JP3996792B2 - 微粒子搭載方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高い接続信頼性で接続された半導体装置、その半導体装置を容易に製造することができる微粒子搭載装置を用いた微粒子搭載方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子回路基板において、ICやLSIを接続は、それぞれの電極をプリント基板上にハンダ付けすることにより行っていたが、生産効率が悪く、また、高密度化には適さないものであった。
これを解決するために球状ハンダ粒子で基板とチップとを接続するBGA(ボールグリッドアレイ)等の技術が開発された。この技術によれば、チップ又は基板上に実装された球状ハンダ粒子を高温で溶融し基板とチップとを接続することで高生産性、高接続信頼性を両立した電子回路を構成することができる。
【0003】
しかし、近年、基板の多層化が進み、基板自体の外環境変化による歪みや伸縮が発生し、結果としてその力が基板間の接続部にかかることによる断線が発生することが問題となっていた。
これに対して、図1に示すように、半導体装置のコーナー部に電極間接続に用いる球状ハンダ粒子と同じ又は少し大きな球状ハンダ粒子を配置し、特に対冷熱衝撃試験時に発生する歪みによる応力緩和を図る方法が提案されている。
【0004】
しかしながらこの方法では、異なる大きさの球状ハンダ粒子を配置するためには、複数の搭載装置を用いたり、治具の交換を行ったりする必要があること;電極接続とは無関係の端子が存在することから、端子材料を多く準備する必要があること;球状ハンダ粒子からなる端子部の高さがばらつくことにより、信頼性の確保が難しいこと等の問題があった。更に、球状ハンダ粒子では冷熱衝撃試験時に発生する歪みに充分に追随することができず、接続信頼性が得られないという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、高い接続信頼性で接続された半導体装置、その半導体装置を容易に製造することができる微粒子搭載装置を用いた微粒子搭載方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、球状ハンダ粒子からなる電極間接続端子を有する半導体装置であって、基板上の前記球状ハンダ粒子が配置された部位を取り囲むように、樹脂からなる基材微粒子と前記基材微粒子の表面に形成された金属層とからなる導電性微粒子が配置されている半導体装置である。
以下に本発明を詳述する。
【0007】
本発明の半導体装置の電極間接続端子は球状ハンダ粒子からなる。
上記球状ハンダ粒子を電極間接続端子として用いることにより、チップ又は基板上に実装された球状ハンダ粒子を高温で溶融することで高生産性と高接続信頼性とを両立した接続を行うことができる。
【0008】
上記球状ハンダ粒子の粒子径は、接続する基板又はチップによって決まり特に限定されないが、通常好ましい下限は50μm、上限は1000μmである。
また、上記球状ハンダ粒子を作製する方法としても特に限定されず、従来公知の方法を用いることができる。
【0009】
本発明の半導体装置は、基板上の前記球状ハンダ粒子が配置された部位を取り囲むように導電性微粒子が配置されている。上記導電性微粒子は、基板とチップの間隔を保ち、回路中にかかる力を緩和して接続信頼性を向上させる役割を有する
【0010】
上記導電性微粒子は、樹脂からなる基材微粒子と上記基材微粒子の表面に形成された金属層とからなる。
上記基材微粒子を構成する樹脂としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン誘導体;塩化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、エチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体等を重合したもの等が挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
【0011】
上記基材微粒子の製造方法としては特に限定されず、例えば、懸濁重合、シード重合、乳化重合等の一般的な重合方法により得ることができる。一般にこれら重合方法は水中にて行われるため、重合した基材微粒子は吸湿した状態となる。この水分を除去するには、加熱下にて真空乾燥することが好ましい。上記乾燥の条件は基材微粒子の組成により適宜選ばれるが、乾燥温度の好ましい下限は80℃、上限は90℃、乾燥時間の好ましい下限は6時間、上限は24時間である。
