JP4002879B2 - 液体現像用電子写真感光体 - Google Patents

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Description

本発明は、電気特性および耐久性に優れた液体現像用の電子写真感光体に関する。
静電式複写機、ファクシミリ、レーザビームプリンタ等の画像形成装置には、当該装置に用いられる光源の波長領域に感度を有する電子写真感光体が使用されている。近年の電子写真感光体は有機感光体(OPC)が主流であって、この有機感光体の感光層は、電荷発生剤と、電荷輸送剤とを含有するバインダ樹脂を用いて形成されている。
かかる有機感光体を用いた画像形成装置においては、現像剤として粉体のトナー(乾式現像剤)を用いる乾式現像法が一般的である。一方、電気絶縁性の高い溶剤中に着色剤、ポリマー粒子等を分散させた湿式現像剤を用いて、感光体表面の静電潜像にトナー粒子を電気泳動させて現像する液体現像法も知られている。この湿式現像剤において、トナー粒子は、それを構成する樹脂や帯電制御剤によって所定の電荷に帯電しており、溶剤中にて安定に分散している。従って、湿式現像剤には、乾式現像剤に比べて粒径の小さなトナー粒子(通常1μm程度)を用いることができ、その結果、液体現像を採用することで、乾式現像に比べて解像度の高い画像形成を行うことができる。また、乾式現像ではリーク等によって局所的に帯電電位が低下するという問題が生じるものの、液体現像ではかかる問題を生じることがない。それゆえ、湿式現像剤および液体現像は、高品位の画像形成を実現する上で好適である。
しかしながら、湿式現像剤の溶剤には高い電気絶縁性が求められることから、イソパラフィンやn−パラフィン等のパラフィン系溶媒が多用されているところ、感光体が湿式現像剤と長時間にわたって接触することで、感光層中の電荷輸送剤がパラフィン系溶媒中に溶出してしまい、感光体の感度が低下するという問題がある。
そこで、湿式現像剤を用いた液体現像において、経時的に電荷輸送剤が感光層から湿式現像剤中へと溶出するのを抑制することのできる有機感光体が求められている。
なお、特許文献1〜4には、液体現像用の有機感光体に係る発明が開示されているが、これらの発明はいずれも、感光体の塗布欠陥の低減や、導電性支持体からの電荷の注入を抑制する目的で、感光層と導電性基体渡の間にブロッキング層を設けることを特徴としている。また、特許文献1〜4においては、電荷輸送剤の湿式現像剤中への溶出を抑制することについては、特段の考慮がなされていない。
特開平7−191487号公報 特開平7−191488号公報 特開平7−325419号公報 特開平7−325420号公報 特開平6−282085号公報
そこで本発明の目的は、液体現像に適した、高感度でかつ耐久性に優れた電子写真感光体を提供することである。
本発明者らは、前述の課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、導電性基体として、その表面に酸化被膜処理または樹脂被膜処理を施したものを使用し、感光層を膜厚が20μm以下の単層型のものとし、さらに正孔輸送剤として下記一般式(1)および/または一般式(2)で表される特定の部位を有するものを使用すれば、意外にも、パラフィン系溶媒等を用いた湿式現像剤によって液体現像法による画像形成を繰り返したときに、正孔輸送剤がパラフィン系溶媒中に溶出したり、感光層が劣化したりするのを抑制することができるという全く新たな事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記目的を達成するための本発明に係る液体現像用電子写真感光体は、
酸化被膜処理または樹脂被膜処理が施された導電性基体上に、膜厚20μm以下の単層型感光層を備えており、かつ、当該感光層中に含まれる正孔輸送剤が、その分子中に一般式(1):
Figure 0004002879
〔式(1)中、RおよびRは同一もしくは異なって、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子、式(2)〜(4):
Figure 0004002879
(式(2)〜(4)中、R〜R10は同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基を示す。)
のいずれかで表される基、または、ベンゼン環の炭素原子と単結合で結合してなる炭素原子、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を含む基を示す。
mは0〜5の整数を示し、nは0〜4の整数を示す。mまたはnが2以上のとき、ベンゼン環の隣接する炭素原子に置換する2つのアルキル基またはアルケニル基は、互いに結合して当該ベンゼン環とともに飽和または不飽和の炭化水素環を形成してもよい。
は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、または、窒素原子と単結合で結合してなる炭素原子、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を含む基を示す。〕
で表される部位を有するものである。
本発明に係る液体現像用電子写真感光体において、上記一般式(1)で表される部位は、一般式(5):
Figure 0004002879
〔式(5)中、RおよびRは同一もしくは異なって、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子、式(2)〜(4):
Figure 0004002879
(式(2)〜(4)中、R〜R10は同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基を示す。)
