JP3996678B2 - スクリュー圧縮機の容量制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スライド弁により容量制御を行うスクリュー圧縮機に係わり、このスライド弁の軸方向に連結するピストンの左右に油圧等で圧力差を付与することによりスライド弁が移動する容量制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
スライド弁を用いたスクリュー圧縮機の容量制御装置では、例えば、100%,75%,50%,33%というように、容量を段階的に制御する段階制御装置があり、この種の従来装置は、例えば、特開昭64-24193号公報に記載されるような、装置が知られている。
【0003】
また、スライド弁を用いたスクリュー圧縮機の他の容量制御装置は、容量を全負荷から最小負荷(例えば33%)まで連続的に制御することができる連続制御の装置があり、この種の装置は、例えば、特開昭59-119085号公報に記載されるような、装置が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術では、段階制御装置と連続制御装置では、シリンダ室への給排油路、および加圧減圧の電磁弁の接続系統は異なり、段階制御のスクリュー圧縮機と、連続制御のスクリュー圧縮機とは、容量制御機構部を収納するケーシングは互換性がなく、別の部品が用いられ、別の圧縮機として設計,生産されていた。
【0005】
従って、冷凍,空気調和装置等で段階制御の圧縮機を必要とする場合と、連続制御の圧縮機を必要とする場合とでは、別の圧縮機を製作しなければならず、各部品のコストが高くなり、また生産管理に多くの労力を要するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みて発明されたもので、スクリュー圧縮機の容量制御機構部を共用化し、段階制御と、連続制御のどちらでも制御可能なスクリュー圧縮機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、雄雌一対のスクリューロータとこれを支える軸受部材、および圧縮容量の制御を行うスライド弁を納めた第1ケーシングと、前記スライド弁の軸方向に連結されたピストンを収納するシリンダ室を有し、前記シリンダ室に開口する給排油通路を備えた第2ケーシングを有するスクリュー圧縮機において、前記第2ケーシングのシリンダ室には、前記ピストンの摺動区間よりスライド弁側の位置に第1開孔を設け、前記ピストンの摺動区間より反スライド弁側の位置に第2開孔を設け、前記シリンダ室の内面には前記ピストンの摺動区間内の適宜箇所に開孔を設け、段階的な容量制御を行なう圧縮機においては、前記第2ケーシングに設けた前記第1開孔を、前記第1ケーシングに設けられかつ高圧側空間へ通ずる通路に接続し、第2ケーシングに設けた前記第2開孔を、第1ケーシングに設けられかつ電磁弁及び絞り部品を介して高圧油側または低圧側空間へ通ずる通路に接続し、第2ケーシングのシリンダ室のピストン摺動区間内に設けた前記開孔を、第1ケーシングに設けられかつ電磁弁を介し低圧側空間へ通ずる通路に接続し、第2ケーシングのシリンダ室のピストン摺動区間内に設けた前記開孔のうち使用しない開孔については前記第1ケーシングとの接続面で封止し、連続的な容量制御を行なう圧縮機においては、前記第2ケーシングの第1開孔を、第1ケーシングに設けられかつ電磁弁および絞り部品を介して高圧油側または低圧側空間へ通ずる通路に接続し、第2ケーシングの第2開孔を、第1ケーシングに設けられかつ低圧側空間へ通ずる通路に接続し、第2ケーシングのシリンダ室のピストン摺動区間内に設けた前記開孔を、第1ケーシングに設けられかつケーシング外部へ通ずる通路に接続すると共に、このケーシング外部へ通ずる通路には圧力検知用の圧力取り出し口を設け、更に第2ケーシングのシリンダ室のピストン摺動区間内に設けた前記開孔のうち使用しない開孔については前記第1ケーシングとの接続面で封止する構成とすることにより、段階的な容量制御を行なう圧縮機に使用する第2ケーシングと連続的な容量制御を行なう圧縮機に使用する第2ケーシングとを共用できるようにしたスクリュー圧縮機の容量制御装置にある。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図1、図2、図3および図4により説明する。図1はスクリュー圧縮機の断面構造図を示す。図2、図3は図1の容量制御機構部の系統図を示す。
