JP4000640B2 - 耐酸化球状糠粒の製造方法及び製造装置 - Google Patents

耐酸化球状糠粒の製造方法及び製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、無洗米の製造時、あるいは炊飯事業所において、大量に精白米を洗滌(洗米)する際に発生する米のとぎ汁の処理方法、およびこの処理方法によって耐酸化球状糠粒や耐酸化糠を製造する方法、並びに前記方法に用いる装置、前記の方法により得られる耐酸化性を有する糠、更には、前記とぎ汁を利用した精米方法、研米方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
炊飯事業所などの大量の精白米を洗米するところでは、益々厳しくなる排水基準のため、とぎ汁の処理対策に頭を痛めている。しかも、米のとぎ汁は、BOD(有機物)、リン、窒素のいずれも含有率が高く、汚水処理装置は高価につくだけでなく、浄化し難いという問題がある。そのため、例えば特開平5−68896号公報に開示された汚水処理装置などが提案されている。このように、米のとぎ汁は、BOD、リン、窒素を多量に含有しており、これが広範囲にたれ流されると、著しく水環境を破壊する。そこで、本発明者は、特開平2−242647号において、洗い米(無洗米)の製造技術を開示し、洗米工程で発生するとぎ汁を工業的に処理することを提案した。この方法によれば、米のとぎ汁を工業的に集中処理することができ、とぎ汁による水環境の汚染の拡散を防止することができる。
【0003】
しかしながら、例えば、前記特開平5−68896号公報に開示されたような従来の処理装置では、具体的に、且つ低コストでそれを実現することは困難であった。その理由は、これら従来の技術では、実用的手段が開示されておらず、更には、濃厚とぎ汁の移送に単なるポンプを用いていたため、極めて粘稠な濃厚とぎ汁をうまく移送できず、その上、濃厚とぎ汁に含まれている砕米によって移送パイプが詰まるといった事故が頻発するなど、実際上、これらの処理を行うには、数々の困難な問題があったからである。このように、米のとぎ汁には、上記のように水環境に最凶とされるリン、窒素が多く含まれいるにもかかわらず、それを確実に除去する汚水処理技術は未だ確立されてはおらず、従来の汚水処理技術では単にBODがある程度除去されるに過ぎない。
【0004】
また、先に述べた、本発明者が特開平2−242647号に開示した方法は、従来の洗米とは異なり、極短時間で洗米と除水とを行う方法である。そして、米は、米重量の約40%の水量があれば水へどぶりと浸けることができるから、上記の方法を実施する場合であれば、水を贅沢にオールフレッシュに用いたとしても、洗米する米の重量の40%の水量で済み、更には、水を合理的に用いることにより、可及的に洗米水(洗滌水)を減らすことが可能となり、その結果、とぎ汁の排出量も、従来は米重量の10〜20倍程度だったものを、その数百分の一にも減少させることができる。しかし、いくらとぎ汁の排出量が減ったとしても、洗米により排出されるとぎ汁中の総糠量は変わることがないから、とぎ汁の排出量が減れば減るほど、とぎ汁中の糠濃度は高くなる。このため、とぎ汁を汚水として浄化処理する際には、600ppm程度まで希釈する必要があり、折角とぎ汁の排出量を減少させても、処理に関しては何らのメリットにもなっていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、炊飯事業所における精白米の洗滌工程や、無洗米の製造の際に発生する米のとぎ汁は、そのままたれ流した場合でも、また、汚水処理されたうえで放流されたとしても、いずれの場合においても、水環境に重大な害を与えていた。そこで、本発明は、従来のように米のとぎ汁を廃棄物として捉えるのではなく、有用な資源として捉え、とぎ汁から、人類に役立つ耐酸化糠や耐酸化球状糠粒、あるいは混合肥料粒を製造し、更には、とぎ汁を精白米表面の付着糠の除去などに利用可能とするとともに、水環境を汚染するとぎ汁を全く排出することのない、しかも、低コストで且つ確実に実施できる米のとぎ汁の処理方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
先に述べたように、本発明者が特開平2−242647号に開示した方法によれば、少量ではあるが、濃厚なとぎ汁が生成される。また、炊飯事業所における精白米の洗滌装置(洗米機)の場合にも、上記発明の内の洗米手段を利用すれば少量の水で洗米可能で、その結果、濃厚とぎ汁を排出することになる。更に合理的な水の利用をすることにより、一層少量にすることもできる。しかし、この少量で、濃厚なとぎ汁であっても、以下のような本発明によれば、上記のようなとぎ汁処理に関する従来からの問題の全てが解決されるばかりか、人類に極めて有用な副産物、つまり、耐酸化糠や耐酸化糠粒などを得ることができるのであって、本発明は極めて有用な発明である。
【0007】
即ち、本発明に係る米のとぎ汁の処理方法の第一は、精白米を水で洗滌したときに発生するとぎ汁を乾燥させるものである。
【0008】
前記の場合、とぎ汁に核材を加えて攪拌しながら高温乾燥させると、核材の表面に乾燥したとぎ汁の糠成分が付着し、これが攪拌されて小球状糠粒となる。この小球状糠粒の表面に更にとぎ汁の糠成分を付着させ、攪拌しながら高温乾燥させることで、耐酸化球状糠粒が製造される。このとき、とぎ汁は間欠的に供給することが、球状糠粒の内部まで十分に乾燥させる点で好ましい。前記の場合の核材としては、とぎ汁を乾燥させた耐酸化球状糠粒や、精米工程や研米工程で生成する糠粉の他、細かく粉砕した籾殻や、有機および無機粉体なども用いることができる。
【0009】
また、本発明に係る米のとぎ汁の処理方法の第二は、前記とぎ汁を吸着材と混合し乾燥させるものである。前記吸着材としては、精米工程や研米工程で発生する糠、更には、籾摺工程で発生する籾殻や粉粒状の肥料成分など、有機および無機粉体などを用いることができる。このとき、乾燥機内に滞留する吸着材ととぎ汁との混合物を、ほぼ一定量に維持した状態で処理を行うことが望ましい。この方法によれば、多量の吸着材に、とぎ汁が広範囲に薄く付着することで効率よく乾燥する。
【0010】
