JP4006616B2 - 車両監視装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両監視装置に関し、特に、警告対象の車両を、適切に、かつ公平に特定することができるようにした車両監視装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、道路交通の分野において騒音問題が大きくクローズアップされており、それとともに、整備不良などを原因として所定の基準以上の騒音を発生しながら走行する車両に対して、各種の警告を出力する車両監視システムが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、そのような車両監視システムにおいては、警告する車両の判断基準となる騒音の閾値が常に一定であり、車種や環境の相違などが考慮されないため、車種によって公平さに欠ける場合があり、また、実際には車両から発生される騒音が閾値を超えていないにも関わらず警告されるおそれがあった。
【0004】
例えば、大型トラックなどは、その構成が普通車よりも大きいため、発生する騒音が大きくなるのは当然である。そのため、普通車を対象として騒音の閾値を設定した場合、大型トラックなどはすぐに警告対象とされてしまう。
【0005】
また、雨などにより路面が濡れた状態の場合、それぞれの車両が発生する騒音は通常時よりも大きくなり、通常時では警告対象とされない騒音しか発生していない車両が、雨の日には警告対象とされることがある。
【0006】
ところで、特開平7−311581号公報には、車両が発生する騒音が車両内に反響することを抑制する信号のレベルを、トンネル内か否かによって変化させることが提案されている。また、特開平10−54754号公報には、工事現場が発生する騒音を測定する場合において、工事現場以外の地域から発せられる騒音を除去する減衰率を時刻によって変化させることが提案されている。
【0007】
そこで、車両が発生する騒音を測定する車両監視システムの分野においても、このように環境や時刻に応じて警告対象の車両を特定する閾値を変化させることにより、全ての車両に対して公平に監視することが望まれている。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、警告対象の車両を、適切に、かつ公平に特定することができるようにするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の車両監視装置は、道路を走行する車両の車種を識別する車種識別手段と、車両が発生する音を検出する音検出手段と、音検出手段により検出された音の音量が閾値を超えるか否かを判定する判定手段と、判定手段により車両が発生する音の音量が閾値を超えていると判定された場合、車両に対して警告を出力する警告出力手段とを備え、判定手段は、車種識別手段により識別された車種に応じて閾値を変化させて判定を行うことを特徴とする。
【0010】
車種識別手段は、例えば、図5のステップS8の処理を実行する図2の警告判定部34により、音検出手段は、例えば、図2のマイクロホン3A乃至3Cにより、それぞれ構成される。また、判定手段は、例えば、図5のステップS10の処理を実行する警告判定部34により、警告出力手段は、例えば、図2の電光掲示板7A乃至7Cにより、それぞれ構成される。
【0011】
音検出手段は、道路を走行中または停車中の自動車やバイクなどが発生する音を検出する。
【0012】
そして、音検出手段は、音情報に基づいて、音源位置を検出するようにしてもよい。音源位置を検出することによって、特定の車両が発生する音を検出することができる。なお、音情報とは、音の振幅、周波数、位相、音を音検出手段で受信した時刻などである。これらの音情報を用いることで音源位置を算出することができる。また音源が複数存在する場合でも、各音源の周波数が異なれば、同時刻における各音源位置を算出することができる。
【0013】
車種識別手段は、個々の車両の車種を識別するための情報を取得する。例えば、車種識別手段は、ナンバープレートの分類番号により車種を識別する。ナンバープレート情報を取得する方法としては、音源位置付近を走行する車両をカメラで撮像し、撮像したことにより得られたナンバープレート部分の画像を文字認識することによって、ナンバープレート情報を取得する方法がある。他の方法としては、車両が無線で発するナンバープレート情報およびその発信車両の位置情報を無線で受信することによって、ナンバープレート情報を取得する方法がある。
【0014】
ここで、ナンバープレートとは、車両(車種)を識別するために使用されているものである。よって、ナンバープレート情報に限らず、車両を識別することができる情報であればなんでも良い。例えば、車両を識別する情報として、車両を運転する運転手の運転免許証番号や車両製造番号等がある。
【0015】
車種識別手段は、例えば、ナンバープレートの分類番号より、車両を大型車、普通車、小型車などの排気量に応じて車種を識別する。また、ディーゼル車、ガソリン車、電気自動車、ハイブリッド車、ロータリー車、天然ガス車、水素ガス車、チェーンを装着している車両、スパイクタイヤを装着している車両などの車両の構成によって車種を識別するようにしてもよい。
【0016】
道路は、一般道路と有料道路のいずれであってもよい。また、車両は、乗用車、トラック、二輪車などを意味する。但し、車両が二輪車である場合、そのナンバープレートは車体の後方にのみ取り付けられているため、そのナンバープレートを認識するためのナンバープレート認識用カメラは、車体を後方から撮像する必要がある。
【0017】
本発明の第1の車両監視装置においては、道路を走行する車両の車種が識別され、車種に応じて音量の閾値が変化され、警告対象の車両か否かが判定される。また、その判定結果に応じて、警告対象の車両に対する警告情報が出力される。
【0018】
これにより、いずれの車種の車両に対しても、公平な基準により、警告対象の車両か否かを判定することができる。
【0019】
車種識別手段は、車両に取り付けられているナンバープレートの情報、または音検出手段が検出した車両が発生する音の周波数から車両の車種を識別するようにすることができる。
【0020】
