JP4003885B2 - 露光方法および露光装置 - Google Patents

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Description

本発明は、フォトリソグラフィを利用してマイクロデバイスを製造する際に用いられ、マスクに形成されたパターン(以下、マスクパターンと言う。)を基板上の複数の領域に、順次、走査方式によって投影して基板を露光する露光方法および露光装置に関する。
フォトリソグラフィを利用してマイクロデバイスを製造する際には、フォトレジスト層が形成された基板上に、投影光学系を介してマスクパターンを投影して、マスクパターンによってパターン化された光によって基板を露光することが行なわれる。この露光のための露光装置としては、走査型露光装置や走査ステップ型(ステップ・アンド・スキャン)露光装置が知られている。
走査型露光装置は、投影光学系を介してマスクパターンの一部を基板上に投影すると共にマスクと基板とを同期して移動させることによって、基板上で、上記マスクパターンの一部が投影されて露光が行なわれる露光領域を移動させる。これにより、マスクパターン全体が基板に投影され、基板は、マスクパターン全体に対応した光によって露光される。以下、マスクパターン全体を基板に投影するために、基板上で露光領域を移動させることを走査と言う。また、基板に対する露光領域の移動の方向を走査方向と言う。走査型露光装置によれば、大きなマスクパターンを用いた露光が可能になる。
また、走査ステップ型露光装置は、上記の走査型露光装置と同様の走査による露光と、基板の段階的な移動(ステップ)とを繰り返し行なう。以下、1回の走査によってマスクパターン全体が投影される領域をショットと言う。走査ステップ型露光装置によれば、1枚の基板に対して複数のショットが設定され、各ショットのそれぞれにおいて、マスクパターンに基づいた露光が行なわれる。このような走査ステップ型露光装置は、例えば特許文献1ないし5に記載されている。
特許文献1には、隣接するショット間では、走査方向が互いに反対になるようにすると共に、走査方向毎に異なるアライメント補正値に従って、マスクと基板の位置を微調整する技術が記載されている。
特許文献2には、基板における1つの領域において、先行する第1のマスクパターンを用いた露光と、後続の第2のマスクパターンを用いた露光とを行なう場合に、これら2回の露光時の走査方向を一致させる技術が記載されている。
特許文献3には、1つのショットにおいて、所定のマスクパターンを用いて露光を行なう際に、そのショットにおいて既に他のマスクパターンを用いた露光が行なわれているときには、他のマスクパターンを用いた露光時の走査方向の情報を用いて、マスクと基板との位置合わせを行なう技術が記載されている。
特許文献4には、所定のパターンを基板に転写する場合に、所定のパターンを分割して得られる複数の分割パターン毎に1ショットにおける露光を行い、この分割パターン毎の複数のショットを繋ぎ合わせて所定のパターンの転写を行なうと共に、分割パターン毎の露光時の走査方向を一致させる技術が記載されている。
また、走査ステップ型露光装置は、特許文献5に記載されているように、投影光学系の光軸方向についての基板の表面の位置を検出する検出手段と、この検出手段の検出結果に基づいて、基板の表面でマスクパターンが結像されるように投影光学系の光軸方向についての基板の位置を調整する手段とを有している。そして、走査ステップ型露光装置は、各ショットにおける露光に先立って上記の調整を行なう。
特許文献5には、上記検出手段として、基板上の複数の計測点の位置を検出可能な多点焦点位置検出系を用いると共に、計測点を選択できるようにした技術が記載されている。
ところで、フォトリソグラフィを利用して製造されるマイクロデバイスの一種としては、磁気ディスク装置に用いられる薄膜磁気ヘッドスライダがある。薄膜磁気ヘッドスライダは、記録媒体に対向する媒体対向面と、この媒体対向面の近傍に配置された薄膜磁気ヘッド素子とを有している。薄膜磁気ヘッド素子としては、書き込み用の誘導型電磁変換素子と読み出し用の磁気抵抗効果素子(以下、MR素子と記す。)とを積層した構造の複合型の薄膜磁気ヘッド素子が広く用いられている。
薄膜磁気ヘッドスライダは、一般に、以下のような方法で製造される。まず、1枚の基板に対して、複数列に配列された多数の薄膜磁気ヘッド素子を形成する。この薄膜磁気ヘッド素子を形成する過程で、薄膜磁気ヘッド素子を構成する種々の層のパターニングのためにフォトリソグラフィが利用される。次に、薄膜磁気ヘッド素子を含む基板を切断して、それぞれ薄膜磁気ヘッド素子を含むスライダとなる部分(以下、スライダ部分と言う。)が一列に配列された加工用素材(以下、バーと言う。)、あるいはスライダ部分が複数列に配列された加工用素材(以下、ブロックと言う。)を形成する。基板を切断してバーを形成した場合には、次に、バー単位で、バーに含まれる全てのスライダ部分に対して研磨等の加工を施して、バーに含まれる全てのスライダ部分における媒体対向面を形成する。次に、このバーを切断して各スライダに分離する。基板を切断してブロックを形成した場合には、次に、ブロック単位で、ブロックの一端に位置する一列分のスライダ部分に対して研磨等の加工を施して、ブロックの一端に位置する一列分のスライダ部分における媒体対向面を形成する。次に、この一列分のスライダ部分よりなるバーをブロックより切り出し、更に、このバーを切断して各スライダに分離する。
上述の薄膜磁気ヘッドスライダの製造方法では、バーまたはブロックの状態で、一列に配列された複数のスライダ部分における媒体対向面を形成する。この媒体対向面を形成する工程では、一列に配列された複数の薄膜磁気ヘッド素子におけるMRハイトを全て許容範囲内に収める必要がある。なお、MRハイトとは、MR素子の媒体対向面側の端部から反対側の端部までの長さ(高さ)を言う。媒体対向面を形成する工程は、媒体対向面を研磨する工程を含んでいる。MRハイトは、媒体対向面の研磨量によって調整される。このような薄膜磁気ヘッドスライダの製造方法は、例えば特許文献6,7に記載されている。
特開平11−251228号公報 特開平8−306610号公報 特開平10−125589号公報 特開2002−246291号公報 特開2002−175962号公報 特開平11−316928号公報 特開2001−126226号公報
ここで、図22を参照して、上述のようにして薄膜磁気ヘッドスライダを製造する場合において、1枚の基板に対して多数の薄膜磁気ヘッド素子を形成する工程で走査ステップ型露光装置を利用する場合の2つの問題点について説明する。図22は、円板状の基板201と各ショット202との位置関係の一例を示している。図22において、少なくとも1つの辺が破線で示された、同じ大きさの44個の矩形の領域が各ショット202を表している。また、図22において、実線で囲まれた10個の矩形の領域203は、1つのブロックとなる範囲を表している。基板201のうち、1つの領域203内の部分が、1つのブロックとなる。領域203内には、一列に並ぶ4個のショット202が含まれている。なお、図22では、便宜上、領域203にハッチングを付している。また、1つのショット202に投影されるマスクパターンは、複数の薄膜磁気ヘッド素子に対応したパターンを含んでいる。従って、基板201のうち、1つのショット202に対応する部分には、複数のスライダ部分が形成される。
第1の問題点は、一部が基板201の縁の外側に配置されるショット202が存在することによる問題点である。以下、一部が基板201の縁の外側に配置されるショット202を、エッジショットと呼び、符号202Eで表す。1以上のショット202が1つのマイクロデバイスに対応する場合には、基板201のうちのエッジショット202Eに対応する部分は、マイクロデバイスの製造には使用されない。しかし、薄膜磁気ヘッドスライダを製造する場合には、1つのショット202が複数の薄膜磁気ヘッドスライダに対応する。従って、基板201のうちのエッジショット202Eに対応する部分も、薄膜磁気ヘッドスライダの製造に使用され得る。ところが、従来は、エッジショット202Eでは、基板201の表面においてマスクパターンを正確に結像させることが難しいという問題点があった。以下、その原因を説明する。前述のように、走査ステップ型露光装置は、投影光学系の光軸方向についての基板の表面の位置を検出する検出手段と、この検出手段の検出結果に基づいて、基板の表面においてマスクパターンが結像されるように投影光学系の光軸方向についての基板の位置を調整する手段とを有している。そして、走査ステップ型露光装置は、各ショット202における露光に先立って上記の調整を行なう。しかし、エッジショット202Eでは、その一部が基板201の縁の外側に配置されるため、基板201の表面の位置を正確に検出できず、その結果、基板201の表面においてマスクパターンを正確に結像させることができなくなる。また、これにより、マスクパターンに基づいてパターニングされた層の幅のばらつきが大きくなる。
