JP4006979B2 - バンパフェイシア取付け構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車のバンパフェイシア取付構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、乗用車の中には車両前方部分の簡素化とサスペンションの剛性向上の観点から、自動車のフロントサイドフレームを連結するクロスメンバがフロントサイドフレームの先端にレイアウトされておらず、サスペンションタワー近傍に配設されたものがある(実開平2−113580)。
【0003】
このような構造を採る車両においては、バンパフェイシア後方近傍にクロスメンバが配設されていないため、バンパレインフォースメントの前方に配設されるバンパフェイシアの下方部分をクロスメンバに支持させることができない構造となる。このため、バンパフェイシアの支持力が低下し、バンパフェイシアの自重による垂れが発生し易くなる。
【0004】
バンパフェイシアの上端部分は、シュラウドなどの上部構造体に支持され、そのバンパフェイシアの上端縁とボンネットの下端縁とで所定の隙間を持つたパーディングラインを形成しているため、上述の自重垂れが発生すると、この隙間が広がったり、一定の隙間でなくなったりして、車両前部の外観を極めて悪くするという課題を生じる。
【0005】
一方、上記課題を解決するため、レインフォースメント前面に配設された衝撃吸収用の発泡部材をバンパフェイシア裏面にまで延設し、この発泡部材によりバンパフェイシアの自重による垂れを防止しようとするものが提案されている。
【0006】
しかしながら従来の技術においては次のような問題がある。
すなわち、体重等の荷重がバンパーフェイシア上面に作用した場合、バンパフェイシアの下方への変形により上記発泡部材自体も変形してしまうため、以後、バンパフェイシアの自重による垂れを防止する機能がなくなる。
【0007】
また、発泡部材自体の持つ剛性では前方からの荷重により変形するため、発泡部材の後方に配置された部品を保護することができない。
【0008】
さらに、発泡部材だけでは十分にバンパフェイシアを支持することができず、他に剛性の高い部材と連結する連結部材が必要になる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この発明は以上のような問題に着目してなされたもので、その課題は、バンパフェイシアに上方から荷重が作用しても自重垂れを防止する機能を損なわないとともに、前方からの荷重に対しても容易に変形することがなく他の部品の保護機能を有し、かつ、部品点数が少なく、組み付け性に優れたバンパフェイシアの取付け構造を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を達成するため、本発明にあっては次のような構成としてある。
本発明の第一の構成では、
車両前部にバンパフェイシアが配設され、該バンパフェイシアの上部は車体部材に固定されるとともに上記バンパフェイシアの上端縁とボンネットの下端縁とでパーディングラインを形成し、上記バンパフェイシアの後方には車体横方向に延び箱型断面形状のバンパーレインフォースメントが配設されるバンパフェイシア取付け構造において、
上記バンパーレインフォースメント上壁に固定され、前記バンパフェイシアの裏面を支持するリテーナを配設し、上記リテーナは、基本断面形状を略L字状とし、上記バンパーレインフォースメントの前方の位置で、上記バンパフェイシアの裏面の形状に沿って当接または若干の間隙をもって下方から上方かつ後方に向けて傾斜した前壁と、略水平に後方に向かって延び上記バンパーレインフォースメントの上壁に締付部材により固定された底壁とより成り、かつ上記リテーナの底壁の一部が上記バンパーレインフォースメントの上壁まで延びずに、下方に切り起こされて上記バンパーレインフォースメントの前壁に向かって延び、その後端がほぼ水平な角度でもって上記バンパーレインフォースメントの前壁の前面に当接する突片を備えた構成としたものである。
【0011】
上記構成によれば、
