JP4007796B2 - 先端偏向操作可能カテーテル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、先端偏向操作可能カテーテルに係り、さらに詳しくは、体腔内に挿入されたカテーテルの遠位端部を、体外に配置される近位端側の操作部を操作することにより、その遠位端の向きを容易に変化させることができる先端偏向操作可能カテーテルに関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば動脈血管を通して心臓の内部まで挿入される電極カテーテルなどでは、心臓内に挿入されたカテーテルの遠位端(先端)の向きを、体外に配置されるカテーテルの近位端(後端または手元側)に装着された操作部を操作して変化(偏向)させる必要性が生じる。
【0003】
このようにカテーテルの遠位端を手元側で操作して偏向させるための機構として、従来では、次に示す機構が知られている。
第1の機構として、柔軟性を持つカテーテルの遠位端部の内部に、支持板または支持ワイヤと、引張ワイヤーなどを装着したものが知られている。その機構では、引張ワイヤーを手元側で操作することにより、その引張ワイヤーの先端に接続してある支持板または支持ワイヤを曲折することが可能である。その結果、カテーテルの遠位端部を、所定の方向に向きを変えることが可能である。
【0004】
第2の機構として、金属板などをダックビル形状のリングに打ち抜き、そのリングを軸方向にワイヤーなどで連結して、カテーテルの遠位端部を構成しているものが知られている。
【0005】
さらに、第3の機構として、カテーテルの遠位端部を構成するチューブの内部に形状記憶合金を仕込み、この形状記憶合金を変形させることで、カテーテルの遠位端部の向きを変化させるものが知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の第1の機構では、カテーテル内部のルーメンが、支持板または支持ワイヤなどの曲げ操作機構で占拠され、ルーメンの断面積が狭められ、ルーメンの内部に、他の機能部材を配置しにくくなると言う課題を有する。他の機能部材としては、複数の電極のための配線、冷却手段、光ファイバーなどが例示される。また、第1の機構では、操作性が不安定であるという課題もある。
【0007】
また、前述の第2の機構では、金属板などを打ち抜いて複数のダックビル状のリングを成形し、これらをワイヤーなどで連結する工程を必要とし、加工が複雑で、カテーテルの製造コストが増大するという課題を有する。また、この第2の機構では、複数のリングを軸方向に配置し、これらリングにワイヤーを通してリングを連結している構成であるために、何らかの理由によりワイヤーが切れた場合には、複数のリングがバラバラになるおそれがある。このため、医療用カテーテルとしての信頼性に劣る。
【0008】
さらに、前述の第3の機構では、形状記憶合金の形状を変化させるために加熱機構がカテーテルの内部に必要であり、カテーテルの内部構造が複雑となり、カテーテルのルーメンを有効に利用できなくなるという課題がある。また、形状記憶合金の変形は、その変形速度や変形の度合を制御することが困難であると共に、形状変化させるために時間遅れが生じ、その形状操作の追随性にも課題がある。
【0009】
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、カテーテルの内部ルーメンを有効に利用することが可能であり、しかも、操作の追随性および安定性に優れ、故障が少なく信頼性が高く、製造が容易で安価な先端偏向操作可能カテーテルを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る先端偏向操作可能カテーテルは、
カテーテルチューブを有する先端偏向操作可能カテーテルであって、
前記カテーテルチューブが管状部材を持ち、
前記管状部材が、管本体と、前記管本体の遠位端側に具備された先端偏向部とを有し、
前記先端偏向部が、
軸方向に沿って配置された円周要素と、
