JP4578966B2 - 水性シリコーンエマルジョンを使ったシリコーンエラストマーの少なくとも一層で建築用テキスタイルを被覆するための方法及びこうして被覆された建築用テキスタイル - Google Patents

水性シリコーンエマルジョンを使ったシリコーンエラストマーの少なくとも一層で建築用テキスタイルを被覆するための方法及びこうして被覆された建築用テキスタイル Download PDF

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Description

本発明は、支持材に薄層として塗布及び架橋可能な水性ポリオルガノシロキサン(POS)エマルジョンから得られるシリコーンエラストマーの少なくとも一層で建築用テキスタイルを被覆するための方法に関し、並びにこうして得られた建築用シリコーン膜に関する。
より具体的には、本発明は建築用テキスタイル(限定的ではないがとりわけガラス布(woven glass fabrics))をシリコーンで被覆して得られる建築用シリコーン膜の製造に関する。
前記製造は建築用テキスタイルに液状シリコーン組成物を堆積し、次いで塗布した薄膜が架橋(硬化)してエラストマーへ変換されるようにすることで行う。
「建築用テキスタイル」とは、被覆した後に:
− 小屋(shelters)、移動式建造物、布地建造物、パーティション、フレキシブルドア、防水布(tarpaulins)、テント、スタンド(stands)又は大テント(marquees);
− 家具、外装材、広告用ディスプレイ、風よけ又はフィルターパネル;
− ソーラープロテクション装置、天井及びブラインド;
の製造が意図されている織物又は不織布、そしてより一般的には任意の繊維状支持材を意味するものとして理解される。
シリコーン被膜は建築用テキスタイルの機械的特性、とりわけ引裂抵抗、ほつれに対する抵抗、柔軟性、又は更にはしわに関する適性を向上させるためのバインダーとして特に作用する。
シリコーン被膜は建築用テキスタイルへある程度の浸透性及び撥水性を付与するのにも貢献することができる。
ガラス布のような不燃性建築用テキスタイルの場合、シリコーン被膜が上記テキスタイルの難燃性、特に発熱量に負担をかけないことが重要である。
テキスタイル材料を熱及び火から保護するのに加え、シリコーン被膜はテキスタイル材料を他の攻撃から保護することもでき、及び/又はテキスタイル材料に対して所定の用途のために特定の特性(例えば、誘電性特性)を付与することもできる。
建築用テキスタイル上へのエラストマー被膜を作製することに関してはいくつかの重大な技術的課題がある。
第一の課題はテキスタイル上への非架橋シリコーン組成物の堆積/含浸操作に関連する。これが容易且つ迅速(工業的速度)に、そして明白な経済的理由のために、低減された堆積度(例えば、40ミクロン未満)で実施できることは重要である。
第二の課題はテキスタイル上でシリコーン被膜が有すべき最低レベルの接着力にある。
第三の課題は、ガラス布のような、ある種の建築用テキスタイルの不燃性の質を害することなく、機械的特性、保護的役割、撥水特性及び防水特性に関してシリコーンエラストマー被膜の性能を向上させようとする野心から生じる。
上で標的とした第一の課題を熟考した当業者は充填剤有り又は無しの水性シリコーンエマルジョン型の液状シリコーン組成物へと導かれてきた。これらのエマルジョンが上述した第二及び第三の課題の適切な解決を可能とするか否かについてはまだ分からない。
欧州特許出願EP−A−0 535 649号は:
− アニオン性乳化剤の存在下での水中エマルジョンとしてのPOS型ポリオルガノシロキサン(A)(例えばα,ω−ジメチルヒドロキシシロキシ PDMS)、
− アミノ官能性シラン又はその加水分解物と、酸無水物、エポキシ官能性シラン又はその加水分解物及び/又はイソシアネート基及び加水分解性基を有するオルガノシラン又はその加水分解物との反応生成物よりなる群から選択される接着促進剤(B)(例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン + 無水マレイン酸)、
− コロイドシリカ(C)、
− 触媒(D)
を含むシリコーンエマルジョンが関与するエアバッグの被覆方法を開示する。
該方法に使用されるエマルジョンはエマルジョンの接着力、反応性及び安定性の観点での不充分に妥協されており、とりわけ支持材に対するシリコーンの不充分な接着力、使用されるシラン及び使用される界面活性剤と≡SiH含有オイル及び白金触媒をベースとした重付加系との不適合性の欠点を有する。
同様に、欧州特許出願EP−A−0 552 983号には(A)少なくとも二つのアルケニル基をもつオルガノポリシロキサン(α,ω−ジメチルビニルシロキシ ポリ(ジメチル)ビニルメチルシロキサン)、(B)少なくとも三つの水素原子をもつオルガノヒドロポリシロキサン(α,ω−トリメチルシロキシポリ(メチルヒドロ)シロキサン)及び(C)白金架橋触媒、(D)エチニルシクロヘキサノール型の架橋抑制剤、(E)エポキシ化トリアルコキシシラン又はアミノ官能性シラン型(第4頁、第34行)の接着促進剤及び(F)随意的に、コロイドシリカのような補強用充填剤から、乳化剤(ドデシルベンゼンスルホナート及びポリ(ビニルアルコール)PVA)の存在下で水中での乳化によって得られる同種のエマルジョンを用いたコーティング方法が開示されている。
該コーティング法において使用されるエマルジョンは(支持材への)接着力/(エマルジョンの)安定性が不充分に妥協されており、とりわけドデシルベンゼンスルホナート及び非塩化(nonsalified)アミノ官能性シランの使用によって重付加エマルジョンの安定性が制限されるという欠点を有する。
欧州特許EP−B−0 758 666号は:
1) 鎖末端でビニル化(ビニルジメチルシロキシ)したポリジメチルシロキサン(PDMS)型のPOS;
2) α,ω−トリメチルシロキシポリ(メチルヒドロ)(ジメチル)シロキサン型の水素化POS;
3) カールシュテット(Karstedt)白金型の白金触媒;
4) ビニルトリアセトキシシランとグリシジル基によって官能化されたトリメトキシシランとの反応により製造した接着促進剤;
5) エチニルシクロヘキサノール型の架橋抑制剤;
6) MT型のシリコーン樹脂(ここで、M=(Me3SiO1/2)、T=(MeSiO3/2);
7) ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム型の乳化剤;
を含む水性エマルジョンを用いたフレキシブル支持材の被覆に関する。
この重付加シリコーンエマルジョンはテキスタイル被覆用の被膜の作製において好適な用途を有する(エアバッグ:ポリアミド支持材)。
欧州特許出願EP−A−1 010 721号には、カーボンブラックで構成された追加の添加剤を有する、EP−B−0 758 666号にて開示されたものと同一のエマルジョンが開示されている。
特許出願FR−A−2 738 830号は水性ポリオルガノシロキサンエマルジョンを用いたテキスタイル材料の被覆に関する。このエマルジョンはプリエマルジョンA及びプリエマルジョンBを混合することにより得られる。
プリエマルジョンAは:
− 1) α,ω−ジメチルビニルシロキシPDMS型のPOSオイル;
− 2) α,ω−ジメチルヒドロシロキシPOS型の水素化POSオイル;
− 3) ポリ(ジメチル)(メチルヒドロ)シロキサン型の水素化POSシリコーンオイル;
− 4) 以下の種類の接着促進剤:ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO)又は4−エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、ブチルオルトチタネート型のキレート、又は、最後に、重付加によって架橋可能なシリコーン組成物に関してはアミノ官能性トリメトキシ−又はトリエトキシシラン型のアミノ化シラン;
− 5) エチニルシクロヘキサノール型の架橋抑制剤;
− 6) そして疎水性としたシリコーンオイル中の充填剤(コロイドシリカ);
を含む。
プリエマルジョンBは:
− 1’) エマルジョンAのものと同一のα,ω−ジメチルビニル化POSオイル;
− 4’) ブチルチタネート型の接着促進剤;
− 7) 白金触媒;
− 6’) エマルジョンAのものと同一のコロイド状充填剤。
プリエマルジョンA及びBは上述した組成物を水及びポリ(ビニルアルコール)(PVA 25/140 Rhodoviol(登録商標))の存在下で攪拌することによりそれぞれ製造する。別々に製造した後は、プリエマルジョンA及びBを互いに混合する。