【0011】
スクリュー圧縮機の構造は、図1に示すとおり、雄雌一対のスクリューロータ(雄ロータ8、雌ロータ7図示せず)、スクリューロータの支持部材(コロジクウケ13,14,15、タマジクウケ16、雌ロータ7側支持部材は図示せず)、容量制御用のスライド弁3、その他部材を納めたケーシング(第1ケーシング)1およびDカバ(第2ケーシング)4からなる圧縮機構部35、また同じくケーシング1に収納されるスクリューロータの駆動用モータ9、このモータ9の電源取り込み用のハーメチック端子10からなる駆動用モータ部34、このケーシング1を吸入側および吐出側から密封するモータカバ2、Dチャンバ5からなる。Dカバ4は、スライド弁3の軸方向にロッド22を介して連結するピストン23を収納するシリンダ室24を有する。Dチャンバ5は、吐出ガスに含まれる軸受およびスクリューロータの潤滑油を分離する効果を有する。
【0012】
冷媒ガスおよび潤滑油の流れを次に説明する。
【0013】
モータカバ2の吸入口11から吸入された低温低圧な冷媒ガスは、駆動用モータ9を通過し、モータ9を冷却した後、雄雌のスクリューロータ(雄ロータ8、雌ロータ7図示せず。)の噛み合い部とケーシング1により囲まれる吸入ポート12から吸入される。その後、冷媒ガスは駆動用モータ9に連結する雄ロータ8の回転と共に、雄雌のスクリューロータの噛み合い歯面とケーシング1により閉じられ、徐々に噛み合いの歯形空間の縮小により圧縮され高温高圧ガスとなってDカバ4の吐出ポート28から吐出される。圧縮時、圧縮反力が雄雌のスクリューロータに作用するが、ラジアル荷重をコロジクウケ13,14,15により支持し、スラスト荷重をタマジクウケ16により支持している。(雌ロータ7側は図示せず。)これらの軸受の潤滑および冷却用の油は、高圧部にあるケーシング1の下部油溜め17から各軸受け部に通じる油路を通り差圧給油され、圧縮ガスと共に吐出される。圧縮ガスに含まれる油分はDチャンバ5に取り付けたデミスタ6により分離されケーシング1の下部油溜め17に溜められる。油をデミスタ6により分離後、圧縮ガスは吐出口18より吐出される。
【0014】
容量制御は、スライド弁3をスクリューロータ(雄ロータ8、雌ロータ7図示せず。)の軸方向にスライドさせ、有効吸い込み量を調整することにより行われる。すなわち、スライド弁3が吐出方向(図1の右方向)へスライドしているとき吸入ポート12からスクリューロータの噛み合い部に吸い込まれた吸入ガスは、一部が吸入室19へバイパスし必要なガスのみ吐出ポート28から吐出される。スライド弁3の作動は、ロッド22を介して軸方向に連結されるピストン23の左右に油圧およびガス圧により圧力差を生じさせることによって行われる。スライド弁3の作動の形態は、ピストン23が収納されるシリンダ室24へ通じる給排油通路25の位置および給排油通路25に接続する電磁弁21の系統によって、段階的な移動や連続的な移動、また中間保持を行うことができる。
【0015】
まず、スライド弁3の段階的な移動を行う容量制御機構(段階容量制御)を図2によって説明する。Dカバ(第2ケーシング)4のシリンダ室24には、ピストン23で区画するシリンダ室24のスライド弁側(24a)のピストンの摺動区間より外側に通路27が開孔し、ピストン23で区画するシリンダ室24の反スライド弁側(24b)のピストンの摺動区間より外側に通路25aが開孔している。また、Dカバ4のシリンダ室24の内面にはピストン23の摺動区間内の適宜箇所に開孔25b,25c,25dを設けている。ここでは、吐出容量が50%、75%、100%となる位置に、順に開孔25b,25c,25dを設けた。
【0016】
ケーシング1側には、Dカバ4に設けた通路27に接続する位置に高圧側へ通ずる通路29dが開孔し、またDカバ4に設けた通路25aに接続する位置に通路29aが開孔し、通路29aは電磁弁21aを介して低圧側へ連通し、かつ高圧側油溜め17から絞り部品のキャピラリチューブ26aを介して高圧油が供給されている。
