JP3994841B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は1つの共通の暖房用熱交換器を用いて前席側への吹出空気温度と後席側への吹出空気温度とを独立に制御可能な車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両用空調装置において、暖房用熱交換器として前席側および後席側で1つの共通の熱交換器を空調ケース内に備え、この暖房用熱交換器を通過する温風と暖房用熱交換器をバイパスする冷風との風量割合を調整する前席用および後席用エアミックスドアを独立に設置して、車室内の前席側および後席側への吹出空気温度を独立に制御可能なものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−30732号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来技術では、前席用エアミックスドアおよび後席用エアミックスドアをともに回転軸を中心として回転可能な板ドアにより構成しているので、空調ケース内に2つのエアミックスドアの回転作動空間を設定する必要が生じて、空調装置の体格が大きくなって、空調装置の車両搭載性を悪化させている。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、前席側への吹出空気温度と後席側への吹出空気温度とを独立に制御可能な車両用空調装置の体格を小型化することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車室内へ向かって空気が流れるケース(11)と、ケース(11)内に配置され、空気を加熱する暖房用熱交換器(13)と、暖房用熱交換器(13)をバイパスして冷風が流れる前席用冷風バイパス通路(18)と、暖房用熱交換器(13)をバイパスして冷風が流れる後席用冷風バイパス通路(19)と、暖房用熱交換器(13)の熱交換用コア部(13a)のうち、前席用冷風バイパス通路(18)に隣接する側に形成される前席用通路(16)と、暖房用熱交換器(13)の熱交換用コア部(13a)のうち、後席用冷風バイパス通路(19)に隣接する側に形成される後席用通路(17)と、前席用冷風バイパス通路(18)を通過する冷風と前席用通路(16)を通過する温風との風量割合を調整する前席用エアミックスドア(20)と、後席用冷風バイパス通路(19)を通過する冷風と後席用通路(17)を通過する温風との風量割合を調整する後席用エアミックスドア(21)と、前席用エアミックスドア(20)により温度調整された空調風を車室内前席側へ導出する前席用吹出開口部(28、31、34)と、後席用エアミックスドア(21)により温度調整された空調風を車室内後席側へ導出する後席用吹出開口部(39、40)とを備え、
前席用エアミックスドア(20)を空気が通過する開口部(20a)を有するフィルムドアにより構成するとともに、前席用エアミックスドア(20)を前席用通路(16)の空気流れ上流側に配置し、フィルムドアの一端部を巻き取る巻き取り軸(23)を前席用通路(16)と後席用通路(17)との仕切部に配置し、また、後席用エアミックスドア(21)を回転軸(21a)を中心として回転する板ドアにより構成するとともに、後席用エアミックスドア(21)を後席用通路(17)の空気流れ上流側に配置することを特徴とする。
【0007】
ところで、後席側空調能力に比較して前席側空調能力の方を通常大きくする必要があるため、暖房用熱交換器(13)の前席用通路(16)の通路面積が後席用通路(17)の通路面積より大きくなっており、同様に、前席用冷風バイパス通路(18)の通路面積が後席用冷風バイパス通路(19)の通路面積より大きくなっている。
【0008】
従って、暖房用熱交換器(13)の前席用通路(16)および前席用冷風バイパス通路(18)を開閉する前席用エアミックスドア(20)をもし板ドアにより構成すると、前席用エアミックスドア(20)のための回転作動空間が非常に大きくなってしまうが、請求項1によると、前席用エアミックスドア(20)をフィルムドアにより構成しているので、暖房用熱交換器(13)の前席用通路(16)および前席用冷風バイパス通路(18)を横切るようにフィルムドアを移動させることで、両通路(16、18)を開閉することができる。その結果、前席用エアミックスドア(20)の移動のための空間は僅少で済む。
【0009】
一方、後席用エアミックスドア(21)は通路面積の小さい後席用通路(17)および後席用冷風バイパス通路(19)を開閉するため、後席用エアミックスドア(21)を板ドアで構成しても必要な回転作動空間は小さく済む。そこで、後席用エアミックスドア(21)は板ドアにより構成してドア駆動機構を簡素化している。