この水性シリコーンエマルジョンの製造方法は最適化されていない。以下の欠点:エマルジョンが非常に粗大であること、中間シリコーン混合物を製造する必要があるので比較的柔軟性に欠けて費用のかかる方法であること、高濃度エマルジョンの製造が困難であること、が注目される。
このような技術の現状において、本発明の重要な課題の一つは重付加によって架橋可能で、そして制限的な堆積度合(例えば40g/m2未満)に従って建築用テキスタイル上へ素早く容易に堆積/塗布が可能となるような流動学的性質をもつシリコーンエマルジョンを使用した、建築用テキスタイルの被覆方法を提供することである。
本発明の重要な課題のもう一つは、建築用テキスタイルを保護するための緻密な被膜(薄層)(該シリコーンエラストマー被膜は優れた機械的特性(密着性、柔軟性)を有し、建築用テキスタイルに対してほつれ及び引き裂きに対する良好な抵抗としわに関する良好な適性を付与する。)の形成方法を提供することである。
本発明の重要な課題のもう一つは、堆積が容易で、使用するエマルジョンの量が制限的で、そして、例えば、NFP 92510に準拠して測定して、総発熱量が4200kJ/kg未満、好ましくは2500kJ/kg未満の良好な不燃性を示すシリコーン被覆された支持材となる、建築用テキスタイルを保護するための緻密な被膜(薄層)の形成方法を提供することである。
本発明の重要な課題のもう一つは、制限的な量及び安い費用で、それほど接着性が良くない無機又はポリマーの建築用テキスタイル上に、繊維に接着して非粘着性、撥水性及び不透過性を付与し、容易堆積性の仕様に応えるシリコーン被膜の形成方法を提供することである。
本発明の重要な課題のもう一つは、エラストマーの膜が、折り畳み時にきず(marking)が生じる現象を可能な限り制限しつつ被覆されたテキスタイルに強度、密着力、柔軟性を与えることの出来る、建築用テキスタイルに対しての良好なバインダーとなるような組成のエマルジョンを用いて、保護用で、不透過性で、随意的に不燃性で、柔軟で、抵抗力のあるエラストマー被膜を形成するための、建築用テキスタイルへのシリコーンコーティング方法を提供することである。
本発明の重要な課題のもう一つは、化学的に安定(≡SiH基及び反応性の保持)で、物理的に安定(エマルジョンの保存中におけるクリーミングの制限及び凝集の制限)であり、処理したテキスタイルを乾燥することによって反応性(重付加による架橋)及び支持材への接着の観点で良好な特性を示すエマルジョンを使用するシリコーンコーティングの方法を提供することである。
本発明の重要な課題のもう一つは、重付加により架橋可能で、上述した仕様を有する水性シリコーンエマルジョンを使用した建築用テキスタイルの被覆方法を提供することである。該方法は柔軟で、折り畳み時にきずが付かず、引き裂き及びほつれに強く、そして随意的に、例えば、NFP 92510に準拠して測定して、総発熱量(GCV)が4200kJ/kg未満、好ましくは2500kJ/kg未満の不燃性を有する被覆された建築用テキスタイルを製造可能としつつも、簡単で、経済的で且つ工業的でなければならない。
本発明の重要な課題のもう一つは、上記課題において規定した型式の方法に従って、水性シリコーンエマルジョンの被覆及び重付加架橋によってできるシリコーンエラストマーの薄膜で被覆した建築用テキスタイルを提供することである。この被覆された建築用テキスタイルは、内装又は外装用テキスタイル建築及びソーラープロテクション用の膜の製造が目的とされている。
上記課題は、他の課題とともに本発明によって達成される。本発明はまず、以下の工程:
・重付加反応により架橋してエラストマーを与えることができ;
(A) ケイ素に結合したC2〜C6のアルケニル型の不飽和基を1分子当たり少なくとも二つもつ少なくとも1種のPOS、
(B) ケイ素に結合した水素原子を1分子当たり少なくとも三つもつ少なくとも1種のPOS、
(C) 一分子当たりに少なくとも一つの水酸基と少なくとも一つのアミノ塩化(aminated and salified)した基をもつ保護用親水コロイド、水酸化シラン及び/又はPOS、並びにこれらの混合物よりなる化合物群から選択される少なくとも1種の特別な接着促進剤(ここで、シリコーン相に対する接着促進剤(C)の重量パーセントの条件は厳格に0.005〜10%、好ましくは0.03〜5%、より好ましくは0.05〜4%の範囲である。)
(D) 少なくとも1種の触媒、
(E) 少なくとも1種の界面活性剤、
(F) 随意的に、少なくとも二つのアルケニル基をもつ少なくとも1種のPOS樹脂、
(G) 少なくとも1種の架橋抑制剤、
(H) 随意的に、少なくとも1種のpH調節剤、
(I) 随意的に、少なくとも1種の処方添加剤、
(J) 随意的に、充填剤、
(K) 並びに水;
を含む水性ポリオルガノシロキサン(POS)エマルジョンの少なくとも一層を建築用テキスタイル上へ堆積する工程と:
・ 次いで、建築用テキスタイルの重量に対する被膜の重量比が乾燥ベースで0.2未満、好ましくは0.05〜0.11である、エラストマー層で被覆された建築用テキスタイルが得られるように架橋する工程と、
を含むことを特徴とした、少なくとも一層のシリコーンエラストマー層で建築用テキスタイルを被覆することによって建築用シリコーン膜を製造するための方法に関する。
好ましくは、接着促進剤(C)の重量/テキスタイルによって形成された表面の比率は0.1〜10mg/m2、好ましくは0.2〜5mg/m2である。
「テキスタイルによって形成された表面」とは、本発明においては、建築用テキスタイルを構成し、エマルジョンによって被覆されることになる繊維によって形成された表面を意味するものとして理解される。
堆積工程は有利には被覆(コーティング)工程である。
被覆工程は、とりわけナイフ塗布(特にロール式ナイフ、フローティングナイフ及びカーペット式ナイフ)、(特に二つのロール間で絞る)パジングによって、或いはキスロール、回転機、リバースロール、トランスファー、スクリーン印刷、写真製版法(ヘリオグラフィ)又は噴霧によっても実施することができる。
テキスタイル材料の一方若しくは両方の面に被覆することができ、両面被覆は有利にはエマルジョンを織物に含浸した後にパジングすることによって実施される。ロール間を通過した後は、テキスタイルはエマルジョンの緻密層(fine layer)で均一に被覆されている。次いで、乾燥及び架橋を、好ましくは熱風又は赤外照射によって、特に30秒〜5分間、基材の分解温度を超えない架橋温度で実施する。
片面に被覆を実施するときは、ナイフ塗布が好適に用いられる。エマルジョンを連続的にテキスタイルの上面に堆積させ、次いでナイフの下を通過する。その後、上と同様に乾燥及び架橋する。
好ましくは、被覆は:
− 建築用テキスタイルの、上で規定したエマルジョンの浴への浸漬、
− (好ましくはロール間を通過することによる)排水、
− その後、(重付加機構に従い架橋が行われるときは好ましくは熱活性化の下での)架橋、
によって実施される。
エラストマー層は好ましくは5〜200g/m2である。二成分系エマルジョンの場合は、本方法は二成分を混合する予備工程を含む。
有利には、建築用テキスタイルは織物、不織布、編物、又はより一般的にはガラス、シリカ、金属、セラミック、炭化ケイ素、炭素、ホウ素、天然繊維(例えば、綿、羊毛、麻又は亜麻)、人工繊維(例えば、ビスコース又はセルロース繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル、クロロファイバー、ポリオレフィン、合成ゴム、ポリ(ビニルアルコール)、アラミド、フルオロファイバー、フェノール系)等よりなる材料群から選択される繊維及び/又はヤーンを含有する任意の繊維状支持材である。
建築用テキスタイルは、ガラス、シリカ、金属、セラミック、炭化ケイ素、炭素又はホウ素のような無機材料から選択されるときは、一旦被覆されると、注目すべきことに、総発熱量(GCV)は4200kJ/kg以下、好ましくは2500kJ/kg以下である。
有利には、被覆された建築用テキスタイルの全重量は1200g/m2未満、好ましくは100〜500g/m2であり、内装及び外装建築又はソーラープロテクション用の良好な不燃性特性を示す複合膜の製造が可能となる。
本発明に係る方法において採用される水性シリコーンエマルジョンは室温で重付加により架橋可能なタイプのもの(RTV)であり、白金によって触媒された架橋は熱による(100〜200℃)活性化が可能であることが知られている。
