JP3997111B2 - 等方圧加圧成形方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、等方圧加圧成形方法及び装置に関し、特には、金属、セラミックス、樹脂、食品などの被加圧物を加熱し、効率良く等方圧加圧成形する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
被加圧物を効率良く等方圧加圧成形する等方圧加圧成形方法としては、例えば、特公平5−16960号公報、特開2002−35995号公報に提案されたものがある。
【0003】
特公平5−16960号公報に提案の温水等方圧加圧装置は、被加圧物を出し入れする開口部が温水液面上方に位置するように槽内の温水中に圧力容器を浸漬し、この圧力容器の前記開口部に気密に封止される蓋の下面に取り付けたラックに前記被加圧物を収納し、この被加圧物を反応容器内に収納すると共に温水を圧入することにより、この被加圧物を加圧成型する温水等方圧加圧装置において、前記蓋と結合するピストンを空気圧により駆動させることにより、前記蓋を前記開口部の上方から下降させてこの開口部に装着し、この開口部に装着した前記蓋を上昇させてこの開口部を開放する蓋昇降装置を設けると共に、前記ピストンを軸として前記蓋を前記開口部の上方位置とそれ以外の位置とに回転させる蓋回転装置とを設ける構成とし、この構成により、目的とする蒸気による作業性低下を防止できるとされている。
【0004】
上記特公平5−16960号公報に提案の技術では、蒸気による作業性低下を防止できるものの、圧力容器の蓋を上昇後に回転する必要があり、大掛かりな装置となる。また、蓋を上昇、回転させた後は、当該蓋を容器上方に戻し、下降して開口部に装着しない限り、圧力容器を稼動させることができず、効率があまり良くない。
【0005】
また、特開2002−35995号公報に提案の等方加圧成形方法は、被加圧物を所定の形状に保持するための保持手段をあらかじめ加熱する予熱工程と、前記予熱工程後に、前記被加圧物を、前記保持手段に保持された状態でこれと共に圧力容器内に収納し、圧力容器内に高温の液体を注入して加熱し、前記液体を介して等方加圧を行う成形工程と、を有し、前記成形工程中に、次の成形を行う被加圧物に対し前記予熱工程により加熱を行うもので、これによりタクトタイムの短縮が図れるとされている。そして、要約すれば、搬入搬出ステーションにて、プレート(保持手段)と、この上に載置された積層体からなるワーク(被加圧物)をバスケットに搬入する。バスケットごとワークを予熱ステーションに送り、ここで加熱する。更に、加圧成形ステーションに送り、ここで圧力容器内に投入する。圧力容器に高温の温水を供給し、加熱、加圧し、積層体の成形を行う。成形後、バスケットを搬入搬出ステーションに戻し、バスケットからワークを取出す。といった工程を経て等方加圧成形が行われ、タクトタイムの短縮が図れると言うものである。
【0006】
上記特開2002−35995号公報に提案の技術では、上述の特公平5−16960号公報に提案の従来技術よりも効率は上がっている。しかし、予熱後のワークとバスケットを加圧成形ステーションに搬送するラインと、加圧成形後のワークとバスケットを搬入搬出ステーションに戻すラインとが一部重複している。このため、加圧成形後のワークとバスケットがその重複ラインを通過していない限り予熱後のワークとバスケットを加圧成形ステーションに搬送できない、また同様の理由で予熱後のワークとバスケットがその重複ラインを通過していない限り次に予熱するためのワークとバスケットを予熱ステーションに送り出すことができない、といった事態が起こり、タクトタイムが必ずしも十分に短縮されたとはいえない。特に、前者の、加圧成形後のワークとバスケットがその重複ラインを通過していない限り予熱後のワークとバスケットを加圧成形ステーションに搬送できない場合には、圧力容器の空き時間が多くなることであり、被加圧物の生産性を悪くするため改良の余地がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題点を解消するためになしたものであって、その目的は、被処理物(単体で処理し得る被加圧物、あるいは被加圧物がバスケットなどの収納治具に収納された状態のものなどを含む)の生産性に大きな影響を有する圧力容器の空き時間を極力少なくし得る等方圧加圧成形方法及び装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成並びに作用を有する。
【0009】
