JP3642967B2 - 光通信デバイスおよび双方向光通信装置 - Google Patents

光通信デバイスおよび双方向光通信装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光通信等に使用する光通信デバイス、および、一本の光ファイバを用いて、光通信を双方向に同時に行うことが可能な双方向光通信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の、一本の光ファイバを用いて光通信を双方向に同時に行う光通信デバイスの構成を図14に示す。この光通信デバイスでは、データ信号に基づく変調光である発信光が、発光素子31から出射し、この発光素子31のパッケージに装着された半球レンズ31aで集光され、第一の光導波路部32aに入射する。第一の光導波路部32aを伝搬する発信光は、第二の光導波路部32bを経て、光ファイバ33の一端面に入射し、光ファイバ33の他端面に設置された他の光通信デバイスに伝搬する。
【0003】
反対に、光ファイバ33の一端面から第二の光導波路部32bに入射した受信光は第二の光導波路部32bから第三の光導波路部32cに進み、受光素子34に入射し、データ信号を示すための電気信号に変換される。このようにして、一本の光ファイバ33から分岐型の第一ないし第三の光導波路部32a、32b、32cを介して双方向光通信が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の従来例では、第一ないし第三の光導波路部32a、32b、32cがY分岐構造であるため、発光素子31から出射した光の一部が、第二の光導波路部32bにおける、発信光が出射される端面、あるいは光ファイバ33における、発信光が入射される端面で反射されることによって、受光素子34に導かれてしまう。
【0005】
この光は、光ファイバ33の他端に結合(接続)されたもう一方の光通信デバイスから発信光が送られて受信したときにノイズとなるため、高いSN比を保ちながら、同時に双方向に光通信を行うことができなかった。そのため、この光通信デバイスは時分割通信用に使用が限られていた。
【0006】
本発明はこれらの欠点を除くためになされたものであり、同時双方向に光通信を安価に行うことができる光通信デバイス、およびそれを用いた双方向光通信装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の光通信デバイスは、発光素子に光学的に結合された送信用導波路と、受光素子に光学的に結合された受信用導波路とが、互いに光学的に分離されて、かつ、発信光および受信光である信号光をマルチモードにて伝搬するための光ファイバの同一端面に対し光学的に結合可能に設けられ、上記受信用導波路のコア部は、高分子材料から形成され、上記送信用導波路は、上記受信用導波路と比べると、上記光ファイバの中心軸から離れた位置で、光ファイバと位置合わせ可能に設けられていることを特徴としている。
光ファイバから受信用導波路への結合効率を上げるためには、受信用導波路のコア部のサイズ(受信光の受光面積)を大きく設定する必要があるので、受信用導波路のコア部の素材には厚膜形成が容易な高分子材料を用いるとよい。
さらに、発光素子に結合される送信用導波路の幅(光軸方向に対して直交する方向の長さ)を狭くし、受光素子に結合される受信用導波路の幅を広く設定でき、かつ、送信用導波路の位置を光ファイバの中心軸から変位させることにより、光ファイバから受信用導波路に結合する光の結合効率を、より向上させることができる。
また、送信用導波路および受信用導波路と光ファイバとの各光軸が互いに平行状態から外れて傾いた状態となった場合、それらの間の光の結合損失は大きくなる。したがって、
送信用導波路および受信用導波路の各光軸は、光ファイバの光軸に対し平行に形成されていることが好ましい。
本発明の光通信デバイスは、発光素子に光学的に結合された送信用導波路と、受光素子に光学的に結合された受信用導波路とが、互いに光学的に分離されて、かつ、外部の光ファイバの同一端面に対し光学的に結合可能に設けられ、送信用導波路における発信光の出射する端面は、送信光の光ファイバ端面での反射光が受信用導波路に入射することを抑制するように、光ファイバの光軸に直交する(垂直な)面に対し傾斜している
【0008】
上記構成によれば、上記送信用導波路と受信用導波路とが分離されており、光ファイバと送信用導波路の端面が光軸に直交する面から傾斜するように設定しているため、送信用導波路からの送信光が、受信用導波路に侵入することを抑制することができる。
【0009】
したがって、上記構成では、各光通信デバイスを光ファイバの両端に光学的に結合して、双方向光通信を行っても、送信用導波路からの送信光が、受信用導波路に侵入することによるS/N比の低下を低減できるので、上記双方向光通信をより安定に実行できる。
【0010】
これにより、上記構成においては、一本の光ファイバを用いて、送受信を同時に行う双方向光通信を、時分割通信といった複雑な機構を省いて行うことが可能となり、より安定で、情報の伝送密度の高い双方向光通信を安価にできる。
【0011】
また、上記光通信デバイスでは、光ファイバと送信用導波路の各光軸が互いに平行となるように設定されることが好ましい。上記構成によれば、送信用導波路から光ファイバヘの結合効率を高くすることができる。そのため、双方向光通信を送受信同時により安価に行うことができる。
【0012】
上記光通信デバイスでは、送信用導波路および受信用導波路の少なくとも一方と、光ファイバとの互いに結合する側の各端面は互いに平行であり、かつ送信用導波路における光軸方向に対する直交方向の断面積に対し、受信用導波路における光軸方向に対する直交方向の断面積が大きくなっていることが好ましい。
【0013】
