JP4388311B2 - フロート式スチームトラップ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蒸気配管から、蒸気を漏れないようにトラップして、復水(ドレン)のみを排出するフロート式スチームトラップに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のフロート式スチームトラップとして、例えば図3に示すような構成のものが知られている。図3において、フロート式スチームトラップ30は、トラップケーシング31と、このトラップケーシング31の側方を覆う側壁カバー32とで筐体が構成されている。この筐体の内部には流入口33から流入する蒸気および復水を含む高温、高圧の1次側流体の復水Fを溜めるトラップ室34が形成され、前記側壁カバー32におけるトラップ室34の下部に当たる位置に排水孔35付の弁座部材36が設けられている。また、前記弁座部材36の近傍に設けられた支軸(ピン軸)37回りに基端部が回動自在に取り付けられ、かつ先端部にボール型のフロート38が装着されたレバー39と、前記弁座部材36の先端の弁座面に対し離着座自在かつ転動自在に設けられ、前記排水孔35を開閉する弁体として球弁子50とを備えている。
【0003】
また、前記側壁カバー32の上方側には感熱弁40が設けられている。この感熱弁40の感熱素子41は、ダイヤフラム41aで仕切られた上側内部に封入された熱膨張体42を1次側流体からの受熱によって膨張させて、弁体43を、導出孔44を有する弁座部材45上に着座させることで閉弁し、1次側流体の温度が水蒸気の飽和温度よりも若干低い場合に、前記弁体43を前記弁座部材45上から離座させることで開弁するようになっており、主に配管に蒸気を通し始める初期にトラップ室34内が水蒸気飽和温度よりも低温のときに、同室34内に存在する空気をトラップ室34から排出する役割を果たしている。
【0004】
前記構成にかかるフロート式スチームトラップ30によれば、閉弁状態で1次側の流入口33からトラップ室34内へ蒸気および復水Fを含んだ高温,高圧の1次側流体が流入してきて、前記トラップ室34内の復水Fの水位が上がって一定レベル以上に達すると、フロート38の浮力によって支軸37を支点として前記レバー39が上方へ回動し、レバー39の基端側の球弁子50が弁座部材36から離座して開弁が行われる。この開弁により、前記トラップ室34内の復水Fは排水孔35を経て2次側の流出口46へ排出される。
【0005】
一方、前記トラップ室34内の復水Fの水位が下がって一定レベル以下になると、フロート38の重力で支軸37を支点として前記レバー39が下方へ回動し、レバー39の基端側の球弁子50が弁座部材36に着座して閉弁が行われる。このように、前記構成によるフロート式スチームトラップ30によれば、トラップ室34内の復水Fの水位が一定レベル以上に上がればフロート38の浮力によって自動的に開弁し、水位が一定レベル以下に下がれば自動的に閉弁するので、開閉動作の信頼性が高い。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記従来のフロート式スチームトラップ30において、流入口33からトラップ室34内に流入する1次側流体に含まれた復水の流入量が比較的少ない場合には、特に目立った問題はないものの、前記トラップ室34内に流入する1次側流体の復水量が多い場合や、断続的に流入する場合には、次のような不具合が発生する。
【0007】
すなわち、開弁時に、前記トラップ室34内に流入する1次側流体中の復水の流入量が多いか、または復水が断続的に流入する場合には、図3に示すように、トラップ室34内に溜まっている復水Fの水面上に流入口33から復水Fが流入落下する際に気相V中の気体(蒸気)を巻き込んで落下し、巻き込んだ気体は復水中で独立した気泡Cとなる。この気泡Cは、前記球弁子50の上方や側方から排出孔35に入り込んで、前記復水とともに排水孔35を経て2次側の流出口46へそのまま排出されてしまい、蒸気が外部に漏洩する。
【0008】
前記トラップ室34内に流入する1次側流体の復水量がさらに多い場合、流入した復水によって、気相Vと液相(復水F)との境界面から排水孔35にまで達する竜巻状の渦となった気相部分Tが形成される。この竜巻現象の結果、気相Vから多量の気体(蒸気)が排出孔35を通って2次側の流出口46へ排出される。このような種々の不具合の発生は、蒸気の多大な損失となる。