請求項1に係る発明は、被処理物を予熱炉で予熱する予熱工程と、この予熱工程後の被処理物を加圧ステーションの圧力容器内に入れ、圧力容器内に圧力媒体を注入し、加熱と共に等方圧加圧を行う加圧工程とを有するとともに、前記予熱炉へ被処理物を装入する装入装置が、この被処理物を前記予熱炉に装入し予熱後に前記加圧ステーションへ搬出する予熱処理部と前記加圧ステーションから等方圧加圧後の被処理物を搬出する搬出部とを上下に備えるラックと、このラックを昇降する昇降手段とを備え、この装入装置により、被処理物を前記予熱処理部にセットした状態で予熱するとともに、前記予熱処理部と前記搬出部とに等方加圧前の被処理物と等方加圧後の被処理物とを各々収容した状態で前記昇降手段を昇降させて前記被処理物の搬入・搬出を行う等方圧加圧成形方法である。
【0010】
上記方法では、被処理物を前記予熱炉に装入し予熱後に前記加圧ステーションへ搬出する予熱処理部と、前記加圧ステーションから等方圧加圧後の被処理物を搬出する搬出部とを有する被処理物装入装置を備え、この装入装置により、被処理物を前記予熱処理部にセットした状態で予熱するとともに、前記予熱処理部と前記搬出部とに等方加圧前の被処理物と等方加圧後の被処理物とを各々収容した状態で前記昇降手段を昇降させて前記被処理物の搬入・搬出を行うので、搬出部に加圧工程後の被処理物を取出しセットするのと入れ替えに予熱処理部にセットされた予熱処理後の被処理物を加圧工程の圧力容器に装入することができ、圧力容器の空き時間を少なくできる。また、引き続いて、予熱処理部では搬入した被処理物をセットし、予熱を行うことができる。一方、その予熱中に搬出部から加圧工程後の被処理物を搬出することができる。従って、前述の成形処理サイクルを繰り返すことにより効率の良い等方圧加圧成形が行える。
【0011】
なお、上記構成において、特に限定するものではないが、予熱工程は、高温の液体を備えた予熱炉に被処理物を浸漬して加熱を行うものであってもよいし、予熱炉に高温の気体を送って加熱を行うものであってもよい。いずれの構成の予熱工程であっても、上記と同様の作用効果を享受することができる。
【0012】
また、請求項2に係る発明は、被処理物を予熱する予熱炉を備える予熱ステーションと、この予熱ステーションで予熱後の被処理物を圧力容器内に入れ、圧力容器内に圧力媒体を注入し、加熱と共に等方圧加圧を行う加圧ステーションとを有し、前記予熱炉へ被処理物を装入する装入装置が、被処理物を前記予熱炉に装入し予熱後に前記加圧ステーションへ搬出する予熱処理部と前記加圧ステーションから等方圧加圧後の被処理物を搬出する搬出部とを上下に備えるラックと、このラックを昇降する昇降手段とを備え、この装入装置により、被処理物を前記予熱処理部にセットした状態で予熱可能とされているとともに、前記予熱処理部と前記搬出部とに等方加圧前の被処理物と等方加圧後の被処理物とを各々収容した状態で前記昇降手段を昇降させて前記被処理物の搬入・搬出可能とされている等方圧加圧成形装置である。
【0013】
上記成形装置では、予熱炉へ被処理物を装入する装入装置が、被処理物を前記予熱炉に装入し予熱後に前記加圧ステーションへ搬出する予熱処理部と前記加圧ステーションから等方圧加圧後の被処理物を搬出する搬出部とを上下に備えるラックと、このラックを昇降する昇降手段とを備え、この装入装置により、被処理物を前記予熱処理部にセットした状態で予熱可能とされているとともに、前記予熱処理部と前記搬出部とに等方加圧前の被処理物と等方加圧後の被処理物とを各々収容した状態で前記昇降手段を昇降させて前記被処理物の搬入・搬出可能とされているので、搬出部に加圧工程後の被処理物を取出しセットするのと入れ替えに予熱処理部にセットされた予熱処理後の被処理物を加圧工程の圧力容器に装入することができ、圧力容器の空き時間を少なくできる。また、引き続いて、予熱処理部に搬入された被処理物をセットし、予熱を行うことができるとともに、その予熱中に搬出部から加圧工程後の被処理物を搬出することができる。このような成形処理サイクルを繰り返すことができることから、予熱ステーション、加圧ステーションなどの各ステーションにおける作業や運転が無駄無く行え、効率の良い等方圧加圧成形処理が行える。
【0014】
また、上記装置における被処理物は、被加圧物を圧力容器に収納するための収納治具にセットされたものであってもよい(請求項3)。
【0015】