また、本発明の米のとぎ汁の処理方法においては、とぎ汁、あるいはとぎ汁と糠その他の核材、または吸着材との混合物を50℃〜120℃の温度で加熱乾燥することが、とぎ汁に含まれる糠、あるいはとぎ汁と混合される糠中に含有される酵素を失活させ、得られる糠粒に耐酸化性を付与するうえで好ましい。炊飯事業所における、とぎ汁の処理に際しては、前記加熱乾燥時の熱源として、炊飯釜から発生する熱気を利用することもできる。
【0011】
更に、本発明に係る米のとぎ汁の処理方法の別の方法は、前記とぎ汁を、精米終了間近の精米工程、あるいは研米工程で攪拌中の米粒に混合し、通風によってその水分を除去し、とぎ汁に含まれていた糠分を米肌の付着糠とともに取り去る方法である。この場合、通風時に加熱を行うことが好ましい。
【0012】
また、本発明の処理方法により処理される米のとぎ汁は、洗米機から排出されるものであるが、洗米に際しては、精白米を洗米機で洗滌した後の洗い米を水切り機で水切りし、該水切り機より排出される水の一部を、ほぼ定量ずつ前記洗米機に還流しながら精白米を洗滌し、このとき洗米機から排出される濃厚とぎ汁を処理することが好ましい。このようにすれば、洗米機による洗滌のみでなく、洗滌後の洗い米に含まれる少量の糠をも同時に処理することができるからである。また、前記水切り機より排出される水量は、洗米機に還流されて該洗米機の洗滌作用により濃厚とぎ汁となって排出される分だけ減少するため、この洗米機から濃厚とぎ汁となって排出される水量に応じて水切り機に上水を補給しながら水切りを行うことが望ましい。
【0013】
上記のような本発明に係る米のとぎ汁の処理方法によれば、本発明者が特開平2−242647号において開示した無洗米の製造方法において生成される、または、炊飯事業所における精白米の洗滌工程(洗米工程)において、生成される洗滌水を更に合理的に使用することにより排出される、少量で濃厚なとぎ汁を効率的に処理することができる。
【0014】
また、本発明に係る米のとぎ汁の処理装置は、一端適所に送風口、他端適所に排風口を設けた乾燥筒の内部に、回転自在の攪拌体を軸架し、前記乾燥筒に洗米機から排出される米のとぎ汁を供給する給液管を、それから供給されるとぎ汁を乾燥筒内の滞留物に添加できる位置に接続し、乾燥筒の排風口側には、開閉弁を備えた取出口を設けたことを基本的な構造とするものである。
【0015】
前記処理装置の乾燥筒と攪拌体先端とのクリアランスは5mm〜15mmとすることが好ましい。また、洗米機から排出されるとぎ汁を給液管を通じて乾燥筒に供給する際には、ルーツ型ポンプを用いることが好ましい。
【0016】
また、前記処理装置の排風口には糠分離器を接続するとともに、該糠分離器より回収した粉塵を再び乾燥筒内に戻せるように前記糠分離器と乾燥筒とを接続することが好ましい。
【0017】
更に、前記処理装置には、乾燥筒内の滞留物を加熱する加熱手段を設けることが好ましい。前記加熱手段は、乾燥筒内の滞留物を50℃〜120℃に加熱しうるよう制御されていることが、先に処理方法について述べたと同じ理由で好ましい。また、炊飯事業所に設置される、とぎ汁の処理装置にあっては、前記滞留物の加熱に炊飯釜から発生する熱気を利用することもできる。
【0018】
また、処理中には、乾燥筒の開閉弁を開閉させ、または開閉弁を適度の開度で開放することで、乾燥筒内の滞留物を常にほぼ一定量に制御するようにすることが好ましい。この場合、乾燥筒内に軸架した攪拌体を電動機で駆動するとともに、開閉弁の開閉動作を前記電動機の負荷電流値に連動させれば、乾燥筒内の滞留物を常にほぼ一定量に自動的に制御でき、より好ましい。
【0019】
また、乾燥筒内の滞留物を、攪拌体によって攪拌される滞留物とは異なる別ルートにより排風口側から送風口側へ移動させ、送風口側の乾燥筒内の攪拌中の滞留物に合流させる循環路を設けた場合には、乾燥筒内の滞留物へのとぎ汁の添加が全体に渡って均一となり易くなるので、より好ましい。また、この場合、とぎ汁の給液管を前記循環路の適所に接続し、循環路を移動中の滞留物にとぎ汁を添加するようにすることが好ましい。その場合、循環路における比較的滞留物が高密度で攪拌されている箇所に添加すれば、より一層均等添加できて好都合である。更に、前記循環路の滞留物循環装置を電動機で駆動するとともに、前記駆動用電動機の負荷電流値に連動させてとぎ汁の供給量を制御することが好ましい。
【0020】
また、乾燥筒内へのとぎ汁の供給量を制御するため、とぎ汁の給液管の途中に貯留タンクを設けることが好ましく、この貯留タンクの貯留量は、洗米作業の開始から処理装置の乾燥筒内の温度が所定の温度に上昇するまでの間に洗米工程で排出されるとぎ汁の量以上で、かつ、5時間の洗米作業により洗米工程から排出されるとぎ汁の量以下とすることが好ましい。尚、洗米機から排出される濃厚とぎ汁を処理するための処理装置においては、乾燥筒内の滞留物の容積を、洗米機よりほぼ20分間に排出される濃厚とぎ汁の容積以上にしておくようにすることが好ましい。
【0021】
また、前記とぎ汁処理装置に前記給液管を介して連結した洗米機に洗い米の水切り機を接続するとともに、該水切り機に、そこから排出される水を貯留する貯水タンクを接続し、更に、該貯水タンクと前記洗米機とを接続することにより、前記水切り機、貯水タンク、および洗米機を経て再び水切り機に還る水の循環経路を構成し、前記水切り機から貯水タンクに排出された水の一部を、ほぼ定量ずつ前記洗米機に還流して精白米を洗滌し、それにより発生する濃厚とぎ汁を前記給液管を介して処理装置の乾燥筒に供給するようにすることが望ましく、また、前記貯水タンクから洗米機に還流される水の一部を洗米機から水切り機に至る水の循環経路の途中に還流してもよい。更に、前記水切り機に上水供給手段を設けるとともに前記貯水タンクに水量センサーを設け、該水量センサーが発信する貯水タンク内の水量に応じて水切り機に供給する上水の水量を増減するように構成することが望ましい。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明を、添付図面に基づき更に詳細に説明する。
先ず、本発明に係る米のとぎ汁の処理方法を、図1〜6に示した工程図に基づき説明する。
【0023】
