JP2004149700A - コーティング組成物と、その製造方法、ならびに、このコーティング組成物で被覆された被覆体 - Google Patents
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Abstract
【課題】被コーティング物体に、優れた撥水性を、簡易に、安価に付与することができるコーティング組成物、および、このコーティング組成物で被覆された被覆体、ならびに、このコーティング組成物を製造するための製造方法を提供すること。
【解決手段】コーティング組成物は、有機溶媒中に、表面が疎水性で、粒子径が100nm以下の微粒子を含有する。また、このコーティング組成物は、例えば、表面が疎水性で、粒子径が100nm以下の微粒子を、有機溶媒中に、キャビテーション作用によって分散することによって、得られる。
【選択図】 なし
【解決手段】コーティング組成物は、有機溶媒中に、表面が疎水性で、粒子径が100nm以下の微粒子を含有する。また、このコーティング組成物は、例えば、表面が疎水性で、粒子径が100nm以下の微粒子を、有機溶媒中に、キャビテーション作用によって分散することによって、得られる。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コーティング組成物およびコーティング組成物の製造方法に関し、特に、建築物や車両等のガラス、乗用車のサイドミラー等のように、屋外に設置されたり、屋外で使用されるガラスやミラー等の表面に適用される、コーティング組成物およびこのコーティング組成物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
乗用車のサイドミラーやガラス、家屋の窓ガラス等のように、屋外に設置されたり、屋外で使用されるガラスやミラーは、雨滴等が付着すると、視覚的に識別しにくくなり、視認性が低下する。そのため、ガラスやミラーの表面に撥水性を付与する技術の開発が行われている。
例えば、特開平8−248203号公報には、ガラス等の表面にフッ化カーボンを微粒子状に付着させることによって撥水性を付与する技術が開示されている。ところが、この方法では、微粒子を付着させるために、真空蒸着法、CVD(Chemical Vapor Deposition)等を用いるので、大掛かりな装置が必要であり、コスト的にも問題があった。
また、ゾルゲル法を応用し、アルミニウムアルコキシドの加水分解によって出きたガンマアルミナ膜を、熱水中で処理することにより、スポンジ状のベーマイトを表面に析出させて、これに撥水処理を行うことにより撥水性の透明膜を形成することができる(Journal of American Ceramic Society, 80[12]3213−16(1997)。ところが、この方法では、焼成後に熱水処理が必要であるので、工程数が多く煩雑であり、コスト面でも問題があった。
更にまた、特開2002−88315号公報には、微粒子及びブロックポリマーを用いてガラス表面等に撥水性を付与するコーティング組成物が開示されている。しかしながら、この方法では、ブロックポリマーを製造するか、あるいは商業的に入手しなければならず、量産性およびコストの点で問題があった。
したがって、簡易に、しかも安価で、超撥水性を付与することができるコーティング組成物が切望されていた。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−248203号公報
【特許文献2】
特開2002−88315号公報
【非特許文献1】
「ジャーナル オブ アメリカン セラミック ソサイエティー(Journal of American Ceramic Society)」,1997年 第80巻[12]p.3213−16
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、被コーティング物体に、優れた撥水性を簡易に付与することができるコーティング組成物、ならびに、このコーティング組成物を製造するためのコーティング組成物製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
上記問題点に鑑み、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のコーティング組成物は、有機溶媒中に、表面が疎水性で、粒子径が100nm以下の微粒子を含有することを特徴とする。
ここで、微粒子は、親水性の微粒子に疎水化処理を行って、表面を疎水性にした微粒子であってもよい。
また、前記微粒子は、乾式による疎水化処理によって表面を疎水性にすることが好ましい。
また、微粒子は、二酸化珪素を主成分とすることが好ましい。
上記コーティング組成物は、有機溶媒に溶解し、乾燥させると透明体を形成する成分を、さらに含有することが好ましい。
また、有機溶媒は、極性を有する溶媒であることが好ましい。
【0006】
本発明のコーティング組成物の製造方法は、粒子径が100nm以下であり、表面が疎水性の微粒子を、キャビテーション作用によって有機溶媒中に分散させることを特徴とする。
ここで微粒子は、二酸化珪素を主成分とすることが好ましい。
本発明の被覆体は、上記コーティング組成物を塗布し、乾燥させて形成された透明被膜を有することを特徴とする。
【0007】
表面が疎水性であり、1次粒子径が100nm以下の微粒子を、超音波分散機等を用いて、有機溶媒中に分散させることにより、被コーティング物体に超撥水性を、簡易で、安価に付与することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のコーティング組成物は、表面が疎水性である微粒子を、有機溶媒中に分散させたものである。この微粒子は、粒子径が100nm以下の微粒子であることが必要であるが、微粒子の粒子径は、1〜100nmの範囲内であることが好ましく、5nm〜100nmの範囲内であることが更に好ましい。微粒子の粒子径が100nmを越えると、コーティング膜表面で光の散乱が生じ、透明性を保持することができなくなることがあるからである。すなわち、微粒子をガラス等の表面に付着させたコーティング膜は、この微粒子と同等の大きさや高さの凹凸を有するので、平均粒径が100nm以下の微粒子を付着させれば、可視光線の波長(主に、400〜800nm程度)より小さな凹凸となり、コーティング膜表面で光の散乱が生じず、透明性を保持することができる。
【0009】
微粒子の形状は、厳密な意味での球状に限定されることはない。例えば、その結晶形態や凝集状態の形態が、ほぼ球状、円柱状、鱗片状、繊維状、不定形状、多面体形状等であってもよい。
【0010】