更に、前記ラックの上段ラックが前記搬出部であると共に前記ラックの下段ラックが前記予熱処理部であり、前記下段ラックが前記予熱炉の上に位置しているときに、あるいは前記ラックの下段ラックが前記搬出部であると共に前記ラックの上段ラックが前記予熱処理部であり、前記下段ラックが前記予熱炉の下に位置しているときに、前記加圧ステーションから被処理物を搬入する高さと同程度の高さになるように構成されているのがよい(請求項4,5)。このような構成をなすことによって、前記上段又は下段ラックに等方圧加圧処理後の被処理物を取り出すのと入れ替えに、前記下段又は上段ラックの予熱処理後の被処理物を加圧ステーションに搬入し、圧力容器に装入することができるので、圧力容器の空き時間を少なくできる。
又更に、前記ラックの上段ラックが前記搬出部であると共に前記ラックの下段ラックが前記予熱処理部であり、前記予熱処理部へ被処理物を搬入する作業台の高さと、前記予熱炉の出口の高さと、前記圧力容器の開口部の高さとが揃えられているのがよい(請求項6)。このような構成によって、前記上段ラックに等方圧加圧処理後の被処理物を取り出すのと入れ替えに、前記下段ラックの予熱処理後の被処理物を加圧ステーションに搬入し、圧力容器に装入することができるので、同様に圧力容器の空き時間を少なくできる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1乃至図3は、本発明に係る等方圧加圧成形装置とその装置を用いた処理手順を示す一部断面示説明図であって、1は搬入・搬出ステーション、2は予熱ステーション、3は加圧ステーションを示す。
【0017】
搬入・搬出ステーション1は、被処理物4の準備などとその被処理物4を予熱ステーション2へ搬出する前工程作業、及び、加圧ステーション3で等方圧加圧処理された加圧処理済みの被処理物4の搬入とその処理などを行う後工程作業を行うもので、そのための作業台5や図示省略する準備ロボット、被処理物4を予熱ステーション2へ搬出及び予熱ステーション2から搬入するハンドリング装置を備える。なお、本例では被処理物4は、被加圧物(ワーク)6とこのワーク6がセットされた収納治具7からなり、搬入・搬出ステーション1においてセットされ、等方圧加圧処理されて戻ってきた時点で外される。この後、収納治具7は繰り返し使用される。
【0018】
予熱ステーション2は、予熱炉8と、この予熱炉8に被処理物4を装入するための装入装置9と、予熱後の被処理物4を加圧ステーション3へ搬出及び等方圧加圧処理後の被処理物4を加圧ステーション3から搬入するハンドリング装置(図示せず)を備える。前記装入装置9は、昇降台10と、この昇降台10を昇降駆動する昇降装置11とで構成されている。昇降台10は、下段に被処理物4を予熱炉8に装入し予熱後に加圧ステーション3へ搬出するためのラック(予熱処理部)12と、上段に加圧ステーション3から等方圧加圧処理後の被処理物4を収容し搬入・搬出ステーション1へと搬出するラック(搬出部)13とを備える。そして、本実施形態では、上段ラック13の高さが、下段ラック12が予熱炉内に位置しているとき、搬入・搬出ステーション1の作業台5と同程度の高さとなるように構成され、また、下段ラック12が予熱炉8の上に位置しているとき、加圧ステーション3から被処理物4を搬入する高さと同程度の高さとなるように構成されている。
【0019】
加圧ステーション3は、容器本体14、上蓋15、下蓋16を備える圧力容器17と、前記上蓋15を昇降させて開閉するための昇降装置18と、等方圧加圧中に圧力容器17を密閉保持するためのプレスフレーム19とを備えて構成されている。プレスフレーム19は、図示省略する移動装置によって、処理位置と待機位置との間を往復移動する。そして、本実施形態では、上蓋の下に被処理物4を収容し得る収容ラック20が設けられ、被処理物4の受入れ及び取出しができるようになっている。
【0020】
次に、上記構成の等方圧加圧成形装置による処理手順について説明する。先ず、搬入・搬出ステーション1では、作業台5の上に、ワーク6を収納治具7内にセットした被処理物4が準備される。一方、予熱ステーション2では、先行する被処理物4が予熱炉8内に位置し予熱が行われ、また、加圧ステーション3では、更に先行する被処理物4が圧力容器17内に収容され、所定の圧力で等方圧加圧処理がなされている(図1a参照)。
【0021】
予熱並びに等方加圧処理が完了すると、予熱ステーション2では、昇降装置11が作動し昇降台10を予熱炉8の上に上昇させる。この昇降台10の上昇で、下段ラック12の予熱後の被処理物4は予熱炉8の上に出るとともに、上段ラック13が加圧ステーション3から被処理物4を搬入する高さと同程度の高さに位置する。また、加圧ステーション3では、加圧力が除荷されると共にプレスフレーム19が待機位置に移動し、昇降装置18により上蓋15が上昇して等方圧加圧後の被処理物4が取出し位置に位置する(図1b参照)。
【0022】