図1に示すものは、精白米を連続して洗米機にて水で洗滌して無洗米、または炊飯直前の洗い米を製造するに際して、前記洗米機から排出されるとぎ汁を、とぎ汁処理装置にて攪拌しながら高温乾燥させることで、とぎ汁を処理すると同時に耐酸化球状糠粒を製造する方法である。このとき、処理の当初には、球状糠粒の核となる材料を予め処理装置内に投入しておく。この場合の核材としては、とぎ汁を乾燥させた耐酸化球状糠粒、あるいは精米工程や研米工程で発生する糠粉を利用することもできるし、また、籾殻を細かく粉砕したものや、あるいは、ゼオライト、パーライト、シラスバルーンといった粉状無機物、および、粉粒状の土壌改良材、肥料、その他の粉粒体など、特に限定することなく使用することができる。その投入量は、洗米機よりほぼ20分間で排出されるとぎ汁の容積以上が望ましい。少ないと乾燥効率が悪いからである。そして、処理が開始されると、前記とぎ汁を核材の表面に付着させ、攪拌しながら高温乾燥させることで自然に小球状糠粒となり、更にその表面にとぎ汁の糠成分が堆積してゆくことで成長するとともに、攪拌されることにより耐酸化球状糠粒となる。このとき、付着したとぎ汁が効率よく乾燥するためには、処理装置内の滞留物に対してとぎ汁を間欠的に供給することが好ましい。このようにすることで、粒表面にとぎ汁を薄く付着させては乾燥し、更にその上にまたとぎ汁を薄く付着させるということを繰り返すのである。それを長時間繰り返したものほど大粒となり、短時間で乾燥筒から取り出したものは小粒となる。いずれにしても、当初、予め処理装置内に投入されていた核材に、とぎ汁の成分が乾燥状で付着してゆくわけであるから、処理装置内の滞留物の容積は増えてゆくから、適宜取り出すのは当然のことである。とぎ汁処理装置における乾燥の程度は、装置へのとぎ汁の供給速度や装置内における乾燥条件等により適宜調整することができるが、製造される耐酸化球状糠粒の含水量としては、15%以下とすることが、腐敗防止の観点から好ましい。また、乾燥時には、50℃〜120℃の温度で加温することで、糠成分中の酵素を失活させることが好ましい。このとき、処理装置から排出された耐酸化球状糠粒は、そのままでは冷めた時に全体が固まってしまう。このため、放冷しながら攪拌することが望ましい。なお、耐酸化球状糠粒として、とぎ汁成分ばかりで作りたいときは、とぎ汁だけ供給すればよい。また、前記粉粒状物と混合した球状粒を作りたいときは、結合材としてのとぎ汁とともに、それらを混入、または別々にその粉粒状物も供給すればよい。その場合も、球状核の中心部を占める前記粉粒状物の表面にとぎ汁成分をコーティングしてもよいし、また、全体的に混合させてもよい。後者の場合には、とぎ汁に粉粒状物を混入し、前者の場合は別々に供給するのである。
【0024】
次に、図2に示すものは、玄米を精米機にて連続して精米して精白米とし、これを連続して洗米機にて水で洗滌して無洗米、または炊飯直前の洗い米を製造するに際して、前記精米機にて生成される大量の糠粉を吸着材として、とぎ汁処理装置に連続して供給するとともに、前記洗米機から連続して排出されるとぎ汁を前記処理装置内に連続的に供給される糠粉と混合し乾燥させるものであり、これにより、とぎ汁は糠に付着した状態で乾燥され、50℃〜120℃で加熱乾燥すると耐酸化糠として排出される。このとき、精米機から供給される糠粉と洗米機から供給されるとぎ汁の割合は、精米機からの糠粉の量が圧倒的に多いことから、糠粉に添加されたとぎ汁は処理装置内で効率的に攪拌乾燥され、耐酸化糠として処理装置から排出される。このとき、吸着材として糠以外の粉粒物を用いることもできる。また、吸着材の量を減らすと処理装置から排出される耐酸化糠などは、冷めるにしたがって全体が固まってしまうおそれがある。そこで、排出される耐酸化糠などは、攪拌しながら放冷して粒状としたり、あるいは、適当な大きさ、形状に成形したりすることが望ましい。この耐酸化糠などの成形方法としては、装置から排出される耐酸化糠などを押出成形等により所望の形状に成形するなどの方法がある。このように、洗米機から排出されるとぎ汁が濃厚とぎ汁の場合には、粘稠なとぎ汁が結合材となって互いに接着されて排出される。
【0025】
また、図3に示すものは、玄米を精米機にて連続して精米し、これを更に研米機にて連続して研米した後、洗米機にて連続的に水で洗滌して無洗米、または炊飯直前の洗い米を製造するに際して、前記洗米機から排出されるとぎ汁の一部を、その前工程である研米工程の攪拌中の米粒に混合して通風によってその水分を除去し、米肌の付着糠をとぎ汁に含まれていた糠分とともに取り去る一方、洗米工程で発生するとぎ汁の残りはとぎ汁処理装置に供給し、これを図1の場合と同様に攪拌乾燥して耐酸化球状糠粒を生成する方法である。なおこの場合、図中、点線で示すように、とぎ汁の一部を精米機へも供給し、精米終了間近の精米工程で攪拌中の米粒に混合し、通風によってその水分を除去し、とぎ汁に含まれていた糠分を米肌の付着糠とともに取り去るようにしてもよい。
【0026】
更に、図4に示すものは、玄米を精米機にて精米し、これを更に研米機にて研米した精白米を、洗米機にて水で洗滌して無洗米、または炊飯直前の洗い米を製造するに際して、前記洗米機から排出されるとぎ汁の一部を前工程である研米工程の攪拌中の米粒に混合し、通風によってその水分を除去し、米肌の付着糠をとぎ汁に含まれていた糠分とともに取り去る一方、洗米機から排出されるとぎ汁の残りをとぎ汁処理装置に供給し、これを研米機から排出されてとぎ汁処理装置に供給される糠に添加して混合攪拌することで乾燥させて耐酸化糠として処理装置から取り出す方法である。なお、この場合にも、図中点線で示すように、洗米機から排出されるとぎ汁の一部を精米機へ供給し、精米終了間近の精米工程で攪拌中の米粒に混合し、通風によってその水分を除去し、とぎ汁に含まれていた糠分を米肌の付着糠とともに取り去るようにしたり、精米機から排出される糠をとぎ汁処理装置に供給して洗米機から排出されるとぎ汁と混合するようにしてもよい。
【0027】
また、図5に示すものは、原料籾を籾摺機で玄米とし、これを精米機により連続して精米した後、洗米機にて連続して水で洗滌して無洗米、または炊飯直前の洗い米を製造するに際して、洗米機から排出されるとぎ汁の一部を精米機へ供給して精米終了間近の精米工程で攪拌中の米粒に混合し、通風によってその水分を除去し、とぎ汁に含まれていた糠分を米肌の付着糠とともに取り去るようにするとともに、残りのとぎ汁を、前記籾摺機から排出される籾殻に攪拌混合機により混合し、そのまま放出してもよいし、場合によっては乾燥させるものである。なお、図示しないが、前記の場合に、精米機と洗米機との間に研米機を配置してもよいし、更に、洗米機から排出されるとぎ汁をこの研米機に供給して、研米工程で攪拌中の米粒に混合し、通風によってその水分を除去し、米肌の付着糠をとぎ汁に含まれていた糠分とともに取り去るようにしてもよい。