【0017】
また、ケーシング1側には、Dカバ4のシリンダ室24の内面に設けた開孔25b、25c、25dのうち、開孔25b、25cに接続する位置に、電磁弁21b、21cを介して低圧側に連通する通路29b、29cが開孔している。Dカバ4のシリンダ室24の内面に設けた開孔25dは、ここでは使用しないため、ケーシング1の接続面30で封止する。
【0018】
構造上、ケーシング1の接続面30により、Dカバ4の開孔25dを封止できない場合は、Dカバの接続面から閉止プラグを用い封止してもよい。
【0019】
スライド弁3の作動状態による電磁弁21a,21b,21cの開閉状態は表1のとおりである。また、本発明は第2ケーシング(Dカバ4)の前記シリンダ室のピストンの摺動区間内に設けた開孔のうち、各容量制御において必要としない開孔部を封止するように構成することができる。さらに、第2ケーシングの前記シリンダ室のピストンの摺動区間内に設けた開孔のうち、各容量制御において必要としない開孔を第1ケーシング(ケーシング1)の接続面において封止するように構成することもできる。
【0020】
【表1】
【0021】
表1において例えば50%ロードについては、電磁弁21bが開きピストン23の右側が低圧圧力に開放され、ピストン23の左右の圧力差によってスライド弁3が図示右側に移動し、ちょうど圧力バランスをする開孔25bの位置で固定され50%ロード運転となる。開孔25bは、圧縮ガスの吐出容量が50%となる位置にSバルブ3がくる様に穿孔されている。
【0022】
上記原理により、電磁弁21a、21b、21cの開閉によってスライド弁3の移動、100%、75%、50%、および最小容量の容量制御が可能となる。
【0023】
次に、スライド弁3の連続的な移動を行う容量制御機構(連続容量制御)を図3によって説明する。
【0024】
Dカバ(第2ケーシング)4は段階容量制御を行う圧縮機で使用するものと同一構造のものを使用することで、段階容量制御用Dカバと連続容量制御用Dカバとを共用できるようにしている。Dカバ4のシリンダ室24には、前述のとおりピストン23で区画するシリンダ室24のスライド弁側(24a)に通路27が開孔し、反スライド弁側(24b)に通路25aが開孔し、また、シリンダ室24の内面にはピストン23の摺動区間内の適宜箇所に開孔25b,25c,25dを設けている。ケーシング1側には、Dカバ4に設けた通路27に接続する位置に通路32dが開孔し、通路32dは電磁弁21d,21e,21fおよびキャピラリーチューブ(絞り部品)26b,26cを介して高圧側油溜め17または低圧側空間へ連通している。Dカバ4に設けた通路25aに接続する位置には、低圧側へ連通する通路32aが開孔している。
【0025】
尚、Dカバ4に設けた50%、100%の容量位置である通路25b、25dに接続する位置には、圧力検知用に圧力取り出し口36,37に通ずる通路32b、32cが開孔している。Dカバ4のシリンダ室24の内面に設けた75%容量位置の開孔25cは、ここでは使用しないため、ケーシング1の接続面33で封止する。構造上、ケーシング1の接続面33により、Dカバ4の開孔25cを封止できない場合は、Dカバの接続面から閉止プラグを用い封止してもよい。
【0026】
スライド弁3の作動状態による電磁弁21d、21e、21fの開閉状態は表2のとおりである。
【0027】
【表2】
【0028】
表2のとおり、電磁弁21d、21e、21fの開閉によってスライド弁3の移動、中間保持がなされ、このスライド弁3の位置により連続的な任意の容量制御が可能となる。尚、上記で説明の通路についてはケーシング1の内部をきり穴で連通させ、電磁弁については図1に示すケーシング1に直接接続するフランジ接続タイプであるが、外部配管と配管接続タイプの電磁弁を使用しても良い。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、前記説明のとおり、段階制御および連続制御において、Dカバを共用とすることで、今まで段階仕様と、連続仕様の2種類設計し製作していたDカバを、1種類とすることができる。