本発明に係る方法の水性シリコーンエマルジョンは多くの建築用テキスタイル、例えば、ガラス繊維製のもの、随意的に、ポリエステル又はポリアミド型の合成繊維製のものに接着する。
無機系の建築用テキスタイルに関しては、上記エマルジョンを用いた方法によって、撥水性があり、柔軟性、耐引裂性及び耐ほつれ性について良好な機械的特性を有し、発熱量の低い(例えば、GCV≦2500kJ)シリコーンエラストマーの薄層で被覆したガラス布の製造が可能となる。
本発明に係る方法において採用されるエマルジョンの重要な成分の一つは特別な接着促進剤(C)であり、これは:
− 他の乳化剤と組み合わせて又は組み合わせないで、界面活性剤(E)としても作用することが可能な少なくとも1種の保護用親水コロイド(好ましくはPVA)、
− 或いは、注意深く選択された特定のシラン及び/又はPOS、すなわち水酸化及びアミノ塩化(amino-salified)したシラン及び/又はPOS、
− 或いは代替的に、保護用親水コロイド(好ましくはPVA)と水酸化及びアミノ塩化(amino-salified)したシラン及び/又はPOS、
によって、接着力が導入されるように注意深く選択される。
本発明の第一の実施形態によれば、保護用親水コロイド(好ましくはPVA)は、接着促進剤(C)としてのみ作用する。
本発明の第二の実施形態によれば、界面活性剤(E)は少なくとも1種の保護用親水コロイド(好ましくはPVA)で少なくとも部分的に構成される。
第一の実施形態においては、保護用親水コロイド(好ましくはPVA)は充分に接着促進剤(C)として、及び不完全に乳化剤としてのみ作用できるように少ない量で存在する。この結果、エマルジョンは主たる乳化剤又は界面活性剤(E)を含有する必要がある。
第二の実施形態においては、保護用親水コロイド(好ましくはPVA)、接着促進剤及び乳化剤は、シリコーンオイルの全重量に対して乾燥PVAが1.5〜7%の比率となるように存在する。
質的には、保護用親水コロイドは好ましくはポリ(ビニルアルコール)(PVA)又はPVAブレンドであり、好ましくは、水溶液(4%、20℃)中で、典型的な粘性率(tdη)が5〜40mPas、好ましくは10〜30mPasで、エステル価が80以上、好ましくは100以上、とりわけ120〜200であるPVA等級であると指摘することができる。
好ましくは、PVAは典型的な粘性率(tdη)が5〜40mPas、好ましくは10〜30mPasで、エステル価が80以上、好ましくは100以上、とりわけ120〜200である水溶液の形態で用いることができる。
ポリ(ビニルアルコール)(PVA)は水性媒体中での加水分解又は無水媒体中でのアルコール分解によってそのエステルから間接的に得られる化合物である。実際上は、出発材料として使用するエステルは一般にポリ(酢酸ビニル)である。一般に、PVAが生じるエステルの分解は完全ではない。アシル基が分子中に残存し、その比率がPVAの特性、特に溶解性に影響する。従って、PVAを規定する一形態は、加水分解の度合に反比例するエステル価(EV)の度数に基づいている。EVは、ポリ(ビニルアルコール)の(可能性のある)酸度の中和、アシル基の鹸化及び過剰なアルカリ度の滴定によって、それ自体公知の方法で測定される。
本発明によるポリ(ビニルアルコール)は典型溶液の粘性率(本明細書ではtdηで示される。)の測定によって評価可能な縮合度によっても特徴付けられ、該変数は縮合度が増加するにつれて増加する。
粘性率(tdη)は、オストワルド粘度計を用いて20±5℃の温度で測定した、4重量%の水性PVA溶液の粘性係数に対応する。
他の保護用親水コロイドとして、水分散性スルホン化ポリエステル、とりわけスルホン化ポリ(エチレンテレフタレート)型のものを挙げることができる。
水分散性スルホン化ポリエステルは商業的に入手可能な公知の製品である。これらは例えば、テトライソプロピルオルトチタネートのような通常のポリエステル化触媒の存在下で、有機二酸(例えば、飽和又は不飽和の脂肪族二酸、芳香族二酸、いくつかの芳香核をもつ二酸又は芳香脂肪族二酸)、そのジエステル又は無水物、及びスルホン化有機二酸又はそのジエステルと、ジオールとの縮合によって製造することができる。
水分散性スルホン化ポリエステルの製造に通常使用される出発モノマーとしては:
− 有機二酸として、飽和又は不飽和の脂肪族二酸又は芳香族二酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、オルトフタル酸、イソフタル酸又はテレフタル酸)、上記酸の無水物又はジエステル(例えば、ジメチル、ジエチル、ジプロピル又はジブチルエステル)(好ましい化合物はアジピン酸、オルトフタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸である。);
− スルホン化有機二酸として、スルホン化ナトリウム二酸又はそのジエステル(例えば、イソフタル酸ジアルキル、スルホコハク酸ジアルキル、具体的にはイソフタル酸ジメチル−5−スルホン酸ナトリウム又はスルホコハク酸ジメチルナトリウム;
− ジオールとして、脂肪族グリコール(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びより高級な同族体)、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール及び環状グリコール(例えば、シクロヘキサンジオール又はジシクロヘキサン−ジオールプロパン)(ジオールは好ましくはエチレングリコール及びジエチレングリコールから選択される。);
が挙げられる。
好ましい水分散性スルホン化ポリエステルは数平均分子量が10,000〜35,000で、酸価はKOHが5mg未満/gで、硫黄レベルが0.8〜2重量%、好ましくは1.2〜1.8重量%のものである。とりわけ、この種のポリエステルとしては、Gerol PS20の商標名でロディア(Rhodia)社より市販されている製品を使用することができる。
促進剤(C)の構成成分になり得る水酸化及びアミノ塩化(amino-salified)したシランは非塩化前駆物質から製造され、例示的には、SiOH基の部分的な縮合により随意的にオリゴマー化した、NH2(CH23−Si(OH)3のようなモノアミントリヒドロキシモノシランが挙げられる。
上で特定してきたが、水分散性接着促進剤(C)は好ましくは水酸化、アミノ塩化(aminated and salified)したPOSを含む。
促進剤(C)を構成するこれらのアミノ塩化したPOSは有利には以下の平均式(I)のいくつかの反復単位で形成される。
Figure 0004578966
(式中、
■ R1は反復単位ごとに同一の又は異なる種類の無窒素の一価基で、C1〜C6のアルキル、アリール、C2〜C8のアルケニル又はアクリレートに相当し、上記基のそれぞれは随意的に置換されている。
■ R2は反復単位ごとに同一の又は異なる種類で、次式:
−R4−N(+)56(-)
(式中、
・ R4は随意的に置換されたC1〜C10の炭化水素基であり、
・ 基R5及びR6は同一の又は異なるもので、水素又は随意的に置換されたC1〜C10の炭化水素基又は−R4−NH3 (+)(-)を表し、
・ 或いは代替的に、基R5及びR6は水素以外で、一緒に少なくとも1個のヘテロ原子(好ましくは窒素又は酸素)を含む5〜7員環を形成し、
・ Xはカルボキシレート又はハライドから選択されたカウンターアニオンである。)
に対応する。
■ x、y及びzは4未満の正の整数又は小数である。
■ x+y+z<4である。)
好ましくは、アミノ塩化(aminated and salified)したPOSは平均したケイ素官能性が2未満(x+y<2に相当)を示す樹脂である。
・ xは好ましくは2未満、より好ましくは0.1≦x≦1である。
・ yは好ましくは1.2未満、より好ましくは0.1≦y≦1.1である。
これは:
・ 水酸化され、T及び随意的にM及び/又はD及び/又はQのシロキシ単位、或いは代替的にQ及びM及び/又はD及び/又はTのシロキシ単位を含むPOS樹脂に一方で相当し;
・ 少なくとも1個のアミノ塩化(aminated and salified)単位をもつPOS樹脂に他方で相当する。
POS(C)のM、D、T及びQのシロキシ単位は:
− 単位M = R3SiO1/2
− 単位D = R2SiO2/2
− 単位T = RSiO3/2
− 単位Q = SiO4/2
で定義される。
基Rは同一の又は異なるもので:
− 上で定義した基R1(例えば、アルキル(具体的にはメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル及びn−ヘキシル)基、水酸基又はアルケニル(具体的にはビニル又はアリル)基)、