【0028】
そして図6に示すものは、原料籾を籾摺機で玄米とし、これを精米機により連続して精米した後、洗米機にて連続して水で洗滌して無洗米、または炊飯直前の洗い米を製造するに際して、洗米機から排出されるとぎ汁の一部をとぎ汁処理装置に供給して図1の場合と同様に耐酸化球状糠粒を製造すると同時に、とぎ汁の一部は精米機へ供給し、精米終了間近の精米工程で攪拌中の米粒に混合し、通風によってその水分を除去し、とぎ汁に含まれていた糠分を米肌の付着糠とともに取り去るようにし、更に、残りのとぎ汁は、前記籾摺機から排出される籾殻に混合して乾燥させるものである。なお、この場合にも、精米機と洗米機との間に研米機を配置し、更に、とぎ汁をこの研米機に攪拌中の米粒に混合し、通風によってその水分を除去し、米肌の付着糠をとぎ汁に含まれていた糠分とともに取り去るようにしてもよい。
【0029】
なお、本発明に係る米のとぎ汁の処理方法は、単に無洗米や、炊飯直前の洗い米の製造時に発生する場合だけでなく、あらゆる場合に発生する米のとぎ汁の処理に利用出来、しかも、その処理方法も、上記した方法に限定されるものではなく、上記の各種方法を組み合わせたり、あるいは本発明の範囲を逸脱しない範囲で変形して実施することができる。
【0030】
更に、上記のような本発明に係るとぎ汁の処理方法においては、とぎ汁を糠等と混合して乾燥する際に、生石灰を添加するようにしてもよい。この生石灰を添加した場合には、とぎ汁に含まれる水と生石灰との反応により発熱することで、とぎ汁の乾燥が効率よく行われるうえに、熱により糠成分中の酵素を失活させて耐酸化性を付与すると同時に得られた耐酸化糠、あるいは耐酸化球状糠粒内に反応物である消石灰が生成することで、これらを肥料に用いる場合により好ましいものとなる。
【0031】
次に、本発明に係るとぎ汁の処理方法およびそれによる耐酸化糠粒の製造方法を、図面に示した装置の実施例に基づき説明する。
図7に示すものは、本発明に係るとぎ汁処理装置の一例を示すものである。乾燥筒1は、一端適所に送風口4を、他端適所に排風口5を設けた略円筒状であり、乾燥筒1の内部には、多数の攪拌羽根2aを備えた回転自在の攪拌体2を軸受24、25により軸架し、更には、図示しない洗米機から排出された濃厚とぎ汁を供給する給液管11の給液口12を乾燥筒1の送風口4側に開口させ、また、乾燥筒1の排風口5側には、開閉弁7を備えた取出口6を開設し、乾燥筒1の外部へ突出した前記攪拌体2の回転主軸2b先端には、スプロケット8が固着され、チェーン9を介してモーター10により攪拌体2を回転させるように構成している。なお、排風口5には、図示しない排気手段及び分離器が接続されており、分離器にて分離された糠粉は、再び乾燥筒1の送風口4側から乾燥筒1内に戻されるようになっている。また、図示しないが、モータ10に通電される電流値を読み取り、モータ10の負荷が小さい時には開閉弁7を閉じ、負荷が大きくなると開閉弁7を開くように自動制御されるようになっている。更に、図示してないが、乾燥筒1内を加熱したり、あるいは送風口4より入る空気を加熱する装置を設けている。この加熱装置を設ける場合は、50℃〜120℃の温度に管理されるようにすることが好ましい。
【0032】
更に、図示しないが、精米機や研米機から排出される糠を、管にて乾燥筒1の送風口4寄りの位置、もしくは送風口4から乾燥筒1内に連続的に供給する(以下、糠供給という。)ように接続して使用する場合もある。また、ここには示さないが、乾燥筒1内の滞留物3を排風口5側の適所より取り出し、送風口4側に戻す循環路を設ける場合もある。
【0033】
前記乾燥筒1の内壁と攪拌体2の攪拌羽根2aとの間隙は、小さくすると駆動用モータ10の負荷が増大し、間隙が大きいと乾燥筒1の内壁に付着物が生じることになる。このため、糠粒の粒径等を考慮して、乾燥筒1の内壁と攪拌体2の攪拌羽根2a先端との間隙は5〜15mm程度とすることが望ましい。上記のような本発明に係るとぎ汁処理装置の大きさは、これに供給されるとぎ汁の水量に応じて設計するのは当然であるが、乾燥筒1内に後述する滞留物の量を収納できるスペースを確保することが望ましい。また、図例の処理装置は、乾燥筒1を横置きにした横型となっているが、縦型あるいは傾斜した構造であってもよい。
【0034】
次に、上記の装置によるとぎ汁の処理操作の一例を説明する。先ず、モータ10に通電してこれを駆動させ、チェーン9を介して攪拌体2を回転させるとともに、図示しない排気手段にて乾燥筒1内に通風して稼働する。このとき、最初は開閉弁7は閉じておく。また、本装置は、最初の運転時には、乾燥筒1内には滞留物3がなく空であるため、予め適量、少なくとも洗米機よりほぼ20分間に排出されるとぎ汁の容積以上の糠または他の粒状物を滞留物として送風口4等から乾燥筒1内に投入した後、精米機や研米機より糠供給しながら、洗米機より排出され給液管11にて送られてきた米のとぎ汁を連続して給液口12から乾燥筒1内に供給する。供給されたとぎ汁は、乾燥筒1内で攪拌体2により攪拌される滞留物や糠供給による糠に混合され、付着する。精米機や研米機から糠供給される糠は、大体0.01〜0.5mmの糠粉群からなっている。しかも、とぎ汁の量に比べ、糠供給の量ははるかに多い。このため、それらの糠粉の総表面積は極めて大きく、従って、この糠に混合されたとぎ汁は極めて広い面積に極めて薄く塗布されたのと同然となる。そして、それが攪拌飛散されているところに排風口5より排気手段(図示せず)により排気されることから、とぎ汁が付着した乾燥筒1内の糠粉群は送風口4よりの通気により、効率よく乾燥され、とぎ汁の水分が除去されるのである。しかも、その際、極小の糠粉は、粘性の高いとぎ汁の糠分により結合され、他の糠粉と互いに付着し、約0.1〜0.6mm程度の比較的大粒の乾燥糠粒ばかりとなるのである。更に、送風口4から流入する空気を加温するか、他の方法の加熱にて攪拌中の滞留物3を50℃〜120℃に加温すると、乾燥効率が格段に上昇するだけでなく、加温により糠成分中に含まれる酵素が失活し、乾燥糠は酸化し難くなる。
