JP3995634B2 - 水性ポリウレタン樹脂組成物及び該組成物を含有する接着剤 - Google Patents

水性ポリウレタン樹脂組成物及び該組成物を含有する接着剤 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性ポリウレタン樹脂組成物及び該組成物を含有する接着剤に関する。さらに詳しくは、本発明は、特にポリプロピレンやポリエステルなどの難接着性のプラスチックフィルム、難接着性を示すアルミニウムなどの金属、スチレンブタジエンゴム、スチレンイソプレンゴムなどの合成ゴムや天然ゴムからなる粘着剤に対して、優れた接着性を有し、且つ、耐水性、耐熱性、貯蔵安定性に優れる水性ポリウレタン樹脂組成物及び該組成物を含有する接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリウレタン系接着剤は、多くの被着体に対して優れた接着性を示し、幅広く利用されている。ポリウレタン系接着剤は、有機溶剤系が主流であったが、近年、大気汚染問題、作業環境の改善などの理由から、水性ポリウレタン系接着剤に代替されつつある。水性ポリウレタン系接着剤への転換にあたっては、分子内にイオン性又は潜在的イオン性の官能基や、非イオン性の親水性基を有するウレタンポリマーを水に分散させた自己乳化型水系ポリウレタン分散液が提案されている。また、自己乳化型のポリウレタン系接着剤に粘着付与樹脂としてケトン樹脂の水分散体を配合したポリウレタン系水性接着剤組成物が開示されている(特許文献1)。しかし、ポリウレタン系水性接着剤の接着性を補うために配合される粘着付与樹脂は、多量の乳化剤を使用して水に分散しているために、これらの接着剤では十分な耐水性が得られなかった。また、粘着付与樹脂は、一般的にウレタンプレポリマーに比べて分子量が低く、軟化点も低い樹脂を使用するために、高温領域における接着剤層の凝集力を低下させることになり、耐熱性も十分満足できる水準になかった。粘着付与樹脂を添加したポリウレタン系水性接着剤の耐水性及び耐熱性を改善する試みとして、ウレタンプレポリマーと粘着付与樹脂、中和剤及び親水性有機溶剤からなる混合物を水分散し、1級及び/又は2級のアミノ基を2個有するジアミノ化合物、及び/又は、水によって前記ウレタンプレポリマーを鎖伸長して得られるウレタンポリマーを含む組成物に、カルボキシル基に対して反応活性を有する官能基を2個以上有する化合物を添加することにより、水分散体粒子間に架橋構造を導入する方法が開示されている(特許文献2)。しかし、この場合は、ウレタンプレポリマーと粘着付与樹脂を水分散し、ジアミノ化合物及び/又は水でウレタンプレポリマーを鎖伸長させるために、得られたウレタンポリマーを含む水系接着剤を塗工した際には、ウレタンポリマーと粘着付与樹脂は乾燥皮膜上においてミクロ相分離構造を形成し、分極・局在化するために、その結果として十分な耐熱性が得られない。また、カルボキシル基に対して反応活性を有する官能基を2個以上有する化合物を添加することにより、ウレタンポリマーの自己分散性が低下し、長期保管時において沈降物が発生することが問題視されている。そこで、更なる改善の試みとして、ヒマシ油系ポリオール化合物若しくはキシレン樹脂系ポリオール化合物を含有してなるウレタンプレポリマーを鎖伸長して得られるポリウレタン系水性組成物が開示されている(特許文献3)。しかし、この組成物を用いた場合においても、接着性、耐水性は十分なものではない。
また、食品、電子部品、産業資材、日用雑貨などの様々な分野において、内容物の保護や保存のために、シール時における高い密閉性と開封時における高いイージーピール性(易剥離性)を有する包装用積層体が、蓋材や容器本体として使用されている。例えば、ポリオレフィンからなる基材に、スチレン系熱可塑性エラストマーや天然ゴムからなる粘着剤層を塗布した上に、さらにポリオレフィンからなる剥離層を設けた積層体において、基材と粘着剤層間の接着強度が剥離層と粘着剤層の接着強度よりも小さいと、基材と粘着剤層の間で界面剥離が起こり、内容物の保護のために高いシール強度が要求される用途においては密閉包装の信頼性に欠けることとなる。また、剥離層を剥がす際に剥離層と基材の間で粘着剤層が糸を引くように伸びて、剥離界面の美観を損ねるといった問題を生じる。よって、均一に且つ円滑な剥離性を示すためには、ポリオレフィン及び粘着剤層の双方に対して優れた接着性を有するアンカー剤層を基材と粘着剤層の間に設けて接着し、開封時には粘着剤層と剥離層の間で界面剥離が起こるように設計する必要がある。
【特許文献1】
特開平1−69682号公報(第1頁)
【特許文献2】
特開平8−170063号公報(第2頁)
【特許文献3】
特開2000−273138号公報(第2頁)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特にポリプロピレンやポリエステルなどの難接着性のプラスチックフィルム、難接着性を示すアルミニウムなどの金属、スチレンブタジエンゴム、スチレンイソプレンゴムなどの合成ゴムや天然ゴムからなる粘着剤に対して、優れた接着性を有し、且つ、耐水性、耐熱性、貯蔵安定性に優れる水性ポリウレタン樹脂組成物及び該組成物を含有する接着剤を提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、有機ポリイソシアネート化合物、ヒドロキシル基を有するジエン系重合体とヒドロキシル基を有する粘着付与樹脂を含有する高分子ポリオール及びジヒドロキシカルボン酸の反応により得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの中和物を、水中で鎖延長反応して得られる水性ポリウレタン樹脂組成物が、難接着性プラスチックフィルム、金属、粘着剤などに対して優れた接着性を有することを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)(a)有機ポリイソシアネート化合物、(b)高分子ポリオール及び(c)アニオン性親水基と少なくとも2個の活性水素を有する化合物から得られるイソシアネート基末端プレポリマーの中和物を、(e)水溶性ポリアミン、ヒドラジン及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の鎖延長剤を用いて水中で鎖延長反応して得られる水性ポリウレタン樹脂組成物において、(b)高分子ポリオールが、(a)、(b)、(c)及び(e)の合計量に対して、ヒドロキシル価20〜120mgKOH/gのヒドロキシル基を有するジエン系重合体5〜50質量%及びヒドロキシル価20〜300mgKOH/gのヒドロキシル基を有するキシレン樹脂系ポリオール化合物からなる粘着付与樹脂1〜40質量%を含有することを特徴とする水性ポリウレタン樹脂組成物、