− 或いは代替的に、上で定義した、アミノ塩化可能(aminosalifiable)な又は塩化(salified)したR2単位、
に相当する。
促進剤(C)として使用可能な線状水酸化POS樹脂の例としては、両端が水酸基をもち、各ケイ素原子はアミノ塩化可能(aminosalifiable)な又は塩化(salified)した単位をもつポリメチルシロキサンが挙げられる。
より特別に選択された樹脂はT(OH)、DT(OH)、DQ(OH)、DT(OH)、MQ(OH)、MDT(OH)又はMDQ(OH)型のもの、或いはこれらの混合物である。これらの樹脂中で、各OH基は単位D、T又はQに属するケイ素原子に保有される。
これらの樹脂は、(好ましくは水酸基性の)縮合可能な基をもつPOSモノマー、オリゴマー又はポリマーの縮合生成物(モノ−又はポリ縮合、ヘテロ−又はホモ縮合)である。
上記水酸基に加えて、促進剤(C)は互いに同一の又は異なる1個又は複数のアミノ塩化可能(aminosalifiable)な又は塩化(salified)した単位を含む。
上記単位中で、アミンは第一級、第二級又は第三級となり得る。代替的な形態によれば、アミンは環中に含まれ、又はイソシアヌレート又はHALS(ピペリジン型又はその他の)基中に含まれ得る。
本発明の目的の枠内で、HALS基を次式:
Figure 0004578966
(式中、
・ 基R7は、互いに同一の又は異なるものであり、炭素原子を1〜3個もつ線状又は分枝状のアルキル基、フェニル基及びベンジル基から選択され;
・ R8は水素原子、炭素原子を1〜12個もつ線状又は分枝状のアルキル基、アルキルカルボニル基(ここでアルキル残基は1〜18個の炭素原子をもつ線状又は分枝状の残基、フェニル基、ベンジル基及び酸素基である。);
・ tは0及び1から選択される数であり;
・ 好ましくは、基R7はメチルであり、基R8は水素数又はメチル基であり、tは有利には1に等しい数である。)
の環状炭化水素鎖(HALS)と定義することができる。
前記アミノ塩化可能な又は塩化した単位は有利には、エマルジョンが塗布されるテキスタイル支持材に結合でき、促進剤(C)に望まれる水への溶解性を害することなく接着力を付与するように選択される。
アミノ塩化可能な又は塩化した及び水酸化した水溶性シリコーン樹脂型の上記促進剤(C)並びにそれらの製造に関する更なる詳細については特許FR−B−2 753 708号又は欧州特許出願EP−A−0 675 128号を参照することができ、それらの内容を本明細書に援用する。
アミノ塩化可能な単位の具体例としては、とりわけ:
− アミノプロピル: (H2N)(CH23−、
− N−メチル−3−アミノプロピル: (H3CNH)(CH23−、
− N−アミノエチル−3−アミノプロピル: (H2N)(CH22NH(CH23−、
− C65CH2NH(CH22(NH)(CH23−、
− 3−ウレイドプロピル: (H2NCONH)(CH23−、
− 3−(4,5−ジヒドロイミダゾール−1−イル)プロピル:
Figure 0004578966
が挙げられる。
随意的に、アミノ塩化可能な単位を含む前記促進剤は:
− 3−メタクリロキシプロピル: (H2C=C)(CH3)(COO)(CH23−、
− 3−グリシジロキシプロピル:
Figure 0004578966
− 3−メルカプトプロピル: (HS)(CH23
− 3−クロロプロピル: (Cl)(CH23
− ビニル: CH2=CH−
のような非アミノ化基をもつこともできる。
当業者に知られた技術、とりわけ、上述した単位をもつ非アミノ化アルコキシシランと共にアミノ化アルコキシシランを共加水分解(cohydrolysis)/共縮重合(cocondensation)することにより上記単位を組み込むことができる。
これらの非アミノ化単位をもつアルコキシシランを塩化(salified)アミノ化シランを含むエマルジョンに添加することも可能である。
本発明において選択された促進剤(C)の重要な特徴の一つは、少なくとも一つの≡N+-(ここで、Xはカルボキシレート又はハライド、好ましくはラクタート、アセタート又はクロライドから選択されたカウンターアニオンを示す。)を含む上述したアミノ化単位を通じて塩化(salified)していることである。
促進剤(C)が塩化するためには、分散液の水性連続相が該促進剤(C)(好ましくは水酸化POS樹脂)がイオン化した形態に維持されるようなpHとすることが望ましい。pHは使用するカウンターアニオンに対応する酸のpKaに応じて、それ自体公知の方法によって選択される。
水酸化した樹脂の形態にある好ましい促進剤(C)は分散剤の水性連続相に含まれ、そこに溶解又は微細に分散している。
一つの代替的な形態によれば、促進剤(C)の一部のみが塩化した形態にあり、残りは非塩化である形態を予想することができる。
異なる種類の促進剤(C)の混合物も本発明によって網羅される。
本発明に係る方法で採用されるエマルジョンのシリコーン相は、重付加機構に従い室温(23℃)で架橋/硬化によってエラストマーを生じさせることが意図されたPOSを含む。室温より高い温度での熱活性化によって架橋を加速することができる。室温重付加の硬化性エラストマー及び高温重付加の硬化性エラストマーは本発明の枠内にある。
本発明に係る組成物の主成分である上記ポリオルガノシロキサンは、線状であるか、分枝状であるか又は架橋されており、炭化水素基及び/又は反応性基(例えば、水酸基、加水分解性基、アルケニル基、水素原子等)を含むことができる。オルガノポリシロキサン組成物については文献、特にウォルター・ノル(Walter Noll)著の「“シリコーンの化学及び技術(Chemistry and Technology of silicones)”、アカデミック出版(Academic press)、1968年、第2版、p.386−409」に充分に説明されていることに留意すべきである。
より具体的には、本発明に係る組成物の主成分であるPOSは、一般式:
Figure 0004578966
で表されるシロキシ単位及び/又は、式:
Figure 0004578966
で表されるシロキシ単位で構成される。
上記の式中の種々の記号は以下の意味を有する。
− 記号R9は同一の又は異なるものであり、それぞれ炭化水素性の非加水分解性基を示し、当該基は:
・ 1〜5個の炭素原子をもち、1〜6個の塩素及び/又はフッ素原子を含むアルキル又はハロアルキル基、
・ 3〜8個の炭素原子をもち、1〜4個の塩素及び/又はフッ素原子を含むシクロアルキル及びハロシクロアルキル基、
・ 6〜8個の炭素原子をもち、1〜4個の塩素及び/又はフッ素原子を含むアリール、アルキルアリール及びハロアリール基、
・ 3〜4個の炭素原子をもつシアノアルキル基;
とすることが可能である。
− 記号Zは同一の又は異なるものであり、それぞれ水素原子又はアルケニル基を示す。
nは0、1、2又は3に等しい整数である。
xは0、1、2又は3に等しい整数である。
yは0、1又は2に等しい整数である。
− x+yは1〜3である。
ケイ素原子に直接結合した有機基R9の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、n−ペンチル、t−ブチル、クロロメチル、ジクロロメチル、α−クロロエチル、α,β−ジクロロエチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、α,β−ジフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、トリフルオロシクロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロペンチル、β−シアノエチル、β−シアノプロピル、フェニル、p−クロロフェニル、m−クロロフェニル、3,5−ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、テトラクロロフェニル、o−,p−又はm−トリル、α,α,α−トリフルオロトリル、キシリル(例えば、2,3−フェニル基又は3,4−フェニル基)が挙げられる。
好ましくは、ケイ素原子に結合した有機基R9はメチル又はフェニル基であり、上記基は随意的にハロゲン化することができ、又は代替的にシアノアルキル基である。
記号Zは水素原子又はビニル基とすることができる。