バンバフェイシアが自重により下方に垂れようとする場合、まずバンパフェイシアの裏側に配設されたリテーナの前壁と底壁とで構成されたL字状支持部が支えるとともに、このL字状支持部により発生するリテーナの下方への回転モーメントをバンパーレインフォースメント前壁に当接する突片で受け持つようになるため、バンパフェイシアの下方への荷重を効果的に分散することができ、このリテーナを配設するだけでバンパフェイシアの自重による垂れを防止することができる。
【0012】
また、リテーナ自体も剛性を有するため、バンパフェイシアへの上方からの荷重に対しても変形することがなく、バンパフェイシアの自重による垂れを防止する機能を損なうことがない。
【0013】
さらに、バンパフェイシアに前方から荷重が加えられた場合、バンパフェイシアの裏面に配設されたリテーナの前壁が荷重を受けもち、その荷重をリテーナの前壁から略水平に延びレインフォースメント上面で固定されているリテーナの底壁及び突片が支持し、リテーナ後方の部品を保護することができる。
【0014】
よって、極めて簡単な構造と少ない部品点数で、バンパフェイシア上部のパーディングラインを良好な外観に保持できる。また、リテーナ後方の部品に対して保護機能を有する。
【0015】
本発明の第二の構成では、
上述のリテーナの突片に溝を設け、バンパフェイシアのフロントグリル開口部の端縁部を上記溝に差し込めるようにした構成としたものである。
【0016】
上記構成によれば、突片に設けた溝はバンパフェイシアのフロントグリル開口部の端縁部を支持することができ、バンパフェイシアの自重による垂れ下がりを一層防ぐことができる。
【0017】
よって、極めて簡単な構造でバンパフェイシアの上部のパーディングラインを良好な外観に一層保持できる。
【0018】
本発明の第三の構成では、
上述のリテーナの突片の両側方を挟み込むようにして、上記底壁と突片とを一体的に連結する車体前後方向の壁を設けた構成としたものである。
【0019】
上記構成によれば、上述の壁は突片に作用する応力をリテーナの底壁に分散することができる。
【0020】
よって、極めて簡単な構造でリテーナ突片の剛性を向上することができる。
【0021】
本発明の第四の構成では、
上述のリテーナの後方で上記バンパーレインフォースメント上方かつシュラウド前方に大気をエアクリーナーに導くフレッシュエアダクトを設けた構成としたものである。
【0022】
上記構成によれば、バンパフェイシアに前方から荷重が加えられた場合、バンパフェイシアの裏面に配設されたリテーナの前壁が荷重を受けもち、その荷重をリテーナの前壁から略水平に延びレインフォースメント上面で固定されているリテーナの底壁及び突片が支持するので、リテーナ後方に配置されるフレッシュエアダクトを保護することができる。
【0023】
また、シュラウドの前方に配置されるフレッシュエアダクトは、シュラウド後方にある高温の熱を発生するエンジンと、より遠ざけて配置することができ、また、シュラウドも熱の伝導を遮るため、フレッシュエアダクトを通過する空気の温度の上昇を防ぐことができる。また、従来は使われていなかったシュラウド前方にフレッシュエアダクトが配設されているので、シュラウド後方の部品のレイアウトがしやすく、エンジンルームの省スペース化を図ることができる。
【0024】
よって、上記リテーナにより、フレッシュエアダクトを前方からの荷重から保護しつつ、フレッシュエアダクトを通過する空気をより大気に近い温度にし、かつ最適なレイアウトと省スペース化を両立したエンジンルームを実現することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明に係わる車両前部の側面図を示す。
ボンネット1の内方にエアクリーナー12、ラジエータ6が配置され、その前方に車体横方向に延び箱型断面構造のバンパーレインフォースメント3が配設されている。
【0026】
バンパーレインフォースメント3前方には車体の前部に形成されるバンパフェイシア2が配設されており、バンパフェイシア2の上部は、車幅方向に延び、車体部材であるシュラウド4に固定されるとともにそのバンパフェイシア2の上端縁とボンネットの下端縁とでパーディングラインPが形成される。その拡大図を図7に示す。また、バンパフェイシア2下部はアンダーカバー7に接続されている。10はフロントグリル、8はタイヤを示す。
【0027】