例えば、一般的に、ディーゼル車が発生する音の周波数は、ガソリン車が発生する音の周波数に較べて低いことが確認されている。また、車種識別手段は、車両に搭載された端末から無線により取得した車種識別情報により、さらに、車両撮影用カメラが撮影した車両の外観の画像を分析することにより、車種を識別するようにしてもよい。
【0021】
本発明の第2の車両監視装置は、車両が走行する車線を識別する車線識別手段と、車両が発生する音を検出する音検出手段と、音検出手段により検出された音の音量が閾値を超えるか否かを判定する判定手段と、判定手段により車両が発生する音の音量が閾値を超えていると判定された場合、車両に対して警告を出力する警告出力手段とを備え、判定手段は、車線識別手段により識別された車線に応じて閾値を変化させて判定を行うことを特徴とする。
【0022】
車線識別手段は、例えば、図8の車両位置算出部32A−1乃至32C−1により、音検出手段は、例えば、図8のマイクロホン3A−1乃至3C−1により、それぞれ構成される。判定手段は、例えば、図10のステップS49の処理を実行する図8の警告判定部34により、警告出力手段は、例えば、図8の電光掲示板7A−1乃至7C−1により、それぞれ構成される。
【0023】
本発明の第2の車両監視装置においては、車両が走行する車線が識別され、車線に応じて音量の閾値が変化され、警告対象の車両か否かが判定される。また、その判定結果に応じて、警告対象の車両に対する警告情報が出力される。
【0024】
これにより、車線に応じた適切な基準で警告対象の車両か否かを判定することができる。ここで、車線とは、道路横断方向における位置を意味する。例えば、一般的に道路の周辺に対する騒音の影響が少ないとされる中央分離帯側の車線においては、ある程度の騒音を発しながら走行することが許容され、路肩側の車線においては、騒音が厳しく制限されるように、音量の閾値を設定することができる。
【0025】
判定手段は、時刻に応じて閾値を変化させて判定するようにすることができる。
【0026】
例えば、昼間の時間帯に較べて、住民が騒音に対してより敏感になる夜の時間帯の閾値を厳しく設定することにより、道路周辺の住民の安眠が確保される。
【0027】
音検出手段は、車線毎に設置されるようにすることができる。これにより、音を発生する車両がどの車線に存在するのかを検出することができる。
【0028】
警告出力手段は、車線識別手段により識別された車線に応じて警告の種類を切り替えるようにすることができる。
【0029】
本発明の第3の車両監視装置は、車両が走行する道路の路面状態を検出する路面状態検出手段と、車両が発生する音を検出する音検出手段と、音検出手段により検出された音の音量が閾値を超えるか否かを判定する判定手段と、判定手段により車両が発生する音の音量が閾値を超えていると判定された場合、車両に対して警告を出力する警告出力手段とを備え、判定手段は、路面状態検出手段により検出された道路の路面状態に応じて閾値を変化させて判定を行うことを特徴とする。
【0030】
路面状態検出手段は、例えば図14の雨量計測センサ8により、音検出手段は、例えば、図14のマイクロホン3A−1乃至3C−1により、それぞれ構成される。また、判定手段は、図16のステップS92の処理を実行する図14の警告判定部34により、警告出力手段は、図14の電光掲示板7A−1乃至7C−1により、それぞれ構成される。
【0031】
路面状態検出手段は、例えば、路面が雨により濡れている状態か否かを検出する。また、道路工事により路面が荒れている状態か否かが検出されるようにしてもよい。さらに、路面状態に限らず、天候、温度、風向きなど環境に応じて閾値を変化させるようにしてもよい。
【0032】
本発明の第3の車両監視装置においては、車両が走行する道路の路面状態が検出され、路面状態に応じて音量の閾値が変化され、警告対象の車両か否かが判定される。また、その判定結果に応じて、警告対象の車両に対する警告情報が出力される。
【0033】
これにより、周囲の環境に影響されることなく、例えば、整備不良などにより閾値以上の騒音を発しながら走行している車両を適切に特定することができる。
【0034】
本発明の第4の車両監視装置は、道路を走行する車両の車種を識別する車種識別手段と、車両が発生する音を検出する音検出手段と、音検出手段により検出された音の音量が閾値を超えるか否かを判定する判定手段と、判定手段により車両が発生する音の音量が閾値を超えていると判定された場合、車種識別手段により識別された車両の車種の識別情報、および音検出手段により検出された音の音量に関する情報を外部に出力する騒音情報出力手段とを備え、判定手段は、車種識別手段により識別された車種に応じて閾値を変化させて判定を行うことを特徴とする。
【0035】
車種識別手段は、例えば、図5のステップS8の処理を実行する図2の警告判定部34により、音検出手段は、例えば、図2のマイクロホン3A乃至3Cにより、それぞれ構成される。また、判定手段は、例えば、図5のステップS10の処理を実行する警告判定部34により、騒音情報出力手段は、例えば、図2の通信部36により、それぞれ構成される。
【0036】
車両の車種の識別情報とは、例えば、ナンバープレート情報などであり、ナンバープレート情報と検出された音の音量に関する情報が管理センターなどに有線、または無線で通知される。
【0037】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を適用した車両監視システムの構成例を示している。道路1は、車線A,B,Cを有している。そして、白抜き矢印が各車線の車両の進行方向を示している。この道路1には、各車線を横切るように支持バー2−1が設置されており、この支持バー2−1には、車線Aに対応して、マイクロホン3A、車両撮影用カメラ4A、およびナンバープレート認識用カメラ5Aが設置されている。同様に、車線Bに対応して、マイクロホン3B、車両撮影用カメラ4B、およびナンバープレート認識用カメラ5Bが設置され、車線Cに対応して、マイクロホン3C、車両撮影用カメラ4C、およびナンバープレート認識用カメラ5Cが設置されている。
【0038】
また、支持バー2−1から車両の進行方向に対して所定の距離だけ離間して設置されている支持バー2−2には、車線Aに対応して電光掲示板7Aが設置され、車線Bに対応して電光掲示板7Bが設置され、車線Cに対応して電光掲示板7Cが設置されている。
【0039】
これらのマイクロホン3A乃至電光掲示板7Cは、道路1の車線Aの外側に配置されている制御装置6と有線または無線で接続されている。