【0035】
このようにして運転を続けると、精米機から糠供給され続ける糠粉と、それにとぎ汁の糠成分が付着、乾燥した糠とで、滞留物3は、当初は適量だったものが徐々に増加し、攪拌負荷が増加し、やがてモータ10の負荷が高まり、電流値が大きくなる。それを検出装置より信号を発信(いずれも図示しない。)して、それまで閉まっていた開閉弁7を開放すると、乾燥糠は攪拌体2、あるいは攪拌体2に設けられた掻き出し羽根(図示しない。)などにより取出口6から乾燥筒1の外部へと掻き出される。これにより、乾燥筒1内の滞留物3が減少して、負荷が下がると、電流検出装置からの信号により開閉弁7が再び閉じられる。あるいは、電流検出装置からの信号により開閉弁7を適度の開度とする。このようにして乾燥筒1内の滞留物3の量を上下の一定幅の中で維持させるのである。この乾燥筒1内の滞留物3の量であるが、理論的には滞留物3の量が多い程、とぎ汁が付着する糠粉量が多くなり、とぎ汁が広い面積に薄く付着されて乾燥効率は高くなる。その一方で、滞留物3が乾燥筒1内の容量に対する一定の割合を越えると、攪拌体2を回転させるモータ10に異常な負荷がかかるので、その少し手前の適量を維持することが望ましい。このようにして、運転を続けることにより、取出口6から排出される糠は、粒子が少し粗くなった耐酸化糠となる。なお、排風口5からの排気中に含まれる糠粉は、分離器(図7には図示せず。)により分離され、送風口4などから再び乾燥筒1内に戻されるのである。
【0036】
ところで、一般的には精米工程と洗米工程とは連続して流れ工程にて行われる場合があるが、これらの作業が終了した場合には、とぎ汁処理作業も停止し、乾燥筒1内の滞留物3は取り出さずに残しておくことが望ましい。こうすることにより、次回からの運転には、前記のようにとぎ汁の処理に先立って乾燥筒1内に糠などを入れる必要がなく、そのまま稼働させることができるからである。
【0037】
次に、耐酸化球状糠粒の製造に伴う本発明に係るとぎ汁の処理方法を説明する。この場合も上記と同じ処理装置を用いて行うことができる。この耐酸化球状糠粒を製造する処理の場合には、滞留物があればそのまま運転するが、空の場合は、先の場合と同じく精米機や研米機から排出される糠粉、あるいは別に造られた耐酸化球状糠粒、または粉砕した籾殻粉、更には無機吸着材等を滞留物として乾燥筒1内に適量、少なくとも洗米機よりほぼ20分間に排出されるとぎ汁の容積以上を投入しておき、その後、前記の処理方法の場合とは異なり、精米機や研米機からの糠供給を行わずにとぎ汁処理装置の運転を続けるのである。そうすると、乾燥筒1内の滞留物3となっている糠粉等の個々の核材の表面に、とぎ汁成分が乾燥された糠分が少しずつ雪だるま式に堆積し、粒が大きくなるとともに、それが攪拌されながら形成されていくので、自然に粒の形状が球状になってくるのである。勿論、この場合も、とぎ汁の供給に伴い乾燥筒1内の滞留物3の量は僅かずつ増加するから、先のとぎ汁処理方法の場合と同じ方法により開閉弁7を適宜開閉して増加した分だけ球状糠粒を取出口6より取り出してゆく。この処理方法の場合、最初のうちは、生成される球状糠粒の中心は、最初に乾燥筒1内に投入した核材が占めているが、これら乾燥筒1内に最初に投入した糠粉等が核材となって出来た球状糠粒が排出されてしまって以降に排出されるものは、球状糠粒の中心も外側も総て、とぎ汁中の糠成分によって占められることとなる。このことは、精米機などから核材としての糠粉の供給をしなくとも、洗米機からの、とぎ汁のみ供給を続けるだけで球状糠粒が連続して製造され、排出されて行くことから分かるのである。そして、球状糠粒は、先に述べた処理方法により得られる耐酸化糠に較べて粒子径が約0.5〜5mmと大きくなるので、粒の表面から深層部まで長くなり、それだけに粒の深層部まで乾燥した球状粒を得るには、運転中にとぎ汁の供給を間欠的に行うことが望ましい。即ち、粒径が大きくなるまでの間、粒表面に極めて薄くとぎ汁を塗布した状態をつくり、それが乾燥しきるまでは新たなとぎ汁の塗布を行わないで乾燥させるのである。こうすることにより、とぎ汁の薄い塗膜は下地の粒内と同様に乾燥しきる。その後に次のとぎ汁の塗布を行い、また、乾燥させる。これを繰り返すことにより、粒の表層部も深層部も含水率の低い耐酸化球状糠粒が得られるのである。なお、この耐酸化球状糠粒の含水率は、15%以下となるように乾燥した状態で乾燥筒1から排出するようにすることが望ましい。
【0038】
ところで、とぎ汁に含まれている糠分は、精米時に発生する通常の糠とは異なり、極めて粘性の高いものであるから、それが乾燥して出来上がった糠粒も、冷めれば別として、取出口6より排出直後の高温のままの糠粒を、そのまま容器にいれると、冷めた時には、「おこし」のように全体が固まってしまう。このため、取出口6から排出した糠粒は、容器に入れるまでの間に放冷しながら攪拌することが必要である。そのためには、例えば図7に示すように、取出口6の後工程に、上面が開放状のスクリューコンベア等の攪拌放冷装置13を設けたり、もしくは同じく攪拌冷却装置として、空気輸送などを採用して急放冷するなどの手段を採用することが望まれる。勿論、攪拌放冷装置としては上記に限らず、その目的を果たすものなら何でもよいわけである。
【0039】
ところで、乾燥効率向上のため、ならびに耐酸化性を付与するために、乾燥筒1内を加温する場合、乾燥筒1内が所定の温度に上昇しないことには、とぎ汁の処理を開始することができない。このため、とぎ汁処理に先立って乾燥筒内の滞留物3を加温するか、もしくは精米、洗米等の一連の作業の開始から、とぎ汁処理装置の乾燥筒1内が所定の温度に上昇するまでの間に洗米機から排出されるとぎ汁は、一時的に貯留する必要がある。その場合は、洗米機からとぎ汁処理装置の乾燥筒1へとぎ汁を供給する給液管11の途中に、とぎ汁貯留タンクを設けておくことが必要となる。しかし、その一方で、とぎ汁は長時間溜めておくと、異臭の発生や腐敗が進行する。従って、前記貯留タンクの容量としては、数十分から5時間程度の洗米作業により洗米機から送り出されるとぎ汁の量程度とすることが望ましく、また、その一方で、乾燥筒1についても、昇温時間短縮のため、その容量や断熱性、通風量、熱源容量などに配慮することが必要である。また、前記貯留タンクの構造としては、底部を逆円錐形のような逆錘形状とし、上部を円筒形等のような筒形状とすることで、処理作業終了時には貯留タンク内にとぎ汁が残留しないようにするとともに、タンク内壁上部から洗滌水がタンク内壁面をラセン状に洗い流せるようにすることが好ましい。また、貯留タンクには、上下限のレベルスイッチを設けておき、とぎ汁が上限まで溜まった時には精米機および洗米機を停止する信号を発して洗米機からのとぎ汁の供給を停止し、また、とぎ汁の量が下限よりも減少した場合には、作業の終了を意味しているので、洗滌水によるタンクの洗滌を行うようにするとよい。
