JP4009135B2 - 投入ノズル、粉粒体投入装置および粉粒体投入方法 - Google Patents

投入ノズル、粉粒体投入装置および粉粒体投入方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、投入ノズル、粉粒体投入装置および粉粒体投入方法に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、粉粒体を効率よく輸送するために輸送用コンテナが用いられている。輸送コンテナは、通常、略直方体の箱状に形成され、その長手方向端面に粉粒体の積み卸しをするための積み卸し口を備えている。
このようなコンテナを用いて樹脂ペレット等のバルク荷や粉粒体等の粉粒体を輸送する場合には、コンテナ内に直方体形状の袋体を収納し、この袋体に粉粒体を充填して輸送している。
【0003】
この袋体に粉粒体を充填する方法として、特開平10−338357号公報に特殊な粉粒体投入装置を用いた充填方法が記載されている。この粉粒体投入装置は、袋体に接続される投入ノズルを備えている。そして、この投入ノズルは、袋体内に粉粒体を送り込む内管と、この内管に外挿されかつ袋体に密着して接続される外管とを備え、これらの外管および内管の間から前記袋体内の空気を回収可能に構成されているものである。
【0004】
一方、コンテナの袋体内に充填しようとする粉粒体が、酸素忌避性粉粒体、例えば、粉塵爆発をし易い粉粒体であったり、酸素環境下において品質の低下を引き起こす可能性がある粉粒体である場合には、特別な充填方法を実施する必要がある。この充填方法としては、例えば、空気中の酸素と接触しないように、予め袋体に不活性ガスを注入して袋体内の雰囲気を酸素の少ないものにした後、粉粒体を袋体内に充填する方法が考えられる。
【0005】
上記した特開平10−338357号公報の技術を用いて酸素忌避性粉粒体を充填するには、別の設備で予め袋体内を不活性ガス雰囲気下とした後に、投入ノズルを取り付け、その後粉粒体を投入ノズルの内管を介して投入する方法(1)や、投入ノズルの内管を不活性ガスの注入のために兼用して、この内管より袋体内に不活性ガスを注入後、同じこの内管で粉粒体を投入する方法(2)が考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら(1)の方法では、予め袋体内の不活性ガス雰囲気を保ったまま、投入ノズルを取り付けるため、投入ノズルの取り付け時の作業効率が悪い上に、取り付け作業中に不活性ガスによる酸素欠乏を防止するのが難しいという問題がある。また(2)の方法では、投入ノズルの内管を不活性ガスの注入および粉粒体の投入のために兼用するため、粉粒体が内管内に付着することがある。そして、この粉粒体が粉塵爆発性を有する粉粒体であった場合には、再度、粉粒体の投入作業を開始すると、不活性ガスの注入開始時に、この内管に付着していた粉粒体が不活性ガスに同伴することがある。この不活性ガスに同伴した粉粒体が、まだ袋体内が十分に不活性ガスの雰囲気下となっていない時に、この袋体内に拡散すると、粉塵爆発を引き起こす可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、酸素忌避性粉粒体を投入する際の作業効率および作業の安全性に優れた投入ノズル、粉粒体投入装置および粉粒体投入方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達するために、本発明の投入ノズルは、箱状のコンテナ本体に内蔵された袋体内に酸素忌避性粉粒体を充填するために用いられる投入ノズルであって、一端が前記袋体内に挿入されかつ前記酸素忌避性粉粒体を前記袋体内に投入する投入管と、一端が前記袋体内に挿入されかつ不活性ガスを前記袋体内に注入する注入管と、一端が前記袋体に密着して接続されかつ前記袋体内の空気の排気をする排気管とを備え、前記排気管は、前記袋体に接続された一端とは反対側端面が塞がれ、前記投入管および注入管は、互いに離れた位置で前記排気管に内挿され、かつ、前記袋体内に挿入された一端側とは反対側が前記排気管の閉塞端面から前記排気管の外部に突出され、前記排気管と、前記投入管および注入管との間から前記袋体内の空気の排気が可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