この後、等方圧加圧後の被処理物4を、ハンドリング装置(図示せず)を用いて収容ラック20より取出し、予熱ステーション3の昇降台10の上段ラック13に搬入する(図1c参照)。
【0023】
上段ラック13に搬入後、昇降装置11を作動して昇降台10の下段ラック12を加圧ステーション3への搬出位置まで上昇させる(図2d参照)。
【0024】
下段ラック12に載っている被処理物4を、ハンドリング装置(図示せず)を用いて下段ラック12から加圧ステーション3へと搬入し、上蓋15の収容ラック20内に収容する(図2e参照)。
【0025】
この後、予熱ステーション2では、昇降装置11を作動して昇降台10の下段ラック12を予熱炉8の上まで下降させる。一方、加圧ステーション3では、昇降装置18により上蓋15を下降させ被処理物4を圧力容器17内に収容させるとともに、プレスフレーム19を待機位置から処理位置に移動させ、所定の圧力を加圧して等方圧加圧処理を開始する(図2f参照)。
【0026】
この後、搬入・搬出ステーション1の作業台5上に準備した被処理物4をハンドリング装置(図示せず)を用いて搬出し、予熱ステーション2の昇降台10の下段ラック12内に収納させる(図3g参照)。
【0027】
下段ラック12に収納後、昇降装置11を作動して昇降台10の下段ラック12を下降させ予熱炉8内に装入し、予熱を開始する(図3h参照)。
【0028】
下段ラック12側で予熱している間に上段ラック13上の等方圧加圧処理後の被処理物4を、ハンドリング装置(図示せず)を用いて搬入・搬出ステーション1の作業台5上に搬入する(図3i参照)。
【0029】
以下、図1a〜図3iまでの作業及び操作を繰り返すことで被処理物4の等方圧加圧処理が効率的に行える。特に図1c〜図2eに示すように、上段ラック13に等方圧加圧処理後の被処理物4を取出すのと入れ替えに下段ラック12の予熱処理後の被処理物4を加圧ステーション3に搬入し、圧力容器17に装入することができるので、圧力容器17の空き時間を少なくできる。
【0030】
図4乃至図6は、本発明に係る別の実施形態の等方圧加圧成形装置とその装置を用いた処理手順を示す一部断面示説明図である。本例では、上記の図1乃至図3の例で予熱ステーション2における予熱炉8を下方に位置する場合を例としたのに対して、予熱炉8を上方に位置して設け予熱炉21とするとともに、この予熱炉21へ被処理物4を装入する昇降台10のラックを上段ラック側とし、ラックの機能を上下入れ替え、下段ラック(搬出部)22、上段ラック(予熱処理部)23とした外は、基本的に上記の図1乃至図3の例と同じ構成のものである。このように予熱炉を上方に設置することも可能であり、通常、予熱媒体が気体の場合には、この例のように上方に設置することが多い。
【0031】
搬入・搬出ステーション1は、上記の図1乃至図3の例と同じ構成である。すなわち、被処理物4の準備などとその被処理物4を予熱ステーション2へ搬出する前工程作業、及び、加圧ステーション3で等方圧加圧処理された加圧処理済みの被処理物4の搬入とその処理などを行う後工程作業を行うもので、そのための作業台5や図示省略する準備ロボット、被処理物4を予熱ステーション2へ搬出及び予熱ステーション2から搬入するハンドリング装置を備える。なお、本実施形態では被処理物4は、被加圧物(ワーク)6とこのワーク6がセットされた収納治具7からなり、搬入・搬出ステーション1においてセットされ、等方圧加圧処理されて戻ってきた時点で外される。この後、収納治具7は繰り返し使用される。
【0032】
予熱ステーション2は、予熱炉21と、この予熱炉21に被処理物4を装入するための装入装置9と、予熱後の被処理物4を加圧ステーション3へ搬出及び等方圧加圧処理後の被処理物4を加圧ステーション3から搬入するハンドリング装置(図示せず)を備える。前記装入装置9は、昇降台10と、この昇降台10を昇降駆動する昇降装置11とで構成されている。昇降台10は、上段に被処理物4を予熱炉21に装入し予熱後に加圧ステーション3へ搬出するためのラック(予熱処理部)23と、下段に加圧ステーション3から等方圧加圧処理後の被処理物4を収容し搬入・搬出ステーション1へと搬出するラック(搬出部)22とを備える。そして、本実施形態では、下段ラック22の高さが、上段ラック23が予熱炉内に位置しているとき、加圧ステーション3から被処理物4を搬入する高さと同程度の高さとなるように構成され、また、上段ラック23が加圧ステーション3から被処理物4を搬入する高さに位置しているとき、搬入・搬出ステーション1の作業台5と同程度の高さとなるように構成されている。
【0033】