【0012】
上記金属層としては特に限定されず、例えば、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム、カドミウム、珪素等からなるものが挙げられる。これらの金属は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0013】
上記金属層は、1層からなるものであってもよく、多層からなるものであってもよい。上記金属層が多層からなる場合には、層ごとに異なる金属からなるものであってもよい。この場合、最外層は、錫又は錫をベースとした合金からなることが好ましい。上記合金としては、例えば、錫をベースとして、銀、銅、亜鉛、ビスマス、インジウム、鉛及びアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属を加えたものが好ましい。
かかる金属層としては、例えば、ポリスチレン樹脂の基材微粒子上に、ニッケル層を設け、更に銅層、最外層として錫と鉛の合金層を設けるといった構成が挙げられる。
【0014】
上記金属層の厚みは特に限定されないが、通常好ましい下限は0.01μm、上限は50μmである。0.01μm未満であると、良好な導電性が得られないことがあり、50μmを超えると、導電性微粒子同士の合着が起こったり、基板間の距離維持や基板等の回路にかかる力を緩和する機能が乏しくなることがある。
【0015】
上記金属層を形成する方法としては特に限定されず、例えば、上記基材微粒子表面に無電解メッキ等により形成する方法等が挙げられる。
【0016】
上記導電性微粒子の粒子径としては特に限定されないが、本発明の目的から、上記球状ハンダ粒子と同じ又は少し大きい程度の粒子径であることが好ましい。
【0017】
本発明の半導体装置においては、基板上の球状ハンダ粒子が配置された部位の少なくとも外側に上記導電性微粒子が配置されていることにより、回路中にかかる力が緩和され接続信頼性が向上する。とりわけ、上記導電性微粒子を用いることにより、高さを均一にそろえることが可能になり、特に冷熱衝撃試験時に発生する歪に対して、樹脂が有する応力緩和性から接続信頼性の確保が容易となる。
【0018】
本発明の半導体装置を製造するには、上記球状ハンダ粒子と上記導電性微粒子とを、正確に基板上に配置する必要がある。
従来は、このように複数種類の微粒子を基板上に配置するには、複数の搭載装置を用いたり、治具の交換を行ったりする必要があった。
しかし、微粒子を吸引するための複数系統の真空回路からなる微粒子吸着治具を有する微粒子搭載装置を用いれば、一台の装置で、治具を交換することもなく、容易に微粒子を配置することができる。
かかる、基板上に微粒子を搭載する装置であって、少なくとも、微粒子を吸引するための複数系統の真空回路からなる微粒子吸着治具を有する微粒子搭載装置を用いた微粒子搭載方法もまた、本発明の1つである。
【0019】
上記微粒子吸着治具は、複数系統の真空回路からなるものである。
図2に、上記微粒子吸着治具の1実施態様を示した。
本実施態様の微粒子吸着治具には、作製する半導体装置の電極パターン及び上記導電性微粒子を配置しようとする位置に対応する位置に搭載用の孔が設けられている。
この搭載用孔には吸引を行うための通気孔と、該通気孔の開閉を行う電磁弁とが設けられており、この電磁弁は球状ハンダ粒子に対応する搭載用孔と導電性微粒子に対応する搭載孔とで、異なる制御下にある。
【0020】
本発明の微粒子搭載装置において、上記微粒子吸着治具に微粒子を供給する供給部は、搭載する微粒子の種類ごとに2以上あることが好ましい。
図3に、本発明の微粒子搭載装置による基板上への微粒子の配置方法の1実施態様を示す模式図を示した。
本実施態様において、供給部Aには球状ハンダ粒子が、供給部Bには導電性微粒子が置かれている。
まず、供給部Aにおいて球状はんだ粒子を上記微粒子吸着治具に吸着する。その際、上記微粒子吸着治具の球状ハンダ粒子に対応する搭載用孔に設けられた通気孔の電子弁のみを開け、導電性微粒子に対応する搭載用孔に設けられた通気孔の電子弁は閉めた状態で、吸引しながら上記微粒子吸着治具を供給部Aに近づける。これにより、球状ハンダ粒子に対応する搭載用孔にのみ、球状ハンダ粒子が吸着される。吸着後認識装置により下面から球状ハンダ粒子に対応する搭載用孔全てに球状ハンダ粒子が入っているか検査し、ヌケがあれば再び供給部Aに戻り再吸着を実施する。次に供給部Bへ移動し、導電性微粒子に対応する搭載用孔に設けられた通気孔の電子弁を開けて(球状ハンダ粒子に対応する搭載用孔に設けられた通気孔の電子弁は開けたままで)吸引しながら上記微粒子吸着治具を供給部Bに近づけることにより、導電性微粒子を上記微粒子吸着治具に吸着する。
