JP4006622B2 - 非晶性ポリエステル樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品、化粧品、飲料用のシュリンクラベル、保香性ヒートシールフィルム、耐油性多層シート等、各種シート、フィルム、特に工業加工用シート、フィルムに有用で特に耐衝撃性と透明性に優れた非晶性ポリエステル樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より塩化ビニル系シート(フィルムを含む、以下同様)は安価でかつ透明性に優れることからあるゆる用途に多用されている。塩化ビニルは可塑剤を添加する事により自由に柔軟性を調節できることからシートとしての加工がしやすく、その用途の代表例としては、木材の意匠性向上のために木目を印刷した化粧板シートがある。しかしながら近年、リサイクルの難しさや焼却の難しさの問題より塩化ビニル系シートを他の素材に置き換えようとする動きがある。数ある代替素材の内、ポリエステルはその物理的性状、価格等の面より有力な素材である。
【0003】
具体的にはポリエチレンテレフタレート(PET)のテレフタル酸、エチレングリコール以外の他の1〜2成分を共重合した非晶性の共重合ポリエステル、例えばテレフタル酸//エチレングリコール/シクロヘキサンジメタノール=100//70/30mol%の組成である樹脂等でその代替が行われようとしている。非晶性ポリエステルは、樹脂結晶化に起因する白化が起こらないため、一般に透明性に優れている。
【0004】
しかしながら、このような組成の共重合ポリエステルは、塩化ビニルと較べエンタルピー緩和が顕著なために経時的な耐衝撃性に関して劣ることが判明した。経時的な耐衝撃性が良好でないために、シートや化粧板、ブリスターパックとして実際使用される際に衝撃部が白化を起こしたり、割れが生じるという問題が生じた。
【0005】
このため、非晶性ポリエステル樹脂に耐衝撃性の良好な樹脂、例えばポリオレフィン、アクリレートエラストマー、ウレタンエラストマー、ABS樹脂等を配合して耐衝撃性を改良する試みが行われているが、相溶性が悪く、得られた樹脂自身が透明性に欠け、用途が制限される等の問題が生じていた。すなわち非晶性ポリエステル樹脂の透明性を保持したまま耐衝撃性を付与する技術はこれまでになかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑み、非晶性ポリエステルの透明性と耐衝撃性を両立化できる樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記問題を達成すべく、鋭意研究した結果、非晶性ポリエステル樹脂、衝撃吸収剤、結晶核剤からなる樹脂組成物により高度な耐衝撃性と良好な透明性を両立化できることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち本発明は以下の特徴を有している。
(1)厚さ200μmのシートにした際のヘイズ値が10%以下であり、かつ成形後10日以上経過した成型品のアイゾット衝撃強度が50J/m以上である非晶性ポリエステル樹脂組成物であって、該組成物が、ジカルボン酸成分、グリコール成分それぞれの合計量を100mol%としたとき、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を全二塩基酸成分の60mol%以上、グリコール成分としてエチレングリコールを全グリコール成分の50mol%以上含む非晶性ポリエステル樹脂(A)、衝撃吸収剤(B)、結晶核剤(C)からなり、(A)100重量部に対し、(B)0.1〜30重量部、(C)0.05〜10重量部であり、衝撃吸収剤(B)がグリシジル基含有オレフィン系エラストマーである非晶性ポリエステル樹脂組成物
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の非晶性ポリエステル樹脂組成物は厚さ200μmのシートにしたときのヘイズ値が10%以下である必要がある。好ましいヘイズ値は8%以下、より好ましくは6%以下である。一方下限は特に限定されず、透明であればあるほど好ましいので限りなく0%に近いものが良い。ヘイズ値が10%を越えると透明性が低下することがある。以下にその測定方法を述べる。
【0013】
樹脂組成物(ペレット状になっていることが好ましい)を75μmポリイミドフィルムに挟んだ後、卓上型テストプレス(テスター産業株式会社製)にて温度220℃、圧力2kgf/cm2において3分間プレスした後、すぐに水浴にて急冷する。そしてポリイミドフィルムからポリエステルシートを剥がし取り、厚み200μmのシートを得る。この際正確に200μmにするために、必要に応じてスペーサーを用いる場合がある。このシートを用いてJIS K7136規格に則り、ヘイズメーターでヘイズを測定する。単位は%で表す。
【0014】
