JP3996969B2 - シリコーンエラストマーコーティングシート状物およびその製造方法 - Google Patents

シリコーンエラストマーコーティングシート状物およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコーンエラストマーコーティングシート状物およびその製造方法に関する。詳しくは、汚れが付着しにくく、たとえ汚れが付着しても分解、除去が容易である、防汚性に優れたシリコーンエラストマーコーティングシート状物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコーンエラストマーでコーティングされたシート状物、例えばシリコーンエラストマーコーティング布は軽量であり、かつ耐候性および耐屈曲性に優れることから、空気膜構造用材料,体育館,倉庫等の建築物の外装材料や、テント,ターポリンとして使用することが提案されている(特開昭59−29157号公報参照)。しかし、この種のシリコーンエラストマーコーティング布は、上記のような用途に長期間継続的に使用すると、次第に煤煙などが付着して黒ずんでしまうという欠点があった。しかもシリコーンエラストマーコーティング布に付着した汚れは落ちにくいという致命的な欠陥があり、特に体育館などに使用される広い面積のコーティング布は、汚れを洗い落とす作業に大変な労力を要するという問題点があった。
また、シリコーンエラストマーコーティング布は非常に柔軟で伸縮性に富むため、編地製おしめカバー地や包帯として使用することが提案されている(特公平1−26336号公報参照)。しかしこれらの用途に使用した場合には、滅菌のために、時々、塩素殺菌やスチームによる蒸熱殺菌などを行わなければならないという欠点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは上記問題点を解消するために鋭意検討した結果、光触媒能を有する酸化チタン粉末をシリコーンエラストマーコーティング表層部に固着させれば上記問題点が解消することを見出し、本発明に到達した。
即ち、本発明の目的は、汚れが付着しにくく、たとえ汚れが付着しても分解、除去が容易である、防汚性に優れたシリコーンエラストマーコーティングシート状物およびその製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明は、シリコーンエラストマーでコーティングされたシート状物であって、該シリコーンエラストマー表層部に光触媒能を有する酸化チタン粉末が固着していることを特徴とするシリコーンエラストマーコーティングシート状物および、シート状物にシリコーンエラストマー組成物を塗布し、次いでその表面に光触媒能を有する酸化チタン粉末を担持させた後、シリコーンエラストマー組成物を硬化させることを特徴とする上記シリコーンエラストマーコーティングシート状物の製造方法に関する。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のシート状物はシリコーンエラストマーでコーティングされており、その表層部に光触媒能を有する酸化チタン粉末が固着していることを特徴とする。これは、該酸化チタン粉末が表層部に固着されずにシリコーンエラストマー中に均一に分散していると、シリコーンエラストマーで被覆されてしまうため光照射により励起しにくくなり、酸化分解作用などの効果が大幅に低下してしまうためである。シリコーンエラストマーコーティング層の厚さは10〜500μmであることが好ましく、特に50〜200μmの厚さであることがより好ましい。尚、表層部とは、表面から3μm程度の深さまでの部分を指している。また、固着とはかたくくっついている状態を意味し、本発明では、光触媒能を有する酸化チタン粉末がシリコーンエラストマー中にしっかりと保持されて容易に脱落しない状態を意図している。その固着量は2〜20g/m2であることが好ましく、特に3〜5g/m2であることがより好ましい。本発明のシート状物は、このような光触媒能を有する酸化チタン粉末を担持してなるシリコーンエラストマーコーティング層を、片面のみに有しても両面に有していてもよい。即ち、両面にシリコーンエラストマー組成物をコーティングして光触媒能を有する酸化チタン粉末を担持させることにより両面防臭シートを作成することができ、またカーテン地の窓側に当たる面のみに該シリコーンエラストマーコーティング層を設けて防汚カーテンとすることもできる。
【0006】
本発明に使用されるシート状物としては、合成紙を含む紙類;ナイロン,ポリエステル,ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリビニルアルコール,ポリ塩化ビニル,ポリスチレンなどの各種フィルム類;布帛類としては、綿,羊毛,絹,麻などの天然繊維製の編織地、アセテート,ベンベルグ,ポリノジックなどの半合成繊維や再生繊維もしくはナイロン,ポリエステル,アクリル,モダクリル,ポリプロピレン,ポリエチレン,ビニロンなどの合成繊維製の編織地あるいは不織布類,ガラス繊維,ロックウール,アスベストなどの無機繊維製の織物地が例示される。尚、布帛類は、あらかじめ各種染料で染色されていてもよい。シート状であるのは連続生産に好適なため、即ち、シリコーンエラストマー組成物をナイフコーターなどを用いて連続的にコーティングすることができるためである。
