JP3996708B2 - 歩道橋、架線ビーム等の作業足場の仮設工法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
この発明は、歩道橋や陸橋の橋梁、鉄道線路の架線ビーム等の両側に沿って作業足場を仮設する工法に関するものである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】
歩道橋や鉄道線路の軌道上に跨設された架線ビーム等に対する諸工事は、高所作業となることから、墜落防止の安全策を講じて行われる。
歩道橋では車両の往来が終日あるので、余程の工事でない限り通行止めをして作業足場の仮設を行うことが出来ず、このため塗装作業等での足場の仮設は橋梁の上からとなり、親綱に架け通した命綱を頼りに仮設作業を行うことになるので作業能率が悪く、安全性にも課題を有するものであった。
【0003】
また軌道上の架線ビームでは、終電後に足場の仮設を行うことが出来るが、電車の運行中は安全運転のために仮設足場などは撤去しなければならず、また限られた時間内での作業では、足場の仮設及び撤去の時間を含めると、実質的な作業時間は極めて僅かなものとなるので、その殆どは親綱の張設のみに止まり、その親綱に命綱を託して架線ビームに作業員が乗り塗装などの作業を行っているのが現状である。
【0004】
このような状況での作業では、塗装などが施される架線ビームそのものを足場とすることから作業姿勢が悪く、無理な体勢での作業となるために作業効率も低く、また親綱によって墜落は免れても滑落により負傷することが多々あり、安全性の確保の点からも課題を有する。
【0005】
上記課題の解決手段として、ネットを採用した吊り足場を作業足場として仮設することも行われているが、ネットでは足元が不安定となるので、ネットを要所ごとに支える根太や作業中の足元を確保するための渡り板などの二重の施工が必要となり、また風に煽られ易いので固定個所も必然的に多くなる等のことから、支え用の根太などの施工が困難な歩道橋の橋梁や架線ビーム等の仮設の作業足場としては不適当な課題を有するものであった。
【0006】
この発明は上記課題を解決するために考えられたものであつて、その目的は、足場板と横架材とをユニット化することによって、吊りロープによる作業足場の仮設時間の短縮化を可能とし、また一連の足場板によって安全性の確保が可能な新たな歩道橋、架線ビーム等の作業足場の仮設工法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的によるこの発明の一つは、歩道橋の作業足場の仮設にあって、折畳み自在にジョイントした一対の足場板を一組とし、その多数組を展開自在に横架材を介して一方向に長く所要スパン分を連結して構成したユニット足場と、その横架材の全ての両端部に挿通した少なくとも左右2条の吊りロープと、上記ユニット足場の一端部の横架材に取付けた展開及び折畳み用の操作ロープとから作業足場を構成し、その作業足場を折畳み状態にて作業現場に搬入したのち、各吊りロープの両端を歩道橋の橋梁両端の下側の張出部に取付けて橋梁に沿い車道上に架け渡し、その吊りロープの片側にユニット足場を吊り上げて該ユニット足場の他端部を張出部に固定するとともに、上記操作ロープを反対側の張出部まで引出し、その操作ロープによりユニット足場の一端を吊りロープの緊張固定後に引っ張って、折畳み状態にある複数組の上記足場板を順次吊りロープ上に展開し、橋梁下側の両端にわたる吊り足場として仮設してなる、というものである。
【0008】