【0030】
さらに、圧縮機構部であるロータ組品(図4)は、段階、連続共用となり、製造管理上の簡素化と、オーバーホール等のサービス性改善に効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】スクリュー圧縮機の断面構造図
【図2】段階容量制御装置の系統図
【図3】連続容量制御装置の系統図
【図4】圧縮機構部のロータ組品図
【符号の説明】
1…ケーシング、2…モータカバ、3…スライド弁、4…Dカバ、5…Dチャンバ、6…デミスタ、7…雌ロータ、8…雄ロータ、9…モータ、10…ハーメチック端子、11…吸入口、12…吸入ポート、13,14,15…コロジクウケ、16…タマジクウケ、17…油溜め、18…吐出口、19…吸入室、21(21a,21b,21c,21d,21e,21f)…電磁弁、22…ロッド、23…ピストン、24(24a,24b)…シリンダ室、25(25a,25b,25c,25d)…開孔(通路)、26(26a,26b,26c)…キャピラリチューブ、27…通路 28…吐出ポート、29(29a,29b,29c)…開孔(通路)、30…接続面 31…低圧通路、32(32a,32b,32c,32d)…開孔(通路)、33…接続面、34…駆動用モータ部、35…圧縮機構部、36,37…圧力取り出し口。
Claims (1)
- 雄雌一対のスクリューロータとこれを支える軸受部材、および圧縮容量の制御を行うスライド弁を納めた第1ケーシングと、前記スライド弁の軸方向に連結されたピストンを収納するシリンダ室を有し、前記シリンダ室に開口する給排油通路を備えた第2ケーシングを有するスクリュー圧縮機において、
前記第2ケーシングのシリンダ室には、前記ピストンの摺動区間よりスライド弁側の位置に第1開孔を設け、前記ピストンの摺動区間より反スライド弁側の位置に第2開孔を設け、前記シリンダ室の内面には前記ピストンの摺動区間内の適宜箇所に開孔を設け、
段階的な容量制御を行なう圧縮機においては、前記第2ケーシングに設けた前記第1開孔を、前記第1ケーシングに設けられかつ高圧側空間へ通ずる通路に接続し、第2ケーシングに設けた前記第2開孔を、第1ケーシングに設けられかつ電磁弁及び絞り部品を介して高圧油側または低圧側空間へ通ずる通路に接続し、第2ケーシングのシリンダ室のピストン摺動区間内に設けた前記開孔を、第1ケーシングに設けられかつ電磁弁を介し低圧側空間へ通ずる通路に接続し、第2ケーシングのシリンダ室のピストン摺動区間内に設けた前記開孔のうち使用しない開孔については前記第1ケーシングとの接続面で封止し、
連続的な容量制御を行なう圧縮機においては、前記第2ケーシングの第1開孔を、第1ケーシングに設けられかつ電磁弁および絞り部品を介して高圧油側または低圧側空間へ通ずる通路に接続し、第2ケーシングの第2開孔を、第1ケーシングに設けられかつ低圧側空間へ通ずる通路に接続し、第2ケーシングのシリンダ室のピストン摺動区間内に設けた前記開孔を、第1ケーシングに設けられかつケーシング外部へ通ずる通路に接続すると共に、このケーシング外部へ通ずる通路には圧力検知用の圧力取り出し口を設け、更に第2ケーシングのシリンダ室のピストン摺動区間内に設けた前記開孔のうち使用しない開孔については前記第1ケーシングとの接続面で封止する構成とすることにより、
段階的な容量制御を行なう圧縮機に使用する第2ケーシングと連続的な容量制御を行なう圧縮機に使用する第2ケーシングとを共用できるようにしたことを特徴とするスクリュー圧縮機の容量制御装置。
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JP24649397A JP3996678B2 (ja) | 1997-09-11 | 1997-09-11 | スクリュー圧縮機の容量制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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1997
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