JP3998795B2 - 内視鏡の可撓管 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、内視鏡の挿入部の外装あるいは光源装置との接続部の外装に用いられる内視鏡の可撓管に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡の可撓管には、柔軟でどちらの方向にも自由に曲がる可撓性が必要とされるが、捩じり力や押し引きの力等によって変形することは許されず、耐薬品性も要求される。
【0003】
そこで、一般に内視鏡の可撓管は、帯状材を螺旋状に隙間をあけて巻回して形成された螺旋管の外面に、細線を編組して形成された網状管を被覆して、さらにその外面に、合成樹脂製の外皮を被覆し、網状管を通して螺旋管と外皮を接合して構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年は内視鏡使用後の消毒や滅菌処理に用いられる薬液が強力になったため、外皮にしみ込んでくる薬液によって外皮と螺旋管との間が剥離して、捩じり力や曲げ力が加わったときに外皮の皺や螺旋管の寄りが発生し、可撓管が短期間で座屈して使用できなくなってしまう場合がある。
【0005】
そこで、例えば可撓管の外皮部分にフッ素樹脂等のような耐薬品性の優れた材料を用いればよいと思われるが、それでは、患者に対する良好な挿入性を得るための適切な可撓性や硬度などを得ることができない場合が多い。
【0006】
そこで、可撓管の外皮の表面にフッ素樹脂等のコーティングを施したものがあるが、体内に繰り返して挿脱される可撓管の表面は傷が付き易いので、コーティング層が比較的短期間に破壊されて、その効果を失ってしまう。
【0007】
そこで本発明は、強い薬液に繰り返し浸漬されても、捩じり力や曲げ力によって外皮の皺や螺旋管の寄り等が長期間にわたって発生しない優れた耐久性を有する内視鏡の可撓管を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡の可撓管は、帯状材を螺旋状に隙間をあけて巻回して形成された螺旋管の外面に沿って、その螺旋管の螺旋方向と交差する方向に耐薬品性のよい合成樹脂材料からなる細長い複数のフィルムを互いの間隔をあけて配列し、細線を編組して形成された網状管で上記フィルムの外面を被覆して、さらにその外面を合成樹脂製の外皮で被覆し、上記フィルムを上記螺旋管と上記網状管とに接合したことを特徴とする。
【0009】
なお、上記フィルムが上記螺旋管と上記網状管とに溶着により接合されているとよい。そして、上記複数のフィルムが、各々短冊状に形成されていてもよく、或いは糸状に形成されていてもよい。
【0010】
また、上記複数のフィルムが、各々上記螺旋管の管軸と平行に配置されていてもよく、或いは上記螺旋管の管軸周りに螺旋状に配置されていてもよい。
また、上記各フィルムが、幅、厚さ、硬度又は密度の少なくとも一つを長手方向において変化させて形成されていてもよい。
【0011】
なお、上記フィルムが、シリコン樹脂、フッ素樹脂又はポリビニルカルバゾール樹脂によって形成されていてもよく、上記薬品が、内視鏡の消毒や滅菌処理に用いられるものであってもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】
図面を参照して実施の形態を説明する。
図1は、内視鏡の挿入部の外装あるいは光源装置との接続部の外装に用いられる内視鏡の可撓管の部分側面断面図、図2はそのII−II断面図であり、可撓管はほぼ全長にわたってこのように構成されている。なお、図1の下半部は、可撓管の構成部材を順次剥がして図示してある。
【0013】
可撓管の最も内側の部分には、例えばステンレス鋼帯のような帯状の金属部材を螺旋状に隙間をあけて一定の直径で巻回して形成された螺旋管1が配置されており、可撓管が径方向に潰れないようにするための機械的強度がこの螺旋管1によって確保されている。
【0014】
螺旋管1の外面に密着して螺旋管1の軸線方向と平行に、耐薬品性のよい合成樹脂材料からなり細長い短冊状に形成された複数のフィルム2が、互いの間隔をあけて配列されている。フィルム2は、予めフィルム状に形成されたものを螺旋管1の外面に張りつけてもよく、溶かされた合成樹脂材料を螺旋管1の外面に塗布して形成してもよい。
【0015】
フィルム2の材質としては、内視鏡の消毒や滅菌処理に用いられる薬液の酸やアルカリ等によって侵され難い例えばシリコン樹脂やフッ素樹脂が適しているが、PVC(ポリビニルカルバゾール)樹脂等を用いることもできる。なお、各フィルム2は、短冊状より幅を細めて糸状に形成してもよい。
【0016】
フィルム2の外面には、例えばステンレス鋼細線等の細線材を編組して形成された網状管3が密着して被覆され、さらにその外面には、ポリウレタン樹脂材等のように患者に対して良い挿入性を得ることができる合成樹脂材料からなる外皮が被覆されている。外皮4は、予めチューブ状に形成されたものを被覆してもよく、押し出し成形によって網状管3の表面に被覆してもよい。
【0017】
