JP3996653B2 - 置換度分布が制御されたヒドロキシプロピルセルロース - Google Patents

置換度分布が制御されたヒドロキシプロピルセルロース Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着剤、結合剤、化粧品、食品、押出し成形、塗料リムーバー、医薬品、PVC懸濁重合助剤等広い用途分野に利用されるヒドロキシプロピルセルロースに関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒドロキシプロピルセルロースはセルロースに水酸化アルカリを反応させて得られるアルカリセルロースと、プロピレンオキシドとを反応させることにより製造される非イオン性ポリマーである。ヒドロキシプロピルセルロースは、冷水溶解性、熱水不溶解性、熱可塑性、多数の有機溶媒に対する溶解性等の有用な物性を有し、広い用途分野に利用されている。これらの特性はセルロースに対するヒドロキシプロピル基の置換数によって異なる。置換基数の表出方法としては、その構造単位である無水グルコース単位当りの置換基の平均置換モル数「MS」が最も一般的で広く使用されている方法である。一方、ヒドロキシプロピルセルロースが多方面に利用されるための重要な要素のひとつとして、溶液の性質が優れていること、溶液中で完全に溶解していることが挙げられる。
【0003】
特公昭42−10640号、特公昭45−4754号には、MSが2以上のヒドロキシプロピルセルロースの製造方法が開示されているが、この方法によるヒドロキシプロピルセルロースは冷水溶解性は示すものの、有機溶媒溶解性は必ずしも満足するものではなかった。
【0004】
また、特公昭45−4754号には、有機溶媒溶解性の改善されたヒドロキシプロピルセルロースの製造方法が提案されている。この場合のヒドロキシプロピルセルロースのMSは3以上であった。しかしながら、MSが3を超える高い置換度を有するヒドロキシプロピルセルロースは、良好な有機溶媒溶解性を示す一方で、このヒドロキシプロピルセルロースを用いた粉末、顆粒あるいはフィルム状態に成形されたものがブロッキングと呼ばれる凝集を起こすと言う問題があり、製品として取り扱うに際して重大な欠点となる。また、MSが3を超える高置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、MS値の増加にともなって熱可塑化する温度が低下する傾向があるが、可塑化温度の低いものは、製品を粉砕して粉末状に成形するに際し、粉砕機内で可塑化して作業を困難にするという問題があった。
【0005】
さらに、特公昭51−32676号、特公昭52−14262号、特開昭54−156086号、特開昭56−802号等で開示される製造方法より得られるヒドロキシプロピルセルロースのMSも3以上であり、ブロッキングを起こし、また熱可塑化温度も低いものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、溶液の性質に優れ、ブロッキングを起こさないヒドロキシプロピルセルロースのMSは、2以上で3を超えないものが好ましいと考えられるが、MSが2〜3の範囲にあるものであっても、上記要求物性を十分に満足するものではなかった。良好な物性を確保するためにMS値の管理のみでは十分ではなく、ヒドロキシプロピルセルロース中のヒドロキシプロピル基置換モル数の異なる置換体の組成比が重要である。この比率を制御して、溶液の性質に優れかつブロッキングを起こさないヒドロキシプロピルセルロースの出現が望まれるが、十分に満足するものは未だない。
【0007】
本発明は、溶液の性質に優れ、かつブロッキングを起こさず、また熱可塑化温度も高くなるように置換度分布が制御されたヒドロキシプロピルセルロース及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題の解決のために鋭意検討した結果、本発明に想到した。
上記目的を達成するため、請求項1に記載された発明は、原料パルプを10〜60重量%濃度の水酸化アルカリ水溶液に浸漬した後圧搾して余剰の水酸化アルカリ水溶液を除去して得られるアルカリセルロースにプロピレンオキシドを反応させて得られるヒドロキシプロピルセルロースであって、無水グルコース単位当りのヒドロキシプロピル基の平均置換モル数が2〜3のものであって、当該ヒドロキシプロピルセルロース中のヒドロキシプロピル基置換モル数2の置換体とヒドロキシプロピル基置換モル数3の置換体の合計の比率が80mol%以上でヒドロキシプロピル基置換モル数3の置換体比率が65mol%以上、かつ無置換体の比率が3mol%以下、ヒドロキシプロピル