【0009】
本発明は、以上の不具合に鑑みてなされたもので、トラップ室内の復水の排出時における気泡の巻き込みや蒸気の取り込み現象を極力回避して蒸気の漏洩を抑制できるフロート式スチームトラップを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記した目的を達成するために、本発明の一構成に係るフロート式スチームトラップは、蒸気および復水を含んだ1次側流体が流入するトラップ室と、前記トラップ室内の下部に開口し復水を2次側へ排出する排出孔と、前記トラップ室内で支軸回りに回動自在に設けたレバーに装着されたフロートと、前記レバーに支持されて前記排出孔を開閉する弁体と、前記弁体を覆うようにレバーに設けられて開弁時に上方から混入された復水中の気体が前記排出孔に侵入するのを抑制するガード体とを備え、前記ガード体は、開弁時に前記排出孔の上方、両側方の上部、および前方の上部にそれぞれ位置する複数のガード片からなり、前記弁体は球体からなり、前記レバーは、先端部に前記フロートが取り付けられたレバー本体と、このレバー本体の基端部に取り付けられて前記弁体を保持する弁ホルダとを有し、前記レバー本体に、開弁時に前記排出孔の上方および両側方の上部に位置する前記ガード片が、前記弁ホルダに、開弁時に前記排出孔の前方の上部に位置する前記ガード片が、それぞれ設けられている。
【0011】
前記フロート式スチームトラップによれば、蒸気および復水を含んだ1次側流体がトラップ室内に流入し、前記トラップ室内の復水の量が一定レベル以上の水位となったとき、前記フロートの浮力作用によって前記レバーは支軸を支点として上方へ回動する。これにより、排出孔を閉じていた弁体は開弁し、前記トラップ室内の復水は排出孔を経由して2次側の流出口へ排出される。このとき、トラップ室内の復水面上に復水が落下流入する際、トラップ室上部空間の気相部分にある蒸気(気体)が気泡として巻き込まれたり、復水中に竜巻状の渦流となって侵入しようとしても、前記ガード体により、復水中の気体が前記排出孔に侵入するのを阻止するから、蒸気が排出孔から排出されるおそれがない。このように、排出孔への気体の巻き込み漏洩が極力低減される結果、復水のみを排出孔より2次側の流出口へ排出させることができる。したがって、このフロート式スチームトラップを用いることで、蒸気損失を極力低減することができる。
【0012】
また、前記ガード体が、開弁時に前記排出孔の上方、両側方の上部および前方の上部にそれぞれ位置する複数のガード片からなるので、開弁時に、前記排出孔からの復水の排出にあたって、復水に混入された気体は上方から排出孔に侵入しようとするが、排出孔の上方、両側方の上部および前方の上部に位置する、つまり、排出孔よりも上方に位置する複数のガイド片により、その侵入が阻止され、復水のみが直接、排出孔に入り込んで排出される。この場合、前記気泡は復水よりも密度が小さい(軽い)ので、前記弁体の下方まで回り込んで排出孔に侵入することは殆どなく、弁体の上方、つまり排出孔の上方から排出孔に達しようとする。また、気体(蒸気)を巻き込みながら形成される竜巻状の渦も、上方から排出孔に達しようとする。したがって、排出孔の上方、両側方の上部および前方の上部位置にのみ設けたガイド片によって、排出孔から蒸気が漏洩するのを効果的に防止できる。
【0014】
また、前記弁体は球体からなり、前記レバーは、先端部に前記フロートが取り付けられたレバー本体と、このレバー本体の基端部に取り付けられて前記弁体を保持する弁ホルダとを有し、前記レバー本体に、開弁時に前記排出孔の上方および両側方の上部に位置する前記ガード片が、前記弁ホルダに、開弁時に前記排出孔の前方の上部に位置する前記ガード片が、それぞれ設けられており、ガード体を構成する複数のガード片のうち、開弁時に前記排出孔の上方および両側方の上部に位置する前記ガード片をレバー本体側に、また開弁時に前記排出孔の前方の上部に位置する前記ガード片をレバー本体の基端部に取り付けられて前記弁体を保持する弁ホルダ側にそれぞれ分割して設けているので、これらレバー本体と弁ホルダとを所定部位にてスポット溶接等によって組み付けることにより、前記ガード体を容易に製造することができ、生産性の向上およびコストダウンを図ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係るフロート式スチームトラップを図1および図2にしたがって説明する。
