JP2961344B2 - フロ―ト弁 - Google Patents

フロ―ト弁

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は気体と液体の比重差を利
用して、開放又は密閉のフロ―トで弁手段を駆動し、気
液混合系から一方の流体を選択的且つ自動的に排出する
フロ―ト弁の構造に関する。フロ―ト弁とは、蒸気配管
系に発生する復水を自動的に排出するスチ―ムトラッ
プ、圧縮空気配管系に発生する凝縮水を自動的に排出す
るエア―トラップ等である。
【0002】通常フロート弁においては、排出できる流
体量は弁孔面積の大きさにより決まる。この弁孔面積の
大きさと弁孔前後の圧力差によって、フロート弁が
動するために必要なフロートの浮力、即ち、開弁力が決
められる。浮力が同一のフロートを用いると、弁孔前後
の差圧が小さい場合は大きな弁孔面積を開弁することが
できるが、差圧が大きく且つ弁孔面積が大きい場合には
開弁できなくなる問題がある。このように、フロート弁
の弁孔即ち弁座部材は、弁孔前後の差圧に応じて取り替
え交換しなければならなかった。
【0003】
【従来の技術】従来のフロ―ト弁の一例としては例えば
特開平5−44894号公報に示されたものがある。こ
れは、弁室内にフロ―トを自由状態で配置し、フロ―ト
の外表面に対向して弁座部材を配置したものにおいて、
弁座部材を球形に形成し、そこに開口面積の異なる複数
の弁口を開けたもので、フロ―ト弁の使用圧力が低圧か
ら高圧へと変化するに従って球形弁座部材を外部から操
作し回転して開口面積を小さくすることによって、同一
のフロ―トでも低圧から高圧まで使用できるようにした
ものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記フロート弁におい
ては、弁口前後の差圧が低圧から高圧までの使用に対し
て、開口面積の異なる複数の弁口を形成した球形弁座部
材を必要とすると共に、この球形弁座部材を外部から回
転操作するための部材も必要となり、構造が複雑になる
問題があった。
【0005】従って本発明の技術的課題は、簡単な構造
で低圧から高圧まで同一のフロ―トを用いても開閉作動
するフロ―ト弁を得ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に講じた本発明の技術的手段は、入口と出口を有する弁
ケ―シング内に弁室を形成し、弁室から出口へ連通する
連通孔を開けた弁座部材を弁ケ―シングに取り付け、該
連通孔内に摺動自在に筒状弁体を配置し、該筒状弁体に
貫通孔を形成し、該貫通孔の一方を弁室内に開口し、他
方を出口側弁ケ―シングに形成した孔部に開口して、筒
状弁体の弁室内部分に直接にまたは間接的にフロ―トを
取り付けると共に、筒状弁体の筒状側部であって、フロ
―トの下降時には出口側弁ケ―シングに形成した孔部内
に位置しフロ―トが上昇すると出口と連通する位置に、
上記貫通孔と連通する弁孔を設け、且つ上記貫通孔内に
旋回翼を取り付けたものである。
【0007】
【作用】上記の技術的手段の作用は下記の通りである。
弁室内に液体が滞留していない場合、フロ―トは下降し
ている。フロ―トの下降時には筒状弁体に設けた弁孔は
出口側弁ケ―シングに形成した孔部内に位置することに
より、孔部で弁孔が閉じられ、弁室内と出口とは遮断さ
れることとなり、弁室内のスチ―ムやエア―等の気体の
排出は防止される。入口から弁室内へ液体が流入してく
るとフロ―トはその浮力により上昇する。フロ―トの上
昇と共に筒状弁体も上昇して、筒状弁体に設けた弁孔は
出口と連通する。従って弁室内の液体は、筒状弁体の弁
室内に開口した貫通孔から弁孔を経て出口へ排出され
る。
【0008】筒状弁体に貫通孔を設けてその一方を弁室
内に開口すると共に、他方を出口側弁ケーシングに形成
した孔部に開口したことにより、筒状弁体内は出口側に
おいても弁室内圧力が作用することとなり、筒状弁体に
は弁室内圧力と出口側の圧力差に相当する差圧が生じ
ことがない。差圧が生じないことにより、従来技術で説
明したように、弁口前後の差圧に応じて開口できる弁口
面積の大きさが制限されることが無くなり、従って、弁
口前後の差圧が低圧から高圧まで同一のフロートを用い
て開閉作動を行なうことができる。
【0009】筒状弁体の貫通孔内に旋回翼を取り付けた
ことにより、フロ―トが上昇して液体が貫通孔内を通過
して排出される場合に、液体が旋回しその反作用として
筒状弁体も旋回する。筒状弁体が旋回することにより、
液体排出時にその液体の運動エネルギにより筒状弁体に
作用する偏荷重は、絶えずその方向が変化することとな
って筒状弁体の傾きが防止され、筒状弁体の滑らかな上
下動が維持される。
【0010】
【実施例】上記の技術的手段の具体例を示す実施例を説
明する(図1参照)。本実施例においてはフロ―ト弁と
してスチ―ムトラップの例を説明する。入口1と出口2
を同軸上に配置し、弁室4を形成する本体3と蓋5とで
フロ―ト弁としてのスチ―ムトラップを構成する。本体
3には、入口1と弁室4の間にスクリ―ン6を設けると
共に、その下部にガスケット23を介して弁座部材7を
ねじ結合する。弁座部材7の中心部に弁室4と出口2と
を連通する連通孔8を開け、その連通孔8内に摺動自在
に長尺の筒状弁体9を配置する。従って連通孔8の内径
は筒状弁体9の外径よりも僅かに大きなものとする。
【0011】筒状弁体9の内部には貫通孔10を形成し
て、一方を弁室4内に孔11,12,13を介して開口
し、他方を本体3に設けた孔部17に下端の孔18を介