前記円周要素の両側に配置され、前記円周要素と前記管本体とに接合してあり、前記円周要素を軸方向に連結して偏向方向を規制する一対の軸方向連結要素とを有する先端偏向操作可能カテーテルであって、
前記円周要素には、操作用ワイヤまたは操作用ロッドの先端が接続してあることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る先端偏向操作可能カテーテルでは、カテーテルチューブが管状部材を持ち、その管状部材が、カテーテルの遠位端を手元側で操作して偏向させるための偏向機構を構成する。したがって、カテーテルの内部ルーメンは、偏向機構により閉塞されることはなく、そのルーメンを有効に利用することができる。カテーテルのルーメンは、たとえば、流体を送り込むためのルーメン、血液などの体液を採取するためのルーメン、電極の配線を通すためのルーメン、冷却手段を挿通するためのルーメン、光ファイバーを通すためのルーメンなどとして利用することができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、最先端に配置された前記円周要素には、前記操作用ワイヤまたは操作用ロッドの先端が接続してある。その場合において、好ましくは、前記操作用ワイヤまたは操作用ロッドは、操作用チューブの内部に軸方向移動自在に挿通してあり、前記操作用チューブは、前記管状部材と合成樹脂チューブとの間で軸方向に沿って配置してある。
【0013】
本発明に係る先端偏向操作可能カテーテルでは、操作用ワイヤまたはロッドの後端を、引っ張り、または押し込み操作することで、管状部材における先端偏向部は、先端偏向部の横断面から見て、両側に取り付けられた軸方向連結要素を結ぶ線に対して略直角方向に偏向移動する。しかも、その偏向移動の度合は、操作用ワイヤまたはロッドの引き込みまたは押し込み量に対応し、操作の追随性および安定性に優れている。
【0014】
なお、操作用ワイヤまたはロッドの後端は、カテーテルチューブの近位端部に接続してある操作用コネクタの操作用リンクおよび/または操作用ドラムに連結してある。これらリンクおよび/またはドラムを、回転摘みなどで操作することにより、操作用ワイヤまたはロッドの引き込みまたは押し込み操作が可能になっている。
【0015】
本発明において、好ましくは、前記管状部材における先端偏向部は、前記管本体よりも曲げ剛性が低い。先端偏向部は、操作用ワイヤまたはロッドによる操作で、容易に折り曲げられ、その先端の向きを偏向移動させるためである。また、管状部材における管本体は、先端偏向部よりも高剛性であり、操作用ワイヤまたはロッドにより先端偏向部の先端に加わる操作力に対する反力を持たせる。
【0016】
本発明において、好ましくは、前記管状部材の遠位端側に、軸方向所定間隔でスリットを形成することにより、前記円周要素と軸方向連結要素とを一体化して形成してある。
【0017】
この場合には、管状部材を構成する管本体の遠位端側に先端偏向部を、きわめて容易に形成することができ、製造が容易で安価な先端偏向操作可能カテーテルを実現することができる。
【0018】
または、好ましくは、前記円周要素が短管リングであり、前記短管リングの両側に前記軸方向連結要素がレーザ溶接してある。
【0019】
各短管リングに対して軸方向連結要素がレーザ溶接で接合してあるために、一つの短管リングに対する軸方向連結要素の溶接が外れたとしても、全てのリングがばらけるということはない。また、レーザ溶接により短管リングと軸方向連結要素とを接続してあるために、その製造が容易であり、製造コストの低減を図れる。
【0020】
なお、本発明において、軸方向連結要素としては、特に限定されず、ワイヤ状部材およびロッド状部材などが例示されるが、偏向方向を規制する観点からは、ロッド状部材であることが好ましい。また、軸方向連結要素と操作用ワイヤまたはロッドとの位置関係は、先端偏向部の横断面において、その断面中心に対して、相互に略90度の位置にあることが好ましい。
【0021】
