JP4002724B2 - ボールフロート式スチームトラップのフロート保護シェル - Google Patents
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Description
【発明の属する分野】
この発明は、自由な運動を許容されたボールフロートを備えるボールフロート式スチームトラップのフロートを保護するための保護シェルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トラップ本体内にボールフロートを揺動レバー等に接続することなく自由な運動を許容して配置し、ドレン水によってボールフロートを上下動させて、ドレン排出弁を開閉するようにしたボールフロート式スチームトラップは公知である。かかるボールフロート式スチームトラップにあっては、ステンレス鋼で形成された球体であるボールフロートが、トラップ本体内で自由に運動するため、運搬中の揺動や、一次側或は二次側からの異常圧力を受けて本体内の突起部や角部に衝突して損傷するおそれがあった。ボールフロートが損傷し表面に傷が付くとドレン排出弁を確実に閉止することが出来なくなる問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、トラップ本体内に自由な運動を許容して収納されるボールフロートを運動を阻害することなく保護し、フロートがその自由な運動により本体内の突起部や角部に衝突するのを回避し得るようにした保護シェルを提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するためにこの発明が採った手段は、トラップ本体内にレバー等の他部材に連結することなく自由な運動を許容して配置されるボールフロートを、上面を閉塞したボールフロート径より小径の上部小径部と、下端を開放された下部大径部と、両部を連結しボールフロートが上昇したとき当接して受け止める円弧状部とからなり、且つ、該下部大径部の二次側下半部が、ボールフロートとドレン排出弁との接離を可能とするために切除されているだるま状筒体の保護シェル内に収納して、該シェル内部の限定された空間内でボールフロートの自由な運動を許容し、ボールフロートが配管ラインからの異常圧力を受けた際に、ボールフロートを前記だるま状筒体の円弧状部の面に衝接させて、ボールフロートと保護シェルの損傷を回避するようにしたことを特徴とする。
【0005】
保護シェルは、上部小径部と下部大径部を円弧状部で連結した筒形状を有し、ボールフロートを円弧状部に面で衝接させてボールフロートと保護シェルの衝接による損傷を回避するようにしたことを特徴とする。
【0006】
保護シェルは、上面を閉塞された上部小径部と下端を開放された下部大径部と両部を連結する円弧状部からなるだるま状の筒体からなり、閉止された上面と開放された下端縁においてトラップ本体内に固定されていることを特徴とし、また保護シェルの下部大径部の二次側下半部は、ボールフロートとドレン排出弁との接離を可能とするために切除されていることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
この発明の好ましい実施の形態を、以下に詳細に説明する。この発明は、トラップ本体内にレバー等の他部材に連結することなく自由な運動を許容されているボールフロートを、保護シェル内に収納して該シェル内部の限定された空間内でボールフロートの自由な運動を許容して、ボールフロートが運搬中の揺動や配管ラインからの異常圧力を受けてトラップ内の突起や角に衝突するのを防止するようにしたことを特徴とする。保護シェルは、上部小径部と下部大径部を円弧状部で連結した筒形状を有し、ボールフロートを円弧状部に面で衝接させてボールフロートと保護シェルの衝接による損傷を回避する。又、保護シェルは、上面を閉塞された上部小径部と下端を開放された下部大径部と両部を連結する円弧状部からなるだるま状の筒体からなり、閉止された上面と開放された下端縁においてトラップ本体内に固定される。保護シェルの下部大径部の二次側下半部は、ボールフロートとドレン排出弁との接離を可能とするために切除される。
【0008】
【実施例】
