JP3921990B2 - ラジエータグリルの取付構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の車体前面に設けられるラジエータグリルの取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のラジエータグリルの取付構造としては、例えば、図5の要部断面図に示すようなものが知られている。
この従来技術は、車体に設けられたフロントサイドメンバの前方にフロントバンパフェイシャ01が配設され、前記フロントサイドメンバの先端にそれぞれ設けられたバンパステイ間には、車幅方向へ延びるリテーナ02が設けられている。前記フロントバンパフェイシャ01は、上縁に形成されたフランジ01aの後方延長部が前記リテーナ02の上面とツーピースクリップ03によって固定され、下縁後部の後方延長部がラジエータコアサポートロアにボルト締結されている。そして、ラジエータグリル04は、上面04aの後部が車体に設けられたラジエータコアサポートアッパ05にツーピースクリップ03によって固定されるとともに、下端に垂設された差込片04bが前記フロントバンパフェイシャ01のフランジ01aにおいて前記リテーナ02との固定位置よりも前方に形成された差込穴01bに差し込まれ、前記差込片04bに突設された係止爪04cが前記差込穴01bの開口縁部と係合し抜け止めされた状態でフロントバンパフェイシャ01に支持されている。なお、06はラジエータグリル04上方を覆うフードである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術にあっては、ラジエータグリル04の下端側をフロントバンパフェイシャ01のフランジ01aに取り付ける差込穴01bの後方に、フランジ01aとリテーナ02とをツーピースクリップ03で固定するためのスペースが必要であるから、差込片04bの差込位置からフランジ01aの後端までの寸法H0が大きくなり、その分だけラジエータグリル04後方のレイアウトに対して不利になるという問題があった。
さらに、ラジエータグリル04の下端側を支持するフロントバンパフェイシャ01は合成樹脂で成型されているので、ラジエータグリル04の上面04a前部に人が手をついて下方へ押圧すると、ラジエータグリル04がフロントバンパフェイシャ01とともに弾性変形することがあり、手つき剛性の確保が十分ではなく、品質感も悪かった。
【0004】
本発明は、上記従来技術が抱える問題点に着目してなされたものであって、その目的とするところは、ラジエータグリル後方のレイアウトの自由度拡大を図り、さらに、上下方向の荷重に対して十分な剛性を確保することができるラジエータグリルの取付構造を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明は、車体の前部形状に沿って形成され、上部に開口部が形成されたフロントバンパフェイシャが、少なくとも前記開口部の上縁部を車体に固定された状態で車体前面に取り付けられ、前記開口部の下方に、車体に固定され車幅方向へ延びるリテーナが設けられ、前記開口部を覆うラジエータグリルが設けられ、このラジエータグリルは、上端が前記開口部の上縁部に固定されるとともに、下端が前記リテーナの上面載置支持されていることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2記載の発明では、請求項1記載のラジエータグリルの取付構造において、前記ラジエータグリルの下端近傍に差込穴が穿設され、前記フロントバンパフェイシャの下縁部に差込片が形成され、該差込片が差込穴に挿入されているとともに、該差込片が差込穴に抜け止め用クリップで固定されていることを特徴とする。
【0008】
【発明の作用および効果】
本発明では、フロントバンパフェイシャの上部に形成された開口部の上縁部が車体に固定されているので、開口部の下縁部を車体後方に延長してリテーナに固定する必要がなくなり、前記上縁部によって強度確保される分だけ下縁部の強度確保を省略でき、従来技術に比してラジエータグリル下縁部のラジエータグリル車体後方側の突出部分を短く形成することができる。また、ラジエータグリルは、上端がフロントバンパフェイシャの開口部の上縁部に固定され、下端がリテーナの上面載置支持されているので、ラジエータグリル下端の支持位置から前記開口部の下縁部先端までの取付寸法を小さく設定することができ、ラジエータグリル車体後方側のレイアウトの自由度拡大を図ることができるとともに、軽衝突時にはフロントバンパフェイシャに入力された衝突荷重がリテーナに入力されることがなく、リテーナの破損を防止して修繕費を最小限に抑えることができるという効果が得られる。
【0009】
請求項2記載の発明では、ラジエータグリルの下端近傍に差込穴が穿設され、前記フロントバンパフェイシャの下縁部に差込片が形成され、該差込片が差込穴に挿入されているとともに、該差込片が差込穴に抜け止め用クリップで固定されているので、フロントバンパフェイシャの下縁部とラジエータグリルとを固定、保持することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、構成を説明する。
図1は実施の形態のラジエータグリル取付構造を適用した車両の前部を示す分解斜視図、図2は図1のA−A断面図、図3は図1のB−B断面図、図4は図1のC−C断面図である。なお、図1には右前部の図示が省略されているが、図の車両は左右対称な形状であり、以下の説明も左前部のみを説明して右前部の説明は省略する。