【0040】
また、この例においては、車両11A乃至11Cがそれぞれ車線A乃至Cを走行している状態とされている。マイクロホン3A乃至3Cは、車両11A乃至11Cが発生する音を検出し、検出した音などの情報に基づいて、音源位置を算出するので、車両11A乃至11Cは、それぞれ音源12A乃至12Cとして検出されることになる。
【0041】
そして、この例において、車両撮影用カメラ4A乃至4Cは、各車線を通行する車両の外観を撮影する。撮影後、車両が通行したことを証明するために、車両の同一性を判断できるだけの外観が撮影されていることが好ましい。この撮影画像は、例えば、車両前面を撮影したもの、すなわち、同一性判断に適する、ナンバープレート、運転手の顔、車両の特徴である車両前面が写されているものであることが好ましい。
【0042】
さらに、この例において、ナンバープレート認識用カメラ5A乃至5Cは、各車線を通行する車両の前面に取り付けられているナンバープレートを撮影する(または、背面に取り付けられているナンバープレートを撮影するようにしてもよい)。後述するナンバープレート認識部33A乃至33Cにおいて、撮影した画像を画像処理することで、画像データ中のナンバープレートの有無の判断およびナンバープレート中の文字や記号が認識される。
【0043】
支持バー2−2に設置されている電光掲示板7A乃至7Cは、制御装置6の指示に基づいて、所定の基準以上の音を発生しながら走行していると判定された車両に対する警告を表示する。電光掲示板7A乃至7Cには、例えば、ナンバープレート認識用カメラ5A乃至5Cにより認識されたナンバープレートの番号と、その車両に対する各種の警告メッセージが表示される。なお、車両撮影用カメラ4A乃至4Cにより撮影された車両の外観や、警告の内容を示す図などが表示されるようにしてもよい。
【0044】
図2は、制御装置6の内部の構成例を示すブロック図である。音源位置算出部31は、マイクロホン3A乃至3Cの出力を取り込み、音源の方位および距離を検出する。その原理について、図3を参照して説明する。
【0045】
図3において、点Sは音源(図1における音源12A,12Bまたは12Cに対応する)の位置を示している。また、点M0,M1,M2は、それぞれマイクロホン3B、マイクロホン3A、およびマイクロホン3Cにそれぞれ対応している。これらの点M0,M1,M2(従って、マイクロホン3B,3A,3C)は、それぞれ間隔Xで等間隔に配置されている。
【0046】
図3においては、点M0が原点とされ、x座標軸が、図1における道路1と垂直な方向とされ、y座標軸が、道路1と平行な方向とされている。
【0047】
線分M0S(点M0と点Sを結ぶ線分)とy座標軸とのなす角度がθとされ、この角度θが、マイクロホン群(マイクロホン3A,3B,3C)に対する音源の方位を示しており、線分M0Sの長さRが、マイクロホン群に対する音源Sの距離を表している。
【0048】
線分M1S(点M1と点Sを結ぶ線分)の長さL1から線分M0Sの長さRを引いた長さΔL1、線分M2S(点M2と点Sを結ぶ線分)の長さL2から線分M0Sの長さRを引いた長さΔL2、角度θ、長さR、および間隔Xの間には次式の関係が成立する。
【0049】
【数1】
Figure 0004006616
【0050】
上記式(1)と式(2)を、角度θと長さRについて解くと、次式が得られる。
【0051】
【数2】
Figure 0004006616
【0052】
上記式(3)と式(4)において、長さΔL1,ΔL2の値は、音声信号の受信タイミングの相互の時間差に基づいて求めることができる。また、間隔Xの値は既知である。従って、上記式(3)と式(4)から、音源の方位と距離を計算することができる。
【0053】
なお、この実施の形態においては、マイクロホンを3個とし、2つの時間差を用いて平面上の音源の方位および距離を検出するようにしたが、4つ以上の音センサ、3つ以上の時間差を用いて、3次元空間情報の音源の方位および距離を検出することができる。あるいは、2つの音センサを有し、音センサ群から、無限乃至所定の距離だけ離れた位置に音源が存在するという前提で、1つの時間差を用いて平面上の音源の方位だけを検出することも可能である。
【0054】
なお、以上の検出原理の詳細は、特開2000−35474号公報に開示されている。
【0055】
また、マイクロホンで検出した音情報に基づいて音源位置を算出する技術であれば、どのような算出方法であっても、本発明に適用することができる。
【0056】
ナンバープレート認識部33A乃至33Cは、ナンバープレート認識用カメラ5A乃至5Cが出力する画像データから、画像中のナンバープレートの有無を判断し、ナンバープレートがあると判断した場合には、ナンバープレートの文字や記号を認識して、認識結果を警告判定部34に出力する。
【0057】
車両位置算出部32A乃至32Cは、車両撮影用カメラ4A乃至4Cが撮像し、供給される画像データから、車両位置(その車両が走行している車線)を算出する。
【0058】
警告判定部34は、音源位置算出部31から通知された音の音量から、その車両が基準以上の音量を発生しているか否かを判定し、必要に応じて、その車両の走行車線に対応する電光掲示板7A乃至7Cに警告情報を表示させる。警告判定部34は、車両が発生する音の音量が閾値を超えているか否かを判定する場合、ナンバープレート認識部33A乃至33Cのいずれかより供給されたナンバープレートの情報に基づいて、車両の車種を識別し、車種に応じて警告対象となる音量の閾値を変化させる。
【0059】
図4は、音量の閾値の例を示す図である。図4に示すように、ナンバープレート認識部33A乃至33Cから通知されてくる車両の分類番号(ナンバープレートの右上に表示される1桁または2桁の数字)に対応する車種について音量の閾値が設定され、例えば、警告判定部34が内蔵する記憶部などに記憶される。この例においては、分類番号10乃至29の車両の車種が中型車とされ、それに対応する警告閾値が50フォンと、分類番号30乃至79の車両の車種が普通車とされ、それに対応する警告閾値が40フォンと、分類番号90乃至99の車両の車種が特大車とされ、それに対応する警告閾値が70フォンと、それぞれ設定されている。例えば、警告判定部34は、ナンバープレート認識部33A乃至33Cより通知されたナンバープレートの分類番号より、車両11Aが普通車であると認識し、音源位置算出部31の出力から、車両11Aが40フォン以上の音を発生しながら走行していると判定したとき、電光掲示板7Aに警告情報を表示させる。