図1を参照して、(1)はトラップ本体であり、一側に一次側配管(2)が接続され、他側に二次側配管(3)が接続される。トラップ本体(1)内にはドレン貯室(4)が形成されており、開放された上部はキャップ(5)で閉止される。一次側配管(2)が接続される一次側連結口(6)とドレン貯室(4)の入口(7)との間に一次側流体の導入路が画成される。一次側連結口(6)の内端には配管(2)の長手方向と直交する垂直な壁が位置して第一の圧力減衰壁(8)が構成される。一次側連結口(6)に直交して垂直に下方に延びるストレーナ室(9)が形成され、該ストレーナ室(9)の下端にプラグ(10)の内端面が位置して、第二の圧力減衰壁(11)が構成される。ストレーナ室(9)内にはストレーナ(12)が収納、配置される。前記一次側流体の導入路は、一次側連結口(6)とこれと直交する方向に延びたストレーナ室(9)とで構成され、水平に延びる一次側連結口(6)の内端に垂直な第一の圧力減衰壁(8)が、垂直に延びるストレーナ室(9)の下端に水平な第二の圧力減衰壁(11)がそれぞれ位置づけられる。そして、導入路の出口でありドレン貯室(4)の入口(7)である開口が、ストレーナ室(9)の途中に形成され、この開口を塞ぐ状態で、後述する保護シェルの垂直な外壁が位置し、第三の圧力減衰壁(13)を構成している。プラグ(10)を取り外すことにより、ストレーナ室(9)内のドレン抜きを行う。
【0009】
図2を参照して、一次側配管(2)内でウォーターハンマー等により異常な圧力が発生すると、その異常圧力は先ず一次側連結口(6)内端の垂直な壁からなる第一の圧力減衰壁(8)に衝突して第一段階の圧力減衰が成される。次に、流体は方向を下向きに変更してストレーナ室(9)内に入り、残存している圧力のために下向きに直進して下端の水平な壁からなる第二の圧力減衰壁(11)に衝突し、第二段階の圧力減衰が行われる。その後、ドレン貯室(4)の入口(7)からドレン貯室(4)内に流入するが、そのときドレン貯室(4)の入口(7)を塞ぐように位置した垂直な壁からなる第三の圧力減衰壁(13)で第三段階の圧力減衰が行われる。かくして、一次側配管内で発生した異常な圧力は、三段階に亘る圧力の減衰がなされる結果、充分な圧力の減衰が達成され、ドレン貯室(4)内に入った圧力が、ドレン貯室(4)内のボールフロート(14)やその他の機構、部品に悪影響をもたらすおそれはなくなる。
【0010】
ドレン貯室(4)内には、ステンレススティール製の球体からなるボールフロート(14)がレバー等に連結されることなく自由な運動状態で収納され、ドレン貯室(4)内に貯留してくるドレン水によって浮上する。ドレン貯室(4)内にドレン水が貯留されていない状態では、ボールフロート(14)は下降してドレン貯室(4)内の下部突起(15)に着座し、ドレン排出弁(16)に当接して閉弁している。(17)は、ボールフロート(14)を保護するための保護シェルであって、図3,4に示すように下部を開放し上部を閉塞しただるま状の筒形状を有し、下部大径部(17a)と上部小径部(17b)及び両部を連続する円弧状部(17c)とからなる。下部大径部(17a)内にボールフロート(14)が収納されており、その内部でドレン水の量に応じて上下に浮動する。下部大径部(17a)は、図に示されるようにボールフロート(14)とドレン排出弁(16)との当接を達成するために、後方部を切除した形状に形成されており、円弧状部(17c)には複数の孔(18)が穿孔されており、入口(7)から流入してきた流体が保護シェル(17)内に自由に移動するのを許容している。
【0011】
保護シェル(17)は、例えばステンレス鋼で形成され所望の強度を有しており、下部大径部(17a)の下端はトラップ本体(1)の内面に保持されており、上部はキャップ(5)の内面の上部突起(19)に当接して保持され、ドレン貯室(4)内に固定される。保護シェル(17)の下部大径部(17a)の前面は、前述したように入口(7)に近接して配置される垂直な壁であり、第三の圧力減衰壁(13)を構成している。保護シェル(17)が上部を閉塞しただるま状の筒形状を有しているため、二次側配管(3)内で発生したウォーターハンマー等の異常圧力がドレン貯室(4)内に負荷されたとき、該圧力は保護シェル(17)の外面で受け止められ、内部に収納されたボールフロート(14)を異常圧力から保護することが出来る。又、ボールフロート(14)は、保護シェル(17)内で浮動するが、上昇したとき円弧状部(17c)に当接して面でボールフロートを受け止めるようにしてあるため、ボールフロート(14)に傷が付くおそれがない。ドレン排出弁(16)は、通路(20)により二次側配管(3)が接続された二次側連結口(21)に連結されており、ドレン水を二次側に排出可能である。又、保護シェル(17)を用いることにより、輸送中におけるボールフロート(14)の揺動によりボールフロート(14)がトラップ本体(1)内の突起部や角部等に衝突して損傷するのを防止することが出来る。
【0012】
