JP4007830B2 - 成膜装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶、有機EL(Electro Luminescence)、無機EL等からなる表示装置等で使用する、プラスチック基板上に薄膜トランジスタや配線を含む回路が形成された回路基板の製造工程に用いられる成膜装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまでの半導体分野におけるLSI(Large Scale Integration)や液晶ディスプレイなどの薄膜積層デバイスについては、長い間シリコンウェハやガラス基板などのように、硬くてほとんど水分を吸収しない基板が用いられている。
【0003】
しかしながら、近年のIT(Information Technology)革命や技術革新によりデバイスにも携帯性や柔軟性が求められるようになってきている。そのため、軽量で柔軟性に富んだ基板の一例として、プラスチック基板が注目されるようになり、プラスチック基板上にトランジスタ等の素子を作製する研究や技術開発が盛んに行われている。
【0004】
しかしながら、一般的に、プラスチックは、水分の吸水性が非常に高く、また、温度上昇により水分を放出するという特性を有しているため、デバイスの製造工程であるスパッタ装置やCVD(Chemical Vapor Deposition)装置を用いる真空成膜工程では、前工程のフォトリソグラフィ工程や剥離・洗浄工程などでプラスチック基板が吸水した水分を成膜前に十分除去する必要がある。
【0005】
図4には、従来の加熱装置により基板を乾燥させる成膜装置が示されている。図4に示した従来の成膜装置は、真空ポンプ102により空気が吸引されて真空状態になった真空槽101の内部にプラスチック基板100を加熱するためのホットプレート104が設けられている。そして、ホットプレート104の上にプラスチック基板100が置かれた状態で、ヒーター103に電流が流がれることにより、ホットプレート104が加熱される。それにより、プラスチック基板100が加熱されて、プラスチック基板100の水分が除去される。
【0006】
一方、特開平2−287934号公報には、プラスチック基板から水分を除去する他の方法が開示されている。図5に示すように、真空排気の手段を有しないオーブン301内の基板ホルダー302にプラスチック基板100が置かれ、マイクロ波発生器200からのマイクロ波による加熱によって、プラスチック基板100から水分が除去される。この方法では、水分を除去した後に、水分が除去されたプラスチック基板100を成膜装置へ搬送する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来技術である成膜装置内の加熱装置を用いてプラスチック基板の水分除去を行った場合、以下のような問題がある。
【0008】
プラスチック基板の水分除去に従来の成膜装置内の加熱装置を用いて行うと、プラスチック基板の熱伝導が悪いため、水分になかなか熱が伝わらないという問題がある。また、真空成膜工程はデバイス特性に影響を与える非常に重要な工程であるため、成膜前の十分な水分除去が必要である。そのため、従来の成膜装置を用いて成膜する場合、成膜前に加熱装置を用いて1時間程度の長時間にわたってベークを行っていている。
【0009】
前述の長時間の加熱を短時間で行なうためには、高温で加熱するということも考えられるが、プラスチックはシリコンウェハやガラスに比べて耐熱性が低いため、高温加熱すると種々の問題が発生する。よって、従来の加熱装置が設けられた成膜装置を用いてプラスチック基板上にデバイスを形成する場合、真空成膜工程において、どうしても長時間にわたって基板を加熱する必要があり、そのことが生産性の観点において非常に大きな問題になっている。
【0010】
また、従来のヒータ加熱方式では、プラスチックが低熱伝導性であるため、プラスチック基板内で温度や吸水量にムラが発生してしまい、加熱時にプラスチック基板が反るという不都合が発生する。プラスチック基板が反った状態で成膜を開始してしまうとプラスチック基板内で必要な成膜温度にならない部分が生じてしまうため、膜質や膜厚に偏った分布が発生してしまう。その膜質や膜厚に偏った分布の発生を防止するため、従来の成膜装置では、図4に示すような基板の反りを抑制するためのそり防止治具105を特別に設置している。
【0011】
しかしながら、成膜装置において反りを抑制することは容易ではないため、配線パターンなどが良好に形成されない場合があるとともに、そり防止治具105が複雑な装置構成になってしまうため、製造コストが高くなるという問題がある。
【0012】