またこの発明の他の一つは、鉄道線路の軌道上の架線ビームの作業足場の仮設にあって、折畳み自在にジョイントした一対の足場板を一組とし、その多数組を展開自在に横架材を介して一方向に長く所要スパン分を連結して構成した絶縁性のユニット足場と、その横架材の全ての両端部に挿通した少なくとも左右2条の絶縁性の吊りロープと、上記ユニット足場の一端部の横架材に取付けた展開及び折畳み用の絶縁性の操作ロープとから作業用吊り足場を構成し、その作業足場を折畳み状態にて作業現場に搬入したのち、各吊りロープの両端を軌道両側のビーム支柱に取付けて架線ビームに沿い軌道上に架け渡し、その吊りロープの片側にユニット足場を吊り上げて該ユニット足場の他端部をビーム支柱に固定するとともに、上記操作ロープを他側のビーム支柱まで引出し、その操作ロープによりユニット足場の一端を吊りロープの緊張固定後に引っ張って、折畳み状態にある複数組の上記足場板を順次吊りロープ上に展開し、架線ビーム下側の両端にわたる吊り足場として仮設してなる、というものである。
【0009】
更にまたこの発明は、上記ユニット足場は強化繊維プラスチックによる長方形の足場板と短冊状形の横架材とからなり、それらは周辺と裏面とに一体形成された補強用の側壁とリブとを有するとともに、足場板の対向側壁の両側にはロープ受用の切欠部が、横架材の対向側壁にはロープ挿通用の穿孔が位置を同じくして設けられ、その切欠部及び穿孔の外側の側壁に形成した突片と受溝との嵌合と、その嵌合部位に止着した軸部材とにより、横架材を支えとして足場板を一対ごとに上側に折曲自在に連結してなる、というものでもある。
【0010】
上記工法による作業足場では、一連の足場板により足場が確保されるので足元に不安定さがなく、またユニット足場の展開及び折畳みも操作ロープの引張りにより行い得るので、吊りロープの架設後における足場板の施工が極めて短時間で行え、必要に応じて片側に折り畳んで寄せ置くことも出来るので、長期間にわたる工事でも仮設及び撤収を繰返す必要もなくなり、工事対象が歩道橋や架線ビーム等であっても安全性の優れた作業足場を提供することができ、さらには陸橋にもそのまま応用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図中1はユニット足場で、折畳み自在にジョイントした一対の足場板2,2を一組とし、その多数組を展開自在に横架材3を介して一方向に長く所要スパン分を連結して構成したものからなる。
【0012】
上記足場板2と横架材3は、アルミニウム又はその合金、絶縁性を有する強化繊維プラスチック(FRP)などによもので、図3及び図6に示すように、足場板2は長方形の板面の周辺に補強用の側壁21を、また裏面にリブ22を一体形成したものからなり、その対向側壁の両側にはロープ受用の切欠部23が切設してある。
【0013】
上記横架材3は、短冊状形の板面の周辺に補強用の側壁31を、また裏面にリブ32を一体形成したものからなり、その対向側壁にはロープ挿通用の穿孔33が上記足場板2の切欠部23と位置を同じくして穿設してある。
なお、足場板2と横架材3の板面は軽量化のために多孔板とすることが好ましい。
【0014】
この切欠部23及び穿孔33の外側の側壁には互いに嵌合する突片24,24と受溝25,35がそれぞれ形成してあり、その嵌合部位に止着した軸部材4により、横架材3を支えとして足場板2を一対ごとに上側に折曲自在に連結してある。
【0015】
5,5はユニット足場1の左右両側の吊りロープで、複数組の足場板2,2の間に介在した全ての横架材3,3の上記穿孔33に挿通してある。この吊りロープ5,5はワイヤーロープ、ポリエステル繊維、アラミド繊維等の合成繊維のロープなどからなり、その長さは余長部を含めて仮設幅よりも著しく長く設けてある。
【0016】
6は足場板2の展開又は折畳み用の合成繊維による操作ロープで、ユニット足場1の一端部の横架材3aの中央に取付けてある。
【0017】
図4の各図は、歩道橋の橋梁7の側面下側に仮設する場合の工程を順に示す説明図で、図は省略したが、まず上記吊りロープ5及び操作ロープ6を取付けて足場板2,2を折畳み、図では省略したが、カバーにより梱包した状態の上記作業足場を作業現場に搬入して車道の片側に置く。
【0018】