上記構成によれば、送信用導波路および受信用導波路の少なくとも一方と、光ファイバとの互いに結合する側の各端面は互いに平行であるので、送信用導波路および受信用導波路の少なくとも一方と光ファイバとをより近接して結合させることができる。
【0014】
これにより、上記構成では、送信用導波路から受信用導波路への漏れ光の発生を抑制することができて受信光においてS/N比を向上でき、また光ファイバからの出射光の広がりを小さく抑えることができる。このため、上記構成では、光ファイバから受信用導波路への受信光の結合効率をより改善できる。
【0015】
さらに、上記構成では、送信用導波路の断面積に対し、受信用導波路の断面積が大きくなっているので、発光素子に結合される送信用導波路の幅(光軸方向に対して直交する方向の長さ)を狭くし、受光素子に結合される受信用導波路の幅を広く設定でき、かつ、送信用導波路の位置を光ファイバの中心軸から変位させることにより、光ファイバから受信用導波路に結合する光の結合効率を、より向上させることができる。
【0016】
上記光通信デバイスでは、送信用導波路は、発信光が通るコア部と、コア部における光軸方向に対する側部に設けられたクラッド部とを有し、送信用導波路の端面の、光軸に対する直交面からの傾斜角度φは、上記コア部の屈折率をn1 、上記クラッド部の屈折率をn2 としたとき、下記の式(1)
φ>cos-1(n2 /n1 ) ……(1)
を満たしていることが望ましい。
【0017】
上記構成によれば、送信用導波路からの送信光による光ファイバ端面での反射光が、受信用導波路の方向には進行しないため、受信用導波路に侵入することをより完全に抑制することができて、受信光におけるS/N比を、より改善でき、双方向光通信をより安定に実行できる。
【0018】
上記光通信デバイスにおいては、送信用導波路、および受信用導波路の各開口数は、結合される光ファイバの開口数に略同一にそれぞれ設定されていることが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、開口数を略同一に設定したことにより、送信用導波路から出射される発信光のほぼ全てを光ファイバにおいて伝搬できるので、送信用導波路から光ファイバヘの結合効率を高くすることができる。さらに、上記構成では、開口数を略同一に設定したことにより、光ファイバから受信用導波路に対し出射される受信光を効率よく受信用導波路に伝搬することができる。これにより、上記構成では、双方向光通信を送受信同時により安定に行うことができる。
【0020】
上記光通信デバイスでは、送信用導波路と受信用導波路とは、送信用導波路および受信用導波路が形成される基板上に、基板の表面方向に沿って互いに並設されていることが望ましい。
【0021】
上記構成によれば、送信用導波路および受信用導波路が基板上に基板の表面方向に沿って互いに並列して配置されているので、同一プロセスで同時に送信用導波路および受信用導波路を基板上に形成できることから、低コストでの大量生産が可能となる。
【0022】
上記光通信デバイスにおいては、送信用導波路および受信用導波路が基板上に基板の表面方向に対し直交方向に沿って互いに並設されていてもよい。上記構成によれば、送信用導波路および受信用導波路が基板上に上下、基板の表面方向に対し直交方向に沿って配置されているので、受信用導波路の幅を光ファイバの径に合わせることができる。これにより、上記構成では、光ファイバから受信用導波路への結合損失を小さく設定することが可能となり、受信光におけるS/N比を、より改善できて双方向光通信をより安定に実行できる。
【0023】
上記光通信デバイスでは、送信用導波路および受信用導波路の少なくとも一方のコア部の周囲に、遮光膜が形成されていることが好ましい。上記構成によれば、送信用導波路および受信用導波路の少なくとも一方の上に、遮光膜を形成することにより、送信用導波路からの漏れ光が受信用導波路に入射することが抑制されるので、受信光におけるS/N比を、より改善できて双方向光通信をより安定に実行できる。
【0024】
その上、上記構成では、さらにコア部と遮光膜の間にクラッド部を設けた場合、遮光膜による光吸収を抑え、送信用導波路および受信用導波路の少なくとも一方の伝搬損失を軽減できて、受信光におけるS/N比を、より改善できて双方向光通信をより安定に実行できる。
【0025】
さらに、上記構成では、上下に積み重ねられた送信用導波路と受信用導波路の間に、クラッド部、遮光膜を挟むという構成の場合、光学的な分離をより完全にできるので、迷光の影響をより抑制できて、受信光におけるS/N比を、より改善できて双方向光通信をより安定に実行できる。
【0026】
上記光通信デバイスにおいては、送信用導波路、受信用導波路の各コア部が、高分子材料から形成され、その厚さが10μm以上150μm以下であることが望ましい。
【0027】
上記構成によれば、送信用導波路および受信用導波路に高分子材料を用いると、厚膜の送信用導波路および受信用導波路を、容易に、かつ、安価に形成することができる。また、上記構成では、送信用導波路および受信用導波路を10〜150μmの厚膜に形成することで、径が大きい、安価なマルチモード光ファイバとの良好な結合が得られる。したがって、上記構成では、双方向光通信をより安定に、かつ安価に実行できる。
【0028】
上記光通信デバイスでは、受光素子は基板上にモノリシックに形成され、受信用導波路は、受信光の導波光を反射して受光素子に導くように形成された終端部を受光素子上に備え、かつ、発光素子は、基板上にてハイブリッドに集積化されていることが好ましい。
【0029】
上記構成によれば、上記構成では、受信用導波路の終端部に、例えば45度ミラーを形成することで受信用導波路を伝搬する導波光を効率よく受光素子に結合させることができ、かつ、受光素子の受光面積も受信用導波路の断面積程度まで小さくできる。
【0030】
よって、上記構成では、受光素子、信号回路を組み込んだシリコン基板等の基板上に、発光素子、送信用導波路および受信用導波路をモノリシックに、集積化する事により、例えば半導体プロセスを用いることができて、小型化、低コストでの大量生産が可能となる。