このバンパフェイシア2のフロントグリル10の上部裏面には車体方向に延びるリテーナ11が配設されている。このリテーナ11は金属板製または高剛性樹脂製の材料よりなり、後述するようにバンパフェイシア2をバンパーレインフォースメント3で支持するための部材である。
【0028】
リテーナ11の後方でバンパーレインフォースメント3の上方かつシュラウドの前方には、フレッシュエアダクト13が車体横方向に延びて配設されている。
このフレッシュエアダクト13は、図示しない空気取り入れ口からの大気をエアクリーナー12に導くもので主に樹脂材で形成させている。図2は、バンパフェイシア2の正面図を示し、側端の複数の係合部9が図示しないマッドガードに連結されている。
【0029】
図3はリテーナ11の一部断面斜視図を示し、図4、5、6、はそれぞれ図2のA―A断面、B―B断面、C―C断面を示す。ここでリテーナ11の構造を詳述する。リテーナ11は、図5に示す断面形状を基本としている。すなわち、略L字状断面形状であり、略水平な底壁11bとバンパフェイシア2の裏面に当接または若干の隙間を持って沿うように下方から上方かつ後方に向けて傾斜した前壁11aを備えている。そして、底壁11bはバンパーレインフォースメント3の上壁3aの上面に当接し図示しない締付部材により固定されている。前壁11a上端部分には切り欠き14が設けられている。この切り欠き14は底壁11b部分をバンパーレインフォースメント3の上壁3bに固定するための締付部材を作業するための作業穴となっている。上記前壁11aと底壁11bがバンパフェイシア2をバンパーレインフォースメント3に支持するL字状支持部を形成する。図6に示すように上記L字状支持部の裏面には、底壁11bと前壁11aとを一体的に連結する車体前後方向にリブ16が形成されている。このリブ16はリテーナ11の剛性を向上する。
【0030】
さらに、リテーナ11はフロントグリル10に対向する部分の2ヶ所で底壁11bの一部がバンパーレインフォースメント3の上壁3aにまで延びずに、下方に切り起こされてバンパーレインフォースメント3の前壁3bに向かって延びる突片11cを備えている。この突辺11cは、図4に示すように前方から前壁3bに、向かって延びその後端がほぼ水平な角度でもって前壁3bの前面に当接している。
【0031】
また、この突片11cは、後方に向かう途中で一旦前方に折り返されており、この折り返した部分に横方向に長細い溝11dが設けられている。この溝11dには、バンパフェイシア2のフロントグリル10用開口部の端縁部が差し込まれている。
【0032】
突片11cの両側方には、上記突片を挟み込むようにして底壁11bと突片11cとを一体的に連結する車体前後方向の壁15が形成されている。
【0033】
次にこの実施形態における作用を説明する。
バンバフェイシア2が自重により下方に垂れようとする場合、まずバンパフェイシア2を裏側に配設されたリテーナ11の前壁11aと底壁11bとで構成されたL字状支持部が支えるとともに、このL字状支持部により発生するリテーナ11の下方への回転モーメントをバンパーレインフォースメント3の前壁3bに当接する突片11cで受け持つようになるため、バンパフェイシア2の下方への荷重を効果的に分散することができ、このリテーナ11を配設するだけでバンパフェイシア2の自重による垂れを防止することができる。上記L字状支持部はその裏面にリテーナ11の前壁11aと底壁11bを連結するようにリブ16が設けられているため、前壁11aに発生する応力を底壁11bに分散することができ、L字状支持部すなわちリテーナの剛性向上となる。
【0034】
また、リテーナ11の突片11cに設けられた溝11dはバンパフェイシア2のフロントグリル10開口部の端縁部を支持することで、バンパフェイシア2の自重による垂れを一層防ぐことができる。上記突片11cの両側方に設けた壁15はリテーナ11の底壁11bに連結しているので、突片11cに発生する応力を底壁11bに分散することができ、突片11cの剛性向上となる。
【0035】
さらに、リテーナ11自体も剛性を有するため、バンパフェイシア2への上方からの荷重に対しても変形することがなく、バンパフェイシア2の自重による垂れを防止する機能を損なうことがない。
【0036】