特に好ましくは、少なくとも前記先端偏向部は、コイル状部材で構成してあり、前記円周要素は、コイル状に連続している。その場合において、好ましくは、前記軸方向連結要素は、コイル状に連続している前記円周要素の内の最先端部と最後端部とを少なくとも連結してある。さらに好ましくは、前記管状部材を構成する管本体と先端偏向部とは、連続するコイル状部材で構成してあり、前記先端偏向部では、前記コイル状部材の巻回軸方向隙間が、前記管本体における前記コイル状部材の巻回軸方向隙間よりも大きい。
【0022】
先端偏向部をコイル状部材で構成することにより、軸方向に沿って配置された円周要素がコイル状に結ばれ、しかも可撓性があることから、先端偏向部の偏向移動が容易である。しかも、軸方向連結要素と円周要素との接合が外れたとしても、円周要素がばらけることはない。したがって、カテーテルとして、故障が少なく、信頼性が高い。しかも、軸方向連結要素と円周要素との接合を、円周要素毎に行う必要はなく、カテーテルの製造も容易である。
【0023】
管状部材を構成する管本体と先端偏向部とを、連続するコイル状部材で構成することで、管本体と先端偏向部とを一体に成形することができる。そのため、カテーテルの製造コストが、さらに低下する。また、先端偏向部において、コイル状部材の巻回軸方向隙間を、管本体におけるコイル状部材の巻回軸方向隙間よりも大きくすることで、管状部材における先端偏向部の曲げ剛性が、管本体よりも低い構造を容易に実現することができる。そのため、カテーテルの製造コストが、さらに低下する。
【0024】
本発明において、好ましくは、前記カテーテルチューブを構成する管状部材の外周は、合成樹脂チューブで被覆してある。その場合において、好ましくは、前記軸方向連結要素は、前記管状部材と合成樹脂チューブとの間で軸方向に沿って配置してある。
このような配置構成とすることで、カテーテルチューブのルーメンを狭めることなく、カテーテル先端の偏向機構を容易に実現することができる。
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る電極カテーテルの概略側面図、図2は図1に示すカテーテルチューブの内部分解斜視図、図3は図1に示すIII−III線に沿うカテーテルチューブの横断面図、図4および図5は本発明の他の実施形態に係るカテーテルチューブの内部分解斜視図である。
【0025】
第1実施形態
図1に示すように、本発明の1実施形態に係る先端偏向操作可能カテーテルとしての電極カテーテル2は、たとえば心臓における不整脈の診断または治療に用いられるものであり、カテーテルチューブ4の遠位端部に、先端リング状電極10と、複数の中間リング状電極12とが装着してある。カテーテルチューブ4の近位端には、コネクタ6が装着してある。コネクタ6からは、各電極10および12に電気的に接続される導線の引き出し線が引き出される。また、コネクタ6には、カテーテルチューブ4の先端部の偏向移動操作を行うための摘み7が装着してある。
【0026】
図3に示すように、カテーテルチューブ4は、カテーテルチューブ4を構成する管状部材20と、その外周を被覆してある合成樹脂チューブ34とを有する。合成樹脂チューブ34は、熱収縮チューブで構成してあり、管状部材20の外周を、その外周に配置された軸方向連結要素28および操作用チューブ32と共に、熱収縮法により被覆してある。
【0027】
カテーテルチューブ4の合成樹脂チューブ34は、たとえばポリオレフィン、ポリアミド、ポリエーテルポリアミド、ポリウレタンなどの合成樹脂で構成される。カテーテルチューブ4の外径は、一般に0.6〜3mm程度であり、その内径(管状部材20の内径)は、0.5〜2.5mm程度である。カテーテルチューブ4の軸方向ルーメン27には、各電極10および12に接続される導線が、それぞれ絶縁されて通してある。
【0028】
図1に示すリング状電極10および12は、たとえばアルミニウム、銅、ステンレス、金、白金など、熱伝導性の良好な金属で構成される。なお、X線に対する造影性を良好に持たせるためには、これらのリング状電極10および12は、白金などで構成されることが好ましい。リング状電極10および12の外径は、特に限定されないが、カテーテルチューブ4の外径と同程度であることが好ましく、通常、0.5〜3mm程度である。
【0029】
