JP4009758B2 - 車両のコート剤 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、車両のコート剤に関し、特に、防汚性に優れ、かつ付着した汚れを簡単に除去することができる車両のコート剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
第二次世界大戦が終了するや、内外国において、モータリゼーションの波が押し寄せ、世の中に自動車があふれている。特に自家用車の発展はめざましい。そして、自動車の表面や部品表面から、汚垢を除去したり、これらの表面に光沢を発生させたりするコート剤も発展した。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来、コート剤を使用した場合、撥水機能を高めると汚れの除去性が悪くかつ汚れが沈着し、特にバンパー部などはプラスチック製のため、特にこうした汚れの沈着が問題であった。すなわち、従来の撥水コート剤では親水性の機能がないため車体表面が汚れやすく、付着した汚れが沈着し洗車で落ちにくいのが欠点であった。
【0004】
本発明は、上述のごとき従来の不都合を解消しようとするものであって、その目的は、車両のコート剤において、こうした汚れの付着性や付着汚れの除去性を著しく改善しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の本発明の目的を達成するため、本発明の請求項1に係る発明は、フッ素樹脂、シリコン樹脂、カルナバワックス、アルコール系溶剤、増粘剤、乳化剤、ナノ粒子金属、水、を構成の主成分とする車両のコート剤において、
乳化剤としては、
1)ポリオキシエチレンアルキルエーテル系非イオン界面活性剤で、HLB値が6〜18のもの、
2)ポリオキシエチレンオレイン酸エステル系非イオン界面活性剤で、HLB値が8〜14のもの、
の何れ1種類、
ナノ粒子金属としては、
その径(d)がおよそ1nm<d<100nmのもので、該金属としては、金、銀、銅、亜鉛の内の少なくとも1種類
酸化チタン、酸化アルミニウム、二酸化珪素で、その径(d)がおよそ1nm<d<100nmの内の少なくとも1種類
を含むことを特徴とする車両のコート剤。
を提供する。
【0006】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明は、フッ素樹脂、シリコン樹脂、カルナバワックス、アルコール系溶剤、増粘剤、乳化剤、ナノ粒子金属、水、を構成の主成分とする。本発明の親水性付与による防汚及び水洗による汚れ除去性の顕著な効果をもたらすためには、乳化剤及びナノ粒子金属の存在が不可欠である。すなわち、乳化剤としては、次のようなものがある。
1)ポリオキシエチレンアルキルエーテル系非イオン界面活性剤で、HLB値が6〜18のもの、2)ポリオキシエチレンオレイン酸エステル系非イオン界面活性剤で、HLB値が8〜14のもの。
また、ナノ粒子金属としては、その径(d)がおよそ1nm<d<100nmのもので、該金属としては、金、銀、銅、亜鉛のほか、酸化チタン、酸化アルミニウム、二酸化珪素が挙げられる。
【0007】
【実施例1】
コート剤の配合成分としてフッ素樹脂10部/シリコン樹脂1部/カルナバワックス6部/乳化剤A(ポリオキシエチレンオレイルエ−テル;HLB値10)4部/増粘剤0.1部/酸化チタン銀架橋ナノ粒子(10nm粒径)0.9部/水78部を配合し、常温から80℃に昇温後60分攪拌処理し、次いで、40℃まで冷却し、作成した。合成されたコート剤を白の車体に定められた塗布法により塗布した。塗布された本発明に係るコート剤と従来のコート剤の塗装面を各々以下に示す汚染性試験方法及び実地走行3ヶ月後の汚染性を比較した。その結果を表1に示す。
【0008】
【表1】
【0009】
上記表1における旧建設省土木研究所式耐汚染性試験は、次のように行った。
1)汚染物質をエアースプレーで吹き付ける。
2)直ちに60℃で1時間乾燥させ、室温まで放冷する。
3)流水で汚染物質が無くなるまで洗浄する。
4)水滴を拭き取り常温で乾燥する。