【0010】
しかも、後席用エアミックスドア(21)も前席用エアミックスドア(20)と同様に暖房用熱交換器(13)の空気流れ上流側に配置しているから、両ドア(20、21)の配置スペースを暖房用熱交換器(13)上流側に集中させることができる。以上のことが相俟って、前席側および後席側の吹出空気温度を独立に制御可能な車両用空調装置の体格を効果的に小型化できる。
【0011】
更に、前席用エアミックスドア(20)を構成するフィルムドアの一端部を巻き取る巻き取り軸(23)を、暖房用熱交換器(13)の空気流れ上流側にて前席用通路(16)と後席用通路(17)との仕切部に配置しているから、後席用エアミックスドア(21)の回転作動に何ら支障をきたすことなく、前席用エアミックスドア(20)による冷温風の風量調整機能を良好に果たすことができる。
【0012】
請求項2に記載の発明のように、請求項1において、具体的には、暖房用熱交換器(13)の熱交換用コア部(13a)のうち、上方側部位に前席用通路(16)が形成され、下方側部位に後席用通路(17)が形成され、暖房用熱交換器(13)の上方側に前席用冷風バイパス通路(18)が形成され、暖房用熱交換器(13)の下方側に後席用冷風バイパス通路(19)が形成され、
前席用エアミックスドア(20)がケース(11)内部の上方側に位置し、後席用エアミックスドア(21)が前席用エアミックスドア(20)の下方側に位置するように構成できる。
【0013】
請求項3に記載の発明では、請求項2において、ケース(11)内部を車両前方側から車両後方側へ向かって空気が流れるようになっており、暖房用熱交換器(13)をその上部が下部より車両前方側に位置するように傾斜配置することを特徴とする。
【0014】
請求項3では、ケース(11)内部の上方側に位置する前席用エアミックスドア(20)の配置スペースが小さく済むことに着目して、暖房用熱交換器(13)をその上部が下部より車両前方側に位置するように傾斜配置しているから、暖房用熱交換器(13)の斜め上方の後方側に冷風と温風のための前席用空気混合部(29)、あるいは前席用吹出開口部(28、31、34)を開閉する前席用吹出モードドア機構の配置スペースを容易に確保できる。
【0015】
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つにおいて、前席用吹出開口部(28、31、34)として、空調風を車両窓ガラスに向けて吹き出すためのデフロスタ開口部(28)を備え、暖房用熱交換器(13)の熱交換用コア部(13a)の空気流れ下流側に切替ドア(43)を配置し、切替ドア(43)は、前席用通路(16)と後席用通路(17)とを仕切る仕切り位置と、後席用通路(17)と後席用吹出開口部(39、40)との連通を遮断して後席用通路(17)をデフロスタ開口部(28)側に連通させる後席シャット位置との間で切替作動するようになっており、前席側の吹出モードとしてデフロスタ開口部(28)を開口するデフロスタモードが設定されたときに、後席用エアミックスドア(21)を後席用冷風バイパス通路(19)が全閉され、後席用通路(17)を全開する最大暖房位置に操作するとともに、切替ドア(43)を後席シャット位置に切り替えることを特徴とする。
【0016】
これにより、前席側の吹出モードとしてデフロスタモードが設定されたときに、暖房用熱交換器(13)の前席用通路(16)と後席用通路(17)の双方を通過して加熱された温風の全量をデフロスタ開口部(28)から車両窓ガラス側へ吹き出すことができ、車両窓ガラスの防曇性能を良好に発揮できる。
【0017】
ところで、前席側および後席側への吹出空気温度を独立に制御可能な車両用空調装置を、前席側および後席側への吹出空気温度を連動して制御する通常使用の車両用空調装置に容易に変更したいという要求がある。その際に、通常使用の空調装置では、前席用エアミックスドア(20)、後席用エアミックスドア(21)および切替ドア(43)の三者を連動させることになるが、前席用エアミックスドア(20)をフィルムドアで構成しているため、後述の実施形態で詳述するようにフィルムドアのオーバストローク作動により前後独立温度制御仕様と通常使用との変更を極めて簡単に行うことができる。
【0018】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下本発明の一実施形態を図に基づいて説明する。本実施形態による車両用空調装置の室内ユニット部は、大別して、図1に示す空調ユニット10と、この空調ユニット10に空気を送風する送風機ユニット(図示せず)との2つの部分に分かれている。
【0020】