表面が疎水性の微粒子は、珪素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、アンチモン、スズ、タングステン、亜鉛、鉄、セリウム、マンガン、銅、マグネシウム、ホルミウム、ニッケル等の酸化物、または、炭素を主成分とすることが好ましい。本発明においては、これらを単独で、あるいは2種類以上を混合して使用することができる。微粒子が酸化亜鉛を用いて形成された場合には、コーティング膜表面に、さらに抗菌、抗カビ作用を付与することができる。
【0011】
本発明においては、親水性の微粒子に疎水化処理を行って、表面を疎水性にしてもよく、必要に応じて、上記微粒子の表面に、疎水化処理を行ってもよい。
表面を疎水化する方法としては、微粒子表面に疎水性を付与することができれば特に限定されることはなく、適宜採用される。例えば、表面にフッ素やアルキル基を含有させることが好ましい。微粒子表面にフッ素やアルキル基を含有させる方法としては、シリル化剤、チタンカップリング剤、アルキルアルミニウム等の有機金属化合物を用いる方法等が挙げられる。ここでシリル化剤とは、無機材料に対して親和性あるいは反応性を有する加水分解性シリル基に、アルキル基、アリル基、フッ素を含有したフルオロアルキル基等を結合させた化合物である。珪素に結合した加水分解性基としては、アルコキシ基、ハロゲン、アセトキシ基等が挙げられるが、通常、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、塩素が好ましく使用される。例えば、トリメチルシリル化剤、アルキルシラン類、アリールシラン類、フルオロアルキルシラン類等を挙げることができる。
【0012】
本発明においては、乾式による疎水化処理を行うことが好ましい。ここで、乾式による疎水化処理とは、気相中で親水性微粒子と疎水化剤とを反応させることをいう。疎水化剤としては、モノメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル等を使用することができる。例えば、高熱合成した二酸化珪素を、ジメチルジクロルシランを用いて流動床中で疎水化することができる。なお、疎水化反応は、400〜600℃の温度で実施することが好ましい。また、湿式による疎水化処理とは、溶液中で親水性微粒子と疎水化剤とを反応させることをいう。
なお、表面が疎水性の微粒子の疎水化度については、塗布等する対象である被コーティング物体の材質や、使用される有機溶媒の種類に応じて、適宜、設計されることが好ましい。
【0013】
微粒子の添加量は、コーティング組成物中、0.01質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、0.1質量%〜5質量%の範囲内であることが更に好ましい。
【0014】
有機溶媒は、微粒子等を安定に分散させるための溶媒として機能する。本発明に用いられる有機溶媒としては、極性を有する有機溶媒が好ましく、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類等、のような極性溶媒が望ましい。また、経時的安定性および超撥水性等の性能を損なわない範囲内で、有機溶媒に水を添加することもできる。
有機溶媒の使用量は、コーティング等の方法に応じて、適当な濃度や粘度となるように、適宜選択されることが好ましい。
【0015】
本発明においては、表面が疎水性で、粒径が100nm以下の微粒子を、有機溶媒中で、キャビテーション作用により分散させることが好ましい。ここで、キャビテーション作用を起こさせるためには、例えば、微粒子を有機溶媒に入れて、超音波分散機等を用いて分散させることにより達成される。キャビテーション作用により分散させられた上記微粒子は予想外の超撥水性を発揮するが、このメカニズムは明らかではない。有機溶媒に超音波を照射すると、圧力の高い部分と低い部分が現れ、水に溶けていた気体がキャビティ(気泡)となって発生する。この気泡が瞬間的に収縮破壊して、疎水性の微粒子を良好な状態で分散させたり、あるいは、更に何らかの作用を微粒子自体に及ぼすと考えられる。なお、ホモジナイザー等の分散機によって分散させても超撥水性を発揮することがあるが、形成される被膜の透明性との兼ね合いで調整が必要である。
【0016】
本発明においては、有機溶媒に溶解し、乾燥させると透明体を形成する成分を含有させることが好ましい。有機溶媒に溶解し、乾燥させると透明体を形成する成分は、バインダー的な作用を発揮し、被コーティング物体の表面、例えばガラス表面と、微粒子とを強固に結合させて、コーティング膜の耐久性を向上させることができる。例えば、このバインダー的な成分を含む有機溶媒を塗布等し、乾燥させると、有機溶媒が蒸発して透明被膜を形成する。本発明に用いられる、有機溶媒に溶解し、乾燥させると透明体を形成する成分としては、ジメチル、メチルフェニル、メチルハイドロジェン、アミノ変性、エポキシ変性、エポキシポリエーテル変性、カルボキシル変性、カルボキシルポリエーテル変性、アルコール変性、アルキル変性、アルキルアラルキル変性、アルキルアラルキルポリエーテル変性、ポリエーテル変性、フッ素変性のシリコーン等のシリコーン類、フェニルメチル系レジン、メチル系レジン、変性系レジン等のレジン類、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等の樹脂類、陰イオン表面活性剤、陽イオン表面活性剤、非イオン系表面活性剤、両性の表面活性剤等の表面活性剤類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエーテル共重合体、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸等の合成高分子類、高級アルコール類、高級脂肪酸類、シリカ系無機コーティング剤、シラザン系無機コーティング剤、シリコーンゴム等のゴム類、デンプン、グリコーゲン、セルロース等の多糖類、スメクタイト等の鉱物類等が挙げられる。なお、陰イオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、アルカンスルホン酸、硫酸アルキル、硫酸アルキルポリオキシエチレン、リン酸アルキル、長鎖脂肪酸、α−スルホ脂肪酸エステル及びそれらの塩等が挙げられ、陽イオン界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等が挙げられ、非イオン系界面活性剤としては、アルキルポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルポリグルコシド等が挙げられ、両性界面活性剤としては、ジメチルアルキルアミンオキシド、N−アルキルベタイン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
有機溶媒に溶解し、乾燥させると透明体を形成する成分の添加量は、コーティング組成物の固形分中、不揮発分で0.01〜25質量%の範囲内であることが好ましい。
【0017】