【0060】
出力制御部35A乃至35Cは、警告判定部34からの通知に基づいて警告情報を生成し、電光掲示板7A乃至7Cにそれぞれ出力する。また、警告情報を表示する出力装置は、電光掲示板に限られるものではなく、例えば、液晶表示装置や、音声情報を出力するスピーカ、あるいはそれらの組み合わせなどにより構成してもよい。
【0061】
通信部36は、有線または無線で、図示せぬ管理センタとの間の通信処理を行い、警告判定部34に取り込まれた情報を管理センタに送信したり、管理センタより送信されてきた情報を取り込み、警告判定部34に供給する。また、警告判定部34は、ナンバープレート認識部33A乃至33Cから通知されたナンバープレートの情報を管理センタに通知し、管理センタにその車両の車種を識別させ、その識別結果を受信するようにしてもよい。この場合、管理センタには、ナンバープレートに対応して車両の車種、および車両の所有者に関する情報などが記憶される。
【0062】
また、警告判定部34で生成された警告情報が、通信部36を介して騒音を発生する車両に対して無線で送信されるようにしても良い。これにより、受信機を備えている車両は、車両内のスピーカーや情報表示装置で、騒音に関する警告情報を取得することができる。
【0063】
次に、図5のフローチャートを参照して、この監視システムの動作について説明する。
【0064】
マイクロホン3A乃至3Cは、車両が発生する音声信号を取り込み、音源位置算出部31に出力する。ステップS1において、音源位置算出部31は、マイクロホン3A乃至3Cが、車両が発生する音を検出したか否か(車両が通行したか否か)を判定し、検出したと判定するまで待機する。音源位置算出部31は、マイクロホン3A乃至3Cのいずれかが音を検出したとき、ステップS2において、図3を参照して説明した原理に基づいて、音源位置を算出する。これにより、例えば、図1の車両11Aの音源12Aが音源位置算出部31により算出され、その音源位置および音量が、警告判定部34に供給される。音源が複数算出された場合、音源位置算出部31は、複数の音源位置および音量を警告判定部34に供給する。なお、警告判定部34に供給される音量は、音源位置算出部31で算出した音源の音量の最大値、所定時間における音量の平均値などである。
【0065】
ステップS3において、警告判定部34は、ステップS2で音源位置算出部31により算出された音源位置が、道路1の車線Aに対応しているか否かを判定する。音源位置が車線Aに対応している場合、ステップS4において、警告判定部34は、車線Aに対応する車両撮影用カメラ4Aを制御し、車両11Aを撮影させる。
【0066】
ステップS5において、車両位置算出部32Aは、車両撮影用カメラ4Aが撮影し、出力した画像データから、車線Aを走行する車両の車両位置を算出する。いまの場合、ステップS2の処理で算出された音源12Aに対応する車両11Aが、車線Aを走行しているので、車両位置算出部32Aは、少なくとも、車両11Aの車線A上の位置を、警告判定部34に出力する。車線A上を他の車両も走行している場合には、その車両の位置も出力される。
【0067】
警告判定部34は、ステップS6において、ステップS2で算出された音源位置と、ステップS5で算出された車両位置とが一致するか否かを判定する。より正確には、ステップS2で算出された音源位置に対応する位置に、ステップS5の処理で、車両の存在が検出されているか否かが判定される。
【0068】
ステップS6において、警告判定部34は、音源位置と車両位置が一致すると判定した場合、ステップS7に進み、ナンバープレート認識用カメラ5Aを制御し、車線Aを走行している車両11Aのナンバープレートを撮影させる。ナンバープレート認識部33Aは、ナンバープレート認識用カメラ5Aが出力した画像データから、車両11Aのナンバープレートを認識し、認識した結果得られた番号を警告判定部34に出力する。
【0069】
ここでステップS6で、「音源位置と車両位置が一致するか否かを判定する」のではなく、「音源位置に対応する位置に車両の存在が検出されているか否かを判定する」理由について説明する。
【0070】
車両は、走行するにあたり車両の構造上音を発生する。主な音の発生箇所としては、車輪と地面との接触部分、エンジン、クラクションなどがある。これらの音源は、車両によって異なっている。車両の種類に応じて、車輪が設けられている位置が異なるし、エンジンが前方に設置されていたり、後方に設置されていたりするなどのためである。そのため車両の位置情報を1点の座標情報で表現する場合、音源位置と一致するかどうかの判定において、車両一台分の許容範囲を持たせることが好ましい。
【0071】
ステップS8において、警告判定部34は、ナンバープレート認識部33Aから通知されたナンバープレート情報に基づいて、車両の分類番号を取得し、車両11Aの車種を識別する。次に、警告判定部34は、ステップS9において、ステップS8で識別した車両の車種から、その車種に対応して予め設定されている音量の閾値を上述した対応テーブル(図4)から取得する。
【0072】
例えば、警告判定部34は、車両11Aのナンバープレートの分類番号は31であると認識した場合、ステップS8で図4に示すような対応テーブルから車両11Aの車種は普通車であると識別し、ステップS9で音量の閾値を40フォンと設定する。
【0073】
ステップS10において、警告判定部34は、音源位置算出部31から通知された車両11Aが発生している音の音量と、ステップS9で閾値として設定した音量を比較し、車両11Aが発生している音量は、閾値の音量より高いか否かを判定する。警告判定部34は、普通車である車両11Aが閾値(40フォン)以上の音を発生しながら走行していると判定した場合、ステップS11に進み、出力制御部35Aを制御し、電光掲示板7Aに警告情報を表示させる。
【0074】
図6は、ステップS11で電光掲示板7Aに表示される警告情報の例を示す図である。この例においては、ステップS7で取得した車両11Aのナンバープレート情報と警告メッセージが、「車両ナンバー 品川 30 あ 12−34 騒音オーバーのため次の交差点を左折せよ」と表示されている。例えば、図1の道路1の進行方向に位置する図示せぬ交差点の直進方向に存在する地域が、騒音に関して、より厳しい制限がされている場合などに、このようなメッセージが表示される。この警告情報を表示し、車両11Aを次の交差点で左折させることにより、閾値以上の音を発しながら走行している車両11Aが騒音に関して厳しい制限がされている地域へ進入することを防止することができる。