【0031】
本発明の双方向光通信装置は、前記の課題を解決するために、発信光および受信光である信号光をマルチモードにて伝搬するための光ファイバの軸方向の両端面に、上記光通信デバイスが、それぞれ光学的に結合されていることを特徴としている。
【0032】
上記構成によれば、一本の光ファイバとその両端面に結合された各光通信デバイスを用いて双方向光通信を送受信同時に、簡素で、かつ、安価に行うことができる。
【0033】
その上、上記構成では、光ファイバがマルチモードにて光を伝搬するので、上記光ファイバのコア径を大きく、例えば1mm程度に設定できる。このことから、上記構成では、上記光ファイバと各光通信デバイスとの光学的な結合を容易化できる。
【0034】
上記双方向光通信装置においては、光ファイバはプラスチック光ファイバあるいはポリマクラッド石英光ファイバであることが望ましい。
【0035】
上記構成によれば、プラスチック光ファイバを用いることにより、プラスチック光ファイバの価格が石英製光ファイバより安いため、より安価に双方向光通信装置を構成できると共に、光ファイバのコア径を大きくできるので、光ファイバと送信用導波路および受信用導波路とを光学的に結合する際の光軸調整(取り付けの際における結合の位置合わせ調整)を容易化することが可能となる。
【0036】
さらに、上記構成では、ポリマクラッド石英光ファイバを用いることにより、ポリマクラッド石英光ファイバはプラスチック光ファイバよりも伝送損失が小さいので、より伝送距離を延ばすことができて、低コスト化を図れる。
【0037】
【発明の実施の形態】
(第一の実施の形態)
本発明の第一の実施の形態について、図1ないし図3に基づいて以下に説明する。図1は本発明の光導波路デバイス20と光ファイバ1との結合部の平面図を示し、図2は光導波路デバイス20の受信用導波路5部分の断面図(A−A’矢視断面)、図3は光導波路デバイス20の送信用導波路4部分の断面図(B−B’矢視断面)である。
【0038】
図1ないし図3に示すように、上記光通信デバイス20は、発光素子としての半導体レーザ2と、受光素子としてのフォトダイオード3と、半導体レーザ2から出射された送信光21を光ファイバ1に導く送信用導波路4と、光ファイバ1から出射された受信光22をフォトダイオード3に導く受信用導波路5とを備えている。
【0039】
送信用導波路4および受信用導波路5は、それぞれ、光透過性を有して光の伝搬する略直方体形状のコア部13と、各クラッド層(クラッド部)12、14とを有している。各クラッド層12、14は、コア部13における光の伝搬方向に対し側面部となる外面を少なくとも覆い、上記コア部13内を伝搬する光を境界で全反射して上記光の伝送損失を低減するようになっている。
【0040】
ここで、送信用導波路4と受信用導波路5とは光学的に互いに分離されて互いに並列しており、光ファイバ1の同一となる端面8に光学的にそれぞれ結合されている。送信用導波路4と受信用導波路5とは光学的に互いに分離されているため、これら送信用導波路4と受信用導波路5との相互間での光の漏洩は防止されている。送信用導波路4と光ファイバ1との各光軸は、それらの間の光の結合効率を最も高めるために互いに平行に設定されている。
【0041】
さらに、本実施の形態では、送信用導波路4からの発信光21が受信用導波路5に対する受信光に混入(クロストーク)して、上記受信光のS/N比を劣化することを防止するために、送信用導波路4の出射面となる端面9と光ファイバ1の端面8は共に、それらの光軸に対する直交面から同じ角度だけ傾斜している。また、それらの間の光の結合効率を最も高めるために光ファイバ1の端面8と送信用導波路4の端面9とが互いに平行となるよう、光ファイバ1と送信用導波路4とは光学的に互いに結合されて取り付けられている。
【0042】
送信用導波路4と光ファイバ1との各光軸が互いに平行状態から外れて傾いた状態となった場合、それらの間の光の結合損失は大きくなる。図4は、光ファイバ1と送信用導波路4との間の各光軸の傾き(ずれ)と結合損失の解析結果である。この解析結果では、傾きが大きくなるほど、結合損失は増大するため、光ファイバ1と送信用導波路4との各光軸は互いに平行となるように保つほうがよいことがわかる。
【0043】
図5は、送信用導波路4部分の拡大図を示し、送信用導波路4内を通過する発信光21を模式的に表している。前述したように光ファイバ1の端面8は、光ファイバ1の中心軸に平行な仮想軸1cに対し直交する仮想面である直交面1dから傾斜角φだけ傾斜するように設定されている。上記傾斜角φは、送信用導波路4から出射される送信光21の一部が、光ファイバ1の入射領域の端面8で反射されて反射光23となったときに、上記反射光23が受信用導波路5に入射することを回避するように設定されている。
【0044】
すなわち、その傾斜角は、光ファイバ1の長手方向端面において、受信用導波路5と送信用導波路4との並設方向に沿って、受信用導波路5に面する側が光通信デバイス20に向かって突出し、送信用導波路4に面する側が光通信デバイス20から順次離間するように設定されている。
【0045】
本第一の実施の形態として、光ファイバ1にPOF(Plastic Optical Fiber)を用い、シリコン(Si)からなる基板1上に後述する工程で送信用導波路4および受信用導波路5の各コア部13および各クラッド層12、14を形成し、光ファイバ1および送信用導波路4および受信用導波路5の各端面8、9、10の傾斜角度をそれぞれ設定したときの効果を調べた。
【0046】
ここで使用した光ファイバ1は、コア1aがポリメチルメタクリレート(略称PMMA:屈折率1.49、直径500μm)から、クラッド1bはフッ素樹脂のフルオロアクリレート(屈折率1.40)から、また送信用導波路4および受信用導波路5の各コア部13(幅はそれぞれ50μm,350μm、厚さは共に40μm)はフッ素化ポリイミド(屈折率1.54)から、各クラッド層12、14はSiO2 (屈折率1.45)からそれぞれ調製した。
