2段階を経て達成された総選択度93.1重量%に相応し、その濃縮段階(0.07%abs.)でCHPの最少分解を示す。濃縮段階での蒸気消費は、100%CHP1tに対して、0.58tであり、収得フェノール1tに対して、0.94tである。
61.314t/hの量で得られる工業用CHPを、前記の方法図式に記載されたように実施される分解段階に導入する。
CHPの分解を、フェノール:アセトン:クメンのモル比が1:1:0.55である反応媒体中で実施する。循環生成物の供給は、式(1):
Gzirk=(480*61.31)/28=1051t/hにより行なわれ、従って1通過当たりの比率度△T2/△T1=1.5で、CHP変換率は76%である。
RMSは蒸発器に到達し、ここで4400kg/hの量のアセトン、クメン、水及びフェノールの混合物が、460hPa(345mmHg)の真空下で留去される。
蒸発器3の下部から出た生成物流に、クメン6200kg/h及び水900kg/hを導入する。実施された変更法の結果として、反応媒体はモル比フェノール:アセトン:クメン=1:0.78:0.70を特性とする。DMPC及びDCPの分解反応器に到達する生成物中の水濃度は2.75重量%である。
DMPC及びDCPの分解過程は、160℃の温度で経過する。DMPC及びDCPの分解反応器後の生成物流中の最重要の不純物及び副生成物の濃度を次に示す:
AMS収率は、DCP及びDMPCの分解段階後に、理論値の90.3%であり、フェノール性タールの生成は、25.4kg/フェノールtである。
クメン及びAMSの総含量が40重量%になるような量のクメン画分を、収得分解生成物に導入する。塔7の塔頂生成物として分離されるクメン画分量は、8790kg/hであり、そのうちの6200kg/hを、DCP及びDMPCの分解段階に導き、2590kg/hを、中和段階に導く。
酸の中和及び反応生成物からの塩の分離は、例2と同様に実施する。RMS中の塩の含量は、17ppmである。
アセトン及びクメン−AMS混合物の分離段階での蒸気消費は、2.46t/フェノールtである。
消費率クメン/フェノールは、分解段階で1301kg/tである。
結果として、過程中で次のものを得る:
例4:
この過程を例2と同様に実施し、この際、工業用CHPは次の組成を有する:
これは、2段階を経て達成される総選択度93モル%に相応し、その濃縮段階でのCHPの損失0.17%を示す。
濃縮段階での蒸気消費は、100%CHP1tに対して、0.63tであり、収得フェノール1tに対して、1.027tである。
55.94t/hの量で得られる工業用CHPを、前記の方法図式に記載されたように実施される分解段階に導入する。
CHPの分解を、モル比フェノール:アセトン:クメン=1:1:0.38が守られる反応媒体中で実施する。
循環生成物の導入は、式(1):
Gzirk=(480*55.94)/21=1278t/hにより行なわれ、従って、1通過当たりの比率度△T2/△T1=3.76で、CHP変換率は、88.0%である。
RMSは蒸発器に到達し、ここで4400kg/hの量のアセトン、クメン、水及びフェノールの混合物が、453hPa(340mmHg)の真空下で留去される。蒸発器3の下部から出た生成物流に、クメン8500kg/h及び水1000kg/hを導入する。実施された変更法の結果として、反応媒体はモル比フェノール:アセトン:クメン=1:0.77:0.61を特性とする。DMPC及びDCPの分解反応器に到達する生成物中の水濃度は2.8重量%である。
DMPC及びDCPの分解過程は、151℃の温度で経過する。DMPC及びDCPの分解反応器後の生成物流中の最重要の不純物及び副生成物の濃度を次に示す:
AMS収率は、DCP及びDMPCの分解段階後に、理論値の88.6%であり、フェノール性タールの生成は、28.1kg/フェノールtである。
クメン及びAMSの総含量が40重量%になるような量のクメン画分を、収得分解生成物に導入する。塔7の塔頂生成物として分離されるクメン画分量は、14200kg/hであり、そのうちの8500kg/hを、DCP及びDMPCの分解段階に導き、5790kg/hを、中和段階に導く。
酸の中和及び反応生成物からの塩の分離は、例2と同様に実施する。RMS中の塩の含量は、15ppmである。
アセトン及びクメン−AMSから成る混合物の分離段階での蒸気消費は、2.55t/フェノールtである。
消費率クメン/フェノールは、分解段階で1303kg/tである。
結果として、過程中で次のものを得る:
例5:
この過程を例4と同様に実施し、この際、工業用CHPは次の組成を有する:
61.31t/hの量で得られる工業用CHPを、分解段階に導入し、その際、反応媒体中で、モル比フェノール:アセトン:クメン=1:1:0.38が守られる。