【0007】
本発明に使用されるシリコーンエラストマーとしては、付加反応硬化型シリコーンエラストマー組成物,縮合反応硬化型シリコーンエラストマー組成物,ラジカル(パーオキサイド架橋)反応硬化型シリコーンエラストマー組成物の硬化物が挙げられる。これらの中でも低温条件下でも高速で硬化し、幅広い濃度でコーティングできる、即ち、シリコーンエラストマー組成物100%でも該組成物をトルエン等で希釈したものでも使用できる付加反応硬化型シリコーンエラストマー組成物が最も好ましい。
【0008】
付加反応硬化型シリコーンエラストマー組成物とは、2種類のオルガノポリシロキサン中の官能基が付加反応により結合して架橋し、エラストマー化する組成物をいう。その代表例としては、ビニル基やヘキセニル基のような脂肪族不飽和基を含有するオルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび白金族化合物系触媒からなるシリコーンエラストマー組成物が挙げられる。脂肪族不飽和基含有オルガノポリシロキサンとしては、両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン,両末端ビニルジメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、両末端ビニルメチルフェニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体が例示される。オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン,両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体,両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体,メチルハイドロジェンシクロポリシロキサンが例示される。白金族化合物系触媒としては、微粒子状白金,塩化白金酸,白金とオレフィンの錯体,白金とビニルシロキサンの錯体,白金とジケトンの錯体,パラジウム化合物触媒,ロジウム化合物触媒が例示される。これらの中でも、触媒活性の点から白金化合物系触媒が好ましい。この付加反応硬化型シリコーンエラストマー組成物は、硬化性および生産性の点から、通常、加熱して硬化させる。この他にも付加反応硬化型シリコーンエラストマー組成物として、ビニル基のような脂肪族不飽和基を含有するオルガノポリシロキサンとメルカプトアルキル基を含有するオルガノポリシロキサンからなり、紫外線照射もしくは電子線照射により硬化する組成物が挙げられる。
【0009】
縮合反応硬化型シリコーンエラストマー組成物とは、2種類のオルガノポリシロキサン中の官能基、またはオルガノポリシロキサンとシリカやシラン等のケイ素化合物中の官能基が縮合反応により結合して架橋し、エラストマー化する組成物をいう。この縮合反応硬化型シリコーンエラストマー組成物としては、例えば、脱水素縮合型,脱水縮合型,脱酢酸縮合型,脱オキシム縮合型,脱アルコール縮合型,脱アミド縮合型,脱ヒドロキシルアミン縮合型,脱アセトン縮合型の組成物が挙げられる。
【0010】
脱水素縮合反応硬化型シリコーンエラストマー組成物の代表例としては、両末端シラノール基封鎖ジオルガノポリシロキサン、オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび有機酸の重金属塩等の縮合反応触媒からなる組成物が挙げられる。両末端シラノール基封鎖ジオルガノポリシロキサンとしては、両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン,両末端シラノール基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体,両末端シラノール基封鎖メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサンが例示される。このジオルガノポリシロキサンは縮合反応を抑制する作用を有するため、末端シラノール基の一部をアルコキシ化しておいてもよい。架橋剤であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、両末端ジメチルハイドロジェンシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルハイドロジェンシロキサン共重合体,両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン,メチルハイドロジェンシクロポリシロキサンが例示される。縮合反応触媒としては、ジブチル錫ジラウレート,ジブチル錫ジアセテート,オクテン酸錫,ジブチル錫ジオクテート,ラウリン酸錫,スタノオクテン酸第二鉄,オクテン酸鉛,ラウリン酸鉛,オクテン酸亜鉛が例示される。
【0011】