【0075】
なお、運転手が自分の車両のナンバープレートの番号を覚えていない場合もあるため、電光掲示板7Aに表示される警告情報には、車両撮影用カメラ4Aで撮影した車両11Aの外観を表示させるようにしてもよい。さらに、メッセージだけでなく交差点を左折することを案内する画像情報や、管理センタの登録情報から取得した車両11Aの所有者または使用者に関する情報(例えば、氏名)などを表示するようにしてもよい。
【0076】
ステップS11で警告情報が表示された後、またはステップS10で音源位置算出部31から通知された音量が閾値より小さいと判定された場合、ステップS1に戻り、それ以降の処理が繰り返し実行される。
【0077】
ステップS6において、ステップS2で算出された音源位置と、ステップS5で算出された車両位置とが一致しないと判定された場合、ステップS12に進み、警告判定部34はエラー処理を実行する。すなわち、この場合、音源位置に車両が走行していなかったことになるので、例えば、偶然、近所で発生した騒音が取り込まれ、誤動作したものとして、エラー処理される。
【0078】
ステップS3において、ステップS2で算出された音源位置が、車線Aに存在しないと判定された場合には、ステップS11において、音源位置が車線Bに存在するか否かが判定され、車線Bに存在すると判定された場合には、ステップS14乃至ステップS21において、上述した車線Aに関するステップS4乃至S11と同様の処理が実行される。
【0079】
すなわち、音源12Bと車両位置が一致するか否かが判定され、一致すると判定された場合、ナンバープレート認識用カメラ5Bにより車両11Bのナンバープレートが撮影され、ナンバープレート認識部33Bにより内容が認識される。
【0080】
その後、ステップS18以降の処理において、警告判定部34により車両11Bの車種が識別され、車種に応じて設定された閾値より、車両11Bが発生する音の音量が大きいと判定されたとき、車両11Bに対する警告情報が電光掲示板7Bに表示される。
【0081】
また、ステップS13において、音源位置が車線Bに存在しないと判定された場合には、ステップS22に進み、音源位置が車線Cに存在するか否かが判定される。音源位置が車線Cに存在すると判定された場合、ステップS23乃至ステップS30において、車線Aに関するステップS4乃至S11と同様の処理が実行される。
【0082】
すなわち、音源と車両位置が一致するか否かが判定され、一致すると判定された場合、ナンバープレート認識用カメラ5Cにより車両11Cのナンバープレートが撮影され、ナンバープレート認識部33Cにより内容が認識される。
【0083】
その後、ステップS27に進み、警告判定部34により車両11Cの車種が識別され、車種に応じて設定された閾値より、車両11Cが発生する音の音量が高いと判定されたとき、車両11Cに対する警告情報が電光掲示板7Cに表示される。
【0084】
ステップS22において、音源位置が車両Cに存在しないと判定された場合、結局、マイクロホン3A乃至3Cにより、音が検出されたにも関わらず、音源位置が車線A乃至車線Cのいずれにも存在しないと判定されたことになるので、ステップS12に進み、エラー処理が実行される。
【0085】
このように、車両の車種に応じて、警告するか否かを判定する音量の閾値を変化させるため、全ての車両に対して公平な基準により判定することができる。従って、例えば、整備不良でない大型車が、普通車を基準として設定された音量の閾値により警告がされるといったことが抑制される。
【0086】
また、車両に対する警告が電光掲示板7A乃至7Cに表示されるとしたが、取得されたナンバープレート情報や音量情報が、通信部36を介して図示せぬ監視センタに通知され、後に、運転手に対して、所定の違反に関する処理が行われるようにしてもよい。
【0087】
図7は、本発明を適用した他の車両監視システムの構成例を示している。上述した図1の車両監視システムにおいては、音量の閾値が車種に応じて変化されるとしたが、この車両監視システムでは、車線に応じて閾値が設定されている。
【0088】
図7の例では、下方に、図の左方向を進行方向とする道路1−1が配置され、中央分離帯1−3を挟んで、図の右方向を進行方向とする道路1−2が配置されている。道路1−1は、車線A−1,B−1,C−1を有しており、それぞれの車線を車両11A−1乃至11C−1が走行している。同様に、道路1−2は、車線A−2,B−2,C−2を有しており、それぞれの車線を車両11A−2乃至11C−2が走行している。
【0089】
道路1−1には、各車線を横切るように、所定の距離だけ離間して支持バー2−1−1,2−2−1が設置されており、支持バー2−1−1には、図1に示す支持バー2−1と同様に、マイクロホン3A−1,3B−1,3C−1、車両撮影用カメラ4A−1,4B−1,4C−1、およびナンバープレート認識用カメラ5A−1,5B−1,5C−1が設置されている。また、支持バー2−2−1には、電光掲示板7A−1,7B−1,7C−1が設置されている。
【0090】
また、道路1−2も、道路1−1と同様の構成とされ、各車線を横切るように、所定の距離だけ離間して、支持バー2−1−2,2−2−2が設置されており、支持バー2−1−2には、マイクロホン3A−2,3B−2,3C−2、車両撮影用カメラ4A−2,4B−2,4C−2、およびナンバープレート認識用カメラ5A−2,5B−2,5C−2が、支持バー2−2−2には、電光掲示板7A−2,7B−2,7C−2が、それぞれ設置されている。マイクロホン3A−1乃至電光掲示板7C−1、およびマイクロホン3A−2乃至電光掲示板7C−2は、それぞれ有線、または無線で制御装置6に接続されている。
【0091】
図8は、図7の制御装置6の内部の構成例を示すブロック図である。図8に示す制御装置6の各処理部の機能は、基本的に、図2に示す制御装置6の機能と同様であり、道路1−1に設置されている各装置からの情報だけでなく、道路1−2に設置されている各装置からの情報も処理できるように構成されている。勿論、道路1−1,1−2のそれぞれに設置されている装置を個別に制御するように、制御装置6を分けて設置してもよい。