(2)(a)有機ポリイソシアネート化合物、(b)高分子ポリオール、(c)アニオン性親水基と少なくとも2個の活性水素を有する化合物及び(d)鎖伸長剤から得られるイソシアネート基末端プレポリマーの中和物を、(e)水溶性ポリアミン、ヒドラジン及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の鎖延長剤を用いて水中で鎖延長反応して得られる水性ポリウレタン樹脂組成物において、(b)高分子ポリオールが、(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の合計量に対して、ヒドロキシル価20〜120mgKOH/gのヒドロキシル基を有するジエン系重合体5〜50質量%及びヒドロキシル価20〜300mgKOH/gのヒドロキシル基を有するキシレン樹脂系ポリオール化合物からなる粘着付与樹脂1〜40質量%を含有することを特徴とする水性ポリウレタン樹脂組成物、
)(b)高分子ポリオールが、(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の合計量に対して、ダイマージオール1〜20質量%を含有する第1項又は第2項に記載の水性ポリウレタン樹脂組成物、及び、
)第1項、第2項又は第3項に記載の水性ポリウレタン樹脂組成物を含有することを特徴とする接着剤、
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
)(c)アニオン性親水基と少なくとも2個の活性水素を有する化合物のアニオン性親水基がカルボキシル基であり、活性水素がヒドロキシル基の水素である第1項又は第2項に記載の水性ポリウレタン樹脂組成物、
)(c)アニオン性親水基と少なくとも2個の活性水素を有する化合物のアニオン性親水基がカルボキシル基であり、該(c)化合物に由来するカルボキシル基のポリウレタン樹脂中における含有量が、ポリウレタン樹脂の質量に基づき、0.5〜3質量%である第1項又は第2項に記載の水性ポリウレタン樹脂組成物、及び、
)湿潤剤0.05〜2質量%を含有する第項に記載の接着剤、
を挙げることができる。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明の水性ポリウレタン樹脂組成物の第一の態様は、(a)有機ポリイソシアネート化合物、(b)高分子ポリオール及び(c)アニオン性親水基と少なくとも2個の活性水素を有する化合物から得られるイソシアネート基末端プレポリマーの中和物を、(e)水溶性ポリアミン、ヒドラジン及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の鎖延長剤を用いて水中で鎖延長反応して得られる水性ポリウレタン樹脂組成物において、(b)高分子ポリオールが、(a)、(b)、(c)及び(e)の合計量に対して、ヒドロキシル価20〜120mgKOH/gのヒドロキシル基を有するジエン系重合体5〜50質量%及びヒドロキシル価20〜300mgKOH/gのヒドロキシル基を有する粘着付与樹脂1〜40質量%を含有する水性ポリウレタン樹脂組成物である。
本発明の水性ポリウレタン樹脂組成物の第二の態様は、(a)有機ポリイソシアネート化合物、(b)高分子ポリオール、(c)アニオン性親水基と少なくとも2個の活性水素を有する化合物及び(d)鎖伸長剤から得られるイソシアネート基末端プレポリマーの中和物を、(e)水溶性ポリアミン、ヒドラジン及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の鎖延長剤を用いて水中で鎖延長反応して得られる水性ポリウレタン樹脂組成物において、(b)高分子ポリオールが、(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の合計量に対して、ヒドロキシル価20〜120mgKOH/gのヒドロキシル基を有するジエン系重合体5〜50質量%及びヒドロキシル価20〜300mgKOH/gのヒドロキシル基を有する粘着付与樹脂1〜40質量%を含有する水性ポリウレタン樹脂組成物である。
【0006】
本発明に用いる(a)有機ポリイソシアネート化合物に特に制限はなく、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート化合物、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、3,3'−ジクロロ−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート化合物などを挙げることができる。これらの有機ポリイソシアネート化合物は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0007】
本発明に用いる(b)高分子ポリオールは、ヒドロキシル価20〜120mgKOH/gのヒドロキシル基を有するジエン系重合体及びヒドロキシル価20〜300mgKOH/gのヒドロキシル基を有する粘着付与樹脂を含有する。ヒドロキシル基を有するジエン系重合体は、炭素数4〜22のジエンモノマーを、過酸化水素、ヒドロキシル基を有するアゾ化合物などを重合開始剤としてラジカル重合することにより得ることができる。また、例えば、出発原料がブタジエンやイソプレンの場合には、1,4−位置の炭素で重合する場合と、1,2−位置の炭素で重合する場合があり、1,4−位置の炭素で重合する場合にはシス、トランスの異性体、1,2−位置の炭素で重合する場合にはシンジオタクチック、アイソタクチック、アタックチックの異性体が生じる。重合体としては、様々な異性体が混在する可能性がある。本発明においては、これらの重合体の形態に特に制限はないが、1,4−位置での結合が80モル%以上であるヒドロキシル基末端ポリブタジエン及びヒドロキシル基末端ポリイソプレンを好適に用いることができる。また、上記の重合体の水素化物も、本発明において、ヒドロキシル基を有するジエン系重合体として用いることができる。本発明に用いるヒドロキシル基を有するジエン系重合体としては、Poly bd R−45HT、Poly bd R−15HT、Poly ip(いずれも出光石油化学(株)製)、NISSO-PB G−1000、NISSO-PB G−2000、NISSO-PB G−3000、NISSO-PB GI−1000、NISSO-PB GI−2000、NISSO-PB GI−3000(いずれも日本曹達(株)製)などの市販品も使用することができる。