この第1の問題点は、薄膜磁気ヘッドスライダを製造する場合に限らず、基板のうちの1つのショットに対応する部分に複数のマイクロデバイスが形成される場合に広く当てはまる。
第2の問題点は、1つのバーまたはブロックに対して複数(図22に示した例では4個)のショット202が対応していることによる問題点である。すなわち、薄膜磁気ヘッドスライダの製造方法では、バーまたはブロックの状態で、一列に配列された複数のスライダ部分における媒体対向面を同時に形成する。そのため、もし、1つのブロックに対応する領域203内の複数のショット202間で、図22における上下方向の位置が大きくずれていると、同時に媒体対向面の形成が行なわれる複数のスライダ部分に含まれる複数の薄膜磁気ヘッド間で、MRハイトのばらつきが大きくなってしまう。走査ステップ型露光装置では、一列に配列された複数のショットについて、それらの走査方向についての位置が一致するように各ショットの位置を設定した場合でも、走査ステップ型露光装置の機械的な精度が完璧ではないことから、露光後の複数のショットの走査方向についての位置がずれることがある。また、一般的に、走査ステップ型露光装置では、処理時間の短縮のため、走査方向に直交する方向に隣接する2つのショットにおける走査方向が互いに反対になるようにしている。この場合には、隣接する2つのショットにおける走査方向を同じにした場合に比べて、露光後において、隣接する2つのショットの走査方向についての位置のずれが大きくなりやすい。そのため、特に、隣接する2つのショットにおける走査方向を互いに反対にした場合には、1つのブロックに対応する複数のショット202間で、図22における上下方向の位置のずれが大きくなり、その結果、MRハイトのばらつきも大きくなってしまう。
特許文献1ないし4に記載された各技術では、いずれも、第1の問題点を解決することはできない。特許文献5に記載された技術によれば、エッジショット202Eの露光時には、基板201の縁の内側に配置された領域内の計測点のみを選択して基板201の表面の位置を検出することにより、基板201の表面においてマスクパターンを正確に結像させることが可能になる。しかしながら、この技術では、基板201の表面の位置を検出する処理が複雑になるという問題点がある。また、特許文献1ないし5では、第2の問題点については考慮されていない。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、マスクに形成されたパターンを、それぞれ少なくとも一部が基板の一部と重なる複数のパターン投影領域に、順次、走査方式によって投影して基板を露光する露光方法および露光装置であって、一部が基板の縁の外側に配置されるパターン投影領域が存在する場合であっても、上記パターンに基づいてパターニングされる層の幅のばらつきを小さくできるようにした露光方法および露光装置を提供することにある。
本発明の露光方法または露光装置は、マスクに形成されたパターンを、それぞれ少なくとも一部が基板の一部と重なる複数のパターン投影領域に順次投影して、上記パターンに基づいて基板を露光するものである。なお、本発明において、基板とは、マイクロデバイスを形成するための基礎となる板状の基体と、この基体の上に形成された種々の層とを含むものを言う。
本発明の露光方法は、
パターン投影領域毎に、投影光学系を介してパターンの一部をパターン投影領域の一部に投影しながらマスクと基板とを同期して移動させることによって、パターンの一部が投影されて露光が行なわれる露光領域を、パターン投影領域における第1および第2の端部のうちの一方から他方に向かって移動させ、これによりパターンに基づいてパターン投影領域を露光する手順と、
パターン投影領域を露光する手順に先立って、各パターン投影領域内において、投影光学系の光軸方向についての基板の表面の位置を検出し、この検出結果に基づいて、基板の表面でパターンの一部が結像されるように投影光学系の光軸方向についての基板の位置を調整する手順とを備えている。
パターン投影領域を露光する手順では、一部が基板の縁の外側に配置されるパターン投影領域であって、基板と重なる部分の長さが第1の端部と第2の端部とで異なるパターン投影領域においては、第1および第2の端部のうち、基板と重なる部分が長い端部から他方の端部に向かって露光領域を移動させる。
本発明の露光装置は、
マスクを保持し移動させるマスク移動装置と、
基板を保持し移動させる基板移動装置と、
マスクに形成されたパターンの一部をパターン投影領域の一部に投影する投影光学系と、
基板の表面の位置を検出する検出装置と、
マスク移動装置、基板移動装置および検出装置を制御する制御装置とを備えている。
制御装置は、
パターン投影領域毎に、投影光学系を介してパターンの一部をパターン投影領域の一部に投影させながら、マスク移動装置および基板移動装置を制御してマスクと基板とを同期して移動させることによって、パターンの一部が投影されて露光が行なわれる露光領域を、パターン投影領域における第1および第2の端部のうちの一方から他方に向かって移動させ、これによりパターンに基づいてパターン投影領域を露光する処理と、
パターン投影領域を露光する処理の前に、検出装置を用いて、各パターン投影領域内において、投影光学系の光軸方向についての基板の表面の位置を検出し、この検出結果に基づいて、基板移動装置を制御して、基板の表面でパターンの一部が結像されるように投影光学系の光軸方向についての基板の位置を調整する処理とを行う。
制御装置は、パターン投影領域を露光する処理では、一部が基板の縁の外側に配置されるパターン投影領域であって、基板と重なる部分の長さが第1の端部と第2の端部とで異なるパターン投影領域においては、第1および第2の端部のうち、基板と重なる部分が長い端部から他方の端部に向かって露光領域を移動させる。
本発明の露光方法または露光装置では、一部が基板の縁の外側に配置されるパターン投影領域であって、基板と重なる部分の長さが第1の端部と第2の端部とで異なるパターン投影領域においては、第1および第2の端部のうち、基板と重なる部分が長い端部から他方の端部に向かって露光領域を移動させる。これにより、一部が基板の縁の外側に配置されるパターン投影領域においても、投影光学系の光軸方向についての基板の表面の位置を精度よく検出することが可能になる。
本発明の露光方法または露光装置において、全体が基板の縁の内側に配置されるパターン投影領域では、露光領域の移動方向に直交する方向に隣接するパターン投影領域間で露光領域の移動方向が互いに反対になるように、露光領域を移動させてもよい。
また、本発明の露光方法または露光装置において、基板の縁の全体形状は実質的に円形であってもよい。この場合、全てのパターン投影領域において、露光領域を、基板の表面の中心を通り露光領域の移動方向に直交する仮想の直線から遠ざかる方向に移動させてもよい。なお、実質的に円形というのは、完全な円形に限らず、基板の縁の一部にオリエンテーションフラットやノッチ等が設けられているが、縁の大部分は円弧状である場合を含むという意味である。
また、本発明の露光方法または露光装置において、パターンは、基板のうちの1つのパターン投影領域に対応する部分によって複数のマイクロデバイスを製造するために用いられるものであってもよい。この場合、マイクロデバイスは、薄膜磁気ヘッドスライダであってもよい。
また、本発明の露光方法または露光装置において、パターン投影領域内のうち、最初に露光領域となる領域内において基板の表面の位置を検出してもよい。
また、本発明の露光方法または露光装置において、パターンは、基板のうちの1つのパターン投影領域に対応する部分によって複数の薄膜磁気ヘッドスライダを製造するために用いられるものであって、基板は、薄膜磁気ヘッドスライダの製造過程において、それぞれ複数のパターン投影領域と重なる部分からなる複数の加工用素材に分割されて、この加工用素材単位で加工が施されるものであってもよい。この場合、1つの加工用素材に対応する複数のパターン投影領域において露光領域を同一方向に移動させてもよい。
