JP3995309B2 - 光集積回路素子 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、同一半導体基板上に光素子および光導波路を集積した光集積回路素子に関し、特にその迷光防止の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
個別の受発光素子等の光素子、および、それらを結合する光導波路を、同一半導体基板上に集積した光集積回路素子の実現により、単体の光素子の組み合わせでは必要とされていた、位置合わせ、組み立て、実装工程の低減が図れ、これにより高機能、高性能な光システムが安価に提供できる。
【0003】
しかしながら、従来の光集積回路素子における大きな問題の1つは、光集積回路素子の入出力部、Y分岐等の分岐部、曲がり導波路部等の微小光学素子部で、光導波路に結合されない光の成分が生じ、この光の成分が光集積回路素子内をスラブ光または放射光として伝搬し、素子端面で多重反射後、一部は光検出器に入力され、いわゆる、迷光という問題を引き起こしていることである。
【0004】
以下に、係る迷光の問題について、ストリップ装荷型構造の光導波路を有する光集積回路素子を例に説明する。
【0005】
図16に、従来のコヒーレント光通信用の検波用光集積回路素子の概略図を示す。この光導波路構造は、基板100上にクラッド層101で挟まれた光導波路層102を有し、上部クラッド層がストリップ装荷型の3次元光導波路である。
【0006】
光ファイバー104から送信されて来た送信信号光は、レンズ103により光導波路層102の入力部に結合される。この送信信号光は、入力側に別途設けられた局部発振光用半導体レーザ106から出た局部発振光といったん合波後、Y分岐により再び2分割され、2つの光検出器107に各々入力され復調される。図17に、送信信号光、局部発振光、および、送信信号光と局部発振光により復調された復調信号の例を示す。
【0007】
しかし、光導波路層に結合する送信信号光のうち、図16の破線で示すように、ストリップ装荷型構造で形成される3次元光導波路に結合されなかった光の一部は、その周辺のスラブ光導波路に結合され、基板面に垂直方向には導波されるが平行方向には広がりながら、いわゆる、スラブ光として伝搬する。そして、このスラブ光は光集積回路素子端面で一部分は素子外に放射されるが、残りは反射し、再び素子内を伝搬する迷光となる。
【0008】
ここまで、3次元光導波路とスラブ光導波路という表現を用いたが、以下単に光導波路という場合は、3次元光導波路のことをいう。
【0009】
この迷光の一部は光検出器に入射し、本来の復調信号に対してバックグラウンドの強度雑音成分となるか、あるいは、局部発振光用半導体レーザと合波され復調信号さらにこの復調信号からデータ信号が得られる。そして、データ信号として復調されると、多重反射した迷光は時間(位相)に遅れが生じているため、図18下図に示すように本来のデータ信号(図中実線に対応)に対してジッタの成分(図中破線に対応)が加わり、その結果、検出されるデータ信号としては図18上図に示すようなジッタ成分を含んだものが得られる。
【0010】
以上のように、迷光は、バックグラウンドの強度雑音成分やジッタの成分を発生し、信号/雑音比、すなわち、S/N比を劣化させる原因となっていた。
【0011】
この迷光の影響を除去するために、図19に示す構造の光集積回路素子が、特開平3−13906号公報に開示されている。ここでは、光集積回路素子上に迷光防止用の溝105が設けられ、迷光が光検出器107に入射しにくい構造になっている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記迷光防止用の溝を設けた従来例によっても、未だジッタの成分が発生することが判明した。
【0013】
この原因は、ストリップ装荷型構造の光導波路部に結合されなかったスラブ光が、素子端面、または、迷光防止用の溝部の側面で反射された後、光導波路内に再結合されるためである。
【0014】
さらに、より詳細に調べると、溝部で側面を透過して溝部内の空気中を伝搬し、再度反対側の側面から入射し、光導波路部に結合する成分があることが判った。
【0015】
これら溝部の側面を反射、あるいは、溝部の側面を一部透過した迷光が光導波路に再結合すると、前述したように、ジッタの成分を発生し、S/N比を劣化させる。
【0016】
以上、ストリップ装荷型構造の場合について説明したが、光導波路埋込型構造の場合には、スラブ光の代わりに放射光となって、やはり同様にこのような迷光の問題が起こる。
【0017】