また、従来技術であるマイクロ波加熱装置を用いて、プラスチック基板の水分除去を行った場合、マイクロ波加熱を行い水分を除去する工程とその後基板上に成膜する成膜工程とを別々に行わなくてはならないため、2つの専用装置が必要であり、また、成膜までの間に再度水分を吸収しないようにする機構がさらに必要であるため、装置コストが高くなるという問題がある。
【0013】
本発明は、前述の問題に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、基板の水分除去工程において基板の反りが発生することを抑制して成膜を良好に行なうことができるとともに、1つの装置で基板の水分を除去する工程と基板に成膜する工程とを行なうことができる成膜装置を提供することである。
【0014】
また、LSIやディスプレイデバイスにおけるプロセス工程が複雑であるため、プラスチック基板上の膜構成や前工程の処理条件の違いよって各工程前のプラスチック基板の吸水量が異なる場合が多い。また、真空成膜工程における水分除去はデバイス特性に大きく影響を与えるため、成膜前の残留水分量は重要なパラメータである。
【0015】
しかしながら、従来の成膜装置ではプラスチックの水分除去から成膜までに間があるため、成膜直前のプラスチック基板の吸水状態が分からないという問題がある。
【0016】
本発明は、前述の問題に鑑みてなされたものであり、その第2の目的は、基板の吸水状態を把握することが可能な成膜装置を提供することである。
【0017】
さらに、マイクロ波の特有の性質として、金属表面で反射されるという性質がある。従来のマイクロ波を用いて加熱する加熱装置の構成では、基板の表面からマイクロ波を照射しているため、プラスチック基板上に配線などの金属膜があるとマイクロ波が金属によって反射されてプラスチックにマイクロ波が当たらないという問題がある。このため、水分蒸発にムラが生じたり、処理時間が長くなるという問題がある。
【0018】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その第3の目的は、基板の水分蒸発にムラが生じることを防止可能な成膜装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の一の局面の成膜装置は、内部で基板に成膜するためのチャンバと、チャンバ内において、基板を保持するためのホルダと、ホルダに保持された基板を乾燥させるための乾燥手段とを備え、乾燥手段が、マイクロ波発生器により発生されたマイクロ波を用いて基板の水分を蒸発させる。また、成膜装置は、基板の主表面に金属配線が設けられている場合に、その基板の帯電を防止するために接地された接地用治具をさらに備えており、その接地治具により金属配線の電位を固定することが可能に構成されている。
【0020】
上記の構成によれば、基板の水分除去にマイクロ波を用いているため、基板自身をほとんど加熱することなく、水分子のみを振動することにより加熱して蒸発させることができる。そのため、基板を加熱することに起因して基板に反りが発生することが抑制される。その結果、たとえば、基板に配線パターンを形成する工程において、基板と配線パターンとのアライメントのズレに起因して配線パターンが良好に形成されないことが防止される。また、成膜装置内で基板の水分除去工程を行なうことができるため、成膜装置の他に乾燥装置を用いて乾燥する工程を必要としない。また、上記の構成によれば、基板の主表面に帯電する電荷を取り除くことにより、基板上の金属配線同士がショートをすることが防止されるため、製造工程での歩留まりを向上させることができる。
また、本発明の他の局面の成膜装置は、内部で基板に成膜するためのチャンバと、チャンバ内において、基板を保持するためのホルダと、ホルダに保持された基板を乾燥させるための乾燥手段とを備え、乾燥手段が、マイクロ波発生器により発生されたマイクロ波を用いて基板の水分を蒸発させる。また、成膜装置は、チャンバ内にマイクロ波を反射する反射板をさらに備え、反射板は、チャンバ内に導入された後の基板を通過したマイクロ波を前記基板に対して反射するように構成されている。
上記の構成によれば、一の局面の成膜装置と同様に乾燥する工程を必要としない。さらに、基板のマイクロ波発生器と対向する面以外の面側から、反射板により反射されたマイクロ波が照射されるため、効率的に基板内の水分を除去することができる。そのため、マイクロ波発生器の消費電力を低減することができる。
【0021】
本発明の成膜装置は、マイクロ波発生器が、基板の主表面に対向する位置に設置され、基板の主表面に対してほぼ垂直にマイクロ波を照射することが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、基板の主表面にほぼ垂直にマイクロ波が照射されることにより、基板内にマイクロ波を効率良く導入することができるため、水分を除去するための時間を短縮することができる。
【0023】