図2に示すように、カテーテルチューブ4の管状部材20は、管本体22と、管本体22の遠位端側に具備された先端偏向部24とを有する。管本体22は、本実施形態では、扁平な金属板材をコイル状に巻回したもので構成してあり、その軸方向長さは、特に限定されないが、好ましくは、300〜1000mmである。管本体22を構成するコイル状の金属板の厚みは、特に限定されないが、0.05〜0.2mmであり、その幅は、0.3〜1.0mmであり、そのコイルの外径は、好ましくは0.5〜1.5mmである。
【0030】
金属板材を構成する金属の種類は、特に限定されないが、たとえばステンレス、Ni−Ti系超弾性金属などが例示される。コイル状の管本体22の内周面には、必要に応じて、合成樹脂層が内面ライニングしてある。内面ライニングされる合成樹脂の材質は、特に限定されないが、たとえばフッ素樹脂製の熱収縮樹脂である。
【0031】
先端偏向部24は、軸方向に沿って所定間隔で配置された円周要素26と、円周要素26を軸方向に連結して偏向方向を規制する一対の軸方向連結要素28とを有する。各円周要素26は、本実施形態では、短管リング26で構成してある。各短管リング26の外径および内径は、コイル状の管本体22の外径および内径と同程度である。また、各短管リング26の軸方向長さは、特に限定されないが、0.1〜3mmであり、各短管リング26は、管本体22を構成する金属と同じまたは異なる金属で構成してある。短管リング26相互の軸方向隙間は、特に限定されないが、0.1〜5mm程度である。
【0032】
図2および図3に示すように、各短管リング26の両側の約180度位置に、一対の軸方向連結要素28が配置され、各短管リング26と軸方向連結要素28とは、接合部29にて、たとえばYAGレーザ溶接により接合してある。なお、レーザ溶接に際し、金属で構成される軸方向連結要素28を予めEVAなどのホットメルト樹脂で被覆しておき、このホットメルト樹脂を用いて、軸方向連結要素28を、各短管リング26に対して仮止めして位置決めしておいても良い。
【0033】
軸方向連結要素28は、本実施形態では、断面が扁平な板状ロッド28で構成してある。その板状ロッド28の厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.005〜0.05mm、さらに好ましくは0.01〜0.03mmである。また、その板状ロッド28の幅は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜1mm、さらに好ましくは0.3〜0.8mmである。その板状ロッド28の軸方向長さは、先端偏向部24の軸方向長さと略等しく、好ましくは150〜600mmである。
【0034】
板状ロッド28の後端部は、管本体22の先端部の両側に接合部29でレーザ溶接などで接合してある。その結果、管本体22と先端偏向部24とが一体化される。板状ロッド28の材質は、短管リング26の材質と同一または異なる材質である。
【0035】
図2に示すように、最先端に配置された円周要素26の外周に、一対の操作用ワイヤ30の先端部が、接続部31においてレーザ溶接あるいはその他の手段で接合してある。一対の操作用ワイヤ30の先端接続部31の位置は、図3に示す先端偏向部24の横断面において、それぞれ軸方向連結要素28の取り付け位置との関係で、断面中心を基準として略90度の位置にあり、それぞれは180度の位置に配置される。
【0036】
操作用ワイヤ30の外径は、特に限定されないが、好ましくは0.01〜0.1mm、さらに好ましくは0.03〜0.08mmである。この操作用ワイヤ30は、たとえばNi−Ti系超弾性合金製で構成してある。この操作用ワイヤ30は、操作用チューブ32の内部に軸方向に移動自在に挿通してある。操作用チューブ32は、たとえば低摩擦係数のフッ素樹脂(たとえばPTFE)チューブで構成され、その内径は、操作用ワイヤ30の外径よりも僅かに大きく、その肉厚は、特に限定されないが、好ましくは0.03〜0.08mmである。
【0037】
