JP4001769B2 - スピンドル旋回巻線機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スピンドル旋回巻線機の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7は従来のスピンドル巻線機の一例を示すものであり(特開平11−27909号公報参照)、図7において、符号L’は線状材、M’はボビン(ワーク)、P’は巻線部、T’は端子(線状材固定部)であり、ノズル20’は図8ないし図9に示す方向設定機構49(とガイドローラ41)を備え、ノズル位置を水平方向及び垂直方向下向きに回転でき、一方、ボビンM’は水平に取付けられたスピンドル51(巻線回転軸)にセットされている。
【0003】
図7に示す、ノズル20’の方向設定機構49は、上下方向の移動機構33’の上下方向移動部33C’と、上下方向ガイドピン33A’で接続されている上下方向接続部33D’に取付けられており、ノズル20’の移動は三軸移動機構により、前後方向(X方向)、左右方向(Y方向)、上下方向(Z方向)に移動できる。
【0004】
巻線機と図示のないコンベヤシステムと接続して、ボビンの受渡しを自動的に行う場合、ボビン回転軸の方向は水平に置かれたスピンドル部と同方向にセットされる。コンベヤ上でのボビンの方向が垂直にセットされて搬送されてくる場合は、図示のない受渡し機の操作でボビンを90度反転させる事が必要になる。
【0005】
また、コンベヤラインと数台の巻線機と組み合わせてシステム化した場合、巻線機のコンベヤの搬送方向に対する巻線機の幅寸法が、配置スペース上重要な要素であり、ノズル20’の方向設定機構49が、この寸法の大半を占めている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
コンベヤラインと巻線機を数台組み合わせて接続し、ボビンの受渡しを自動的に行う場合、巻線機のスピンドル部でのボビンの回転軸のセット方向が、水平にセットされているのに対して、コンベヤ上でのボビンの方向が垂直上向きの場合は、双方で90度ずれているため、受渡し操作で反転させる事が必要になり、これにともない受渡し機の機構が複雑になり、コスト高となっている。
【0007】
ノズル20’の方向設定機構49は上下方向接続部33D’に組込まれており、この前後方向(X軸)、即ちコンベヤの搬送方向には、ノズル20の方向設定機構49が取付けられているため、この方向の機械の幅寸法が大きくなり、コンベヤラインと巻線機数台を組み合わせた接続して、ボビンの受渡しを自動的に行う場合、とくに、全体の配置から制約されるので、この寸法を出来る限り短くする事が必要となる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、線状材Lを引出すノズル20を三軸方向に移動する三軸移動機構30と、回転してボビンMに巻線するスピンドル部50と、前記ボビンMを搬送し、前記ボビンMの受け渡しを行うコンベアと前記ノズル20を備えた前記三軸移動機構30との間に敷設されるレールと、前記スピンドル部50が前記レール上を往復移動可能とするスピンドル移動機構52と、スピンドル部50を水平方向と垂直方向に回転可能とし、前記スピンドル部50と一体的に前記レール上を往復移動するボビン方向設定機構40と、を備えたことを特徴とするスピンドル旋回巻線機である
【0009】
【発明の作用及び効果】
本発明の巻線機及び巻線方法では、ボビン方向設定機構40をスピンドル部50に組み入れたことで、以下の効果を奏する。
(1)スピンドル部50について、ボビン受け渡し位置とノズル位置の双方で、ボビンのセット方向が水平方向と、垂直方向上向きに回転でき、これで、ボビンの受け渡し時の方向及び巻線時の巻線、端子の絡げ方向に対して、適正に対応できる。
(2)三軸移動機構30に反転機構がないので構造が単純、縮小化され、それにスピンドル部50が、受け渡し位置とノズル位置を移動する構造になったため、巻線機10の幅を狭くすることが出来て設置寸法が長方形になり、コンベヤラインにたいして、設置面積が縮小できた。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる巻線機及び巻線方法の実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1、図2、図3ないし図4において、符号Mはボビン(ワーク)、Pは巻線部、Tは端子(線状材固定部)、Lは線状材、Kは機台、10は巻線機、20はノズル、30は三軸移動機構、50は巻線回転機構(スピンドル部)、40はボビン方向設定機構(移動機構を含む)、60は線状材切断機構(ワイヤカッタ)、70はワイヤクランプ機構である。
【0011】