本発明の成膜装置は、マイクロ波発生器が、チャンバの外部に設けられ、チャンバが、マイクロ波の損失係数が他の部分よりも低い低損失係数材料を主成分として構成されていることが好ましい。
【0024】
上記の構成によれば、マイクロ波を極力減衰させることなく、マイクロ波を基板に到達させることができるため、マイクロ波発生器の消費電力を低減することができる。
【0029】
本発明の成膜装置は、ホルダを可動させる可動機構をさらに備え、可動機構が、基板の主表面にマイクロ波発生器から発生されたマイクロ波が一様に照射されるようにホルダを可動させることが好ましい。
【0030】
上記の構成によれば、基板の水分の除去にムラが発生することが防止されるとともに、高速で水分を除去することができるため、消費電力を低減することができる。
【0031】
本発明の成膜装置は、基板から発生された水分の量を検知するための水分センサと、水分センサによって検知された水分の量を表示する表示モニタとをさらに備えていることが好ましい。
【0032】
上記の構成によれば、逐次、基板から発生された水分の量をモニタリングしながら、基板から水分を除去することができる。そのため、基板に残存する水分の量を推測しながら水分除去を行なうことにより、乾燥時間を短縮することができる。
【0033】
本発明の成膜装置は、チャンバ内を減圧する減圧装置をさらに備えていることが好ましい。
【0034】
上記の構成によれば、減圧装置を用いてチャンバ内の圧力を減圧することによって、基板の表面に電荷が付着したままの状態になることが防止されるため、基板に配線が形成されたときに、配線同士がショートすることを防止することができる。
【0035】
本発明の成膜装置は、基板の一方の主表面に金属配線が設けられている場合に、ホルダが、マイクロ波が基板の他方の主表面側から基板内に導入されるように、基板を保持することが可能に構成されていてもよい。
【0036】
上記の構成によれば、マイクロ波発生器から発生されたマイクロ波が金属配線によって遮断されずに基板内に導入されるため、基板の水分除去の効率を向上させることができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、図を用いて本発明の実施の形態の成膜装置を説明する。
【0038】
(実施の形態1)
また、図1を用いて、本実施の形態の成膜装置について説明する。なお、図1は、本実施の形態の成膜装置の断面図である。
【0039】
本実施の形態の成膜装置は、容積が0.05m3のSUS304製からなる真空槽101内に、水分モニター計204と、石英ガラスからなる大きさが60×60mm2の基板ホルダー302とが設けられ、その基板ホルダー302上には、エポキシ系の樹脂からなる大きさが50.8×50.8mm2のプラスチック基板100が配置されている。このプラスチック基板100は、たとえば、タンタルからなる金属膜、または、配線パターンが形成されている。
【0040】
また、基板ホルダー302上の周縁部には、プラスチック基板100の金属膜(金属配線部)と接触するSUS321からなるアース治具206が設けられている。
【0041】
さらに、基板302の下には、後述する低損失係数材料202が設けられ、低損失係数材料202の下部には、アルミニウムからなる縦54.6mm×横109.2mm(JIS規格WRJ−2)×長さ300mmの導波管201が配置されている。この導波管201の側壁には、空冷式のアイソレータ203が設けられている。導波管201の下部には、マイクロ波発生器200が配置されている。
【0042】
また、真空槽101の側壁の基底部には、マイクロ波の導入箇所があり、この導入箇所には、板状の強化石英ガラスでできた縦54.6mm×横109.2mm×厚さ50mmで、他の部分に比較してマイクロ波の透過損失が低い低損失係数材料202が配置されている。
【0043】
また、真空槽101の外側には、真空槽101内部を減圧するための真空ポンプ102が配置されている。
【0044】
上記構造において、真空ポンプ102で、真空槽101内の空気を引き抜き、真空槽101内の気圧を成膜に必要な程度の真空度である10-6Paにする。
【0045】
次に、マイクロ波発生器200で発生したマイクロ波を、導波管201、そして真空槽101に設置している低損失係数材料202を通って真空槽101内に導く。
【0046】
ここで、本実施の形態の成膜装置内に設けられた乾燥装置では、電子レンジで使われている周波数2.45GHz、出力1.5KWのマイクロ波発生器が使用され、マイクロ波発生器から2.45±0.015GHzでマイクロ波が発振され、その発振されたマイクロ波が、導波管201、低損失係数材料202を経て真空槽101内に導入される。そして、導入されたマイクロ波は、基板100の裏面(ホルダーに接する面側)側から基板100に照射される。
【0047】