【0092】
図9は、図8の警告判定部34の図示せぬ記憶部に記憶されている音量の閾値の例を示す図である。一般に、路肩側の車線(車線A−1,A−2)を走行する場合に較べて、中央分離帯1−3側の車線(車線C−1,C−2)を走行する方が、近隣に対する騒音を抑制できることが経験的に知られている。そのため、路肩側の車線に較べて中央分離帯1−3側の車線の方が、より大きい音を発しながら走行することが許容されるように音量の閾値が設定される。
【0093】
図9の例においては、マイクロホン3A−1乃至3C−2を識別するマイクIDに対応して、車線番号と閾値が設定されている。すなわち、道路1−1において、マイクIDが1で示されるマイクロホン3A−1が監視する車線A−1の音量の閾値が40フォンと、マイクIDが2で示されるマイクロホン3B−1が監視する車線B−1の音量の閾値が50フォンと、マイクIDが3で示されるマイクロホン3C−1が監視する車線C−1の音量の閾値が70フォンと、それぞれ設定されている。また、道路1−2において、マイクIDが4で示されるマイクロホン3A−2が監視する車線A−2の音量の閾値が40フォンと、マイクIDが5で示されるマイクロホン3B−2が監視する車線B−2の音量の閾値が50フォンと、マイクIDが6で示されるマイクロホン3C−2が監視する車線C−2の音量の閾値が70フォンと、それぞれ設定されている。
【0094】
次に、図10のフローチャートを参照して、図7の車両監視システムの動作について説明する。なお、図10においては、道路1−1を走行する車両11A−1乃至11C−1により発生される音の音量を監視する処理について説明するものとする。道路1−2を走行する車両11A−2乃至11C−2についても同様の処理により監視される。
【0095】
ステップS41乃至S47の処理は、基本的に図5のステップS1乃至S7の処理と同様の処理である。すなわち、ステップS43において、ステップS42で算出された音源位置が車線A−1に存在すると判定された場合、車両11A−1が発生する音の音源位置と、車両位置が確認され、ナンバープレート認識部33−1により車両11A−1のナンバープレートの番号が認識される。
【0096】
警告判定部34は、ステップS48において、車線A−1に対応する音量の閾値を取得する。警告判定部34は、図示せぬ記憶部から車線A−1に対応する音量の閾値を読み出し、例えば、図9に示した40フォンを閾値として設定し、ステップS49において、車両11A−1が発生する音の音量が閾値より大きいか否かを判定する。
【0097】
ステップS49において、警告判定部34は、車両11A−1が、ステップS48で設定した閾値より大きい音量の音を発しながら走行していると判定した場合、ステップS50に進み、車両11A−1に対する警告情報を電光掲示板7A−1に表示する。
【0098】
図11は、ステップS50において、電光掲示板7A−1に表示される警告情報の例を示す図である。この例においては、「車両ナンバー 品川 30 あ 12−34 騒音オーバーのため中央分離帯寄りの車線を走行せよ」の警告メッセージと、車線変更を案内する図が表示されている。この警告情報を確認した車両11A−1の運転手は、図7に点線矢印で示すように、車線A−1から車線C−1に車線変更する。
【0099】
このように、路肩側の車線(車線A−1)を閾値以上の音を発しながら走行している車両に対して、中央分離帯1−3側の車線(車線C−1)を走行することを要求することにより、道路1−1の近隣への騒音の影響が抑制される。警告情報が表示された後、処理はステップS41に戻り、それ以降の処理が繰り返し実行される。
【0100】
一方、ステップS43において、ステップS42で算出された音源が車線A−1に存在しないと判定された場合、ステップS52に進む。ステップS52において、算出した音源が車線B−1に存在すると判定された場合、ステップS53乃至S59において、上述した車線A−1に関するステップS44乃至S50と同様の処理が実行される。すなわち、音源の位置と車両の位置が対応しているか否かが判定され、対応していると判定された場合、ステップS57において、警告判定部34により車線B−1に対応する音量の閾値が読み出され、設定される。図9の例においては、音量の閾値が50フォンと設定され、車両11B−1が発生する音の音量が閾値より大きいか否かが判定され、必要に応じて図11を参照して説明した警告情報と同様に、中央分離帯1−3側の車線C−1に車線変更することを要求する警告情報が表示される。
【0101】
また、ステップS52において、ステップS42で算出した音源が車線B−1に存在しないと判定され、ステップS60で車線C−1に存在すると判定されたとき、ステップS61乃至S67において、上述した車線A−1およびB−1と同様の処理が実行される。すなわち、音源の位置と車両の位置が対応しているか否かが判定され、対応していると判定された場合、ステップS65において、警告判定部34により車線C−1に対応する音量の閾値が読み出され、設定される。図9の例においては、音量の閾値が70フォンと設定され、車両11C−1が発生する音の音量が閾値より大きいか否かが判定され、必要に応じて警告情報が表示される。
【0102】
図12は、ステップS67において、車両11C−1に対して電光掲示板7C−1に表示される警告情報の例を示す図である。この例においては、警告情報として、「車両ナンバー 品川 30 あ 12−34 騒音オーバーのため速度落とせ」のメッセージが表示されている。すなわち、最も中央分離帯1−3側の車線C−1を走行している車両11C−1に対しては、これ以上路肩側から離して走行させることができないため、減速することを指示するメッセージが表示される。この警告情報を確認した車両11C−1の運転手は、図7の点線矢印に示すように車線変更せずに、減速のみ行い、直進する。
【0103】
ステップS60において、走行する車両の音源位置が車線C−1にも存在しないと判定された場合、ステップS51でエラー処理が行われる。
【0104】
図13は、本発明を適用した車両監視システムのさらに他の構成例を示す図である。この例においては、閾値が路面状態に応じて変化され、走行する車両が発生する音の音量が警告対象の音量か否かが判定される。
【0105】
図13の車両監視システムの構成は、図7を参照して説明したシステムと、基本的に同様の構成とされているが、制御装置6には、雨量計測センサ8が設けられている。