ここで、酸素忌避性粉粒体とは、取扱い時に酸素と接触することを避けるようにすべき粉粒体のことをいい、例えば、粉塵爆発をし易い粉粒体や、酸素環境下において品質の低下を引き起こす可能性がある粉粒体等が挙げられる。
また、不活性ガスとは、化学反応が、起こりにくい気体をいい、具体的には、例えば、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等がある。この中でも、安価であり、安全性の面から、窒素がより好ましい。
【0010】
このような本発明によれば、投入管と、注入管と、排気管とを備えることにより、別の設備を用いて袋体内を不活性ガス雰囲気下とする必要がなく、投入ノズルの取り付け時の作業効率が問題となることもない。従って、投入ノズルの取り付け時の作業効率が優れた投入ノズルとすることができる。
また、従来のように酸素忌避性粉粒体の投入と不活性ガスの注入を1つの管で兼用することがなく、別々の管で酸素忌避性粉粒体の投入と不活性ガスの注入を行うことになる。すなわち、この酸素忌避性粉粒体が粉塵爆発性を有する粉粒体であっても、袋体内が不活性ガス雰囲気下になる前に、不活性ガスに同伴して、酸素忌避性粉粒体が拡散するということがなく、粉塵爆発が起こることもない。従って、作業の安全性に優れた投入ノズルとすることができる。
【0012】
また、排気管は、袋体に接続された一端とは反対側端面が塞がれ、投入管および注入管は、互いに離れた位置で排気管に内挿されている、つまり、排気管が前記投入管および注入管のまわりを覆う構造となっている。そのため、前記投入管または注入管が破損し、前記投入管または注入管から、粉粒体または不活性ガスが、漏れだしても、排気管の外部に漏れることがない。従って、袋体やコンテナ本体の周囲を汚染することを防止することができる。
【0013】
また、前記排気管と前記投入管および注入管との間から前記袋体内の空気の排気が可能に構成されていることにより、投入管を通じて袋体内に粉粒体を投入すると、この粉粒体の投入により袋体内から押し出された空気やこの押し出された空気中に含まれる粉粒体が、排気管と前記投入管および注入管との間の空間を通じて回収されるようになるから、排気によるコンテナ本体の周囲の汚染を確実に防止できる。
【0014】
本発明の投入ノズルでは、前記投入管の直径と前記排気管の直径との比は、0.3〜0.7の範囲内とし、前記注入管の直径と前記排気管の直径との比は、0.1〜0.3の範囲内とすることが好ましい。
【0015】
前記投入管の直径と前記排気管の直径との比は、0.3未満であると、投入する粉粒体の量が少なくなり、投入作業の効率が悪くなる場合がある。また、前記投入管の直径と前記排気管の直径との比は、0.7を越えると、排気管を投入管に外挿した場合に、排気管内の空間が狭まり、排気がしにくくなる場合がある。
【0016】
一方、前記注入管の直径と前記排気管の直径との比は、0.1未満であると、不活性ガスの注入量が少なくなるので、不活性ガス雰囲気下にするまでの注入作業に時間がかかる場合がある。また、前記注入管の直径と前記排気管の直径との比は、0.3を越えると、排気管を注入管に外挿した場合に、排気管内の空間が狭まり、排気がしにくくなる場合がある。
【0017】
本発明の粉粒体投入装置は、箱状のコンテナ本体に内蔵された袋体内に酸素忌避性粉粒体を充填するための投入ノズルを備えた粉粒体投入装置であって、前記投入ノズルは、前述した投入ノズルであることを特徴とする。
このような本発明によれば、前述と同様の作用・効果を得ることができる。
【0018】
本発明の粉粒体投入方法は、箱状のコンテナ本体に内蔵された袋体内に酸素忌避性粉粒体を充填するに際し、前記袋体内に前記不活性ガスを注入して、前記袋体内が不活性ガス雰囲気下になった後、前記袋体内に前記酸素忌避性粉粒体を投入する粉粒体投入方法であて、前記投入ノズルを予め一体に前記袋体に設置しておき、前記不活性ガスを前記注入管より注入すると共に、前記袋体から袋体内の空気を前記排気管より排気して、前記袋体内を不活性ガス雰囲気下とし、その後、前記酸素忌避性粉粒体を前記投入管より前記袋体内に投入することを特徴とする。
ここで、不活性ガス雰囲気下とは、例えば、所定の酸素濃度以下になった状態のことをいう。
【0019】