【0040】
また、とぎ汁の中には、砕米が混入しているため、貯留タンクからとぎ汁処理装置の乾燥筒1内へのとぎ汁の供給に使用するポンプとしては、ルーツ型のロータリポンプを使用することが望ましく、これによりポンプ内での砕米の微細化を行うことができるので、砕米の噛み込みを防止することができる。
【0041】
また、精米工程と洗米工程とを一貫した流れ工程で行う場合、洗米工程の方が後工程であるため、精米工程が終了しても、しばらくはとぎ汁だけが処理装置に供給されることになる。そのため、前記のように電流制御による負荷軽減により精米作業の終了とともに開閉弁7を開かない状態にするか、あるいは糠貯留タンクを設けておき、とぎ汁処理装置への糠の供給に時間的遅れを持たせるなどして、乾燥筒1内へのとぎ汁と糠との供給量を調整するなどの工夫が必要である。
【0042】
次に、図8、図9により、前記とぎ汁処理装置の乾燥筒1内に滞留物3の別ルートによる循環路を設ける場合について説明する。なお、図8、図9中の符号は、図7と共通する部材については図7の場合と同じ符号を用いている。乾燥筒1内の滞留物3の混合効率を考えると、乾燥筒1内の滞留物3は、とぎ汁の給液口12近傍のひどく濡れているものと、他の箇所の乾燥しているものとがあるのは好ましくない。勿論、小型のものは、そのような不具合は生じ難いし、大型のものでも給液口を数箇所に設けることで解決でき、また、先に述べたように精米機や研米機から糠供給を行いながら処理する場合のように、大量の糠が連続的に送られ、耐酸化糠として連続して大量に取出口6より出てゆく場合は、そのような不具合は生じないが、糠供給を行わないで球状糠粒を製造することで処理するような場合は、とぎ汁が供給される給液口12が1箇所の場合は、その近傍では、どうしても滞留物3ととぎ汁が上下方向には混ざり合いやすいが、軸方向には、そうはなりにくい。そこで、それを解決するなどのために、図8、9に示した装置では、乾燥筒1の排風口5側の下端に開口した出口14と、同じく送風口4側の下端に開口した入口15と、その間を輸送するスクリューコンベア16によって、乾燥筒1内の排風口5側の滞留物3を攪拌体2によって攪拌される滞留物3とは異なる別ルートを移動させ、送風口4側の乾燥筒1内で攪拌中の滞留物3に合流できる循環路を形成しているのである。勿論、この循環路は乾燥筒1内、例えば攪拌体2の回転主軸2bなどに設けてもよいし、また、移送手段としても適当なものを選べばよい。そして、この循環路における比較的滞留物が高密度で攪拌されているところに、洗米機からのとぎ汁を供給する給液管11の給液口12を開口させ、そこから、とぎ汁を添加することにより、添加むらをなくすことも出来、全体的な水分むらをなくすことができる。
【0043】
なお、図8、図9中の、17は攪拌体2の回転主軸2bを軸支する軸受25を支持するために乾燥筒1内に水平に架設した梁材であり、26は、攪拌体2の回転主軸2bの先端に設けられた掻き出し羽根であって、攪拌体2とともに回転することで乾燥筒1内で乾燥させた糠粒を開閉弁7を通じて取出口6から乾燥筒1の外部へ排出するものである。また、図中18は、排気口19に接続された排気手段(図示せず)による排気により送風口4より流入し、乾燥筒1内を通り、排風口5から排出される含塵空気中の粉塵をフィルター21により分離する分離器であり、22は分離された粉塵を前記循環路のスクリューコンベア16を通じて再び乾燥筒1内に戻す粉塵供給口である。また、27は循環路を構成するスクリューコンベア16を駆動するギアモータであり、20はそのスクリューコンベア16内の先端にある突条であり、スクリュー羽根23によって循環路を送られてきた滞留物3を入口15から再び乾燥筒1内に押し上げる作用をするものである。
【0044】
前記循環用スクリューコンベア16の駆動ギアモータ27は、糠粒表面の粘性度から負荷電流を監視するようにして、とぎ汁の供給が過多、もしくは過少にならぬよう駆動ギアモータ27の負荷電流から、とぎ汁の供給を停止、あるいは供給量を制限するようにして、糠粒への一回当たりのとぎ汁塗布量があまり厚くならないようにすることが望ましい。なお、この図8、9に示したとぎ汁処理装置も横型としているが、縦型、または傾斜した構造などであってもかまわない。
【0045】
次に、本発明に係る更に他のとぎ汁処理方法について説明する。
米は、元来、籾で収穫されて乾燥した後、籾摺りをして玄米とし、これを精米して精白米とする。籾摺りの際には、玄米容積の1〜1.5倍程度の嵩の籾殻が生成する。そこで、本発明では、精白米を水で洗滌したときに発生するとぎ汁、特に、米粒を極短時間で洗米と除水を行った濃厚とぎ汁を、前記籾殻に添加して攪拌する。そのとぎ汁量の容積に対し、籾殻容積は約50倍もあるので、極めて微量な添加量となる。しかも、籾殻は乾燥しているため、とぎ汁が付着すると、とぎ汁の水分は忽ち籾殻に吸収されるとともに、籾殻は表面積が極めて広いために、水分の蒸散が早く、気温の高い地域では、乾燥設備を備えなくとも、とぎ汁の処理を行うことができる。この方法は、籾摺りから洗米までを一貫して行う設備の場合に特に有効である。
【0046】
また、従来より、精米機または研米機の精白室に水を供給して精白米の残留糠の一部を除去をする湿式精米機(研米機)は知られている。本発明では、洗米機より排出される濃厚とぎ汁を、前記湿式精米機の加水部に精米終了間近の攪拌中の精白米に添加する。そうすると、単なる水とは異なり、極めて粘性の高い濃厚とぎ汁は精白米表面に残留する糠粉を吸収しながら精白ロールからの噴風により乾燥し、その過程で粘着テープで粉塵を吸着する如くに米肌の残留糠をもぎ取り、粘土の粒子の如く固形の小粒子となって多孔精白筒の孔目より排出する。この方法によれば、単なる水を用いる場合に比べ、はるかに除糠効果が高くなり、商品価値の高い精白米が得られるだけではなく、更にそれを無洗米に加工するにしても、米粒表面の糠分が少ないため、洗米時のとぎ汁の排出量も少なくなる。従って、それだけでもとぎ汁を処理する上でメリットがある上に、その少なくなった洗米時のとぎ汁は、上記のようにその相当な量が湿式精米機にて消費され、その水分は気化され多孔精白筒の孔目より排気されることから、極めて有効な処理方法となる。