【0012】
図において、1はラジエータコアサポートアッパ、2はラジエータコアサポートロア、3はリテーナ、4はフロントバンパフェイシャ、5はラジエータグリル、6はヘッドランプである。
【0013】
前記ラジエータコアサポートアッパ1とラジエータコアサポートロア2は、ラジエータコアサポートの上部と下部とを構成するもので、車幅方向に沿って車体に取り付けられ、両者の間には図外のラジエータコアがマウントされている。なお、前記ラジエータコアサポートアッパ1は、開口を下方に向け上面11が水平な断面略コ字状に形成され、上面11の所定位置には取付用孔11aが穿設されている。
【0014】
前記リテーナ3は、ラジエータコアサポートアッパ1よりも車体前方に配置されて車幅方向に沿って車体に取り付けられ、開口を下方に向け上面31が水平な断面略コ字状に形成されている。このリテーナ3は、その両端3aをバンパステイ7の内側面にボルト止めされており、前記バンパステイ7は、車体前部の下方左右に配置され、車体の前後方向に延在する図外のフロントサイドメンバの先端に接合されている。
【0015】
前記フロントバンパフェイシャ4は、車体の前部形状に沿って合成樹脂により一体成型されている。このフロントバンパフェイシャ4の上部において前記ラジエータコアが配置される前方位置には、前記ラジエータグリル5が取り付けられる矩形の開口部41が車体の前後方向に沿って設けられている。
【0016】
この開口部41の上縁部42は、車幅方向に沿って水平に配置され、その車幅方向両端には、ツーピースクリップ8aを挿入するための取付用孔42aとボルト9を挿入するための取付用孔42bが穿設されている。前記上縁部42の車体前方側の端縁は内側に曲げ加工され、一方、上縁部42の前記取付用孔42aの車体後方側の端縁は、前記ラジエータコアサポートアッパ1の上面11まで延設されて取付片42cが形成されている。この取付片42cは、中央部が上方に向かって傾斜し、後端の水平部分には前記ラジエータコアサポートアッパ1の上面11に設けられた取付用孔11aと同位置に取付用孔42dが穿設されている。これら両取付用孔42d,11aにツーピースクリップ8bを上方から挿入して頭部を下方へ押圧することにより、ツーピースクリップ8bの側面中央部が拡径して、前記取付片42cとラジエータコアサポートアッパ1が締結される。
【0017】
前記開口部41の下縁部43は、車幅方向に沿って水平に配置され、その車体後方側の端縁には、車体後方へ向かって3つの差込片43aが形成されるとともに、これら3つの差込片43aの上面側は下方に切欠され、それぞれ係止段部43bが形成されている。
【0018】
また、図1においてフロントバンパフェイシャ4の下部に設けられた44は、グリルフロントバンパである。
なお、図示は省略したが、フロントバンパフェイシャ4の下縁後部の後方延長部は、前記ラジエータコアサポートロア2の下面にボルト止めにより締結されている。
【0019】
前記ラジエータグリル5は、十分な剛性を有する合成樹脂等を用いてメッシュ状に形成されており、その前後方向には多数の通気孔が形成されている。このラジエータグリル5の上端には、前記上縁部42の上面まで延設されたフランジ部51が設けられ、一方、下端の車幅方向両端の車体中央側と車幅方向中央には、前記リテーナ3の上面31に載置される支持部52a,52bがそれぞれ設けられている。
【0020】
前記フランジ部51の車幅方向両端の後端部は、車体後方へ向かって延設され、その延設部分には取付用孔51a,51bが穿設されている。前記取付用孔51aは、前記上縁部42の上面に穿設された取付用孔42aと同位置に設けられ、両取付用孔51a,42aにツーピースクリップ8aが装着されることにより、上縁部42とフランジ部51とが締結されている。また、前記取付用孔51bは、前記上縁部42の取付用孔42bと同位置に設けられ、その上部には前記ボルト9の座金9aが嵌合される座ぐり部が形成されている。
【0021】
前記ラジエータグリル5の側部下端近傍には、前記フロントバンパフェイシャ4の下縁部43に形成された差込片43aを挿入可能な差込穴53が車体の前後方向に沿って穿設されている。前記差込片43aは、係止段部43までを前記差込穴53に挿入した状態で、その先端部がラジエータグリル5の車体後方側から突出するように設定されている。そして、前記突出部分には、抜け止めのための鰐口クリップ10が固定されていて、前記下縁部43とラジエータグリル5の側部との固定が保持されている。
【0022】
前記ヘッドランプ6は、前記ラジエータコアサポートアッパ1とラジエータコアサポートロア2の側部を上下で連結するラジエータコアサポートサイド12に図外のブラケットを介して固定されており、このヘッドランプ6には、車体中央側に取付用ブラケット61が突設され、この取付用ブラケット61には、前記上縁部42に穿設された取付用孔42bと、前記ラジエータグリル5のフランジ部51に穿設された取付用孔51bと同一位置に取付用孔61aが穿設されている。そして、これら取付用孔42b,51b,61aに上方から前記ボルト9が挿入され、下方側からナット9bで締め付けることによって、前記取付用ブラケット61に上縁部42とラジエータグリル5が固定されている。
なお、図2〜4において、Fはラジエータコアサポートアッパ1よりも後方に形成されるエンジンルームを開閉するフードである。
【0023】