送風機ユニットは車室内前部の計器盤(図示せず)内側のうち、中央部から助手席側へオフセットして配置されており、これに対し、空調ユニット10は車室内前部の計器盤(図示せず)内側のうち、車両左右(幅)方向の略中央部に配置されている。送風機ユニットは周知のごとく外気(車室外空気)と内気(車室内空気)を切替導入する内外気切替箱と、この内外気切替箱を通して吸入した空気を送風する遠心式の送風機とを有している。
【0021】
空調ユニット10は車室内へ向かって送風される空気通路を構成する樹脂製の空調ケース11を有し、この空調ケース11内に冷房用熱交換器をなす蒸発器12と暖房用熱交換器をなすヒータコア13を両方とも一体的に内蔵している。空調ユニット10部は、計器盤内側の略中央部にて、車両の前後方向および上下方向に対して、図1の矢印で示す搭載方向で配置されている。
【0022】
空調ケース11内の、最も車両前方側の部位には空気入口空間14が形成されている。この空気入口空間14には送風機ユニットの遠心式送風機の送風空気が流入する。
【0023】
空調ケース11内において空気入口空間14直後の部位に蒸発器12が略垂直に配置されている。この蒸発器12は周知のごとく冷凍サイクルの低圧冷媒の蒸発潜熱を送風空気から吸熱して送風空気を冷却するものである。そして、蒸発器12の空気流れ下流側(車両後方側)に、所定の間隔を開けてヒータコア13が配置されている。
【0024】
ヒータコア13は、蒸発器12を通過した冷風を再加熱するものであって、その内部に、図示しない車両エンジンから高温の温水(エンジン冷却水)が流れ、この温水を熱源として空気を加熱するものである。ヒータコア13は周知のごとく温水が通過する偏平チューブとこれに接合されたコルゲートフィンとからなる熱交換用コア部13aを有している。この熱交換用コア部13aの下部に温水が流入する入口タンク13bが配置され、熱交換用コア部13aの上部に温水を流出させる出口タンク13cが配置されている。
【0025】
ヒータコア13は、その上部(出口タンク13c側)が下部(入口タンク13b側)よりも車両前方側(蒸発器12側)に位置するように鉛直方向から所定角度だけ傾斜配置されている。
【0026】
ヒータコア13の熱交換用コア部13aの空気通路は、空調ケース11内の仕切り部材15により上側の前席用通路16と下側の後席用通路17とに仕切られている。この仕切り部材15はヒータコア13の空気流れ上流側に配置され、かつ、空調ケース11内部空間の車両左右方向(図1の紙面垂直方向)の全長にわたって延びるように形成されて、空気流れを整流する整流部材の役割を兼ねている。なお、仕切り部材15は空調ケース11に樹脂の一体成形にて形成することができる。
【0027】
空調ケース11内の空気通路において、ヒータコア13の上方部位および下方部位には、それぞれヒータコア13をバイパスして空気(冷風)が流れる前席用冷風バイパス通路18、後席用冷風バイパス通路19が形成されている。すなわち、前席用冷風バイパス通路18とヒータコア13の前席用通路16が互いに隣接して配置され、後席用冷風バイパス通路19とヒータコア13の後席用通路17が互いに隣接して配置される。
【0028】
ここで、後席側空調能力に比較して前席側空調能力の方を大きくする必要があるため、ヒータコア13の前席用通路16の通路面積が後席用通路17の通路面積より大きくなっており、同様に、前席用冷風バイパス通路18の通路面積が後席用冷風バイパス通路19の通路面積より大きくなっている。
【0029】
また、蒸発器12とヒータコア13との間には前席用エアミックスドア20および後席用エアミックスドア21がそれぞれ配置されている。ここで、前席用エアミックスドア20は可撓性を有するフィルムドアにより構成され、後席用エアミックスドア21は回転軸21aを中心として回転する板ドアにより構成されている。
【0030】
前席用エアミックスドア20を構成するフィルムドアは、より具体的にはポリエチレン樹脂のごとく可撓性、強度に優れた樹脂製フィルム状の膜状部材にて図2に示す長尺状の長方形に構成される。そして、フィルムドアの長手方向(ドア移動方向)の途中部位には空気を通過させるための開口部20aが形成されている。この開口部20aは本例ではフィルム状膜状部材の強度確保のために複数に分割して形成されている。なお、図1、後述の図4〜図6および図10では、開口部20aの部位を破線にて図示している。
【0031】
一方、空調ケース11内にのうち、前席用冷風バイパス通路18の上端部に第1巻き取り軸22を回転可能に配置し、また、ヒータコア13の熱交換用コア部13aの上流側にて仕切り部材15の上部に第2巻き取り軸23を回転可能に配置している。そして、前席用エアミックスドア20を構成するフィルムドアの長手方向の一端部を第1巻き取り軸22に固定し、長手方向の他端部を第2巻き取り軸23に固定し、フィルムドアの両端部を第1、第2巻き取り軸22、23に巻き取ったり、第1、第2巻き取り軸22、23から巻き戻す(送り出す)ことができるようにしている。