また、本実施の形態の成膜装置に設けられた乾燥装置に用いる基板ホルダー302は、耐熱性が強く、かつマイクロ波をよく通す石英ガラスが用られている。そのため、マイクロ波発生器200から発振されたマイクロ波は、遮られることなく伝波されて、基板100に伝えられる。
【0048】
さらに、基板ホルダー302は、接地されたアース治具206が設けられ、アース治具206によりプラスチック基板100上の金属配線部がアース(電位固定)されている。このため、マイクロ波によりプラスチック基板100が帯電することが防止される。また、プラスチック基板100上の金属配線をプラスチック基板100の周囲で短絡した構造にしておけば、金属配線の断線を防止することができる。その結果、製品の製造コストの低減を図ることができる。
【0049】
また、真空状態で金属にマイクロ波が照射されると金属部に電荷が発生するが、金属部に電気的に弱い絶縁体膜が接触していると絶縁体膜に高電界が印加されて絶縁破壊が生じる場合がある。プラスチック基板100はガラス基板より電気的に弱いため、プラスチック基板100に高電界がかかると絶縁破壊を起こしショートする可能性がある。本実施の形態の成膜装置では真空装置を用いることによって、プラスチック基板100の表面の金属部の電荷を取り除くことができるため、プラスチック基板100のショートを防止することができる。
【0050】
次に、上記プラスチック基板100にマイクロ波を照射すると、真空槽101の内部は、減圧されているため、照射強度が小さくてもプラスチック基板100内の水分子に十分な運動エネルギーを供給することができ、プラスチック基板100内の水分を効率的に除去することができる。つまり、エネルギーの変換(マイクロ波−熱エネルギー)効率を上げることができる。このため、乾燥装置の消費電力を低減することができるため、製造コストの削減を図ることができる。
【0051】
一般的にマイクロ波が物質に当たった時の熱変換電力損失Pは以下のような比例式で表される。
【0052】
P ∝ εr ×tanδ
εr:物質の比誘電率、tanδ:物質の誘電損角、εr ×tanδ:損失係数
(3GHzでの損失係数:水=約12、プラスチック=約0.001、ガラス=約0.06)
上記の式よりマイクロ波は、水分などの損失係数の大きい物質に対してはその物質を熱振動させて加熱するが、ガラスやプラスチックなどの損失係数の小さい物質に対してはほとんどエネルギーを落とさずその物質を透過するという特性を有している。水分を吸収しているプラスチック基板100にマイクロ波が照射された場合、マイクロ波はプラスチック自体をほとんど加熱せずに水分のみを加熱して蒸発させることができるため、耐熱性の低いプラスチック基板でも高出力のマイクロ波を照射することができ、瞬時にムラなく水分を除去することができる。
【0053】
さらに、真空ポンプで水分を引いているため、短時間で水分を除去することが可能となり、真空であるので真空槽101内のマイクロ波が減衰することが抑制される。また、プラスチック基板100内部の水分を直接加熱するため、温度や吸水量のムラがなく、プラスチック基板が反ることもない。また、プラスチック基板100の水分除去にマイクロ波を用いているため、水分を直接加熱蒸発させることができる。そのため、プラスチック基板100に反りが発生することに起因して、プラスチック基板に配線パターンを形成するときのプラスチック基板と配線パターンとのアライメントズレによりパターンが良好に形成されないことが防止される。そのため、製品の製造コストを低減することができる。
【0054】
また、本実施の形態の成膜装置に設けられた乾燥装置においては、マイクロ波が、プラスチック基板の裏面(金属配線が形成されていないホルダに接する面側)から照射される。このため、プラスチック基板100上に形成された金属配線(または、全面に形成される金属膜)により、マイクロ波が遮断または反射されずに、効率的にプラスチック基板100内に、マイクロ波を導入することができる。その結果、乾燥装置の消費電力を低減することができるため、製品の製造コストの削減を図ることができる。
【0055】
さらに、導波管201の内側壁にアイソレータ203を備えている。このため、逆方向からの反射波(基板ホルダー302の表面でマイクロ波の一部が反射し、プラスチック基板を透過して、マイクロ波発生器200側に伝搬する)を抑制し、反射波によるマイクロ波の伝送損失が発生することを抑制することができる。このため、低消費電力化を図ることができる。
【0056】
また、本実施の形態の成膜装置に設けられた乾燥装置においては、エネルギーの変換(マイクロ波−熱エネルギー)効率を上げるために、プラスチック基板100の上方に、回転式金属反射板205が設置されており、これによりプラスチック基板100を貫いたマイクロ波が反射され、再びプラスチック基板に照射される。
【0057】