本発明の非晶性ポリエステル樹脂組成物は、成形後10日以上経過した成型品のアイゾット衝撃強度が50J/m以上である必要がある。好ましいアイゾット衝撃強度は60J/m以上、さらに好ましくは70J/mである。成型10日以上経過した成型品のアイゾット衝撃強度が50J/m未満であると良好な耐衝撃性が得られない。従来品は成型直後の衝撃強度が高くても、樹脂のエンタルピー緩和が起こることにより、経時的に衝撃強度が低下するのに対し、本発明では経時後も良好な耐衝撃性を発揮するものである。
【0015】
以下にアイゾット衝撃強度を測定する方法について述べる。樹脂組成物のペレットを50℃×8時間の条件で真空下にて乾燥する。型締圧100tの射出成型機(東芝株式会社製、IS−100)を用い、シリンダー温度200〜220℃、金型温度40℃にて射出成形を行い、ASTM D256法に則り、23℃でのノッチ付きアイゾット衝撃強度測定する。成型加工2時間後と20℃×10日間保存後の衝撃強度を測定し、経時変化について評価する。単位はJ/mで表す。
【0016】
本発明の優れた透明性と耐衝撃性を達成するためには、ジカルボン酸成分、グリコール成分それぞれの合計量を100mol%としたとき、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を全二塩基酸成分の60mol%以上、グリコール成分としてエチレングリコールを全グリコール成分の50mol%以上含む非晶性ポリエステル樹脂(A)、衝撃吸収剤(B)、結晶核剤(C)からなり、(A)100重量部に対し、(B)0.1〜30重量部、(C)0.05〜10重量部である非晶性ポリエステル樹脂組成物を使用することが好ましい。
【0017】
非晶性ポリエステル樹脂(A)としては、ジカルボン酸成分、グリコール成分それぞれの合計量を100mol%としたとき、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を全二塩基酸成分の60mol%以上かつグリコール成分としてエチレングリコールを全グリコール成分の50mol%以上含むものである。テレフタル酸の含有量が60mol%未満またはエチレングリコールの含有量が50mol%未満であると、耐衝撃性に劣ることがある。
【0018】
なお、ここで言う非晶性とは示差走査熱量計(DSC)を用いて−100℃から300℃まで20℃/分の速度で昇温した際に明確な融解ピークを持たないことを意味する。結晶性を持つ場合にはシートを加工する際の加熱や折り曲げにより結晶化し白濁することがあるので好ましくない。
【0019】
非晶性ポリエステル樹脂(A)は、非晶性を達成するために、テレフタル酸、エチレングリコール以外の第三成分が二塩基酸成分またはグリコール成分の少なくともいずれかに5mol%以上共重合されているものであることが好ましい。第三成分が5mol%未満であると、結晶性が高くなる場合がある。
【0020】
第三成分は二塩基酸成分とグリコール成分の合計で60mol%以下(全二塩基酸成分と全グリコール成分の合計で200mol%とする)であることが好ましく、さらに好ましくは50mol%以下、特に好ましくは40mol%以下である。同様に二塩基酸成分とグリコール成分の合計で10モル%以上であることが好ましく、さらには20mol%以上であることが好ましい。また、第三成分は二塩基酸成分のみであってもジオール成分のみであっても、両方であっても良い。なお、第三成分の共重合割合は、モノマーの種類により耐衝撃性と非晶性を満足する範囲内に適宜調整されるものである。
【0021】
第三成分の二塩基酸成分としては、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタル酸、2,6−ナフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族二塩基酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族や脂環族二塩基酸が挙げられ、これらの中でも、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましく、特にはイソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が耐衝撃性を付与する上で好ましい。
【0022】
第三成分のグリコール成分としては、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルヒドロキシピバリン酸エステル、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、1,9−ノナンジオール、2−メチルオクタンジオール、1,10−ドデカンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、トリシクロデカンジメタノール等が挙げられ、これらの中でもプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールが好ましく、挙げられる。これらの中でも、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールが汎用性や経済性の面でさらに好ましい。