このような本発明によれば、不活性ガス雰囲気下になった後、前記袋体内に前記酸素忌避性粉粒体を投入することにより、袋体内が、酸素忌避性粉粒体と反応する量の酸素が残留する状態で、酸素忌避性粉粒体が不活性ガスに同伴して、酸素忌避性粉粒体が拡散するということがない。従って、この酸素忌避性粉粒体が粉塵爆発性を有する粉粒体であっても、粉塵爆発等が起こることもないので、作業の安全性に優れた粉粒体投入方法とすることができる。
【0020】
とくに、本発明では、別の設備を用いて袋体内を不活性ガス雰囲気下とする必要がなく、前述の投入ノズルを予め一体に前記袋体に設置しておくだけでよいので、投入ノズルの取り付け時の作業効率が問題となることもない。従って、作業効率のよい粉粒体投入方法とすることができる。
【0021】
本発明の粉粒体投入方法では、前記袋体内が不活性ガス雰囲気下になった後、前記不活性ガスの注入を停止することが好ましい。
これによれば、過度の不活性ガス雰囲気下になる前に、注入を停止するので、不活性ガスが高価である場合に、余分な量の不活性ガスの注入を避けることができ、不活性ガス等のコスト削減を図ることができる。
【0022】
本発明の粉粒体投入方法では、前記不活性ガスの注入量は、50〜600Nm3/hrであることが好ましく、より好ましくは300〜400Nm3/hrである。
前記不活性ガスの注入量は、50Nm3/hr未満であると、不活性ガス雰囲気下にするまでの注入作業に時間がかかり、注入作業の効率が悪くなる場合がある。また、前記不活性ガスの注入量は、600Nm3/hrを越えると、注入速度が速すぎて袋体が破損する場合がある。
【0023】
本発明の粉粒体投入方法では、前記酸素忌避性粉粒体は、ビスフェノールAが該当する。
ここで、ビスフェノールAは、酸素と接触すると爆発し易い、すなわち粉塵爆発性を有する。前述したように、本発明の粉粒体投入方法は、不活性ガス雰囲気下にした後、粉粒体の投入を行い、粉粒体と酸素とが接触することが避けられる粉粒体投入方法となっている。従って、ビスフェノールAを投入する方法として、本発明の粉粒体投入方法は、好適である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1および図2には、本実施形態の輸送コンテナ1が示されている。図3にはコンテナ本体10が示されている。
輸送コンテナ1は、炭素鋼からなる略直方体形状の箱形のコンテナ本体10と、コンテナ本体10に着脱自在に内蔵された袋体15(図1では図示省略)とを備えている。
コンテナ本体10は、このコンテナ本体10の一方の長手方向端面の上部に設けられた貨物投入口11と、コンテナ本体10の一方の長手方向端面の下部に設けられた貨物排出口12と、コンテナ本体10の長手方向に沿った側面に設けられた一対の積み卸し口13、14とを備えている。
【0025】
本実施形態のコンテナ本体10は、例えば、20ft海上コンテナを改造することにより形成でき、これによると、20ft海上コンテナの規格を満足できるので、20ft海上コンテナ標準品と同様の取扱いが可能になり、海上輸送および陸上輸送の両方に用いることができる。
【0026】
貨物投入口11および貨物排出口12にはそれぞれ扉21、22が取り付けられ、これらの扉21、22を回動させることにより、貨物投入口11および貨物排出口12を開閉できるようになっている。
この貨物投入口11の頂面11Aは、コンテナ本体10の天井面10Aと面一になるように形成され、貨物排出口12の底面12Bは、コンテナ本体10の底面10Bと面一に形成されている。
積み卸し口13、14はコンテナ本体10の側面の略全面に亘って形成され、これらの積み卸し口13、14を開閉するために、各一組の観音開き式の扉23、24、25、26が取り付けられている。これらの扉23〜26にはそれぞれ扉23〜26の回動を規制するためのかんぬき27が着脱自在に装着され、閉塞状態を維持できるようになっている。
【0027】
図2および図3に示されるように、このようなコンテナ本体10の内部には、前述した袋体15を係止するための複数のフック28が取り付けられている。これらのフック28は、コンテナ本体10の4つの上角隅部と、コンテナ本体10の貨物排出口12側の近傍の2つの下角隅部と、コンテナ本体10の貨物排出口12とは反対側の2つの下角隅部と貨物排出口12とは反対側の2つの下角隅部の間の隅部と、貨物投入口11の頂面11Aと、貨物排出口12の4つの各角隅部とに取り付けられ、これらのフック28に袋体15の各部を係止することにより、袋体15のずれを防止できるようになっている。
【0028】