上記脱水素縮合反応硬化型シリコーンエラストマー組成物は、硬化性および生産性の点から加熱して硬化させる必要があるが、脱水縮合型,脱酢酸縮合型,脱オキシム縮合型,脱アルコール縮合型,脱アミド縮合型,脱ヒドロキシルアミン縮合型,脱アセトン縮合型のシリコーンエラストマー組成物は、湿気存在下であれば常温でも硬化してエラストマーになり得る。このため、このような湿気硬化型シリコーンエラストマー組成物を使用して本発明のシート状物を製造する場合には、適度の湿気を供給しつつ加熱すれば生産性がより一層向上して連続生産が可能となる。湿気硬化型シリコーンエラストマー組成物の中でも、特に、水の除去によってエラストマーを形成し得るシリコーンウォーターベースドエラストマーは布帛類に有用である。このシリコーンウォーターベースドエラストマーとしては、通常、(a)1分子中にシラノール基を少なくとも2個有する実質的に直鎖状のオルガノポリシロキサン、(b)コロイド状シリカ,アルカリ金属ケイ酸塩,加水分解可能なシランおよびその部分加水分解縮合物からなる群から選択される架橋剤、(c)硬化触媒、(d)乳化剤および(e)水からなる水性オルガノポリシロキサンエマルジョン組成物が使用される。
【0012】
ここで(a)成分のオルガノポリシロキサンは、(b)成分の作用により架橋してゴム状弾性体となるものであり、1分子中にシラノール基を少なくとも2個有するポリマーである。このシラノール基の位置に特に制限はないが、両末端に存在することが好ましい。シラノール基以外のケイ素原子に結合する有機基としては、非置換もしくは置換の一価炭化水素基が好ましく、メチル基,エチル基,プロピル基,ブチル基などのアルキル基;ビニル基,アリル基などのアルケニル基;フェニル基などのアリール基;ベンジル基などのアラルキル基;スチリル基,トリル基などのアルカリル基;シクロヘキシル基,シクロペンチル基などのシクロアルキル基およびこれらの基の水素原子の一部もしくは全部がフッ素,塩素,臭素などのハロゲン原子で置換された基、例えば、3−クロロプロピル基,3,3,3−トリフロロプロピル基などが挙げられる。これらの中でもメチル基,ビニル基,フェニル基が好ましく、特にメチル基がより好ましいが、全て同一である必要はなく異種の一価炭化水素基の組み合わせであってもよい。また実質的に直鎖状とは、一部に分岐鎖を有する直鎖状であってもよいという意味である。このオルガノポリシロキサンの分子量は特に制限されないが、5,000以上であることが好ましい。これは、合理的な抗張力と伸びは分子量が3,000以上であれば得られるが、最も好ましい抗張力と伸びは分子量が5,000以上でないと得られないためである。ただし、エマルジョンへの乳化の可能性の点から、1,000,000以下であることが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンの具体例としては、分子鎖両末端がシラノールで封鎖されたジメチルポリシロキサン,メチルフェニルポリシロキサン,ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体,メチルビニルポリシロキサン,ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体が挙げられる。このようなオルガノポリシロキサンは、例えば、環状もしくは分岐状のオルガノポリシロキサンを加水分解縮合する方法,ジオルガノジハロゲノシランの一種もしくは二種以上を加水分解する方法により合成することができる。
【0013】
(b)成分の架橋剤は(a)成分の架橋成分として作用するものであり、コロイド状シリカ,アルカリ金属ケイ酸塩,加水分解可能なシランもしくはその部分加水分解縮合物が挙げられる。コロイド状シリカとしては、煙霧状コロイドシリカ,沈殿コロイドシリカ,またはナトリウム,アンモニアもしくはアルミニウムイオンで安定化した粒径0.0001〜0.1μmのコロイドシリカが例示される。コロイド状シリカの配合量は、(a)成分のオルガノポリシロキサン100重量部に対して1〜150重量部が好ましく、1〜70重量部がより好ましい。またアルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸リチウム,ケイ酸ナトリウム,ケイ酸カリウム,ケイ酸ルビジウムが例示される。アルカリ金属ケイ酸塩の配合量は、(a)成分のオルガノポリシロキサン100重量部に対して0.3〜30重量部が好ましく、0.3〜20重量部がより好ましい。加水分解可能なシランとしては、ケイ素原子に結合している加水分解性基を1分子中に少なくとも3個有するシランが使用される。これは3個未満であるとエラストマーが得られないためである。加水分解性基としては、例えば、メトキシ基,エトキシ基,ブトキシ基などのアルコキシ基;アセトキシ基などのアシロキシ基;アセトアミド基,N−メチルアセトアミド基などの置換もしくは非置換のアセトアミド基;プロぺノキシ基などのアルケニルオキシ基;N,N−ジエチルアミノ基などの置換アミノ基;メチルエチルケトオキシム基などのケトオキシム基が挙げられる。具体的には、メチルトリメトキシシラン,ビニルトリメトキシシラン,ノルマルプロピルオルソシリケート,エチルポリシリケート,プロピルポリシリケート,メチルトリ(プロパノキシ)シラン,メチルトリ(メチルエチルケトオキシム)シランが例示される。このようなシランを2種もしくはそれ以上混合して使用することもできる。この加水分解可能なシランまたはその部分加水分解縮合物の配合量は、(a)成分のオルガノポリシロキサン100重量部に対して1〜150重量部が好ましい。
【0014】
