JP2714881B2 - スチ―ムトラップ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【0001】

【産業上の利用分野】本発明は蒸気と復水の混合系から
復水のみを自動的に系外へ排出するスチ―ムトラップに
関し、特に蒸気障害や空気障害が発生しやすい蒸気使用
機器に取付けるスチ―ムトラップに関する。

【0002】

【従来の技術】スチ―ムトラップにはその作動原理によ
り種々のものがあるが、例えばその内の一つとして蒸気
と復水の比重差を利用して復水のみを排出するフリ―フ
ロ―ト式スチ―ムトラップがある。これは入口、出口を
有するトラップ筐体内部に弁室を形成して球形のフロ―
ト弁を自由状態で配置し、弁室に溜る復水の水位に応じ
てフロ―ト弁が浮上降下して、弁室の下部に設けた弁口
を開閉することにより復水を排出する、というものであ
る。

【0003】

【発明が解決しようとする課題】前述の蒸気障害や空気
障害というのは、スチ―ムトラップの入口に蒸気や空気
が存在する為スチ―ムトラップが閉弁して蒸気使用機器
の蒸気スペ―スに復水が過度に滞留する現象である。つ
まり、上記弁室に復水が流入できない為にフロ―ト弁が
浮上できず、弁口を塞いでしまうのである。このように
トラップへの通路を蒸気や空気が塞いでしまうと、いく
ら蒸気使用機器内に復水が溜っても閉じこめられた蒸気
が冷却されて凝縮するまではトラップは絶対に作動しな
い。また、空気障害が発生した場合は冷却しても空気は
凝縮しない為に解消できなかった。

【0004】蒸気障害や空気障害は、一般にスチ―ムトラッ
プにバイパス弁を設け、障害が発生した時にバイパス弁
を開弁してトラップの入口に溜っている蒸気や空気を強
制的に逃がしたり、また常時弁を開弁させて蒸気を流出
すことにより解消している。しかし、後者の方法ではバ
イパス弁を常時開弁する時には弁の開弁位置が定まらな
い為に、開弁しすぎて蒸気を過度に流出するという問題
がある。つまり、バイパス弁の開度が固定的に決定でき
ないからである。

【0005】従って本発明の技術的課題は、蒸気のロスを最
少限に抑えながら蒸気障害を防止し、又障害を起こして
も即座に解消できるスチ―ムトラップを提供することで
ある。

【0006】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に講じた本発明の技術的手段は、スチ―ムトラップの入
口と出口を連通する通路に、開口面積の異なる複数個の
開口部を有する球弁体を内蔵し、その球弁体の開弁位置
により通過する流体の流量を固定的に調節することがで
きるボ―ル弁を配置したものである。

【0007】

【作用】ボ―ル弁を通過する流体の流量は球弁体を選択
することにより決定することができる。通気初期の立ち
上がり時にはボ―ル弁の最も大きな開口面積を選択し
て、低温復水や空気を強制的に排出し蒸気使用機器の立
上がりを早くする。初期排出が完了すればボ―ル弁を閉
弁して通常運転に入る。そして運転中に蒸気障害が発生
した場合にはボ―ル弁を操作して開弁せしめ、スチ―ム
トラップの一次側に溜る蒸気を排出する。また、著しく
蒸気障害が発生する装置に対しては球弁体の最も小さな
開口孔を選択してスチ―ムトラップの一次側と二次側を
連通し、蒸気を少量ずつ流出する

【0008】

【実施例】上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説
明する（図 1乃至図 2参照）。上部に入口 2及び、出口
4を形成した本体 5にガスケット 6を介在して蓋 8をボ
ルトにより固着してトラップ筐体を成し、内部に弁室10
を形成する。弁室10の上部に入口 2と弁室10を連通する
流入口12開口し、円筒形のスクリ―ン14を配置する。

【0009】スクリ―ン14の最下端は端部材16により封じ、
その下端は弁室内の突起部18に係止せしめる。また、ス
クリ―ン14は隔壁20で入口側と弁室側に分けられ、入口
側に開口部22を開ける。入口 2から流入した復水は開口
部22からスクリ―ン内部に流入して降下し、そしてその
内面でごみ等の異物が除去されて弁室10に流下する。

