JP3998300B2 - ポリカーボネート系樹脂組成物および成形体 - Google Patents

ポリカーボネート系樹脂組成物および成形体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐溶剤性、成形性に優れ、層状剥離の生じないポリカーボネート系樹脂組成物および該樹脂組成物を用いた成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリカーボネート樹脂とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体からなる樹脂組成物(例えば、特公平1−17501 号公報参照)は、成形性に優れ、成形品表面に層状剥離は生じないが、耐溶剤性が劣っている。
耐溶剤性を改良するために、ポリカーボネート樹脂とアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体とオレフィン/一酸化炭素コポリマーにビニルモノマーをグラフトしたコポリマーとからなる組成物(特公平7−103305号公報参照)が提案されている。
【0003】
この組成物は、耐溶剤性は改良できたが、相溶性が不十分であるため、成形品に層状剥離を生じる場合がある。
一方、層状剥離を改良したポリカーボネート樹脂、変性ポリオレフィン、アミノカルボン酸化合物からなる組成物(特開平8−157664号公報参照)が提案されているが、耐溶剤性、成形性が不十分であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した従来技術の問題点を解決し、耐溶剤性、成形性に優れ、層状剥離の生じにくいポリカーボネート系樹脂組成物および該樹脂組成物を用いたポリカーボネート系樹脂成形体を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、下記(A) 成分、(B) 成分、(C) 成分および(D) 成分を含有することを特徴とするポリカーボネート系樹脂組成物である。
(A) 成分:ポリカーボネート樹脂
(B) 成分:ゴム変性ビニル芳香族/シアン化ビニル共重合体
(C) 成分:エポキシ基、カルボキシル基、および酸無水物基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基で変性されたポリオレフィン系樹脂
(D) 成分:HOOC-R-NH2で示される化合物(ただし、前記化学式中Rは、炭素数5以上のアルキレン基、アルキリデン基、オリゴメチレン基、フェニレン基またはナフチレン基を示し、フェニレン基、ナフチレン基は置換基を有してもよい)前記した第1の発明においては、前記(A) 成分、(B) 成分、(C) 成分および(D) 成分の配合割合が、下記配合割合であることが好ましい。
【0006】
(A) 成分: 20〜95重量%
(B) 成分: 4〜40重量%
(C) 成分:0.5 〜60重量%
(D) 成分:0.05〜5重量%
また、第2の発明は、下記(A) 成分、(B) 成分、(C) 成分、(D) 成分および(E) 成分を含有することを特徴とするポリカーボネート系樹脂組成物である。
【0007】
(A) 成分:ポリカーボネート樹脂
(B) 成分:ゴム変性ビニル芳香族/シアン化ビニル共重合体
(C) 成分:エポキシ基、カルボキシル基、および酸無水物基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基で変性されたポリオレフィン系樹脂
(D) 成分:HOOC-R-NH2で示される化合物(ただし、前記化学式中Rは、炭素数5以上のアルキレン基、アルキリデン基、オリゴメチレン基、フェニレン基またはナフチレン基を示し、フェニレン基、ナフチレン基は置換基を有してもよい)
(E) 成分:ポリオレフィン系樹脂
前記した第2の発明においては、前記(A) 成分、(B) 成分、(C) 成分、(D) 成分および(E) 成分の配合割合が、下記配合割合であることが好ましい。
【0008】
(A) 成分: 20〜95重量%
(B) 成分: 4〜40重量%
(C) 成分:0.5 〜60重量%
(D) 成分:0.05〜5重量%
(E) 成分:0.1 〜60重量%
第3の発明は、前記第1の発明、第2の発明のポリカーボネート系樹脂組成物を成形して得られたポリカーボネート系樹脂成形体である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のポリカーボネート系樹脂組成物およびポリカーボネート系樹脂成形体について、第1の発明、第2の発明、第3の発明の順に詳細に説明する。