(22)は、ドレン貯室(4)内の空気を排出するためのエア抜き弁であって、ダイヤフラム弁機構を備えており、一次側配管(2)内の空気が排出されるとドレン貯室(4)内に高温のスチームが流入して来るが、その温度でダイヤフラム弁機構が作動しエア抜き弁(22)は閉じて、スチームが二次側配管(3)に流出するのを阻止する。このエア抜き弁(22)は、前記ボールフロート(14)の上下動軸線から側方にずらしてトラップ本体(1)とキャップ(5)との間に配置され、前記二次側連結口(21)に接続される。エア抜き弁(22)のダイヤフラム弁機構を収納したエア抜き弁本体は、トラップ本体(1)とキャップ(5)とで固定的に保持されると共に、弁の排出部は二次側連結口(21)に接続されている。このように、エア抜き弁(22)をボールフロート(14)の上下動軸線から側方にずらして位置づけると共に、トラップ本体(1)とキャップ(5)とで固定的に保持するようにしてあるので、一次側配管内に発生したウォーターハンマー等の異常圧力からエア抜き弁(22)を隔離することが出来、異常圧力の悪影響を抑制することが出来ると共に、実施例に示すような第三の圧力減衰壁を構成する保護シェル(17)をドレン貯室(4)内に配置する場合には、保護シェル(17)の上部にエア抜き弁を配置するのが不可能となるが、図示のようにエア抜き弁(22)を側方にずらして配置することにより、かかる保護シェル(17)を圧力減衰壁として使用する構造にに効果的に対応することが可能となる。
【0013】
スチームを利用する種々のシステム、装置のスタートアップ時には、空気と低温のドレン水が回路に存在しておりスチームトラップに流入してくる。流入してきたドレン水は保護シェル(17)の孔(18)からドレン貯室(4)内に貯留しボールフロート(14)を浮上させる。ボールフロート(14)の浮上によりドレン排出弁(16)が開弁されてドレン水は通路(20)から二次側配管(3)に排出される。又、空気は低温であるために開弁しているエア抜き弁(22)を通ってやはり二次側配管(3)に排出される。一次側配管(2)内にウォーターハンマー等に起因する異常圧力が発生した場合、該圧力は第一,第二及び第三の圧力減衰壁(8)、(11)、(13)によって三段階に減圧され圧力の90%以上が低下するため、異常圧力の悪影響をトラップ本体(1)内の諸機構や部品に及ぼすおそれがなくなる。又、二次側配管(3)内に異常圧力が発生した場合にも、該圧力は保護シェル(17)で阻止されボールフロート(14)に圧力の影響が生ずるおそれはない。
【0014】
【発明の効果】
この発明によれば、ボールフロートは保護シェル内に収納されて他物との衝突が回避されているため、一次側或は二次側配管内に発生したウォーターハンマー等に起因する異常圧力が直接ボールフロートに影響しないようにすることが出来ると共に、ボールフロートが運搬中の揺れ等で揺動した場合にも、ボールフロートがトラップ内の突起や角に衝突しないように保護することが出来、異常圧力は揺動による損傷を防止することが出来る。又、保護シェルに円弧状部を設けてボールフロートが浮上した際、保護シェル内部において面で受け止めるようにしてあるので、ボールフロートと保護シェルの衝接による損傷を回避することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかるトラップの縦断面図
【図2】圧力減衰機構を示す説明図
【図3】保護シェルの断面図
【図4】同斜視図
【符号の説明】
(1)トラップ本体
(2)一次側配管
(3)二次側配管
(4)ドレン貯室
(5)キャップ
(6)一次側連結口
(7)入口
(8)第一の圧力減衰壁
(9)ストレーナ室
(10)プラグ
(11)第二の圧力減衰壁
(12)ストレーナ
(13)第三の圧力減衰壁
(14)ボールフロート
(15)下部突起
(16)ドレン排出弁
(17)保護シェル
(17a)下部大径部
(17b)上部小径部
(17c)円弧状部
(18)孔
(19)上部突起
(20)通路
(21)二次側連結口
(22)エア抜き弁
Claims (1)
- トラップ本体内にレバー等の他部材に連結することなく自由な運動を許容して配置されるボールフロートを、上面を閉塞したボールフロート径より小径の上部小径部と、下端を開放された下部大径部と、両部を連結しボールフロートが上昇したとき当接して受け止める円弧状部とからなり、且つ、該下部大径部の二次側下半部が、ボールフロートとドレン排出弁との接離を可能とするために切除されているだるま状筒体の保護シェル内に収納して、該シェル内部の限定された空間内でボールフロートの自由な運動を許容し、ボールフロートが配管ラインからの異常圧力を受けた際に、ボールフロートを前記だるま状筒体の円弧状部の面に衝接させて、ボールフロートと保護シェルの損傷を回避するようにしたことを特徴とするボールフロート式スチームトラップのフロート保護シェル。
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