例えば、表面が疎水性の微粒子等を有機溶媒に分散させたコーティング組成物を、ガラス等の被コーティング物体の表面に塗布等した後、乾燥させることによって、被コーティング物体に撥水性を付与することができる。ここで、微粒子は、被コーティング物体の表面に付着して凹凸を形成する。この凹凸は、ガラスと水滴との接点を小さくする働きをする。したがって、水滴の接触角度が150゜〜175゜であるような超撥水性を実現することができる。
【0018】
有機溶媒に溶解し、乾燥させると透明体を形成する成分を含むコーティング組成物を用いた場合には、この成分がガラス等の被コーティング物体の表面と微粒子とを強固に結合させるバインダー的な役割を果たすので、ガラス等の被コーティング物体から剥がれにくい、耐久性のある、透明なコーティング膜を形成することができる。
【0019】
本発明のコーティング組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、一般的なコーティング液等に通常使用される添加剤等を添加することができ、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、香料、防腐剤、酸、アルカリ類等を添加することができる。
【0020】
有機溶媒中にバインダー的な成分を含有する場合には、ガラス表面等に付着した微粒子によって形成された凹凸がコーティング膜表面に反映される程度の膜厚であることが好ましい。コーティング膜の膜厚が、形成された凹凸を埋め込んでしまうような厚さであると、十分な撥水性が得られないからである。
【0021】
本発明において、コーティング組成物をコーティングする方法は、特に限定されることなく、任意の塗布方法、印刷方法等を使用することができる。例えば、ディップコート、スプレーコート、グラビアコート、ロールコート、バーコート、フローコート、スクリーン印刷法等が挙げられる。また、これらを適宜、組み合わせて使用してもよい。
本発明のコーティング組成物を上記方法によってコーティングした後、乾燥させるが、乾燥温度0℃〜100℃、乾燥時間0.1時間〜1時間で、乾燥させることが好ましい。
【0022】
本発明のコーティング組成物を塗布等することができる被コーティング物体の材料としては、特に限定はないが、例えば、強化ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等のガラス、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、銅等の金属、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート等のプラスチック、石類、コンクリート等が挙げられる。
本発明のコーティング組成物を、例えば、建築物の窓ガラス、外灯のガラス、車両の窓ガラス、自動車のサイドミラー、サングラス、各種計器等の窓ガラス、浴室用鏡等にコーティングすることができる。本発明のコーティング組成物をコーティングし、乾燥させて形成された皮膜面には、ごみが付着しにくいので、また、透明なコーティング膜を形成することができるので、高層住宅の窓ガラス、道路鏡、道路標識、看板等にも好ましく使用することができる。
【0023】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
表面が疎水性で、粒子径が約7nmのシリカ粒子(商品名「レオロシールDM−30S」、株式会社トクヤマ製)0.5質量%を、イソプロピルアルコール(以下「IPA」と表記することもある)99.5質量%に入れ、超音波分散機を用い、周波数44kHzで1時間分散してコーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を、厚さ3mmのガラス板上に、フローコート法によって塗工し、乾燥させて、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
次に、このコーティングサンプルについて、撥水性および耐久性の評価を行った。すなわち、作製したコーティングサンプルを、45度の角度に傾けて、このコーティング面に、面上の高さ10cmの位置から水滴を落下させた。この水滴が転がりながら下へ落ちていった場合には、記号「○」、落下された水滴がコーティング面に付着した場合には、記号「×」で示した。
また、得られたコーティングサンプルのコーティング面上の高さ68cmの位置から水滴を1秒間に一滴(約0.05mL)の割合で落下させた。コーティング面の状態を肉眼で観察し、コーティング面に剥がれが生じるまでに要した水滴の数を記録した。これらの結果を表1に示す。
【0024】
(実施例2)
実施例1において、粒子径7nmのシリカ粒子と有機溶媒の使用量を、表1に示すように、商品名「レオロシールDM−30S」を1質量%、イソプロピルアルコールを99質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、コーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0025】
(実施例3)
実施例2において、表1に示すように、粒子径が7nmのシリカ粒子の替わりに、粒子径が約10nmの疎水性シリカ粒子(商品名「レオロシールDM−20S」、株式会社トクヤマ製)を1質量%用いた以外は、実施例2と同様にして、コーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0026】
(実施例4)
実施例2において、表1に示すように、粒子径が7nmのシリカ粒子の替わりに、粒子径が約14nmの疎水性シリカ粒子(商品名「レオロシールDM−10」、株式会社トクヤマ製)を1質量%用いた以外は、実施例2と同様にして、コーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0027】
(実施例5)
実施例2において、表1に示すように、有機溶媒として、IPAの替わりにn−ヘキサンを99質量%用いた以外は、実施例2と同様にして、コーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0028】
(実施例6)
実施例1において、表面が疎水性の微粒子として、粒子径が7nmのシリカ粒子(商品名「レオロシールDM−30S」、株式会社トクヤマ製)を1質量%用い、有機溶媒としてIPAを98.8質量%用い、アミノ変性シリコン(商品名「TSF4700」、GE東芝シリコーン株式会社製、固形分100%)を0.2質量%用いた以外は、実施例1と同様にして、コーティング組成物を作製した。作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0029】
(比較例1)
疎水性シリカを用いずに、アミノ変性シリコン(商品名「TSF4700」、GE東芝シリコーン株式会社製、固形分100%)0.2質量%をn−ヘキサン99.8質量%に入れて、実施例1と同様に、超音波分散機を用い、周波数44kHzで1時間分散してコーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。