次に梱包をほどいて各吊りロープ5,5の両端の取付を行う前に、橋梁7の両端下側の張出部8にチェーンブロック付きの支持部材9を先付して置く、各吊りロープ5,5の取付は、そのチェーンブロックに吊りロープ5,5を通して行い、橋梁7に沿い車道上に架け渡す。この架け渡し作業は交通を片側通行に規制するだけで充分に行い得る。
【0019】
架け渡し後に、クレーン車10によりユニット足場1を吊り持ちながら、吊りロープ5,5をチェーンブロックにより適当なたるみが生ずる程度に一時的に緊張する。かかる状態において、ユニット足場1をクレーン車10により仮設高さまで吊り上げて、図5に示すように吊りロープ5,5の片側に寄せ、ユニット足場1の他端部の横架材3bを張出部8側に固定するとともに、上記操作ロープ6を反対側の張出部まで引き伸ばす。
【0020】
かかる準備が完了したら、上記チェーンブロックにより吊りロープ5,5の再緊張を行って真っすぐに支持部材9に固定する。そして緊張状態を確認した後、操作ロープ6を引っ張って、折畳み状態にある複数組の上記足場板2,2を順次吊りロープ5,5上に展開し、完全展開後に操作ロープ6を固定することによって、ユニット足場1が橋梁7の下側両端にわたり仮設された吊り足場による作業足場となる。
【0021】
この作業足場の仮設に際しては、作業の安全性の確保から、これまでと同様に橋梁7の側面上方に親綱11を張設し、作業員はその親綱11に命綱を掛け通して作業を行うことが好ましい。また親綱11は図7に示すように、仮設後は所要個所に配置される吊り棒12,12の支持ロープとして利用できる。
【0022】
また取り払いは、上記操作ロープ6の固定を解除して、その端をユニット足場1を固定している張出部側に移し、引張り方向を展開時とは逆方向とすることにより、一対の足場板2,2が一組つづ相互のジョイント部分を境に上向きに折曲して、元の折畳み状態となってゆく。この場合、作業員が足場上から鉤棒などを用いて、ジョイント部分を引き上げながら引張りを行うと折畳みがスムーズに生ずるようになる。
【0023】
折畳みにより橋梁7の片側に片寄せられたユニット足場1は、吊りロープ5,5の緊張を解除しながら徐々に地面に操作ロープ6と一緒に吊り下ろされ、張出部8の支持部材9から取り外された吊りロープ5,5と共に再び梱包されて、作業現場から搬出される。この撤収作業に際しても片側交通規制を行うだけで済むので、交通量の少ない道路の歩道橋では車両の交通に支障を来さず、作業を能率よく行うことができる。
【0024】
図7の各図は、軌道上の架線ビーム13に作業足場を仮設する場合の工程を順に示す説明図で、終電後に架線への送電を停止したのち、梯子を使用して軌道両側の上記ビーム支柱14,14に上り、親綱11を架線ビーム13よりも上側のビーム支柱に水平に取付けて張設する。
【0025】
次に線路脇に搬入された上記作業足場の梱包を解いて、吊りロープ5,5をビーム支柱14,14に水平に取付けた腕木内側の支持部材9に取付ける。この取付は架線上に渡して行い、また前記歩道橋の場合と同様にチェーンブロックを採用して行う。吊りロープ5,5の架け渡し後の工程は全て歩道橋の場合と同様に行われ、仮設した作業足場の撤去も前記と同様な工程をもって行い得る。
【0026】
また日数を要する作業で、電車の運転時間中は作業が中止される場合であっても、ユニット足場1を片側に折畳み状態で片寄せて置くだけよく、再作業はユニット足場を再展開して固定するだけで直ちに開始できるので、作業準備に要する時間が短縮され、限られた時間内での作業効率が著しく向上するようになる。
【0027】
上記吊りロープ5,5については、予め架線ビーム13の上部に所定間隔ごとに載置固定した角パイプによる横長の支持杆15に吊下げた保持部材16のフック17に掛け止めて、横揺れや撓みが生じないようにする。この掛け止めはユニット足場1を展開してから、足場板2と横架材3との間の隙間にフック17を側方から押入するだけで容易に行い得る。これにより仮設の作業足場であっても作業員の移動や強風による横揺れ又は荷重による撓みなどが生じ難いようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の作業足場の施工状態の概略説明図である。