本発明の目的は、簡単な構成によりこの様な迷光の影響を防止した光集積回路素子を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の光集積回路素子は、基板上に、それぞれ平行に積層された一対のクラッド層にて挟まれて光導波路層が積層された積層体が設けられて、該光導波路層内に光導波路が形成されており、光が導波される前記光導波路以外の位置に、前記積層体の表面から少なくとも前記光導波路層を貫く以上の深さの溝部が設けられた光集積回路素子において、前記溝部の側面が、前記光導波路層を伝搬してきた光が前記基板側に全反射するように、前記積層体表面に垂直な面に対して傾斜しており、前記基板側には、前記溝部の側面にて全反射した光を吸収する手段が設けられていることを特徴とする光集積回路素子。
【0019】
前記溝部の側面と前記積層体表面との成す角度が、105°以上であることが好ましい。
【0020】
また、本発明の光集積回路素子は、前記溝部の側面に、金属または誘電体からなる、単層膜または多層膜が形成されたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明の光集積回路素子は、前記溝部の側面を少なくとも覆うように、光導波路層を伝搬する光波長に対して吸収体となる物質が形成されていることを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明の光集積回路素子は、光導波路層と等しい高さの面内において、光導波路中心と前記溝部の側面との間隔が、下記式1で表される値をωとして、1.0ω以上、2.0ω以下離れていることを特徴とする。
【0023】
【数1】
Figure 0003995309
【0024】
本発明の光集積回路素子は、基板上に、それぞれ平行に積層された一対のクラッド層にて挟まれて光導波路層が積層された積層体が設けられて、該光導波路層内に光導波路が形成された光集積回路素子において、前記光導波路の両側に位置する前記積層体端面が、前記光導波路層を伝搬してきた光が前記基板側に全反射するように、前記積層体表面に垂直な面に対して傾斜しており、前記基板側には、前記積層体端面にて全反射した光を吸収する手段が設けられていることを特徴とする。
【0025】
前記積層体端面と前記積層体表面との成す角度が105°以上であることが好ましい。
【0026】
前記積層体端面に、金属または誘電体からなる、単層膜または多層膜が形成されたことを特徴とすることが好ましい
【0027】
前記積層体端面に、光導波路層を伝搬する光波長に対して吸収体となる物質が形成されていることを特徴とすることが好ましい
前記光導波路は、前記基板と前記光導波路層との積層面に平行で光導波方向に垂直な方向の光導波構造がストリップ装荷型構造または光導波路埋込型構造であることが好ましい。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて具体的に説明する。
【0029】
(実施の形態1)
図1に、本発明の実施の形態である光集積回路素子の1例を示す。
【0030】
図1の素子構造は、GaAs、InP等の半導体基板100上に、化合物半導体材料によりAl0.5Ga0.5Asクラッド層101、Al0.2Ga0.8As光導波路層102、Al0.5Ga0.5Asクラッド層101が順次積層されており、基板面に平行方向の閉じ込め構造としてストリップ装荷型構造をなしている。
【0031】
光ファイバー104により伝送されてきた強度変調されている送信信号光が、レンズ103を介して光集積回路素子の光導波路層102に結合される構成となっている。
【0032】
結合された光はY字型分岐器で2分割される。そして2分された片方の光導波路部には光検出器107が形成されており、送信信号が復調される構成となっている。もう一方の光導波路部には光学素子である半導体レーザ106が形成されており、信号光が送出される構成となっていて双方向の伝送が可能となっている。
【0033】
本素子の入力部および検出部の光導波路近辺には、迷光を防止するための溝部105が設けられている。
【0034】
図2(a)は、図1のa−a’断面図を示し、図2(b)には、その溝部側面部分の拡大図を示す。θは素子表面と溝部側面との成す角度を表す。溝部側面は素子表面に垂直な面から傾斜しており、図2ではθが90゜未満の場合を示している。
【0035】
この様な傾斜した溝側面の形成方法としては、例えば、(001)GaAs基板に対して(111)面が側面となる方向にマスク形成を行い、Br2−CH3OH系のエッチャントでエッチングを行う方法がある。このように、通常のフォトリソの工程によるマスク形成工程、及び、適当な結晶面に対してウエット系のエッチングを行うことにより容易に形成できる。