【0032】
また、フィルムドアの長手方向の中間部、換言すると、ヒータコア13の上部(出口タンク13c側)の車両前方側部位に中間ガイド部24を配置し、この中間ガイド部24によりフィルムドアの長手方向の中間曲がり部をガイドするようになっている。
【0033】
以上により、前席用エアミックスドア20は、第1巻き取り軸22と第2巻き取り軸23との間で一定の張力が付与された状態でもって前席用冷風バイパス通路18とヒータコア13の熱交換用コア部13aの前席用通路16とをそれぞれ横切るようにして、空調ケース14内の上下方向に移動可能となっている。
【0034】
上記第1、第2巻き取り軸22、23のうちいずれか一方、例えば、第1巻き取り軸22にサーボモータ(ステップモータ等)により構成されるアクチュエータ(図示せず)を連結し、このアクチュエータにより第1巻き取り軸22を正逆両方向に回転駆動する。
【0035】
第1巻き取り軸22の回転は図示しない回転伝達機構を介して第2巻き取り軸23にも伝達されるので、第1巻き取り軸22に連動して第2巻き取り軸23が正逆両方向に回転するようになっている。これにより、第1、第2巻き取り軸22、23に対するフィルムドアの巻き取り、巻き戻しが実行される。なお、第1、第2巻き取り軸22、23間の回転伝達機構は周知の機構であるので、その説明は省略する。
【0036】
アクチュエータにより第1巻き取り軸22を正逆両方向に回転させて、前席用エアミックスドア20を空調ケース14内の上下方向に移動させることにより、前席用エアミックスドア20の開口部20aを任意の位置に移動させることができる。この開口部20aの移動によって、上記各通路16、18の開度を任意に調整して、上記各通路16、18を通る空気量を任意に調整できる。すなわち、ヒータコア13の熱交換用コア部13aの前席用通路16で加熱される温風と、前席用冷風バイパス通路18を通ってヒータコア13をバイパスする冷風との風量割合を任意に調整できる。
【0037】
また、後席用エアミックスドア21の回転軸21aにはサーボモータ(ステップモータ等)により構成される独立のアクチュエータ(図示せず)をリンク機構を介して連結し、このアクチュエータにより後席用エアミックスドア21を前席用エアミックスドア20と独立に回転駆動するようになっている。
【0038】
後席用エアミックスドア21の回転によりヒータコア13の熱交換用コア部13aの後席用通路17と後席用冷風バイパス通路19の開度を任意に調整して、上記各通路17、19を通る空気量を任意に調整できる。すなわち、ヒータコア13の後席用通路17で加熱される温風と、後席用冷風バイパス通路19を通ってヒータコア13をバイパスする冷風との風量割合を任意に調整できる。
【0039】
前席用エアミックスドア20は上記風量割合の調整により車室内前席側への吹出空気温度を独立に調整する前席側温度調整手段を構成する。後席用エアミックスドア21は上記風量割合の調整により車室内後席側への吹出空気温度を独立に調整する後席側温度調整手段を構成する。
【0040】
一方、空調ケース11において、ヒータコア13の空気流れ下流側(車両後方側)の部位には、ヒータコア13との間に所定間隔を開けて上下方向に延びる壁面25が空調ケース11に一体成形されている。この壁面25によりヒータコア13の直後から上方に向かう前席用温風通路26が形成されている。前席用温風通路26の下流側(上方側)はヒータコア13の上方部において冷風バイパス通路18の下流側と合流し、冷風と温風の混合を行う前席用空気混合部27を形成している。
【0041】
そして、空調ケース11の上面部において、前席用空気混合部27の上方部位にデフロスタ開口部28が開口している。このデフロスタ開口部28にはデフロスタダクト29が接続され、このデフロスタダクト29の先端部にデフロスタ吹出口29aを設け、このデフロスタ吹出口29aから車両前面窓ガラスの内面に向けて空調風を吹き出す。デフロスタ開口部28は回転可能な板状のデフロスタドア30により開閉される。
【0042】
空調ケース11の上面部において、デフロスタ開口部28よりも車両後方側(乗員寄り)の部位に前席用フェイス開口部31が設けられている。この前席用フェイス開口部31は前席用フェイスダクト32を介して計器盤上方側に配置される前席用フェイス吹出口32aに接続され、この前席用フェイス吹出口32aから前席乗員の上半身側に向けて空調風を吹き出す。前席用フェイス開口部31は回転可能な板状の前席用フェイスドア33により開閉される。
【0043】