本発明の露光方法または露光装置では、一部が基板の縁の外側に配置されるパターン投影領域であって、基板と重なる部分の長さが第1の端部と第2の端部とで異なるパターン投影領域においては、第1および第2の端部のうち、基板と重なる部分が長い端部から他方の端部に向かって露光領域を移動させる。これにより、本発明によれば、一部が基板の縁の外側に配置されるパターン投影領域においても、投影光学系の光軸方向についての基板の表面の位置を精度よく検出して、基板の表面でパターンの一部が結像されるように投影光学系の光軸方向についての基板の位置を精度よく調整することが可能になる。従って、本発明によれば、一部が基板の縁の外側に配置されるパターン投影領域が存在する場合であっても、上記パターンに基づいてパターニングされる層の幅のばらつきを小さくすることができる。
また、本発明において、1つの加工用素材に対応する複数のパターン投影領域において露光領域を同一方向に移動させる場合には、その複数のパターン投影領域間で、露光領域の移動方向についての位置のずれを小さくすることができる。これにより、本発明によれば、1つの加工用素材より製造される複数の薄膜磁気ヘッドスライダ間における特性のばらつきを小さくすることができるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1ないし図3を参照して、本発明の一実施の形態に係る露光装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係る露光装置の要部を示す説明図である。図2は、本実施の形態に係る露光装置の要部を示す斜視図である。図3は、図1における制御装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態に係る露光装置は、フォトリソグラフィを利用してマイクロデバイスを製造する際に用いられ、マスクに形成されたパターン(以下、マスクパターンと言う。)を基板上の複数の領域に、順次、走査方式によって投影して基板を露光する走査ステップ型の露光装置である。
図1および図2に示したように、本実施の形態に係る露光装置は、マスク1を保持するマスクステージ10と、基板2を保持する基板ステージ20と、この基板ステージ20を移動させる移動機構21と、投影光学系3と、照明装置4とを備えている。マスクステージ10は、基板ステージ20の上方に配置されている。投影光学系3は、マスクステージ10と基板ステージ20との間に配置されている。照明装置4は、マスクステージ10の上方に配置され、マスク1に対して、露光用の光を照射する。
移動機構21は、基板ステージ20を図1および図2に示したX,Y,Zの各方向に移動可能であると共に、XY平面に対する基板ステージ20の傾斜角度を変えることができるようになっている。なお、X方向とY方向は、いずれも投影光学系3の光軸方向に対して直交する方向であっても、互いに直交する方向である。Z方向は、投影光学系3の光軸方向に平行な方向である。露光装置は、更に、基板2を移動させるために移動機構21を駆動する駆動装置22を備えている。基板ステージ20、移動機構21および駆動装置22は、本発明における基板移動装置に対応する。
移動機構21は、例えば、以下のような構成になっている。すなわち、移動機構21は、Y方向に移動可能なYステージと、このYステージ上に配置され、X方向に移動可能なXステージと、このXステージの3箇所以上に設けられ、基板ステージ20を支持すると共に、それぞれ上端部がZ方向に移動可能な3つ以上のアクチュエータとを有している。Yステージ、Xステージおよびアクチュエータは、駆動装置22によって駆動されるようになっている。この移動機構21では、Yステージを移動させることにより、基板ステージ20をY方向に移動させることができ、Xステージを移動させることにより、基板ステージ20をX方向に移動させることができる。また、この移動機構21では、アクチュエータを駆動することにより、基板ステージ20をZ方向に移動させることができると共に、XY平面に対する基板ステージ20の傾斜角度を変えることができる。
マスクステージ10は、X方向に移動可能になっている。露光装置は、更に、マスク1を移動させるためにマスクステージ10を駆動する駆動装置11を備えている。マスクステージ10および駆動装置11は、本発明におけるマスク駆動装置に対応する。
露光装置は、更に、基板2の表面の位置およびXY平面に対する基板2の表面の傾斜角度を検出する検出装置40を備えている。この検出装置40は、例えば、基板2の表面上に設定される複数の計測点に対して斜め方向から複数の光束を照射する照射部41と、この照射部41より出射されて基板2の表面で反射された複数の光束を検出する検出部42とを有している。
露光装置は、更に、照明装置4、駆動装置11,22および検出装置40を制御する制御装置50を備えている。
図2に示したように、マスクステージ10の上面において、X方向についての一端部の近傍には、移動鏡12が取り付けられている。また、基板ステージ20の上面において、X方向についての一端部の近傍には移動鏡23が取り付けられ、Y方向についての一端部の近傍には移動鏡24が取り付けられている。露光装置は、更に、移動鏡12に対向するように配置され、この移動鏡12のX方向の位置を検出するレーザ干渉計13と、移動鏡23に対向するように配置され、この移動鏡23のX方向の位置を検出するレーザ干渉計25と、移動鏡24に対向するように配置され、この移動鏡24のY方向の位置を検出するレーザ干渉計26とを備えている。レーザ干渉計13,25,26の各出力信号は、制御装置50に入力されるようになっている。制御装置50は、レーザ干渉計13の出力信号に基づいて、マスクステージ10のX方向の位置を認識し、レーザ干渉計25,26の出力信号に基づいて、基板ステージ20のX方向およびY方向の位置を認識する。
露光装置は、更に、マスクステージ10の上方に配置された2つの観察顕微鏡14,15と、基板ステージ20の上方において、投影光学系3の光軸から外れた位置に配置された観察顕微鏡27とを備えている。観察顕微鏡14,15は、マスク1に形成されたアライメントマークを観察するために用いられる。観察顕微鏡27は、基板2に形成されたアライメントマークを観察するために用いられる。観察顕微鏡14,15,27によって得られる画像は、それぞれ電気信号に変換されて、制御装置50に入力されるようになっている。
図3に示したように、制御装置50は、マイクロプロセッサユニット(以下、MPUと記す。)51と、リード・オンリ・メモリ(以下、ROMと記す。)52と、ランダム・アクセス・メモリ(以下、RAMと記す。)53と、入出力インターフェース部54と、これらを互いに接続するバス55とを備えている。この制御装置50では、MPU51が、RAM53を作業領域として、ROM52に格納されたプログラムを実行することにより、後述する各種の処理を行うようになっている。入出力インターフェース部54は、照明装置4、駆動装置11,22、照射部41、検出部42、レーザ干渉計13,25,26および観察顕微鏡14,15,27に接続される。
ここで、本実施の形態に係る露光装置の動作および露光方法の概略について説明する。この露光装置では、マスク1はマスクステージ10によって保持され、基板2は基板ステージ20によって保持される。基板2は、マイクロデバイスを形成するための基礎となる板状の基体と、この基体の上に形成された種々の層とを含んでいる。露光装置を用いて基板2を露光する際には、基板2の最上層はフォトレジスト層になっている。基板2の縁の全体形状は、実質的に円形になっている。マスク1には、フォトリソグラフィによって基板2における所定の層をパターニングするためのパターン(以下、マスクパターンと言う。)が形成されている。
照明装置4は、断面がY方向に長い矩形となる露光用の光束をマスク1の一部に照射する。以下、マスク1において、上記光束が照射される領域を照射領域16と言う。この照射領域16を通過した光束は、投影光学系3によって、基板2の表面の一部に照射される。これにより、照射領域16に存在するマスクパターンの一部が、投影光学系3を介して基板2の表面の一部に投影される。