【0036】
光ファイバー中を伝送されてきた光の内、レンズにより光導波路に結合しなかった迷光成分はスラブ導波路を伝搬後、この溝部に到達する。そして、図2(a)の矢印で示すように、角度θが90゜未満の場合、側面で素子上面に全反射され素子外に放出される。そして、光集積回路素子を実装しているパッケージ等(図示せず)で乱反射されるため送信信号光に対する雑音成分とならない。
【0037】
図3に示すように、角度θが90゜より大きい場合には、迷光は下向き、すなわち、基板側に放射される。この時、迷光に対して不透明な基板を使用している場合、例えば、導波光波長0.8μm帯に対してGaAs基板を使って光導波路を形成している場合には、基板によりこの迷光が吸収されるので、素子表面の光放射面での反射により光が戻ってくるようなことがなく、完全に迷光を除去することができる。
【0038】
逆に、迷光に対して透明な基板を使用している場合、例えば導波光波長1.3μm帯に対してInP基板の様な場合には、基板では吸収されない。この場合には、図4で示すように、この基板の裏側の光放射部に、吸収体となる例えばInGaAsP等の半導体108等を、形成したり或いは接着材等で張り付けることにより、同様の効果が得られる。
【0039】
図4では裏面に吸収体を形成しているが、図2(a)のように素子上面に光が出射される場合、同様に素子上面のこの光出射部分に吸収体を形成しても良い。
【0040】
以上のような構成を取ることにより、光導波路に結合されなかった迷光が溝部での反射により光検出器に入射することを防止でき、従来の垂直溝に比較して信号対雑音比(S/N比)の改善が図れ、安定した伝送が行える光集積回路素子を得ることができた。
【0041】
溝部側面と素子表面との成す角度θにより、反射率が変わる様子について、以下にさらに詳細に述べる。
【0042】
図5に、角度θが変化した場合の、溝部側面での反射率の計算結果を示す。
【0043】
光が半導体側から空気側に向かって入射する場合を考えると、空気の屈折率は1、半導体の屈折率は約3.5であるので、この屈折率差により、半導体−空気界面での光の入射角が15°程度以上の時には、界面で全反射が起こる。溝部側面への迷光の入射角が15°以上になるのは、角度θが75°以下または105°以上の場合であり、この時、反射率は100%となり、迷光は完全に素子上面あるいは基板側に放射され除去される。
【0044】
このように、溝部側面と素子表面との成す角度θを75°以下または105°以上にすることによって、従来の垂直溝に比較して信号対雑音比(S/N比)で約2dBの改善が図れ、安定した伝送が行える光集積回路素子を得ることができた。
【0045】
しかし、角度θが75°以下または105°以上の場合であっても、溝部側面で素子上面あるいは素子下面方向に全反射された迷光は、素子上面あるいは素子下面で再度反射されることがある。図2(a)の部分拡大図である図2(b)を用いて以下説明する。
【0046】
角度θが75°以下の場合、素子上面方向に反射された迷光は、角度(2θ−90°)で素子上面(半導体と空気の界面)に入射する。この際に、角度(2θ−90°)が約15°以上の時、すなわちθが52.5°以上の時、この素子上面で全反射を起こし、迷光は図2(b)に示す矢印Bのように素子下面方向に進み、素子上面と素子下面で多重反射を繰り返すことにより、例えば光検出器まで到達することがあった。
【0047】
よって、角度θを52.5°以下にすることで、素子上面での全反射を防ぎ、図2(b)に示すBのように透過させることができ、素子上面と素子下面での多重反射を防ぐことができた。
【0048】
同様に、角度θが37.5°以下では全反射条件により素子上面と素子下面間での多重反射が生じた。よって、角度θが75°以下の範囲では、特に37.5°以上52.5°以下とするのが好ましい。
【0049】
また、溝部側面で迷光が素子下面方向に反射する場合も同様に、角度θが105°以上の範囲では、特に127.5°以上142.5°以下とするのが好ましい。
【0050】
さらに、素子外に光を放出する際、図2(a)溝部右側のように、素子表面の光放射部を凹凸形状にするあるいは表面を荒らすことにより、素子表面での光の反射率を下げることができ、多重反射をふせぐことができる。
【0051】
あるいは、素子表面の光放射部に、例えばSiO2膜、Si34膜、半導体膜などを用いて、無反射膜(ARコーティング)を施してもよい。その際、膜厚は、光の波長をλ、膜材料の屈折率をnとして、λ/(4n)に設定すれば反射がなくなる。
【0052】