袋体15は、図4に示すように、酸素忌避性粉粒体であるビスフェノールA等の粉粒体を充填するためのものであり、ポリエチレン等の樹脂を筒状に成形して両端部をそれぞれ接着等により塞いだ構造を備えている。
【0029】
この袋体15は、コンテナ本体10の内面に沿う略直方体形状に形成され、貨物投入口11に接続される充填口16と、貨物排出口12に接続される吐出口17とを有して構成されている。
【0030】
充填口16は、袋体15の一方の長手方向端面の上部に突設された円筒状の充填部18の先端開口からなり、この充填部18はコンテナ本体10の貨物投入口11に挿通される。充填部18の中間部分には充填口16を開閉するための開閉紐41が取り付けられている。
【0031】
吐出口17は、袋体15の一方の長手方向端面の下部に突設されて貨物排出口12に挿通される吐出部19の先端開口からなる。この吐出部19は断面半円形の筒状に形成され、面状に形成された吐出部19の底部、つまり吐出口17の底面17Bが袋体15の底面15Bと面一になるように取り付けられている。吐出部19の中間部分には、吐出口17を開閉するための開閉紐42が取り付けられている。
【0032】
袋体15の一方の長手方向端面には、吐出部19を囲むように補強シート43が取り付けられ、袋体15の他方の長手方向端面には、袋体15の下角隅部を含む隅部に跨る補強シート44および帯状の補強材45が外側から取り付けられている。また、袋体15の下角隅部にも帯状の補強材46が取り付けられている。これらの補強シート43、44および補強材45、46により、粉粒体の荷重による袋体15の伸びや破損を防止できるようになっている。
【0033】
このような袋体15の外表面には、コンテナ本体10内部のフック28に対応した位置に係止ロープ47が取り付けられている。この係止ロープ47をフック28に係止して袋体15の各部をコンテナ本体10内の各部に固定することにより、袋体15を正しい姿勢で保持できるようになっている。
【0034】
このような輸送コンテナ1の袋体15内にビスフェノールA等の酸素忌避性粉粒体を充填する際に用いる投入ノズル3は、図4〜6に示すような構成を持つものである。
投入ノズル3は、一端が充填口16から袋体15内に挿入される投入管52と、一端が充填口16から袋体15内に挿入される注入管51と、一端が袋体15の充填口16に密着して接続される排気管53とを備えている。
上記のように密着して接続する際に、具体的には、充填部18の内周面が投入ノズル3の排気管53の外周面に密着する。そして、必要に応じて充填部18と排気管53の両者を両面テープ等で固定して隙間がないようにする。
【0035】
投入管52は、ビスフェノールAを袋体15内に投入するためのものであり、ビスフェノールAを変質させない材質のものであれば、その材質に特に制限はない。注入管51は、不活性ガスを袋体15内に注入するためのものであり、不活性ガスの注入作業により破損しないような丈夫な材質のものであれば、その材質に特に制限はない。なお、本実施形態において、不活性ガスは、窒素ガスを採用している。
【0036】
排気管53は、袋体15内の空気の排気をするためのものであり、注入管51および投入管52よりも硬い材質のものからなる。排気管53は、上方に向いた円管状の排気部53Aを備えている。この排気部53Aの直径は、注入管51の直径と略同一である。
排気管53は、投入管52および注入管51の袋体15側とは反対側の一端が突出するように外挿されている。すなわち、投入管52および注入管51は、排気管53に内挿され、袋体15側とは反対側の一端が突出するように構成されているものである。注入管51は、投入管52の上側に配置されている。
【0037】
一方、排気管53の袋体15側とは反対側の端面は、投入管52および注入管51を除いた部分が塞がれ、これにより排気管53と、投入管52および注入管51との間の空間は外部と遮断されている。
排気管53は、排気管53と、投入管52および注入管51との間から排気部53Aを介して袋体15内の空気の排気が可能に構成されている。
【0038】
さらに、投入管52の直径と排気管53の直径との比は、0.3〜0.7の範囲内とし、注入管51の直径と排気管53の直径との比は、0.1〜0.3の範囲内としている。
【0039】
投入管52の直径と排気管53の直径との比は、0.3未満であると、投入するビスフェノールAの量が少なくなり、投入作業の効率が悪くなる場合がある。また、投入管52の直径と排気管53の直径との比は、0.7を越えると、排気管53を投入管52に外挿した場合に、排気管53内の空間が狭まり、排気がしにくくなる場合がある。