図2に示したように、本実施の形態では、基板2とその周辺を含む所定の範囲内において、それぞれ少なくとも一部が基板2の一部と重なる複数のパターン投影領域28が設定される。露光装置は、パターン投影領域28毎に、投影光学系3を介してマスクパターンの一部をパターン投影領域28の一部に投影しながらマスク1と基板2とを同期してX方向に移動させる。以下、パターン投影領域28内において、マスクパターンの一部が投影されて露光が行なわれる領域を露光領域29と言う。露光装置は、上述の動作により、露光領域29を、パターン投影領域28におけるX方向の両端部のうちの一方から他方に向かって移動させる。これにより、マスクパターン全体に基づいてパターン投影領域28全体が露光される。パターン投影領域28におけるX方向の両端部は、本発明における第1および第2の端部に対応する。
なお、マスク1の移動は、制御装置50による制御に基づいて駆動装置11によってマスクステージ10を駆動することによって行なわれ、基板2の移動は、制御装置50による制御に基づいて駆動装置22によって移動機構21を駆動することによって行なわれる。制御装置50は、レーザ干渉計13の出力信号に基づいて、マスクステージ10のX方向の位置を認識する。また、制御装置50は、観察顕微鏡14,15の出力信号に基づいて、マスク1に形成されたアライメントマークの位置を認識する。また、制御装置50は、レーザ干渉計25,26の出力信号に基づいて、基板ステージ20のX方向およびY方向の位置を認識し、更に、これにより、基板2のX方向およびY方向の位置を認識する。また、制御装置50は、観察顕微鏡27の出力信号に基づいて、基板2に形成されたアライメントマークの位置を認識する。
露光装置は、マスクパターンに基づいて1つのパターン投影領域28を露光する処理を行なった後、基板2をX方向またはY方向に移動させ、次のパターン投影領域28において、同様の露光処理を行なう。
また、露光装置は、パターン投影領域28を露光する処理の前に、検出装置40を用いて、各パターン投影領域28内において、投影光学系3の光軸方向(Z方向)についての基板2の表面の位置およびXY平面に対する基板2の表面の傾斜角度を検出する。ここで、検出装置40によって基板2の表面上に設定される複数の計測点のうちのいくつかは、露光領域29となる領域(以下、中央計測領域と言う。)内に配置されている。複数の計測点のうちの残りは、中央計測領域のX方向についての両側における近傍領域(以下、近傍計測領域と言う。)に配置されている。
パターン投影領域28の露光開始直前には、中央計測領域は、最初に露光領域となる領域に重なる。制御装置50は、パターン投影領域28の露光前には、中央計測領域内の計測点における検出結果に基づいて、最初に露光領域29となる領域において、基板2の表面の位置および傾斜角度を検出する。基板2の表面の位置および傾斜角度は、例えば、複数の計測点のZ方向の位置を検出し、検出されたこれらの位置から最小自乗法によって、基板2の表面を近似的に求めることによって検出することができる。制御装置50は、この検出結果に基づいて、駆動装置22を制御して、基板2の表面が理想的な状態になるように、すなわち、基板2の表面でマスクパターンの一部が結像され且つ基板2の表面がXY平面と平行になるように、投影光学系3の光軸方向(Z方向)についての基板2の位置と基板2の傾斜角度とを調整する。
パターン投影領域28の露光開始後には、パターン投影領域28内において、中央計測領域は露光領域29と共に移動する。このとき、近傍計測領域は、露光領域29の移動方向の前後における近傍に配置される。制御装置50は、パターン投影領域28の露光中は、中央計測領域内の計測点における検出結果と、近傍計測領域内の計測点のうち、露光領域29の移動方向の前方に配置される計測点における検出結果とに基づいて、露光領域29の移動方向の前方における基板2の表面の位置および傾斜角度を予測する。そして、制御装置50は、この予測結果に基づいて、基板2の表面が理想的な状態に近づくように、基板2の位置と傾斜角度を調整する。
また、マスクパターンは、アライメントマークを含んでいる。従って、基板2において、マスクパターンに従ってパターニングされる層には、アライメントマークが形成される。制御装置50は、マスクパターンに従って基板2を露光する際に、それ以前に、アライメントマークを含む層が形成されていない場合には、基板2の外形から求めた基板2の中心位置を基準として、基板2上にXY座標を想定し、このXY座標に基づいて、複数のパターン投影領域28の位置を決定する。
また、制御装置50は、マスクパターンに従って基板2を露光する際に、それ以前に、アライメントマークを含む層が形成されている場合には、以前に形成された層における全てのアライメントマークのうち、予め決められた複数の位置のアライメントマークを、観察顕微鏡27を用いて検出する。そして、制御装置50は、検出した複数のアライメントマークの位置から、以前に形成された層におけるXY座標を想定し、このXY座標に、これから露光を行なう複数のパターン投影領域28の基準となるXY座標を一致させて、パターン投影領域28の位置を決定する。
なお、露光装置の機械的な精度は完璧ではないことから、実際の露光後におけるパターン投影領域28の位置は、上述のように露光前に制御装置50によって決定されたパターン投影領域28の位置からずれる場合がある。
以下、本実施の形態に係る露光装置法および露光方法を利用して製造されるマイクロデバイスの一例である薄膜磁気ヘッドスライダ(以下、単にスライダと記す。)について説明する。始めに、図4を参照して、スライダの製造方法について説明する。後で詳しく説明するが、スライダは、記録媒体に対向する媒体対向面と、この媒体対向面の近傍に配置された薄膜磁気ヘッド素子とを有している。薄膜磁気ヘッド素子は、例えば、書き込み用の誘導型電磁変換素子と読み出し用のMR素子とを積層した構造になっている。
スライダは、以下のような方法で製造される。まず、1枚の基板2に対して、同一の姿勢で複数列に配列された多数の薄膜磁気ヘッド素子を形成する。この薄膜磁気ヘッド素子を形成する過程で、薄膜磁気ヘッド素子を構成する種々の層のパターニングのためにフォトリソグラフィが利用され、この過程で、本実施の形態に係る露光装置法および露光方法が利用される。薄膜磁気ヘッド素子が形成された時点で、基板2は、複数列に配列されたスライダ部分を含んでいる。各スライダ部分は、それぞれ薄膜磁気ヘッド素子を含んでいる。
次に、基板2を切断して、スライダ部分が一列に配列された加工用素材であるバー、あるいはスライダ部分が複数列に配列された加工用素材であるブロックを形成する。基板2を切断してバーを形成した場合には、次に、バー単位で、バーに含まれる全てのスライダ部分に対して研磨等の加工を施して、バーに含まれる全てのスライダ部分における媒体対向面を形成する。次に、このバーを切断して各スライダに分離する。基板2を切断してブロックを形成した場合には、次に、ブロック単位で、ブロックの一端に位置する一列分のスライダ部分に対して研磨等の加工を施して、ブロックの一端に位置する一列分のスライダ部分における媒体対向面を形成する。次に、この一列分のスライダ部分よりなるバーをブロックより切り出し、更に、このバーを切断して各スライダに分離する。
以下、基板2を切断してブロックを形成する場合を例にとって説明する。図4は、ブロックの一部を示す説明図である。図4に示したように、ブロックは、複数列に配列されたスライダ部分61を含んでいる。各スライダ部分61は、それぞれ薄膜磁気ヘッド素子100を含んでいる。このブロックの一端には、一列分のスライダ部分61が配置されている。この一列分のスライダ部分61に対して、研磨等の加工が施され、この一列分のスライダ部分61における媒体対向面120が形成される。媒体対向面120の形成後、図4において符号62で示した線の位置でブロックを切断することにより、一列分のスライダ部分61よりなるバーがブロックより切り出され、更に、このバーを切断することにより各スライダが分離される。
図5は、上述のようにして製造されるスライダの形状の一例を示す斜視図である。図5に示したように、磁気ディスク装置において、スライダ70は、回転駆動される円盤状の記録媒体に対向するように配置される。このスライダ70は、スライダ本体71を備えている。スライダ本体71は、ほぼ六面体形状をなしている。スライダ本体71の六面のうちの一面は、記録媒体に対向するようになっている。この一面には、媒体対向面120が形成されている。記録媒体が図5におけるz方向に回転すると、記録媒体とスライダ70との間を通過する空気流によって、スライダ70に、図5におけるy方向の下方に揚力が生じる。スライダ70は、この揚力によって記録媒体の表面から浮上するようになっている。なお、図5におけるx方向は、記録媒体のトラック横断方向である。スライダ本体71の空気流出側の端部(図5における左下の端部)の近傍であって、且つ媒体対向面120の近傍には、薄膜磁気ヘッド素子100が設けられている。