加圧ステーション3は、上記の図1乃至図3の例と同じ構成である。すなわち、容器本体14、上蓋15、下蓋16を備える圧力容器17と、前記上蓋15を昇降させて開閉するための昇降装置18と、等方圧加圧中に圧力容器17を密閉保持するためのプレスフレーム19とを備えて構成されている。プレスフレーム19は、図示省略する移動装置によって、処理位置と待機位置との間を往復移動する。そして、本実施形態では、上蓋の下に被処理物4を収容し得る収容ラック20が設けられ、被処理物4の受入れ及び取出しができるようになっている。
【0034】
次に、上記構成の等方圧加圧成形装置による処理手順について説明する。先ず、搬入・搬出ステーション1では、作業台5の上に、ワーク6を収納治具7内にセットした被処理物4が準備される。一方、予熱ステーション2では、先行する被処理物4が予熱炉21内に位置し予熱が行われ、また、加圧ステーション3では、更に先行する被処理物4が圧力容器17内に収容され、所定の圧力で等方圧加圧処理がなされている(図4a参照)。
【0035】
予熱並びに等方加圧処理が完了すると、加圧ステーション3では、加圧力が除荷されると共にプレスフレーム19が待機位置に移動し、昇降装置18により上蓋15が上昇して等方圧加圧後の被処理物4が取出し位置に位置する(図4b参照)。
【0036】
この後、等方圧加圧後の被処理物4を、ハンドリング装置(図示せず)を用いて収容ラック20より取出し、予熱ステーション2の昇降台10の下段ラック22に搬入する(図4c参照)。
【0037】
下段ラック22に搬入後、昇降装置11を作動して昇降台10の上段ラック23を予熱炉21から加圧ステーション3への搬出位置まで下降させる(図5d参照)。
【0038】
上段ラック23に載っている被処理物4を、ハンドリング装置(図示せず)を用いて上段ラック23から加圧ステーション3へと搬入し、上蓋15の収容ラック20内に収容する(図5e参照)。
【0039】
この後、予熱ステーション2では、昇降装置11を作動して昇降台10の上段ラック23を搬入・搬出ステーション1の作業台5と同程度の高さまで下降させる。一方、加圧ステーション3では、昇降装置18により上蓋15を下降させ被処理物4を圧力容器17内に収容させるとともに、プレスフレーム19を待機位置から処理位置に移動させ、所定の圧力を加圧して等方圧加圧処理を開始する(図5f参照)。
【0040】
この後、搬入・搬出ステーション1の作業台5上に準備した被処理物4をハンドリング装置(図示せず)を用いて搬出し、予熱ステーション2の昇降台10の上段ラック23内に収納させる(図6g参照)。
【0041】
上段ラック23に収納後、昇降装置11を作動して昇降台10の下段ラック22を搬入・搬出ステーション1の作業台5と同程度の高さまで上昇させる(図6h参照)。
【0042】
この後、下段ラック22上の等方圧加圧処理後の被処理物4を、ハンドリング装置(図示せず)を用いて搬入・搬出ステーション1の作業台5上に搬入する(図6i参照)。搬入後、更に上昇させて上段ラック23を予熱炉21内に装入し、予熱を開始する(図4a参照)。
【0043】
以下、図4a〜図6iまでの作業及び操作を繰り返すことで被処理物4の等方圧加圧処理が効率的に行える。特に図4c〜図5eに示すように、下段ラック22に等方圧加圧処理後の被処理物4を取出すのと入れ替えに上段ラック23の予熱処理後の被処理物4を加圧ステーション3に搬入し、圧力容器17に装入することができるので、圧力容器17の空き時間を少なくできる。
【0044】
なお、上述した例では、搬入・搬出ステーション1にて人が手作業にて被処理物4を準備、処理する(例えばワーク6を収納治具7より出し入れをする)ことを想定したもので、被処理物4の扱い位置が胸の位置(約900mm)となるように被処理物4への動作を設定した。この搬入・搬出ステーション1の作業台5の高さに限定が無い場合には、図7乃至図9に示すように、作業台5の高さ、予熱炉8,21の出口の高さ、圧力容器17の開口部の高さを揃えるようにすることで、予熱ステーション2から予熱後の被処理物4を加圧ステーション3へ搬出した後、その位置で搬入・搬出ステーション1から次の被処理物4を搬入することができ、予熱ステーション2において昇降動作が少し簡単になる。
【0045】
図7乃至図9は、本発明に係る別の実施形態の等方圧加圧成形装置とその装置を用いた処理手順を示す一部断面示説明図である。本例は、上記したように作業台5の高さ、予熱炉8の出口の高さ、圧力容器17の開口部の高さを揃えるように構成したもので、その外の構成は、基本的に上記の図1乃至図3の例と同じ構成のものである。従って、各ステーションの構成の説明は割愛し、以下は上記等方圧加圧成形装置による処理手順について説明する。