【0040】
一方、注入管51の直径と排気管53の直径との比は、0.1未満であると、窒素ガスの注入量が少なくなるので、不活性(窒素)ガス雰囲気下にするまでの注入作業に時間がかかる場合がある。また、注入管51の直径と排気管53の直径との比は、0.3を越えると、排気管53を注入管51に外挿した場合に、排気管53内の空間が狭まり、排気がしにくくなる場合がある。
【0041】
投入管52、注入管51、排気管53は、それぞれ略円形の断面形状を備えている。排気部53Aと、投入管52および注入管51とは、同一直線状に配置されている。
【0042】
このような輸送コンテナ1の袋体15内にビスフェノールA等の粉粒体を充填する際には、図7に示すような粉粒体投入装置2を用いる。この粉粒体投入装置2は、前述の投入ノズル3と、投入部60と、注入部70と、排気集塵部80を備えて構成されている。
【0043】
投入部60は、ビスフェノールA等の粉粒体を投入するものである。投入部60は、貯蔵容器61と、ロータリーバルブ62とを備えている。
貯蔵容器61は、タンクであり、ビスフェノールAを貯蔵しておくものである。この貯蔵容器61は、その底部に排出口61Aを備えている。排出口61Aは、略円錐状とされた底部の頂点を中心とした円形に開閉自在にされている。
ロータリーバルブ62は、貯蔵容器61内のビスフェノールAの排出速度を調節するものである。ロータリーバルブ62は、公知のロータリーバルブを採用できる。
【0044】
注入部70は、窒素ガスを注入管51に注入するものである。この注入部70は、窒素源71と、バルブ72とを備えている。窒素源71は、窒素発生装置や窒素ボンベ等である。バルブ72は、注入する窒素ガスの流量を調節するものである。
【0045】
排気集塵部80は、排気部53Aより排気された袋体15内の空気を集めるものである。排気集塵部80は、集塵機81と、吸引フード82と、バルブ83と、酸素測定器84とを備えて構成されている。
【0046】
集塵機81は、排気された空気に含まれるゴミを取り除くものである。吸引フード82は、集塵機81の吸引フードであり、袋体15が減圧とならないように調節し、袋体15からの排気を吸引するものである。バルブ83は、排気される袋体15内の空気の流量を調節するものである。酸素測定器84は、排気部53A側に配置されており、排気された空気の酸素濃度を測定するものである。
【0047】
このように構成された本実施形態においては、次のような手順で粉粒体(ビスフェノールA)の投入を行う。
ビスフェノールA等の粉粒体を輸送コンテナ1に積み込む場合、予め袋体15をコンテナ本体10内に取り付けておく。このコンテナ本体10内に袋体15を搬入し、その係止ロープ47をそれぞれコンテナ本体10の各フック28に係止する。
【0048】
また、吐出部19の開閉紐42を締め付けて吐出口17を閉塞しておき、充填部18を貨物投入口11に挿通してその開閉紐41を解いて充填口16を開放しておく。
そして、図8に示すように、予め投入ノズル3を一体に配置しておく。そして、粉粒体投入装置2の投入ノズル3を袋体15の充填口16に挿入してその排気管53の外表面を充填部18に密着させて固定する。この際、投入管52および注入管51の一端の開口が袋体15の他方の長手方向端面に向くように投入ノズル3を固定する。輸送コンテナ1を袋体15の充填口16が上方を向くように傾斜させる。
【0049】
次いで、貨物排出口12の扉22および積み卸し口13、14の扉23〜26を閉じた状態で、図7に示されるように、窒素源71よりバルブ72を調節して投入ノズル3の注入管51を通して袋体15に窒素ガスを注入する。なお、窒素ガスの注入量は、50〜600Nm3/hrが好ましく、より好ましくは300〜400Nm3/hrである。本実施形態では、窒素ガスの注入量は、360Nm3/hrである。
【0050】
この窒素ガスの注入量は、50Nm3/hr未満であると、不活性ガス(窒素ガス)雰囲気下にするまでの注入作業に時間がかかり、注入作業の効率が悪くなる場合がある。また、窒素ガスの注入量は、600Nm3/hrを越えると、注入速度が速すぎて、袋体15が破損する場合がある。
【0051】