形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0030】
(比較例2)
疎水性シリカを用いずに、アミノ変性シリコン(商品名「TSF4700」、GE東芝シリコーン株式会社製、固形分100%)0.2質量%をIPA99.8質量部に入れて、実施例1と同様に、超音波分散機を用い、周波数44kHzで1時間分散してコーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0031】
(実施例7)
実施例2において、超音波分散機の周波数と分散時間を表2に示すように変更した。すなわち、超音波分散機を用い、周波数20kHzで5分間分散した以外は実施例2と同様にして、コーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0032】
(実施例8)
実施例2において、表2に示すように、粒子径が7nmのシリカ粒子の替わりに、粒子径が約10nmの疎水性シリカ粒子(商品名「レオロシールDM−20S」、株式会社トクヤマ製)を1質量%用い、超音波分散機の周波数を20kHzに変更して、5分間分散を行った以外は、実施例2と同様にして、コーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0033】
(実施例9)
実施例1において、粒子径7nmのシリカ粒子と有機溶媒の使用量を表2に示すように変更した。すなわち、商品名「レオロシールDM−30S」を3質量%、イソプロピルアルコールを97質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、コーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0034】
(実施例10)
実施例1において、粒子径7nmのシリカ粒子と有機溶媒の使用量を表2に示すように変更した。すなわち、商品名「レオロシールDM−30S」を5質量%、イソプロピルアルコールを95質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、コーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0035】
(実施例11)
表2に示すように、表面が疎水性の微粒子として、粒子径が7nmのシリカ粒子(商品名「レオロシールDM−30S」、株式会社トクヤマ製)を1質量%用い、有機溶媒としてIPAを98.8質量%用い、アミノ変性シリコン(商品名「TSF4700」、GE東芝シリコーン株式会社製、固形分100%)を0.2質量%用いた。微粒子とアミノ変性シリコンを有機溶媒に入れ、超音波分散機を用い、周波数20kHzで5分間分散してコーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0036】
(比較例3)
疎水性シリカを用いずに、アミノ変性シリコン(商品名「TSF4700」、GE東芝シリコーン株式会社製、固形分100%)0.2質量%をn−ヘキサン99.8質量%に入れ、超音波分散機を用いて、周波数20kHzで5分間分散した以外は、実施例1と同様にしてコーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0037】
(比較例4)
比較例3において、有機溶媒の種類を、n−ヘキサンの替わりにIPAを用いた以外は比較例3と同様して、コーティング組成物を作製した。作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。
形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0038】
(比較例5)
疎水性シリカを用いずに、親水性のシリカ(商品名「レオロシールQS−40」、
株式会社トクヤマ製)1質量%をIPA99質量%に入れ、超音波分散機を用いて、周波数20kHzで5分間分散した以外は、実施例1と同様にしてコーティング組成物を作製した。作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。
形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
表1および表2から明らかなように、実施例1〜11のコーティングサンプルは、可視光に対して透明性を有するものであり、また、撥水性の評価においても良好な結果が得られることが分かった。一方、比較例1〜5のコーティングサンプルは、撥水性の評価において水滴が付着してしまい、撥水性が不良であった。また、表面が疎水性のシリカ粒子を1質量%以上分散した実施例2〜11は、耐久性の試験において6滴以上を示し、良好な耐久性を有するものである。さらに、シリカ粒子の添加量が多い実施例9、実施例10は、耐久性の試験において20滴以上を示し、長期間の使用に耐える優れた耐久性を有するものである。さらにまた、バインダー的成分として、アミノ変性シリコーンを添加した実施例6および実施例11は耐久性試験において40滴を示し、特に優れた耐久性を有するものであることが分かった。
なお、実施例1〜11のコーティング膜について、水の接触角をERMA INC.製のG−T型接触角測定計を用いて測定したところ、いずれも150〜175°の範囲内にあり、超撥水性を有するものであった。
【0042】
【発明の効果】
以上、詳しく説明したように、本発明によれば、被コーティング物体に超撥水性を簡易に、安価に付与することができる、コーティング組成物、及び、このコーティング組成物の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、超撥水性を有する透明膜を形成することができ、この透明膜は、長期間の使用に耐える、優れた耐久性を有するものである。
さらにまた、本発明のコーティング組成物は、熱水処理等を行わなくても、被コーティング物体に撥水性を付与することができるので、工程が煩雑になることがなく、コスト面でも有利であった。さらにまた、例えばスプレー容器に本発明のコーティング組成物を収容すれば、いつでも、どこでも、手軽にスプレー塗布によりコーティング膜を形成することができるので、携帯にも便利である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、コーティング組成物およびコーティング組成物の製造方法に関し、特に、建築物や車両等のガラス、乗用車のサイドミラー等のように、屋外に設置されたり、屋外で使用されるガラスやミラー等の表面に適用される、コーティング組成物およびこのコーティング組成物を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