基置換モル数4の置換体比率が6mol%以下であることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載された発明は、請求項1のヒドロキシプロピルセルロースの製造方法であって、原料パルプを10〜60重量%濃度の水酸化アルカリ水溶液に浸漬した後圧搾して余剰の水酸化アルカリ水溶液を除去して得られる、セルロースに対する重量比で水酸化アルカリ量0.01〜0.20、水分量0.1〜2.0の範囲のアルカリセルロースを用いて、温度50〜90℃下でセルロースに対する重量比で2.0〜3.5のプロピレンオキシドを、反応系内に少量ずつ連続的に投与する方法で反応することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のヒドロキシプロピルセルロースは、構造単位である無水グルコース単位当りのヒドロキシプロピル基置換モル数(MS)が2〜3、好ましくは2.5〜2.8ものであって、ヒドロキシプロピルセルロース中のヒドロキシプロピル基置換モル数が異なる置換体の組成比が、ヒドロキシプロピル基置換モル数2の置換体とヒドロキシプロピル基置換モル数3の置換体の比率の合計が80mol%以上、好ましくは85mol%以上で、ヒドロキシプロピル基置換モル数3の置換体比率が65mol%以上、好ましくは75mol%以上、かつ無置換体の比率が3mol%以下、好ましくは1.5mol%以下、ヒドロキシプロピル基置換モル数4の置換体比率が6mol%以下、好ましくは4mol%以下である。
【0011】
上記の範囲から外れる場合にあっては、満足する物性が得られない。
ヒドロキシプロピル基置換モル数2の置換体とヒドロキシプロピル基置換モル数3の置換体の比率の合計が80mol%以下であると、溶液の性質に問題があり、水及び有機溶剤に対する溶解性が不足する。
また、ヒドロキシプロピル基置換モル数3の置換体比率が65mol%以下であると、水及び有機溶剤に対する溶解性が不足し、特に水及び有機溶剤に溶解した際の溶液の透明性が十分得られない。
無置換体の比率が3mol%を超えるものは溶液の性質、特に有機溶剤に対する溶解性が不足する。
また、ヒドロキシプロピル基置換モル数4の置換体比率が6mol%より大きい場合にはブロッキングを起こし、また熱可塑化温度も低くなる。
【0012】
本発明のヒドロキシプロピルセルロースは、例えば以下の手順に従って製造することができる。
第一段階としては、セルロースを水酸化アルカリと処理してアルカリセルロースを調製する。アルカリセルロース中の水酸化アルカリは、プロピレンオキシドの反応に対しては触媒として重要な働きをし、またセルロースの反応性を高め活性化のための役割も持つ。
一方、アルカリセルロース中の水分は、プロピレンオキシドと反応して生成物から除去されなければならない不純物を生じ望ましくない。
したがって、アルカリセルロースとプロピレンオキシドとの反応によってヒドロキシプロピルセルロースを効果的に得るためには、アルカリセルロースの調製に際し、アルカリセルロース中の水酸化アルカリ量と水分量とを目標とする置換度を得るために制御する必要がある。
【0013】
本発明のヒドロキシプロピルセルロースにおける置換体組成を得る上において、アルカリセルロース中の水酸化アルカリ量と水分量の制御は重要であり、セルロースに対する重量比で水酸化アルカリ量0.01〜0.20、好ましくは、0.05〜0.10、水分量0.1〜2.0、好ましくは0.3〜1.0である。この範囲を外れた場合にあっては、目的とする組成比率のものが得られない。
水酸化アルカリ量がセルロースに対する重量比0.01より小さい場合は反応が十分に進行せず、逆に0.20を超える場合は、ヒドロキシプロピルセルロース中のヒドロキシプロピル基置換モル数4の置換体比率が6mol%より多くなる傾向を示す。
また、セルロースに対する水分量の重量比が0.1より小さい場合は反応が十分に進行せず、逆に2.0を超える場合は水がプロピレンオキシドと反応して好ましくない不純物の生成を増加させてしまい、所定量のヒドロキシプロピル基置換度のものが得られない。
【0014】
アルカリセルロースの調製方法としては、原料パルプを水酸化アルカリ水溶液に浸漬後、圧搾して余剰の水酸化アルカリ水溶液を除き、また必要に応じて水洗や乾燥によって、上記アルカリセルロースの組成とする方法が好適である。
アルカリセルロースの調製方法として、他にパルプを有機溶剤等の分散溶媒中で水酸化アルカリ水溶液と混合する方法、また粉砕されたパルプに水酸化アルカリ水溶液を直接噴霧する方法等があるが、水酸化アルカリ水溶液に浸漬して得られるアルカリセルロースに比べて組成が不均一であり、続くエーテル化反応が均一に進行せず、目的とする置換体組成のヒドロキシプロピルセルロースが得られない。