【0047】
尚、本発明の対象となる耐酸化球状糠粒の生産には、特開平2−242647号などに開示された無洗米加工時や炊飯工程で発生するとぎ汁を原料にするだけでなく、例えば、精米工場などで発生する糠玉を少量の水と混合したものを本発明方法により耐酸化球状糠粒を作る場合などに利用できるのは当然である。要するにアリユーロン層の糠であれば粘性が高く結合性があるので、球状糠粒をつくることができるのである。次に、炊飯事業所において発生する濃厚とぎ汁の処理について説明する。
【0048】
図10に示したものは、炊飯事業所における工程説明図である。精白米は連続して洗米機31に投入され、洗滌された後の洗い米は水切り機33に送られて水切りされた後、浸漬タンク34に入れられ、更に、従来どおりここから計量及び炊飯装置45に送られて炊飯される。前記洗米機31の具体的構造は特に限定されないが、毎分600回転以上の高速回転の洗米機が望ましく、本発明の場合には、洗滌水を合理的に使うことで少量の水で洗米可能とし、濃厚とぎ汁を排出するような各種洗米機が対象となる。前記のように洗米機31で洗滌され、該洗米機31から水切り機33にて水切りされて排出される洗い米は、浸漬タンク34に入れられる。図示の通り、洗米機31の出口のところに設けた合流箇所35(図では離れているが、洗米機31に一体化して設ける場合もある。)と、浸漬タンク34の近くに設けた水切り機33、貯水タンク44、ポンプ42を経て合流箇所35に還る循環水路を構成し、洗米機31より排出される洗い米を合流箇所35にて循環水と合流させ、場所的に離れた浸漬タンク34に送るとよい。尚、40は上水の量を調整するコントローラーであり、図例の場合は、貯水タンク44に設けた水量センサー46の発信によって上水の供給水量が増減される。また、ポンプ41によって前記循環水路中の循環水の一部が、ほぼ定量ずつ洗米機31に供給され、洗滌作用により、濃厚とぎ汁となって排出されるのである。また、水切り機33は、スクリューを内蔵した多孔円筒型でもよいし、振動アミ型でもよい。いずれの場合でも、水切り機33の後半部に上水を供給するのがよい。それは、洗い米が混入した循環水の水切りが終わった後に上水で、すずぎ(勿論、それも水切りされる。)ができるからである。尚、浸漬タンク34およびその後工程の計量及び炊飯装置45は従来のままでもよい。
【0049】
一方、洗米機31より排出された濃厚とぎ汁は、ポンプ36によって貯留タンク37に移送され、更にポンプ38によりとぎ汁処理装置39に投入される。とぎ汁処理装置39には、炊飯装置45の炊飯釜(図示せず)からの熱気が供給され(それとは別に熱気を供給してもよい。)、他方より排出される。とぎ汁処理装置39に投入された濃厚とぎ汁は、その熱気により乾燥され、乾燥糠となって処理装置39から排出される。尚、洗米機31から排出される濃厚とぎ汁は、少量ではあるが粘度が極めて高く、しかもその中には砕米なども含まれているので通常のポンプでは移送し難い。そこで、少なくともポンプ36及び38はルーツ型ポンプを用いている。
【0050】
前記とぎ汁処理装置39の具体的構造としては、先に図7〜9に示したものと同じものを用いることができる。このとぎ汁処理装置を用いて、図10に示すような炊飯事業所における精白米の洗滌工程で洗米機31から排出される濃厚とぎ汁を処理するに際しては、処理装置の乾燥筒1内の加熱は、前記のように炊飯装置の炊飯釜にて発生する熱気を吸引したブロワーにより乾燥筒1の送風口4から熱風を吹き込むことで行うことができれば無駄がないが、勿論、それとは別の熱気の供給も自由である。また、とぎ汁処理装置の最初の運転時に乾燥筒1内に糠などを投入しておくとよい。とぎ汁処理装置39内には、常時一定量の滞留物が滞留できるスペースが要るのであり、その滞留物の容積は、洗米機31よりほぼ20分間に排出される濃厚とぎ汁の容積以上とする。糠の量が少な過ぎると、乾燥効率が低下するからである。また、そのスペースが小さいのにそれを越える量の滞留物をいれると、無用な負荷が要るから注意を要する。
【0051】
この処理装置39による洗米機31から排出される濃厚とぎ汁の処理方法は、前述の場合と同じで、乾燥筒1内には、先に洗米機31から送り込まれた濃厚とぎ汁を乾燥した糠粒が滞留され、その乾燥糠粒に洗米機31から送り込まれる後続の濃厚とぎ汁を付着させ、乾燥させることを順繰りに行う、というものである。尚、運転中は、洗米機31からのとぎ汁の供給を間欠的に行うことが望ましい。即ち、糠粒が乾燥しきるまでは、新たなとぎ汁の供給を行わないで乾燥させるのである。こうすることにより、乾燥糠粒を、その含水率が15%以下となるように乾燥した状態の時に乾燥筒1から排出するようにすることが望ましい。
【0052】
【発明の効果】
本発明による効果は次のとおりである。
(1)洗米により発生したとぎ汁を乾燥処理するので、糠を含有したとぎ汁を全く排出することがなく、水環境改善に大きく寄与できる。
(2)とぎ汁は栄養が高いだけでなく腐敗も早く、すぐに悪臭がして困るものである。これに対し、本発明の処理方法によれば、洗米時に発生するとぎ汁を比較的短時間に乾燥して水分除去することから、とぎ汁中の糠成分は腐敗することがなく、全く悪臭を出さず処理できる。
(3)濃厚とぎ汁を湿式精米や研米に利用した場合は、極めて粘性の高い濃厚とぎ汁が精白米表面の糠粉を吸収しながら精白ロールからの噴風により乾燥され、その過程で米肌の残留糠がもぎ取られ、粘土の粒子の如く固形の粒子となって多孔精白筒の孔目より排出するから、単なる水を用いる場合に比べ、はるかに除糠効果が高く、商品価値の高い精白米が得られるうえに、それを無洗米に加工する場合には、糠分が少なく、とぎ汁の排出量が減少する。しかも、この少ない洗米時のとぎ汁も湿式精米機、あるいは研米機で消費されることから、極めて有効な処理方法となる。