〔第1の発明:〕
第1の発明のポリカーボネート系樹脂組成物(以下第1の発明の樹脂組成物と記す)は、前記した(A) 、(B) 、(C) および(D) 成分である少なくとも4成分を含有する樹脂組成物である。
【0010】
第1の発明の樹脂組成物において(A) 成分として用いられるポリカーボネート樹脂(以下、PC樹脂と記す)は、下記式(1) に例示されるように、芳香族ジヒドロキシ化合物、または芳香族ジヒドロキシ化合物と少量のポリヒドロキシ化合物と、ホスゲン、炭酸もしくはそのジエステル(例えばジフェニルカーボネート)とを反応させることによって得られる熱可塑性芳香族ポリカーボネート重合体である。
【0011】
〔芳香族ジヒドロキシ化合物、(芳香族ジヒドロキシ化合物+ポリヒドロキシ化合物)〕+〔ホスゲン、炭酸、炭酸のジエステル〕→ポリカーボネート………(1)
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(=ビスフェノールA)、テトラメチルビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどが挙げられ、これらは1種単独でも2種以上の混合物としても用いられる。
【0012】
これらの中でも、耐熱性、機械的特性、成形性などに優れる組成物を得ることができる点で、ビスフェノールAが好ましい。
また、2種以上の混合物を用いる場合は、ビスフェノールAとテトラメチルビスフェノールA、ビスフェノールAとテトラブロモビスフェノールAの組み合わせが好ましい。
【0013】
上記した(A) 成分として用いられるPC樹脂は、メルトフローレイト(MFR)(ASTM D1238,280℃、荷重:2.16kg)が、1〜30g/10分であるものが好ましく、さらに4〜20g/10分であるものがより好ましい。
MFR が1g/10分未満のPC樹脂を用いると、得られる組成物の成形加工性が劣り、また30g/10分を超えるPC樹脂を用いると、得られる組成物の衝撃強度が低下する。
【0014】
また、このPC樹脂の分子量は、特に限定されないが、好ましくは数平均分子量1000〜100000(ポリスチレン換算)、さらに好ましくは5000〜40000 である。
分子量がこの範囲より小さい場合は、得られる組成物の衝撃強度などの特性値が低下し、この範囲より大きい場合は成形加工性が低下する。
第1の発明の樹脂組成物におけるPC樹脂の含有量は、好ましくは20〜95重量%、さらに好ましくは30〜75重量%、特に好ましくは40〜65重量%である。
【0015】
PC樹脂の含有量が20重量%未満であると、得られる組成物の耐熱性、耐衝撃性が低下し、95重量%を超えると、得られる組成物の耐溶剤性が劣ることになる。
第1の発明の樹脂組成物において(B) 成分として用いられるゴム変性ビニル芳香族/シアン化ビニル共重合体は、ゴム成分とゴム成分にグラフト化されたビニル芳香族シアン化ビニル共重合体を含有してなるものである。
【0016】
ここで、ゴム成分としては、ポリブタジエン、ブタジエン/スチレン共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、ポリイソプレン、エチレン/プロピレンゴム、EPDM(:エチレン/プロピレン/ジエン共重合体ゴム)などが好ましい。
また、ゴム成分の含有量は、ゴム成分とゴム成分にグラフト化されたビニル芳香族シアン化ビニル共重合体の全体量に対して、少なくとも10重量%以上、好ましくは、40重量%以上であることが好ましい。
【0017】
ビニル芳香族成分は、スチレン、置換スチレン、またはこれらの混合物が好ましい。
置換スチレンに含まれる置換基としては、1〜5個の炭素原子を持つアルキル基および塩素、臭素などのハロゲン原子からなる群から選ばれた置換基である。
好ましいビニル芳香族成分は、非置換スチレン、α−メチルスチレン、ジブロムスチレンおよびそれらの混合物である。
【0018】
シアン化ビニル成分は、好ましくは、アクリロニトリルおよびメタクリロニトリルからなる群から選定される。
好ましいビニル芳香族/シアン化ビニルグラフト共重合体は、スチレンおよびアクリロニトリルから形成され、好ましくは、スチレン/アクリロニトリル〔重量比〕が1/1以上、より好ましくは、3/1以上の重量比の共重合体である。
【0019】
ゴム変性ビニル芳香族/シアン化ビニル共重合体のより具体的な例としては、ABS 樹脂、AES 樹脂などが挙げられる。
本発明において、ゴム変性ビニル芳香族/シアン化ビニルグラフト共重合体の含有量は、好ましくは、4〜40重量%、さらに好ましくは、10〜30重量%である。
【0020】