【0008】
本発明に用いるヒドロキシル基を有するジエン系重合体は、ヒドロキシル価が20〜120mgKOH/gであり、より好ましくは30〜110mgKOH/gである。ジエン系重合体のヒドロキシル価が20mgKOH/g未満であると、貯蔵安定性の良好な水性ポリウレタン樹脂組成物が得られないおそれがある。ジエン系重合体のヒドロキシル価が120mgKOH/gを超えると、プレポリマーの粘度が増大し水性ポリウレタン樹脂組成物が得られないおそれがある。
本発明においては、(b)高分子ポリオールが、(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の合計量に対して、ヒドロキシル基を有するジエン系重合体を5〜50質量%、より好ましくは10〜30質量%の割合で含有する。ヒドロキシル基を有するジエン系重合体の含有量が(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の合計量に対して5質量%未満であると、耐水性が不十分となるおそれがある。ヒドロキシル基を有するジエン系重合体の含有量が(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の合計量に対して50質量%を超えると、接着性が不十分となるおそれがある。
【0009】
(b)高分子ポリオールとして用いるヒドロキシル基を有する粘着付与樹脂としては、例えば、ガムロジン系ポリオール化合物、トール油ロジン系ポリオール化合物、ウッドロジン系ポリオール化合物、重合ロジン系ポリオール化合物、水添ロジン系ポリオール化合物、不均化ロジン系ポリオール化合物、ロジンエステル系ポリオール化合物、水添ロジンエステル系ポリオール化合物、不均化ロジンエステル系ポリオール化合物、ロジン変性フェノール樹脂系ポリオール化合物などのロジン樹脂系ポリオール化合物、テルペン樹脂系ポリオール化合物、フェノール樹脂系ポリオール化合物、テルペンフェノール樹脂系ポリオール化合物、キシレン樹脂系ポリオール化合物、ケトン樹脂系ポリオール化合物、脂肪族系石油樹脂系ポリオール化合物、芳香族系石油樹脂系ポリオール化合物、脂環式系石油樹脂系ポリオール化合物、クマロン樹脂系ポリオール化合物、スチレン樹脂系ポリオール化合物などを挙げることができる。これらの中で、キシレン樹脂系ポリオール化合物を特に好適に用いることができる。キシレン樹脂系ポリオール化合物の製造方法に特に制限はなく、例えば、メタキシレンとホルムアルデヒドの反応により得られるキシレン樹脂の末端メチロール基を、酸触媒の存在下にトリメチロールプロパンなどを用いて縮合反応させることにより得ることができる。
【0010】
本発明に用いるヒドロキシル基を有する粘着付与樹脂は、ヒドロキシル価が20〜300mgKOH/gであり、より好ましくは70〜200mgKOH/gである。ヒドロキシル基を有する粘着付与樹脂を高分子ポリオールの一成分として用いることにより、得られる水性ポリウレタン樹脂組成物の被接着素材に対する付着性を向上することができる。粘着付与樹脂のヒドロキシル価が20mgKOH/g未満であると、貯蔵安定性の良好な水性ポリウレタン樹脂組成物が得られないおそれがある。粘着付与樹脂のヒドロキシル価が300mgKOH/gを超えると、プレポリマーの粘度が増大し、水性ポリウレタン樹脂組成物が得られないおそれがある。
本発明においては、(b)高分子ポリオールが、(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の合計量に対して、ヒドロキシル基を有する粘着付与樹脂を1〜40質量%、より好ましくは5〜30質量%の割合で含有する。ヒドロキシル基を有する粘着付与樹脂の含有量が(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の合計量に対して1質量%未満であると、接着性が不十分となるおそれがある。ヒドロキシル基を有する粘着付与樹脂の含有量が(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の合計量に対して40質量%を超えると、貯蔵安定性が不十分となるおそれがある。
【0011】
本発明に用いる(b)高分子ポリオールには、ヒドロキシル基を有するジエン系重合体及びヒドロキシル基を有する粘着付与樹脂の他に、他の高分子ポリオールを含有させることができる。他の高分子ポリオールとしては、例えば、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ダイマージオールなどを挙げることができる。(b)高分子ポリオールにダイマージオールを含有させることにより、接着剤の耐水性を向上することができる。ポリエステル系ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、分子量300〜1,000のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールS、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン又はこれらのアルキレンオキサイド付加体などのジオール成分と、ダイマー酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビスフェノキシエタン−p,p'−ジカルボン酸、ジカルボン酸の無水物又はエステル形成性誘導体などのジカルボン酸成分との脱水縮合反応によって得られるポリエステル系ポリオール、ε−カプロラクトンなどの環状エステル化合物の開環重合反応により得られるポリエステル系ポリオール、これらを共重合したポリエステル系ポリオールなどを挙げることができる。
【0012】