【0015】
本発明で使用されるセルロース原料としては分子量等特に限定はなく、木材パルプ、綿リンター等、いずれも使用でき、またシート状のもの、粉砕して粉末状にしたもの等形状による限定はなくいずれのものも使用できる。
【0016】
水酸化アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等が用いられるが、水酸化ナトリウムが好適である。また水酸化アルカリは水溶液として用いられるがその濃度は、10重量%以上、好ましくは20〜60重量%で、10重量%より低い場合はセルロースが十分に膨潤せず次のプロピレンオキシドとの反応が進行し難くなる。
【0017】
本発明のヒドロキシプロピルセルロースの製造における第二段階では、アルカリセルロースとプロピレンオキシドとを十分に混合して反応させる。温度50〜90℃、好ましくは70〜80℃下で、セルロースに対する重量比で2.0〜3.5のプロピレンオキシドを、反応系内に少量ずつ連続的に投与する方法で反応を実施する。
【0018】
反応温度が50℃よりも低温では反応の進行が極端に遅くなって長時間にわたるため実用的とは言えず、90℃よりも高温下ではヒドロキシプロピルセルロース中ヒドロキシプロピル基置換モル数4の置換体比率の増加や、プロピレンオキシドが水と反応して生成する不純物が増加する等好ましくない。また、90℃を超える高温では、プロピレンオキシドとの反応が急激に進むため反応の制御が難しく、異常昇温を起こす等安全上問題がある。
【0019】
上記のプロピレンオキシドの添加量より少ない場合は、ヒドロキシプロピルセルロース中の無置換体の比率が増加し、逆に多い場合はヒドロキシプロピル基置換モル数4の置換体比率が増加して、所望の置換体比率のものは得られない。
【0020】
プロピレンオキシド添加方法としては、少量ずつ連続的に投与する。プロピレンオキシドの添加速度は、反応系内のプロピレンオキシドができるだけ一定量となるよう、エーテル化反応速度に応じて設定される。一般に、反応速度は反応温度によって異なり、反応温度が高い場合には速く、反応温度が低い場合は遅くなることから、反応温度に対応する添加速度がある。これが速すぎると反応系内のプロピレンオキシド濃度が高くなって、異常昇温を引き起こすおそれがある。また、遅い場合に不必要に反応時間が長くなる。反応によって消費されるプロピレンオキシド量に相当する量を連続的に添加する方法を実施することによって良好な物性が確保され、反応を安全にかつ短時間で完結させることができる。
例えば、前記の好ましい温度条件である70〜80℃下で実施する場合には、セルロースに対する重量比で2.0〜3.5のプロピレンキシドを反応系内に、4〜6時間で連続的に、また添加速度が一定となるように投与する。
これに対して、所定量のプロピレンオキシドを一度に全量加える方法ではヒドロキシプロピルセルロース中のヒドロキシプロピル基置換モル数4の置換体比率が増加してしまい好ましくなく、また一度に大量のプロピレンオキシドを反応系に加えることは、反応の暴走を引き起こす危険性があり、安全上も好ましいものではない。
【0021】
また本反応は、プロピレンオキシドとの反応性が小さい有機溶媒を分散媒体として用いて実施することも可能である。
【0022】
本発明における反応生成物は、プロピレンオキシドと水との反応より生ずる不純物等を含んでいるが、50℃以上の熱水中で処理することにより容易に精製され、乾燥後、不純物を含まない純度の高いヒドロキシプロピルセルロースとして得られる。
【0023】
本発明によって得られたヒドロキシプロピルセルロースの置換体組成は、既知の方法、例えばCarbhydro.Res., vol 170,p.207(1987) に記載の方法等によって求めることができる。
置換体組成の測定方法を例示すれば、アルカリ存在下ヨードメタン等のメチル化剤と反応させて遊離の水酸基をメチル化したヒドロキシプロピルセルロースを、トリフルオロ酢酸等により酸分解した後、還元してソルビトール誘導体とする。無水酢酸等を用いてアセチル化したものをガスクロマトグラフィーに供すれば、ヒドロキシプロピル基の置換数、置換位置の異なるものが分離され、それぞれの比率を求めることができる。
【0024】