図3に示すように、操作用チューブ30および軸方向連結要素28は、先端偏向部24の外周で、断面中心に対して、相互に略90度の位置に配置され、合成樹脂チューブ34で一体に被覆されている。なお、図2に示すように、この操作用チューブ30は、先端偏向部24のみならず、管本体22の全長にわたり延びており、さらに、図1に示す操作用コネクタ6までも延びている。一対の操作用チューブ30の内部に軸方向移動自在に挿通してある一対の操作用ワイヤ30の後端部は、図1に示す操作用コネクタ6の回転摘み7により回転駆動される図2に示すドラム7aに連結してある。
【0038】
ドラム7aを回転操作することで、一方の操作用ワイヤ30が引っ張られ、他方の操作用ワイヤ30が、引っ張り量と同じ量で巻き解される。たとえば図2において、ドラム7aを時計回りに回転させると、上側のワイヤ30が引っ張られ、下側のワイヤ30が巻き解される。その結果、最も先端側に配置された円周要素26は、図3に示す断面において、一対の軸方向連結要素28を結ぶ線に対して直角方向の上方向Aに偏向させられる。先端偏向部26に位置するその他の円周要素26は、最先端に位置する円周要素26の動きに会わせて、上方向Aに偏向移動する。
【0039】
また、図2において、ドラム7aを反時計回りに回転させると、下側のワイヤ30が引っ張られ、上側のワイヤ30が巻き解される。その結果、最も先端側に配置された円周要素26は、図3に示す断面において、一対の軸方向連結要素28を結ぶ線に対して直角方向の下方向Bに偏向させられる。先端偏向部26に位置するその他の円周要素26は、最先端に位置する円周要素26の動きに会わせて、下方向Bに偏向移動する。
【0040】
したがって、カテーテルチューブ4の先端偏向部24は、図1に示すコネクタ6の回転摘みを操作することにより、任意のAまたはB方向に、偏向して曲折移動させることができる。なお、コネクタ6を軸回りに回転させれば、体腔内に挿入された状態で、カテーテルチューブ4に対するAまたはB方向の向きを自由に設定することができる。
【0041】
本実施形態に係るカテーテル2では、カテーテルチューブ4が管状部材20を持ち、その管状部材20が、カテーテル2の遠位端を手元側で操作して偏向させるための偏向機構を構成する。したがって、カテーテル2の内部ルーメン27は、偏向機構により閉塞されることはなく、そのルーメンを有効に利用することができる。カテーテル2のルーメン27は、たとえば、流体を送り込むためのルーメン、血液などの体液を採取するためのルーメン、電極の配線を通すためのルーメン、冷却手段を挿通するためのルーメン、光ファイバーを通すためのルーメンなどとして利用することができる。
【0042】
また、このカテーテル2では、一対の操作用ワイヤ30の後端を、巻き取りまたは巻き解し操作することで、管状部材20における先端偏向部24は、先端偏向部24の横断面から見て、両側に取り付けられた軸方向連結要素28を結ぶ線に対して略直角方向AまたはBに偏向移動する。しかも、その偏向移動の度合は、操作用ワイヤ30の巻き取りまたは巻き解し量に対応し、操作の追随性および安定性に優れている。
【0043】
また、本実施形態では、管状部材20における先端偏向部24は、矢印AまたはB方向において、管本体22よりも曲げ剛性が低い。したがって、先端偏向部24は、操作用ワイヤ30による操作で、容易に折り曲げられ、その先端の向きを偏向移動させることができる。また、管状部材20における管本体22は、先端偏向部24よりも高剛性であり、操作用ワイヤ30により先端偏向部24の先端に加わる操作力に対する反力を持たせることができる。
【0044】
さらに、本実施形態では、各短管リング26に対して軸方向連結要素28がレーザ溶接で接合してあるために、一つの短管リング26に対する軸方向連結要素28の溶接が外れたとしても、全てのリング26がばらけるということはない。また、レーザ溶接により短管リング26と軸方向連結要素28とを接続してあるために、その製造が容易であり、製造コストの低減を図れる。
【0045】
第2実施形態
図4に示すように、本実施形態に係るカテーテルは、カテーテルチューブ4aにおける管状部材20aの構成が、前記第1実施形態のカテーテル2のそれと異なるのみであり、その他の構成は、同一であり、共通する部分の説明は、省略する。