(c)成分の硬化触媒は、(a)成分のオルガノポリシロキサンと(b)成分の架橋剤との縮合反応を促進する成分であり、例えば、ジブチル錫ジラウレート,ジブチル錫ジアセテート,オクテン酸錫,ジブチル錫ジオクテート,ラウリン酸錫,スタノオクテン酸第二鉄,オクテン酸鉛,ラウリン酸鉛,オクテン酸亜鉛などの有機酸金属塩;テトラブチルチタネート,テトラプロピルチタネート,ジブトキシチタンビス(エチルアセトアセテート)などのチタン酸エステル;n−ヘキシルアミン,グアニジンなどのアミン化合物またはこれらの塩酸類が挙げられる。尚、これらの硬化触媒はあらかじめ乳化剤と水を使用して、通常の方法によりエマルジョンの形態にしておくことが好ましい。この硬化触媒の添加量は、(a)成分のオルガノポリシロキサン100重量部に対して0.01〜1.5重量部が好ましく、0.05〜1重量部がより好ましい。
【0015】
(d)成分の乳化剤は、主として(a)成分のオルガノポリシロキサンを乳化する成分であり、アニオン系乳化剤,非イオン系乳化剤,カチオン系乳化剤が挙げられる。アニオン系乳化剤としては、例えば、高級脂肪酸塩類,高級アルコール硫酸エステル塩類,アルキルベンゼンスルホン酸塩類,アルキルナフタレンスルホン酸塩類,アルキルホフスホン酸塩類,ポリエチレングリコール硫酸エステル塩類が挙げられる。非イオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類,ソルビタン脂肪酸エステル類,ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類,ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類,ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン類,脂肪酸モノグリセライド類が挙げられる。カチオン系乳化剤としては、例えば、脂肪族アミン塩類,第4級アンモニウム塩類,アルキルピリジニウム塩類が挙げられる。これらの乳化剤は1種類のみで使用してもよく、また2種類以上混合したものを使用してもよい。この乳化剤の配合量は、(a)成分のオルガノポリシロキサン100重量部に対して2〜30重量部が好ましい。
【0016】
(e)成分の水の配合量は、(a)成分のオルガノポリシロキサンと(b)成分の架橋剤と(c)成分の硬化触媒とを、(d)成分の乳化剤の作用により乳化させて水性エマルジョンを調製するのに十分な量であればよく、特に限定されない。
【0017】
このシリコーンウォーターベースドエラストマーのエマルジョンは、上記(a)〜(e)成分を均一に混合することにより調製することができる。例えば、両末端シラノール基を有するジメチルポリシロキサンを乳化剤の存在下、ホモミキサー,ホモジナイザー,コロイドミルなどの乳化機を用いて水に乳化させた後、コロイド状シリカなどの架橋剤や硬化触媒を添加して混合する方法や、オクタメチルシクロテトラシロキサンなどの環状ジオルガノポリシロキサンを乳化剤を用いて水に乳化させ、次いで開環重合触媒を添加して加熱下で重合させることにより両末端がシラノール基で封鎖されたジメチルポリシロキサンのエマルジョンを調製し、これにコロイド状シリカなどの架橋剤や硬化触媒を添加して混合する方法が挙げられる。また、(a)〜(e)成分からなるベースエマルジョンを調製した後そのpHを9〜12に調節することにより、保存安定性に極めて優れたエマルジョンを得ることができる。pH調節剤としては、例えば、ジメチルアミン,エチレンジアミンなどのアミン類;水酸化ナトリウム,水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物を用いることができる。これらの中でも有機アミンが好ましく、上記以外の有機アミンとして、さらにモノエタノールアミン,トリエタノールアミン,モルホリン,2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールが例示される。このようにしてpHを調節した後、一定温度で一定期間熟成することが好ましい。熟成温度はエマルジョンが破壊されない温度、即ち、10〜60℃の範囲が好ましく、特に15〜50℃の範囲がより好ましい。熟成期間は熟成温度に応じて設定され、例えば、25℃の温度条件下では1週間以上、40℃の温度条件下では4日以上が好ましい。このようにして得られたオルガノポリシロキサンエマルジョンは室温下での保存安定性に優れ、水分の除去により室温で容易に硬化してエラストマー状になり得る。一方、室温下での保存安定性が必要でない場合には、ベースエマルジョンのpHは9未満であってもよい。またこのオルガノポリシロキサンエマルジョンには、上記以外の成分、例えば、充填剤,増粘剤,顔料,染料,耐熱剤,防腐剤,アンモニア水などの浸透助剤などを適宜添加配合することができる。特に、上記(b)成分の架橋剤としてコロイド状シリカを使用しない場合には、オルガノポリシロキサンエマルジョンの粘稠性が乏しくなり厚肉のエラストマーが得られにくくなるので、充填剤として微粉末の石英,炭酸カルシウム,酸化マグネシウム,二酸化亜鉛,二酸化チタン粉末,カーボンブラックなどを添加配合することが好ましい。さらにこれらの充填剤は、コロイド状であると水分の除去によって生成するエラストマーの抗張力と伸びが大きくなることから、コロイド状であることが好ましい。また増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース,メチルセルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ポリビニルアルコール,ポリアクリル酸などを使用することができる。