また、入射角15°以下で入射した場合、すなわち、角度θが75°以上105°以下の場合、溝部側面で全反射は起こらないが、図5に示すように、角度θが90°から離れるにしたがって反射率が増加するので、溝部側面が素子表面に垂直な面から多少でも(5°程度以上)傾斜すれば、迷光を除去する上で効果がある。
【0053】
(実施の形態2)
つぎに、本発明の溝部の別の構造であり、溝部の側面を覆うように高反射膜を形成した例を示す。
【0054】
図6は、溝部の側面を覆うように、例えばAu、Ti、In等の金属膜300を、通常の蒸着のプロセスにより500nm程度形成したものである。この金属膜の形成は、例えば、発光素子の電極形成プロセス時に同時に行うことも可能であり、そうすれば付加的な工程を必要としない。
【0055】
迷光はこの金属面で反射され、素子上面或いは基板面に放射される。この構成によれば、確実に側面で反射させることができるため、より効果的に迷光を除去する事が出来た。
【0056】
その結果、(実施の形態1)における全反射の場合と同様、従来の垂直溝の場合より信号対雑音比(S/N比)で約2dBの改善が図れた。さらに、金属による全反射を利用しているため、溝部の側面のラフネス等の影響も受けないので、素子の良品歩留まりが約10%向上した。
【0057】
図7には、図6の金属膜の代わりに、誘電体多層膜を形成した例を示す。
本構成では、屈折率の異なる第1の誘電体膜301と第2の誘電体膜302の2種を用いて多層構造にすることで高反射率になるように設定している。その際、波長をλ、屈折率をnとすると、光の入射角xに応じて下記式で表される層厚hで、多層構造にすると最も高い反射率が少ない層数で得られる。
【0058】
h=λ/(4n・cosx)
例えば、SiO(n=1.48)とSiN(n=2.02)の構成では、波長λ=1.3μm、角度θが80°の時、すなわち入射角xが10°の時、SiOの膜厚0.2230μm、SiNの膜厚0.1634μmが最適値の1つであり、これらを交互に8層ずつ形成した誘電体多層膜の反射率は94%である。ちなみに多層膜をつけない場合は、30.4%である。
【0059】
このように、プロセス後の溝部の角度に応じて、反射率が約100%となるように誘電体の層構成を設計することにより、θが90°に近くても、確実に素子上面或いは基板側に迷光を除去する事が出来る。これにより、信号対雑音比(S/N比)が改善されるとともに、溝部の側面の角度に依存することがなくなり、素子の良品歩留まりが約10%向上した。
【0060】
上記実施例では金属材としてAu、Ti、In、又、誘電体材としてSiO/SiN膜を使用しているがこれに限定することなく、本発明の主旨を逸脱しない限り他の材料系及び組み合わせでも良い。
【0061】
(実施の形態3)
つぎに、本発明の別の溝部の構成例であり、溝の側面あるいは溝全体に、導波光波長に対して吸収体となる物質を形成した例を示す。
【0062】
図8は、溝全体に吸収体400を形成した例であり、図9は、溝の側面に吸収体膜401を形成した例である。
【0063】
上記吸収体400及び401としては、例えば、0.8μm帯の光源を使用する場合、GaAs層を、また、波長が1.3μmの場合には、InP基板に格子整合したGa0.47In0.53As膜を形成するとよい。
【0064】
この構成により、溝側面のラフネスに起因し全反射されずに散乱光となった光が、溝部内を伝搬して再度反対側の光導波路に結合するような迷光を確実に抑制でき、信号対雑音比(S/N比)で約1dBの改善が図れ、安定した伝送が行える光集積回路素子を得ることができる。
【0065】
また、本効果を得るための埋込み用あるいは層形成用材料として、上記以外の他の半導体、又は、樹脂等で構成しても、光を吸収するものであれば同様の効果が得られる。
【0066】
(実施の形態4)
図10に、本発明の別の光集積回路素子の例を示す。
【0067】
図10に示すように、本発明の光集積回路素子は、基板100上にクラッド層101が形成され、光導波路層である光導波路層102がこのクラッド層に埋め込まれた構造、いわゆる光導波路埋め込み型構造をなしている。
【0068】
空間より伝送された送信信号光がレンズ103により集光され、光導波路層102に結合される。この導波光は、波面分割型ビームスプリッター500により2分される。
【0069】
波面分割型ビームスプリッター500部分の断面図、すなわち図10のc−c’断面図を、図11に示す。この構造は光導波路層の一部を貫く溝部が設けられており、この溝部側面で光界分布501の一部は界面での屈折率差により全反射し光の伝搬方向が90゜変わる。残り部分の光界分布は透過することにより分岐器として働く。