ポリカーボネート系ポリオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコールなどのグリコールと、ジフェニルカーボネート、ホスゲンなどとの反応によって得られるポリカーボネート系ポリオールなどを挙げることができる。
ポリエーテル系ポリオールとして、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、しょ糖、ビスフェノールA、ビスフェノールS、水素添加ビスフェノールA、アコニット酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、燐酸、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリイソプロパノールアミン、ピロガロール、ジヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシフタル酸、1,2,3−プロパントリチオールなどの活性水素を少なくとも2個有する化合物に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロロヒドリン、テトラヒドロフラン、シクロへキシレンなどのモノマーの1種又は2種以上を付加重合した単独重合体、ブロック共重合体、ランダム共重体などのポリエーテル系ポリオールなどを挙げることができる。
これらの他の高分子ポリオールは、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0013】
ダイマージオールは、重合脂肪酸を還元して得られるジオールを主成分とする。重合脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸などの炭素数18の不飽和脂肪酸、乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸、これらの脂肪酸の低級モノアルコールエステルなどを、触媒の存在下又は不存在下に、ディールスアルダー型の二分子重合反応させたものを挙げることができる。種々のタイプの重合脂肪酸が市販されているが、代表的なものとしては、炭素数18のモノカルボン酸0〜5質量%、炭素数36のダイマー酸70〜98質量%、炭素数54のトリマー酸0〜30質量%からなるものがある。本発明においては、(b)高分子ポリオールが、(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の合計量に対して、ダイマージオール1〜20質量%を含有することが好ましく、5〜15質量%を含有することがより好ましい。(b)高分子ポリオールがダイマージオールを含有することにより、脂肪族長鎖アルキルによる加水分解抑制効果が発現し、耐水性が向上する。ダイマージオールの含有量が(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の合計量に対して20質量%を超えると、ポリウレタン樹脂による有利な性質である弾性、耐摩耗性などの発現が不十分となるおそれがある。
【0014】
本発明に用いる(c)アニオン性親水基と少なくとも2個の活性水素を有する化合物に特に制限はないが、アニオン性親水基がカルボキシル基であり、活性水素がヒドロキシル基の水素である化合物であることが好ましい。このような化合物としては、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸などを挙げることができる。これらのアニオン性親水基と少なくとも2個の活性水素を有する化合物は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、(c)アニオン性親水基と少なくとも2個の活性水素を有する化合物のアニオン性親水基は、(a)有機ポリイソシアネート化合物、(b)高分子ポリオール及び(c)アニオン性親水基と少なくとも2個の活性水素を有する化合物とを反応して、イソシアネート基末端プレポリマーを得たのちに中和することができ、あるいは、(a)有機ポリイソシアネート化合物、(b)高分子ポリオール及び(c)中和されたアニオン性親水基と少なくとも2個の活性水素を有する化合物とを反応して、イソシアネート基末端プレポリマーの中和物を直接得ることもできる。アニオン性親水基の中和に用いる化合物に特に制限はなく、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミンなどのアミン類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどの無機塩基などを挙げることができる。
本発明において、(c)アニオン性親水基と少なくとも2個の活性水素を有する化合物のアニオン性親水基がカルボキシル基であるとき、ポリウレタン樹脂中における該(c)化合物に由来するカルボキシル基の含有量が、ポリウレタン樹脂の質量に基づき、0.5〜3質量%であることが好ましい。該カルボキシル基の含有量が0.5質量%未満であると、乳化が困難になり、あるいは、乳化安定性が不十分となるおそれがある。該カルボキシル基の含有量が3質量%を超えると、ポリウレタン樹脂の耐水性が低下するおそれがある。
【0015】
本発明においては、イソシアネート基末端プレポリマーを調製する際に、必要に応じて、(d)鎖伸長剤を用いることができる。用いる鎖伸長剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどの低分子量多価アルコール、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどの低分子量ポリアミンなどを挙げることができる。これらの鎖伸長剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明においては、(a)有機ポリイソシアネート化合物、(b)高分子ポリオール、(c)アニオン性親水基と少なくとも2個の活性水素を有する化合物、及び、必要に応じて(d)鎖伸長剤を用いて、末端にイソシアネート基を有するプレポリマーを製造する。イソシアネート基末端プレポリマーの製造方法に特に制限はなく、例えば、ワンショット法(1段式)又は多段式のイソシアネート重付加反応法によって、温度40〜150℃で反応させることができる。この際、必要に応じて、ジブチル錫ジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチル錫−2−エチルへキソエート、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルホリンなどの触媒を添加することができる。また、反応段階において、あるいは、反応終了後に、イソシアネート基と反応しない有機溶媒を添加することができる。このような有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどを挙げることができる。