5)JISZ8730{色の表示方法−物体色の色差」−1995に準じ、汚染前後で色差(ΔEab)を測定した。汚染物質の調整方法は、三菱化学株式会社製三菱カーボンブラックNo.2650(粒径13nm)を、卓上型塗料分散機を用いて、脱イオン水で分散度10μmになるまで分散し、最終濃度を5%に調整した。
【0010】
上記表1から明らかなように、本発明に係るコート剤は、従来のコート剤と比較して、明らかに水洗後の汚れ度が少なく優れていることは明白である。
【0011】
【実施例2】
コート剤の配合成分として乳化剤B(ポリオキシエチレンオレイン酸エステル;HLB値12)を4部使用した以外は、上記実施例1と同様の処方で製造したコート剤を白の車体に定められた塗布法により均一に中央左片側に塗布した。同一車体の左片側に従来品を同様の塗布法により塗布した。塗布された本発明に係るコート剤と従来品の塗布面を各々既述の汚染試験方法及び実地走行3ヶ月後の汚染性を調べた。その試験結果を表2に示す。
【0012】
【表2】
【0013】
上記表2から明らかなように、本発明に係るコート剤は、従来のコート剤と比較して、明らかに水洗後の汚れ度が少なく優れていることは明白である。
【0014】
これまでに説明したように、本発明は汚れの付着性や付着汚れの除去性を著しく改善できる。すなわち、
コート剤の親水性を改善するため、従来のフッ素やシリコン樹脂などの撥水性を損なうことなく、新たに親水性を付加するため以下の方策を取り入れている。
すなわち、
1)マクロ的には撥水性を示すがミクロ(超微視)的には親水性を示す特徴を有する。
2)ナノ粒子金属を特殊親水性乳化剤とバランスよく撥水性剤と配合することにより従来不可能とされた撥水性を有しつつ親水性を付与することを可能とした。
3)本発明で供される特殊乳化剤とは撥水剤(フッ素及びシリコン樹脂)とのバランスがよく親油性と親水性の両機能を具備させる働きを有する。
4)本発明では、このほか、コート剤の本来の特徴である車体表面の保護、表面の光沢、輝き、艶などの美しさを兼備する。車体のこうした美しい仕上げ感は水洗での汚れの除去性とは通常相反するものであるが、本発明ではこの両機能を兼備している。
5)ナノ粒子金属(液体)と特殊乳化剤(界面活性剤)を配合調整することにより、
(a)撥水機能を損なわない。
(b)超微粒子の介在により均一な効果
(c)優れた親水機能
(d)防汚性の改善
(e)優れた親水/撥水のバランス
【0015】
以上、本発明を上述の実施の形態により説明したが、本発明の主旨の範囲内で種々の変形や応用が可能であり、これらの変形や応用を本発明の範囲から排除するものではない。
【0016】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明は、従来のコート剤のように撥水性を有するので、汚れがつきにくく、車体表面の保護、表面の光沢、輝き、艶などの美しさを兼備しているほか、親水性も有することから、洗車した際に、付着した汚れを可及的速やかに洗い流して車体表面等を清浄化することができる。
Claims (1)
- フッ素樹脂、シリコン樹脂、カルナバワックス、アルコール系溶剤、増粘剤、乳化剤、ナノ粒子金属、水、を構成の主成分とする車両のコート剤において、
乳化剤としては、
1)ポリオキシエチレンアルキルエーテル系非イオン界面活性剤で、HLB値が6〜18のもの、
2)ポリオキシエチレンオレイン酸エステル系非イオン界面活性剤で、HLB値が8〜14のもの、
の何れ1種類、
ナノ粒子金属としては、
その径(d)がおよそ1nm<d<100nmのもので、該金属としては、金、銀、銅、亜鉛の内の少なくとも1種類、
酸化チタン、酸化アルミニウム、二酸化珪素で、その径(d)がおよそ1nm<d<100nmの内の少なくとも1種類、
を含むことを特徴とする車両のコート剤
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001360141A JP4009758B2 (ja) | 2001-11-26 | 2001-11-26 | 車両のコート剤 |
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