次に、図6および図7を参照して、スライダ70に含まれる薄膜磁気ヘッド素子100の構成および製造方法について説明する。図6は薄膜磁気ヘッド素子100の媒体対向面および基板に垂直な断面を示す断面図、図7は薄膜磁気ヘッド素子100の磁極部分の媒体対向面に平行な断面を示す断面図である。
この薄膜磁気ヘッド素子100の製造方法では、まず、アルティック(Al23・TiC)等のセラミック材料よりなる基体101の上に、スパッタリング法等によって、アルミナ(Al23)等の絶縁材料よりなる絶縁層102を、例えば1〜5μmの厚さに形成する。次に、絶縁層102の上に、スパッタリング法またはめっき法等によって、パーマロイ(NiFe)等の磁性材料よりなる再生素子用の下部シールド層103を、例えば約3μmの厚さに形成する。
次に、下部シールド層103の上に、スパッタリング法等によって、絶縁材料よりなる下部シールドギャップ膜104を、例えば10〜200nmの厚さに形成する。次に、下部シールドギャップ膜104の上に、再生用のMR素子105と、図示しない一対のバイアス磁界印加層と、一対の電極層106を、それぞれ、例えば数十nmの厚さに形成する。次に、下部シールドギャップ膜104およびMR素子105の上に、スパッタリング法等によって、絶縁材料よりなる上部シールドギャップ膜107を、例えば10〜200nmの厚さに形成する。
次に、上部シールドギャップ膜107の上に、磁性材料からなり、記録素子の下部磁極層を兼ねた再生素子の上部シールド層108を、例えば3〜4μmの厚さに形成する。なお、上部シールド層108に用いる磁性材料は、NiFe、CoFe、CoFeNi、FeN等の軟磁性材料である。上部シールド層108は、スパッタリング法またはめっき法等によって形成される。なお、上部シールド層108の代わりに、上部シールド層と、この上部シールド層の上にスパッタリング法等によって形成されたアルミナ等の非磁性材料よりなる分離層と、この分離層の上に形成された下部磁極層とを設けてもよい。
次に、上部シールド層108の上に、スパッタリング法等によって、アルミナ等の非磁性材料よりなる記録ギャップ層109を、例えば50〜300nmの厚さに形成する。次に、磁路形成のために、後述する薄膜コイル110の中心部分において、記録ギャップ層109を部分的にエッチングしてコンタクトホール109aを形成する。
次に、記録ギャップ層109の上に、例えば銅(Cu)よりなる薄膜コイル110の第1層部分110Aを、例えば2〜3μmの厚さに形成する。薄膜コイル110は、この第1層部分110Aと、後述する第2層部分110Bとを有している。なお、図6において、符号110Aaは、第1層部分110Aのうち、第2層部分110Bに接続される接続部を表している。第1層部分110Aは、コンタクトホール109aの周囲に巻回される。
次に、第1層部分110Aおよびその周辺の記録ギャップ層109を覆うように、フォトレジスト等の、加熱時に流動性を有する有機絶縁材料よりなる絶縁層111を所定のパターンに形成する。次に、絶縁層111の表面を平坦にするために所定の温度で熱処理する。この熱処理により、絶縁層111の外周および内周の各端縁部分は、丸みを帯びた斜面形状となる。
次に、絶縁層111のうちの後述する媒体対向面120側の斜面部分から媒体対向面120側にかけての領域において、記録ギャップ層109および絶縁層111の上に、記録素子用の磁性材料によって、上部磁極層112のトラック幅規定層112aを形成する。上部磁極層112は、このトラック幅規定層112aと、後述する連結部分層112bおよびヨーク部分層112cとで構成される。
トラック幅規定層112aは、記録ギャップ層109の上に形成され、上部磁極層112の磁極部分となる先端部と、絶縁層111の媒体対向面120側の斜面部分の上に形成され、ヨーク部分層112cに接続される接続部とを有している。先端部の幅は記録トラック幅と等しくなっている。接続部の幅は、先端部の幅よりも大きくなっている。
トラック幅規定層112aを形成する際には、同時に、コンタクトホール109aの上に磁性材料よりなる連結部分層112bを形成すると共に、接続部110Aaの上に磁性材料よりなる接続層113を形成する。連結部分層112bは、上部磁極層112のうち、上部シールド層108に磁気的に連結される部分を構成する。
次に、磁極トリミングを行う。すなわち、トラック幅規定層112aの周辺領域において、トラック幅規定層112aをマスクとして、記録ギャップ層109および上部シールド層108の磁極部分における記録ギャップ層109側の少なくとも一部をエッチングする。これにより、図7に示したように、上部磁極層112の磁極部分、記録ギャップ層109および上部シールド層108の磁極部分の少なくとも一部の各幅が揃えられたトリム(Trim)構造が形成される。このトリム構造によれば、記録ギャップ層109の近傍における磁束の広がりによる実効的なトラック幅の増加を防止することができる。
次に、全体に、アルミナ等の無機絶縁材料よりなる絶縁層114を、例えば3〜4μmの厚さに形成する。次に、この絶縁層114を、例えば化学機械研磨によって、トラック幅規定層112a、連結部分層112bおよび接続層113の表面に至るまで研磨して平坦化する。
次に、平坦化された絶縁層114の上に、例えば銅(Cu)よりなる第2層部分110Bを、例えば2〜3μmの厚さに形成する。なお、図6において、符号110Baは、第2層部分110Bのうち、接続層113を介して第1層部分110Aの接続部110Aaに接続される接続部を表している。第2層部分110Bは、連結部分層112bの周囲に巻回される。
次に、第2層部分110Bおよびその周辺の絶縁層114を覆うように、フォトレジスト等の、加熱時に流動性を有する有機絶縁材料よりなる絶縁層116を所定のパターンに形成する。次に、絶縁層116の表面を平坦にするために所定の温度で熱処理する。この熱処理により、絶縁層116の外周および内周の各端縁部分は、丸みを帯びた斜面形状となる。
次に、トラック幅規定層112a、絶縁層114,116および連結部分層112bの上に、パーマロイ等の記録素子用の磁性材料によって、上部磁極層112のヨーク部分を構成するヨーク部分層112cを形成する。ヨーク部分層112cの媒体対向面120側の端部は、媒体対向面120から離れた位置に配置されている。また、ヨーク部分層112cは、連結部分層112bを介して上部シールド層108に接続されている。
次に、全体を覆うように、例えばアルミナよりなるオーバーコート層117を形成する。次に、このオーバーコート層117の上面に、MR素子105および薄膜コイル110に接続される端子を形成する。最後に、媒体対向面120を形成して、薄膜磁気ヘッド素子100を含むスライダ70が完成する。スライダ本体71は、主に基体101およびオーバーコート層117によって構成される。
このようにして製造される薄膜磁気ヘッド素子100は、記録素子と再生素子とを備えている。再生素子は、媒体対向面120の近傍に配置されたMR素子105と、媒体対向面120側の一部がMR素子105を挟んで対向するように配置された、MR素子105をシールドするための下部シールド層103および上部シールド層108とを有している。
記録素子は、媒体対向面120側において互いに対向する磁極部分を含むと共に、互いに磁気的に連結された下部磁極層(上部シールド層108)および上部磁極層112と、この下部磁極層の磁極部分と上部磁極層112の磁極部分との間に設けられた記録ギャップ層109と、少なくとも一部が下部磁極層および上部磁極層112の間に、これらに対して絶縁された状態で配設された薄膜コイル110とを有している。
この薄膜磁気ヘッド素子100では、図6に示したように、媒体対向面120から、絶縁層111の媒体対向面120側の端部までの長さが、スロートハイトTHとなる。なお、スロートハイトとは、媒体対向面120から、2つの磁極層の間隔が開き始める位置までの長さ(高さ)をいう。
この薄膜磁気ヘッド素子100は、記録素子によって記録媒体に情報を記録し、再生素子によって、記録媒体に記録されている情報を再生する。
図6および図7に示した薄膜磁気ヘッド素子100において、本実施の形態に係る露光装置法および露光方法を利用してパターニングされる層の例として、MR素子105が挙げられる。以下、図8ないし図14を参照して、MR素子105の形成方法の一例について説明する。図8ないし図14において、(a)は積層体の媒体対向面に平行な断面を示し、(b)は積層体の上面を示している。なお、図8ないし図14における(a)は、それぞれ、(b)において記号nA−nA(nは8〜14の整数)で示された線の位置における断面を表している。