乗用車のサイドミラーやガラス、家屋の窓ガラス等のように、屋外に設置されたり、屋外で使用されるガラスやミラーは、雨滴等が付着すると、視覚的に識別しにくくなり、視認性が低下する。そのため、ガラスやミラーの表面に撥水性を付与する技術の開発が行われている。
例えば、特開平8−248203号公報には、ガラス等の表面にフッ化カーボンを微粒子状に付着させることによって撥水性を付与する技術が開示されている。ところが、この方法では、微粒子を付着させるために、真空蒸着法、CVD(Chemical Vapor Deposition)等を用いるので、大掛かりな装置が必要であり、コスト的にも問題があった。
また、ゾルゲル法を応用し、アルミニウムアルコキシドの加水分解によって出きたガンマアルミナ膜を、熱水中で処理することにより、スポンジ状のベーマイトを表面に析出させて、これに撥水処理を行うことにより撥水性の透明膜を形成することができる(Journal of American Ceramic Society, 80[12]3213−16(1997)。ところが、この方法では、焼成後に熱水処理が必要であるので、工程数が多く煩雑であり、コスト面でも問題があった。
更にまた、特開2002−88315号公報には、微粒子及びブロックポリマーを用いてガラス表面等に撥水性を付与するコーティング組成物が開示されている。しかしながら、この方法では、ブロックポリマーを製造するか、あるいは商業的に入手しなければならず、量産性およびコストの点で問題があった。
したがって、簡易に、しかも安価で、超撥水性を付与することができるコーティング組成物が切望されていた。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−248203号公報
【特許文献2】
特開2002−88315号公報
【非特許文献1】
「ジャーナル オブ アメリカン セラミック ソサイエティー(Journal of American Ceramic Society)」,1997年 第80巻[12]p.3213−16
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決すべくなされたものであり、本発明の目的は、被コーティング物体に、優れた撥水性を簡易に付与することができるコーティング組成物、ならびに、このコーティング組成物を製造するためのコーティング組成物製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段及び作用効果】
上記問題点に鑑み、本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明のコーティング組成物は、有機溶媒中に、表面が疎水性で、粒子径が100nm以下の微粒子を含有することを特徴とする。
ここで、微粒子は、親水性の微粒子に疎水化処理を行って、表面を疎水性にした微粒子であってもよい。
また、前記微粒子は、乾式による疎水化処理によって表面を疎水性にすることが好ましい。
また、微粒子は、二酸化珪素を主成分とすることが好ましい。
上記コーティング組成物は、有機溶媒に溶解し、乾燥させると透明体を形成する成分を、さらに含有することが好ましい。
また、有機溶媒は、極性を有する溶媒であることが好ましい。
【0006】
本発明のコーティング組成物の製造方法は、粒子径が100nm以下であり、表面が疎水性の微粒子を、キャビテーション作用によって有機溶媒中に分散させることを特徴とする。
ここで微粒子は、二酸化珪素を主成分とすることが好ましい。
本発明の被覆体は、上記コーティング組成物を塗布し、乾燥させて形成された透明被膜を有することを特徴とする。
【0007】
表面が疎水性であり、1次粒子径が100nm以下の微粒子を、超音波分散機等を用いて、有機溶媒中に分散させることにより、被コーティング物体に超撥水性を、簡易で、安価に付与することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のコーティング組成物は、表面が疎水性である微粒子を、有機溶媒中に分散させたものである。この微粒子は、粒子径が100nm以下の微粒子であることが必要であるが、微粒子の粒子径は、1〜100nmの範囲内であることが好ましく、5nm〜100nmの範囲内であることが更に好ましい。微粒子の粒子径が100nmを越えると、コーティング膜表面で光の散乱が生じ、透明性を保持することができなくなることがあるからである。すなわち、微粒子をガラス等の表面に付着させたコーティング膜は、この微粒子と同等の大きさや高さの凹凸を有するので、平均粒径が100nm以下の微粒子を付着させれば、可視光線の波長(主に、400〜800nm程度)より小さな凹凸となり、コーティング膜表面で光の散乱が生じず、透明性を保持することができる。
【0009】
微粒子の形状は、厳密な意味での球状に限定されることはない。例えば、その結晶形態や凝集状態の形態が、ほぼ球状、円柱状、鱗片状、繊維状、不定形状、多面体形状等であってもよい。
【0010】
表面が疎水性の微粒子は、珪素、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、アンチモン、スズ、タングステン、亜鉛、鉄、セリウム、マンガン、銅、マグネシウム、ホルミウム、ニッケル等の酸化物、または、炭素を主成分とすることが好ましい。本発明においては、これらを単独で、あるいは2種類以上を混合して使用することができる。微粒子が酸化亜鉛を用いて形成された場合には、コーティング膜表面に、さらに抗菌、抗カビ作用を付与することができる。
【0011】
本発明においては、親水性の微粒子に疎水化処理を行って、表面を疎水性にしてもよく、必要に応じて、上記微粒子の表面に、疎水化処理を行ってもよい。
表面を疎水化する方法としては、微粒子表面に疎水性を付与することができれば特に限定されることはなく、適宜採用される。例えば、表面にフッ素やアルキル基を含有させることが好ましい。微粒子表面にフッ素やアルキル基を含有させる方法としては、シリル化剤、チタンカップリング剤、アルキルアルミニウム等の有機金属化合物を用いる方法等が挙げられる。ここでシリル化剤とは、無機材料に対して親和性あるいは反応性を有する加水分解性シリル基に、アルキル基、アリル基、フッ素を含有したフルオロアルキル基等を結合させた化合物である。珪素に結合した加水分解性基としては、アルコキシ基、ハロゲン、アセトキシ基等が挙げられるが、通常、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、塩素が好ましく使用される。例えば、トリメチルシリル化剤、アルキルシラン類、アリールシラン類、フルオロアルキルシラン類等を挙げることができる。
【0012】