【0016】
本発明においては、得られるイソシアネート基末端プレポリマーの中和物を、(e)水溶性ポリアミン、ヒドラジン及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の鎖延長剤を用いて水中で鎖延長反応して水性ポリウレタン樹脂組成物を製造する。(e)鎖延長剤として用いる水溶性ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、イソホロンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジ第一級アミンとモノカルボン酸から誘導されるアミドアミン、ジ第一級アミンのモノケチミン、少なくとも2個のヒドラジノ基を有する炭素数2〜4の脂肪族の水溶性ジヒドラジン化合物である1,1'−エチレンジヒドラジン、1,1'−トリメチレンジヒドラジン、1,1'−(1,4−ブチレン)ジヒドラジン、炭素数2〜10のジカルボン酸のジヒドラジド化合物であるシュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどを挙げることができる。これらの鎖延長剤は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0017】
本発明において、イソシアネート基末端プレポリマーの製造の際に有機溶剤を用いた場合には、末端イソシアネート基を封鎖したのち、例えば、減圧蒸留などにより有機溶剤を除去することが好ましい。有機溶剤を除去する際には、高級脂肪酸塩、樹脂酸塩、長鎖脂肪アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、スルホン化ひまし油、スルホコハク酸エステル塩などのアニオン性界面活性剤、エチレンオキサイドと長鎖脂肪アルコール又はフェノール類との反応生成物などのノニオン性界面活性剤などを添加して、乳化性を保持することが好ましい。
本発明の水性ポリウレタン樹脂組成物は、被着物に対する接着性に優れ、特にポリプロピレンやポリエステルなどの難接着性プラスチックフィルム、難接着性を示すアルミニウムなどの金属、スチレンブタジエンゴム、スチレンイソプレンゴムなどの合成ゴムや天然ゴムからなる粘着剤に対しても優れた接着性を有するとともに、優れた貯蔵安定性を有し、更に乾燥被膜は耐水性、耐熱性などに優れるために、これらの性質が要求される各種用途に用いることができ、特に接着剤として好適に用いることができる。
本発明の水性ポリウレタン樹脂組成物を接着剤として用いるときには、それ自体で耐久性、耐水性などの優れた樹脂物性を有するが、水系オキサゾリン系架橋剤、水系ポリカルボジイミド系架橋剤、水系エポキシ樹脂系架橋剤などのカルボキシル基と反応性を有する架橋剤を添加することにより、さらに優れた耐水性を付与することができる。
【0018】
本発明の接着剤は、本発明の水性ポリウレタン樹脂組成物を単独で用いることができ、あるいは、湿潤剤として、側鎖アルキル変性ポリオルガノシロキサン、両末端アルキル変性ポリオルガノシロキサン、片末端アルキル変性ポリオルガノシロキサン、スルホコハク酸ジ(2−エチルへキシル)エステルナトリウム、フッ素系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤などを含有させることができる。アセチレングリコール系界面活性剤としては、例えば、Air Products and Chemicals社のサーフィノールなどを挙げることができる。接着剤に、湿潤剤を0.05〜2質量%含有させることにより、ハジキの発生を防止することができる。さらに、溶剤として、N−メチルピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどを添加することができる。
本発明の水性ポリウレタン樹脂組成物を含有する接着剤が上記の効果を発現する理由は、組み込まれたヒドロキシル基を有するジエン系重合体の分子構造がポリオレフィンに類似していることから難接着性のプラスチックフィルムや粘着剤との親和性向上に効果があることと、ヒドロキシル基を有するジエン系重合体及びキシレン樹脂系ポリオールなどのヒドロキシル基を有する粘着付与樹脂がポリウレタン樹脂中に組み込まれた完全に均一な共重合体であるためと推定される。
【0019】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
撹拌機、還流冷却管、温度計及び窒素吹込み管を備えた4ツ口フラスコに、ヒドロキシル基を有するジエン系重合体[出光石油化学(株)、Poly bd R−15HT、ヒドロキシル価104mgKOH/g]19g、キシレン樹脂系ポリオール[フドー(株)、ニカノールK−100、ヒドロキシル価87mgKOH/g]36g、ポリ−3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート(平均分子量2,000)183g、ポリエチレングリコール(平均分子量600)15g、2,2−ジメチロールブタン酸13g、ジブチル錫ジラウレート0.001g及びメチルエチルケトン86gを仕込み、均一に混合したのち、イソホロンジイソシアネート78gを加え、80℃で2時間反応させて、不揮発分に対する遊離イソシアネート基含有量2.6質量%のイソシアネート基末端プレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液を30℃まで冷却し、トリエチルアミン9gを加えて中和したのち、水650gを徐々に加えて乳化分散させ、これにヒドラジンの60質量%水溶液8gを添加し、2時間反応した。その後、減圧下約2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分約35質量%の水性ポリウレタン樹脂組成物を得た。この水性ポリウレタン樹脂組成物中の2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基含有量は、1.1質量%である。