一般に金属触媒(好ましくは白金触媒)の存在下で、室温又は加熱下で重付加反応(本質的にはヒドロシリル基とアルケニルシリル基の反応)により架橋する多種多様な二成分又は一成分系のオルガノポリシロキサン組成物の使用が可能であり、これらは例えば、米国特許第3 220 972号、同第3 284 406号、同第3 436 366号、同第3 697 473号及び同第4 340 709号に開示されている。これらの組成物に含まれるオルガノポリシロキサンは一般に、一方で、単位(III)で構成される線状、分枝状又は架橋したポリシロキサンの少なくとも1種(ここで、残基Zはアルケニル基を示し、xは1以上であり、随意的に単位(II)と組み合わせられる。)をベースとし、他方で、単位(III)で構成される線状、分枝状又は架橋したヒドロポリシロキサンの少なくとも1種(ここで、残基Zは水素原子を示し、xは1以上であり、随意的に単位(II)と組み合わせられる。)をベースとする組(ペア)で構成される。単位(III)を含む不飽和ポリシロキサン成分に関しては、25℃の粘性率が200〜500,000mPasのオイルとすることができる。該成分としては、必要に応じて、上述したオイルをベースとした、粘性率が500,000mPasを超え、106mPasまでの範囲とすることができる不飽和ゴムとの混合物を使用することができる。
好ましくは、本発明において使用されるエマルジョンは、重付加組成物が問題とされるときは、少なくとも1種の非水酸化シリコーン樹脂(F)を付加的に含む。上記シリコーン樹脂はよく知られており商業的に入手可能な分枝状POSポリマーである。これらは一分子当たり、式R10 3SiO1/2(単位M)、R10 2SiO2/2(単位D)、R10SiO3/2(単位T)及びSiO4/2(単位Q)から選択される少なくとも2種類の単位をもつ。
基R 10 は同一の又は異なるものであり、線状又は分枝状のアルキル、ビニル、フェニル又は3,3,3−トリフルオロプロピル基から選択される。好ましくは、アルキル基は1〜6個の炭素原子(両端を含む)をもつ。より特別には、アルキル基Rとして、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル及びn−ヘキシル基が挙げられる。
有利には、重付加型のエマルジョンにおいては、基R10の少なくとも一部はビニル残基(Viの含有量(重量比)はとりわけ0.1〜2%である。)である。これらビニル基は単位M、D又はTによって保有される。例示的にはMDViQのようなビニル化したMDQ樹脂、又は代替的にMMViQ樹脂が挙げられる。
見込まれる親水コロイド(PVA)以外の界面活性剤(E)に関しては、アニオン性(エマルジョンが促進剤(C)として塩化(salified)アミンを含む場合を除く。)、カチオン性又は非イオン性とすることができ、とりわけ、1種又は複数種のポリエトキシ化脂肪アルコールとすることができる。好ましくは、界面活性剤(E)は非イオン性である。界面活性剤の役割はとりわけエマルジョンの粒子径を減少させることであり、随意的に安定性を向上させることである。
本エマルジョンは他の処方添加剤(I)、例えば:アミノ塩化(aminated salified)したシラン又はPOSのシラノールの縮合の促進を可能とするが、白金の触媒作用を抑制しない縮合触媒(例えば、チタン塩又はジルコニウム塩又は随意的にある種の錫塩)、殺菌剤、1種又は複数種の無機又は有機顔料、1種又は複数種の有機増粘剤(ポリ(エチレンオキシド)、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、アクリル又はカチオン性ポリマー等)、或いは1種又は複数種の無機増粘剤(ラポナイト)を含むこともできる。
有利には、本発明に係るエマルジョンはpHをアルカリ性、例えば7〜8に保つための系を含む。このpHを維持するための系は、例えば、重炭酸ナトリウムとすることができる。
pHを制御し、維持するための剤は好ましくはHCO3 -/CO3 2-及び/又はH2PO4 -/HPO4 2-を含む緩衝系である。従って、所望の緩衝効果を得るために、本発明においては、HCO3 -及び/又はH2PO4 -塩、例えば、NaHCO3及び/又はNa2CO3及び/又はNaH2PO4及び/又はNa2HPO4を導入することが望ましい。異なるカウンターアニオンをもつ任意の他の塩(例えば、K)が好適となり得ることは明らかである。とりわけ好ましい方法においては、NaHCO3(これがエマルジョン中に組み込まれる。)で構成される緩衝系が実際に使用される。
これによって、エマルジョン、又はエマルジョンの混合物から作られるコーティング若しくはパジング浴を安定化することが可能となる。これに関しては更なる詳細が特許出願FR−A−2 773 166号に開示されており、該内容を本明細書に援用する。
随意的に、エマルジョンは無機の補強用剤又は増量用充填剤を含むことができ、これらは好ましくはヒュームドシリカ及び沈降シリカから選択される。
これらはBET法により測定して、比表面積が少なくとも50m2/gの、とりわけ50〜400m2/gの、好ましくは70m2/gを超え、一次粒子の平均径が0.1マイクロメータ(μm)未満であり、かさ密度が200g/L未満である。
上記親水性シリカは好ましくはエマルジョンの(連続)水性相に上記のようなものとして組み込まれる。一つの代替的な形態によると、上記シリカは随意的に本用途に一般に用いられている有機ケイ素化合物の1種又は複数種で処理することができる。もう一つの代替的な形態によると、該シリカをシリコーンオイル中に予め分散させることができる。上記化合物にはメチルポリシロキサン(例えば、ヘキサメチルジシロキサン又はオクタメチルシクロテトラシロキサン)、メチルポリシラザン(例えば、ヘキサメチルジシラザン又はヘキサメチルシクロトリシラザン)、クロロシラン(例えば、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン又はジメチルビニルクロロシラン、或いはアルコキシシラン(例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルビニルエトキシシラン又はトリメチルメトキシシラン)が包含される。この処理の間に、シリカの当初の重量が最大20%上昇し得る。
珪質充填剤に加えて又はその代わりに、随意的に水性分散液(スラリー)の形態で、炭酸カルシウム、石英粉末、焼成粘土及び珪藻土のような他の無機充填剤を使用することも可能である。
非珪質無機材料に関しては、これらは半補強用無機充填剤、増量用無機充填剤、又は特定の性状をもつ無機充填剤として含まれ得る。非珪質充填剤の具体例はカーボンブラック、二酸化チタン、酸化アルミニウム、アルミナ水和物(hydrated alumina)、膨脹バーミキュライト、非膨脹バーミキュライト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、マイカ、タルク、酸化鉄、硫酸バリウム及び消石灰であり、これらは単独で又は混合物として使用可能である。上記充填剤の粒子径は一般に0.001〜300mであり、BET表面積は100m2/g未満である。
処方物のシリコーン相の重量に対して、0.5〜60重量%、好ましくは10〜25重量%の充填剤を一般に使用することができる。
本発明において採用されるエマルジョンの組成は、例えば、以下の通りである。
・ α,ω−ジビニル化POSオイル(A)を100重量部(ビニル基の含有量は2〜100meq/100g);
・ 補強用、半補強用及び/又は増量用充填剤(J)の水又はα,ω−ジビニル化POSオイル中分散液を0〜150重量部(分散液中で充填剤が10〜60%の割合);
・ Si−Hの数/Si−アルケニル基の数の比率が0.4〜10、好ましくは0.6〜5の範囲となるようにSiHを含む少なくとも1種のPOSオイル(B1)を1〜7重量部;
・ 接着促進剤(C)を0.2〜5重量部(乾燥状態にて)
・ 白金系金属に属する少なくとも1種の金属で構成される重付加触媒(D)(白金が2〜150ppmの割合);
・ 界面活性剤(E)を0.5〜10重量部;
・ POS樹脂(F)を0〜100重量部;
・ 架橋抑制剤(G)を0〜1重量部;
・ pH調節剤(H)を0〜n重量部(nはpHが7〜8に維持されるような値)
・ 処方添加剤(I)を0〜m重量部;
・ 補強用、半補強用及び/又は増量用充填剤(J)のα,ω−ジビニル化POSオイル中分散液を0〜150重量部(分散液中で充填剤が10〜80%の割合);
・ 織物の処理に用いられる最終的なエマルジョン又は(いくつかのエマルジョン及び水を混合することにより作られる)浴の固形分が5〜65%となるように、水(K)を40〜2000重量部.