上記ゴム変性ビニル芳香族/シアン化ビニル共重合体の含有量が4重量%未満の場合、成形性が低下し、逆に40重量%超えの場合、耐熱性が低下する。
第1の発明の樹脂組成物において(C) 成分として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂は、エポキシ基、カルボキシル基および酸無水物基からなる群から選択される少なくとも1種の官能基で変性されたポリオレフィン系樹脂である。
【0021】
(C) 成分は、後述する(D) 成分と反応し、相溶化剤が生成すると考えられる。このため、(C) 成分の分散が良好になる。
上記した変性ポリオレフィン系樹脂としては、例えば後記の(E) 成分として用いられるものと同様のポリオレフィン系樹脂に、エポキシ基、カルボキシル基および酸無水物基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含む不飽和モノマーを共重合させたもの、特に好ましくは、グラフト共重合させたものを用いることができる。
【0022】
エポキシ基を含む不飽和モノマーとしては、例えば、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルマレート、ブチルグリシジルフマレート、プロピルグリシジルマレート、グリシジルアクリレート、N−〔 4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3 、5-ジメチルベンジル〕アクリルアミドなどが挙げられる。
これらの中でも、価格、入手の容易さから、グリシジルメタクリレート、N−〔 4-(2,3-エポキシプロポキシ)-3 、5-ジメチルベンジル〕アクリルアミドが好ましい。
【0023】
カルボキシル基を含む不飽和モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などが挙げられる。
また、酸無水物基を含む不飽和モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられる。
上記した不飽和モノマーの中でも、反応性および入手の容易さから、アクリル酸、無水マレイン酸が好適である。
【0024】
上記した(C) 成分として用いられる変性ポリオレフィン系樹脂の分子量は、通常、好ましくは、メルトフローレイト(MFR)(230 ℃、荷重:2.16kg)で0.1 〜20g/10分、さらに好ましくは0.2 〜10g/10分であるものである。
MFR がこの範囲より小さい変性ポリオレフィン系樹脂を用いると、成形加工性が低下するおそれがあり、また、この範囲より大きい変性ポリオレフィン系樹脂を用いると、摺動性が低下するおそれがある。
【0025】
エポキシ基、カルボキシル基および酸無水物基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含む不飽和モノマーを、ポリオレフィン系樹脂に共重合させて変性ポリオレフィン系樹脂を調製する方法は、いかなる方法を用いてもよく、特に制限されない。
例えば、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー型混練機などを用いて、ラジカル開始剤の存在下もしくは不存在下で、ポリオレフィン系樹脂と不飽和モノマーとを溶融混練する方法、ポリオレフィン系樹脂を構成するモノマーと、不飽和モノマーとを共重合させる方法などが挙げられる。
【0026】
変性ポリオレフィン系樹脂における不飽和モノマーの含有量は、0.01〜10重量%、特に好ましくは0.1 〜5重量%である。
不飽和モノマーの含有量が、この範囲より少ないと、得られる組成物の耐層状剥離の改善効果が低下し、この範囲より多いと長期耐熱性などに悪影響を生じるおそれがある。
【0027】
第1の発明の樹脂組成物における変性ポリオレフィン系樹脂の含有量は、好ましくは0.5 〜60重量%、より好ましくは0.5 〜30重量%、さらに好ましくは0.5 〜20重量%の範囲である。
変性ポリオレフィン系樹脂の含有量が、この範囲よりも少ない場合、得られる組成物におけるPC樹脂の相溶性が低下して層状剥離を生じ、この範囲よりも多いと耐熱性などが低下する。
【0028】
第1の発明の樹脂組成物において(D) 成分として用いられる化合物は、下記式(2) で表される化合物である。
HOOC-R-NH2 ………(2)
式(2) 中、Rは、炭素数5以上のアルキレン基、アルキリデン基、オリゴメチレン基、フェニレン基またはナフチレン基である。
【0029】
Rの炭素数の上限は、特に限定されないが、好ましくは20以下、より好ましくは12以下がよい。
