JP4003897B2 - 釣竿 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、魚釣りに用いる釣竿に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の釣竿は、筒状の竿体と、竿体の手元側の端部に配置された竿元グリップと、竿元グリップの穂先側に配置された前グリップと、前グリップと竿元グリップとの間に設けられリールを装着可能なリールシートとを有している。
この前グリップ,竿元グリップは、竿体に接着剤で接着されて固定されている。そして、ユーザはこの前グリップ,竿元グリップを握ってキャスティング等の操作をおこなう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の釣竿では、グリップは竿体に直接接着されている。このため、グリップを握ってキャスティングなどを行い竿体の長さ方向に力を加えると、グリップが長さ方向にずれてしまう場合がある。
このような問題に対して、グリップの穂先側に固定リングを設けてグリップの長さ方向へのずれを抑える釣竿が提案されている。しかし、大きな力を長さ方向に加えると、グリップの端部に設けられた固定リングを乗り越えてグリップが長さ方向にずれてしまう場合もあり、十分にグリップのずれを抑えられるものとは言い難い。さらに、グリップのずれを抑えようとして固定リングの外径を大きくすると、ユーザがグリップを把持する場合に、固定リングがユーザの手に触れてグリップ感が低下する。
【0004】
本発明の課題は、グリップの軸方向へのずれを防止できる釣竿を提供することにある。
本発明の別の課題は、良好なグリップ感を得られる釣竿を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
発明1にかかる釣竿は、魚釣りに用いる釣竿であって、竿体と、前記竿体に配置された弾性部材製のグリップと、前記グリップの端部が内部に挿入される、前記グリップの穂先側または竿元側に配置され、内径が竿体の外径に合致するよう固定された金属又は合成樹脂からなる固定リングとを備え、前記固定リングは、穂先側または竿元側に前記グリップが内部に挿入される挿入部を有し、前記固定リングの外径は、穂先側に配置した場合は前記グリップの穂先側の、竿元側に配置した場合はグリップの竿元側のそれぞれの端面の外径より小さく形成されている。この場合には、固定リングの内部に弾性部材製のグリップの端部が挿入されており、固定リングがグリップの長さ方向への移動を抑える。この結果、グリップの長さ方向に大きな力が加わっても、長さ方向にずれることはない。
【0006】
また、固定リングは、穂先側または竿元側にグリップが内部に挿入される挿入部を有している。この場合には、挿入部にグリップの端部を挿入して固定する。この結果、グリップは十分に固定されて、長さ方向への力を加えてもずれることはない。さらに、固定リングの外径はグリップの穂先側または竿元側端面の外径より小さく形成されている。
【0007】
この場合には、弾性部材製のグリップの外径が固定リングの外径より大きく形成されており、グリップの端部が固定リング内に挿入されているので、グリップが固定リングに挿入される端部付近でもグリップの外径の方が固定リングの外径より外方に広がった状態になる。この結果、グリップの長さ方向へのずれを抑えると共に、ユーザがグリップを握った場合にユーザの手が固定リングとグリップとの間の段差に引っかかることがなく、グリップ感が向上する。
【0008】
発明にかかる釣竿は、発明の釣竿であって、グリップの穂先側または竿元側端面の外径に対する前記固定リングの外径比は0.970以下、0.800以上である。この場合には、グリップの穂先側または竿元側端面の外径に対する前記固定リングの外径比は0.970以下、0.800以上であり、グリップが固定リングに挿入される端部付近でもグリップの外径の方が固定リングの外径より十分に外方に広がった状態になる。この比が小さくなるほどグリップが固定リングより外方に広がるのでグリップ感はさらに向上する。しかし、この比が過度に小さくなるとグリップを固定リング内に挿入するのが困難になるので、この比の下限は、好ましくは0.800以上とするのがよい。
【0009】
発明にかかる釣竿は、発明1又は2の釣竿であって、固定リングは内部に挿入されるグリップを係止する係止手段をさらに備えている。この場合には、係止手段が固定リング内に挿入されるグリップの端部を係止するので、グリップを固定リング内に容易に挿入でき、製造が容易になる。
【0010】
【実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本発明の第1実施形態を採用した釣竿は、図1に示すように、筒状の第1竿体1と、第1竿体1の穂先側に順次連結されている筒状の第2竿体2〜第5竿体5とを有している。第1竿体1〜第5竿体5は、それぞれ炭素繊維に強化樹脂を含浸させたプリプレグをマンドレルに巻回し焼成して得られた先細り筒状部材である。
【0011】
第1竿体1は、竿元側端部に配置された竿元グリップ6と、竿元グリップ6の穂先側に配置された前グリップ8と、竿元グリップ6と前グリップ8との間に設けられリールを装着可能なリールシート7とを有している。また、竿元グリップ6及び前グリップ8の穂先側には、竿元グリップ6,前グリップ8をそれぞれ固定する固定リング9,10が設けられている。
【0012】