ボビンMは図1、図2ないし図3に示すように、軸巻きするトランスなどで、例えば、工業用プラスチック製とされ、断面は円形ないし略矩形の巻線部Pを具備し、該巻線部Pの近傍に突出して、線状材Lを接続するための複数の端子Tがボビン鍔部に配される。
【0012】
ボビン方向設定機構40及び巻線回転機構50は図1、図3ないし図4に示すように、機台K上のレールの上に配され、ボビン方向設定機構40は巻線時に、ボビンに巻線するためのスピンドル回転駆動モータ51Eを備えた巻線回転機構50を持ち、コンベヤとのボビン受渡し時には、スピンドル移動機構52によってコンベヤ側の受渡し位置にレール上を移動し、ボビン回転軸のセット方向は垂直で端子Tは上側にセットされる。巻線時はボビン回転軸を水平方向に反転させ、その時の端子の方向はコンベヤと反対方向のノズル駆動側に向ける。ボビン方向設定機構40はレール上を三軸移動機構30の巻線位置まで移動し、ボビンの反転はシリンダなどのアクチュエータ41を駆動させて行う。なお巻線位置とボビン受渡し位置間の移動はスピンドル移動機構52を構成するボールネジ軸を ピンドル移動モータ42Eで回転させて移動させる。
【0013】
ボビン回転用(スピンドル部)及びスピンドル部移動用の駆動モータ51E、42Eは、例えば高精度制御可能なサーボモータとされる。
【0014】
巻線機10は、線状材Lを、図示のない線状材供給リールから、同じく図示のないテンション装置を経て、引出しながら三軸方向移動可能なノズル20と、ノズルを駆動するための三軸移動機構30と、ボビン受渡し位置とノズルによる巻線位置を移動可能な、ボビン方向設定機構40と巻線回転機構50を持ったスピンドル移動機構52と、線状材Lの巻回をボビン回転軸を回転させるスピンドル回転駆動モータ51Eとからなり、これらは機台Kに配置される。
【0015】
三軸移動機構30は、三軸方向の駆動部31,32,33を組み合わせてなり、左右方向駆動部31(Y方向)、前後方向駆動部32(X方向)、上下方向駆動部33(Z方向)を具備するものとされる。
【0016】
駆動部31,32,33は、図2に示すように、駆動方向Y、X、Zに沿って略同一の駆動機構とされる。
【0017】
まず、上下方向駆動部33(Z方向)について説明する。上下方向駆動部33は、図2
に示すように、駆動方向Zに沿って配された2本の上下方向ガイドシャフト33Aと、該上下方向ガイドシャフト33Aの間に平行に位置した雄ネジを配した上下方向回転軸33Bと、該上下方向回転軸33Bにボールネジにより螺合され上下方向ガイドシャフト33Aの移動方向に沿って移動可能な上下方向移動部33Cと、該上下方向移動部33Cと上下方向が上下方向ガイドシャフト33Aで接続される上下方向接続部33Dと、上下方向回転軸33Bを回転駆動する上下方向駆動モータ33Eとが配される。上下方向ガイドシャフト33Aが前後方向接続部32Dに開けられたガイド穴33Gに駆動方向Zに移動自在として配され、該上下方向ガイドシャフト33Aと上下方向移動部33Cとが一体に配される。
【0018】
上下方向回転軸33Bは、図2に示すように、ベルト駆動装置を介して上下方向駆動モータ33Eに接続される。上下方向移動部33Cは、上下方向回転軸33Bに配されたボールネジの範囲によって、駆動方向Zの移動範囲が設定される。
【0019】
左右方向駆動部31と前後方向駆動部32とは、上下方向駆動部33と同じ構造として図2に示す駆動方向Y、Xに沿って配される。
【0020】
左右方向駆動部31は、図2に示すように、機台Kに固定されて左右方向駆動モータ31Eを具備するものとされ、左右方向駆動モータ31Eの回転によりベルト、プーリを介してボールネジ31Bが回転し、左右方向ガイドシャフト31Aと一体に配された左右方向接続部31Dが左右方向に移動する。
【0021】
前後方向駆動部32は、前後方向駆動モータ32Eを具備するものとされ、前後方向駆動モータ32Eの回転によりベルト、プーリを介してボールネジ32Bが回転し、前後方向ガイドシャフト32Aと一体に配された前後方向移動部32Cが前後方向に移動し、前後方向移動部32Cと前後方向ガイドシャフト32Aで接続される前後方向接続部32Dも前後に移動する。
【0022】
上下方向駆動部33には、ノズル20が、上下方向回転軸33Bに螺合された上下方向移動部33Cと上下方向ガイドシャフト33Aで接続された上下方向接続部33Dに取り付けられ、かつ、上下方向駆動部33に対して上下方向移動可能に配される。上下方向接続部33Dが上下方向回転軸33Bから垂直位置に下方に突出して配される。
【0023】
駆動モータ31E、32E,33Eが、例えば、高精度制御可能なサーボモータとされる。
【0024】
巻線の手順を工程順に説明する。図1に示すように、コンベヤラインから図示のないボビン受け渡し装置によって、スピンドル部へのボビンの受け入れは回転軸を垂直にし、端子を上向きにして、ボビン方向設定機構40に受け、巻線回転機構50も配した移動機構をスピンドル移動モータ42Eでボールネジを駆動し、ノズル位置まで移動させる。初期の段階では、線状材Lはノズル20から引出し、予めワイヤクランプに固定しておく。ノズル20はボビン端子位置に移動して、三軸移動機構30によって線状材を引き出して端子に絡げる。