本発明においては、乾式による疎水化処理を行うことが好ましい。ここで、乾式による疎水化処理とは、気相中で親水性微粒子と疎水化剤とを反応させることをいう。疎水化剤としては、モノメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、シリコーンオイル等を使用することができる。例えば、高熱合成した二酸化珪素を、ジメチルジクロルシランを用いて流動床中で疎水化することができる。なお、疎水化反応は、400〜600℃の温度で実施することが好ましい。また、湿式による疎水化処理とは、溶液中で親水性微粒子と疎水化剤とを反応させることをいう。
なお、表面が疎水性の微粒子の疎水化度については、塗布等する対象である被コーティング物体の材質や、使用される有機溶媒の種類に応じて、適宜、設計されることが好ましい。
【0013】
微粒子の添加量は、コーティング組成物中、0.01質量%〜30質量%の範囲内であることが好ましく、0.1質量%〜5質量%の範囲内であることが更に好ましい。
【0014】
有機溶媒は、微粒子等を安定に分散させるための溶媒として機能する。本発明に用いられる有機溶媒としては、極性を有する有機溶媒が好ましく、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル等のエステル類等、のような極性溶媒が望ましい。また、経時的安定性および超撥水性等の性能を損なわない範囲内で、有機溶媒に水を添加することもできる。
有機溶媒の使用量は、コーティング等の方法に応じて、適当な濃度や粘度となるように、適宜選択されることが好ましい。
【0015】
本発明においては、表面が疎水性で、粒径が100nm以下の微粒子を、有機溶媒中で、キャビテーション作用により分散させることが好ましい。ここで、キャビテーション作用を起こさせるためには、例えば、微粒子を有機溶媒に入れて、超音波分散機等を用いて分散させることにより達成される。キャビテーション作用により分散させられた上記微粒子は予想外の超撥水性を発揮するが、このメカニズムは明らかではない。有機溶媒に超音波を照射すると、圧力の高い部分と低い部分が現れ、水に溶けていた気体がキャビティ(気泡)となって発生する。この気泡が瞬間的に収縮破壊して、疎水性の微粒子を良好な状態で分散させたり、あるいは、更に何らかの作用を微粒子自体に及ぼすと考えられる。なお、ホモジナイザー等の分散機によって分散させても超撥水性を発揮することがあるが、形成される被膜の透明性との兼ね合いで調整が必要である。
【0016】
本発明においては、有機溶媒に溶解し、乾燥させると透明体を形成する成分を含有させることが好ましい。有機溶媒に溶解し、乾燥させると透明体を形成する成分は、バインダー的な作用を発揮し、被コーティング物体の表面、例えばガラス表面と、微粒子とを強固に結合させて、コーティング膜の耐久性を向上させることができる。例えば、このバインダー的な成分を含む有機溶媒を塗布等し、乾燥させると、有機溶媒が蒸発して透明被膜を形成する。本発明に用いられる、有機溶媒に溶解し、乾燥させると透明体を形成する成分としては、ジメチル、メチルフェニル、メチルハイドロジェン、アミノ変性、エポキシ変性、エポキシポリエーテル変性、カルボキシル変性、カルボキシルポリエーテル変性、アルコール変性、アルキル変性、アルキルアラルキル変性、アルキルアラルキルポリエーテル変性、ポリエーテル変性、フッ素変性のシリコーン等のシリコーン類、フェニルメチル系レジン、メチル系レジン、変性系レジン等のレジン類、ポリオレフィン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等の樹脂類、陰イオン表面活性剤、陽イオン表面活性剤、非イオン系表面活性剤、両性の表面活性剤等の表面活性剤類、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエーテル共重合体、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸等の合成高分子類、高級アルコール類、高級脂肪酸類、シリカ系無機コーティング剤、シラザン系無機コーティング剤、シリコーンゴム等のゴム類、デンプン、グリコーゲン、セルロース等の多糖類、スメクタイト等の鉱物類等が挙げられる。なお、陰イオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸、α−オレフィンスルホン酸、アルカンスルホン酸、硫酸アルキル、硫酸アルキルポリオキシエチレン、リン酸アルキル、長鎖脂肪酸、α−スルホ脂肪酸エステル及びそれらの塩等が挙げられ、陽イオン界面活性剤としては、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等が挙げられ、非イオン系界面活性剤としては、アルキルポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド、アルキルポリグルコシド等が挙げられ、両性界面活性剤としては、ジメチルアルキルアミンオキシド、N−アルキルベタイン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
有機溶媒に溶解し、乾燥させると透明体を形成する成分の添加量は、コーティング組成物の固形分中、不揮発分で0.01〜25質量%の範囲内であることが好ましい。
【0017】
例えば、表面が疎水性の微粒子等を有機溶媒に分散させたコーティング組成物を、ガラス等の被コーティング物体の表面に塗布等した後、乾燥させることによって、被コーティング物体に撥水性を付与することができる。ここで、微粒子は、被コーティング物体の表面に付着して凹凸を形成する。この凹凸は、ガラスと水滴との接点を小さくする働きをする。したがって、水滴の接触角度が150゜〜175゜であるような超撥水性を実現することができる。
【0018】
有機溶媒に溶解し、乾燥させると透明体を形成する成分を含むコーティング組成物を用いた場合には、この成分がガラス等の被コーティング物体の表面と微粒子とを強固に結合させるバインダー的な役割を果たすので、ガラス等の被コーティング物体から剥がれにくい、耐久性のある、透明なコーティング膜を形成することができる。
【0019】
本発明のコーティング組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内で、一般的なコーティング液等に通常使用される添加剤等を添加することができ、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、香料、防腐剤、酸、アルカリ類等を添加することができる。
【0020】
有機溶媒中にバインダー的な成分を含有する場合には、ガラス表面等に付着した微粒子によって形成された凹凸がコーティング膜表面に反映される程度の膜厚であることが好ましい。コーティング膜の膜厚が、形成された凹凸を埋め込んでしまうような厚さであると、十分な撥水性が得られないからである。
【0021】