【0017】
図1に示すように、フロート式スチームトラップ1は、トラップケーシング2とその側壁カバー3とで筐体が構成され、これら2,3により囲まれた内部にトラップ室4が形成されている。前記ケーシング2の上部には蒸気および復水を含んだ高温の1次側流体を図示しない1次側通路からトラップ室4内へ流入させる流入口5が形成され、この流入口5から流入した復水Fが前記トラップ室4内に溜まるようになっている。なお、図面中、トラップ室4の下部は流入した復水Fが溜まった液相、上部は蒸気や空気などの気体の気相Vである。
【0018】
前記側壁カバー3には、これに設けたねじ孔23に弁座部材6の雄ねじ部6aをねじ込むことにより、弁座部材6が取り付けられている。この弁座部材6は、トラップ室4内の復水Fを2次側の流出口11へ排出させる排出孔7を備えている。この弁座6には、ブラケット15を介して支軸(ピン軸)8が取り付けられ、この支軸8回りに回動自在にレバー9が設けられ、このレバー9の先端部に、例えばボール型のフロート10が装着されている。
【0019】
前記レバー9の基端には、前記排出孔7を開閉する弁体12が支持されており、この弁体12は、トラップ室4内の復水Fの水位レベルに応じて上下方へ回動する前記フロート10の動きに追従し、かつ支軸8を支点として支軸8回りに回動するレバー9の動作により、前記排出孔7を開閉できるように構成されている。ここで前記弁体12としては、その開閉動作を考慮すると、前記弁座6に離着座自在かつ自転自在に設けられ、弁開度を大きくとれる球体であることがより望ましい。なお、この球体の弁体12は、いうまでもなくその径が少なくとも前記排出孔7の内径よりも大きいものとし、コイルスプリング19によって前記排出孔7方向に向けて弾性力が付加されている。
【0020】
前記のように構成される弁体12の構造において、この弁体12は、前記したようにレバー9に支持されているが、本発明では特に開弁時に上方から混入された気泡Cが前記排出孔7に侵入するのを阻止するガード体13で覆われている。このガード体13はレバー9に設けられており、図面上理解しやすくするために網目ハッチングで表示している。
【0021】
一方、前記側壁カバー3の上方側には、図3に示した従来例と同様に、感熱素子41を有する感熱弁40が設けられている。
【0022】
つぎに、前記ガード体13の構造を説明する。図2に示すように、前記レバー9は、板材を曲げ加工したもので、先端部に前記フロート10が取り付けられたレバー本体9aと、このレバー本体9aの基端部に取り付けられて前記弁体12を保持する弁ホルダ9bとを有している。前記レバー本体9aに、開弁時に、つまり図1の実線で示す姿勢のときに、前記排出孔7の上方および両側方の上部に位置する図2のガード片13a,13bが一体形成され、前記弁ホルダ9bに、開弁時に前記排出孔7の前方の上部、つまり、排出孔7の上流側の上部(図1の右上方部)に位置するガード片13cが一体形成されている。前記ガード片13a〜13cはいずれも網掛け部分で示してあり、これらは従来のレバー本体および弁ホルダ構造には存在しない特徴的な付加部分である。また、弁ホルダ9bの側部に起立して設けられた1対の耳部92も、排気孔7の両側方の上部に位置するガード片として機能する。
【0023】
レバー本体9aと弁ホルダ9bの組み付けにあたっては、前記レバー本体9aの基端部の左右2ヵ所S1,S2が、それぞれ弁ホルダ9bの取付部91の対応する2ヵ所S3、S4に対してそれぞれスポット溶接されて組み付けされる。
【0024】
さらに、弁ホルダ9bの前記耳部92にはピン孔93,93が設けられており、他方、前記ブラケット15の挟持部16の左右両側には、軸支持部17が形成されており、これら軸支持部17にピン孔18,18が形成されている。前記弁ホルダ9bの92の外側にブラケット15の軸支持部17を重ねて、ピン孔93,18を同一軸心上に位置するように芯合わせし、ピン孔93,18に支軸8を挿通する。ブラケット15は、その挟持部16に設けた弁座孔19に図1の弁座部材6が挿通される。ブラケット15は、図2のボルト挿通孔20にボルト21を挿通して、図1の側壁カバー3のねじ孔(図示せず)にねじ込むことにより、側壁カバー3に固定される。