このMR素子105の形成方法では、まず、図8に示したように、下部シールドギャップ膜104の上に、スパッタリング法等により、MR素子105となるMR膜105Pを形成する。
図9は、次の工程を示す。この工程では、まず、MR膜105Pの上に、フォトレジスト層を形成する。次に、第1のマスクを用いて、このフォトレジスト層を露光する。その際、本実施の形態に係る露光装置および露光方法が用いられる。次に、フォトレジスト層を現像して、残ったフォトレジスト層によって、エッチングマスク131を形成する。このエッチングマスク131は、2つの矩形の開口部131aを有している。
次に、図10に示したように、エッチングマスク131を用い、イオンミリング等のドライエッチングによって、MR膜105Pを選択的にエッチングする。
次に、図11に示したように、図10に示した積層体の上面全体の上に、スパッタリング法等により、バイアス磁界印加層となる膜132Pと、電極層106となる膜106Pを順に形成する。
次に、図12に示したように、エッチングマスク131を溶剤等よって溶解させ、エッチングマスク131とその上に形成された膜を除去する。
図13は、次の工程を示す。この工程では、まず、図12に示した積層体の上にフォトレジスト層を形成する。次に、第2のマスクを用いて、このフォトレジスト層を露光する。その際、本実施の形態に係る露光装置および露光方法が用いられる。次に、フォトレジスト層を現像して、残ったフォトレジスト層によって、エッチングマスク133を形成する。
図14は、次の工程を示す。この工程では、まず、エッチングマスク133を用い、イオンミリング等のドライエッチングによって、MR膜105P、膜132Pおよび膜106Pのそれぞれにおける不要な部分を選択的にエッチングする。次に、エッチングマスク133を溶剤等よって溶解させ、エッチングマスク133を除去する。これにより、残ったMR膜105PによってMR素子105が形成され、残った膜132Pによってバイアス磁界印加層132が形成され、残った膜106Pによって電極層106が形成される。図14(b)において、記号MR−hは、MRハイトを表している。なお、MRハイトとは、MR素子105の媒体対向面側の端部から反対側の端部までの長さ(高さ)を言う。
ところで、前述の薄膜磁気ヘッドスライダの製造方法では、図4に示したように、ブロックの状態で、一列に配列された複数のスライダ部分61における媒体対向面120を形成する。この媒体対向面120を形成する工程では、一列に配列された複数の薄膜磁気ヘッド素子100におけるMRハイトを全て許容範囲内に収める必要がある。媒体対向面120を形成する工程は、媒体対向面120を研磨する工程を含んでいる。MRハイトは、媒体対向面120の研磨量によって調整される。
次に、本実施の形態に係る露光装置の動作および露光方法の特徴部分について詳しく説明する。本実施の形態では、マスク1を用いて基板2を露光する際には、基板2とその周辺を含む所定の範囲内において、それぞれ少なくとも一部が基板2の一部と重なる複数のパターン投影領域28が設定される。このパターン投影領域28の配置は、例えば、図22に示したショット202と同様になる。1つのパターン投影領域28に投影されるマスクパターンは、複数の薄膜磁気ヘッド素子100に対応したパターンを含んでいる。従って、基板2のうち、1つのパターン投影領域28に対応する部分には、複数のスライダ部分61が形成される。また、1つのブロックとなる範囲内には、複数のパターン投影領域28が含まれる。また、いくつかのパターン投影領域28では、その一部が基板2の縁の外側に配置される。以下、このようなパターン投影領域28を、周辺投影領域と呼び、符号28Eで表す。
本実施の形態では、パターン投影領域28を露光する際に、そのパターン投影領域28が、周辺投影領域28Eであって、且つその領域におけるX方向の両端部で、基板2と重なる部分の長さが異なる領域である場合には、両端部のうち、基板2と重なる部分が長い端部から他方の端部に向かって露光領域29を移動させる。これにより、露光領域29の移動方向が上記の方向とは反対の方向である場合に比べて、周辺投影領域28Eの露光前に行なわれる基板2の位置を調整する処理において、より多くの計測点が基板2の縁の内側に配置される。従って、本実施の形態によれば、周辺投影領域28Eにおいても、投影光学系3の光軸方向についての基板2の表面の位置を精度よく検出することが可能になる。その結果、本実施の形態によれば、基板2の表面でマスクパターンの一部が結像されるように、投影光学系3の光軸方向についての基板2の位置を精度よく調整することが可能になる。従って、本実施の形態によれば、周辺投影領域28Eが存在する場合であっても、マスクパターンに基づいてパターニングされる層の幅のばらつきを小さくすることができる。
以下、本実施の形態に対する2つの比較例と、本実施の形態における2つの実施例について説明する。図15は、第1の比較例におけるパターン投影領域28毎の露光領域29の移動方向を示している。図16は、第2の比較例におけるパターン投影領域28毎の露光領域29の移動方向を示している。図17は、第1の実施例におけるパターン投影領域28毎の露光領域29の移動方向を示している。図18は、第2の実施例におけるパターン投影領域28毎の露光領域29の移動方向を示している。
図15ないし図18に示した各例では、それぞれ、円板状の基板2とその周辺を含む所定の範囲内において、それぞれ少なくとも一部が基板2の一部と重なる44個のパターン投影領域28が設定されている。そのうちの20個のパターン投影領域28は、周辺投影領域28Eになっている。これらの例では、全ての周辺投影領域28Eにおいて、その領域におけるX方向の両端部で、基板2と重なる部分の長さが異なっている。また、これらの例では、一列に並ぶ4個のパターン投影領域28を含む領域が、1つのブロックとなる範囲になっている。このブロックとなる範囲の配置は、図22における領域203と同様である。また、図15ないし図18において、矢印は、パターン投影領域28毎の露光領域29の移動方向を表している。
図15に示した第1の比較例では、全てのパターン投影領域28に関して、X方向またはY方向に隣接するパターン投影領域28間で、露光領域29の移動方向が互いに反対になっている。この第1の比較例では、いくつかの周辺投影領域28Eにおいて、その領域におけるX方向の両端部のうち、基板2と重なる部分が短い端部から他方の端部に向かって露光領域29を移動させることになる。そのため、この第1の比較例では、マスクパターンに基づいてパターニングされる層の幅のばらつきが大きくなる。
図16に示した第2の比較例では、全てのパターン投影領域28における露光領域29の移動方向が同一になっている。この第2の比較例でも、いくつかの周辺投影領域28Eにおいて、その領域におけるX方向の両端部のうち、基板2と重なる部分が短い端部から他方の端部に向かって露光領域29を移動させることになる。そのため、この第2の比較例でも、マスクパターンに基づいてパターニングされる層の幅のばらつきが大きくなる。
図17に示した第1の実施例では、全ての周辺投影領域28Eにおいて、その領域におけるX方向の両端部のうち、基板2と重なる部分が長い端部から他方の端部に向かって露光領域29を移動させている。この場合、全ての周辺投影領域28Eにおいて、露光領域29の移動方向は、基板2の表面の中心を通り露光領域29の移動方向に直交する仮想の直線Lから遠ざかる方向になる。また、第1の実施例では、周辺投影領域28E以外の全てのパターン投影領域28において、X方向またはY方向に隣接するパターン投影領域28間で、露光領域29の移動方向が互いに反対になっている。この第1の実施例では、周辺投影領域28Eが存在する場合であっても、マスクパターンに基づいてパターニングされる層の幅のばらつきを小さくすることができる。また、第1の実施例では、周辺投影領域28E以外の全てのパターン投影領域28において、隣接するパターン投影領域28間で、露光領域29の移動方向が互いに反対になっていることから、基板2の全体に対する露光の処理時間を短縮することができる。