上記の方法により、本発明のヒドロキシプロピルセルロースは、いずれもMS2〜3で、置換体組成はヒドロキシプロピル基置換モル数2の置換体とヒドロキシプロピル基置換モル数3の置換体の比率の合計が80mol%以上でヒドロキシプロピル基置換モル数3の置換体比率が65mol%以上、かつ無置換体の比率が3mol%以下、ヒドロキシプロピル基置換モル数4の置換比率が6mol%以下であり、水に完全に溶解し、またメタノール、エタノール、イソプロパノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、クロロホルム、ジクロルメタン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド等多くの有機溶剤に対しても溶解して、高い透明性を示した。また、本発明を粉砕して粉末状にしたものや、本発明品を用いてフィルム状に成形したものは高湿度下においてもブロッキングを起こさないことから、安定した製品形態を保つことができるものであった。
【0025】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例又は比較例の記載に限定されるものではない。
【0026】
実施例1
(1)ヒドロキシプロピルセルロースの製造
粉末状にされたパルプ100重量部を20重量%水酸化ナトリウム水溶液に室温下で1時間浸漬した。加圧濾過して余剰の水酸化ナトリウム水溶液を除き、セルロースに対する重量比が水酸化アルカリ量0.1、水分量0.5のアルカリセルロースを得た。内部攪拌機を備えたオートクレーブに前記のアルカリセルロース160重量部を仕込み、70〜80℃の温度下で攪拌しながらプロピレンオキシド240重量部を5時間かけて全量添加した。さらに同温度を2時間保持して反応を完結させた。反応物は酢酸で中和後、50〜60℃の温水を用いて洗浄した。80℃で送風乾燥して無色固体のヒドロキシプロピルセルロース195重量部を得た。Zeisel法により求めたMSは2.7であった。
【0027】
(2)置換体組成
(1)で得られたヒドロキシプロピルセルロース3重量部をジメチルスルフォキシド250重量部に溶解した。この溶液に粉末状の水酸化ナトリウム30重量部を加えた後攪拌しながらヨウ化メチル100重量部を加え、60℃で4時間反応した。反応物を1000重量部の熱水に注ぎ込んでメチル化ヒドロキシプロピルセルロースを晶出させた。晶出物を回収して70℃下6時間乾燥した。得られたメチル化ヒドロキシプロピルセルロース5重量部に2mol%トリフルオロ酢酸水溶液300重量を加えて120℃で3時間処理した後、炭酸バリウムを用いてpHを7に調整した。これへホウ素水素ナトリウム1.5重量部を加えて室温下1時間攪拌した後、100℃で蒸発乾固させた。残った内容物に無水酢酸100重量部、ピリジン200重量部を加え、120℃で3時間処理した。冷却後水500重量部を加えたものを、四塩化炭素50重量部を用いて2回抽出した。四塩化炭素を蒸発させ残留物をGC(ガスクロマトグラフ)分析に供した。GC分析上のピーク面積より、各置換体の組成比率を求めた結果を表1に示した。
【0028】
(3)溶液物性及び固体物性
(1)で得られたヒドロキシプロピルセルロースを水及びエタノールに溶解してそれぞれ2重量%溶液を調製し、光電比色計(5E型)を用いてブランク(それぞれ水、エタノール)に対する可視光線の透過率を測定した。
【0029】
このヒドロキシプロピルセルロースを粉砕して平均粒径100μmの粉末に、25℃にて相対湿度75%RH雰囲気下に放置して、平衡吸湿量の測定及び凝集状態を目視観察した。
【0030】
また、このヒドロキシプロピルセルロースをジメチルホルムアミドに溶解し、ガラス板上にキャスティングし、100℃で2時間、次いで120℃で2時間乾燥し、厚さ約50μmのフィルムを作成した。フィルムを3mm×10mm短冊型に裁断して試験片とし、熱機械的分析機(TMA;セイコー電子社製)を用いて軟化温度を測定した。
以上の測定結果を表1に示した。
【0031】
実施例2
粉末パルプ100重量部に代えてシート状のパルプ100重量部を用い、20重量%水酸化ナトリウム水溶液に室温下で1時間浸漬した後圧搾して余剰の水酸化ナトリウム水溶液を除き、さらに40℃の温水に浸漬、圧搾した後粉砕して調製した、セルロースに対する重量比が水酸化アルカリ量0.1、水分量0.5の粉末状アルカリセルロースを用いる以外は、実施例1の(1)と同様な方法によって製造を行い、ヒドロキシプロピルセルロース191重量部を得た。MS値は2.7であった。
このものの置換基組成及び溶液物性、固体物性等を実施例1と同様の方法で求めた結果を表1に示した。
【0032】
実施例3
内部攪拌機を備えたオートクレーブにアルカリセルロースとヘキサン500重量部を仕込む以外は、実施例1の(1)同様な方法によって製造し、ヒドロキシプロピルセルロース201重量部を得た。MS値は2.8であった。
このものの置換基組成及び溶液物性、固体物性等を実施例1と同様の方法で求めた結果を表1に示した。
【0033】
比較例1