竿元グリップ6は、図2及び図3に示すように、第1竿体1の竿元側端部に嵌め込まれ、接着剤で接着された蓋付き円筒形状の部材であり、ウレタンゴム等のゴム系弾性体,アクティマー(商標)等のスチレンブロック共重合体,ラバロン(商標),EVA等の弾性部材である。一方、固定リング9は、穂先側がやや先細りに形成されたリング状部材であり、アルミニウム,スチール等の金属や、合成樹脂からなる部材である。そして、この固定リング9は、内径が第1竿体1の外径に合致するように形成されている。また、固定リング9の竿元側内周面の一部は他の部分に比較して内径が大きく形成され、この部分は挿入部9aとなっている。そして、竿元グリップ6は、接着剤で第1竿体1の竿元側端部付近に固定されるとともに、穂先側端部が固定リング9の内部の挿入部9aに挿入されて固定されており、固定リング9も接着剤で第1竿体1に固定されている。
【0013】
なお、竿元グリップ6の外径θ1は固定リング9の外径θ2より大きくなるように形成されている。この竿元グリップ6の外径θ1と固定リング9の外径θ2との比は、竿元グリップ6の材質によって様々な値となるが、竿元グリップ6の穂先側端部を固定リング9に挿入してもなお、竿元グリップ6と固定リング9とのつなぎ部付近において竿元グリップ6の外周が固定リングの外周より外方に広がるためには、
(固定リング9の外径θ2)/(竿元グリップ6の外径θ1)≦0.970
の範囲にするのがよい。
【0014】
さらに、グリップ感を良好にし、かつ抜けを防止するためには、上記比を十分に小さくするのが好ましいが、この比が過度に小さくなると竿元グリップ6を固定リング9内に挿入するのが困難になるので、この比の下限は、好ましくは0.800以上、さらに好ましくは0.850以上とするのがよい。
また、図4に示すように、前グリップ8は、穂先側がやや小径の先細りテーパ状の円筒部材であり、元竿グリップ6と同様に、ウレタンゴム,EVA等からなる部材である。そして、穂先側端部には挿入部10aが形成された固定リング10が設けられている。この前グリップ8及び固定リング10のその他の構成は、竿元グリップ6及び固定リング9と同様である。
【0015】
このように構成された釣竿では、固定リング9,10が、それぞれ竿元グリップ6,前グリップ8の穂先側端部を挟み込んで、竿元グリップ6,前グリップ8の長さ方向への移動を抑える。また、竿元グリップ6,前グリップ8の外径はそれぞれ固定リング9,10の外径に比べて大きく形成されているので、竿元グリップ6,前グリップ8を把持した際に固定リング9,10と各グリップ6,8とのつなぎ部分の段差に手が引っかかることがなく、グリップ感が向上する。
【0016】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
本発明の第2実施形態を採用した釣竿の固定リング10は、図5に示すように、挿入部10aに設けられた係止フック(係止手段)20を有している。この係止フック20は、金属または合成樹脂からなる部材であって、固定リング10と一体成型されている。そして、先端部にかえしが設けられている。
【0017】
なお、その他の構成は、第1実施形態と同様であり、説明を省略する。
このように構成された釣竿では、第1実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、係止フック20が挿入部10aに挿入された前グリップ8の穂先側先端に突き刺さって前グリップ8を係止する。この結果、前グリップ8を固定リング内に挿入し易くなり、釣竿の製造が容易になる。さらに、前グリップのずれを効果的に抑える。
【0018】
[他の実施形態]
(a)前グリップの竿元側のみに固定リングを設けてもよい。
また、図6に示すように、前グリップ6の穂先側と竿元側の両端に固定リング10,11をそれぞれ設けてもよい。
【0019】
【発明の効果】
本発明にかかる釣竿によれば、グリップの端部が固定リングに挿入されており、固定リングによって十分に固定されるので、グリップが長さ方向へずれてしまうのを有効に防止できる。また、グリップの外径が固定リングの外径より大きくなるように形成されているので、ユーザの手が固定リングに触れることなくグリップ感が十分に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を採用した釣竿の全体図。
【図2】 図1の竿元グリップ6付近の拡大断面図。
【図3】竿元グリップ6と固定リング9との分解拡大断面部分図。
【図4】図1の前グリップ8付近の拡大断面図。
【図5】本発明の第2実施形態を採用した釣竿の固定リング10の拡大断面図。
【図6】本発明の他の実施形態を採用した釣竿の前グリップの拡大断面図。
【符号の説明】
1 第1竿体
6 竿元グリップ
8 前グリップ
9,10 固定リング
9a,10a 挿入部
20 係止フック

Claims (3)

  1. 魚釣りに用いる釣竿であって、
    竿体と、
    前記竿体に配置された弾性部材製のグリップと、
    前記グリップの端部が内部に挿入される、前記グリップの穂先側または竿元側に配置され、内径が竿体の外径に合致するよう固定された金属又は合成樹脂からなる固定リングとを備え、
    前記固定リングは、穂先側または竿元側に前記グリップが内部に挿入される挿入部を有し、前記固定リングの外径は、穂先側に配置した場合は前記グリップの穂先側の、竿元側に配置した場合はグリップの竿元側のそれぞれの端面の外径より小さく形成されている、釣竿。
  2. 前記グリップの穂先側または竿元側端面の外径に対する前記固定リングの外径の比は0.970以下、0.800以上である、請求項に記載の釣竿。
  3. 前記固定リングは内部に挿入される前記グリップを係止する係止手段をさらに備えている、請求項1又は2に記載の釣竿。
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