【0018】
この他にも湿気硬化型シリコーンエラストマー組成物として、前記したような両末端シラノール基封鎖ジオルガノポリシロキサン(好ましくは、25℃における粘度が1,000〜60,000センチストークスであるもの)を主成分とし、架橋剤として例えばビニルトリアセトキシシラン、触媒として例えばジブチル錫ジアセテートやジブチル錫ジラウレートを配合し、さらにアエロジルなどの補強用フィラー類を加えて均一に混練することにより得られる脱酢酸縮合型シリコーンエラストマー組成物、この脱酢酸縮合型の組成物において、ビニルトリアセトキシシランをビニルトリオキシムシランに代替してなる脱オキシム縮合型シリコーンエラストマー組成物、同様にビニルトリアセトキシシランをテトラエトキシシラン等に代替してなる脱アルコール縮合型シリコーンエラストマー組成物が挙げられる。尚、使用される架橋剤は上記シラノール基封鎖ジオルガノポリシロキサンをエラストマー化できるものであればよく、上記したような架橋システムに限定されない。
【0019】
ラジカル反応硬化型シリコーンエラストマー組成物としては、オルガノポリシロキサン,補強性充填剤および有機過酸化物からなる組成物が挙げられ、付加的成分として増量充填剤,耐熱剤,難燃剤,顔料,有機溶剤などを含有することができる。オルガノポリシロキサンとしては、両末端がトリメチルシロキシ基,ジメチルビニルシロキシ基,メチルフェニルビニルシロキシ基またはシラノール基で封鎖され、主鎖がジメチルポリシロキサン,ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体,ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体,ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体,メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)・メチルビニルシロキサン共重合体である生ゴム状のポリマーが例示される。補強性充填剤としてはヒュームドシリカが例示される。有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド,ジクミルパーオキサイド,ジ−t−ブチルパーオキサイド,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン,2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキセンなどが例示される。このラジカル反応硬化型シリコーンエラストマー組成物は、硬化性および生産性の点から、通常、加熱して硬化させる。
この他にもラジカル反応硬化型シリコーンエラストマー組成物として、オルガノポリシロキサン生ゴムと補強性充填剤を主剤とし、付加的成分として増量充填剤,耐熱剤,難燃剤,顔料,有機溶剤などを含有してなり、β線やγ線照射により硬化する組成物や、ケイ素原子結合アルケニル基含有オルガノポリシロキサン,増感剤および補強性充填剤からなり紫外線照射により硬化する組成物が挙げられる。
【0020】
このような本発明に使用されるシリコーンエラストマー組成物は、使用する際にトルエン,キシレン,n−ヘキサン等の溶媒で希釈してもよく、予め乳化剤を用いてエマルジョン化している場合には希釈剤としてさらに水を配合することも可能である。またこのシリコーンエラストマー組成物に無機顔料などを添加して着色したり、紫外線吸収剤などの薬剤を添加することにより本発明のシート状物の耐光候性を向上させたりすることができる。
【0021】
本発明に使用される光触媒能を有する酸化チタン粉末は本発明の特徴となる成分であり、光照射により励起して、付着した有機系の汚れや悪臭を酸化分解するという性質を備えている。このような酸化チタン粉末としては、光照射により励起して光触媒作用を示すものであればよく特に限定されないが、通常、粒子径が5〜25nm(X線による粒子径測定)と非常に小さく、比表面積が100〜350m2/gと非常に大きい微粉末が使用される。尚、本発明の酸化チタンには純粋な酸化チタンの他、一般に含水酸化チタン,メタチタン酸,オルトチタン酸と呼ばれているものも含まれ、その結晶型は問わない。このような光触媒能を有する酸化チタン粉末は、例えば、塩化チタンやチタンアルコキシド等のチタン化合物を加熱,加水分解する方法、前記したようなチタン化合物にアルカリ性物質を添加して中和する方法、またはこれらの方法により得られた酸化チタンを焼成する方法により製造することができる。尚、光触媒能をさらに高めるために、該酸化チタン粉末の表面を白金,金,銀,銅,ロジウム,ルテニウムなどの金属もしくは金属酸化物等で被覆してもよい。また該酸化チタン粉末を、バインダ等を用いて、予めゼオライトやシリカゲル等の吸着剤により処理しておいてもよい。
【0022】