【0046】
先ず、搬入・搬出ステーション1では、作業台5上にワーク6を収納治具7内にセットした被処理物4が準備される。一方、予熱ステーション2では、先行する被処理物4が予熱炉8内に位置し予熱が行われ、また、加圧ステーション3では、更に先行する被処理物4が圧力容器17内に収容され、所定の圧力で等方圧加圧処理がなされている(図7a参照)。
【0047】
予熱並びに等方加圧処理が完了すると、加圧ステーション3では、加圧力が除荷されると共にプレスフレーム19が待機位置に移動し、昇降装置18により上蓋15が上昇して等方圧加圧後の被処理物4が取出し位置に位置する(図7b参照)。
【0048】
この後、等方圧加圧後の被処理物4を、ハンドリング装置(図示せず)を用いて収容ラック20より取出し、予熱ステーション3の昇降台10の上段ラック13に搬入する(図7c参照)。
【0049】
上段ラック13に搬入後、昇降装置11を作動して昇降台10の下段ラック12を加圧ステーション3への搬出位置(予熱炉8の上)まで上昇させる(図8d参照)。
【0050】
下段ラック12に載っている予熱後の被処理物4を、ハンドリング装置(図示せず)を用いて下段ラック12から加圧ステーション3へと搬入し、上蓋15の収容ラック20内に収容する(図8e参照)。
【0051】
この後、予熱ステーション2では、搬入・搬出ステーション1の作業台5上に準備した被処理物4をハンドリング装置(図示せず)を用いて搬出し、昇降台10の下段ラック12内に収納させる。一方、加圧ステーション3では、昇降装置18により上蓋15を下降させ被処理物4を圧力容器17内に収容させるとともに、プレスフレーム19を待機位置から処理位置に移動させ、所定の圧力を加圧して等方圧加圧処理を開始する(図8f参照)。
【0052】
下段ラック12に収納後、昇降装置11を作動して昇降台10の下段ラック12を下降させ予熱炉8内に装入し、予熱を開始する(図9g参照)。
【0053】
下段ラック12側で予熱している間に上段ラック13上の等方圧加圧処理後の被処理物4を、ハンドリング装置(図示せず)を用いて搬入・搬出ステーション1の作業台5上に搬入する(図9h参照)。
【0054】
以下、図7a〜図9hまでの作業及び操作を繰り返すことで被処理物4の等方圧加圧処理が効率的に行える。特に図7c〜図8eに示すように、上段ラック13に等方圧加圧処理後の被処理物4を取出すのと入れ替えに下段ラック12の予熱処理後の被処理物4を加圧ステーション3に搬入し、圧力容器17に装入することができるので、圧力容器17の空き時間を少なくできる。また、図8d〜図8fに示すように、下段ラック12の予熱処理後の被処理物4を加圧ステーション3へ搬出した後、その位置で搬入・搬出ステーション1から次の被処理物4を下段ラック12内に搬入することができ、予熱ステーション2においてラックの昇降動作が少し簡単になる。
【0055】
図10乃至図11は、本発明に係る別の実施形態の等方圧加圧成形装置とその装置を用いた処理手順を示す概要図であって、上段は平面図、下段は正面図である。図において、31は搬入・搬出ステーション、32は予熱ステーション、33は加圧ステーションを示す。
【0056】
搬入・搬出ステーション31は、被処理物4の準備などとその被処理物4を予熱ステーション32へ搬出する前工程作業、及び、加圧ステーション33で等方圧加圧処理された加圧処理済みの被処理物4の搬入とその処理などを行う後工程作業を行うもので、そのための作業台34や図示省略する準備ロボット、被処理物4を予熱ステーション32へ搬出及び予熱ステーション32から搬入するハンドリング装置(装入装置)を備える。なお、本実施形態では被処理物4は、被加圧物(ワーク)6とこのワーク6がセットされた収納治具7からなり、搬入・搬出ステーション31においてセットされ、等方圧加圧処理されて戻ってきた時点で外される。この後、収納治具7は繰り返し使用される。
【0057】
予熱ステーション32は、予熱炉35と、この予熱炉35に被処理物4を搬出入するための台車36と、予熱後の被処理物4を加圧ステーション33へ搬出及び等方圧加圧処理後の被処理物4を加圧ステーション33から搬入するハンドリング装置(図示せず)を備える。前記台車36は、台車36上に進退方向に2つの被処理物4を載置し得る予熱処理部37と搬出部38のスペースを有し、図示省略する駆動装置によって予熱処理部37側を予熱炉35内に装入可能に構成されている。
【0058】