のいずれかで表される基、または、ベンゼン環の炭素原子と単結合で結合してなる炭素原子、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を含む基を示す。
mは0〜5の整数を示し、nは0〜4の整数を示す。mまたはnが2以上のとき、ベンゼン環の隣接する炭素原子に置換する2つのアルキル基またはアルケニル基は、互いに結合して当該ベンゼン環とともに飽和または不飽和の炭化水素環を形成してもよい。
は、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基を示し、oは0〜5の整数を示す。oが2以上のとき、ベンゼン環の隣接する炭素原子に置換する2つのアルキル基またはアルケニル基は、互いに結合して当該ベンゼン環とともに飽和または不飽和の炭化水素環を形成してもよい。
は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基を示す。〕
および/または一般式(6):
Figure 0004002879
〔式(6)中、R、R、mおよびnは上記と同じである。R11はRと同じである。〕
で表される部位であるのが好ましい。
本発明に係る液体現像用電子写真感光体によれば、正孔輸送剤が上記一般式(1)で表される部位、好ましくは上記一般式(5)および/または一般式(6)で表される部位を有するものであって、電荷輸送能(正孔輸送能)に優れたものであることから、高感度な感光体を得ることができる。しかも、かかる部位を有する正孔輸送剤を感光層中に含有させることによって、湿式現像剤を用いて液体現像法による画像形成を繰り返したときに、電荷輸送剤がパラフィン系溶媒中に溶出したり、感光層が劣化したりするのを抑制することができることから、パラフィン系溶媒を溶剤とする湿式現像剤での画像形成に供する場合であっても、その耐久性を優れたものとすることができる。
なお、特許文献5には、電荷輸送材料のトルエンに対する溶解度(25℃)を所定の範囲に設定することによって、液体現像用の電子写真感光体の劣化を防止することが試みられている。しかしながら、同文献に記載の電子写真感光体は、電荷輸送材料の電荷輸送能についての考慮が十分ではなく、それゆえ上記一般式(1)で表される部位を有する正孔輸送剤を含有してなる本発明の電子写真感光体に比べて、感度が低いという問題がある。
本発明に係る液体現像用電子写真感光体において、正孔輸送剤は、一般式(7):
Figure 0004002879
で表されるスチルベン誘導体、または一般式(8):
Figure 0004002879
〔式(7)および式(8)中、R、R、R、R、R11、mおよびnは上記と同じである。Arは、xが2のときに式(a)〜(c):
Figure 0004002879
で表される二価基のいずれかを示し、xが3のときに式(d):
Figure 0004002879
で表される三価基を示す。〕
で表されるスチルベン誘導体であるのが好ましい。
上記一般式(7)および一般式(8)で表されるスチルベン誘導体はいずれも電荷輸送能が高く、それゆえ、電子写真感光体の感度を極めて優れたものとすることができる。しかも、かかる正孔輸送剤を感光層中に含有させることによって、パラフィン系溶媒を用いた湿式現像剤を用いた場合であっても、経時的に正孔輸送剤が感光層から溶出するのを防止することができる。
前述の一般式(1)〜(8)に示した基、部位または化合物において、R〜R11に相当するアルキル基またはアルケニル基の炭素数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4である。また、R〜R11に相当するアリール基またはアラルキル基の炭素数は、好ましくは6〜25、より好ましくは6〜20、さらに好ましくは6〜15である。
〜R11に相当する基のうち、アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、飽和の炭化水素環であってもよい。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル;シクロペンチル、シクロヘキシル、2,6−ジメチルシクロヘキシル等が挙げられる。アルケニル基には、例えばビニル、1−プロペニル、アリル、2,2−ジフェニル−エテニル、4−(4−スチリルフェニル)−1,3−ブタジエニル等が挙げられる。アルケニル基(特に、Rに導入されるアルケニル基)は、さらにアリール基等の置換基を有していてもよい。
アリール基には、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニリル;トリル、キシリル、メシチル、クメニル、2−エチル−6−メチルフェニル等が挙げられる。アリール基(特に、R、R〜R10に導入されるアリール基)は、さらにアルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。アラルキル基には、例えばベンジル、フェネチル、2,6−ジメチルベンジル等が挙げられる。アラルキル基(特に、R、R〜R10に導入されるアラルキル基)のアリール部分は、さらにアルコキシ基を有することのあるアルキル基、アリール基やアルコキシ基を有することのあるアルケニル基、アラルキル基、アルコキシ基等を有していてもよい。
ハロゲン原子には、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。アルコキシ基には、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ等が挙げられる。
およびRに相当する基のうち、ベンゼン環の炭素原子と単結合で結合してなる「炭素原子を含む基」、またはRに相当する基のうち、窒素原子と単結合で結合してなる「炭素原子を含む基」としては、例えば上記例示のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、上記式(2)および(3)で表される基のほか、エーテル結合、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ結合、チオエーテル結合、アゾ原子団等を有する炭化水素基が挙げられる。