【0070】
分割された光は、別に素子上に設けられた局部発振光用半導体レーザ106から出て、同様に波面分割型ビームスプリッター500により分割された光と合波され、各々、光検出器107にて信号が検出される。
【0071】
迷光防止用の溝部を形成する場合、光検出器の受光部に入射する迷光を効率よく除去する必要があり、このためには、図10で示すように光検出器の近くの光導波路近傍に溝部を形成するのがよい。
【0072】
図12は、図10において迷光防止用に設けられた溝部105部分の断面図、すなわち図10のb−b’断面図である。溝部105の位置は、光導波路層の近くに設けるのがよいが、近すぎると、本来の光導波路層を導波する光の光界分布が溝部の影響を受け、回折あるいは散乱されることにより、過剰な迷光が生じ、S/N比が悪くなる。反対に、溝部が光導波路層から離れ過ぎると、迷光防止の効果が小さくなる。
【0073】
この様子を図13に示した。横軸は、光導波路層と等しい高さの面内における、光導波路中心と溝部の側面との間隔であり、縦軸は光検出器に入射する迷光量であり、溝部の位置を変化させた場合の計算結果を示している。ただし、横軸の単位であるωは、下記式1で表される値であり、光界分布の水平方向半値幅を表す。
【0074】
【数1】
Figure 0003995309
【0075】
図13より、光導波路層の中心から溝部までの距離が、1.1ωないし1.2ω付近で、光検出器に入射する迷光量は最小となる。1.0ω以下では急に迷光量が増加し、2.0ω以上では迷光除去の効果が少ない。結局1.0ω以上、2.0ω以下の範囲が好ましい。
【0076】
実施の形態4では、光検出器のすぐ近くに溝を形成した場合の効果について述べたが、入力部や分岐器部等で生じた迷光が光導波路に再結合する様な箇所に溝部の形成を行っても、同様に迷光を防止する効果が得られる。この場合にも、溝を設ける位置は、光導波路層の中心から1.0ω以上、2.0ω以下の位置が好ましい。
【0077】
(実施の形態5)
以上述べた実施の形態1ないし4においては、溝側面での反射について述べたが、素子端面での迷光の反射についても同様であり、素子端面を素子表面に対して垂直な面から傾斜させることによっても、同様の効果が得られる。
【0078】
図14は、本発明による、素子端面を傾斜させた光集積回路素子の全体構成図であり、図15は、図14のd−d’での断面図を示す。
【0079】
図14のY分岐部分で光導波路に結合されないスラブ光は、従来の構成では素子端面で反射され、再び素子内部を伝搬するが、本発明では素子端面部が傾斜しているので、素子上面部あるいは下面部に反射され迷光成分となるのを防ぐことができる。このような素子端面の傾斜部は、研磨あるいはエッチングにより作製することができる。
【0080】
また、素子端面の傾斜角度を、素子表面に対して75°以下あるいは105°以上で形成することにより、素子端面で迷光の全反射が起こり、端面での迷光の除去をより確実に行うことができる。
【0081】
また、端面部に、金属あるいは誘電体膜からなる単層あるいは多層膜を形成することにより、迷光の除去をより確実に行うことができる。
【0082】
また、端面部に吸収体をつけることにより、迷光の除去をより確実に行うことが可能となる。
【0083】
さらに、溝部を素子内に設けることにより、より一層、迷光除去の効果が得られる。
【0084】
【発明の効果】
本発明によれば、素子端面、または、迷光防止用の溝部の側面、を素子表面と垂直な面から傾けたことにより、迷光は素子表面側ないし基板側に放射され、素子内部での多重反射を防止し、S/N比を向上することができる。
【0085】
溝部の側面、または素子端面に、単層或いは多層で構成された、金属膜或いは誘電体膜を形成することにより、より確実に迷光となる成分を素子表面あるいは基板側に放射することができ、S/N比とともに、素子の歩留まりを向上することができる。
【0086】
また、溝部の側面、または素子端面に、吸収体を形成することにより、溝部を透過し再度光導波路に結合するような迷光を除去することができ、S/N比の改善が図れ、安定した伝送が行える光集積回路素子を得ることができる。
【0087】
また、溝部の形成場所を光導波路中心部から1.0ω以上2.0ω以下にすることにより、光導波路を伝搬している光界分布に影響を与えることなく、迷光となる成分を効果的に除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による実施の形態1の光集積回路素子を示す構成図である。
【図2】図1のa−a’断面図である。