フィルム2は、内面側で螺旋管1の外面に接合され、外面側で網状管3の内面に接合されると共に、網状管3を通して外皮4と接合されている。その接合は、フィルム2を加熱溶融して相手方に接合する溶着によって行われている。加熱時に膨張する空気は、各フィルム2とフィルム2との間の隙間を通って大気に通じる側に逃がされる。
【0018】
このように構成された内視鏡の可撓管は、曲げられると、そのカーブの内側になる部分では螺旋管1のピッチ間の隙間にフィルム2が入り込んで、クッション材の役目をすると共に、カーブの外側になる部分では螺旋管1に接合されたフィルム2の張力が作用し、可撓管が優れた弾発性を得ることができる。
【0019】
そして、フィルム2に対して各交差部において接合された螺旋管1のピッチ間隔が変わらないので、捩じり力や曲げ力が加わっても螺旋管1の寄りが発生せず、したがって、外皮4の皺の発生もなく可撓管が座屈しない。
【0020】
内視鏡使用後に強力な薬液に浸漬される処理が繰り返されると、外皮4に徐々に薬液がしみ込むが、フィルム2は耐薬品性に優れているので、螺旋管1と網状管3とに対するフィルム2の結合力は低下せず、上述の初期特性を長期にわたって維持することができる。
【0021】
なお、図4に示されるように、フィルム2の幅を長手方向において変化させる(例えば、挿入部の先端側ほどフィルム2の幅を狭くして隙間を広くする)ことにより、弾発性や可撓性を変化させて、患者に対する優れた挿入性を得ることができる。また、フィルム2の厚さ、硬度又は密度等を変化させても同様の効果を得ることができる。
【0022】
なお、フィルム2は必ずしも螺旋管1の軸線と平行に配列する必要はなく、螺旋管1の外面に沿って、その螺旋管1の螺旋方向と交差する方向に配列されていればよい。
【0023】
したがって、例えば図5に示されるように、複数のフィルム2を螺旋状に配列してもよい。また、複数のフィルム2を網状管3の構造と同様に編組して螺旋管1の外面に接合してもよい。
【0024】
【発明の効果】
本発明によれば、可撓管が繰り返し捩じられたり曲げられても、フィルムと接合された螺旋管と網状管はピッチ間隔等が変わらないので、螺旋管の寄りが発生せず外皮の皺の発生もない。
【0025】
そして、フィルムは耐薬品性に優れているので、可撓管が強い薬液に浸漬される処理が繰り返されて外皮に薬液がしみ込んでも、螺旋管と網状管とに対するフィルムの結合力が低下しないので、上述の初期特性を長期にわたって維持し、優れた耐久性を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の内視鏡の可撓管の部分側面断面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の内視鏡の可撓管の図1におけるII−II断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態のフィルムの配列状態を示す側面図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態のフィルムの配列状態を示す側面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態のフィルムの配列状態を示す側面図である。
【符号の説明】
1 螺旋管
2 フィルム
3 網状管
4 外皮
Claims (9)
- 帯状材を螺旋状に隙間をあけて巻回して形成された螺旋管の外面に沿って、その螺旋管の螺旋方向と交差する方向に耐薬品性のよい合成樹脂材料からなる細長い複数のフィルムを互いの間隔をあけて配列し、細線を編組して形成された網状管で上記フィルムの外面を被覆して、さらにその外面を合成樹脂製の外皮で被覆し、上記フィルムを上記螺旋管と上記網状管とに接合したことを特徴とする内視鏡の可撓管。
- 上記フィルムが、上記螺旋管と上記網状管とに溶着により接合されている請求項1記載の内視鏡の可撓管。
- 上記複数のフィルムが、各々短冊状に形成されている請求項1又は2記載の内視鏡の可撓管。
- 上記複数のフィルムが、各々糸状に形成されている請求項1又は2記載の内視鏡の可撓管。
- 上記複数のフィルムが、各々上記螺旋管の管軸と平行に配置されている請求項1、2、3又は4記載の内視鏡の可撓管。
- 上記複数のフィルムが、各々上記螺旋管の管軸周りに螺旋状に配置されている請求項1、2、3又は4記載の内視鏡の可撓管。
- 上記各フィルムが、幅、厚さ、硬度又は密度の少なくとも一つを長手方向において変化させて形成されている請求項1、2、3、4、5又は6記載の内視鏡の可撓管。
- 上記フィルムが、シリコン樹脂、フッ素樹脂又はポリビニルカルバゾール樹脂によって形成されている請求項1ないし7のいずれかの項に記載の内視鏡の可撓管。
- 上記薬品が、内視鏡の消毒や滅菌処理に用いられるものである請求項1ないし8のいずれかの項に記載の内視鏡の可撓管。
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- 1998-02-20 JP JP03825998A patent/JP3998795B2/ja not_active Expired - Fee Related
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