ベンゼン環の炭素原子と単結合で結合してなる「窒素原子を含む基」、または窒素原子と単結合で結合してなる「窒素原子を含む基」としては、例えば上記式(4)で表される基のほか、ニトロ基、アミノ基、アゾ基等が挙げられる。アミノ基やアゾ基については、さらにアルキル基、アリール基等を有していてもよい。
ベンゼン環の炭素原子と単結合で結合してなる「酸素原子を含む基」、または窒素原子と単結合で結合してなる「酸素原子を含む基」としては、例えばアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基等が挙げられる。アルコキシ基には、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ等が挙げられる。アリールオキシ基およびアラルキルオキシ基のアリール部分およびアラルキル部分は、アリール基およびアラルキル基として例示したものと同様である。
ベンゼン環の炭素原子と単結合で結合してなる「硫黄原子を含む基」、または窒素原子と単結合で結合してなる「硫黄原子を含む基」としては、例えばアルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基等が挙げられる。これらの基のアルキル部分、アリール部分およびアラルキル部分は、アルキル基、アリール基およびアラルキル基として例示したものと同様である。アリールチオ基およびアラルキルチオ基のアリール部分は、さらにアルキル基、アルコキシ基等を有していてもよい。
、R、RおよびR11の置換数を示すm、nおよびoが2以上であるとき、ベンゼン環の隣接する炭素原子に置換する2つのアルキル基またはアルケニル基は、互いに結合して飽和または不飽和の炭化水素環を形成してもよい。すなわち、例えば基Rを有するベンゼン環について、アルケニル基であるRが隣接する炭素原子に2個置換している場合には、その2つの基Rは互いに結合して、上記ベンゼン環とともにナフタレン環等の縮合環を形成してもよい。縮合環の具体例としては、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、インダン、テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
〔導電性基体〕
本発明の液体現像用電子写真感光体において、感光層が形成される導電性基体には、導電性を有する種々の材料を使用することができ、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有するものであればよい。導電性基体の具体例としては、鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体;上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス;カーボンブラック等の導電性微粒子を分散させた樹脂基体等が挙げられる。
導電性基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよい。
(酸化被膜処理)
導電性基体に対する酸化被膜処理には、例えば、導電性基体としてアルミニウムやチタンを使用する場合に、当該導電性基体の表面に陽極酸化被膜(アノード酸化被膜)を形成する処理が挙げられる。
陽極酸化被膜は、例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で陽極酸化処理することによって形成されるが、上記例示の酸性浴中でも特に、硫酸中で処理を行うのが好ましい。陽極酸化処理の方法、陽極酸化処理に先立って施される脱脂処理の方法等については特に限定されるものではなく、常法に従って行えばよい。
(樹脂被膜処理)
導電性基体に対する樹脂被膜処理には、例えば、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等を適当な溶媒に溶解して、これを導電性基体の表面に塗布する処理が挙げられる。
樹脂被膜処理に用いる樹脂材料としては、上記例示の樹脂のなかでも特に、ナイロン樹脂やレゾール型のフェノール樹脂を用いるのが好ましい。
〔感光層〕
本発明の液体現像用電子写真感光体において、導電性基体上に形成される感光層は、同一の層中に電荷発生剤と電荷輸送剤とを混在させてなる、いわゆる単層型の感光層である。この単層型感光層は、電荷発生剤、電荷輸送剤等の各成分をバインダ樹脂等とともに溶媒中に溶解・分散させて、こうして得られた塗布液を、酸化被膜処理または樹脂被膜処理が施された導電基体上に塗布、乾燥することによって形成されるものである。
本発明の液体現像用電子写真感光体において、感光層の厚みは20μm以下となるように設定される。感光層の厚みが20μmを超えると、画像形成を繰り返した時に感光層の磨耗量が大きくなったり、画像濃度が低下したりするといった問題が生じる。
感光層の厚みは、上記範囲の中でも特に、5〜20μmとなるように設定するのが好ましく、10〜20μmとなるように設定するのがより好ましい。
なお、感光層の厚みの下限については特に限定されるものではないが、感光層の感度と機械的強度とを十分なものとするには、通常、5μm以上に設定するのが好ましい。
(正孔輸送剤)
本発明の液体現像用電子写真感光体に用いられる正孔輸送剤としては、分子中に、前述の一般式(1)で表される部位〔好ましくは一般式(5)および/または一般式(6)で表される部位〕を備える化合物が挙げられる。この一般式(5)および/または一般式(6)で表される部位を分子中に有する正孔輸送剤の具体例としては、前述の一般式(7)および一般式(8)で表されるスチルベン誘導体が挙げられる。