【0047】
光ファイバ1と送信用導波路4間の間隔を小さく、かつ、光ファイバ1と送信用導波路4の光軸を平行に保つため、光ファイバ1と送信用導波路4の各端面8、9の傾斜角は同一にそれぞれ設定し、それらの各端面8、9が互いに平行となるよう結合した。ここでは、光ファイバ1の端面8と送信用導波路4の端面9との間隔は10μmに設定した。
【0048】
図1に模式的に示すような構成で、傾斜角φを変化させて光ファイバ1における、発信光21が入射する端面8における反射で受信にどのような影響があるかを調べた。
【0049】
光ファイバ1における出射側の他の端面からの反射光の影響を抑えるため、できるだけ長い光ファイバ1(プラスチック光ファイバであれば、50m以上)に光通信デバイス20を結合し、半導体レーザ2を発光させて送信用導波路4から出射された光量と、受信用導波路5を経てフォトダイオード3に入射する光量の比、すなわちクロストークを測定した。その結果を図6に示す。
【0050】
この結果から光ファイバ1と送信用導波路4の各端面8、9の傾斜角を大きくすると良いことがわかる。この理由について光ファイバ1および送信用導波路4の開口数NAを用いて以下に説明する。
【0051】
図5に示すように、送信用導波路4を伝搬する送信光21は送信用導波路4を出射したときに広がり、その出射された発信光21の放射角度(広がりの大きな光線と光軸とがなす角度)は送信用導波路4の開口数NAで定まる。送信用導波路4、および光ファイバ1の開口数NAは、送信用導波路4、および光ファイバ1内を伝搬する光線が光軸を横切る角度の最大値θmax を用いて、次式(2)で定義される。
【0052】
NA=sinθmax ……(2)
したがって、θmax は、コアの屈折率n1 、クラッドの屈折率n2 を用いて次式(3)で定義される。
【0053】
θmax =cos-1(n2 /n1 ) ……(3)
光ファイバ1の端面傾斜角φが、この角度θmax と同じ場合に、光ファイバ1における、発信光21が入射される端面8からの反射光23は、ほぼθmax に沿って戻ることになり、また、角度θmax より大きいとき、光ファイバ1の端面8からの反射光23は、光ファイバ1と送信用導波路4の間の距離に関係なく、受信用導波路5の方向に進行しなくなる。したがって、上記材料を用いて構成した場合、端面8の傾斜角φは19.7°以上とするとよい。
【0054】
しかしながら光ファイバ1の端面8を加工することを考慮した場合、端面8の傾斜角φは小さい方がより好ましく、最大でも40°程度が妥当である。これ以上、端面8の傾斜角φを大きく設定した場合には、直径1mm以下の光ファイバ1の端面8が鋭角となり、端面8の加工が難しく、また破損しやすくなるため、実用的ではない。また、傾斜角φが大きくなるほど、送信用導波路4および受信用導波路5と、光ファイバ1との間での、光の結合損失が増加するため、傾斜角φは、小さい方がより好ましい。
【0055】
次に送信用導波路4の開口数について考察する。上記の第一の実施の形態に示した光ファイバ1と送信用導波路4の開口数NAは、上記示した式よりそれぞれ0.51と0.52とほぼ等しい構成としている。送信用導波路4の開口数は光ファイバ1の開口数とほぼ同じにするのが好ましい。送信用導波路4と光ファイバ1の開口数が同じであると、送信用導波路4から出射された発信光21の全てが光ファイバ1を伝搬できるので、送信用導波路4から光ファイバ1への結合効率を高くすることができる。
【0056】
受信用導波路5の開口数は光ファイバ1の開口数と同じか、より大きく設定するとよい。しかしながら、後述するように送信用導波路4と受信用導波路5のコア部13、各クラッド層12、14は同じ材料および加工方法を用いて構成し、同時に加工を行って形成するため、各送信用導波路4および受信用導波路5の各開口数NAは互いに等しく設定するのが好ましい。
【0057】
上記説明した構成の光通信デバイス20では、光ファイバ1と、送信用導波路4および受信用導波路5との結合間隔を小さく構成することができるため、半導体レーザ2から出射された送信光21が、広がりが小さい状態で光ファイバ1に結合することが可能となる。そのため送信用導波路4と光ファイバ1の間の結合損失を小さくすることができる。
【0058】
また、光ファイバ1の端面8からの反射光23が、同じ光通信デバイス20内のフォトダイオード3に入射することが防止されるため、光通信を、双方向において、同時に、安定に、かつ、信頼性よく行うことが可能となる。
【0059】
同時双方向通信においては、光ファイバ1を伝搬する光の一部が出射端面で反射されて、再度光ファイバ1内を逆進し、送信側の光通信デバイス20に戻り、送信側の光通信デバイス20での受信に対しノイズとなるという問題についても考慮する必要がある。図7に示すように、この反射光25によるノイズも光ファイバ1の端面8を傾斜させることにより、大幅に除去することができる。
【0060】
すなわち、光ファイバ1を伝搬する受信光22は、光ファイバ1を出射して、受信用導波路5に結合する。このとき、光ファイバ1の端面8で、受信光22から反射光25が発生する。端面8の傾斜角φが大きいと、この反射光25は大きな伝搬角度を有することになるので、光ファイバ1内を伝搬できなくなる。そのため、よりクロストークを小さくすることができる。
【0061】
図1ないし図3に示すように、送信用導波路4と受信用導波路5とは、それらの間での光の漏洩を回避するために、互いに近接、つまり互いの間にある程度の間隔(数十μm)を有してそれぞれ設けられており、さらに、送信用導波路4および受信用導波路5上に、後述する遮光膜15、あるいは上部クラッド層14と遮光膜15の双方を設けて、互いに光学的に分離しておくのが望ましい。
【0062】
(第二の実施の形態)