実施例2
実施例1と同様な反応装置に、ヒドロキシル基を有するジエン系重合体[日本曹達(株)、NISSO-PB G−3000、ヒドロキシル価31.2mgKOH/g]158g、キシレン樹脂系ポリオール[フドー(株)、ニカノールK−100、ヒドロキシル価87mgKOH/g]37g、ポリ(3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート/3−メチル−1,5−ペンタンジオールイソフタレート)[(株)クラレ、クラレポリオールP−2012、平均分子量2,000]62g、ポリエチレングリコール(平均分子量1,000)14g、2,2−ジメチロールブタン酸10g、ジブチル錫ジラウレート0.001g及びメチルエチルケトン60gを仕込み、均一に混合したのち、イソホロンジイソシアネート63gを加え、80℃で2時間反応させて、不揮発分に対する遊離イソシアネート基含有量2.1質量%のイソシアネート基末端プレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液を30℃まで冷却し、トリエチルアミン7gを加えて中和したのち、水650gを徐々に加えて乳化分散させ、これにヒドラジンの60質量%水溶液6gを添加し、2時間反応した。その後、減圧下約2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分約35質量%の水性ポリウレタン樹脂組成物を得た。この水性ポリウレタン樹脂組成物中の2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基含有量は、0.9質量%である。
実施例3
実施例1と同様な反応装置に、ヒドロキシル基を有するジエン系重合体[出光石油化学(株)、Poly ip、ヒドロキシル価46mgKOH/g]79g、キシレン樹脂系ポリオール[フドー(株)、ニカノールK−100、ヒドロキシル価87mgKOH/g]19g、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(平均分子量2,000)146g、ポリエチレングリコール(平均分子量600)16g、2,2−ジメチロールブタン酸12g、ジブチル錫ジラウレート0.001g及びメチルエチルケトン86gを仕込み、均一に混合したのち、イソホロンジイソシアネート72gを加え、80℃で2時間反応させて、不揮発分に対する遊離イソシアネート基含有量2.4質量%のイソシアネート基末端プレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液を30℃まで冷却し、トリエチルアミン8gを加えて中和したのち、水650gを徐々に加えて乳化分散させ、これにヒドラジンの60質量%水溶液7gを添加し、2時間反応した。その後、減圧下約2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分約35質量%の水性ポリウレタン樹脂組成物を得た。この水性ポリウレタン樹脂組成物中の2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基含有量は、1.0質量%である。
実施例4
実施例1と同様な反応装置に、ヒドロキシル基を有するジエン系重合体[日本曹達(株)、NISSO-PB G−2000、ヒドロキシル価52mgKOH/g]77g、キシレン樹脂系ポリオール[フドー(株)、ニカノールK−100、ヒドロキシル価87mgKOH/g]105g、ポリ−1,4−ブタンジオールアジペート(平均分子量2,000)57g、ポリエチレングリコール(平均分子量600)15g、2,2−ジメチロールブタン酸12g、ジブチル錫ジラウレート0.001g及びメチルエチルケトン86gを仕込み、均一に混合したのち、イソホロンジイソシアネート68gを加え、80℃で2時間反応させて、不揮発分に対する遊離イソシアネート基含有量2.6質量%のイソシアネート基末端プレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液を30℃まで冷却し、トリエチルアミン8gを加えて中和したのち、水650gを徐々に加えて乳化分散させ、これにヒドラジンの60質量%水溶液8gを添加し、2時間反応した。その後、減圧下約2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分約35質量%の水性ポリウレタン樹脂組成物を得た。この水性ポリウレタン樹脂組成物中の2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基含有量は、1.0質量%である。
実施例5
実施例1と同様な反応装置に、ヒドロキシル基を有するジエン系重合体[出光石油化学(株)、Poly bd R−45HT、ヒドロキシル価46mgKOH/g]80g、キシレン樹脂系ポリオール[フドー(株)、ニカノールK−100、ヒドロキシル価87mgKOH/g]38g、ダイマージオール(平均分子量534)23g、ポリテトラメチレングリコール(平均分子量2,000)95g、ポリエチレングリコール(平均分子量600)15g、2,2−ジメチロールブタン酸11g、ジブチル錫ジラウレート0.001g及びメチルエチルケトン86gを仕込み、均一に混合したのち、イソホロンジイソシアネート81gを加え、80℃で2時間反応させて、不揮発分に対する遊離イソシアネート基含有量2.7質量%のイソシアネート基末端プレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液を30℃まで冷却し、トリエチルアミン7gを加えて中和したのち、水650gを徐々に加えて乳化分散させ、これにヒドラジンの60質量%水溶液8gを添加し、2時間反応した。その後、減圧下約2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分約35質量%の水性ポリウレタン樹脂組成物を得た。この水性ポリウレタン樹脂組成物中の2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基含有量は、1.0質量%である。