図18に示した第2の実施例では、第1の実施例と同様に、全ての周辺投影領域28Eにおいて、その領域におけるX方向の両端部のうち、基板2と重なる部分が長い端部から他方の端部に向かって露光領域29を移動させている。この場合、全ての周辺投影領域28Eにおいて、露光領域29の移動方向は仮想の直線Lから遠ざかる方向になる。また、第2の実施例では、周辺投影領域28E以外の全てのパターン投影領域28においても、露光領域29の移動方向を、仮想の直線Lから遠ざかる方向に設定している。従って、第2の実施例では、全てのパターン投影領域28において、露光領域29の移動方向は、仮想の直線Lから遠ざかる方向になる。この第2の実施例では、周辺投影領域28Eが存在する場合であっても、マスクパターンに基づいてパターニングされる層の幅のばらつきを小さくすることができる。また、第2の実施例では、1つの加工用素材であるブロックに対応する複数のパターン投影領域28において露光領域29の移動方向が同じになる。従って、第2の実施例によれば、1つのブロックに対応する、露光後における複数のパターン投影領域28間で、露光領域29の移動方向についての位置のずれを小さくすることができる。これにより、第2の実施例によれば、1つのブロックより製造される複数の薄膜磁気ヘッドスライダ70間における特性のばらつきを小さくすることができる。
次に、上記の2つの実施例の効果を確認するために行なった実験の結果について説明する。この実験では、上記の2つの比較例と2つの実施例について、以下の3つの指標に関して評価した。第1の指標は、Y方向に隣接するパターン投影領域28間におけるX方向についての位置ずれを表すものである。第2の指標は、マスクパターンに基づいてパターニングされる層の幅のばらつきを表すものである。第3の指標は、媒体対向面120の形成後のMR素子105の抵抗値のばらつきを表すものである。
実験では、2つの比較例と2つの実施例のそれぞれ露光方法毎に、図8ないし図14に示した方法を用いて、基板2に対して多数のMR素子105を形成した。実験では、マスク1は、そのY方向の両端近傍に配置された重ね合わせマークを含むものとし、これにより、基板2では、パターン投影領域28におけるY方向の両端近傍に、マスク1の重ね合わせマークに対応した基板2上の重ね合わせマークが形成されるようにした。
図19は、基板2とパターン投影領域28と重ね合わせマークとを示している。図19において、Y方向に並ぶ複数のパターン投影領域28は、左側から順に露光処理が行なわれるものとする。基板2の露光および現像後には、マスク1の重ね合わせマークに従ってパターニングされた層によって、各パターン投影領域28におけるY方向の両端近傍に2種類の重ね合わせマークM1,M2が形成される。重ね合わせマークM1は、パターン投影領域28の図19における左端の近傍に3つ配置され、重ね合わせマークM2は、パターン投影領域28の図19における右端の近傍に3つ配置される。重ね合わせマークM1,M2は、いずれも矩形であるが、重ね合わせマークM1は重ね合わせマークM2よりも大きくなっている。また、Y方向に隣接する2つのパターン投影領域28のうち、図19における右側のパターン投影領域28における重ね合わせマークM1は、図19における左側のパターン投影領域28における重ね合わせマークM2に重なる位置に配置されるようになっている。
なお、図19では、便宜上、パターン投影領域28のうち、基板2の縁の外側に配置された部分にも、重ね合わせマークM1,M2を描いているが、実際には、重ね合わせマークM1,M2は、パターン投影領域28のうち、基板2の縁の内側に配置された部分にのみ形成される。図19では、実際に形成される重ね合わせマークM1,M2を、丸で囲って示している。重ね合わせマークM1,M2は、観察顕微鏡27によって観察される。
図20は、図19における重ね合わせマークM1,M2を拡大して示している。露光装置の制御装置50は、重ね合わせマークM1,M2の各中心の位置が一致するように、複数のパターン投影領域28の位置を設定する。しかし、露光装置の機械的な精度が完璧ではないことから、実際の露光後におけるパターン投影領域28は、上記の理想的な位置からずれる場合がある。その結果、図20に示したように、重ね合わせマークM1,M2の各中心の位置がずれる場合がある。ここで、重ね合わせマークM1,M2の各中心の位置のX方向についてのずれ量をSOLで表す。そして、1枚の基板2中の全ての重ね合わせマークM1,M2におけるずれ量SOLの標準偏差の3倍を、第1の指標とし、記号SOL−3σで表す。この第1の指標SOL−3σの値が大きいほど、露光後において、Y方向に隣接するパターン投影領域28間におけるX方向についての位置ずれが大きいことになる。
次に、図21を参照して、第2の指標と第3の指標について説明する。図21において(a)は、Y方向に隣接する2つのパターン投影領域28に含まれる複数のMR素子105のうち、Y方向に沿って一列に配列されたMR素子105を模式的に表している。図21において(b)は、(a)に示された各MR素子105について、媒体対向面120の形成後における抵抗値(相対値)MRRを表している。以下、(a)に示された2つのパターン投影領域28のうち、左側のパターン投影領域28をパターン投影領域28Aと呼び、右側のパターン投影領域28をパターン投影領域28Bと呼ぶ。
ここで、媒体対向面120の形成前におけるMR素子105の媒体対向面120に垂直な方向の長さを記号CDで表し、媒体対向面120の形成後におけるMR素子105の媒体対向面120に垂直な方向の長さ、すなわちMRハイトを記号MRhで表す。図21(a)では、パターン投影領域28Aに含まれるMR素子105についての長さCD、MRhをそれぞれCD−A、MRh−Aで表し、パターン投影領域28Bに含まれるMR素子105についての長さCD、MRhをそれぞれCD−B、MRh−Bで表している。長さCDは、マスクパターンに基づいてパターニングされる層の幅のばらつきに応じて変動する。ここで、1枚の基板2に含まれる全てのMR素子105についての長さCDの変動の範囲を、第2の指標とし、記号CD−Rangeで表す。範囲CD−Rangeが大きいほど、マスクパターンに基づいてパターニングされる層の幅のばらつきが大きいことになる。
理想的には、1枚の基板2に含まれる全てのMR素子105の抵抗値MRRは等しくなる。しかしながら、実際には、この抵抗値MRRには、ばらつきが生じることがある。ここで、1枚の基板2に含まれる全てのMR素子105の抵抗値MRRの標準偏差の3倍を、第3の指標とし、記号MRR−3σで表す。この第3の指標MRR−3σの値が大きいほど、媒体対向面120の形成後のMR素子105の抵抗値のばらつきが大きいことを示す。第3の指標MRR−3σを小さくするためには、第1の指標SOL−3σと第2の指標CD−Rangeを共に小さくする必要がある。
下記の表に、2つの比較例と2つの実施例について、実験で得られた3つの指標の値を示す。なお、実験において、長さCDの目標値は200nmとした。SOL−3σ、CD−Rangeの単位は、いずれもnmである。MRR−3σの単位はΩである。
Figure 0004003885
上記の表から分かるように、第1および第2の実施例では、第1および第2の比較例に比べて、第2の指標CD−Rangeの値が小さくなっている。このことから、第1および第2の実施例によれば、マスクパターンに基づいてパターニングされる層の幅のばらつきを小さくすることができることが分かる。
また、上記の表から分かるように、第2の実施例では、第1および第2の比較例および第1の実施例に比べて、第1の指標SOL−3σの値が小さくなっている。このことから、第2の実施例によれば、露光後において、Y方向に隣接する複数のパターン投影領域28間で、露光領域29の移動方向(X方向)についての位置のずれを小さくすることができることが分かる。
また、上記の表から分かるように、第1および第2の実施例では、第1および第2の比較例に比べて、第3の指標MRR−3σの値が小さくなっている。特に、第2の実施例では、第1および第2の比較例に比べて、第3の指標MRR−3σの値が大幅に小さくなっている。このことから、第1および第2の実施例によれば、1つのブロックより製造される複数の薄膜磁気ヘッドスライダ70間における特性(MR素子105の抵抗値)のばらつきを小さくすることができ、特に、第2の実施例ではその効果が顕著であることが分かる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本発明は、マイクロデバイスとして薄膜磁気ヘッドスライダを製造する場合に限らず、基板のうちの1つのパターン投影領域に対応する部分に複数のマイクロデバイスを形成する場合に広く利用することができる。本発明を利用して製造可能な薄膜磁気ヘッドスライダ以外のマイクロデバイスとしては、例えば、半導体レーザや発光ダイオードがある。