バンパフェイシア2前方からの過重がバンパフェイシア2の前部に作用した場合、まず、バンパフェイシア2の裏側に配設されたリテーナ11の前壁11aが荷重を受けもつとともに、リテーナの前壁11aから略水平に延び、レインフォースメント3の上壁3aに固定されているリテーナの底壁11b及び突片11cが受け止める構成となり、リテーナ11の後方の部品を保護することができる。本件の場合、リテーナ11の後方にフレッシュエアダクト13が配設されているので、フレッシュエアダクト13を保護することができる。
【0037】
シュラウド4の前方に配置されるフレッシュエアダクト13は、シュラウド4後方にある高温の熱を発生するエンジンと、より遠ざけて配置することができ、また、シュラウド4も熱の伝導を遮るためフレッシュエアダクト13を通過する空気の温度の上昇を防ぐことができる。また、従来は使われていなかったシュラウド4前方にフレッシュエアダクト13が配設されているので、シュラウド4後方の部品のレイアウトがしやすく、エンジンルームの省スペース化を図ることができる。
【発明の効果】
この発明によれば、バンパフェイシアに上方から荷重が作用しても自重垂れを防止する機能を損なわないとともに、前方からの荷重に対しても容易に変形することがなくほかの部品の保護機能を有し、かつ、部品点数が少なく、組み付け性に優れるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例を示す側面図
【図2】本考案の実施例を示す正面図
【図3】リテーナの一部断面斜視図
【図4】図2のA―Aの断面図
【図5】図2のB―Bの断面図
【図6】図2のC―Cの断面図
【図7】図1のパーディングラインPの断面拡大図
【符号の説明】
1 ボンネット
2 バンパフェイシア
3 バンパーレインフォースメント
3a バンパーレインフォースメント上壁
3b バンパーレインフォースメント前壁
4 シュラウド
5 フロントサイドフレーム
6 ラジエータ
7 アンダーパネル
8 タイヤ
9 係合部
10 フロントグリル
11 リテーナ
11a リテーナの前壁
11b リテーナの底壁
11c リテーナの突片
11d 溝
12 エアクリーナー
13 フレッシュエアダクト
14 切り欠き
15 壁
16 リブ
P パーディングライン

Claims (4)

  1. 車両前部にバンパフェイシアが配設され、該バンパフェイシアの上部は車体部材に固定されるとともに上記バンパフェイシアの上端縁とボンネットの下端縁とでパーディングラインを形成し、上記バンパフェイシアの後方には車体横方向に延び箱型断面形状のバンパーレインフォースメントが配設されるバンパフェイシア取付け構造において、
    上記バンパーレインフォースメント上壁に固定され、前記バンパフェイシアの裏面を支持するリテーナを配設し、上記リテーナは、基本断面形状を略L字状とし、上記バンパーレインフォースメントの前方の位置で、上記バンパフェイシアの裏面の形状に沿って当接または若干の間隙をもって下方から上方かつ後方に向けて傾斜した前壁と、略水平に後方に向かって延び上記バンパーレインフォースメントの上壁に締付部材により固定された底壁とより成り、かつ上記リテーナの底壁の一部が上記バンパーレインフォースメントの上壁まで延びずに、下方に切り起こされて上記バンパーレインフォースメントの前壁に向かって延び、その後端がほぼ水平な角度でもって上記バンパーレインフォースメントの前壁の前面に当接する突片を備えたことを特徴とするバンパフェイシア取付構造
  2. 上記リテーナの突片に溝を設け、バンパフェイシアのフロントグリル開口部の端縁部を上記溝に差し込めるようにしたことを特徴とする請求項1記載のバンパフェイシア取付構造
  3. 上記リテーナの突片の両側方を挟み込むようにして、上記底壁と突片とを一体的に連結する車体前後方向の壁を設けたことを特徴とする請求項1記載のバンパフェイシア取付構造
  4. 上記リテーナの後方で上記バンパーレインフォースメント上方かつシュラウド前方に大気をエアクリーナーに導くフレッシュエアダクトを設けたことを特徴とする請求項1記載のバンパ取付構造
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