一方、窒素ガスを袋体15内に注入する(図8の矢印P)と、図8に示すように、袋体15内の空気が押し出され、排気管53と、投入管52および注入管51との間を通じて排気部53Aに導入されて排気(図8の矢印Q)される。この際、図7に示すように、酸素測定器84により、排気部53Aから排気された空気の酸素濃度を測定する。この酸素濃度が、3%以下になったら、袋体15内は、不活性ガス(窒素ガス)雰囲気下であるとする。袋体15内が不活性ガス(窒素ガス)雰囲気下になった後、窒素ガスの注入を停止する。また、排気された空気は、集塵機81を通過してゴミや有害物質が取り除かれ、安全な空気のみ集塵機81より放出される。
【0052】
袋体15内が不活性ガス雰囲気下となった後、粉粒体投入装置2のロータリーバルブ62を運転させて貯蔵容器61内のビスフェノールAを排出する。これにより、貯蔵容器61のビスフェノールAは、投入管52を介して充填口16から袋体15内へ落下する(図8の矢印R)。すると、投入管52の開口は袋体15の他方の長手方向端面に向いているため、ビスフェノールAは袋体15の他方の長手方向端面に向けて投入される。
【0053】
このようにしてビスフェノールAを袋体15の上部まで、具体的には、ビスフェノールAを投入ノズル3と略同高さレベルまで充填したら、充填部18の開閉紐41を締めて充填口16を閉塞し、投入ノズル3を取り外す。この際、外部からの空気が袋体15内に流れ込まないように、充填口16が確実に閉塞されていることを確認する。その後、充填部18を貨物投入口11からコンテナ本体10内に押し込んで、貨物投入口11の扉21を閉める。
【0054】
また、ビスフェノールAを輸送コンテナ1から卸す場合には、貨物排出口12の扉22を開けて吐出部19を貨物排出口12から引き出し、開閉紐42を弛めて吐出口17から袋体15内のビスフェノールAを排出する。この際、コンテナ本体10の貨物排出口12側とは反対側をジャッキ等により持ち上げて、コンテナ本体10を貨物排出口12が下方になるように傾けた状態でビスフェノールAを排出する。
【0055】
上述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)投入ノズル3が、注入管51と、投入管52と、排気管53とを備えることにより、別の設備を用いて袋体15内を不活性ガス(窒素ガス)雰囲気下とする必要がなく、投入ノズル3の取り付け時の作業効率が問題となることもない。従って、投入ノズル3の取り付け時の作業効率が優れた投入ノズル3とすることができる。
【0056】
(2)ビスフェノールAの投入と窒素ガスの注入を1つの管で兼用することがなく、別々の管でビスフェノールAの投入と窒素ガスの注入を行うことになる。すなわち、このビスフェノールAが粉塵爆発性を有するものではあるけれども、袋体15内が不活性ガス(窒素ガス)雰囲気下になる前に、窒素ガスに同伴して、ビスフェノールAが拡散するということがなく、粉塵爆発が起こることもない。従って、作業の安全性に優れた投入ノズル3とすることができる。
【0057】
(3)排気管53は、投入管52および注入管51に外挿されていることにより、排気管53が、投入管52および注入管51のまわりを覆う構造となっている。そのため、投入管52または注入管51が破損し、投入管52または注入管51から、ビスフェノールAまたは窒素ガスが、漏れだしても、排気管53の外部に漏れることがない。従って、袋体15やコンテナ本体10の周囲を汚染することを防止することができる。
【0058】
(4)排気管53と投入管52および注入管51との間から袋体15内の空気の排気が可能に構成されていることにより、注入管51を通じて袋体15内にビスフェノールAを投入すると、このビスフェノールAの投入により袋体15内から押し出された空気やこの押し出された空気中に含まれるビスフェノールAが、排気管53と投入管52および注入管51との間の空間を通じて回収されるようになるから、排気によるコンテナ本体10の周囲の汚染を確実に防止できる。
【0059】
(5)過度の不活性ガス(窒素ガス)雰囲気下になる前に、窒素ガスの注入を停止するので、窒素ガスが高価である場合に、余分な量の窒素ガスの注入を避けることができ、窒素ガスのコスト削減を図ることができる。
【0060】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は、本発明に含まれるものである。例えば、不活性ガスとしては、前記実施形態では、窒素ガスを採用していたが、二酸化炭素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等を採用してもよい。