【0023】
ポリエステル(A)の具体例としては、例えば、テレフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=100//70/30mo1%の組成である樹脂やテレフタル酸//エチレングリコール/シクロヘキサンジメタノール=100//70/30mol%の組成である樹脂等が挙げられる。
【0024】
本発明に用いられる非晶性ポリエステル樹脂(A)の数平均分子量は、好ましくは15000〜40000、より好ましくは18000〜35000、さらに好ましくは20000〜35000である。数平均分子量が15000未満であると、樹脂凝集力不足のためにシートの強伸度が不足し、脆くなって使用できないことがある。一方、40000以上になると溶融粘度が上がるために、シート加工するのに最適な温度も上がってしまい、ポリエステル樹脂の分解を招き、耐衝撃性が低下する虞がある。
【0025】
本発明に用いられる非晶性ポリエステル樹脂(A)の酸価は、好ましくは60当量/106g以下、より好ましくは50当量/106g以下、さらに好ましくは40当量/106g以下である。酸価が60当量/106gを越えると、シート加工時に樹脂を加熱する際、加水分解がより促進され、できあがったシートの機械的強度が低下する場合がある。
【0026】
本発明において用いられるポリエステル樹脂の組成及び組成比を決定する方法としては例えばポリエステル樹脂を重クロロホルム等の溶媒に溶解して測定する1H−NMRや13C−NMR、ポリエステル樹脂のメタノリシス後に測定するガスクロマトグラフィーによる定量等が挙げられる。これらのうち、1H−NMRが簡便であり好ましい。
【0027】
本発明の優れた透明性と耐衝撃性を達成するためには非晶性ポリエステル樹脂(A)の他に衝撃吸収剤(B)を併用することが好ましい。衝撃吸収剤(B)はポリエステル樹脂の衝撃吸収剤として一般に用いられている熱可塑性エラストマーである。
【0028】
衝撃吸収剤の添加量は、非晶性ポリエステル(A)100重量部に対し、0.1〜30重量部である。より好ましい上限は25重量部、さらに好ましい上限は20重量部である。一方好ましい下限は0.5重量部、さらに好ましくは1重量部である。衝撃吸収剤の添加量が0.1重量部未満であると衝撃吸収の効果が認められないことがある。一方添加量が30重量部を越えるとシートの透明性の低下を招く虞がある。
【0029】
衝撃吸収剤としては、例えば、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、オレフィン系エラストマー等のような熱可塑性エラストマーが挙げられる。ここで言う熱可塑性エラストマーとは、常温ではゴム状弾性を持つ固体であり、かつ加熱すると粘度が低下するものを示す。従って非晶性ポリエステルと溶融混合が可能である。
【0030】
これらの衝撃吸収剤として用いられる化合物の中で本発明に効果の大きいものは、グリシジル基含有熱可塑性エラストマーであり、より効果の大きいものはグリシジル基含有オレフィン系エラストマーである。これは日本油脂(株)よりノフアロイシリーズとして市販されているものを使用することが出来る。
【0031】
本発明の優れた透明性と耐衝撃性を達成するためには、非晶性ポリエステル樹脂(A)の他に結晶核剤(C)を用いることが好ましい。本発明に用いられる結晶核剤(C)としては例えば、タルク、シリカ、グラファイト、炭素粉、ピロフェライト、石膏、中性粘土等の無機質微粒子や、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、二酸化チタン等の金属酸化物、硫酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、シュウ酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、スルホン酸塩、モンタンワックス塩、モンタンワックスエステル塩、テレフタル酸塩、カルボン酸塩、α−オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸塩とからなるイオン性共重合体等が挙げられる。
【0032】
非晶性のポリエステル樹脂(A)に結晶核剤を添加することにより、非晶性ポリエステル(A)が衝撃負荷による高圧下において結晶化する際の結晶核剤として働き、結晶の大きさが可視光の波長以下(約500nm以下)の非常に微細な結晶となるため、透明性が失われないものと考えられる。なお、結晶の大きさは300nm以下、さらには200nm以下、特には100nm以下になることが好ましいと考えられる。
【0033】