本発明のもう一つの側面によれば本発明は、乳化が成分(A)〜(K)を同一反応器へ導入することによって行われることを特徴とする、上で規定した水性POSエマルジョンの製造方法にも関する。
しかしながら、好ましくは、エマルジョンはプリエマルジョン(各プリエマルジョンは重付加に必要なすべての反応成分及び触媒(POS ≡SiVi + POS ≡SiH + 白金)を有しないという事実のために個々には架橋することができない。)を混合することによって製造される。例えば、≡SiVi及び≡SiH及び抑制剤を含むエマルジョン(部分A)と白金及び≡SiViオイルをベースとした触媒用エマルジョン(部分B)とを準備することが可能であり、これらはコーティング浴の作製中に組み合わせる。
これによって安定なエマルジョンの製造が非常に容易になり、工業的条件下で容易に製造することができる。(D)〜(J)の他の成分を含む又は含まないプリエマルジョンの形態で提供される成分(A)及び/又は(B)及び/又は(C)を用いることが想定可能である。
従って、一つの代替的な形態によれば:
・ 以下のプリエマルジョン:
(i) POS(A)の基礎としてのプリエマルジョン、
(ii) POS(B)の基礎としてのプリエマルジョン(架橋用エマルジョン)、
(iii) 例えば、ビニル化シリコーンオイル中で希釈された白金触媒の水性エマルジョンで構成される触媒(D)の基礎としてのプリエマルジョン(触媒用エマルジョン)、
を製造し;
・ 上記プリエマルジョンを混合する。ここで、プリエマルジョン(i)〜(iii)のいずれも付加的に界面活性剤(E)、随意的にPOS樹脂(F)、随意的に架橋抑制剤(G)及び/又は随意的にpH調節剤(H)及び/又は随意的に処方添加剤(I)を含むことが可能である。
好ましくは、触媒用エマルジョンは浴の作製中、建築用テキスタイルへの塗布前に、他のシリコーンエマルジョン(とりわけSiHをベースとするもの)に添加する。
本発明の有利な形態によれば、
・ 界面活性剤(E)を唯一の乳化剤として使用するときは、乳化は直接ルート又は転相により実施する。
・ PVA(C)を唯一の乳化剤として(全体又は部分的に)使用するときは、乳化は直接ルートのみによって実施する。
直接ルートではシリコーン相を界面活性剤含有水溶液へ注ぎ入れる。
本発明の別の有利な形態では接着促進剤(C)、とりわけアミノ塩化(aminated salified)シラン又はPOSを、コーティング浴の作製中にのみ導入することができる。
別の可能性としては、接着促進剤を含まないエマルジョン部分A及びB、或いはプリエマルジョン(i)、(ii)及び(iii)を用意し、そしてA及びBの混合中、或いは(i)、(ii)及び(iii)の混合中に接着促進剤を別個に組み入れることができる。
本発明のもう一つの主題は、上で規定した水性POSエマルジョンである。
本発明は、
・重付加反応により架橋してエラストマーを与えることができ、建築用テキスタイルの含浸に好適な;
(A) ケイ素に結合したC2〜C6のアルケニル型の不飽和基を1分子当たり少なくとも二つもつ少なくとも1種のPOS、
(B) ケイ素に結合した水素原子を1分子当たり少なくとも三つもつ少なくとも1種のPOS、
(C) 一分子当たりに少なくとも一つの水酸基と少なくとも一つのアミノ塩化(aminated and salified)した基をもつ保護用親水コロイド、水酸化シラン及び/又はPOS、並びにこれらの混合物よりなる化合物群から選択される少なくとも1種の特別な接着促進剤(ここで、シリコーン相に対する接着促進剤(C)の重量パーセントの条件は厳格に0.005〜10%、好ましくは0.03〜5%、より好ましくは0.05〜4%の範囲である。)
(D) 少なくとも1種の触媒、
(E) 少なくとも1種の界面活性剤、
(F) 随意的に、少なくとも二つのアルケニル基をもつ少なくとも1種のPOS樹脂、
(G) 随意的に、少なくとも1種の架橋抑制剤、
(H) 随意的に、少なくとも1種のpH調節剤、
(I) 随意的に、少なくとも1種の処方添加剤、
(J) 随意的に、充填剤、
(K) 並びに水;
を含む水性ポリオルガノシロキサン(POS)エマルジョンの少なくとも一層を該建築用テキスタイル上へ堆積し:
・ 次いで、該建築用テキスタイル上に堆積したエマルジョン中に存在するPOSを架橋することによる、
本発明に係る方法によって建築用テキスタイルから得ることが可能な任意の建築用シリコーン膜をも標的とする。
本発明の有利な形態によれば、建築用テキスタイルはガラス、シリカ、金属、セラミック、炭化ケイ素、炭素、ホウ素、天然繊維(例えば、綿、羊毛、麻又は亜麻)、人工繊維(例えば、ビスコース又はセルロース繊維)、合成繊維(例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル、クロロファイバー、ポリオレフィン、合成ゴム、ポリ(ビニルアルコール)、アラミド、フルオロファイバー及びフェノール繊維よりなる材料群から選択される繊維及び/又はヤーン(yarns)よりなる材料群から選択される織物である。
その総発熱量(GCV)は注目すべきことに、4200kJ/kg以下、好ましくは2500kJ/kg以下である。
有利には、上記定義の被覆された建築用テキスタイルに対応する建築用シリコーン膜、又は上述の方法によって得られた建築用シリコーン膜は内装及び外装建築用又はソーラープロテクション用の膜を構成する。
上記膜は好ましくは1200g/m2未満、好ましくは100〜500g/m2の重量を有する。
更に、フレキシブル材料製の上記膜は内装又は外装テキスタイル建築(防水布、テント、展示場や売店(stands)、大天幕(marquees)等)又はソーラープロテクションへの使用が予定される。
本発明に係るエマルジョンで被覆してそのエマルジョンを架橋することで生じた、薄層で被覆されたガラス布(woven glass fabrics)が、特に耐引裂性及び耐ほつれ性が良好であることから、とりわけ有利である。更に、これらはフレキシブル(柔軟)であり、折り畳み時にきず(marking)が付かない。その上、これらの総発熱量は低い(GCV≦4200kJ/kg、好ましくはGCV≦2500kJ/kgである。)。
本発明を、限定を意図しない実施例を用いてより詳細に説明する。
実施例1: 本発明に係る方法にて使用するエマルジョンの製造
1.1−使用する化合物
− POS A−1: α,ω−ジメチルビニルシロキシ PDMSオイル(23℃の粘性率(tdη)=60000mPasで、0.073重量%のViを含む。)
− POS A−2: Me2Sio及びMeHSiO単位を含む水素化POSオイル(粘度が25mPasで、0.7重量%のHを含む。)
− 界面活性剤(D)=Rhodiasurf ROX(商品名;ロディア(Rhodia)社より市販されているエトキシ化脂肪アルコールの85%水溶液)、又はRhodoviol(登録商標)のPVA=25/140 ポリ(ビニルアルコール)の10%水溶液(4%溶液のときの粘度:23/エステル価:140)のいずれか
− 接着促進剤(B)及び界面活性剤(D)=PVA
− 触媒(C)=ビニル化POSオイルで希釈したカールシュテット白金(白金含有率:10%)
− 樹脂(E.1)=α,ω−ジメチルビニルシロキシ PDMSオイル中のMDViQ樹脂の40%溶液(23℃の粘性率(tdη)=60000mPasで、樹脂溶液は0.7重量%のViを含む。)
− (F)=ECH:エチニルシクロヘキサノール
Figure 0004578966
1.2−エマルジョンの製造手順
部分(A1):
Rhodasurf ROX、35gの水、及びECH抑制剤を予め分散させたPOSオイル(A−1)をかき取りアンカー攪拌器及び基部(冷却水を循環させて冷却)の備わったIKA実験反応器へ導入した。80回転/分で15分間攪拌した後に、粘性のあるゲルの外観を有する濃厚なオイル/エマルジョンが得られた。
次いで、樹脂(E.1)を85分かけて攪拌(80回転/分)しながら注いだ。最終的な温度は約30℃であった。エマルジョンの平均粒径は0.28μmであった。
このエマルジョンを更に30分間攪拌し、次いでPOSオイル(A−2)(水素化ポリジメチルシロキサンオイル)を15分かけて注ぎ、その後80gの水を入れた。