上記第一の実施の形態で示した光通信デバイスを用いた双方向光通信装置について以下に第二の実施の形態として説明する。双方向光通信装置では、図8に示されるように、光ファイバ1の両端面に上記光通信デバイス20、20’が光学的にそれぞれ結合されている。光通信デバイス20’では、光通信デバイス20と同一の機能を有する部材については、光通信デバイス20の各部材番号にダッシュを付記して示している。
【0063】
光ファイバ1は、データ信号に基づく変調光を送信光および受信光としてそれぞれ伝搬する、細長いコード状のものである。光通信デバイス20、20’は、光ファイバ1の長手方向の各端面に光学的にそれぞれ結合され、送信光を生成して光ファイバ1に送出すると共に光ファイバ1の端面からの出射された受信光から上記データ信号を再生するためのものである。
【0064】
光ファイバ1は、光ファイバ1の長手方向に対する直交方向の断面が略円形状となっており、図1に示すように、光ファイバ1の中心部に光透過性のコア1aと、そのコア1aの外周を覆う光透過性のクラッド1bとを有している。
【0065】
コア1aの屈折率は、クラッド1bの屈折率より大きく設定されており、よって、光ファイバ1は、コア1a内を光ファイバ1の中心軸にほぼ沿って伝搬する光が、コア1aとクラッド1bとの境界にて全反射して、伝送損失の少ない伝搬が可能となっている。
【0066】
光通信デバイス20において、図1に示すように、半導体レーザ2から出射された送信光21は、送信用導波路4に結合され、送信用導波路4を伝搬して、送信用導波路4の出射の端面9より出射される。この端面9から出射された送信光21は、上記端面9に対し近接して配置された光ファイバ1に結合され、光ファイバ1を伝わって、光ファイバ1の反対側の他の光通信デバイスに導かれる。
【0067】
また、半導体レーザ2の他方の端面から出射した光は、モニタ用光24としてモニタ用導波路6に導かれ、モニタ用フォトダイオード7で検出され、上記半導体レーザ2の出力調整に用いられる。
【0068】
一方、光通信デバイスにおいて、図1に示すように、光ファイバ1から出射された受信光22は受信用導波路5に結合され、受信用導波路5を伝搬して、受信用導波路5の下部に位置するフォトダイオード3によって検出され、受信光22の光強度の変化に応じて、前記データ信号に対応した電気信号が得られる。この電気信号は、図示しない復号器にて、上記データ信号に復号され、データ通信が完了する。
【0069】
この構成では、より高密度なデータ通信のための波長多重通信を必要としない場合、光ファイバ1の両端に結合する各光通信デバイス20、20’の特性を互いに同一に設定でき、低価格な双方向光通信装置のリンクを提供できる。
【0070】
光ファイバ1には、プラスチック光ファイバや、ポリマークラッド光ファイバを用いることが可能である。特に、プラスチック光ファイバは、コア径が0.2〜1.0mmと大きくなるため、送信用導波路4や受信用導波路5との結合の際の位置合わせが容易であり、かつ、プラスチック光ファイバの製造コストも安価なものである。
【0071】
光ファイバ1から受信用導波路5への結合効率を上げるためには、受信用導波路5のコア部13のサイズ(受信光22の受光面積)を大きく設定する必要があるので、受信用導波路5のコア部13の素材には厚膜形成が容易な高分子材料を用いるとよい。
【0072】
一方、送信用導波路4は、光ファイバ1のコア1aよりもサイズ(発信光21の発信光の出射面積)が小さければ小さいほど、位置ずれに対する許容範囲が広がることから、送信用導波路4は可能なかぎり細く、すなわち送信用導波路4における発信光21に直交する断面積は可能なかぎり小さく設定することが望ましい。一方、受信用導波路5は、可能な限り太く、つまり受信用導波路5の受信光22に直交する断面積を大きく設定するのが望ましい。このことから、受信用導波路5の断面積は送信用導波路4の断面積より大きくなるように設定することが好ましい。
【0073】
さらに、送信光21が光ファイバ1における、光軸方向に対して直交する断面が円形になっているコア1aの外周近く、すなわちコア1aの中心軸から離れ、コア1aの外周を覆う、クラッド1bの近くに結合するよう、送信光用導波路4と光ファイバ1との位置を互いに合わせると、受信光用導波路5の受光面積を大きく設定できるので、光ファイバ1から受信光用導波路5への結合効率を改善できる。
【0074】
また受光面積を大きくするには、受信用導波路5の導波路厚が大きい方が好ましい。そのため、受信用導波路5においては、ポリイミドなどの有機材料からなる厚さ10μm以上の厚膜導波路としている。しかし、上記導波路厚は大きすぎると加工時間が長くなり、また受信用導波路5の内部応力が大きくなり、受信用導波路5が設けられた基板1にダメージを与えるため、150μm以下とするのがよい。
【0075】
光ファイバ1の入射領域端面8での反射光の他に、送信用導波路4の伝搬中の送信光21からの漏れ光、半導体レーザ2からの出射光の漏れ光等が、フォトダイオード3に入射することによっても、受信用導波路5を伝搬する受信光22から再生された電気信号(データ信号)におけるSN比は低下する。
【0076】
そこで、本願発明では、上記のような漏れ光が、基板11上において、互いに近接した位置に設けられたフォトダイオード3に対して入射することを防止するため、図2に示すように、受信用導波路5の側壁と上部を覆う遮光膜15が設けられている。この遮光膜15は金属反射膜で構成するとよい。金属反射膜の場合、受信用導波路5の伝搬モードからはずれたモードの光も受信用導波路5を伝搬させることができ、光ファイバ1から受信用導波路5への結合損失を小さくすることができる。
【0077】
この遮光膜15によって、受信用導波路5では、光ファイバ1と結合して受信光22が入射される側の端面10からしか光が結合しないようになっている。さらに、送信用導波路4、およびモニタ用導波路6の側壁と上部においても、半導体レーザ結合側端面と光ファイバ結合側端面とを残して、他の部分を遮光膜15で覆うと、漏れ光の影響を、上記遮光膜15によって、さらに抑制でき、データ信号におけるSN比を向上させることができる。