加圧ステーション33は、図示省略するが、上述した例と同構成のもので、容器本体14、上蓋15、下蓋16を備える圧力容器17と、前記上蓋15を昇降させて開閉するための昇降装置18と、等方圧加圧中に圧力容器17を密閉保持するためのプレスフレーム19とを備えて構成されている。プレスフレーム19は、図示省略する移動装置によって、処理位置と待機位置との間を往復移動する。そして、本実施形態では、上蓋の下に被処理物4を収容し得る収容ラック20が設けられ、被処理物4の受入れ及び取出しができるようになっている。
【0059】
次に、上記構成の等方圧加圧成形装置による処理手順について説明する。先ず、搬入・搬出ステーション31では、作業台34上にワーク6を収納治具7内にセットした被処理物4が準備される。一方、予熱ステーション32では、先行する被処理物4が台車36の予熱処理部37上に載せられ予熱炉35内に位置し予熱が行われている。また、加圧ステーション33では、更に先行する被処理物4が圧力容器17内に収容され、所定の圧力で等方圧加圧処理がなされている(図10a参照)。
【0060】
予熱並びに等方加圧処理が完了すると、加圧ステーション33では、加圧力が除荷されると共にプレスフレーム19が待機位置に移動し、昇降装置18により上蓋15が上昇して等方圧加圧後の被処理物4が取出し位置に位置する(図10b参照)。
【0061】
この後、等方圧加圧後の被処理物4を、ハンドリング装置(図示せず)を用いて収容ラック20より取出し、予熱ステーション33の台車36の搬出部38に搬入する(図10c参照)。
【0062】
搬出部38に搬入後、駆動装置(図示せず)を作動して台車36を後退させ、予熱処理部37を予熱炉35から引き出す。(図10d参照)。
【0063】
予熱処理部37に載っている予熱後の被処理物4を、ハンドリング装置(図示せず)を用いて予熱処理部37から加圧ステーション33へと搬入し、上蓋15の収容ラック20内に収容する(図11e参照)。
【0064】
この後、予熱ステーション32では、搬入・搬出ステーション31の作業台34上に準備した被処理物4をハンドリング装置(図示せず)を用いて搬出し、台車36の予熱処理部37に搬入する。一方、加圧ステーション33では、昇降装置18により上蓋15を下降させ被処理物4を圧力容器17内に収容させるとともに、プレスフレーム19を待機位置から処理位置に移動させ、所定の圧力を加圧して等方圧加圧処理を開始する(図11f参照)。
【0065】
予熱処理部37に搬入後、駆動装置(図示せず)により台車36を前進させ予熱処理部37を予熱炉35内に装入し、予熱を開始する(図11g参照)。
【0066】
予熱処理部37の被処理物4を予熱している間に搬出部38上の等方圧加圧処理後の被処理物4を、ハンドリング装置(図示せず)を用いて作業ステーション31の作業台34上に搬入する(図11h参照)。
【0067】
以下、図10a〜図11hまでの作業及び操作を繰り返すことで被処理物4の等方圧加圧処理が効率的に行える。特に図10c〜図11eに示すように、搬出部38に等方圧加圧処理後の被処理物4を取出すのと入れ替えに予熱処理部37の予熱処理後の被処理物4を加圧ステーション33に搬入し、圧力容器17に装入することができるので、圧力容器17の空き時間を少なくできる。また、本実施形態でも、図10d〜図11fに示すように、予熱処理部37の予熱処理後の被処理物4を加圧ステーション33へ搬出した後、その位置で搬入・搬出ステーション31から次の被処理物4を予熱処理部37上に搬入することができ、上述した予熱ステーション2においてラックを昇降動作させる形式よりは動作が少し簡単になる。
【0068】
なお、上述した装入ハンドリング装置は、いずれも予備処理部と搬出部を各1つづつ計2つを有するものであるが、予備処理部又は搬出部を複数、計3つ以上有するものであってもよい。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る等方圧加圧成形方法によれば、被処理物の生産性に大きな影響を有する圧力容器の空き時間を少なくできる。また、等方圧加圧成形装置は、簡便な構成で以って、被処理物の生産性に大きな影響を有する圧力容器の空き時間を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る等方圧加圧成形装置とその装置を用いた処理手順を示す一部断面示説明図である。
【図2】本発明に係る等方圧加圧成形装置とその装置を用いた処理手順を示す一部断面示説明図である。
【図3】本発明に係る等方圧加圧成形装置とその装置を用いた処理手順を示す一部断面示説明図である。
【図4】本発明に係る別の実施形態の等方圧加圧成形装置とその装置を用いた処理手順を示す一部断面示説明図である。