この段階では、エマルジョンの平均粒径はCoulter LS130で測定して0.29μmであった。
脱塩水の残り部分(すなわち310g)を添加して該エマルジョンを徐々に希釈し、次いでソルビン酸を徐々に添加した。最終的なエマルジョンはポリエチレンのボトルに詰めた。
部分(A2):
ポリ(ビニルアルコール)の10%水溶液(Rhodoviol 25/140)及びソルビン酸をかき取りアンカー攪拌器及び基部(冷却水を循環させて冷却)の備わったIKA実験反応器へ導入した。
樹脂(E.1)を攪拌しながら170分かけて注いだ。最終的な温度は約22℃であった。
エチニルシクロヘキサノール(ECH)を予め分散させたPOSオイル(A−1)(粘度が60000mPasで、0.07%のViを含むViMe2SiO−ブロック化 ポリジメチルシロキサンオイル)を続いて150分かけて注いだ。最終的な温度は17℃に達した。
この段階では、エマルジョンの平均粒径はCoulter LS130で測定して5.9μmであった。
次いで、Ultra-Turrax(商標)の回転子/固定子(IKA)を加えてエマルジョンを16000回転/分で1時間30、20分、次に13000回転/分で1時間10分剪断した。
開始温度は22.9℃で、最終温度は28.6℃であった。
平均粒径は3μmであった。
次に、POSオイル(A−2)(粘度が25mPasで、0.7重量%のHを含むMe2SiO2/2及びMeHSiO2/2単位含有シリコーンオイル)を20分かけて注いだ。温度は24.5℃であった。
脱塩水を60分かけて徐々に添加して該エマルジョンを希釈した。温度は27.3℃であった。
部分B:
エマルジョンA2と同様の手順に従って、(触媒(C)を予め分散させた)POS−1 621V60000オイルをポリ(ビニルアルコール)の10%水溶液に注ぎ入れることによりエマルジョンBを作製した。最後に重炭酸塩を該希釈エマルジョンに添加した。
部分A+B:
A1又はA2の100部とBの10部と、随意的に、(織物に堆積させるシリコーン量を調節する目的で)浴の粘度及び濃度を調節するための希釈水とをコーティング浴の作製中、織物に塗布する前に、混合した。浴のpHは7〜8であった。
実施例2: 実施例1のエマルジョンの塗布方法
(二つのロール間で絞る)パジングにより実施した。
織物がロール間に垂直に到達すると、ここでエマルジョンが連続的に堆積され、織物はロールから出てくるときにはその両面に含浸されている。続いて、該織物を1分間オーブンに入れた。
プラントは10m/minで運転した。オーブンの温度は入口120℃、出口160℃に調節した。絞りロールの圧力は1.5bar程度であった。
堆積した重量を測定するために織物の重量を被覆前後で測定した。
実施例3: 実施例1のエマルジョンの塗布方法
本実施例は絞りロールの圧力が1bar程度であることを除き、実施例2と同一であった。
堆積した重量を測定するために織物の重量を被覆前後で測定した。
実施例4: 実施例1のエマルジョンの塗布方法
(二つのロール間で絞る)パジングにより実施した。
織物を絞りロールの上流に設置したタンク中に浸漬した。そして織物は20°の角度でロール間に到達した(絞り圧力は1.5Barであった。)。続いて、該織物は1分間オーブンに入れた。
プラントは10m/minで運転した。オーブンの温度は入口120℃、出口160℃に調節した。堆積した重量を測定するために織物の重量を被覆前後で測定した。
実施例5: 用途確認−エマルジョンA2 + B(添加剤なし)の混合物を用いて得られた特性
5.1 ガラス布(重量350g/m 2
実施例1のエマルジョン(エマルジョンA2+Bの混合物(添加剤なし))を用いて実施例4の方法に従ってこの織物を被覆した。
浴の固形分を55.7%に調節し、次に48%へと調節した。
上記条件下にて、乾燥ベースで表して、22g/m2が堆積した。
被覆された織物は美しい外観を有していた。
総発熱量は、NFP92−510に準拠して計測して、1900kJ/kgであった。
耐ほつれ性は良好であり、具体的形式では、DIN54301に準拠して計測して、対コーミング抵抗が35Nを超えた。
5.2 ガラス布(重量200g/m 2
実施例1のエマルジョン(エマルジョンA2+Bの混合物(添加剤なし))を用いて実施例2の方法に従ってこの織物を被覆した。
浴の固形分を55.7%に調節し、次に42%へと調節した。
上記条件下にて、乾燥ベースで表して、15g/m2が堆積した。
被覆された織物は美しい外観を有していた。
総発熱量は、NFP92−510に準拠して計測して、2150kJ/kgであった。
耐ほつれ性は良好であり、具体的形式では、DIN54301に準拠して計測して、対コーミング抵抗が35Nを超えた。
5.3 ガラス布(重量200g/m 2
実施例1のエマルジョン(エマルジョンA2+Bの混合物(添加剤なし))を用いて実施例3の方法に従ってこの織物を被覆した。
浴の固形分を55.7%に調節し、次に42%へと調節した。
上記条件下にて、乾燥ベースで表して、12g/m2が堆積した。
被覆された織物は、とりわけエマルジョンを受けた上面は、美しい外観を有していた。
総発熱量は、NFP92−510に準拠して計測して、1800kJ/kgであった。
耐ほつれ性は良好であり、具体的形式では、DIN54301に準拠して計測して、対コーミング抵抗が35Nを超えた。
実施例6: アミノ塩化(salified)シラン又はPVAのコーティング浴の作製中におけるエマルジョンAへの組み込み
ガラス繊維又は合成繊維に対するより大きな接着力をエマルジョンに付与するために接着促進剤の添加試験を実施した。試験をした水溶性シランは:
6.1 比較試験:
促進剤はデグサ−シベント(Degussa-Sivento)社より市販されているエポキシシランであるDynasylan(登録商標)HS 2926であった(pH=3、水中で60%)。
Figure 0004578966
6.2 試験6.2:
デグサ−シベント(Degussa-Sivento)社より市販されている塩化(salified)及び縮合したアクリルアミノ化シランであるDynasylan(登録商標)HS 2929(pH=4、水中で60%)
6.3 試験6.3:
促進剤はウイトコ(Witco)−OSI社より市販されているアミノ化シランであるSilquest(登録商標)VS142(pH=12、水中で約25%)とした。以下に示すシランのオリゴマーより構成され、そのSiOH基を介して部分的に縮合している。
Figure 0004578966
このシランは、pHを6〜7にするのに充分な量の酢酸の添加によって水溶液を中和して先に塩化(salification)した後に使用した。
試験6.1、6.2及び6.3の上記促進剤は実施例1のエマルジョンの部分A2へ直接添加した。オイルに対するシランの乾燥重量を2%として浴(A2+Bの混合物)の作製前に24時間置いた。浴を作製すると、以下に記載の手順で、スクリーン印刷による織物への被覆試験及び剥離試験を実施した。ポリエステル及びクロス型ガラス布に対する接着強度の結果は、剥離強度(以下に記載の180°剥離試験に従ってN/(g/m2)で測定)で表して、添付の図1及び図2に示した。
注意:上記の二つの図中の「比較」は織物を実施例1の段落1.2に記載の通り、付加的な接着促進剤なしで製造したエマルジョンで処理したときに得られた接着結果である。
アミノ塩化(aminated and salified)したシランはガラス布に対する接着強度を顕著に向上させた。アミノ塩化したシラン6.2はポリエステル製織物に対しても接着力を上昇させた。
繊維状支持材に対する180°剥離試験はPAエマルジョンの接着力の尺度である。この試験の手順は以下の通りである。
1.原理
建築用テキスタイル上に試験混合物で被覆し、架橋した2本の支持材の帯を引き剥がすのに必要な力を計測した。
2.反応物
二つの被覆された織物の薄片の重ね合わせの位置決めを容易化するためにメチレンブルーを使用した(測定には必須ではない。)。
3.装置
− 加熱プレス(数量1): プレートの温度を120℃に設定した。
− オーブン(数量2):一方を80℃にし、もう一方を160℃とした。
− スクリーン印刷による塗布のための設備(メッシュ径が約200μmのクロスを使用)
− 天秤(数量1)