【0010】弁室10の下部側面に弁室内側から弁座部材24を
ねじ結合して取り付ける。弁座部材24には弁室10内と出
口通路26を介して出口 4と連通する弁口28を形成する。
該弁口28は流出方向に向かって口径が拡大し、流体の通
過抵抗を減少する対策がなされている。出口通路26の下
部で、弁口28から流出する復水流が衝突する部分に本体
外部からプラグ30をねじ結合して取り付ける。プラグ30
は本体 5より硬質の材料で作り弁口28から流出して衝突
する復水流の浸食に絶えるようにする。弁室10にステン
レス鋼薄板で作った中空の球形フロ―ト32を自由状態で
収容する。フロ―ト32は弁室10に溜る復水の水位に応じ
て浮上降下することにより弁口28を開閉し、弁室に溜る
復水を自動的に排出する。

【0011】参照番号34はバイメタル片で、断面略Ｕ字状に
形成して（図示せず）ビスで弁室内壁に取付け、低温時
に変形してフロ―ト32を弁座部材24から離座せしめて弁
口28を開口し、高温時に収縮してフロ―ト32に関与しな
くなる。

【0012】次にボ―ル弁部の説明をする。流入孔40、流出
孔42を有する弁本体38内に弁室を形成し、その弁室内に
皿ばね46、弁座部材 48,50、及び球弁体44を前記弁座部
材の間に挟んで配置し、プラグ52で締付け、固定配置す
る。球弁体44は水平 3方向に開口面積の異なる通孔54,5
6,58を開口して流入孔40と選択的に連通し、それらの通
孔と連通するように下方に開口する通孔60を形成する。
通孔60は前記流出孔42と常時連通する。

【0013】弁本体38の上部から弁軸62を挿入し、その下端
を球弁体44の上端部に嵌合せしめ、球弁体44を回転でき
るようにする。弁軸62にはフランジ64を形成し、その上
下面にシ―ル部材 66,68を配置してホルダ―70で上方か
ら締付けることによりグランド部のもれを防止する。そ
して流入孔40、流出孔42が前記トラップの入口 2及び出
口 4と連通するようにボ―ル弁部をスチ―ムトラップに
取付ける。

【0014】作用は以下の通りである。ボ―ル弁を通過する
流体の流量は弁軸62を回転し、球弁体の通孔54,56,58が
流入孔40と選択的に連通せしめることにより決定するこ
とができる。通気初期に低温の復水や空気を排出する時
は図 1,2に示すように最も大きな通孔54を選択する。そ
して通常運転になれば、球弁体44の開口していない部分
を選択して流体の流れを止める。

【0015】運転中に蒸気障害が発生した場合には大きな通
孔54を選択してトラップの一次側に滞留する蒸気を二次
側へ強制排気して障害を解消する。或いは、通常運転に
なれば最も小さな通孔56を選択して常時一定量の流体を
逃がすようにしてもよい。この時蒸気使用機器の大きさ
に応じて通孔56又は58を選択することができる。従って
本願の場合には球弁体に小さなオリフィスを固定的に開
口している為に球弁体の開弁位置を変化させた後でも、
常に一定量の流体を逃がすように選択設定することがで
きる。また、もっとも大きな通孔54の両どなりに最も小
さな通孔56と開口していない部分を形成しているのでに
通常運転に立ち上がった後、常時開弁する為に小さなオ
リフィスを選択したり、或いは全閉弁動作を即座に行う
のに便利である。

【0016】

【発明の効果】本発明によれば、球弁体の回転操作だけ
で初期ブロ―や閉弁を簡単に行うことができ、また、蒸
気障害や空気障害が発生した時も容易な操作で解消する
ことができる。また、球弁体に固定オリフィスを設けて
いるので弁体の開弁位置を変化させた後でも、常に一定
量の流体を逃がすように選択設定することができ、過度
の蒸気の流出を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図 1】発明の実施例のスチ―ムトラップの断面図であ
る。

【図 2】図 1におけるA-A 線断面図である。

【符号の説明】

2 入口 4 出口 44 球弁体 54,56,58 通孔 62 弁軸

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項 1】 スチ―ムトラップの入口と出口を連通す
   る通路に、開口面積の異なる複数個の開口部を有する球
   弁体を内蔵し、その球弁体の開弁位置により通過する流
   体の流量を固定的に調節することができるボ―ル弁を配
   置したことを特徴とするスチ―ムトラップ。