【図5】本発明に係る別の実施形態の等方圧加圧成形装置とその装置を用いた処理手順を示す一部断面示説明図である。
【図6】本発明に係る別の実施形態の等方圧加圧成形装置とその装置を用いた処理手順を示す一部断面示説明図である。
【図7】本発明に係る別の実施形態の等方圧加圧成形装置とその装置を用いた処理手順を示す一部断面示説明図である。
【図8】本発明に係る別の実施形態の等方圧加圧成形装置とその装置を用いた処理手順を示す一部断面示説明図である。
【図9】本発明に係る別の実施形態の等方圧加圧成形装置とその装置を用いた処理手順を示す一部断面示説明図である。
【図10】本発明に係る別の実施形態の等方圧加圧成形装置とその装置を用いた処理手順を示す概要図であって、上段は平面図、下段は正面図である。
【図11】本発明に係る別の実施形態の等方圧加圧成形装置とその装置を用いた処理手順を示す概要図であって、上段は平面図、下段は正面図である。
【符号の説明】
1:搬入・搬出ステーション 2:予熱ステーション
3:加圧ステーション 4:被処理物 5:作業台
6:被加圧物(ワーク) 7:収納治具 8:予熱炉
9:装入装置 10:昇降台 11:昇降装置
12:ラック(予熱処理部) 13:ラック(搬出部)
14:容器本体 15:上蓋 16:下蓋
17:圧力容器 18:昇降装置 19:プレスフレーム
20:収容ラック 21:予熱炉
22:下段ラック(搬出部) 23:上段ラック(予熱処理部)
31:搬入・搬出ステーション 32:予熱ステーション
33:加圧ステーション 34:作業台 35:予熱炉
36:台車 37:予熱処理部 38:搬出部
Claims (6)
- 被処理物を予熱炉で予熱する予熱工程と、この予熱工程後の被処理物を加圧ステーションの圧力容器内に入れ、圧力容器内に圧力媒体を注入し、加熱と共に等方圧加圧を行う加圧工程とを有するとともに、前記予熱炉へ被処理物を装入する装入装置が、この被処理物を前記予熱炉に装入し予熱後に前記加圧ステーションへ搬出する予熱処理部と前記加圧ステーションから等方圧加圧後の被処理物を搬出する搬出部とを上下に備えるラックと、このラックを昇降する昇降手段とを備え、この装入装置により、被処理物を前記予熱処理部にセットした状態で予熱するとともに、前記予熱処理部と前記搬出部とに等方加圧前の被処理物と等方加圧後の被処理物とを各々収容した状態で前記昇降手段を昇降させて前記被処理物の搬入・搬出を行うことを特徴とする等方圧加圧成形方法。
- 被処理物を予熱する予熱炉を備える予熱ステーションと、この予熱ステーションで予熱後の被処理物を圧力容器内に入れ、圧力容器内に圧力媒体を注入し、加熱と共に等方圧加圧を行う加圧ステーションとを有し、前記予熱炉へ被処理物を装入する装入装置が、被処理物を前記予熱炉に装入し予熱後に前記加圧ステーションへ搬出する予熱処理部と前記加圧ステーションから等方圧加圧後の被処理物を搬出する搬出部とを上下に備えるラックと、このラックを昇降する昇降手段とを備え、この装入装置により、被処理物を前記予熱処理部にセットした状態で予熱可能とされているとともに、前記予熱処理部と前記搬出部とに等方加圧前の被処理物と等方加圧後の被処理物とを各々収容した状態で前記昇降手段を昇降させて前記被処理物の搬入・搬出可能とされていることを特徴とする等方圧加圧成形装置。
- 被処理物が、被加圧物を圧力容器に収納するための収納治具にセットされたものである請求項2に記載の等方圧加圧成形装置。
- 前記ラックの上段ラックが前記搬出部であると共に前記ラックの下段ラックが前記予熱処理部であり、前記下段ラックが前記予熱炉の上に位置しているときに、前記加圧ステーションから被処理物を搬入する高さと同程度の高さになるように構成されていることを特徴とする請求項2又3に記載の等方圧加圧成形装置。
- 前記ラックの下段ラックが前記搬出部であると共に前記ラックの上段ラックが前記予熱処理部であり、前記下段ラックが前記予熱炉の下に位置しているときに、前記加圧ステーションから被処理物を搬入する高さと同程度の高さになるように構成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の等方圧加圧成形装置。
- 前記ラックの上段ラックが前記搬出部であると共に前記ラックの下段ラックが前記予熱処理部であり、前記予熱処理部へ被処理物を搬入する作業台の高さと、前記予熱炉の出口の高さと、前記圧力容器の開口部の高さとが揃えられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の等方圧加圧成形装置。
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