【0078】
コア部13上に直接遮光膜15を配置した場合、反射時の損失によって光の伝送損失が大きくなるため、コア部13と遮光膜15の間に上部クラッド層14を、下部クラッド層12と同様の素材により配置してもよい。
【0079】
受信用導波路5において、導波光をフォトダイオード3に結合させるために、図1に示すように、フォトダイオード3上の下部クラッド層12を除去し、さらに結合効率を高めるため受信用導波路5における、受信光22の到達端面(終端部)を加工して、フォトダイオード3上において、受信光22の伝搬方向に対し45度の斜面が形成されている。受信用導波路5内を伝搬する受信光22である導波光は、この斜面上の遮光膜(金属反射膜)15によって反射され、フォトダイオード3に導かれる。
【0080】
本発明に係る光通信デバイス20は、モニタ用フォトダイオード7と、受信光用のフォトダイオード3とを埋め込むようにモノリシックに形成した基板11に、半導体レーザ2、送信用導波路4および受信用導波路5を半導体プロセスを用いて集積化しており、個々の部品を別々に作製し、それらを組み上げるといったバルクで形成した、従来の光通信デバイスと比較して、大幅に小型化でき、低コストでの大量生産が可能となっている。
【0081】
(第三の実施の形態)
次に第一の実施の形態における光通信デバイス20の作製法を第三の実施の形態として図9を参照しながら以下に説明する。図9は、送信用導波路4の各製造工程における各断面図である。受信用導波路5も、同様な一連のプロセスで形成される。
【0082】
まず、図9(a)に示すように、基板11上に半導体プロセスによって、図示しないフォトダイオード、モニタ用フォトダイオード7、およびそれらの信号検出回路を形成する。続いて、その上に、光導波路のバッファ層(クラッド部)となる下部クラッド層12を形成する。下部クラッド層12の材料としては、後述するコア部13の材料の屈折率より低い屈折率を有する、例えばSiO2 等を用いることができる。
【0083】
下部クラッド層12の上面は研磨して、平滑となるように設定される。次に、図9(b)に示すように、下部クラッド層12に対し、フォトリソグラフィ、エッチングを行って、各フォトダイオード3、7上、および後に設置する半導体レーザ2の固定位置2aの上の下部クラッド層12を除去する。
【0084】
続いて、図9(c)に示すように、上記基板11および下部クラッド層12上に、後に光導波路のコア部13となる光透過性プラスチック層13cを形成する。この光透過性プラスチック層13cの材料としては、例えば、ポリイミド等の光透過性の有機材料を用いることができ、光透過性プラスチック層13cの膜厚は、例えば100μm程度に設定される。
【0085】
次に、図9(d)に示すように、光透過性プラスチック層13cに対し、フォトリソグラフィ、エッチングを行って、送信用導波路と受信用導波路と半導体レーザからの出射光のモニタ用導波路以外の除去部分13bとなる光透過性プラスチック層13cを除去して、送信用導波路4のコア部13、モニタ用導波路6のコア部6aをそれぞれ形成する。このとき、図示しないが、受信用導波路も形成されている。エッチングの方法としては、反応性イオンエッチングや、エキシマレーザエッチングを挙げることができる。
【0086】
次に、図9(e)に示すように、エキシマレーザエッチングを行って、モニタ用導波路6のコア部6aにおける終端部6bを斜度45度の斜面となるよう加工する。エキシマレーザの照射時間を徐々に変えることによってエッチング量を制御し、斜面を形成する。
【0087】
次に、図9(f)に示すように、残存した光透過性プラスチック層である送信用導波路4、受信用導波路5の各コア部13、およびモニタ用導波路6のコア部6a上や半導体レーザ固定位置2aとなる下部クラッド層12上に、上部クラッド層(クラッド部)14を形成し、さらに、その上に遮光膜15を形成する。
【0088】
上部クラッド層14の材料としては、前述したコア部13の材料の屈折率より低い屈折率を有する、例えば、SiO2 等を用いることができる。遮光膜15の材料としては、例えば光を反射することによって遮光できる、例えばアルミニウム等を用いることができる。
【0089】
次に、図9(g)に示すように、上部クラッド層14および遮光膜15に対し、フォトリソグラフィ、エッチングを行って、送信用導波路4におけるコア部13における半導体レーザ結合側端面2b、光ファイバ結合側端面13aと、モニタ用導波路6のコア部6aにおける半導体レーザ結合側端面2bと、下部クラッド層12上との上部クラッド層14および遮光膜15をそれぞれ除去する。
【0090】
最後に、図9(h)に示すように、前記の半導体レーザの固定位置2aに対し、半導体レーザ2をボンディングして、送信用導波路4が完成する。また、受信用導波路5についても、上記送信用導波路4と同様に作製され、かつ、上述の半導体製造プロセスを用いて一括して同時に作製することが可能である。なお、以上説明した光通信デバイス20において、各層の形成は、スパッタ、CVD、蒸着、スピンコーティング等の方法を材料に応じて使い分けて行われる。
【0091】
(第四の実施の形態)
本発明の第四の実施の形態について、図10および図11に基づき以下に説明する。図10および図11に示す、本第四の実施の形態における光通信デバイス28では、受信用導波路5の上に送信用導波路4が構成されている点が、前記第一の実施の形態と異なっている。上記の点以外の他の構成については第一の実施の形態と同様であり、それらと同様な各構成については、第一の実施の形態に付記した部材番号と同一の部材番号を付記して、それらの説明を省いた。
【0092】
受信用導波路5と送信用導波路4とを、基板11面内、つまり基板11の表面方向に沿って互いに並列に配置した場合、送信用導波路4の幅と上記両者のギャップ領域の幅の分、受信用導波路5の幅が狭くなる。