本発明の液体現像用電子写真感光体においては、一般式(1)〔好ましくは、一般式(5)および/または一般式(6)〕で表される部位を有する正孔輸送剤とともに、一般式(HTM2)で表されるジアミン誘導体、一般式(HTM3)で表されるスチルベン誘導体または一般式(HTM4)で表されるスチルベンアミン−ヒドラゾン誘導体を感光層中に配合してもよい。
Figure 0004002879
〔式(HTM2)のXh2は下記式(A)〜(D)のいずれかを、それぞれ示す。〕
Figure 0004002879
Figure 0004002879
〔式(HTM2)〜(HTM4)中、Rh7〜Rh18およびRh20〜Rh25は同一または異なって、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数12以下のアリール基を示す。Rh19は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数12以下のアリール基を示す。aおよびbは前記と同じである。kは0〜3の整数を示す。〕
上記例示の正孔輸送剤は、上記一般式(1)、(5)または(6)で表される部位を有する化合物(または、上記一般式(7)または(8)で表される正孔輸送剤)と同じく、その電荷輸送能が高く、しかも上記例示の電子輸送剤との間に電荷移動錯体を形成しにくく、後述するバインダ樹脂との相溶性が良好であるといった特徴を有している。
(電子輸送剤)
本発明の液体現像用電子写真感光体においては、感光層中に配合する電荷輸送剤として上記の正孔輸送剤のみを用いてもよいが、これと併せて電子輸送剤を配合してもよい。
本発明の液体現像用電子写真感光体に使用可能な電子輸送剤は、正孔輸送剤との間に電荷移動錯体が生じないものであるほかは特に限定されるものではなく、従来公知の種々の電子輸送剤の中から適宜選択して用いることができる。具体的には、下記一般式(ETM1)および(ETM2)で表されるジフェノキノン誘導体、下記一般式(ETM3)で表されるスチルベンキノン誘導体、下記一般式(ETM4)、(ETM5)、(ETM6)および(ETM7)で表されるナフトキノン誘導体、下記一般式(ETM8)および(ETM9)で表されるジナフトキノン誘導体、下記一般式(ETM10)、(ETM11)、(ETM12)および(ETM13)で表されるアゾキノン誘導体、下記一般式(ETM14)で表されるナフタレンテトラカルボン酸ジイミド誘導体等が挙げられる。
Figure 0004002879
Figure 0004002879
Figure 0004002879
Figure 0004002879
Figure 0004002879
Figure 0004002879
Figure 0004002879
〔一般式(ETM1)〜(ETM14)中、Re1〜Re11、Re13〜Re26、Re32〜Re37、Re40およびRe41は同一または異なって、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数12以下のアリール基を示す。Re12は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数12以下のアリール基、炭素数1〜9のアルキルカルボニル基、炭素数1〜9のアルコキシカルボニル基、炭素数13以下のアリールカルボニル基または炭素数13以下のアリールオキシカルボニル基を示す。Re27、Re29およびRe31は同一または異なって、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数12以下のアリール基、塩素原子またはニトロ基を示す。Re28、Re30、Re38およびRe39は同一または異なって、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数12以下のアリール基を示す。aは0〜3の整数を示し、bは0〜4の整数を示す。上記アリール基、アリールカルボニル基およびアリールオキシカルボニル基は、そのアリール部分にニトロ基等の置換基をさらに有していてもよい。〕
なお、上記一般式(ETM12)で表されるアゾキノン誘導体は、アニリン誘導体〔置換基(Re31aを備えるもの〕と亜硝酸ナトリウムに濃塩酸を加えてジアゾニウム化合物を生成させて、このジアゾニウム化合物と9−ヒドロキシ−10−メチルアントラセンの誘導体〔置換基(Re30を備えるもの〕とをジアゾカップリングさせた後、こうして得られた生成物のヒドロキシ基を酸化することによって得られる。
上記例示の電子輸送剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なお、これに限定されるものではないが、上記例示の電子輸送剤は、その分子中に少なくとも1つのニトロ基、2つ以上のカルボキシル基および2つ以上のアシル基のいずれかを有するものであるのが、感光体の耐溶剤性の面から好ましい。
(電荷発生剤)
本発明の液体現像用電子写真感光体に使用可能な電荷発生剤としては、例えば下記式(CGM1)で表される無金属フタロシアニン、下記式(CGM2)で表されるチタニルフタロシアニン(TiOPc)、下記式(CGM3)で表されるヒドロキシガリウムフタロシアニン、下記式(CGM4)で表されるクロロガリウムフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;ジスアゾ顔料;ジスアゾ縮合顔料、モノアゾ顔料、ペリレン系顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料等の、従来公知の種々の電荷発生剤が挙げられる。
Figure 0004002879
Figure 0004002879