【図3】本発明による実施の形態1の溝部の別の形状を示す断面図である。
【図4】本発明による実施の形態1の溝部の更に別の構成を示す断面図である。
【図5】溝部の形成角度による、側面での反射率の計算結果を示す図である。
【図6】本発明による実施の形態2の溝部の構造を示す断面図である。
【図7】本発明による実施の形態2の溝部の別の構造を示す断面図である。
【図8】本発明による実施の形態3の溝部の構造を示す断面図である。
【図9】本発明による実施の形態3の溝部の別の構造を示す断面図である。
【図10】本発明による実施の形態4の光集積回路素子を示す構成図である。
【図11】図10のc−c’断面図である。
【図12】図10のb−b’断面図である。
【図13】溝部の形成位置による、光検出器に入射される迷光量の変化の計算結果を示す図である。
【図14】本発明による実施の形態5の光集積回路素子を示す構成図である。
【図15】図14のd−d’断面図である。
【図16】従来の光集積回路素子の一例を示す構成図である。
【図17】送受信の方法を示す原理図である。
【図18】従来の光集積回路素子を使用した時の復調データ信号の波形である。
【図19】従来の光集積回路素子の別の例を示す構成図である。
【符号の説明】
100 基板
101 クラッド層
102 光導波路層
103 集光用レンズ
104 光ファイバー
105 溝部
106 半導体レーザ
107 光検出器
108 吸収層(吸収材)
300 金属膜
301 第1の誘電体膜
302 第2の誘電体膜
400 吸収体
401 吸収体膜
500 ビームスプリッター
501 光界分布

Claims (11)

  1. 基板上に、それぞれ平行に積層された一対のクラッド層にて挟まれて光導波路層が積層された積層体が設けられて、該光導波路層内に光導波路が形成されており、光が導波される前記光導波路以外の位置に、前記積層体の表面から少なくとも前記光導波路層を貫く以上の深さの溝部が設けられた光集積回路素子において、
    前記溝部の側面が、前記光導波路層を伝搬してきた光が前記基板側に全反射するように、前記積層体表面に垂直な面に対して傾斜しており、
    前記基板側には、前記溝部の側面にて全反射した光を吸収する手段が設けられていることを特徴とする光集積回路素子。
  2. 前記溝部の側面と前記積層体表面との成す角度が、105°以上であることを特徴とする請求項1記載の光集積回路素子。
  3. 前記溝部の側面に、金属または誘電体からなる、単層膜または多層膜が形成されたことを特徴とする請求項1記載の光集積回路素子。
  4. 前記溝部の側面を少なくとも覆うように、前記光導波路層を伝搬する光波長に対して吸収体となる物質が形成されていることを特徴とする請求項1記載の光集積回路素子。
  5. 前記光導波路層と等しい高さの面内において、前記光導波路中心と前記溝部の側面との間隔が、下記式1で表される値をωとして、1.0ω以上、2.0ω以下離れていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の光集積回路素子。
    Figure 0003995309
  6. 基板上に、それぞれ平行に積層された一対のクラッド層にて挟まれて光導波路層が積層された積層体が設けられて、該光導波路層内に光導波路が形成された光集積回路素子において、
    前記光導波路の両側に位置する前記積層体端面が、前記光導波路層を伝搬してきた光が前記基板側に全反射するように、前記積層体表面に垂直な面に対して傾斜しており、
    前記基板側には、前記積層体端面にて全反射した光を吸収する手段が設けられていることを特徴とする光集積回路素子。
  7. 前記積層体端面と前記積層体表面との成す角度が105°以上であることを特徴とする請求項6記載の光集積回路素子。
  8. 前記積層体端面に、金属または誘電体からなる、単層膜または多層膜が形成されたことを特徴とする請求項6記載の光集積回路素子。
  9. 前記積層体端面に、光導波路層を伝搬する光波長に対して吸収体となる物質が形成されていることを特徴とする請求項6記載の光集積回路素子。
  10. 前記光導波路は、前記基板と前記光導波路層との積層面に平行で光導波方向に垂直な方向の光導波構造がストリップ装荷型構造または光導波路埋込型構造である請求項1に記載の光集積回路素子。
  11. 前記光導波路は、前記基板と前記光導波路層との積層面に平行で光導波方向に垂直な方向の光導波構造がストリップ装荷型構造または光導波路埋込型構造である請求項6に記載の光集積回路素子。
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