実施例6
実施例1と同様な反応装置に、ヒドロキシル基を有するジエン系重合体[出光石油化学(株)、Poly bd R−45HT、ヒドロキシル価46mgKOH/g]93g、キシレン樹脂系ポリオール[フドー(株)、ニカノールK−100、ヒドロキシル価87mgKOH/g]39g、ダイマージオール(平均分子量534)21g、ポリ−3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート(平均分子量2,000)80g、ポリエチレングリコール(平均分子量600)11g、2,2−ジメチロールブタン酸12g、1,4−ブタンジオール2g、シブチル錫ジラウレート0.001g及びメチルエチルケトン86gを仕込み、均一に混合したのち、イソホロンジイソシアネート85gを加え、80℃で2時間反応させて、不揮発分に対する遊離イソシアネート基含有量2.8質量%のイソシアネート基末端プレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液を30℃まで冷却し、トリエチルアミン8gを加えて中和したのち、水650gを徐々に加えて乳化分散させ、これにヒドラジンの60質量%水溶液9gを添加し、2時間反応した。その後、減圧下約2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分約35質量%の水性ポリウレタン樹脂組成物を得た。この水性ポリウレタン樹脂組成物中の2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基含有量は、1.0質量%である。
【0020】
比較例1
実施例1と同様な反応装置に、ポリ−3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート(平均分子量2,000)246g、ポリエチレングリコール(平均分子量600)16g、2,2−ジメチロールブタン酸11g、ジブチル錫ジラウレート0.001g及びメチルエチルケトン86gを仕込み、均一に混合したのち、イソホロンジイソシアネート72gを加え、80℃で2時間反応させて、不揮発分に対する遊離イソシアネート基含有量2.4質量%のイソシアネート基末端プレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液を30℃まで冷却し、トリエチルアミン8gを加えて中和したのち、水650gを徐々に加えて乳化分散させ、これにヒドラジンの60質量%水溶液7gを添加し、2時間反応した。その後、減圧下約2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分約35質量%の水性ポリウレタン樹脂組成物を得た。この水性ポリウレタン樹脂組成物中の2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基含有量は、1.0質量%である。
比較例2
実施例1と同様な反応装置に、ポリ−3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート(平均分子量1,000)227g、キシレン樹脂系ポリオール[フドー(株)、ニカノールK−100、ヒドロキシル価87mgKOH/g]18g、ポリエチレングリコール(平均分子量600)15g、2,2−ジメチロールブタン酸12g、ジブチル錫ジラウレート0.001g及びメチルエチルケトン86gを仕込み、均一に混合したのち、イソホロンジイソシアネート73gを加え、80℃で2時間反応させて、不揮発分に対する遊離イソシアネート基含有量2.4質量%のイソシアネート基末端プレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液を30℃まで冷却し、トリエチルアミン8gを加えて中和したのち、水650gを徐々に加えて乳化分散させ、これにヒドラジンの60質量%水溶液7gを添加し、2時間反応した。その後、減圧下約2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分約35質量%の水性ポリウレタン樹脂組成物を得た。この水性ポリウレタン樹脂組成物中の2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基含有量は、1.0質量%である。
比較例3
実施例1と同様な反応装置に、ヒドロキシル基を有するジエン系重合体[出光石油化学(株)、Poly bd R−45HT、ヒドロキシル価46mgKOH/g]123g、ポリ−3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート(平均分子量2,000)133g、ポリエチレングリコール(平均分子量600)15g、2,2−ジメチロールブタン酸11g、ジブチル錫ジラウレート0.001g及びメチルエチルケトン86gを仕込み、均一に混合したのち、イソホロンジイソシアネート62gを加え、80℃で2時間反応させて、不揮発分に対する遊離イソシアネート基含有量2.0質量%のイソシアネート基末端プレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液を30℃まで冷却し、トリエチルアミン8gを加えて中和したのち、水650gを徐々に加えて乳化分散させ、これにヒドラジンの60質量%水溶液6gを添加し、2時間反応した。その後、減圧下約2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分約35質量%の水性ポリウレタン樹脂組成物を得た。この水性ポリウレタン樹脂組成物中の2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基含有量は、1.0質量%である。
比較例4