炭素数が非常に大きい化合物は、工業的に入手が困難になるばかりでなく、得られた組成物の耐熱性が低下する。
また、Rの炭素数が5未満の場合は、組成物の製造中に蒸発、昇華し易い。
【0030】
アルキレン基としては、例えば、ペンチレン基(-C5H10-) 、ヘキシレン基(-C6H12-) などが挙げられる。
アルキリデン基としては、直鎖状、分岐状および脂環式の基のいずれでも良い。
また、オリゴメチレン基としては、例えば、エチレン基が直鎖状に5〜20個結合した構造のものが挙げられる。
【0031】
フェニレン基としては、例えば、p−フェニレン基、m−フェニレン基、o−フェニレン基などが挙げられる。
さらに、ナフチレン基としては、例えば、2,6-ナフチレン基、2,7-ナフチレン基、1,5-ナフチレン基、1,8-ナフチレン基、4,4 ’−ジフェニレン基などが挙げられる。
【0032】
また、フェニレン基またはナフチレン基は、置換基を有していてもよく、例えば、アルキル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、アミノ基、アルコキシ基などの置換基を有していてもよい。
前記式(2) で表される化合物の具体例としては、6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、8-アミノオクタン酸、11- アミノウンデカン酸、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、2-アミノ-6- ナフタレンカルボン酸、2-アミノ-7- ナフタレンカルボン酸などが挙げられる。
【0033】
第1の発明の樹脂組成物における前記式(2) で表される化合物の含有量は、0.05〜5重量%、好ましくは0.05〜4重量%、さらに好ましくは0.05〜2重量%である。
前記式(2) で表される化合物の含有量がこの範囲より少ない場合は、組成物の各成分の相溶性が低下し層状剥離が著しく、この範囲より添加量が多い場合は、特に(A) 成分であるPC樹脂の分子量低下が著しく、得られる組成物の耐衝撃強度が低下するおそれがある。
【0034】
〔第2の発明:〕
次に、第2の発明のポリカーボネート系樹脂組成物(以下第2の発明の樹脂組成物と記す)は、前記第1の発明の樹脂組成物の(A) 、(B) 、(C) および(D) 成分に加えて、さらに(E) 成分としてのポリオレフィン系樹脂である少なくとも5成分を含有する樹脂組成物である。
【0035】
(A) 、(B) 、(C) および(D) 成分の具体的内容、好適な成分、好適な配合量などについては、前記した第1の発明の樹脂組成物について述べたと同様である。第2の発明の樹脂組成物において(E) 成分として用いられるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、結晶性ポリプロピレン、結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体およびランダム共重合体、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体などが挙げられる。
【0036】
また、(E) 成分のポリオレフィン系樹脂は、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基以外の官能基で変性されていてもよい。
なお、本発明の樹脂組成物において、これらのポリオレフィン系樹脂は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、結晶性ポリプロピレン、結晶性プロピレン−エチレン共重合体、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンが好適である。
【0037】
上記したポリオレフィン系樹脂は、特に制限しないが、好ましくはメルトフローレイト(MFR)(230 ℃、荷重:2.16kg)が、0.1 〜70g/10分、特に好ましくは0.5 〜30g/10分であるものである。
MFR がこの範囲より小さいポリオレフィン系樹脂を用いると、得られる組成物の成形加工性が劣るおそれがあり、この範囲よりも大きい場合は、得られる組成物の耐衝撃強度が低下するおそれがある。
【0038】
第2の発明の樹脂組成物におけるポリオレフィン系樹脂の含有量は、好ましくは0.1 〜60重量%、より好ましくは0.2 〜55重量%、さらに好ましくは3〜50重量%、特に好ましくは3〜20重量%である。
上記した範囲より多い場合は、得られる組成物が層状剥離しやすくなったり、得られる組成物の耐熱性などが低下し、少ない場合は、耐溶剤性が低下する。