【図2】 この発明のユニット足場の折畳み状態と展開状態とを示す部分側面図である。
【図3】 ユニット足場の分解斜視図である。
【図4】 歩道橋に対する作業足場の施工状態を順に示す説明図である。
【図5】 足場板と横架材の平面図である。
【図6】 (A)は図5のA−A線断面図、(B)は同じくB−B線断面図、
(C)は同じくC−C断面図である。
【図7】 架線ビームに対する作業足場の施工状態を順に示す説明図である。
【図8】 仮設後の作業足場の途中部分の支持状態を示す部分斜視図である。
【符号の説明】
1 ユニット足場
2 足場板
3 横架材
4 軸部材
5 吊りロープ
6 操作ロープ
7 橋梁
8 張出部
9 支持部材
11 親綱
12 支持棒
13 架線ビーム
14 ビーム支柱
15 支持杆
16 保持部材
17 フック
21 足場板の側壁
22 リブ
23 切欠部
31 横架材の側壁
32 リブ
33 穿孔
Claims (3)
- 折畳み自在にジョイントした一対の足場板を一組とし、その多数組を展開自在に横架材を介して一方向に長く所要スパン分を連結して構成したユニット足場と、その横架材の全ての両端部に挿通した少なくとも左右2条の吊りロープと、上記ユニット足場の一端部の横架材に取付けた展開及び折畳み用の操作ロープとから作業足場を構成し、その作業足場を折畳み状態にて作業現場に搬入したのち、各吊りロープの両端を歩道橋の橋梁両端の下側の張出部に取付けて橋梁に沿い車道上に架け渡し、その吊りロープの片側にユニット足場を吊り上げて該ユニット足場の他端部を張出部に固定するとともに、上記操作ロープを反対側の張出部まで引き伸ばし、その操作ロープによりユニット足場の一端を吊りロープの緊張固定後に引っ張って、折畳み状態にある複数組の上記足場板を順次吊りロープ上に展開し、橋梁下側の両端にわたる吊り足場として仮設してなることを特徴とする歩道橋の作業足場の仮設工法。
- 折畳み自在にジョイントした一対の足場板を一組とし、その多数組を展開自在に横架材を介して一方向に長く所要スパン分を連結して構成した絶縁性のユニット足場と、その横架材の全ての両端部に挿通した少なくとも左右2条の絶縁性の吊りロープと、上記ユニット足場の一端部の横架材に取付けた展開及び折畳み用の絶縁性の操作ロープとから作業用吊り足場を構成し、その作業足場を折畳み状態にて作業現場に搬入したのち、各吊りロープの両端を軌道両側のビーム支柱に取付けて架線ビームに沿い軌道上に架け渡し、その吊りロープの片側にユニット足場を吊り上げて該ユニット足場の他端部をビーム支柱に固定するとともに、上記操作ロープを反対側のビーム支柱まで引き伸ばし、その操作ロープによりユニット足場の一端を吊りロープの緊張固定後に引っ張って、折畳み状態にある複数組の上記足場板を順次吊りロープ上に展開し、架線ビーム下側の両端にわたる吊り足場として仮設してなることを特徴とする架線ビームの作業足場の仮設工法。
- 上記ユニット足場は強化繊維プラスチックによる長方形の足場板と短冊状形の横架材とからなり、それらは周辺と裏面とに一体形成された補強用の側壁とリブとを有するとともに、足場板の対向側壁の両側にロープ受用の切欠部が、横架材の対向側壁にはロープ挿通用の穿孔が位置を同じくして設けられ、その切欠部及び穿孔の外側の側壁に形成した突片と受溝との嵌合と、その嵌合部位に止着した軸部材とにより、横架材を支えとして一対の足場板を一組ごとに上側に折曲自在に連結してなることを特徴とする請求項1又は2記載の歩道橋、架線ビーム等の作業足場の仮設工法。
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