このような本発明のシート状物は、例えば、連続したシート状物に上記シリコーンエラストマー組成物を塗布し、次いでその表面に光触媒能を有する酸化チタン粉末を付着させて担持させた後、シリコーンエラストマー組成物を硬化させることにより製造することができる。このときナイフコーター,グラビアコーター,キスロールコーター等のコーターや、スプレーを使用することにより、シリコーンエラストマー組成物を均一に塗布することができる。このようにしてシート状物をシリコーンエラストマー組成物でコーティングした後、硬化させる前にその表面に上記酸化チタン粉末をスプレーなどで吹き付けたり、均一に少量ずつ散布したりして付着させる。この酸化チタン粉末は、洗濯や風雨により流し落とされることなくシリコーンエラストマーコーティング層の表面に担持されていることが好ましいため、シリコーンエラストマー組成物中に付着させた後、幾分沈下させてから加熱などを施して硬化させることが好ましい。尚、少量のシート状物を湿気硬化型シリコーンエラストマー組成物でコーティングする場合には、加熱せずに常温で放置するのみで硬化する。特にシリコーンエラストマー組成物を布帛類に20〜100μmの厚さでコーティングした場合には、容易に硬化が完了する。硬化後は、得られたシート状物を連続的に巻きとる方式が生産性の面から好適である。
【0023】
以上のような本発明のシート状物は、光触媒活性の強い酸化チタン粉末が表層部に担持されているので、紫外線照射により強い酸化分解作用を有する。そのため煤煙などの汚れが付着しても紫外線照射により速やかに分解され、次いで風雨により洗い流されるので、汚れが堆積することなく常にクリーンな表面を維持することができるという利点を有する。また、シート状物の表面にカビや藻類の胞子類が付着しても、それ自体が酸化分解されると同時に、栄養源となる汚れ(微細な有機粉塵など)も自然に分解されて洗い流されてしまうため、繁殖しないという利点を有する。従って本発明のシート状物は、防汚性,防かび性,防藻性に優れるという特徴を有する。このため、本発明のシリコーンエラストマーコーティング布帛類は、ドーム式野球場やテントなどの膜材料として好適に使用される。さらに、該酸化チタン粉末により黄色ブドウ球菌などの病原菌も容易に酸化分解されて無毒化されるので、本発明のシリコーンエラストマーコーティング布帛類は、病院のベッド用生地などにも適用することができる。また、本発明のシリコーンエラストマーコーティング不織布製シートを靴の下敷き等として使用すると、脱靴時に下敷きに付着した大腸菌などが容易に殺菌される。さらに本発明のシリコーンエラストマーコーティング布帛類は太陽光で乾燥させるだけで殺菌されるため、病院や産院などで使用されるおしめカバーとして使用した場合に、洗濯後の塩素殺菌や蒸熱殺菌などの殺菌処理工程を省略できるという利点を有する。また本発明のシート状物は該酸化チタン粉末を固着させているため、防汚効果が持続するという利点を有する。このため、本発明のシリコーンエラストマーコーティングフィルムは長期間透明性を維持することができ、これにより黒ずんだ汚れが付着し、光の透過率が低下して植物の成長を抑えてしまうポリ塩化ビニル製シートの代わりに、トンネル栽培用フィルムとして使用することができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。実施例中、部は重量部を意味し、粘度は25℃における測定値を意味し、%は重量パーセントを意味している。
【0025】
【実施例1】
ガム状の両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(ビニル基含有%:0.15%)100部に、補強用ヒュームドシリカ[日本アエロジル社製;商品名アエロジル300]25部,シリコーン系可塑剤(重合度10の両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン)5部を加えて、ニーダーミキサーを用いて150℃で3時間混練した。このようにして得られたシリコーンエラストマーベース27.5部に、メチルハイドロジェンポリシロキサン2.5部を加えてこれをトルエン70部に均一に溶解した後(このトルエン溶液の粘度は250,000センチポイズであった。)、次いで白金系触媒1.0部を加えてシリコーンエラストマー組成物を調製した。
ガラス板上に、30×30cmの大きさに切断したターポリン基布(ナイロン66製平織使いターポリン用基布)をのせ、この基布表面にアプリケーターを用いて、上記シリコーンエラストマー組成物を200μmの厚さに塗布した。塗布後直ちに、6枚重ねしたガーゼで包んだ光触媒能を有する酸化チタン粉末[石原テクノ(株)製;商品名ST−01,X線粒径測定5nm、比表面積300m2/gの光触媒活性の強い酸化チタン微粉末]を、30cmの高さから軽くたたいて均一に散布した(3g/m2)。次いでこれを、速やかに130℃のオーブン中に入れて3分間加熱してシリコーンエラストマー組成物を硬化させ、シリコーンエラストマーコーティング基布を作成した。
このようにして得たシリコーンエラストマーコーティング基布の表面に、顔料[三菱化学社製;商品名Diaresin Blue P]の0.5%アセトン溶液を、簡易スプレーガンを用いて均一に塗布して汚染させた。これに染色物の耐候堅ロウ度用フェードメーターを用いて紫外線を照射し(照射時間1.0時間,2.5時間,5.0時間)、照射後の変退色をJIS L 0804の変退用グレースケールにより判定した。その結果を表1に示した。本発明のシリコーンエラストマーコーティング基布の変退色は著しく大きく、光触媒能を有する酸化チタン粉末による酸化分解効果は顕著であった。