粉末パルプ100重量部を攪拌しながら、室温下で17重量%濃度の水酸化ナトリウム水溶液60重量部を噴霧して得た、セルロースに対する重量比が水酸化アルカリ量0.1、水分量0.5の粉末状アルカリセルロースを用いる以外は、実施例1の(1)と同様な方法により製造を行って、ヒドロキシプロピルセルロース196重量部を得た。MS値は2.6であった。
このものの置換基組成及び溶液物性、固体物性等を実施例1と同様の方法で求めた結果を表1に示した。
【0034】
比較例2
プロピレンオキシド300重量部全量をアルカリセルロースと同時に加え70〜80℃で7時間反応する以外は、実施例1の(1)と同様な方法により製造を行って、ヒドロキシプロピルセルロース202重量部を得た。MS値は2.8であった。
このものの置換基組成及び溶液物性、固体物性等を実施例1と同様の方法で求めた結果を表1に示した。
【0035】
比較例3
アルカリセルロースとプロピレンオキシドとの反応を100℃の温度条件下で実施する以外は、実施例1の(1)と同様な方法によるヒドロキシプロピルセルロースの製造を試みた。途中反応温度が140〜160℃に上昇したため、プロピレンオキシドの供給を一時停止したが、反応温度100℃に制御するのは困難であった。得られた195重量部のヒドロキシプロピルセルロースのMS値は2.6であった。
このものの置換基組成及び溶液物性、固体物性等を実施例1と同様の方法で求めた結果を表1に示した。
【0036】
比較例4
アルカリセルロースとプロピレンオキシドとの反応を40℃の温度条件下で実施する以外は、実施例1の(1)と同様な方法によるヒドロキシプロピルセルロースの製造を試みた。得られた195重量部のヒドロキシプロピルセルロースのMS値は1.5であった。
このものの置換基組成及び溶液物性、固体物性等を実施例1と同様の方法で求めた結果を表1に示した。
【0037】
【表1】
Figure 0003996653
1) Zeisel(ザイセル)法
2) GC測定条件
装置:Hewlett Packard (ヒューレットパッカード)社 5980SERIES IIガスクロマトグラフ
カラム:5% フェニルメチルシリコーン 0.2mmφ×25m
サンプル:1μ1
インジェクターとデテクターの温度:250℃
オーヴン温度:170℃から300 ℃まで昇温(昇温速度:2.5℃/分)
3) ▲1▼粘度:ウベローデ粘度計(20℃)
▲2▼透光度:光電比色計 5E型、20mmセル、可視光線(20℃)
4) ▲1▼75%RH,25℃
▲2▼目視により5段階評価
1:粉末状、2:一部ブロック化、3:半分程度ブロック化、
4:大部分ブロック化、5:完全ブロック化(凝集)
▲3▼熱機械的分析機:TMA(セイコー電子社製)、昇温速度10℃/min
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、本発明のヒドロキシプロピルセルロースは、従来のヒドロキシプロピルセルロースに比較してヒドロキシプロピル基置換モル数の異なる置換体の組成比率が制御されたもので、特に無置換体及びヒドロキシプロピル基置換モル数4以上の高置換体の比率を低下させることによって、溶液の性質に優れかつブロッキングを起こさず安定した製品を提供することができる。

Claims (2)

  1. 原料パルプを10〜60重量%濃度の水酸化アルカリ水溶液に浸漬した後圧搾して余剰の水酸化アルカリ水溶液を除去して得られるアルカリセルロースにプロピレンオキシドを反応させて得られるヒドロキシプロピルセルロースであって、無水グルコース単位当りのヒドロキシプロピル基の平均置換モル数が2〜3のものであって、当該ヒドロキシプロピルセルロース中のヒドロキシプロピル基置換モル数2の置換体とヒドロキシプロピル基置換モル数3の置換体の合計の比率が80mol%以上でヒドロキシプロピル基置換モル数3の置換体比率が65mol%以上、かつ無置換体の比率が3mol%以下、ヒドロキシプロピル基置換モル数4の置換体比率が6mol%以下であることを特徴とするヒドロキシプロピルセルロース。
  2. 原料パルプを10〜60重量%濃度の水酸化アルカリ水溶液に浸漬した後圧搾して余剰の水酸化アルカリ水溶液を除去して得られる、セルロースに対する重量比で水酸化アルカリ量0.01〜0.20、水分量0.1〜2.0の範囲のアルカリセルロースを用いて、温度50〜90℃下でセルロースに対する重量比で2.0〜3.5のプロピレンオキシドを、反応系内に少量ずつ連続的に投与する方法で反応することを特徴とする請求項1のヒドロキシプロピルセルロースの製造方法。
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