貯蔵容器61は、タンクであったが、これに限られず、ホッパー、バンカー、サイロ、ビン、ホリゾンタルデポット等を採用してもよい。
【0062】
排気部53Aは、排気管53に、上方に向けて設けられていたが、これに限られず、排気管53の側面方向、下方、斜め方向等、投入作業に支障がないものならば、設けられる方向に特に制限はない。
【0063】
その他、本発明を実施する際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲内で他の構造等としてもよい。
【0064】
【発明の効果】
本発明によれば、酸素忌避性粉粒体を投入する際の作業効率および作業の安全性に優れた投入ノズル、粉粒体投入装置および粉粒体投入方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の輸送コンテナを示す斜視図である。
【図2】前記実施形態の輸送コンテナを示す断面図である。
【図3】前記実施形態のコンテナ本体を示す斜視図である。
【図4】前記実施形態の袋体を示す斜視図である。
【図5】前記実施形態の投入ノズルを輸送コンテナに装着した状態を示す斜視図である。
【図6】前記実施形態の投入ノズルを示す断面図である。
【図7】前記実施形態の輸送コンテナに粉粒体を投入する状態を示す概略図である。
【図8】前記実施形態の輸送コンテナに粉粒体を投入した際の袋体内の状態を示す概略図である。
【符号の説明】
2 粉粒体投入装置
3 投入ノズル
10 コンテナ本体
15 袋体
51 注入管
52 投入管
53 排気管

Claims (7)

  1. 箱状のコンテナ本体に内蔵された袋体内に酸素忌避性粉粒体を充填するために用いられる投入ノズルであって、
    一端が前記袋体内に挿入されかつ前記酸素忌避性粉粒体を前記袋体内に投入する投入管と、一端が前記袋体内に挿入されかつ不活性ガスを前記袋体内に注入する注入管と、一端が前記袋体に密着して接続されかつ前記袋体内の空気の排気をする排気管とを備え
    前記排気管は、前記袋体に接続された一端とは反対側端面が塞がれ、
    前記投入管および注入管は、互いに離れた位置で前記排気管に内挿され、かつ、前記袋体内に挿入された一端側とは反対側が前記排気管の閉塞端面から前記排気管の外部に突出され、
    前記排気管と、前記投入管および注入管との間から前記袋体内の空気の排気が可能に構成されていることを特徴とする投入ノズル。
  2. 請求項1に記載の投入ノズルにおいて、
    前記投入管の直径と前記排気管の直径との比は、0.3〜0.7の範囲内とし、
    前記注入管の直径と前記排気管の直径との比は、0.1〜0.3の範囲内とすることを特徴とする投入ノズル。
  3. 箱状のコンテナ本体に内蔵された袋体内に酸素忌避性粉粒体を充填するための投入ノズルを備えた粉粒体投入装置であって、
    前記投入ノズルは、請求項1または請求項2に記載の投入ノズルであることを特徴とする粉粒体投入装置。
  4. 箱状のコンテナ本体に内蔵された袋体内に酸素忌避性粉粒体を充填するに際し、前記袋体内に前記不活性ガスを注入して、前記袋体内が不活性ガス雰囲気下になった後、前記袋体内に前記酸素忌避性粉粒体を投入する粉粒体投入方法であって、
    前記請求項1または請求項2に記載の投入ノズルを予め一体に前記袋体に設置しておき、前記不活性ガスを前記注入管より注入すると共に、
    前記袋体から袋体内の空気を前記排気管より排気して、前記袋体内を不活性ガス雰囲気下とし、
    その後、前記酸素忌避性粉粒体を前記投入管より前記袋体内に投入することを特徴とする粉粒体投入方法。
  5. 請求項4に記載の粉粒体投入方法において、
    前記袋体内が不活性ガス雰囲気下になった後、前記不活性ガスの注入を停止することを特徴とする粉粒体投入方法。
  6. 請求項4または請求項5に記載の粉粒体投入方法において、
    前記不活性ガスの注入量は、50〜600Nm/hrであることを特徴とする粉粒体投入方法。
  7. 請求項4から請求項6のいずれかに記載の粉粒体投入方法において、
    前記酸素忌避性粉粒体は、ビスフェノールAであることを特徴とする粉粒体投入方法。
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