これらの結晶核剤として用いられる化合物の中で本発明に効果の大きいものは、タルク、シリカ、親油性スメクタイト、シュウ酸塩、ステアリン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、酒石酸塩、スルホン酸塩、モンタンワックス塩、モンタンワックスエステル塩、テレフタル酸塩、カルボン酸塩、α−オレフィン等である。これらのうち、コープケミカル株式会社より市販されている粘土鉱物である親油性スメクタイトSTNが透明性と耐衝撃性を両立する上で非常に好ましい。
【0034】
本発明に用いられる結晶核剤(C)の配合量は非晶性ポリエステル樹脂(A)100重量部に対して0.01〜10重量部であることが好ましい。好ましい上限は8重量部、より好ましい上限は5重量部である。一方好ましい下限は0.1重量部、より好ましい下限は0.3重量部である。この配合量が0.01重量部より少ないところでは結晶核剤としての効果が十分でなく、本発明の目的である耐衝撃性向上効果がないことがある。また、10重量部を越える場合には、組成物の溶融状態における流動性や組成物の機械特性が劣ってくる虞がある。
【0035】
さらに本発明のポリエステル樹脂組成物には、その目的に応じた所望の特性を付与するために、一般に熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂に添加される公知の物質、すなわち酸化防止剤や紫外線吸収剤などの安定剤、耐電防止剤、染料や顔料などの着色剤、潤滑剤、離型剤などを配合することが可能である。
【0036】
本発明のポリエステル樹脂組成物の、220℃、剪断速度100sec-1のときの溶融粘度は、好ましくは6000〜60000dPa・sec、より好ましくは7000〜50000dPa・sec、さらに好ましくは8000〜40000dPa・secである。溶融粘度が6000dPa・sec未満だとシートの加工性が低下することがある。一方60000dPa・secを越えると溶融粘度が高すぎて、生産性が低下するため実用的でない場合がある。
【0037】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、これらの配合成分が均一に分散されていることが好ましく、その配合方法は任意の方法を用いることができる。例えば配合成分の全部または一部を加熱した単軸、二軸等の押出機に一括または分割して供給し、溶融混練により均質化された後に針金状に押出された溶融樹脂を冷却固化させ、次いで所望の長さに切断する方法があるが、ブレンダー、ニーダー、ロール等他の混練機を用いた方法でも良い。また、これらを組み合わせて用いたり、複数回繰り返すことにより配合成分を順次加える方法等もとることができる。
【0038】
さらに、得られた樹脂組成物の成形加工方法は、特に限定されるものではなく、熱可塑性樹脂について一般に用いられる成形法、すなわち、射出成形法、ブロー成形法、押出成形法、カレンダー成形法、シート成形法、ロール成形法、プレス成形法、積層成形、溶融キャスト法によるフィルム成形、紡糸等の各種成型方法が適用できる。
【0039】
本発明のポリエステル樹脂組成物を用いて作成したシートやフィルムの膜厚としては特に限定されるものではないが、シート、化粧板、ブリスターパック等の用途を考えると、1〜3000μmであることが好ましく、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは50μm以上である。また、厚みの上限としては2000μmがより好ましく、さらに好ましくは1000μm以下である。
【0040】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に例示する。
【0041】
(ポリエステル樹脂A−1合成)
温度計、攪拌機、留出用冷却管を具備した反応容器にテレフタル酸ジメチル194重量部、エチレングリコール86.8重量部、ネオペンチルグリコール62.4重量部、テトラブチルチタネート0.1重量部を仕込み、4時間かけて220℃まで徐々に昇温し、留出するメタノールを系外に除きつつエステル交換反応を行った。続いてこれを30分かけて500Paまで減圧初期重合を行うとともに、温度を250℃まで昇温し、さらに130Pa以下で60分間後期重合を行い樹脂(A−1)を得た。ポリエステル樹脂(A−1)はテレフタル酸//エチレングリコール/ネオペンチルグリコール=100//70/30 mol%の組成を有しており、ガラス転移温度78℃、数平均分子量20000、酸価15当量/106gであった。
【0042】
尚、ポリエステル樹脂特性の測定は以下のように行った。
ガラス転移温度;示差走査熱量計(DSC)はセイコー電子工業(株)製DSC220を用いて、−100〜300℃まで20℃/minの昇温速度で測定した。
樹脂組成;樹脂を重クロロホルムに溶解し、1H−NMRにより定量した。