して開口する。貫通孔10内に通過流体を旋回する複数
の旋回翼25,26を取り付ける。筒状弁体9の弁室4
内部に中空の球形フロ―ト15を溶接により取り付け
る。筒状弁体9の上端16は密閉状態とする。
【0012】本体3の孔部17も筒状弁体9が摺動でき
るように、その内径を筒状弁体9の外径より僅かに大き
なものとする。図1に示すようにフロ―ト15が下降し
ている場合に、孔部17内に位置する所に、複数の弁孔
19,20を設ける。弁孔19,20は貫通孔10と連
通すると共に、フロ―ト15が上昇すると出口2と連通
する位置に設ける。弁孔19,20の大きさや形状や数
は、フロ―ト弁の排出流量特性に応じて適宜、円形や矩
形や扇形等を選定することができる。
【0013】蓋5の下部で弁室4内に、バイメタルやベ
ロ―ズや形状記憶合金等で形成した温度応動素子30を
取り付け、その端部に取り付けた弁31で、弁室4と出
口2を連通する孔32を開閉する。温度応動素子30は
弁室4内が低温の場合に収縮して孔32を開口し、所定
の高温になると膨脹して孔32を閉口することができる
ものである。
【0014】次に作用を説明する。スチ―ムトラップは
図示しない蒸気使用装置に入口1を接続して、蒸気使用
装置で発生した復水のみを自動的に排出するものであ
り、図1に示すように弁室4内に復水が流入せずフロ―
ト15が下降している場合は、弁孔19,20は孔部1
7内に位置する。孔部17の内径と筒状弁体9の外径と
の隙間が充分に小さい場合は、弁孔19,20は孔部1
7によりほぼ遮断されることとなり、スチ―ムを出口2
へ排出することはない。
【0015】蒸気使用装置の使用開始時においては、装
置内の低温のエア―も弁室4内に流入してくるが、温度
応動素子30が開口することにより孔32を介して低温
エア―は出口2へ排出される。
【0016】入口1から弁室4内に復水が流入してくる
と、弁室4内の液位が上昇し、フロ―ト15もその浮力
により上昇する。フロ―ト15の上昇と共に筒状弁体9
も上昇し、弁孔19,20が出口2と連通する位置へ至
ると、弁室4内の復水は孔11,12,13と貫通孔1
0と弁孔19,20とを経て出口2へ排出される。貫通
孔10内を復水が流下すると旋回翼25,26により復
水は旋回し、その反作用として筒状弁体9も旋回する。
筒状弁体9が旋回することにより、復水の排出に伴う筒
状弁体9の傾きが防止され、滑らかな上下動が維持され
る。復水が排出されて弁室4内の液位が低下するとフロ
―ト15も下降して弁孔19,20が遮断されて復水の
排出は停止する。復水の流入量に応じてこの作動を繰り
返す。
【0017】本体3の孔部17は、孔18と貫通孔10
と孔11,12,13とを介して弁室4と連通してお
り、孔部17内の圧力は弁室4内の圧力と等しいものと
なる。従って、筒状弁体9が上下動する場合に、弁室4
内圧力と出口2側圧力との圧力差に相当する差圧が作用
することがなくなり、弁室4内圧力すなわち入口1側の
圧力が低圧から高圧までどのような圧力であっても、ほ
ぼ一定のフロ―ト浮力により弁孔19,20を開閉する
ことが可能となる。
【0018】本実施例においては、フロ―ト15を筒状
弁体9に直接に取り付けた例を示したが、フロ―トをレ
バ―フロ―ト構造として、レバ―のフロ―トとは反対側
部に筒状弁体9を連結することもできる。また本実施例
においては、筒状弁体9の摺動部には何も取り付けない
例を示したが、Oリング等の摺動リングを取り付けて、
気体の漏洩を少なくすることもできる。
【0019】
【発明の効果】本発明は下記の特有の効果を生じる。筒
状弁体とフロートだけによる簡単な構造で、従来技術の
ように、開口面積の異なる複数の弁口を形成した球形弁
座部材を必要としたり、あるいは、この球形弁座部材を
外部から回転操作するための部材を必要としたりするこ
とがなく、弁口前後の差圧が低圧から高圧まで同一のフ
ロートを用いてフロート弁を開閉弁作動させることがで
きる。
【0020】旋回翼を取り付けたことにより、筒状弁体
の傾きが防止され、弁体の上下動が滑らかなものとなる
ことによって必要なフロ―トの浮力は小さなもので良
く、従って小さな形状のフロ―トを用いることが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフロ―ト弁の実施例の断面図である。
【符号の説明】
1 入口 2 出口 4 弁室 7 弁座部材 8 連通孔 9 筒状弁体 10 貫通孔 15 フロ―ト 17 孔部 19,20 弁孔 25,26 旋回翼

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入口と出口を有する弁ケ―シング内に弁
    室を形成し、弁室から出口へ連通する連通孔を開けた弁
    座部材を弁ケ―シングに取り付け、該連通孔内に摺動自
    在に筒状弁体を配置し、該筒状弁体に貫通孔を形成し、
    該貫通孔の一方を弁室内に開口し、他方を出口側弁ケ―
    シングに形成した孔部に開口して、筒状弁体の弁室内部
    分に直接にまたは間接的にフロ―トを取り付けると共
    に、筒状弁体の筒状側部であって、フロ―トの下降時に
    は出口側弁ケ―シングに形成した孔部内に位置しフロ―
    トが上昇すると出口と連通する位置に、上記貫通孔と連
    通する弁孔を設け、且つ上記貫通孔内に旋回翼を取り付
    けたことを特徴とするフロ―ト弁。
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