このため、基板の両面からマイクロ波を照射することができ、効率よく基板内の水分を除去することができるため、乾燥効率を向上させることができる。
【0058】
ここで、本実施の形態の成膜装置に設けられた乾燥装置においては、プラスチック基板100の表面側に金属膜が成膜(金属配線が形成)されているが、表面側に金属膜がない場合は水分を除去する効率を上げることができるために、表面側からもマイクロ波を照射してもよい。
【0059】
また、本実施形態の成膜装置に設けられた乾燥装置において、基板ホルダー302は、固定型のものを用いたが、回転式の基板ホルダーを用いてもよい。この場合、プラスチック基板は真空槽101内で回転するため、回転式金属反射板205で反射されたマイクロ波が均等に基板100に照射され、水分除去のムラの発生を防止するとともに、高速で水分を除去することができる。
【0060】
また、本実施の形態の成膜装置に設けられた乾燥装置は、真空槽101内に水分モニター計204が設置されているため、マイクロ波照射時のプラスチック基板100内の水分量を監視することができる。水分量をモニターすることにより水分除去処理条件を自動制御することができる。その結果、逐次、プラスチック基板100の吸水状態をモニタリングしながら、水分を除去することができるため、加熱時間を短縮することができるので、製品の製造コストの低減を図ることができる。
【0061】
また、真空槽を設けているため、真空計や質量分析器などを備えることができるため、これらを用いてプラスチック基板100から除去された水分量をモニターすることができる。そして、得られたデータをマイクロ波発生器200にフィードバックして水分除去処理条件を自動制御することができる。本実施の形態の乾燥装置を用いることによって、成膜装置において、成膜前のプラスチック吸水状態を知ることができ、残留水分による成膜された膜やデバイス特性の劣化を防止できる。
【0062】
図2には、浸水し水分を吸収したエポキシ系プラスチック基板(サイズ50.8mm×50.8mm×0.2mm)にマイクロ波を照射した場合の質量分析器にて測定したH2O分圧の実験データが示されている。また、図2には、従来技術である抵抗ヒーターを用いた場合のH2O分圧の実験データも示されている。
【0063】
図2から従来のヒーター加熱方式よりもマイクロ波乾燥を用いた方が早く水分を除去することができていることが分かる。
【0064】
さらに、表1には、プラズマCVD装置にて成膜前の水分除去時間を10分間行った後、n+−Siを成膜した場合の抵抗値を比較したデータが示されている。すなわち、表1は、プラスチック基板100の成膜前ベーク10分間でのH2O分圧とn+−Si膜の抵抗値データである。
【0065】
【表1】
【0066】
従来のヒーター加熱方式では水分を十分除去できていないため、n+−Siの抵抗値が非常に高くなっているが、マイクロ波乾燥方式ではn+−Siの抵抗値が生産スペックの20GΩ以下である。本願の発明者らの実験結果からH2O分圧が10-4Pa以下にならないとn+−Siの抵抗値が小さくならないことが分かっているため、H2O分圧が10-4Pa以下になるまで成膜をスタートしない設定にしている。
【0067】
また、低真空度においてマイクロ波を照射すると放電が起きてしまう可能性があるため(本実験装置では10Pa程度で放電が発生した)、圧力計を用いて、これ以上の真空度にならないように真空槽101の制御を行っている。ただし、実施形態の成膜装置に設けられた乾燥装置においては、図では圧力計は省略されている。
【0068】
(実施の形態2)
本実施形態の成膜装置に設けられた乾燥装置を、図3を用いて説明する。
【0069】
本実施形態の成膜装置に設けられた乾燥装置は、プラスチック基板100の内にマイクロ波を遮断する物質が存在したり、水分除去時間をさらに短縮する場合を考慮して、プラスチック基板100の裏面側に対向する位置および表面側に対向する位置の両方にマイクロ波発生器200、導波管201、および、低損失係数材料202を備えている。
【0070】
本実施の形態の成膜装置に設けられた乾燥装置においては、プラスチック基板100の両面からマイクロ波がほぼ垂直に照射されるようになっている。そのため、実施の形態1の乾燥装置における回転式金属反射板205は設けられていない。
【0071】
また、本実施の形態の成膜装置では、乾燥装置により乾燥される被乾燥物として、金属配線パターンを備えたエポキシ系樹脂からなるプラスチック基板を用いたが、基板の全面に金属膜を備えるプラスチック基板、または、パターンを備えていないプラスチック基板を用いていてもよい。また、樹脂内に、カーボン繊維や無機物質等を包含するような基板を用いてもよい。
【0072】
さらに、基板材料もエポキシ系に限らず、樹脂基板であれば、アクリル系樹脂、ポリイミド系樹脂、アラミド樹脂、または、ポリカーボネート樹脂であってもよい。
【0073】