【0039】
前記した第1の発明および第2の発明の樹脂組成物の製造法としては、溶融混練するための装置として、例えば単軸押出機、2軸押出機、ニーダー、ブラベンダーなどを用いて、各原料を予め所定量配合した後、好ましくは、230 〜320 ℃、より好ましくは、250 〜300 ℃の温度で溶融混練することで製造することができる。
【0040】
また、場合によっては、各成分の内の数種を先に混練し、ついで残りの成分を混練する方法を採用してもよい。
〔第3の発明:〕
前記した第1の発明および第2の発明の樹脂組成物は、射出成型機、押出成型機などを用いて、任意の形状の成型体やフィルム、シートに成型することができる。
【0041】
第3の発明のポリカーボネート系樹脂成形体は、耐溶剤性および耐層状剥離性に優れる。
さらに、前記した第1の発明、第2の発明および第3の発明の樹脂組成物、樹脂成形体においては、その効果を損なわない範囲内で、タルク、マイカ、炭酸カルシウムなどの無機フィラーや、炭素繊維、ガラス繊維などの繊維状強化材、ポリエステルやポリアミドなどの熱可塑性樹脂、難燃剤、酸化防止剤、可塑剤などを添加してもよい。
【0042】
【実施例】
以下、実施例によって本発明および本発明によって得られる効果をさらに具体的に説明する。
なお、実施例、比較例において用いた原料、機器および樹脂組成物、樹脂成形体の評価法は、下記のとおりである。
【0043】
〔原料〕
(A) ポリカーボネート樹脂(PC)
PC:ポリカーボネート 住友ダウ製カリバー 301-10 (MFR:10g/10分)
(B) ゴム変性ビニル芳香族/シアン化ビニル共重合体
ABS:ABS 樹脂 住友ダウ製 GA701
AES:AES 樹脂 住友ダウ製 UB500A
(C) 変性ポリオレフィン系樹脂(変性PO)
MAH-PE:無水マレイン酸変性ポリエチレン 三井石油化学製アドマー NF550
MAH-PP:無水マレイン酸変性ポリプロピレン 三菱化学製 AP590P
Ep-PP :エポキシ変性ポリプロピレン 東燃化学製 C-900X 改
(D) HOOC-R-NH2化合物(アミノカルボン酸化合物)
AUA:11−アミノウンデカン酸 Ardrich製
ACA:6−アミノカプロン酸 Ardrich製
(E) ポリオレフィン系樹脂
PP:ポリプロピレン 住友化学製ノーブレン W 101
(溶融混練)
日本製鋼所製 TEX30 (2軸押出機)を用い、バレル温度:280℃にて溶融混練を行った。
【0044】
(射出成形)
山城精機製 SAV-60-52を用い、成形温度:260℃にて射出成形を行った。
〔物性測定〕
(層状剥離試験)
成形品表面にセロハンテープ(ニチバン製セロテープ CT-12S )を貼り、それを剥離して、セロハン粘着テープ上に樹脂がはっきり観察されたものを×、ごく僅か観察されたものを△、全く観察されないものを○として評価した。
【0045】
(耐溶剤性試験)
成形品の表面にグリスを付着させ、窒素環流下、65℃のオーブン中で1週間放置した。
試験前後の衝撃強度(ASTM D-256に準拠、ノッチ付き)を行い、衝撃強度の低下率(%)を測定した。
【0046】
(成形性試験)
ASTM D1238に準拠して、温度 280℃、荷重2.16kgでメルトフローレイト(MFR )を測定した。
(モルフォロジー[:組織構造] の観察)
−30℃で試験片を破断し、断面を電子顕微鏡で観察した。
【0047】
(実施例1)
PC:11.98kg、ABS:4kg、MAH-PP: 4kg、ACA:0.02kgを予め混合した後、2軸押出機で溶融混練した。
得られたペレットを110 ℃で5時間乾燥した後、射出成形を行って、試験片を得た。
【0048】
次に、試験片の物性測定を行った。
得られた結果を、表1に示す。
(実施例2〜11、比較例1〜7)
表1に示す割合で配合した以外は、実施例1と同様の方法で試験片を得、試験片の物性測定を行った。
【0049】
得られた結果を、表1に示す。
表1に示されるように、本発明である実施例の樹脂組成物、成形品は、成形性、耐溶剤性、耐層状剥離性のいずれにおいても優れているが、比較例においてはいずれかが劣っている。
PC/変性PO/アミノカルボン酸の系(比較例3)は、PCと変性POとアミノカルボン酸の反応により、相溶化剤が生成するため、図2の組織構造に示すように、変性POの分散がよくなり、層状剥離が改善されると考えられる。
【0050】
ABS/変性PO/アミノカルボン酸の系(比較例6)では、ABSとアミノカルボン酸は反応しないため、相溶化剤が生成せず、図3の組織構造に示すように、変性POが大きな固まりになり、相分離しやすい構造になる。