【0021】
こうしてすべての搭載用孔に球状ハンダ粒子又は導電性微粒子が吸着されると、半導体装置電極部分と微粒子吸着治具とを認識により位置合わせを行い、搭載を実施する。搭載時には全ての搭載用孔の通気孔の電子弁を閉じて、真空状態を解除し、微粒子吸着治具から球状ハンダ粒子又は導電性微粒子を排出することにより搭載を実施する。その際、振動子により振動を与えたりすることを併用することが好ましい。
そうして搭載完了した半導体装置を加熱し球状粒子を熱溶解させ固着させることにより半導体装置が完成する。
かかる本発明の微粒子搭載装置を用いて基板上に微粒子を配置する方法であって、少なくとも、2以上の供給部より順番に球状ハンダ粒子及び導電性微粒子を微粒子吸着治具により吸着する工程、前記微粒子吸着治具に吸着された前記球状ハンダ粒子及び前記導電性微粒子を排出して、基板上の対応する位置に搭載する工程を有する微粒子搭載方法もまた、本発明の1つである。
【0022】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0023】
(実施例1)
図2及び図3で示される、微粒子吸着治具とそれを有する微粒子搭載装置を用いて、図4に示される電極間ピッチ500μmで端子数が25個で構成される半導体装置において、内部の9個は粒子径300μmの球状ハンダ粒子、その外側16個をスチレンとジビニルベンゼン樹脂との共重合体からなる樹脂の表面に銅層及び錫と銀の合金層を形成した粒子径300μmの導電性微粒子を配置した半導体装置を作製した。
【0024】
(比較例1)
2台の微粒子配置装置を用いて、図1に示したような、電極間ピッチ500μm、粒子径300μmの球状ハンダからなる外部端子電極が25個、基板のコーナー部に電極間ピッチ600μmで、各2個の粒子径400μmの応力緩和用球状ハンダ粒子を配置した半導体装置を作製した。
【0025】
実施例1及び比較例1で作製した半導体装置それぞれ10基について、−40℃〜125℃1000サイクルの冷熱衝撃試験を実施したところ、実施例1で作製した半導体装置では不良が全く発生しなかったのに対して、比較例1で作製した半導体装置では、3基に不良が発生した。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、高い接続信頼性で接続された半導体装置、その半導体装置を容易に製造することができる微粒子搭載装置及び微粒子搭載方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の半導体装置における球状ハンダ粒子の配置の1例を示す模式図である。
【図2】微粒子吸引治具の1実施態様の断面を示す模式図である。
【図3】本発明の微粒子搭載装置による基板上への微粒子の配置方法を示す模式図である。
【図4】本発明の半導体装置における球状ハンダ粒子及び導電性微粒子の配置の1例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 球状ハンダ粒子(電極間接続端子)
2 球状ハンダ粒子
3 基板
4 吸引装置
5 電磁弁制御装置(導電性微粒子側)
6 電磁弁制御装置(球状ハンダ粒子側)
7 電磁弁
8 搭載用孔(導電性微粒子用)
9 搭載用孔(球状ハンダ粒子用)
10 供給部A
11 認識装置
12 供給部B
13 導電性微粒子
14 基板

Claims (2)

  1. 少なくとも、微粒子を吸引するための複数系統の真空回路からなる微粒子吸着治具を有する微粒子搭載装置を用いて基板上に微粒子を搭載する方法であって、
    少なくとも、
    2以上の供給部より順番に球状ハンダ粒子及び導電性微粒子を前記微粒子吸着治具により吸着する工程、
    前記微粒子吸着治具に吸着された前記球状ハンダ粒子及び前記導電性微粒子を排出して、基板上の対応する位置に搭載する工程を有する
    ことを特徴とする微粒子搭載方法。
  2. 微粒子吸着治具に微粒子を供給する供給部を2以上有する微粒子搭載装置を用いることを特徴とする請求項記載の微粒子搭載方法。
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