循環生成物の導入は、式(1):
Gzirk=(480×61.314)/28=1051t/h
により、1通過当たりの比率度△T2/△T1=2.3で、CHP変換率が76.0%であるように調整される。DCP及びDMPCの分解反応器中の反応媒体の組成は、モル比フェノール:アセトン:クメン=1:1:0.53を特性とする。DMPC及びDCPの分解反応器に到達する生成物中の水濃度は2.8重量%である。
DMPC及びDCPの分解過程は、156℃の温度で経過する。
DMPC及びDCPの分解反応器後の生成物流中の最重要の不純物及び副生成物の濃度を次に示す:
AMS収率は、DCP及びDMPCの分解段階後に、理論値の88.31%であり、フェノール性タールの生成は、27.7kg/フェノールtである。
クメン及びAMSの総含量が40重量%になるような量のクメン画分を、収得分解生成物に導入する。塔7の塔頂生成物として10915kg/hの量で分離されるクメン画分を、中和段階にだけ加える。酸の中和及び反応生成物からの塩の分離は、例2と同様に実施する。RMS中の塩の含量は、18ppmである。
アセトン及びクメン−AMSから成る混合物の分離段階での蒸気消費は、2.46t/フェノールtである。
消費率クメン/フェノールは、分解段階で1302kg/tである。
結果として、過程中で次のものを得る:
例6:
次の組成を有するクメンの酸化段階生成物:
(これは達成された選択度86.47モル%に相応する)を、工業用CHPを得るために、濃縮段階に加える。
濃縮後に、工業用CHPは次の組成を有する:
これは酸化及び濃縮の2段階を経て達成される総選択度86.3モル%に相応する。選択度の損失は、CHPからDMPC及びACPへの部分分解により、その濃縮段階で、0.17%abs.である。58.09t/hの量で得られる工業用CHPを分解段階に導く。
DMPC8.35重量%を含有する所与の工業用CHPの分解を、例1(比較例)に記載されているように実施する場合に、方法の実施結果として、アセトンのための蒸発器からの出口で、生成物流中の重要な不純物及び副生成物の次に記載する濃度が得られる:
AMS収率は、DCP及びDMPCの分解段階後に、理論値の77.8%であり、フェノール性タールの生成は、77.6kg/フェノールtである。
アセトン及びクメン−AMSから成る混合物の分離段階での蒸気消費は、3.2t/フェノールtである。消費率クメン/フェノールは、分解段階で1350kg/tである。
結果として、過程中で次のものを得る:
収得した工業用CHPの本発明による分解実施は、次のように行なわれる:
CHPの分解の反応媒体の組成は、モル比フェノール:アセトン:クメン=1:1:0.42を特性とする。
循環生成物の導入は、式(1):
Gzirk=(480×58.09)/21=1328t/h
により、1通過当たりの比率度△T2/△T1=5.9で、CHP変換率が77.09%であるように調整される。比率度△T2/△T1=5.9及びGzirk=1328t/hでのCHPの分解過程の温度52℃は、反応器2A、B、Cの熱交換体中への冷却水導入の変更により調整される。
蒸発器の下部から出た生成物流に、水1156kg/hを導入する。DCP及びDMPCの分解反応器中で、反応媒体の組成は、モル比フェノール:アセトン:クメン=1:1:0.39を特性とする。DMPC及びDCPの分解反応器に到達する生成物中の水濃度は3.0重量%である。DMPC及びDCPの分解過程は、160℃の温度で経過する。
DMPC及びDCPの分解反応器後の生成物流中の最重要の不純物及び副生成物の濃度を次に示す:
AMS収率は、DCP及びDMPCの分解段階後に、理論値の85.4%であり、フェノール性タールの生成は、60.4kg/フェノールtである。
クメンの総含量が40重量%になるような量のクメン画分を、収得分解生成物に導入する。塔7の塔頂生成物として13710kg/hの量で分離されるクメン画分を、中和段階に導く。
酸の中和及び反応生成物からの塩の分離は、例2と同様に実施する。RMS中の塩の含量は、8ppmである。
アセトン及びクメン−AMS混合物の分離段階での蒸気消費は、2.8t/フェノールtである。
消費率クメン/フェノールは、分解段階で1334kg/tである。
結果として、過程中で次のものを得る:
例7:
この過程を例3と同様にして実施し、この際、工業用CHPは次の組成を有する:
55.94t/hの量で得られる工業用CHPを、分解段階に導入し、その際、反応媒体中で、モル比フェノール:アセトン:クメン=1:1:0.55である。
循環生成物の導入は、式(1):
Gzirk=(480×55.94)/21=1279t/h