(4)濃厚とぎ汁を籾殻に付着、乾燥させる場合は、とぎ汁の処理について特別なエネルギーや作業工程を必要とせず、極めて低コストで処理できる。また、そのとぎ汁成分が付着した籾殻は、従来通りの籾殻利用のうえでもプラス効果があるだけで、マイナス面はない。
(5)とぎ汁の糠分は極めて栄養が高く、しかもリン、窒素が多量に含まれており、本発明によりとぎ汁を処理して得られる耐酸化球状糠粒は、酸化し難く、保存性も優れた良好な飼料、肥料として利用できる。そのうえ、ほぼ数mm径以下の球状粒となるので、取扱いがしやすく、利用者に喜ばれる。しかも、肥料にした時は、化学肥料なみに綺麗で撒きやすいといった特徴のうえに、有機肥料としての効果があるだけでなく、極めて美味な作物が採れ、しかも成育が素晴らしく早いという特徴もある。
(6)精米時や研米時に発生する糠は、酵素により自己酸化するため、数日も経たないうちに酸敗するので、搾油効率が低い。これに対し、本発明で精米時や研米時に発生した糠が直ちに熱処理された耐酸化糠は、糠成分中の酵素が失活するので酸化し難くなっており、搾油効率もよく、しかも良質の油がとれるとともに、微粉のない糠となり、害虫の発生も低くできる。
(7)さらに、とぎ汁の糠成分と他の有機、無機の粒粉粒状物との混入粒の場合は、土壌改良剤、肥料などとして有益に利用できるうえに、生石灰など、とぎ汁へ混入することにより化学反応して発熱する混合物の場合は、その発熱によりとぎ汁の乾燥効率が向上する。
(8)また、炊飯事業所における米のとぎ汁の処理に際しては、とぎ汁を乾燥させる際の加熱手段として、炊飯釜から発生する熱気を利用することで、省エネルギーを図れる。
(9)とぎ汁を乾燥処理するに際し、とぎ汁を乾燥させた耐酸化球状糠粒を核材として用い、その表面にとぎ汁を付着させる場合は、最初の運転時に事前に核材を処理装置に投入しておくだけでよく、後は処理作業の終了時に適量の糠粒をとぎ汁処理装置内に滞留物として残しておけば、次回からの運転時には、とぎ汁の処理に先立って耐酸化球状糠粒を核材として処理装置に投入する必要はない。つまり、このとぎ汁を乾燥させた耐酸化球状糠粒を核材として用いる方法の場合は、先行程でとぎ汁を乾燥して糠粒となったものが、後行程でとぎ汁を付着させる核材となっているから、最初の運転の事前の投入以外は、一切、核材を投入する必要はなく、便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るとぎ汁処理方法の1例を示す工程説明図。
【図2】 本発明に係るとぎ汁処理方法の1例を示す工程説明図。
【図3】 本発明に係るとぎ汁処理方法の1例を示す工程説明図。
【図4】 本発明に係るとぎ汁処理方法の1例を示す工程説明図。
【図5】 本発明に係るとぎ汁処理方法の1例を示す工程説明図。
【図6】 本発明に係るとぎ汁処理方法の1例を示す工程説明図。
【図7】 本発明に係るとぎ汁処理装置の1実施例を示す一部を破断した模式的正面図。
【図8】 本発明に係るとぎ汁処理装置の他実施例を示す一部を破断した模式的正面図。
【図9】 図8に示すとぎ汁処理装置の一部を破断した模式的側面図。
【図10】 炊飯事業所における精白米の洗滌工程で洗米機から排出される濃厚とぎ汁の処理方法の1例を示す工程説明図。
【符号の説明】
1 乾燥筒、 2 攪拌体、 2a 攪拌羽根、 2b 回転主軸、
3 滞留物、 4 送風口、 5 排風口、
6 取出口、 7 開閉弁、 8 スプロケット、 9 チェーン、
10 モータ、 11 給液管、 12 給液口、 13 攪拌放冷装置、
14 出口、 15 入口、 16 スクリューコンベア、
17 梁材、 18 分離器、 19 排気口、 20 突条、
21 フィルター、 22 粉塵供給口、 23 スクリュー羽根、
24,25 軸受、 26 掻き出し羽根、 27 ギアモータ、
31 洗米機、 33 水切り機、 34 浸漬タンク、
35 合流箇所、 36 ポンプ、 37 貯留タンク、
38 ポンプ、 39 とぎ汁処理装置、 40 コントローラー、
41 ポンプ、 42 ポンプ、 44 貯水タンク、
45 炊飯装置、 46 水量センサー。

Claims (6)

  1. 核材の表面に、アリユーロン層の糠と水との混合物を付着させ、攪拌しながら50〜120℃で乾燥させて小球状糠粒とし、更にこれにアリユーロン層の糠と水との混合物を間欠的に供給し、50〜120℃で乾燥する工程を繰り返すことを特徴とする耐酸化球状糠粒の製造方法。
  2. 前記アリユーロン層の糠と水との混合物が、精白米を水で洗浄したときに発生するとぎ汁や、精米工場で発生する糠玉を水と混合したものである請求項1記載の耐酸化球状糠粒の製造方法。
  3. 前記核材として、とぎ汁を乾燥させた耐酸化球状糠粒、精米工程や研米工程で生成する糠粉、細かく粉砕した籾殻、有機および無機粉体から選ばれる少なくとも1種を用いてなる請求項1又は2に記載の耐酸化球状糠粒の製造方法。
  4. 洗米工程にて精白米を水で洗滌したときに発生するとぎ汁の一部を、精米終了間近の精米工程で攪拌中の米粒に混合し、通風によってその水分を除去し、とぎ汁に含まれていた糠分を米肌の付着糠とともに取り去る一方、洗米工程で発生するとぎ汁の残りは核材に加えて攪拌しながら50〜120℃で乾燥させて耐酸化球状糠粒を製造することを特徴とする請求項2又は3記載の耐酸化球状糠粒の製造方法。
  5. 一端適所に送風口、他端適所に排風口を設けた乾燥筒の内部に、回転自在の攪拌体を軸架し、前記乾燥筒にアリユーロン層の糠と水との混合物を供給する給液管を、それから供給される前記混合物を乾燥筒内の滞留物に添加できる位置に接続し、乾燥筒の排風口側には、開閉弁を備えた取出口を設け、更に、乾燥筒内の滞留物を50℃〜120℃に加熱しうるよう制御された加熱手段を設けてなり、前記乾燥筒内に核材を滞留物として投入しておき、前記供給管からアリユーロン層の糠と水との混合物を間欠的に供給し、攪拌しながら加熱乾燥して球状糠粒とし、前記取出口から排出するようにした耐酸化球状糠粒の製造装置。
  6. アリユーロン層の糠と水との混合物として、洗米機から排出される米のとぎ汁や、精米工場で発生する糠玉を水と混合したものを、前記給液管を通じて乾燥筒へ供給する請求項5記載の耐酸化球状糠粒の製造装置。
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