【0106】
図14は、図13の制御装置6の内部の構成例を示すブロック図である。制御装置6の機能は、図8の制御装置6と基本的に同様の機能を有し、同様の機能を有する部分については同一の符号を付してあり、その説明は省略する。雨量算出部37は、雨量計測センサ8が計測した降雨量を読み取り、警告判定部34に通知する。警告判定部34は、雨量算出部37からの通知に基づいて制御装置6の近傍において所定の基準以上の降雨があったか否かを判定し、降雨があった場合には、車両が走行するとき通常時より大きな音が発生されると予測し、通常時の音量の閾値に対して重み付けをする。これにより、通常時には警告対象ではない音量しか発生していないにも関わらず、路面が濡れているために大きな音が検出され、警告が発せられるといったことが抑制される。重み係数は、例えば、管理センタにおいて設定され、通信部36を介して警告判定部34に通知され、図示せぬ記憶部に記憶される。
【0107】
図15は、警告判定部34の図示せぬ記憶部に記憶されている車線毎の重み係数を示す図である。この例においては、マイクロホン3A−1乃至3C−2を識別するマイクIDに対応して、重み係数が設定されている。すなわち、道路1−1において、マイクIDが1で示されるマイクロホン3A−1が監視する車線A−1の重み係数が1.2と、マイクIDが2で示されるマイクロホン3B−1が監視する車線B−1の重み係数が1.5と、マイクIDが3で示されるマイクロホン3C−1が監視する車線C−1の重み係数が1.8と、それぞれ設定されている。また、道路1−2において、マイクIDが4で示されるマイクロホン3A−2が監視する車線A−2の重み係数が1.2と、マイクIDが5で示されるマイクロホン3B−2が監視する車線B−2の重み係数が1.5と、マイクIDが6で示されるマイクロホン3C−2が監視する車線C−2の重み係数が1.8と、それぞれ設定されている。上述したように、中央分離帯1−3側の車線(車線C−1,C−2)は、路肩側(車線A−1,A−2)の車線に較べて、大きな音を発しながら走行することが許容されるため、重み係数が大きく設定される(音量の閾値が大きく設定される)。
【0108】
例えば、通常時の車線A−1の音量の閾値が図9に示すように40フォンと設定され、雨量算出部37からの通知に基づいて、重み付けをする必要があると判定した場合、警告判定部34は、40フォンに対して重み係数1.2を乗算することにより降雨時の閾値として設定する。すなわち、降雨時において、車線A−1を走行する車両11Aが警告対象の車両か否かが判定される音量の閾値は48フォンとされる。
【0109】
次に、図16のフローチャートを参照して、図13の車両監視システムの動作について説明する。なお、図16においては、道路1−1を走行する車両を監視する場合について説明するものとする。
【0110】
ステップS81において、マイクロホン3A−1乃至3C−1のいずれかが音を検出したか否かが判定され、音が検出された場合、上述した原理によりステップS82で音源の位置が算出される。ステップS83において、音源が車線A−1に存在すると判定された場合、ステップS84に進む。ステップS84乃至S87の処理は、図10のステップS44乃至S47と同様の処理である。すなわち、算出された音源と車両の位置が対応しているか否かが判定され、対応していると判定された場合、ナンバープレートが認識され、その後、ステップS88に進む。
【0111】
ステップS88において、警告判定部34は、雨量算出部37からの通知に基づいて、雨が降っているか否かを判定する。警告判定部34は、雨が降っていないと判定した場合、ステップS89に進み、図10のステップS48の処理と同様に、車線A−1に対応して設定されている音量の閾値(図9の例においては、40フォン)を取得し、設定する。その後、図10を参照して説明したように、車両11A−1が閾値より大きい音量の音を発生しながら走行しているか否かが判定され、必要に応じて警告情報が電光掲示板7A−1に表示される。
【0112】
一方、ステップS88において、警告判定部34により、雨が降っていると判定された場合、ステップS90に進み、車線A−1の重み係数が取得される。図15に示すような重み係数が予め設定されている場合、警告判定部34は、車線A−1に対応する重み係数1.2を読み出し、ステップS91において、車線A−1に設定されている音量の閾値である40フォンに乗算することにより、降雨時の音量の閾値として48フォンを算出し、設定する。
【0113】
ステップS92において、警告判定部34は、車両11A−1が発生している音の音量がステップS91で算出した閾値より大きいか否かを判定する。警告判定部34は、車両11A−1が発生する音の音量が閾値の音量より大きいと判定した場合、ステップS93に進み、出力制御部35A−1を制御し、電光掲示板7A−1に警告情報を表示させる。
【0114】
図17は、ステップS93において、車両11A−1に対して表示される警告情報の例を示す図である。この例においては、「車両ナンバー 品川 30 あ 12−34 雨が降っているため速度を落としてください」のメッセージが表示されている。また、中央分離帯1−3側の車線に車線変更することを指示するメッセージを表示するようにしてもよい。警告情報が表示された後、ステップS81に戻り、それ以降の処理が繰り返し実行される。
【0115】
ステップS92において、車両11A−1が発生する音の音量が閾値の音量より小さいと判定された場合、ステップS93の警告処理はスキップされる。
【0116】
一方、ステップS82において算出された音源位置が車線B−1に存在するとステップS95において判定された場合、ステップS96乃至S105において、車線A−1の場合と同様の処理が実行される。すなわち、雨が降っていると判定された場合、ステップS103において、車線B−1に対応して予め設定されている重み係数が通常時の音量の閾値に乗算され、降雨時の閾値が設定される。車両11B−1が降雨時の閾値より大きい音量の音を発しながら走行していると判定された場合、車両11B−1に対して、例えば、図17に示したような警告情報が表示される。
【0117】
また、ステップS106において、ステップS82で算出された音源位置が車線C−1に存在すると判定された場合、ステップS107乃至S116において、車線A−1および車線B−1の場合と同様の処理が実行され、降雨時には通常時の車線C−1の閾値に重み付けがされて、車両11C−1が閾値以上の音を発しながら走行しているか否かが判定される。