により、1通過当たりの比率度△T2/△T1=5〜7で、CHP変換率は、88%であるように調整される。
RMSは蒸発器に到達し、ここで4400kg/hの量のアセトン、クメン、水及びフェノールの混合物が、440hPa(330mmHg)の真空下で留去される。
蒸発器3の下部から出た生成物流に、クメン8500kg/h及び水580kg/hを導入する。実施された変更法の結果として、反応媒体はモル比フェノール:アセトン:クメン=1:0.77:0.61を特性とする。DMPC及びDCPの分解反応器に到達する生成物中の水濃度は2.1重量%である。
DMPC及びDCPの分解過程は、151℃の温度で通過する。
DMPC及びDCPの分解反応器後の生成物流中の最重要の不純物及び副生成物の濃度を次に示す:
AMS収率は、DCP及びDMPCの分解段階後に、理論値の87.6%であり、フェノール性タールの生成は、28.8kg/フェノールtである。
クメン及びAMSの総含量が40重量%になるような量のクメン画分を、収得分解生成物に導入する。塔7の塔頂生成物として分離されるクメン画分量は、14100kg/hであり、そのうちの8500kg/hを、DCP及びDMPCの分解段階に導き、5790kg/hを、中和段階に導く。
酸の中和及び反応生成物からの塩の分離は、例2と同様に実施する。RMS中の塩の含量は、17ppmである。アセトン及びクメン−AMSから成る混合物の分離段階での蒸気消費は、1.55t/フェノールtである。
消費率クメン/フェノールは、分解段階で1305kg/tである。
結果として、過程中で次のものを得る:
例8:
この過程を例3と同様にして実施し、この際、工業用CHPは次の組成を有する:
55.94t/hの量で得られる工業用CHPを、分解段階に導入し、これは、モル比フェノール:アセトン:クメン=1:1:0.38を保つ反応媒体中で実施される。
335m3/hの量の循環生成物の導入は、比率度△T2/△T1=21.4であるように調整される。
RMSは蒸発器に到達し、ここで4400kg/hの量のアセトン、クメン、水及びフェノールから成る混合物が、440hPa(330mmHg)の真空下で留去される。
蒸発器3の下部から出た生成物流に、水1700kg/hを導入する。実施された変更法の結果として、反応媒体はモル比フェノール:アセトン:クメン=1:0.78:0.35を特性とする。DMPC及びDCPの分解反応器に到達する生成物中の水濃度は4.5重量%である。
DMPC及びDCPの分解過程は、168℃の温度で経過する。
DMPC及びDCPの分解反応器後の生成物流中の最重要の不純物及び副生成物の濃度を次に示す:
AMS収率は、DCP及びDMPCの分解段階後に、理論値の83.0%であり、フェノール性タールの生成は、35.6kg/フェノールtである。
クメン及びAMSの総含量が40重量%になるような量のクメン画分を、収得分解生成物に導入する。塔7の塔頂生成物として14100kg/hの量で分離されるクメン画分を、中和段階に導く。酸の中和及び反応生成物からの塩の分離は、例2と同様に実施する。RMS中の塩の含量は、18ppmである。アセトン及びクメン−AMSから成る混合物の分離段階での蒸気消費は、2.55t/フェノールtである。
消費率クメン/フェノールは、分解段階で1309kg/tである。
結果として、過程中で次のものを得る:
例9:
この過程を例5と同様にして実施し、この際、工業用CHPは次の組成を有する:
61.314t/hの量で得られる工業用CHPを、モル比フェノール:アセトン:クメン=1:1:0.55が守られる反応媒体中で実施される分解段階に導入する。
循環生成物の導入は、式(1):
Gzirk=(480×61.314)/28=1051t/h
により、過程毎の比率度△T2/△T1=3.16で、CHP変換率は、76%であるように調整される。
DCP及びDMPCの分解反応器中の反応媒体の組成は、モル比フェノール:アセトン:クメン=1:1.8:0.51を特性とする。DMPC及びDCPの分解反応器に到達する生成物中の水濃度は1.3重量%である。
DMPC及びDCPの分解過程は、151℃の温度で経過する。
DMPC及びDCPの分解反応器後の生成物流中の最重要の不純物及び副生成物の濃度を次に示す:
AMS収率は、DCP及びDMPCの分解段階後に、理論値の85.7%である。
クメン及びAMSの総含量が40重量%になるような量のクメン画分を、収得分解生成物に導入する。塔7の塔頂生成物として9434kg/hの量で分離されるクメン画分を、中和段階だけに導く。
酸の中和及び反応生成物からの塩の分離は、例2と同様に実施する。RMS中の塩の含量は、19ppmである。
アセトン及びクメン−AMSから成る混合物の分離段階での蒸気消費は、2.46t/フェノールtである。