− Lhomargy(登録商標)DY 30動力計(数量1)
4.手順
a−試験片の準備
*使用した織物支持材:
建築用テキスタイルから約12×17cmの帯を切り出した。この操作を容易化し、ほつれを防止するために、織物に記入した外形線を低温条件下で即座に架橋するシリコーンエラストマー(RTC)で被覆した。従って、少量のRTCがガンを用いて堆積し、へらを用いて外形線に沿って広がる。いったんRTCが乾燥すると帯の切り出しが容易になる。
*混合物の調整:
100gの部分A当たり部分Bを10g使用した。三つの試験の準備をするために約20gの混合物を必要とした。二つの被覆面の重ね合わせを容易にするために一滴のメチレンブルーを添加した。
b−塗布
スクリーン印刷法によって、約2cmの距離で平行に、10×5cmの混合物の帯を二つ堆積した。堆積量を知るためにテキスタイルの小片の重量を塗布前後に計測した。
*プレス下での乾燥及び架橋:
− 80℃で5分間
− 二つの被覆面を互いに重ね合わせ
− 120℃にてプレス下(約2トン)で5分間(紙2枚の間に堆積)
− 160℃で5分間
− 約1/2日間室温で放置
6.4 次の混合物:部分A1+B、A1+B+塩化VS142、及びA1+B+PVAを用いた塗布試験:
これらの含浸を実施例3に従ってパジングによりガラス布支持材(200g/m2)上に実施した。試料を150℃で2分間オーブンへ入れた。堆積した重量は同程度であり、典型的なものである。
試料の耐ほつれ性を判断するために、コーミング(combing)に対する抵抗試験を実施した。
Figure 0004578966
コーミング試験によって具体的形式で与えられる、ほつれに対する最も良好な抵抗は組成物A1+B+VS 142(アミノ塩化シランの存在)によって得られたことが認められた。
図1はポリエステル織物製テキスタイルに対する結果に対応する。 図2はガラス布製テキスタイルに対する結果に対応する。

Claims (10)

  1. 以下の工程:
    ・ 重付加反応により架橋してエラストマーを与えることができ;
    (A) ケイ素に結合したC2〜C6のアルケニル型の不飽和基を1分子当たり少なくとも二つもつ少なくとも1種のPOS、
    (B) ケイ素に結合した水素原子を1分子当たり少なくとも三つもつ少なくとも1種のPOS、
    (C) 一分子当たりに少なくとも一つの水酸基と少なくとも一つのアミノ塩化(aminated and salified)した基をもつ水酸化シラン及び一分子当たりに少なくとも一つの水酸基と少なくとも一つのアミノ塩化(aminated and salified)した基をもつPOS、並びにこれらの混合物よりなる化合物群から選択される少なくとも1種の特別な接着促進剤(ここで、シリコーン相に対する接着促進剤(C)の重量パーセントの条件は厳格に0.005〜10%の範囲である。)
    (D) 少なくとも1種の触媒、
    (E) 少なくとも1種の界面活性剤、
    (F) 随意的に、少なくとも二つのアルケニル基をもち、一分子当たり、式R 10 3 SiO 1/2 (単位M)、R 10 2 SiO 2/2 (単位D)、R 10 SiO 3/2 (単位T)及びSiO 4/2 (単位Q)(ここで基R 10 は同一の又は異なるものであり、線状又は分枝状のアルキル、ビニル、フェニル又は3,3,3−トリフルオロプロピル基から選択される。)から選択される少なくとも2種類の単位をもつ少なくとも1種の非水酸化POS樹脂、
    (G) 少なくとも1種の架橋抑制剤、
    (H) 随意的に、少なくとも1種のpH調節剤、
    (I) 随意的に、少なくとも1種の処方添加剤、
    (J) 随意的に、充填剤、
    (K) 並びに水;
    を含む水性ポリオルガノシロキサン(POS)エマルジョンの少なくとも一層を建築用テキスタイル上へ堆積する工程と:
    ・ 次いで、建築用テキスタイルの重量に対する被膜の重量比が乾燥ベースで0.2未満である、エラストマー層で被覆された建築用テキスタイルが得られるように架橋する工程と、
    を含むことを特徴とした、少なくとも一層のシリコーンエラストマー層で建築用テキスタイルを被覆することによって建築用シリコーン膜を製造するための方法。
  2. 堆積工程が被覆(コーティング)工程であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 被覆(コーティング)は、ナイフ塗布によって、パジングによってトランスファーによって、スクリーン印刷によって、写真製版法(ヘリオグラフィ)によって、又は噴霧によって実施されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 前記建築用テキスタイルが、ガラス、シリカ、金属、セラミック、炭化ケイ素、炭素、ホウ素、天然繊維、人工繊維、及び合成繊維よりなる材料群から選択される繊維及び/又はヤーン(yarns)を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 建築用テキスタイルが無機材料から選択され、被覆後の建築用テキスタイルが4200kJ/kg以下の総発熱量(GCV)を有することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の方法。
  6. 重付加反応により架橋してエラストマーを与えることができ、建築用テキスタイルの含浸に好適な;
    (A) ケイ素に結合したC2〜C6のアルケニル型の不飽和基を1分子当たり少なくとも二つもつ少なくとも1種のPOS、
    (B) ケイ素に結合した水素原子を1分子当たり少なくとも三つもつ少なくとも1種のPOS、
    (C) 一分子当たりに少なくとも一つの水酸基と少なくとも一つのアミノ塩化(aminated and salified)した基をもつ水酸化シラン及び一分子当たりに少なくとも一つの水酸基と少なくとも一つのアミノ塩化(aminated and salified)した基をもつPOS、並びにこれらの混合物よりなる化合物群から選択される少なくとも1種の特別な接着促進剤(ここで、シリコーン相に対する接着促進剤(C)の重量パーセントの条件は厳格に0.005〜10%の範囲である。)
    (D) 少なくとも1種の触媒、
    (E) 少なくとも1種の界面活性剤、
    (F) 随意的に、少なくとも二つのアルケニル基をもち、一分子当たり、式R 10 3 SiO 1/2 (単位M)、R 10 2 SiO 2/2 (単位D)、R 10 SiO 3/2 (単位T)及びSiO 4/2 (単位Q)(ここで基R 10 は同一の又は異なるものであり、線状又は分枝状のアルキル、ビニル、フェニル又は3,3,3−トリフルオロプロピル基から選択される。)から選択される少なくとも2種類の単位をもつ少なくとも1種の非水酸化POS樹脂、
    (G) 随意的に、少なくとも1種の架橋抑制剤、
    (H) 随意的に、少なくとも1種のpH調節剤、
    (I) 随意的に、少なくとも1種の処方添加剤、
    (J) 随意的に、充填剤、
    (K) 並びに水;
    を含む水性ポリオルガノシロキサン(POS)エマルジョンの少なくとも一層を該建築用テキスタイル上へ堆積し:
    ・ 次いで、該建築用テキスタイル上に堆積したエマルジョン中に存在するPOSを架橋することによって、
    建築用テキスタイルから得られた建築用テキスタイル又は建築用シリコーン膜。
  7. ガラス、シリカ、金属、セラミック、炭化ケイ素、炭素、ホウ素、天然繊維、人工繊維、合成繊維よりなる材料群から選択される繊維及び/又はヤーン(yarns)を含むテキスタイルより構成されることを特徴とする請求項6に記載の膜。
  8. 総発熱量(GCV)が4200kJ/kg以下であることを特徴とする請求項6又は7に記載の膜。
  9. 内装及び外装建築又はソーラープロテクション用であることを特徴とする請求項6〜8の何れか一項に記載の、又は請求項1〜5の何れか一項に記載の方法により得られた膜。
  10. 1200g/m2満の重量を有する請求項9に記載の膜。
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