本発明において、コーティング組成物をコーティングする方法は、特に限定されることなく、任意の塗布方法、印刷方法等を使用することができる。例えば、ディップコート、スプレーコート、グラビアコート、ロールコート、バーコート、フローコート、スクリーン印刷法等が挙げられる。また、これらを適宜、組み合わせて使用してもよい。
本発明のコーティング組成物を上記方法によってコーティングした後、乾燥させるが、乾燥温度0℃〜100℃、乾燥時間0.1時間〜1時間で、乾燥させることが好ましい。
【0022】
本発明のコーティング組成物を塗布等することができる被コーティング物体の材料としては、特に限定はないが、例えば、強化ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等のガラス、鉄、アルミニウム、ステンレス鋼、銅等の金属、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート等のプラスチック、石類、コンクリート等が挙げられる。
本発明のコーティング組成物を、例えば、建築物の窓ガラス、外灯のガラス、車両の窓ガラス、自動車のサイドミラー、サングラス、各種計器等の窓ガラス、浴室用鏡等にコーティングすることができる。本発明のコーティング組成物をコーティングし、乾燥させて形成された皮膜面には、ごみが付着しにくいので、また、透明なコーティング膜を形成することができるので、高層住宅の窓ガラス、道路鏡、道路標識、看板等にも好ましく使用することができる。
【0023】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
表面が疎水性で、粒子径が約7nmのシリカ粒子(商品名「レオロシールDM−30S」、株式会社トクヤマ製)0.5質量%を、イソプロピルアルコール(以下「IPA」と表記することもある)99.5質量%に入れ、超音波分散機を用い、周波数44kHzで1時間分散してコーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を、厚さ3mmのガラス板上に、フローコート法によって塗工し、乾燥させて、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
次に、このコーティングサンプルについて、撥水性および耐久性の評価を行った。すなわち、作製したコーティングサンプルを、45度の角度に傾けて、このコーティング面に、面上の高さ10cmの位置から水滴を落下させた。この水滴が転がりながら下へ落ちていった場合には、記号「○」、落下された水滴がコーティング面に付着した場合には、記号「×」で示した。
また、得られたコーティングサンプルのコーティング面上の高さ68cmの位置から水滴を1秒間に一滴(約0.05mL)の割合で落下させた。コーティング面の状態を肉眼で観察し、コーティング面に剥がれが生じるまでに要した水滴の数を記録した。これらの結果を表1に示す。
【0024】
(実施例2)
実施例1において、粒子径7nmのシリカ粒子と有機溶媒の使用量を、表1に示すように、商品名「レオロシールDM−30S」を1質量%、イソプロピルアルコールを99質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、コーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0025】
(実施例3)
実施例2において、表1に示すように、粒子径が7nmのシリカ粒子の替わりに、粒子径が約10nmの疎水性シリカ粒子(商品名「レオロシールDM−20S」、株式会社トクヤマ製)を1質量%用いた以外は、実施例2と同様にして、コーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0026】
(実施例4)
実施例2において、表1に示すように、粒子径が7nmのシリカ粒子の替わりに、粒子径が約14nmの疎水性シリカ粒子(商品名「レオロシールDM−10」、株式会社トクヤマ製)を1質量%用いた以外は、実施例2と同様にして、コーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0027】
(実施例5)
実施例2において、表1に示すように、有機溶媒として、IPAの替わりにn−ヘキサンを99質量%用いた以外は、実施例2と同様にして、コーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0028】
(実施例6)
実施例1において、表面が疎水性の微粒子として、粒子径が7nmのシリカ粒子(商品名「レオロシールDM−30S」、株式会社トクヤマ製)を1質量%用い、有機溶媒としてIPAを98.8質量%用い、アミノ変性シリコン(商品名「TSF4700」、GE東芝シリコーン株式会社製、固形分100%)を0.2質量%用いた以外は、実施例1と同様にして、コーティング組成物を作製した。作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0029】
(比較例1)
疎水性シリカを用いずに、アミノ変性シリコン(商品名「TSF4700」、GE東芝シリコーン株式会社製、固形分100%)0.2質量%をn−ヘキサン99.8質量%に入れて、実施例1と同様に、超音波分散機を用い、周波数44kHzで1時間分散してコーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。
形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0030】
(比較例2)
疎水性シリカを用いずに、アミノ変性シリコン(商品名「TSF4700」、GE東芝シリコーン株式会社製、固形分100%)0.2質量%をIPA99.8質量部に入れて、実施例1と同様に、超音波分散機を用い、周波数44kHzで1時間分散してコーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表1に示す。
【0031】
(実施例7)
実施例2において、超音波分散機の周波数と分散時間を表2に示すように変更した。すなわち、超音波分散機を用い、周波数20kHzで5分間分散した以外は実施例2と同様にして、コーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0032】
(実施例8)
実施例2において、表2に示すように、粒子径が7nmのシリカ粒子の替わりに、粒子径が約10nmの疎水性シリカ粒子(商品名「レオロシールDM−20S」、株式会社トクヤマ製)を1質量%用い、超音波分散機の周波数を20kHzに変更して、5分間分散を行った以外は、実施例2と同様にして、コーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0033】
(実施例9)