消費率クメン/フェノールは、分解段階で1306kg/tである。
結果として、過程中で次のものを得る:
引用記号表
1 蒸留段階(1A、B)
2 CHP−分解反応器(2A、B、C)
3 蒸発器
4 DCP/DMCP−分解反応器
5 中和器
6 アセトン−分離塔
7 クメン分離塔
8 フェノール/クメン/AMS−分離塔
9 酸化のためのクメン用回帰管(流れII) 1
0 クメン−酸化生成物の導管(流れI)
11 濃縮クメン−酸化生成物の導管
12 冷却水管
13 酸化生成物、還流液及び触媒のための混合器
14 ポンプ
15 触媒(H2SO4)−導管
16 熱量計△T1(小管反応器)
17 アセトン排管
18 水素添加の為のクメン/AMS−回帰管
19 中和剤(NaOH)−導管
20 中和導管
21 中和排管(流れVI)
22 排水管
23 中和循環ポンプ
24 粗アセトン排管(流れVII)
25 粗フェノール導管(流れ(VIII)
26 クメン−回帰管(流れIV、IVa、IVb)
27、27’ クメン/H2Oのための分離器
28 水の回帰管(流れIII)
29 フェノール/クメン/AMS−導管
30 精留のためのフェノール/タール排管
Claims (11)
- クメンを、工業用クメンヒドロペルオキシド(CHP)に酸化させ、CHPの触媒的分解下で、フェノール及びアセトンを製造するための改良法において、酸化生成物を、工業用クメンヒドロペルオキシド中のクメン含量21〜30重量%まで濃縮し、この混合物を触媒的分解に導入し、分解の際に、フェノール:アセトン:クメンのモル比1:1〜0.77:0.35〜0.87を保つことを特徴とする、クメンからフェノール及びアセトンを製造するための改良法。
- 混合反応器中の工業用クメンヒドロペルオキシドの分解、及び管状反応器中の副生成物として生成したジクミルペルオキシドの分解を、前記の反応器中で、反応媒体の異なる組成で実施する、請求項1に記載のクメンからフェノール及びアセトンを製造するための改良法。
- 混合反応器中での工業用クメンヒドロペルオキシドの分解段階で、反応媒体中で、フェノール:アセトン:クメンのモル比1:1:(0.38〜0.61)を厳守する、請求項2に記載のクメンからフェノール及びアセトンを製造するための改良法。
- 管状反応器中でのジクミルペルオキシド及びジメチルフェニルカルビノールの分解は、モル比フェノール:アセトン:クメン=1:(1〜0.77):(0.35〜0.87)を有する反応媒体中で、150〜168℃の温度で実施される、請求項2に記載のクメンからフェノール及びアセトンを製造するための改良法。
- ジクミルペルオキシド及びジメチルフェニルカルビノールの分解反応器中に、クメン画分160kg/工業用クメンヒドロペルオキシドtまでの量で導入する、請求項5に記載のクメンからフェノール及びアセトンを製造するための改良法。
- ジクミルペルオキシド及びジメチルフェニルカルビノールの分解反応器中に、水1〜30.4kg/工業用クメンヒドロペルオキシドtまでの量で導入する、請求項5または6に記載のクメンからフェノール及びアセトンを製造するための改良法。
- ジクミルペルオキシド及びジメチルフェニルカルビノールの分解過程の制御は、装置中で、1.5〜21.4の範囲での比率度(△T2/△T1):[この際、
△T2は、ジクミルペルオキシド及びジメチルフェニルカルビノールの分解反応器の入口及び出口での生成物の温度差であり、かつ
△T1は、工業用クメンヒドロペルオキシドの分解生成物の循環の導管中に設置される熱量計の入口及び出口での生成物の温度差である]の調整によって行なわれる、請求項1から7までのいずれか1項に記載のクメンからフェノール及びアセトンを製造するための改良法。 - 比率度が、3〜8の範囲である、請求項8記載の方法。
- 管状反応器中のジクミルペルオキシド及びジメチルフェニルカルビノールの分解は、減少したアセトン含量を有する反応媒体中で実施され、この際、減少したアセトン含量は、アセトン部分の除去によって、又は分解生成物中へ付加的な量のクメン−及び水画分を添加することによって、又は双方の方法を使用することによって達成される、請求項5に記載のクメンからフェノール及びアセトンを製造するための改良法。
- 硫酸の中和段階において、炭化水素画分の導入による分解生成物中のクメン及びα−メチルスチレンの総含量は40重量%であり、水含量は3.5重量%であり、硫酸の中和段階後の分解生成物中の塩濃度は3〜20ppmである、請求項10に記載のクメンからフェノール及びアセトンを製造するための改良法。
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