【0093】
そこで、第四の実施の形態では、図10および図11に示すように、受信用導波路5と送信用導波路4を基板11上において、その表面方向に対し直交する方向に互いに並べて、つまり、上下に配置している。これにより、受信用導波路5の幅は光ファイバ1のコア1aの直径に合わせる、すなわち直径と同一まで大きく設定できるので、受信用導波路5における受信光22の光軸方向に直交する断面積をより広く設定できる。
【0094】
この結果、第四の実施の形態では、第一の実施の形態と比較して、光ファイバー1と受信用導波路5との間の光の結合効率をより大きくすることができて、受信光22の結合効率の改善、つまりS/N比を向上できる。
【0095】
本第四の実施の形態においても、第一の実施の形態と同様に、送信用導波路4と光ファイバ1の端面は、光ファイバ1の中心軸1cに対する直交面(仮想面)1dから傾斜角φだけ傾斜するように設定されている。
【0096】
上記傾斜角φは、送信用導波路4から出射される送信光21の一部が、光ファイバ1の入射領域の端面8で反射されて反射光23となったときに、上記反射光23が受信用導波路5に入射することを、前述と同様、回避するように設定されている。
【0097】
第四の実施の形態においても、半導体レーザ2から出射された送信光21の反射光23が、同じ光通信デバイス28内のフォトダイオード3に入射することが防止されるため、光通信を、双方向において、同時に、安定に、かつ、信頼性よく行うことが可能となる。
【0098】
さらに、送信用導波路4と受信用導波路5の間での光の漏洩を防ぐため、この導波路間には遮光膜15の層を挟む構成としている。上記第四の実施の形態においては、送信用導波路4の上に受信用導波路5を配置する構成としてもよい。
【0099】
次に、上記第四の実施の形態における光通信デバイス28の作製法を図9および図12を参照しながら以下に説明する。図12は、受信用導波路5上の送信用導波路4の各製造工程における各断面図である。
【0100】
まず、図9(a)から(e)に示す第三の実施の形態と同じ工程に従って、図12(a)に示すように、受信用導波路5を形成する。次に、図12(b)に示すように、遮光膜15を形成し、さらに、その上に、送信用導波路4用の下部クラッド層16を形成する。
【0101】
次に、図12(c)に示すように、フォトリソグラフィ、エッチングを行って、モニタ用フォトダイオード7上、および後に設置する半導体レーザ2の固定位置2aの上の遮光膜15、下部クラッド層16を除去する。続いて、図12(d)に示すように、上記基板11および下部クラッド層12上に、送信用導波路4のコアとなる光透過性プラスチック層17を形成する。その上に、上部クラッド層18を形成する。
【0102】
次に、図12(e)に示すように、フォトリソグラフィ、エッチングを行って、送信用導波路4とモニタ用導波路6以外の除去部分となる上部クラッド層18および光透過性プラスチック層17を除去する。
【0103】
最後に、図12(f)に示すように、光ファイバに結合する側の端面19を光軸に直交する面から傾斜させるよう、斜めにダイシングして各チップを分離し、前記の半導体レーザ2の固定位置2aに対し、半導体レーザ2をボンディングして、光通信デバイス28が完成する。
【0104】
(第五の実施の形態)
本発明の第五の実施の形態について、図13に基づき以下に説明する。この光通信デバイス29では、受信用導波路が複数本形成されている点が、上記第一の実施の形態と異なっている。上記の点以外の他の構成については第一の実施の形態と同様であり、それらと同様な各構成については、第一の実施の形態に付記した部材番号と同一の部材番号を付記して、それらの説明を省いた。
【0105】
受信用導波路を第一受信用導波路5、第二受信用導波路26と、複数本用意することにより、この形態の光通信デバイス29に対し光分岐機能を備えさせることもできる。
【0106】
本実施の形態では、第一受信用導波路5は受光素子3に結合させる一方、第二受信用導波路26は別の光ファイバ27に結合させるなどのことが可能となるので、光通信の中継デバイスの役割を備えることもできる。このとき、それぞれの受信用導波路5、26の各断面積の比率を変えることにより、それぞれの受信用導波路5、26に結合する各受信光の割合を設定することができる。
【0107】
【発明の効果】
本発明の光通信デバイスは、以上のように、発光素子に光学的に結合された送信用導波路と、受光素子に光学的に結合された受信用導波路とが、互いに光学的に分離されて、かつ、外部の光ファイバの同一端面に対し光学的に結合可能に設けられ、送信用導波路における発信光の出射する端面は、送信光の光ファイバ端面での反射光が受信用導波路に入射することを抑制するように、光ファイバの光軸に対し直交する面に対し傾斜している構成である。
【0108】
それゆえ、上記構成では、各光通信デバイスを光ファイバの両端に結合することにより、一本の光ファイバを用いて双方向光通信を行うことが可能となり、双方向光通信を安価にできるという効果を奏する。
【0109】
その上、上記構成では、上記送信用導波路と受信用導波路とが分離されており、光ファイバと送信用導波路の端面が光軸に直交する面から傾斜するように設定しているため、送信用導波路からの送信光が、受信用導波路に侵入することを抑制することができる。
【0110】
したがって、上記構成では、各光通信デバイスを光ファイバの両端に光学的に結合して、双方向光通信を行っても、送信用導波路からの送信光が、受信用導波路に侵入することによるS/N比の低下を低減できるので、上記双方向光通信をより安定に実行できる。
【0111】
これにより、上記構成においては、一本の光ファイバを用いて、送受信を同時に行う双方向光通信を、時分割通信といった複雑な機構を省いて行うことが可能となり、より安定で、情報の伝送密度の高い双方向光通信を安価にできるという効果を奏する。