実施例1において、粒子径7nmのシリカ粒子と有機溶媒の使用量を表2に示すように変更した。すなわち、商品名「レオロシールDM−30S」を3質量%、イソプロピルアルコールを97質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、コーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0034】
(実施例10)
実施例1において、粒子径7nmのシリカ粒子と有機溶媒の使用量を表2に示すように変更した。すなわち、商品名「レオロシールDM−30S」を5質量%、イソプロピルアルコールを95質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして、コーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0035】
(実施例11)
表2に示すように、表面が疎水性の微粒子として、粒子径が7nmのシリカ粒子(商品名「レオロシールDM−30S」、株式会社トクヤマ製)を1質量%用い、有機溶媒としてIPAを98.8質量%用い、アミノ変性シリコン(商品名「TSF4700」、GE東芝シリコーン株式会社製、固形分100%)を0.2質量%用いた。微粒子とアミノ変性シリコンを有機溶媒に入れ、超音波分散機を用い、周波数20kHzで5分間分散してコーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。得られたコーティングサンプルは、400nm〜800nmの波長の光に対して、基材であるガラス板と同等の透過率であった。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0036】
(比較例3)
疎水性シリカを用いずに、アミノ変性シリコン(商品名「TSF4700」、GE東芝シリコーン株式会社製、固形分100%)0.2質量%をn−ヘキサン99.8質量%に入れ、超音波分散機を用いて、周波数20kHzで5分間分散した以外は、実施例1と同様にしてコーティング組成物を作製した。
作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。
また、形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0037】
(比較例4)
比較例3において、有機溶媒の種類を、n−ヘキサンの替わりにIPAを用いた以外は比較例3と同様して、コーティング組成物を作製した。作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。
形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0038】
(比較例5)
疎水性シリカを用いずに、親水性のシリカ(商品名「レオロシールQS−40」、
株式会社トクヤマ製)1質量%をIPA99質量%に入れ、超音波分散機を用いて、周波数20kHzで5分間分散した以外は、実施例1と同様にしてコーティング組成物を作製した。作製したコーティング組成物を用い、実施例1と同様にして、評価試験のためのコーティングサンプルを形成した。
形成したコーティングサンプルについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
表1および表2から明らかなように、実施例1〜11のコーティングサンプルは、可視光に対して透明性を有するものであり、また、撥水性の評価においても良好な結果が得られることが分かった。一方、比較例1〜5のコーティングサンプルは、撥水性の評価において水滴が付着してしまい、撥水性が不良であった。また、表面が疎水性のシリカ粒子を1質量%以上分散した実施例2〜11は、耐久性の試験において6滴以上を示し、良好な耐久性を有するものである。さらに、シリカ粒子の添加量が多い実施例9、実施例10は、耐久性の試験において20滴以上を示し、長期間の使用に耐える優れた耐久性を有するものである。さらにまた、バインダー的成分として、アミノ変性シリコーンを添加した実施例6および実施例11は耐久性試験において40滴を示し、特に優れた耐久性を有するものであることが分かった。
なお、実施例1〜11のコーティング膜について、水の接触角をERMA INC.製のG−T型接触角測定計を用いて測定したところ、いずれも150〜175°の範囲内にあり、超撥水性を有するものであった。
【0042】
【発明の効果】
以上、詳しく説明したように、本発明によれば、被コーティング物体に超撥水性を簡易に、安価に付与することができる、コーティング組成物、及び、このコーティング組成物の製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、超撥水性を有する透明膜を形成することができ、この透明膜は、長期間の使用に耐える、優れた耐久性を有するものである。
さらにまた、本発明のコーティング組成物は、熱水処理等を行わなくても、被コーティング物体に撥水性を付与することができるので、工程が煩雑になることがなく、コスト面でも有利であった。さらにまた、例えばスプレー容器に本発明のコーティング組成物を収容すれば、いつでも、どこでも、手軽にスプレー塗布によりコーティング膜を形成することができるので、携帯にも便利である。
Claims (9)
- 有機溶媒中に、表面が疎水性で、粒子径が100nm以下の微粒子を含有することを特徴とするコーティング組成物。
- 前記微粒子は、親水性の微粒子に疎水化処理を行って、表面を疎水性にした微粒子であることを特徴とする請求項1記載のコーティング組成物。
- 前記微粒子は、乾式による疎水化処理によって表面を疎水性にしたことを特徴とする請求項1または2記載のコーティング組成物。
- 前記微粒子が、二酸化珪素を主成分とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載のコーティング組成物。
- 有機溶媒に溶解し、乾燥させると透明体を形成する成分を、さらに含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載のコーティング組成物。
- 前記有機溶媒が、極性を有する溶媒であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載のコーティング組成物。
- 粒子径が100nm以下であり、表面が疎水性の微粒子を、キャビテーション作用によって有機溶媒中に分散させることを特徴とするコーテイング組成物の製造方法。
- 前記微粒子が、二酸化珪素を主成分とすることを特徴とする請求項7記載のコーティング組成物の製造方法。
- 請求項1から6のいずれか1項記載のコーティング組成物を塗布し、乾燥させて形成された透明被膜を有することを特徴とする被覆体。
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