【0046】
図4に示すように、本実施形態では、管状部材20aが、直管状の管本体22aと、その遠位端側に一体成形された先端偏向部24aとを有する。本実施形態では、最初に金属製の直管(その材質は、たとえばNiTi系超弾性金属)を準備し、その遠位端側に、軸方向所定間隔でスリット40を形成することにより、円周要素26aと軸方向連結要素28aとを一体成形してある。図4に示すスリット40は、図2に示す先端偏向部24において、軸方向連結要素28を除く短管リング26間の隙間を形成する程度の大きさで形成される。ただし、本実施形態の軸方向連結要素28aの幅は、図2に示す実施形態の軸方向連結要素28の幅よりも大きいことが好ましい。レーザ加工などによりスリット40を形成する際に、軸方向連結要素28aの部分に残留応力が貯まりやすく、強度低下が懸念されるからである。
【0047】
本実施形態では、前記第1実施形態と同様な作用効果を奏すると共に、管状部材20aを構成する管本体22aの遠位端側に先端偏向部24aを、きわめて容易に形成することができ、製造が容易で安価な先端偏向操作可能カテーテルを実現することができる。
【0048】
第3実施形態
図5に示すように、本実施形態に係るカテーテルは、カテーテルチューブ4bにおける管状部材20bの構成が、前記第1実施形態のカテーテル2のそれと異なるのみであり、その他の構成は、同一であり、共通する部分の説明は、省略する。
【0049】
図5に示すように、本実施形態では、管状部材20bが、管本体22bと、その遠位端側に一体成形された先端偏向部24bとを有する。本実施形態の管本体22bは、図2に示す管本体22と同様な扁平コイル状の管本体である。本実施形態では、その管本体22bのコイルは、遠位端側にまで延び、しかも、その巻回隙間を、管本体22bにおける巻回隙間よりも広くすることで、先端偏向部24bを構成している。
【0050】
すなわち、本実施形態では、先端偏向部24bは、コイル状部材で構成してあり、円周要素26bは、コイル状に連続している。しかも、軸方向連結要素28bは、コイル状に連続している円周要素26bの内の最先端部と最後端部とを少なくとも連結してある。本実施形態では、図5に示すように、一つ置きの円周要素26b毎に、接続部29で円周要素26bと軸方向連結要素28bとを接続している。
【0051】
先端偏向部24bにおけるコイル状部材の巻回軸方向隙間は、たとえば、図2に示す短管リング26間の隙間と同程度である。また、管本体22bでは、コイル状部材の巻回軸方向隙間は、ほとんどない。
【0052】
本実施形態では、前記第1実施形態と同様な作用効果を奏する上に、次に示す作用効果を奏する。
すなわち、先端偏向部24bをコイル状部材で構成することにより、軸方向に沿って配置された円周要素26bがコイル状に結ばれ、しかも可撓性があることから、先端偏向部24bの偏向移動が容易である。しかも、軸方向連結要素28bと円周要素26bとの接合が外れたとしても、円周要素26bがばらけることはない。したがって、カテーテルとして、故障が少なく、信頼性が高い。しかも、軸方向連結要素28bと円周要素26bとの接合を、円周要素26b毎に行う必要はなく、カテーテルの製造も容易である。
【0053】
また、管状部材20bを構成する管本体22bと先端偏向部24bとを、連続するコイル状部材で構成することで、管本体22bと先端偏向部24bとを一体に成形することができる。そのため、カテーテルの製造コストが、さらに低下する。また、先端偏向部24bにおいて、コイル状部材の巻回軸方向隙間を、管本体におけるコイル状部材の巻回軸方向隙間よりも大きくすることで、管状部材20bにおける先端偏向部24bの曲げ剛性が、管本体22bよりも低い構造を容易に実現することができる。そのため、カテーテルの製造コストが、さらに低下する。
【0054】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
【0055】
たとえば、軸方向連結要素28,28a,28bは、必ずしも一対で具備させることなく、単一であっても良い。また、操作用ワイヤ30および操作用チューブ31も、同様に単一であっても良い。