上記本実施の形態の成膜装置に設けられた乾燥装置は、プラズマCVD装置、スパッタ装置等、基板の乾燥処理を伴う装置であれば、各種の成膜装置に適用することができる。特に、真空槽を必要とする成膜装置においては、乾燥処理の後、真空状態を維持したまま連続的に成膜を行なうことができるため、消費電力の低減を図ることができる。さらに、ダストの付着を防止することができるため、製品の製造歩留まりを向上させることができる。
【0074】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0075】
【発明の効果】
本発明の成膜装置によれば、基板の水分除去にマイクロ波を用いているため、基板自身をほとんど加熱することなく、水分子のみを振動することにより加熱して蒸発させることができる。そのため、基板を加熱することに起因して基板に反りが発生することが抑制される。その結果、たとえば、基板に配線パターンを形成する工程において、基板と配線パターンとのアライメントのズレに起因して配線パターンが良好に形成されないことが防止される。また、成膜装置内で基板の水分除去工程を行なうことができるため、成膜装置の他に乾燥装置を用いて乾燥する工程を必要としない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態1の乾燥装置が設けられた成膜装置の断面図である。
【図2】 プラスチック基板にマイクロ波を照射した場合のH2O分圧の実験データである。
【図3】 本発明の実施の形態2の乾燥装置が設けられた成膜装置の断面図である。
【図4】 従来技術の加熱装置を用いた乾燥装置が設けられた成膜装置の断面図である。
【図5】 従来技術のマイクロ波を用いた乾燥装置の断面図である。
【符号の説明】
100 プラスチック基板、101 真空槽、102 真空ポンプ、103 ヒーター、104 ホットプレート、105 そり防止治具、301 オーブン、302 基板ホルダー、200 マイクロ波発生器、201 導波管、202低損失係数材料、203 アイソレータ、204 水分モニター計、205 回転式金属反射板、206 アース治具。
Claims (8)
- 内部で基板に成膜するためのチャンバと、
該チャンバ内において、前記基板を保持するためのホルダと、
該ホルダに保持された前記基板を乾燥させるための乾燥手段とを備え、
前記乾燥手段は、マイクロ波発生器により発生されたマイクロ波を用いて前記基板の水分を蒸発させ、
前記基板の主表面に金属配線が設けられている場合に、該基板の帯電を防止するために、接地された接地用治具をさらに備え、
該接地治具により前記金属配線の電位を固定することが可能に構成された、成膜装置。 - 内部で基板に成膜するためのチャンバと、
該チャンバ内において、前記基板を保持するためのホルダと、
該ホルダに保持された前記基板を乾燥させるための乾燥手段とを備え、
前記乾燥手段は、マイクロ波発生器により発生されたマイクロ波を用いて前記基板の水分を蒸発させ、
前記チャンバ内にマイクロ波を反射する反射板をさらに備え、
該反射板は、前記チャンバ内に導入された後の前記基板を通過したマイクロ波を前記基板に対して反射するように構成された、成膜装置。 - 前記マイクロ波発生器は、前記基板の主表面に対向する位置に設置され、前記基板の主表面に対してほぼ垂直に前記マイクロ波を照射する、請求項1または2に記載の成膜装置。
- 前記マイクロ波発生器は、前記チャンバの外部に設けられ、
前記チャンバは、前記マイクロ波が透過する部分の損失係数が他の部分よりも低い低損失係数材料を主成分として構成されている、請求項1〜3のいずれかに記載の成膜装置。 - 前記ホルダを可動させる可動機構をさらに備え、
該可動機構は、前記基板の主表面に前記マイクロ波発生器から発生されたマイクロ波が一様に照射されるように前記ホルダを可動させる、請求項1〜4のいずれかに記載の成膜装置。 - 前記基板から発生された水分の量を検知するための水分センサと、
該水分センサによって検知された前記水分の量を表示する表示モニタとをさらに備えた、請求項1〜5のいずれかに記載の成膜装置。 - 前記チャンバ内を減圧する減圧装置をさらに備えた、請求項1〜6のいずれかに記載の成膜装置。
- 前記基板の一方の主表面に金属配線が設けられている場合に、前記ホルダは、前記マイクロ波が前記基板の他方の主表面側から前記基板内に導入されるように、前記基板を保持することが可能に構成された、請求項1〜7のいずれかに記載の成膜装置。
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JP2002066741A JP4007830B2 (ja) | 2002-03-12 | 2002-03-12 | 成膜装置 |
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