【0025】
ボビン端子とワイヤクランプ間の線状材は、リード線の必要長さを残して、ノズルの配してある三軸移動機構の上下方向接続部33Dに取り付けられた、図6に示す、ワイヤカッタ60で切断し、ボビンの巻回作業に入る。
【0026】
ボビンは、ボビン方向設定機構40に配されたアクチュエータ41により、90度反転させ垂直方向から水平方向にして、スピンドル回転駆動モータ51Eの回転によって、ボビンを回転させ、ノズルを三軸移動機構で移動させながらボビンに線状材を巻回する。巻回終了後、再びボビンをボビン方向設定機構により、90度戻して垂直方向にしてから、ボビンの他方の端子に線状材を絡げ、ノズルと線状材を再びワイヤクランプ位置まで戻し線状材をクランプする。端子とワイヤクランプ間の線状材は、リード線の必要長さを残して、ワイヤカッタで切断する。
【0027】
巻回が終了したボビンは巻線終了時の姿のまま、ボビン方向設定機構40と巻線回転機構50を配した移動機構のスピンドル移動モータ42Eに接続されたボールネジの回転で、コンベヤライン側にレール上を移動し、図示のない受け渡し装置で、製品ボビンの搬出と巻回し前のボビンの受け入れを行う。
【0028】
図5に示す、ワイヤクランプ機構はシリンダによる固定する機構を備え、巻線回転機構50とボビン方向設定機構40の機構を、摺動移動させるレールのコンベヤ側と反対側に配され、ワイヤの巻始めと終わりに、ノズル20がワイヤを伴ってこの位置まで移動到達し、この時ワイヤをクランプする。
【0029】
図6に示す、ワイヤ切断機構は切断箇所を調整出来るシリンダとカッタを作動させるシリンダを備え、ノズル20が配されている、三軸移動機構の上下方向接続部33Dのノズルの近傍に取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる巻線機および巻線方法の実施の形態を示す斜視図である。
【図2】ノズルを移動させる三軸移動機構部を拡大した斜視図である。
【図3】絡げ作業時のボビン端子とノズルの状態を現す巻線回転機構部の斜視図である。
【図4】巻回作業時のボビンの方向設定機構部を現す斜視図である。
【図5】ワイヤクランプ部を拡大した斜視図である。
【図6】ワイヤ切断機構部を拡大した側面図である。
【図7】従来の巻線機を示す斜視図である。
【図8】従来の巻線機のノズル方向設定機構(a)、(b)の移動状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
K 機台
L 線状材
P 巻線部
T 線状材固定部(端子)
M ワーク(ボビン)
X 駆動方向
Y 駆動方向
Z 駆動方向
10 巻線機
20 ノズル
30 三軸移動機構
31 左右方向駆動部(Y方向)
31A 左右方向ガイドシャフト
31B ボールネジ
31D 左右方向接続部
31E 左右方向駆動モータ
32 前後方向駆動部(X方向)
32A 前後方向ガイドシャフト
32B ボールネジ
32C 前後方向移動部
32D 前後方向接続部
32E 前後方向駆動モータ
33 上下方向駆動部(Z方向)
33A 上下方向ガイドシャフト
33B 上下方向回転軸
33C 上下方向移動部
33D 上下方向接続部
33E 上下方向駆動モータ
33G ガイド穴
40 ボビン方向設定機構
41 アクチュエータ
42E スピンドル移動モータ
50 巻線回転機構
51 スピンドル(巻線回転軸)
51E スピンドル回転駆動モータ
52 スピンドル移動機構
60 線状材切断機構
70 ワイヤクランプ機構

Claims (3)

  1. 線状材Lを引出すノズル20を三軸方向に移動する三軸移動機構30と、
    回転してボビンMに巻線するスピンドル部50と、
    前記ボビンMを搬送し、前記ボビンMの受け渡しを行うコンベアと前記ノズル20を備えた前記三軸移動機構30との間に敷設されるレールと、
    前記スピンドル部50が前記レール上を往復移動可能とするスピンドル移動機構52と、
    スピンドル部50を水平方向と垂直方向に回転可能とし、前記スピンドル部50と一体的に前記レール上を往復移動するボビン方向設定機構40と、を備えたことを特徴とするスピンドル旋回巻線機。
  2. 前記ボビン方向設定機構は、前記スピンドル部を水平方向と垂直方向に回転するアクチュエータ41を備え、このアクチュエータ41は、前記レールと略平行に設置されることを特徴とする請求項1に記載のスピンドル旋回巻線機。
  3. 前記コンベアラインの搬送方向に対して略直交する方向に前記レールを敷設することを特徴とする請求項1に記載のスピンドル旋回巻線機。
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