【0026】
【比較例1】
実施例1において、光触媒能を有する酸化チタン粉末を散布しなかった以外は実施例1と同様にしてシリコーンエラストマーコーティング基布を作成した。得られた基布の紫外線照射後の変退色を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示した。
【0027】
【比較例2】
実施例1で調製したシリコーンエラストマー組成物100部に、光触媒能を有する酸化チタン粉末[石原テクノ(株)製;商品名ST−01]1.0部を添加して均一に溶解分散させた(トルエンを除いたシリコーンエラストマー組成物中の酸化チタン含有率は3.25%であった。)。このようにして得られたシリコーンエラストマー組成物を、実施例1と同様のターポリン基布表面にアプリケーターを用いて200μmの厚さに塗布して、シリコーンエラストマーコーティング基布を作成した。得られた基布において、光触媒能を有する酸化チタン粉末はシリコーンエラストマーコーティング表層部に保持されておらず、シリコーンエラストマー中に分散していた。このシリコーンエラストマーコーティング基布の紫外線照射後の変退色を実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示した。
【0028】
【表1】
Figure 0003996969
【0029】
【実施例2】
重合度30の両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン100部に、ラウリル硫酸ナトリウム2部と水70部を加えて、350kg/cm2の圧力でホモジナイザーを2回通過させた。次いでこれに重合開始剤としてドデシルベンゼンスルホン酸1部を添加して、室温で16時間乳化重合を行った後、水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを7に調節して、分子量約200,000の両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサンのエマルジョンAを調製した。
一方、ジオクチル錫ジラウレート40部に、ラウリル硫酸ナトリウム10部と水40部を加えた後、これをホモジナイザーに通してエマルジョンBを調製した。
上記エマルジョンA100部,エマルジョンB1.5部,コロイド状シリカの水分散液(固形分30重量%)25部および顔料用酸化チタン粉末(粒径570nm、比表面積11m2/g)7.5部を均一に混合した後、ジエチルアミンを添加してpHを11に調節すると共にこれを25℃の室温下で2週間熟成して、シリコーンウォーターベースドエラストマー用オルガノポリシロキサンエマルジョン組成物を調製した。
ガラス板上に、30×30cmの大きさに切断したガラス繊維織物[平織、織密度18(タテ)×17本(ヨコ),重量405g/m2,厚さ0.37mm]をのせ、この織物表面にアプリケーターを用いて、上記オルガノポリシロキサンエマルジョン組成物を200μmの厚さに塗布した。塗布後直ちに、6枚重ねしたガーゼで包んだ光触媒能を有する酸化チタン粉末[石原テクノ(株)製;商品名ST−01,X線粒径測定5nm、比表面積300m2/gの光触媒活性の強い酸化チタン微粉末]を、30cmの高さから軽くたたいて均一に散布した(3g/m2)。散布後、室温下で乾燥させることによりオルガノポリシロキサンエマルジョン組成物を硬化させ、シリコーンエラストマーコーティング織物を作成した。得られた織物の紫外線照射後の変退色を実施例1と同様にして測定した。その結果を表2に示した。本発明のシリコーンエラストマーコーティング織物の変退色は著しく大きく、光触媒能を有する酸化チタン粉末による酸化分解効果は顕著であった。
【0030】
【比較例3】
実施例2で調製したシリコーンウォーターベースドエラストマー用オルガノポリシロキサンエマルジョン組成物100部に、光触媒能を有する酸化チタン粉末[石原テクノ(株)製;商品名ST−01]1.0部を添加して均一に溶解分散させた。このようにして得られたオルガノポリシロキサンエマルジョン組成物を、実施例2と同様のガラス繊維織物表面にアプリケーターを用いて200μmの厚さに塗布して、シリコーンエラストマーコーティング織物を作成した。得られた織物において、光触媒能を有する酸化チタン粉末はシリコーンエラストマーコーティング表層部に保持されておらず、シリコーンエラストマー中に分散していた。このシリコーンエラストマーコーティング織物の紫外線照射後の変退色を実施例1と同様にして測定した。その結果を表2に示した。
【0031】
【表2】
Figure 0003996969
【0032】
【実施例3】
粘度20,000センチストークスの両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン100部に、ヒュームドシリカ[日本アエロジル社製;商品名アエロジル300]15部と重合度10の両末端シラノール基封鎖ジメチルポリシロキサン可塑剤3.5部を加えて、150℃で2時間混練してシリコーンエラストマーベースを得た。次いでこのベース100部に、トルエン15部とビニルトリオキシムシラン12部を加えてシリコーンエラストマー組成物を調製した。