数平均分子量;クロロホルム溶媒、ポリスチレン標準にて、ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定した。
酸価;試料0.2gを精秤し20mlのクロロホルムに溶解した。ついで、0.01Nの水酸化カリウム(エタノール溶液)で滴定して求めた。指示薬には、フェノールフタレインを用いた。単位は当量/106g(樹脂1t当たりの当量数)で示した。
【0043】
(ポリエステル樹脂A−2合成)
温度計、攪拌機、留出用冷却器を具備した反応容器にテレフタル酸ジメチル194重量部、エチレングリコール105.4重量部、シクロヘキサンジメタノール43.2重量部、テトラブチルチタネート0.1重量部を仕込み、4時間かけて220℃まで徐々に昇温し、留出するメタノールを系外に除きつつエステル交換反応を行った。続いてこれを30分かけて500Paまで減圧初期重合を行うとともに、温度を250℃まで昇温し、さらに130Pa以下で70分間後期重合を行いポリエステル樹脂(A−2)を得た。(A−2)の組成は、テレフタル酸//エチレングリコール/シクロヘキサンジメタノール=100//70/30mol%であり、ガラス転移温度85℃、数平均分子量25000、酸価15当量/106gであった。
【0044】
(B−1)グリシジル基含有オレフィン系エラストマーとしてノフアロイIE205(日本油脂株式会社製)
(B−2)エチレン−アクリル酸共重合体の亜鉛塩であるハイミラン1650(三井・デュポンポリケミカル株式会社製)
(C)親油性スメクタイトSTN(コープケミカル株式会社製)
を表1に示す割合にて、予めタンブラーで均一に混合した後、二軸押出機を用い溶融混練し、冷却切断してペレットを得た。尚表1中の数値は重量部を表す。
【0045】
次いでこのペレットを用いて下記各特性を評価した。それらの結果を表2に示す。
(1)透明性
このペレットを75μmポリイミドフィルムに挟んだ後、卓上型テストプレス(テスター産業株式会社製)にて温度220℃、圧力2kgf/cm2においてプレスした後、ポリイミドフィルムからポリエステルシートを剥がし取り、厚み200μmのシートを得た。このシートを用いてJIS K7136規格に則り、ヘイズメーターでヘイズを測定した。単位は%である。
(2)衝撃強度
このペレットを50℃×8時間の条件で真空下にて乾燥した。型締圧100tの射出成型機(東芝株式会社製、IS−100)を用い、シリンダー温度200〜220℃、金型温度40℃にて射出成形を行い、ASTM D256法に則り、23℃でのノッチ付きアイゾット衝撃強度測定した。成型加工2時間後と20℃×10日間保存後の衝撃強度を測定し、経時変化についても同時に評価した。単位はJ/mである。
【0046】
【表1】
Figure 0004006622
【0047】
【表2】
Figure 0004006622
【0048】
評価結果表2から分かるように、特に非晶性ポリエステル樹脂(A)単独である比較例1、4では透明性良好ではあるが経時的に衝撃強度が低下するのに対し、この樹脂の透明性を保持したまま耐衝撃性を付与させるという点で優れていることがわかる。また従来より知られた衝撃吸収剤としてハイミラン1650(変性ポリオレフィン)を使用した比較例7、8は透明性が不十分であることが判る。さらにはポリエステルに衝撃吸収剤のみあるいは結晶核剤のみを添加した比較例2、3、5、6はいずれもアイゾット衝撃強度が劣る傾向にある。
【0049】
【発明の効果】
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を全二塩基酸成分の60mol%以上、グリコール成分としてエチレングリコールを全グリコール成分の50mol%以上含む非晶性ポリエステル樹脂、衝撃吸収剤、結晶核剤からなる樹脂組成物は、高度な耐衝撃性と良好な透明性を両立化が可能であり、食品、化粧品、飲料用のシュリンクラベル、保香性ヒートシールフィルム、耐油性多層シート等、各種シート、フィルム、特に工業加工用シート、フィルムとして使用するのに好適である。

Claims (1)

  1. 厚さ200μmのシートにした際のヘイズ値が10%以下であり、かつ成形後10日以上経過した成型品のアイゾット衝撃強度が50J/m以上である非晶性ポリエステル樹脂組成物であって、該組成物が、ジカルボン酸成分、グリコール成分それぞれの合計量を100mol%としたとき、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を全二塩基酸成分の60mol%以上、グリコール成分としてエチレングリコールを全グリコール成分の50mol%以上含む非晶性ポリエステル樹脂(A)、衝撃吸収剤(B)、結晶核剤(C)からなり、(A)100重量部に対し、(B)0.1〜30重量部、(C)0.05〜10重量部であり、衝撃吸収剤(B)がグリシジル基含有オレフィン系エラストマーである非晶性ポリエステル樹脂組成物
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