実施例1と同様な反応装置に、ヒドロキシル基を有するジエン系重合体[出光石油化学(株)、Poly bd R−15HT、ヒドロキシル価104mgKOH/g]10g、キシレン樹脂系ポリオール[フドー(株)、ニカノールK−100、ヒドロキシル価87mgKOH/g]7g、ポリ−3−メチル−1,5−ペンタンジオールアジペート(平均分子量2,000)233g、ポリエチレングリコール(平均分子量600)12g、2,2−ジメチロールブタン酸11g、ジブチル錫ジラウレート0.001g及びメチルエチルケトン86gを仕込み、均一に混合したのち、イソホロンジイソシアネート72gを加え、80℃で2時間反応させて、不揮発分に対する遊離イソシアネート基含有量2.4質量%のイソシアネート基末端プレポリマーのメチルエチルケトン溶液を得た。この溶液を30℃まで冷却し、トリエチルアミン8gを加えて中和したのち、水650gを徐々に加えて乳化分散させ、これにヒドラジンの60質量%水溶液7gを添加し、2時間反応した。その後、減圧下約2時間かけて60℃まで昇温しながら、脱溶剤を行い、固形分約35質量%の水性ポリウレタン樹脂組成物を得た。この水性ポリウレタン樹脂組成物中の2,2−ジメチロールブタン酸由来のカルボキシル基含有量は、1.0質量%である。
【0021】
(1)常態接着性
実施例1〜5及び比較例1〜4で得られた水性ポリウレタン樹脂組成物のそれぞれを、固形分濃度が30質量%になるように水で希釈した液を、基材として厚さ0.15mmで濡れ指数が360μN/cmのポリエチレンフィルム(PE)の片面、厚さ20μmのコロナ放電処理延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)の放電処理面、厚さ1mmのナイロン6,6からなる白色プレート(Ny)の片面、厚さ11μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)の片面又は厚さ1mmのアルミニウム板(Al)の片面に、バーコーター(No.8)を使用して塗布量100〜120g/m2になるように塗布したのち、80℃で乾燥して、表面に塗装皮膜が形成された試験片を得た。得られた試験片を、恒温恒湿器を用いて、温度40℃、相対湿度10%で24時間エージングしたのち、JIS K 5400 8.5.3 Xカットテープ法に準じて、塗装面にセロハン粘着テープ[ニチバン(株)]をはり付け、角度60°で急速にひき剥がしたときの塗装皮膜の外観を観測し、評価点数で評価した。
(2)耐水接着性
(1)と同様にして作製した試験片を、23℃の水中に12時間浸漬したのち、面の水分を清拭して、JIS K 5400 8.5.3 Xカットテープ法に準じて(1)と同様に接着性を評価した。
常態接着性の評価結果を第1表に、耐水接着性の評価結果を第2表に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0003995634
【0023】
【表2】
Figure 0003995634
【0024】
第1表及び第2表に示されるように、実施例1〜5の水性ポリウレタン樹脂組成物は、いずれの素材に対しても優れた接着性を示し、実施例5の水性ポリウレタン樹脂組成物が特に優れている。
一方、ジエン系重合体も、キシレン樹脂系ポリオールも含有しない高分子ポリオールを用いて調製した比較例1の水性ポリウレタン樹脂組成物、キシレン樹脂系ポリオールは含有するが、ジエン系重合体を含有しない高分子ポリオールを用いて調製した比較例2の水性ポリウレタン樹脂組成物、ジエン系重合体は含有するが、キシレン樹脂系ポリオールを含有しない高分子ポリオール用いて調製した比較例3の水性ポリウレタン樹脂組成物及びジエン系重合体も、キシレン樹脂系ポリオールも含有するが、ジエン系重合体の含有量が少ない高分子ポリオールを用いて調製した比較例4の水性ポリウレタン樹脂組成物は、いずれも各素材に対する接着性が不十分であり、耐水性も不良である。
【0025】
【発明の効果】
本発明の水性ポリウレタン樹脂組成物は、ヒドロキシル基を有するジエン系重合体とヒドロキシル基を有する粘着付与樹脂を分子中に組み込んだ構造による相乗効果によって、難接着性のプラスチックフィルムやアルミニウムなどに対しても優れた接着性を示し、また、その耐水性に優れるために、水系の接着剤として幅広い応用が可能である。

Claims (4)

  1. (a)有機ポリイソシアネート化合物、(b)高分子ポリオール及び(c)アニオン性親水基と少なくとも2個の活性水素を有する化合物から得られるイソシアネート基末端プレポリマーの中和物を、(e)水溶性ポリアミン、ヒドラジン及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の鎖延長剤を用いて水中で鎖延長反応して得られる水性ポリウレタン樹脂組成物において、(b)高分子ポリオールが、(a)、(b)、(c)及び(e)の合計量に対して、ヒドロキシル価20〜120mgKOH/gのヒドロキシル基を有するジエン系重合体5〜50質量%及びヒドロキシル価20〜300mgKOH/gのヒドロキシル基を有するキシレン樹脂系ポリオール化合物からなる粘着付与樹脂1〜40質量%を含有することを特徴とする水性ポリウレタン樹脂組成物。
  2. (a)有機ポリイソシアネート化合物、(b)高分子ポリオール、(c)アニオン性親水基と少なくとも2個の活性水素を有する化合物及び(d)鎖伸長剤から得られるイソシアネート基末端プレポリマーの中和物を、(e)水溶性ポリアミン、ヒドラジン及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種の鎖延長剤を用いて水中で鎖延長反応して得られる水性ポリウレタン樹脂組成物において、(b)高分子ポリオールが、(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の合計量に対して、ヒドロキシル価20〜120mgKOH/gのヒドロキシル基を有するジエン系重合体5〜50質量%及びヒドロキシル価20〜300mgKOH/gのヒドロキシル基を有するキシレン樹脂系ポリオール化合物からなる粘着付与樹脂1〜40質量%を含有することを特徴とする水性ポリウレタン樹脂組成物。
  3. (b)高分子ポリオールが、(a)、(b)、(c)、(d)及び(e)の合計量に対して、ダイマージオール1〜20質量%を含有する請求項1又は請求項2に記載の水性ポリウレタン樹脂組成物。
  4. 請求項1、請求項2又は請求項3に記載の水性ポリウレタン樹脂組成物を含有することを特徴とする接着剤。
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