ガラス板上に、30×30cmの大きさのエアバッグ用基布(ナイロン66製)をのせ、この基布表面にアプリケーターを用いて、上記シリコーンエラストマー組成物を200μmの厚さに塗布した。塗布後直ちに、6枚重ねしたガーゼで包んだ光触媒能を有する酸化チタン粉末[石原テクノ(株)製;商品名ST−01,X線粒径測定5nm、比表面積300m2/gの光触媒活性の強い酸化チタン微粉末]を、30cmの高さから軽くたたいて均一に散布した(3g/m2)。散布後、室温で一夜放置してシリコーンエラストマー組成物を硬化させ、シリコーンエラストマーコーティング基布を作成した。得られた基布の紫外線照射後の変退色を実施例1と同様にして測定した。その結果を表3に示した。本発明のシリコーンエラストマーコーティング基布の変退色は著しく大きく、光触媒能を有する酸化チタン粉末による酸化分解効果は顕著であった。
【0033】
【比較例4】
実施例3において、光触媒能を有する酸化チタン粉末を散布しなかった以外は実施例3と同様にしてシリコーンエラストマーコーティング基布を作成した。得られた基布の紫外線照射後の変退色を実施例1と同様にして測定した。その結果を表3に示した。
【0034】
【表3】
Figure 0003996969
【0035】
【実施例4】
実施例1で作成したシリコーンエラストマーコーティング基布を、石油工場地帯中に位置し比較的煤煙等が付着しやすい4階建の建物の屋上の南向き45度に設置した耐候性試験用暴露台に、空中に浮かせた状態で固定した。この基布を平成8年4月から風雨にさらし、3ヶ月後、6ヶ月後の汚染性を未暴露品と対比して、JIS L 0805汚染用グレースケールにより判定した。その結果を表4に示した。本発明のシリコーンエラストマーコーテイング基布の表面の酸化分解力は6ヶ月後も顕著であり、汚れは全く認められなかった。
【0036】
【比較例5】
実施例4と同様にして、比較例1で作成したシリコーンエラストマーコーティング基布の3ヶ月後、6ヶ月後の汚染性を測定した。その結果を表4に示した。
【0037】
【比較例6】
実施例4と同様にして、比較例2で作成したシリコーンエラストマーコーティング基布の3ヶ月後、6ヶ月後の汚染性を測定した。その結果を表4に示した。
【0038】
【比較例7】
実施例1で調製したシリコーンエラストマー組成物を、実施例1と同様のターポリン基布表面にアプリケーターを用いて200μmの厚さに塗布した。これを130℃のオーブンで3分間加熱して硬化させた後、硬化物表面に光触媒能を有する酸化チタン粉末[石原テクノ(株)製;商品名ST−01,X線粒径測定5nm、比表面積300m2/gの光触媒活性の強い酸化チタン微粉末]を実施例1と同様にして散布して、シリコーンエラストマーコーティング基布を作成した。得られた基布上の酸化チタン粉末は、シリコーンエラストマーコーティング表面に付着しているだけで完全に固着していなかった。このシリコーンエラストマーコーティング基布の3ヶ月後、6ヶ月後の汚染性を、実施例4と同様にして測定した。その結果を表4に示した。
【0039】
【表4】
Figure 0003996969
【0040】
【発明の効果】
本発明のシリコーンエラストマーコーティングシート状物は、表層部に光触媒能を有する酸化チタン粉末が固着しているので、汚れが付着しにくく、たとえ汚れが付着しても分解、除去が容易であるという特徴を有する。さらにこの酸化チタン粉末はシリコーンエラストマー中に担持されているため、防汚効果が持続するという利点を有する。また本発明の製造方法は、本発明のシート状物を生産性よく製造することができるという利点を有する。

Claims (6)

  1. シート状物にシリコーンエラストマー組成物を塗布し、次いでその表面に光触媒能を有する酸化チタン粉末を担持させた後、シリコーンエラストマー組成物を硬化させることを特徴とする、該シリコーンエラストマー表層部に光触媒能を有する酸化チタン粉末が固着していることを特徴とするシリコーンエラストマーコーティングシート状物の製造方法。
  2. シート状物が、紙,フィルムおよび布帛類からなる群から選択されるものである、請求項1記載のシリコーンエラストマーコーティングシート状物の製造方法
  3. シリコーンエラストマーが、付加反応硬化型シリコーンエラストマー組成物,縮合反応硬化型シリコーンエラストマー組成物およびラジカル反応硬化型シリコーンエラストマー組成物からなる群から選択されるシリコーンエラストマー組成物を硬化させてなるエラストマーである、請求項1記載のシリコーンエラストマーコーティングシート状物の製造方法
  4. 光触媒能を有する酸化チタン粉末が、粒子径5〜25nmの微粉末である、請求項1記載のシリコーンエラストマーコーティングシート状物の製造方法。
  5. シリコーンエラストマーが、縮合反応硬化型シリコーンエラストマー組成物を硬化させてなるエラストマーである、請求項1記載のシリコーンエラストマーコーティングシート状物の製造方法
  6. 請求項1に記載のシリコーンエラストマーコーティングシート状物の製造方法で製造されたことを特徴とするシリコーンエラストマーコーティングシート状物
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