しかしながら、耐溶剤性に優れる変性PO成分が、溶剤進入防止のバリヤーになり、溶剤が成形品の内部に進入することを防止し、耐溶剤性に優れるものになると考えられる。
【0051】
一方、PC/変性PO/アミノカルボン酸の系(比較例3)では、変性POの分散がよいので、変性POがバリヤーの役目を十分果たせず、耐溶剤性が悪くなると考えられる。
これに対して、本発明の例えばPC/ABS/変性PO/アミノカルボン酸系(実施例1)では、PCとABSは相溶しやすいため、ABSの添加により、変性POがPCと相溶するのを阻害する。
【0052】
その結果、PC/ABS/変性PO/アミノカルボン酸系では、図2と図3の中間のような図1に示す組織構造となり、層状剥離し難く、かつ、耐溶剤性が良好なバランスのとれたものになると考えられる。
【0053】
【表1】
Figure 0003998300
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のポリカーボネート/アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン系ポリマーアロイに比べて、耐溶剤性、成形性が向上し、かつ層状剥離などの問題が改善された樹脂組成物が提供される。
本発明の樹脂組成物は、特に、家電製品や電子機器などのハウジング、内部部品として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のPC/ABS/変性PO/アミノカルボン酸系樹脂成形品の組織構造を示す概念図である。
【図2】従来技術のPC/変性PO/アミノカルボン酸系樹脂成形品の組織構造を示す概念図である。
【図3】従来技術のABS/変性PO/アミノカルボン酸系樹脂成形品の組織構造を示す概念図である。
【符号の説明】
1 PC/ABS樹脂
2 変性PO
3 PC樹脂
4 ABS樹脂
5 進入溶剤
S 成形体表面
I 成形体内部

Claims (5)

  1. 下記(A) 成分、(B) 成分、(C) 成分および(D) 成分を含有することを特徴とするポリカーボネート系樹脂組成物。

    (A) 成分:ポリカーボネート樹脂
    (B) 成分:ABS樹脂
    (C) 成分:エポキシ基、カルボキシル基、および酸無水物基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基で変性されたポリオレフィン系樹脂
    (D) 成分:HOOC-R-NH2で示される化合物(ただし、前記化学式中Rは、炭素数5以上のアルキレン基、アルキリデン基、オリゴメチレン基、フェニレン基またはナフチレン基を示し、フェニレン基、ナフチレン基は置換基を有してもよい)
  2. 前記(A) 成分、(B) 成分、(C) 成分および(D) 成分の配合割合が、下記配合割合であることを特徴とする請求項1記載のポリカーボネート系樹脂組成物。

    (A) 成分: 20〜95重量%
    (B) 成分: 4〜40重量%
    (C) 成分:0.5 〜60重量%
    (D) 成分:0.05〜5重量%
  3. 下記(A) 成分、(B) 成分、(C) 成分、(D) 成分および(E) 成分を含有することを特徴とするポリカーボネート系樹脂組成物。

    (A) 成分:ポリカーボネート樹脂
    (B) 成分:ABS樹脂
    (C) 成分:エポキシ基、カルボキシル基、および酸無水物基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基で変性されたポリオレフィン系樹脂
    (D) 成分:HOOC-R-NH2で示される化合物(ただし、前記化学式中Rは、炭素数5以上のアルキレン基、アルキリデン基、オリゴメチレン基、フェニレン基またはナフチレン基を示し、フェニレン基、ナフチレン基は置換基を有してもよい)
    (E) 成分:ポリオレフィン系樹脂
  4. 前記(A) 成分、(B) 成分、(C) 成分、(D) 成分および(E) 成分の配合割合が、下記配合割合であることを特徴とする請求項3記載のポリカーボネート系樹脂組成物。

    (A) 成分: 20〜95重量%
    (B) 成分: 4〜40重量%
    (C) 成分:0.5 〜60重量%
    (D) 成分:0.05〜5重量%
    (E) 成分:0.1 〜60重量%
  5. 請求項1〜4いずれかに記載のポリカーボネート系樹脂組成物を成形して得られたポリカーボネート系樹脂成形体。
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