【0056】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、カテーテルの内部ルーメンを有効に利用することが可能であり、しかも、操作の追随性および安定性に優れ、故障が少なく信頼性が高く、製造が容易で安価な先端偏向操作可能カテーテルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は本発明の一実施形態に係る電極カテーテルの概略側面図である。
【図2】 図2は図1に示すカテーテルチューブの内部分解斜視図である。
【図3】 図3は図1に示すIII−III線に沿うカテーテルチューブの横断面図である。
【図4】 図4は本発明の他の実施形態に係るカテーテルチューブの内部分解斜視図である。
【図5】 図5は本発明の他の実施形態に係るカテーテルチューブの内部分解斜視図である。
【符号の説明】
2… 電極カテーテル
4,4a,4b… カテーテルチューブ
6… 操作用コネクタ
7… 回転摘み
20,20a,20b… 管状部材
22,22a,22b… 管本体
24,24a,24b… 先端偏向部
26,26a,26b… 円周要素
27… ルーメン
28,28a,28b… 軸方向連結要素
30… 操作用ワイヤ
32… 操作用チューブ
40… スリット
Claims (11)
- カテーテルチューブを有する先端偏向操作可能カテーテルであって、
前記カテーテルチューブが管状部材を持ち、
前記管状部材が、管本体と、前記管本体の遠位端側に具備された先端偏向部とを有し、
前記先端偏向部が、
軸方向に沿って配置された円周要素と、
前記円周要素の両側に配置され、前記円周要素と前記管本体とに接合してあり、前記円周要素を軸方向に連結して偏向方向を規制する一対の軸方向連結要素とを有する先端偏向操作可能カテーテルであって、
前記円周要素には、操作用ワイヤまたは操作用ロッドの先端が接続してあることを特徴とする先端偏向操作可能カテーテル。 - 前記管状部材の遠位端側に、軸方向所定間隔でスリットを形成することにより、前記円周要素と軸方向連結要素とを一体化して形成してある請求項1に記載の先端偏向操作可能カテーテル。
- 前記円周要素が短管リングであり、前記短管リングの両側に前記軸方向連結要素がレーザ溶接してある請求項1に記載の先端偏向操作可能カテーテル。
- 少なくとも前記先端偏向部は、コイル状部材で構成してあり、前記円周要素は、コイル状に連続している請求項1に記載の先端偏向操作可能カテーテル。
- 前記軸方向連結要素は、コイル状に連続している前記円周要素の内の最先端部と最後端部とを少なくとも連結してある請求項4に記載の先端偏向操作可能カテーテル。
- 前記管状部材を構成する管本体と先端偏向部とは、連続するコイル状部材で構成してあり、前記先端偏向部では、前記コイル状部材の巻回軸方向隙間が、前記管本体における前記コイル状部材の巻回軸方向隙間よりも大きいことを特徴とする請求項4または5に記載の先端偏向操作可能カテーテル。
- 前記カテーテルチューブを構成する管状部材の外周は、合成樹脂チューブで被覆してある請求項1〜6のいずれかに記載の先端偏向操作可能カテーテル。
- 最先端に配置された前記円周要素には、前記操作用ワイヤまたは操作用ロッドの先端が接続してある請求項1〜7のいずれかに記載の先端偏向操作可能カテーテル。
- 前記操作用ワイヤまたは操作用ロッドは、操作用チューブの内部に軸方向移動自在に挿通してあり、前記操作用チューブは、前記管状部材と合成樹脂チューブとの間で軸方向に沿って配置してある請求項8に記載の先端偏向操作可能カテーテル。
- 前記軸方向連結要素は、前記管状部材と合成樹脂チューブとの間で軸方向に沿って配置してある請求項7に記載の先端偏向操作可能カテーテル。
- 前記管状部材における先端偏向部は、前記管本体よりも曲げ剛性が低いことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の先端偏向操作可能カテーテル。
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