【0025】
前記ガード体13は前述のようにガード片13a,13bおよび13cをレバー9に折曲げ加工で一体形成できるので、容易かつ安価に得ることができる。しかも、図1に示すように、ガード片13a〜13cは、排出孔7の上方、両側方の上方および前方の上部をガードするだけであるから、トラップ室4内の復水は開弁時、排出孔7の前方(図1の右方)、下方および側方から円滑に排出孔7に入り込んで排出される。復水中の密度の小さい気体は、前記弁体12の下方部分に回り込みにくいので、排出孔7への侵入がガード片13a〜13cによって効果的に阻止される。
【0026】
上記構成において、トラップ室4内の復水量が少ないときには、フロート10が二点鎖線で示すほぼ水平状態に位置して排出孔を閉弁する。流入口5からトラップ室4内に蒸気および復水Fを含んだ1次側流体が入り込んで、前記トラップ室4内の復水Fが増加して一定水位に達すると、実線で示すように、前記フロート10が浮力により上昇し、レバー9が上方へ回動することで開弁状態となり、トラップ室4内の復水Fは、排出孔7に入り込んで2次側の流出口11へ排出される。このとき、前記トラップ室4内へ流入する1次側流体の流入量、特に復水の流入量が多い場合、気相Vから気体(蒸気)を巻き込んで気泡Cとなって復水中に混入したり、竜巻現象によって気体が復水Fの内部へ深く侵入することがある。これに対し、排出孔7の上方、両側方の上部および前方の上部は複数のガード片13a〜13cよりなるガード体13で覆われているから、前記排出孔7への気体の侵入が阻止される。したがって、復水Fのみを排出孔7から、2次側の流出口11から排出させることができるので、蒸気損失を低減させることができる。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、本発明のフロート式スチームトラップによれば、トラップ室内に流入して溜まっている復水中に気体が侵入しても、ガード体によって排出孔に侵入するのを阻止されるので、蒸気損失がきわめて少ない優れたトラップ性能を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るフロート式スチームトラップを示す縦断面図である。
【図2】同実施形態のフロート式スチームトラップにおけるレバー本体と弁ホルダの分解斜視図である。
【図3】従来のフロート式スチームトラップを示す縦断面図である。
【符号の説明】
1…フロート式スチームトラップ、2…トラップケーシング、3…側壁カバー、4…トラップ室、5…流入口、6…弁座、7…排出孔、8…支軸、9…レバー、9a…レバー本体、9b…弁ホルダ、10…フロート、11…流出口、12…弁体、13…ガード体、13a,13b,13c…ガード片、C…気泡、F…液相(復水)、V…気相

Claims (1)

  1. 蒸気および復水Fを含んだ1次側流体が流入するトラップ室4と、
    前記トラップ室4内の下部に開口し復水Fを2次側へ排出する排出孔7と、
    前記トラップ室4内で支軸回りに回動自在に設けたレバー9に装着されたフロート10と、
    前記レバー9に支持されて前記排出孔7を開閉する弁体12と、
    前記弁体12を覆うようにレバー9に設けられて開弁時に上方から混入された復水F中の気体が前記排出孔7に侵入するのを抑制するガード体13と、
    を備え
    前記ガード体13は、開弁時に前記排出孔7の上方、両側方の上部、および前方の上部にそれぞれ位置する複数のガード片13a〜cからなり、
    前記弁体12は球体からなり、前記レバー9は、先端部に前記フロート10が取り付けられたレバー本体9aと、このレバー本体9aの基端部に取り付けられて前記弁体12を保持する弁ホルダ9bとを有し、前記レバー本体9aに、開弁時に前記排出孔7の上方および両側方の上部に位置する前記ガード片13a,13bが、前記弁ホルダ9bに、開弁時に前記排出孔7の前方の上部に位置する前記ガード片13cが、それぞれ設けられているフロート式スチームトラップ。
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