Figure 0004002879
Figure 0004002879
電荷発生剤は、電子写真感光体が所望の吸収波長域で感度を有するように、上記例示のものの中から種々選択すればよい。上記例示の電荷発生剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
半導体レーザを使用したレーザビームプリンタやファクシミリといったデジタル光学系の画像形成装置には、上記例示の電荷発生剤のうち、600nm以上の波長領域に感度を有する感光体が必要となるため、例えば無金属フタロシアニン(CGM1)やチタニルフタロシアニン(CGM2)等のフタロシアニン系顔料が好適に用いられる。
上記フタロシアニン系顔料について、その結晶形は特に限定されるものではなく、種々のものを採用することができるが、無金属フタロシアニン(CGM1)についてはX型またはI型を、チタニルフタロシアニン(CGM2)についてはα型〔そのX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)が7.6°と28.6°の時に主たる回折ピークを有するもの〕またはY型〔ブラッグ角(2θ±0.2°)が27.2°の時に主たる回折ピークを有するもの〕を、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(CGM3)についてはV型を、クロロガリウムフタロシアニン(CGM4)についてはII型を、それぞれ用いるのが、感光体の感度をより一層良好なものにするという観点から好ましい。
ハロゲンランプ等の白色光源を使用した静電式複写機といったアナログ光学系の画像形成装置には、上記例示の電荷発生剤のうち、可視領域に感度を有するペリレン系顔料やビスアゾ系顔料等が好適に用いられる。
電荷発生剤のバインダ樹脂中での分散性といった特性を向上させるためには、ジスアゾイエロー、ジアニシジンオレンジ、ピラゾロンオレンジ、ピラゾロンレッド等のアゾ系顔料を配合してもよい。
(バインダ樹脂)
本発明の液体現像用電子写真感光体において、感光層を形成するためのバインダ樹脂には、従来公知の種々の樹脂を採用することができる。なかでも、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレート、ポリスチレンおよびポリメタクリル酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂をバインダ樹脂として使用するのが、前述の正孔輸送剤、電子輸送剤等との相溶性や、感光層の強度、耐磨耗性等の特性をより一層良好なものにするという観点から好ましい。上記例示のバインダ樹脂は、電荷輸送剤の電荷輸送能を妨害するような部位をその分子内に有しないものであることから、かかるバインダ樹脂を用いることによって、より一層高感度な電子写真感光体を得ることができる。
なお、これに限定されるものではないが、本発明においては、一般式(I):
Figure 0004002879
〔一般式(I)中、R20およびR21は同一または異なって、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数5〜7のシクロアルキル基またはハロゲン原子を示す。αおよびβは同一または異なって0〜2の整数を示す。〕
で表される繰り返し単位と、一般式(II):
Figure 0004002879
〔一般式(II)中、R22およびR23は同一または異なって、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数5〜7のシクロアルキル基またはハロゲン原子を示す。γおよびδは同一または異なって0〜2の整数を示す。Xは、炭素数5〜11の1,1−シクロアルキレン基、炭素数2〜10のα,ω−アルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO−、または下記式(II−1)、式(II−2)もしくは式(II−3):
Figure 0004002879
(式(II−1)中、R24およびR25は同一または異なって、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数1〜6のパーフルオロアルキル基、を示す。式(II−2)中、R26およびR27は同一または異なって炭素数1〜6のアルキル基を示す。式(II−3)中、R28、R29、R30およびR31は同一または異なって水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基を示す。)
で表される二価基を示す。〕
で表される繰り返し単位と、を有する共重合ポリカーボネート樹脂をバインダ樹脂として用いるのが、湿式現像剤による感光層の膨潤、劣化を防止する上で好ましい。
上記一般式(I)で表される繰り返し単位中のR22およびR23に相当するアルキル基の炭素数は、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜4である。かかるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
上記一般式(II)で表される繰り返し単位中のXは、式(II−4)、(II−5)または(II−6):
Figure 0004002879
〔式(II−5)中、R24aは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、R25aは炭素数1〜3のアルキル基を示す。式(II−6)中、R26およびR27は同一または異なって炭素数1〜6のアルキル基を示す。〕
で表される二価基であるのがより好ましい。
上記一般式(I)で表される繰り返し単位と、一般式(II)で表される繰り返し単位と、を有する共重合ポリカーボネート樹脂において、両繰り返し単位の含有割合については特に限定されるものではないが、共重合ポリカーボネートの共重合比は、式:
0.05<m/(m+n)<0.4
を満たすように設定するのが好ましい。
(分散媒)
上記例示の電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤、バインダ樹脂等を分散・溶解させて感光層形成用の塗布液を調製するのに用いる分散媒としては、感光層形成用塗布液に従来用いられている種々の有機溶剤が使用可能である。具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
なお、これに限定されるものではないが、電荷発生剤、電荷輸送剤、バインダ樹脂等の各成分を安定して分散させる上で、各種の有機溶剤の中でも特に、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン、ジクロロメタン、ジクロロエタンおよびクロロベンゼンからなる群より選ばれる少なくとも1種の有機溶剤を用いるのが好ましい。
(他の成分)
感光層形成用の塗布液には、電子写真特性に悪影響を与えない範囲であれば、上記各成分のほかにも従来公知の種々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤等を使用してもよい。
〔電子写真感光体の製造方法〕
本発明の液体現像用電子写真感光体は、電荷発生剤と、所定の正孔輸送剤と、バインダ樹脂と、さらに必要に応じて電子輸送剤や上記他の成分とを、適当な分散媒に分散または溶解させて、こうして得られた感光層形成用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させて感光層を形成することによって得られる。
上記感光層形成用塗布液において、電荷発生剤は、バインダ樹脂100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部の割合で配合すればよい。正孔輸送剤は、バインダ樹脂100重量部に対して20〜150重量部、好ましくは30〜100重量部の割合で配合すればよい。電子輸送剤は、バインダ樹脂100重量部に対して10〜100重量部、好ましくは20〜80重量部の割合で配合すればよい。電子輸送剤と正孔輸送剤とを併用する場合において、電子輸送剤と正孔輸送剤との総量は、バインダ樹脂100重量部に対して20〜500重量部、好ましくは30〜200重量部とするのが適当である。
感光層形成用塗布液を調製する際には、前記例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、不溶性アゾ顔料、バインダ樹脂等を、適当な溶剤とともに、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等の公知の手段を用いて分散混合すればよい。
〔電子写真感光体の製造〕
(実施例1)
X型無金属フタロシアニン(電荷発生剤)4重量部と、下記式(8−1)で表されるスチルベン誘導体(正孔輸送剤)40重量部と、下記式(ETM4−1)で表されるナフトキノン誘導体(電子輸送剤)50重量部と、ポリカーボネート(結着樹脂)100重量部と、ジメチルシリコーンオイル(レベリング剤)0.1重量部とを、テトラヒドロフラン(溶剤)650重量部とともにペイントシェーカーにて2時間混合分散、溶解させて、単層型感光層用の塗布液を作製した。
Figure 0004002879
Figure 0004002879
上記ポリカーボネートには、下記式(I−1)で表される繰り返し単位と、下記式(II−5−1)で表される繰り返し単位とを15:85の割合で含有する、粘度平均分子量が40,000の共重合ポリカーボネート樹脂(Resin−1)を使用した。
Figure 0004002879
上記ジメチルシリコーンオイルには、信越化学工業(株)製の品番「KF−96−50CS」を使用した。
次いで、φ30mm、長さ254mmのアルミニウム素管(導電性基体)の表面に陽極酸化被膜(アノード酸化被膜)を形成する処理(いわゆるアルマイト処理)を施し、さらに、その表面に、上記の単層型感光層用塗布液をディップコート法によって塗布して120℃で20分間熱風乾燥することにより、膜厚7.9μmの感光層を備える単層型感光体を得た。
なお、上記アルマイト処理の手順は、次のとおりである。表面を鏡面仕上げした上記アルミニウム素管を脱脂剤〔キザイ(株)製の「NG−#30」〕の30g/L水溶液中に浸漬して、70℃で5分間脱脂洗浄を行い、水洗後、10%硝酸に25℃で1分間浸漬した。さらに水洗した後、180g/Lの硫酸電解液中(溶存アルミニウム濃度7g/L)にて、1.2A/dmの電流密度で陽極酸化を行い、平均膜厚6μmの陽極酸化皮膜を形成した。これを水洗した後、酢酸ニッケルを主成分とする高温封孔剤〔奥野製薬工業(株)製の「トップシールDX−500」〕の10g/L水溶液に80℃で30分間浸漬して、封孔処理を行った。再度水洗した後、ポリエステル製スポンジで被膜全面を3往復擦り洗浄を行い、水洗後、乾燥させた。
(実施例2〜7および比較例1〜2))
感光層の膜厚を変えたほかは、実施例1と同様にして単層型感光体を作製した。感光層の膜厚は、9.2μm(実施例2)、11.1μm(実施例3)、13.5μm(実施例4)、15.0μm(実施例5)、17.3μm(実施例6)、19.3μm(実施例7)、23.5μm(比較例1)または30.0μm(比較例2)とした。
(実施例8)
アルミニウム素管の表面に対して、実施例1のアルマイト処理に代えて、ナイロン樹脂による被膜処理を施した。すなわち、4元共重合ナイロン〔東レ(株)製の「アラミン(登録商標)CM−8000」〕1重量部をメタノール9重量部に溶解させて、こうして得られた樹脂被膜形成用塗布液を導電性基体上に塗布し、100℃で15分間乾燥させることによって、アルミニウム素管の表面に膜厚0.8μmのバリア層(樹脂被膜)を形成した。