以上説明してきたように、本発明の実施の形態においては、フロントバンパフェイシャ4の上部に形成された開口部41の上縁部42の車幅方向両端が、車体に固定されたラジエータコアサポートアッパ1とヘッドランプ6に固定されているので、開口部41の下縁部43を車体後方に延長してリテーナ3に固定する必要がなく、前記上縁部42によって強度確保される分だけ下縁部43の強度確保を省略でき、従来技術に比してラジエータグリル5の下縁部における車体後方側の突出部分を短く形成することができる。
【0024】
また、ラジエータグリル5は、上端に設けられたフランジ部51がフロントバンパフェイシャ4の開口部41の上縁部41に固定され、下端の支持部52a,52bがリテーナ3の上面31に支持され、さらに、側部の下端近傍に穿設された差込穴53に前記開口部41の下縁部43に突設された差込片43aが差し込まれてその先端をラジエータグリル5の車体後方側から鰐口クリップ10で抜け止めされているので、ラジエータグリル5下端の支持部52a,52bから前記鰐口クリップ10の車体後方側端部までの取付寸法H1を小さく設定することができ、ラジエータグリル5の車体後方側のレイアウトの自由度拡大を図ることができるという効果が得られる。
【0025】
また、非変形素材で形成されたラジエータグリル5の上端がフロントバンパフェイシャ4の開口部41の上縁部42に固定され、下端の支持部52a,52bが車体に固定されたリテーナ3の上面31に支持されるとともに、ラジエータグリル5の側部の下端近傍に前記開口部41の上縁部42が固定されているので、ラジエータグリル5は上下方向の剛性が十分に確保できることから、ラジエータグリル5の上部に人が手をついて強く下方へ押しても、荷重を車体に固定されたリテーナ3で支持することができる。よって、上下方向の荷重に対して十分な剛性を確保でき、ラジエータグリル5がフロントバンパフェイシャ4とともに変形するのを防止することができる。
【0026】
また、ラジエータグリル5の支持部52a,52bがリテーナ3の上面31に載置されているので、軽衝突時にはフロントバンパフェイシャ4に入力された衝突荷重がリテーナ3に入力されることがなく、リテーナ3の破損を防止して修繕費を最小限に抑えることができるという効果が得られる。
【0027】
また、ラジエータグリル5は、上端が開口部41の上縁部42に固定可能に設けられ、側部に開口部41の下縁部43に突設された差込片43aを挿入する差込穴53が形成され、さらに、下端にリテーナ3の上面に載置可能な支持部52a,52bを設けた構成であれば、リテーナ3の形状や位置を変更することなしに、異なる形状のものを採用することができるので、ラジエータグリル5の仕様違いによるリテーナの作り分けが不要であり、部品の共有化によるコストダウンを図ることができる。
【0028】
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、本発明の具体的な構成は本実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、リテーナ3の上面31にビードを形成することにより、ラジエータグリル5下端の支持部52a,52bの左右方向の移動を規制する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施の形態のラジエータグリル取付構造を適用した車両の前部を示す分解斜視図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】図1のC−C断面図である。
【図5】従来技術を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1 ラジエータコアサポートアッパ
11 上面
11a 取付用孔
12 ラジエータコアサポートサイド
2 ラジエータコアサポートロア
3 リテーナ
3a 端部
31 上面
4 フロントバンパフェイシャ
41 開口部
42 上縁部
42a 取付用孔
42b 取付用孔
42c 取付片
42d 取付用孔
43 下縁部
43a 差込片
43b 係止段部
44 グリルフロントバンパ
5 ラジエータグリル
51 フランジ部
51a 取付用孔
51b 取付用孔
52a 支持部
52b 支持部
53 差込穴
6 ヘッドランプ
61 取付用ブラケット
61a 取付用孔
7 バンパステイ
8a ツーピースクリップ
8b ツーピースクリップ
9 ボルト
9a 座金
9b ナット
10 鰐口クリップ
F フード

Claims (2)

  1. 車体の前部形状に沿って形成され、上部に開口部が形成されたフロントバンパフェイシャが、少なくとも前記開口部の上縁部を車体に固定された状態で車体前面に取り付けられ、前記開口部の下方に、車体に固定され車幅方向へ延びるリテーナが設けられ、前記開口部を覆うラジエータグリルが設けられ、このラジエータグリルは、上端が前記開口部の上縁部に固定されるとともに、下端が前記リテーナの上面載置支持されていることを特徴とするラジエータグリルの取付構造。
  2. 前記ラジエータグリルの下端近傍に差込穴が穿設され、前記フロントバンパフェイシャの下縁部に差込片が形成され、該差込片が差込穴に挿入されているとともに、該差込片が差込穴に抜け止め用クリップで固定されていることを特徴とする請求項1記載のラジエータグリルの取付構造。
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