【0112】
本発明の双方向光通信装置は、以上のように、発信光および受信光である信号光をマルチモードにて伝搬するための光ファイバの軸方向の両端面に、上記光通信デバイスが、それぞれ光学的に結合されていることを特徴としている。
【0113】
上記構成によれば、一本の光ファイバとその両端面に結合された各光通信デバイスを用いて双方向光通信を送受信同時に、簡素で、かつ、安価に行うことができるという効果を奏する。
【0114】
その上、上記構成では、光ファイバがマルチモードにて光を伝搬するので、上記光ファイバのコア径を大きく、例えば1mm程度に設定できる。このことから、上記構成では、上記光ファイバと各光通信デバイスとの光学的な結合を容易化できるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光通信デバイスにおける、第一の実施の形態、およびそれと光学的に結合された光ファイバを示す概略平面図である。
【図2】上記光通信デバイスおよび光ファイバにおける、図1のA−A’矢視断面を示す断面図である。
【図3】上記光通信デバイスおよび光ファイバにおける、図1のB−B’矢視断面を示すさらに他の断面図である。
【図4】上記光通信デバイスにおける送信用導波路と光ファイバの各端面を光軸に対し傾斜角度を変化させた場合の結合損失の解析結果を示すグラフである。
【図5】上記送信用導波路と光ファイバとの光学的な結合を示す説明図である。
【図6】上記傾斜角度とクロストークとの関係を示した実験結果のグラフである。
【図7】上記光通信デバイスにおける、受信用導波路と光ファイバとの光学的な結合を示す説明図である。
【図8】本発明に係る双方向光通信装置を、第二の実施の形態として示す概略説明図である。
【図9】上記光通信デバイスの製造工程を示す説明図であって、(a)ないし(h)はそれぞれ上記製造工程における各工程図である。
【図10】本発明の光通信デバイスの第四の実施の形態を示す概略平面図である。
【図11】上記光通信デバイスにおける断面図である。
【図12】上記光通信デバイスの製造工程を示す各工程図である。
【図13】本発明の光通信デバイスの第五の実施の形態を示す概略説明図である。
【図14】従来の光通信デバイスを示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 光ファイバ
2 半導体レーザ(発光素子)
3 フォトダイオード(受光素子)
4 送信用導波路
5 受信用導波路
6 モニタ用導波路
7 モニタ用フォトダイオード

Claims (10)

  1. 発光素子に光学的に結合された送信用導波路と、受光素子に光学的に結合された受信用導波路とが、互いに光学的に分離されて、かつ、発信光および受信光である信号光をマルチモードにて伝搬するための光ファイバの同一端面に対し光学的に結合可能に設けられ、
    上記受信用導波路のコア部は、高分子材料から形成され、
    上記送信用導波路は、上記受信用導波路と比べると、上記光ファイバの中心軸から離れた位置で、光ファイバと位置合わせ可能に設けられていると共に、
    送信用導波路における発信光の出射する端面は、送信光の光ファイバ端面での反射光が受信用導波路に入射することを抑制するように、光ファイバの光軸に対し直交する面に対し傾斜しており、
    かつ、上記送信用導波路および受信用導波路の各光軸は、光ファイバの光軸に対し平行に形成されていることを特徴とする光通信デバイス。
  2. 上記の発光素子、送信用導波路、受光素子および受信用導波路が、同一基板上に設けられていることを特徴とする請求項1記載の光通信デバイス。
  3. 送信用導波路および受信用導波路の少なくとも一方と、光ファイバとの互いに結合する側の各端面は互いに平行であり、
    かつ、送信用導波路における光軸方向に対する直交方向の断面積に対し、受信用導波路における光軸方向に対する直交方向の断面積が大きくなっていることを特徴とする請求項1記載の光通信デバイス。
  4. 送信用導波路は、発信光が通るコア部と、コア部における光軸方向に対する側部に設けられたクラッド部とを有し、
    送信用導波路の端面の、光軸に対する直交面からの傾斜角度φは、上記コア部の屈折率をn 1 、上記クラッド部の屈折率をn 2 としたとき、下記の式(1)
    φ>cos -1 (n 2 /n 1 ) ……(1)
    を満たしていることを特徴とする請求項2または3記載の光通信デバイス。
  5. 送信用導波路、および受信用導波路の各開口数は、結合される光ファイバの開口数に略同一にそれぞれ設定されていることを特徴とする請求項4記載の光通信デバイス。
  6. 送信用導波路および受信用導波路の少なくとも一方のコア部の周囲に、遮光膜が形成されていることを特徴とする請求項1ないし5の何れか一項に記載の光通信デバイス。
  7. 送信用導波路のコア部が、高分子材料から形成され、送信用導波路および受信用導波路の各コア部の厚さが10μm以上150μm以下であることを特徴とする請求項1ないし6の何れか一項に記載の光通信デバイス。
  8. 受光素子は基板上にモノリシックに形成され、
    受信用導波路は、受信光の導波光を反射して受光素子に導くように形成された終端部を受光素子上に備え、
    かつ、発光素子は、基板上にてハイブリッドに集積化されていることを特徴とする請求項1ないし7の何れか一項に記載の光通信デバイス。
  9. 発信光および受信光である信号光をマルチモードにて伝搬するための光ファイバの軸方向の両端面に、請求項1ないし8の何れか一項に記載の光通信デバイスが、それぞれ光学的に結合されていることを特徴とする双方向光通信装置。
  10. 光ファイバはプラスチック光ファイバあるいはポリマクラッド石英光ファイバであることを特徴とする請求項9記載の双方向光通信装置。
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