【0118】
図13の車両監視システムにおいては、雨が降っているか否かに応じて、重み係数が通常時の閾値に乗算されるとしたが、制御装置6付近の様々な環境に応じて重み係数を乗算するようにしてもよい。例えば、風速や風向の変化による周辺地域に対する音の分布特性を調査し、その結果に応じて重み係数を設定してもよい。また、道路工事などにより路面状態が悪く、車両が走行したときに通常時より大きな音が発せられるおそれがある場合、路面状態に応じて重み係数を設定することもできる。
【0119】
また、図1、図7、および図13の車両監視システムにおいて、時刻によって警告対象の車両か否かを判定する音量の閾値を変化させるようにしてもよい。例えば、昼間の時間帯に較べて、夜の時間帯の閾値が小さく設定されることにより、道路の周辺住民の安眠が確保される。
【0120】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、騒音車両を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した車両監視システムの構成例を示す図である。
【図2】図1の制御装置の内部の構成例を示すブロック図である。
【図3】音源位置を算出する原理を説明する図である。
【図4】図2の警告判定部に記憶される音量の閾値の例を示す図である。
【図5】図1の車両監視システムの動作を説明するフローチャートである。
【図6】図1の電光掲示板の表示例を示す図である。
【図7】本発明を適用した他の車両監視システムの構成例を示す図である。
【図8】図7の制御装置の内部の構成例を示すブロック図である。
【図9】図8の警告判定部に記憶される音量の閾値を示す図である。
【図10】図7の車両監視システムの動作を説明するフローチャートである。
【図11】図7の電光掲示板の表示例を示す図である。
【図12】図7の電光掲示板の他の表示例を示す図である。
【図13】本発明を適用したさらに他の車両監視システムの構成例を示す図である。
【図14】図13の制御装置の内部の構成例を示すブロック図である。
【図15】図14の警告判定部に記憶される重み係数の例を示す図である。
【図16】図13の車両監視システムの動作を説明するフローチャートである。
【図17】図13の電光掲示板の表示例を示す図である。
【符号の説明】
3A乃至3C マイクロホン
4A乃至4C 車両撮影用カメラ
5A乃至5C ナンバープレート認識用カメラ
6 制御装置
7A乃至7C 電光掲示板
31 音源位置算出部
32A乃至32C 車両位置算出部
33A乃至33C ナンバープレート認識部
35A乃至35C 出力制御部

Claims (8)

  1. 道路を走行する車両の車種を識別する車種識別手段と、
    前記車両が発生する音を検出する音検出手段と、
    前記音検出手段により検出された前記音の音量が閾値を超えるか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段により前記車両が発生する前記音の音量が前記閾値を超えていると判定された場合、前記車両に対して警告を出力する警告出力手段と
    を備え、
    前記判定手段は、前記車種識別手段により識別された前記車種に応じて前記閾値を変化させて判定を行う
    ことを特徴とする車両監視装置。
  2. 前記車種識別手段は、前記車両に取り付けられているナンバープレートの情報、または前記音検出手段が検出した前記車両が発生する音の周波数から前記車両の車種を識別する
    ことを特徴とする請求項1に記載の車両監視装置。
  3. 車両が走行する車線を識別する車線識別手段と、
    前記車両が発生する音を検出する音検出手段と、
    前記音検出手段により検出された前記音の音量が閾値を超えるか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段により前記車両が発生する音の音量が前記閾値を超えていると判定された場合、前記車両に対して警告を出力する警告出力手段と
    を備え、
    前記判定手段は、前記車線識別手段により識別された前記車線に応じて前記閾値を変化させて判定を行う
    ことを特徴とする車両監視装置。
  4. 前記判定手段は、時刻に応じて前記閾値を変化させて判定を行う
    ことを特徴とする請求項3に記載の車両監視装置。
  5. 前記警告出力手段は、前記車線識別手段により識別された前記車線に応じて前記警告の種類を切り替える
    ことを特徴とする請求項3または4に記載の車両監視装置。
  6. 車両が走行する道路の路面状態を検出する路面状態検出手段と、
    前記車両が発生する音を検出する音検出手段と、
    前記音検出手段により検出された前記音の音量が閾値を超えるか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段により前記車両が発生する音の音量が前記閾値を超えていると判定された場合、前記車両に対して警告を出力する警告出力手段と
    を備え、
    前記判定手段は、前記路面状態検出手段により検出された前記道路の路面状態に応じて前記閾値を変化させて判定を行う
    ことを特徴とする車両監視装置。
  7. 前記判定手段は、さらに前記車両が走行する車線に応じて前記閾値を変化させて判定を行う
    ことを特徴とする請求項6に記載の車両監視装置。
  8. 道路を走行する車両の車種を識別する車種識別手段と、
    前記車両が発生する音を検出する音検出手段と、
    前記音検出手段により検出された前記音の音量が閾値を超えるか否かを判定する判定手段と、
    前記判定手段により前記車両が発生する前記音の音量が前記閾値を超えていると判定された場合、前記車種識別手段により識別された前記車両の車種の識別情報、および前記音検出手段により検出された前記音の音量に関する情報を外部に出力する騒音情報出力手段と
    を備え、
    前記判定手段は、前記車種識別手段により識別された前記車種に応じて前記閾値を変化させて判定を行う
    ことを特徴とする車両監視装置。
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