また、実施の形態では、基体側に再生素子を形成し、その上に、記録素子を積層した構造の薄膜磁気ヘッド素子について説明したが、この積層順序を逆にしてもよい。
本発明の一実施の形態に係る露光装置の要部を示す説明図である。 本発明の一実施の形態に係る露光装置の要部を示す斜視図である。 図1における制御装置の構成を示すブロック図である。 薄膜磁気ヘッドスライダの製造方法について説明するための説明図である。 薄膜磁気ヘッドスライダの形状の一例を示す斜視図である。 本発明の一実施の形態における薄膜磁気ヘッド素子の媒体対向面および基板に垂直な断面を示す断面図である。 本発明の一実施の形態における薄膜磁気ヘッド素子の磁極部分の媒体対向面に平行な断面を示す断面図である。 MR素子の形成方法における一工程を示す説明図である。 図8に示した工程に続く工程を示す説明図である。 図9に示した工程に続く工程を示す説明図である。 図10に示した工程に続く工程を示す説明図である。 図11に示した工程に続く工程を示す説明図である。 図12に示した工程に続く工程を示す説明図である。 図13に示した工程に続く工程を示す説明図である。 第1の比較例におけるパターン投影領域毎の露光領域の移動方向を示す説明図である。 第2の比較例におけるパターン投影領域毎の露光領域の移動方向を示す説明図である。 本発明の一実施の形態の第1の実施例におけるパターン投影領域毎の露光領域の移動方向を示す説明図である。 本発明の一実施の形態の第2の実施例におけるパターン投影領域毎の露光領域の移動方向を示す説明図である。 第1および第2の実施例の効果を確認するために行なった実験における基板とパターン投影領域と重ね合わせマークとを示す説明図である。 図19における重ね合わせマークを拡大して示す説明図である。 実験で評価した第2および第3の指標について説明するための説明図である。 薄膜磁気ヘッドスライダの製造方法を説明するための説明図である。
符号の説明
1…マスク、2…基板、3…投影光学系、4…照明装置、10…マスクステージ、11…駆動装置、20…基板ステージ、21…移動機構、22…駆動装置、40…検出装置、50…制御装置。

Claims (10)

  1. マスクに形成されたパターンを、それぞれ少なくとも一部が基板の一部と重なる複数のパターン投影領域に順次投影して、前記パターンに基づいて基板を露光する露光方法であって、
    前記パターン投影領域毎に、投影光学系を介して前記パターンの一部を前記パターン投影領域の一部に投影しながら前記マスクと基板とを同期して移動させることによって、前記パターンの一部が投影されて露光が行なわれる露光領域を、前記パターン投影領域における第1および第2の端部のうちの一方から他方に向かって移動させ、これにより前記パターンに基づいて前記パターン投影領域を露光する手順と、
    前記パターン投影領域を露光する手順に先立って、前記各パターン投影領域内において、前記投影光学系の光軸方向についての前記基板の表面の位置を検出し、この検出結果に基づいて、前記基板の表面で前記パターンの一部が結像されるように前記投影光学系の光軸方向についての前記基板の位置を調整する手順とを備え、
    前記基板の縁の全体形状は実質的に円形であり、
    前記パターン投影領域を露光する手順では、全てのパターン投影領域において、前記露光領域を、基板の表面の中心を通り前記露光領域の移動方向に直交する仮想の直線から遠ざかる方向に移動させ、これにより、一部が前記基板の縁の外側に配置されるパターン投影領域であって、基板と重なる部分の長さが前記第1の端部と第2の端部とで異なるパターン投影領域においては、前記第1および第2の端部のうち、基板と重なる部分が長い端部から他方の端部に向かって前記露光領域を移動させることを特徴とする露光方法。
  2. 前記パターンは、前記基板のうちの1つのパターン投影領域に対応する部分によって複数のマイクロデバイスを製造するために用いられるものであることを特徴とする請求項記載の露光方法。
  3. 前記マイクロデバイスは、薄膜磁気ヘッドスライダであることを特徴とする請求項記載の露光方法。
  4. 前記基板の位置を調整する手順では、前記パターン投影領域内のうち、最初に前記露光領域となる領域内において基板の表面の位置を検出することを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の露光方法。
  5. 前記パターンは、前記基板のうちの1つのパターン投影領域に対応する部分によって複数の薄膜磁気ヘッドスライダを製造するために用いられるものであり、
    前記基板は、前記薄膜磁気ヘッドスライダの製造過程において、それぞれ複数のパターン投影領域と重なる部分からなる複数の加工用素材に分割されて、この加工用素材単位で加工が施されるものであり、
    前記パターン投影領域を露光する手順では、1つの加工用素材に対応する複数のパターン投影領域において前記露光領域の移動方向が同じになることを特徴とする請求項1記載の露光方法。
  6. マスクに形成されたパターンを、それぞれ少なくとも一部が基板の一部と重なる複数のパターン投影領域に順次投影して、前記パターンに基づいて基板を露光する露光装置であって、
    前記マスクを保持し移動させるマスク移動装置と、
    前記基板を保持し移動させる基板移動装置と、
    前記マスクに形成されたパターンの一部を前記パターン投影領域の一部に投影する投影光学系と、
    前記基板の表面の位置を検出する検出装置と、
    前記マスク移動装置、基板移動装置および検出装置を制御する制御装置とを備え、
    前記制御装置は、
    前記パターン投影領域毎に、前記投影光学系を介して前記パターンの一部を前記パターン投影領域の一部に投影させながら、前記マスク移動装置および基板移動装置を制御して前記マスクと基板とを同期して移動させることによって、前記パターンの一部が投影されて露光が行なわれる露光領域を、前記パターン投影領域における第1および第2の端部のうちの一方から他方に向かって移動させ、これにより前記パターンに基づいて前記パターン投影領域を露光する処理と、
    前記パターン投影領域を露光する処理の前に、前記検出装置を用いて、前記各パターン投影領域内において、前記投影光学系の光軸方向についての前記基板の表面の位置を検出し、この検出結果に基づいて、前記基板移動装置を制御して、前記基板の表面で前記パターンの一部が結像されるように前記投影光学系の光軸方向についての前記基板の位置を調整する処理とを行い、
    前記基板の縁の全体形状は実質的に円形であり、
    前記制御装置は、前記パターン投影領域を露光する処理では、全てのパターン投影領域において、前記露光領域を、基板の表面の中心を通り前記露光領域の移動方向に直交する仮想の直線から遠ざかる方向に移動させ、これにより、一部が基板の縁の外側に配置されるパターン投影領域であって、基板と重なる部分の長さが前記第1の端部と第2の端部とで異なるパターン投影領域においては、前記第1および第2の端部のうち、基板と重なる部分が長い端部から他方の端部に向かって前記露光領域を移動させることを特徴とする露光装置。
  7. 前記パターンは、前記基板のうちの1つのパターン投影領域に対応する部分によって複数のマイクロデバイスを製造するために用いられるものであることを特徴とする請求項記載の露光装置。
  8. 前記マイクロデバイスは、薄膜磁気ヘッドスライダであることを特徴とする請求項記載の露光装置。
  9. 前記制御装置は、前記基板の位置を調整する処理では、前記パターン投影領域内のうち、最初に前記露光領域となる領域内において基板の表面の位置を検出することを特徴とする請求項ないしのいずれかに記載の露光装置。
  10. 前記パターンは、前記基板のうちの1つのパターン投影領域に対応する部分によって複数の薄膜磁気ヘッドスライダを製造するために用いられるものであり、
    前記基板は、前記薄膜磁気ヘッドスライダの製造過程において、それぞれ複数のパターン投影領域と重なる部分からなる複数の加工用素材に分割されて、この加工用素材単位で加工が施されるものであり、
    前記パターン投影領域を露光する処理では、1つの加工用素材に対応する複数のパターン投影領域において前記露光領域の移動方向が同じになることを特徴とする請求項記載の露光装置。
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