次いで、上記の樹脂被膜処理が施されたアルミニウム素管の表面に、実施例1で得られた単層型感光層用塗布液をディップコート法によって塗布し、120℃で20分間熱風乾燥することにより、膜厚15.1μmの感光層を備える単層型感光体を得た。
(実施例9)
アルミニウム素管の表面に対して、実施例1のアルマイト処理に代えて、フェノール樹脂による被膜処理を施した。すなわち、レゾール系フェノール樹脂〔製の商品名「フェノライトJ−325」,固形分60%〕10重量部と、ルチル型酸化チタン〔堺化学(株)製の品番「SR−1T」〕18重量部とを、メタノール34重量部に溶解させて、ジルコニアビーズにて48時間分散、混合した。樹脂被膜形成用塗布液を導電性基体上に塗布して、150℃で30分間乾燥させることによって、アルミニウム素管の表面に膜厚4.0μmのバリア層(樹脂被膜)を形成した。
次いで、上記の樹脂被膜処理が施されたアルミニウム素管の表面に、実施例1で得られた単層型感光層用塗布液をディップコート法によって塗布し、120℃で20分間熱風乾燥することにより、膜厚14.9μmの感光層を備える単層型感光体を得た。
(比較例3)
アルミニウム素管を、その表面に実施例1のアルマイト処理や実施例8および9の樹脂被膜処理を施さずに使用した。すなわち、アルミニウム素管の表面に対して直接に、実施例1で得られた単層型感光層用塗布液をディップコート法によって塗布し、120℃で20分間熱風乾燥することにより、膜厚15.1μmの感光層を備える単層型感光体を得た。
〔特性評価〕
(1)黒ベタ画像の画像濃度(ID)の測定
上記実施例および比較例で得られた電子写真感光体と、湿式現像剤とを用いて、液体現像によって画像形成を行った。
湿式現像剤(シアン)は、次の手順により調製した。まず、ポリエステル樹脂〔花王(株)製の商品名「NE−384」,比重1.1〕16重量部と、イソパラフィン系溶剤〔エクソン化学社製の商品名「アイソパーL」〕180重量部をサンドグラインダーに投入し、容器を水冷しながら2000回転/分で2時間攪拌混合して、固形分8.16重量%の樹脂分散液を得た。混合中には、分散液の温度が樹脂のガラス転移温度(Tg)以下で保たれるように調整して、樹脂が可塑化するのを防止した。次いで、この分散液にフタロシアニンブルー〔大日本インキ化学工業(株)製の商品名「KET Blue 111」,平均一次粒径50nm,比重2.0〕4重量部を添加して、上記と同様の条件で2時間攪拌混合することにより、固形分10重量%の着色樹脂分散液を得た。さらに、この着色樹脂分散液100重量部にナフテン酸ジルコニウム(不揮発分50重量%、大日本インキ化学工業(株)製)を2重量部添加して、固形分約10重量%の液体現像剤濃縮液を得た。液体現像時には、この濃縮液に上記イソパラフィン系溶剤を加えて、10倍に希釈した上で使用した。
画像形成は、京セラミタ(株)製の電子写真複写機(型番「KM4530」)の改造機〕を用いて行った。上記電子写真複写機は、その電子写真感光体を、上記実施例または比較例で得られた電子写真感光体に変更したものである。
画像形成試験の初期と、10万枚の画像形成処理後とにおいて、形成画像の画像濃度IDを反射濃度計〔東京電色(株)製の品番「TC−6D」〕で測定して、その平均値を求めた。試験初期と10万枚画像形成後のいずれにおいても、画像濃度IDが1.0以上であり、かつドラムリークが発生していないことを、本性能評価の合格基準とした。
(2)繰り返し特性
上記電子写真複写機による帯電、露光および除電のプロセスを1200回繰り返して行い、上記プロセスの初期における帯電量(V)と、1200回繰り返し後における帯電量(V)とを比較して、その変化量(V)を求めた。帯電量が小さくなると、画像濃度の低下や、かぶりの発生を招く要因となる。なお、上記電子写真複写機の帯電電圧は、上記プロセスの初期における帯電量が800Vとなるように設定した。
以上の特性評価の結果を表1に示す。
Figure 0004002879
表1に示した実施例と比較例との結果の対比より明らかなように、導電性基体に酸化被膜処理または樹脂被膜処理を施し、感光層を単層型で膜厚が20μm以下のものとし、さらに感光層中に含有される正孔輸送剤を上記一般式(1)および/または一般式(2)で表される部位を有するものとしたときには、パラフィン系溶媒を溶剤とする湿式現像剤を用いて、液体現像法によって繰り返し画像形成を行った場合であっても、画像濃度を維持することができ、感光層の磨耗を抑制することができる。
従って、上記実施例に係る電子写真感光体は、電気特性および耐久性に優れており、液体現像に適していることが分かった。
〔電子写真感光体の製造〕
(実施例10)
上記式(8−1)で表されるジスチルベン誘導体に代えて、下記式(HTM3−1)で表されるトリフェニルアミン誘導体(正孔輸送剤)を用いたほかは実施例5と同様にして、単層型感光体を作製した。感光層の膜厚は、実施例5と同じく15.0μmとした。
Figure 0004002879
(実施例11)
上記式(8−1)で表されるジスチルベン誘導体に代えて、下記式(7−1)で表されるスチルベン誘導体(正孔輸送剤)を用いたほかは実施例5と同様にして、単層型感光体(感光層の膜厚15.0μm)を作製した。
Figure 0004002879
なお、上記一般式(7−1)で表されるスチルベン誘導体は、次のようにして合成することができる。すなわち、まず、2−エチル−6−メチルアニリン(Rを有するアニリン)と無水酢酸とを、濃硫酸の存在下で反応させる。次いで、これを、炭酸カリウムと銅の存在下で、ヨードベンゼン(Rを有するハロゲン化ベンゼン)と反応させて、その生成物をアミン体に還元する。さらに、その生成物(アミン体)と、ジフェニルアセトアルデヒド(R)とを反応させて、塩化ホスホリルの存在下で加熱攪拌することにより、ホルミル体を合成する。一方、α,α’−ジクロロキシレンとホスホン酸トリエチルとをあらかじめ反応させておき、これと上記ホルミル体とを強塩基の存在下で反応させることによって、式(7−1)で表されるスチルベン誘導体が得られる。
(実施例12)
X型無金属フタロシアニンに代えて、チタニルフタロシアニン(電荷発生剤)4重量部を用いたほかは実施例5と同様にして、単層型感光体(感光層の膜厚15.0μm)を作製した。
〔特性評価〕
上記実施例10〜12で得られた電子写真感光体について、前述の「(1)黒ベタ画像の画像濃度(ID)の測定」と、「(2)繰り返し特性」の評価とを行った。
以上の結果を表2に示す。
Figure 0004002879
表2より明らかなように、導電性基体が酸化被膜処理または樹脂被膜処理を施したものであり、感光層が単層型で膜厚が20μm以下のものであり、さらに正孔輸送剤が上記一般式(1)および/または一般式(2)で表される部位を有するものであれば、パラフィン系溶媒を溶剤とする湿式現像剤を用いて、液体現像法により繰り返し画像形成を行った場合であっても、画像濃度を維持することができ、感光層の磨耗を抑制することができる。従って、上記実施例に係る電子写真感光体は、電気特性および耐久性に優れており、液体現像に適している。
本発明は、以上の記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲において、種々の設計変更を施すことが可能である。

Claims (3)

  1. 酸化被膜処理または樹脂被膜処理が施された導電性基体上に、膜厚20μm以下の単層型感光層を備えており、かつ、当該感光層中に含まれる正孔輸送剤が、その分子中に一般式(1):
    Figure 0004002879
    〔式(1)中、RおよびRは同一もしくは異なって、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子、式(2)〜(4):
    Figure 0004002879
    (式(2)〜(4)中、R〜R10は同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基を示す。)
    のいずれかで表される基、または、ベンゼン環の炭素原子と単結合で結合してなる炭素原子、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を含む基を示す。
    mは0〜5の整数を示し、nは0〜4の整数を示す。mまたはnが2以上のとき、ベンゼン環の隣接する炭素原子に置換する2つのアルキル基またはアルケニル基は、互いに結合して当該ベンゼン環とともに飽和または不飽和の炭化水素環を形成してもよい。
    は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、または、窒素原子と単結合で結合してなる炭素原子、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を含む基を示す。〕
    で表される部位を有するものである液体現像用電子写真感光体。
  2. 上記一般式(1)で表される部位が、一般式(5):
    Figure 0004002879
    〔式(5)中、RおよびRは同一もしくは異なって、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン原子、式(2)〜(4):
    Figure 0004002879
    (式(2)〜(4)中、R〜R10は同一または異なって、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基を示す。)
    のいずれかで表される基、または、ベンゼン環の炭素原子と単結合で結合してなる炭素原子、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を含む基を示す。
    mは0〜5の整数を示し、nは0〜4の整数を示す。mまたはnが2以上のとき、ベンゼン環の隣接する炭素原子に置換する2つのアルキル基またはアルケニル基は、互いに結合して当該ベンゼン環とともに飽和または不飽和の炭化水素環を形成してもよい。
    は、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基を示し、oは0〜5の整数を示す。oが2以上のとき、ベンゼン環の隣接する炭素原子に置換する2つのアルキル基またはアルケニル基は、互いに結合して当該ベンゼン環とともに飽和または不飽和の炭化水素環を形成してもよい。
    は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基を示す。〕
    および/または一般式(6):
    Figure 0004002879
    〔式(6)中、R、R、mおよびnは上記と同じである。R11はRと同じである。〕
    で表される部位である請求項1記載の液体現像用電子写真感光体。
  3. 上記正孔輸送剤が、一般式(7):
    Figure 0004002879
    で表されるスチルベン誘導体、または一般式(8):
    Figure 0004002879
    〔式(7)および式(8)中、R、R、R、R、R11、mおよびnは上記と同じである。Arは、xが2のときに式(a)〜(c):
    Figure 0004002879
    で表される二価基のいずれかを示し、xが3のときに式(d):
    Figure 0004002879
    で表される三価基を示す。〕
    で表されるスチルベン誘導体である請求項1または2記載の液体現像用電子写真感光体。
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