次に、空調ケース11において、前席用フェイス開口部31の下方側に前席用フット開口部34が設けられている。この前席用フット開口部34にはフットダクト35が接続され、このフットダクト35の下端部に前席用フット吹出口35aを設け、この前席用フット吹出口35aから前席乗員の足元に空調風を吹き出す。前席用フット開口部34は回転可能な板状の前席用フットドア36により開閉される。
【0044】
上記したデフロスタドア30と前席用フェイスドア33と前席用フットドア36は、前席用吹出モードドア手段であって、図示しないリンク機構を介して共通のアクチュエータのサーボモータの出力軸に連結される。従って、この共通のアクチュエータ機構により前席用吹出モードドア30、33、36が連動操作されるようになっている。
【0045】
一方、空調ケース11の車両後方側における下端部付近に後席用空気出口部37が開口しており、この後席用空気出口部37にヒータコア13の熱交換用コア部13aの後席用通路17の下流側(車両後方側)および後席用冷風バイパス通路19の下流側(車両後方側)が連通するようになっている。この後席用空気出口部37において後席用通路17で加熱された温風と後席用冷風バイパス通路19を通ってヒータコア13をバイパスする冷風とが混合されるので、後席用空気出口部37は後席用空気混合部としての役割を果たす。
【0046】
後席用空気出口部37内にはバタフライドアタイプの後席用吹出モードドア38が回転可能に配置され、この後席用吹出モードドア38により後席用フェイス開口部39および後席用フット開口部40を切替開閉するようになっている。なお、図1では、この両吹出開口部39、40を1つの開口部として簡略図示しているが、実際には、この両吹出開口部39、40を車両左右方向(図1の紙面垂直方向)にずらして配置することにより、バタフライドアタイプの後席用吹出モードドア38により両開口部39、40を切替開閉するようになっている。
【0047】
後席用フェイス開口部39の下流側には後席用フェイスダクト41が接続され、後席用フット開口部40の下流側には後席用フットダクト42が接続される。そして、後席用フェイスダクト41の先端部に設けた後席用フェイス吹出口(図示せず)から後席乗員の上半身側に向けて空調風を吹き出すようになっている。また、後席用フットダクト42の先端部に設けた後席用フット吹出口(図示せず)から後席乗員の足元に向けて空調風を吹き出すようになっている。図示の便宜上、後席用フェイスダクト41と後席用フットダクト42も1つのダクトとして図示している。
【0048】
後席用吹出モードドア38は図示しないリンク機構を介して専用のアクチュエータのサーボモータの出力軸に連結され、この専用のアクチュエータにより回転操作される。
【0049】
後席用吹出モードドア38の操作により、後席用フェイス開口部39のみの開放状態(後席側フェイスモード)と、後席用フット開口部40のみの開放状態(後席側フットモード)と、後席用フェイス開口部39および後席用フット開口部40を同時に開放する状態(後席側バイレベルモード)と、この両開口部39、40を同時に閉塞する状態(後席側シャットモード)とを選択できるようになっている。
【0050】
一方、ヒータコア13の下流側(車両後方側)の下方側部位に、板ドアからなる切替ドア43が回転軸43aにより回転可能に配置されている。すなわち、ヒータコア13の空気下流側部位において、前席用通路16と後席用通路17との仕切り位置の延長方向に切替ドア43の回転軸43aが配置され、切替ドア43は、ヒータコア13の空気下流側部位において後席用通路17に対向する領域で回転する。
【0051】
そして、切替ドア43が図1の実線位置に操作されると、切替ドア43が仕切り部材15の延長上に位置してヒータコア13の前席用通路16と後席用通路17とを仕切り、後席用通路17と前席用温風通路26との連通を遮断する。従って、図1の実線位置は切替ドア43の「仕切り位置」である。
【0052】
これに反し、切替ドア43が図1の破線位置に操作されると、後席用通路17と後席用空気出口部37との連通を遮断して後席用通路17を前席用温風通路26に連通させる。従って、図1の破線位置は切替ドア43の「後席側シャット位置」である。
【0053】
切替ドア43は、後席用エアミックスドア21と連動して操作されるため、切替ドア43の回転軸43aの一端部を空調ケース11の外部に突出させて、図示しないリンク機構を介して、前述した後席用エアミックスドア21のアクチュエータに連結している。
【0054】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。図3は前席用エアミックスドア20、後席用エアミックスドア21および切替ドア43の操作位置変化を示す説明図であり、図3の横軸は前席用エアミックスドア20および後席用エアミックスドア21のアクチュエータのサーボモータの作動角θを示す。
【0055】
図1は前席側および後席側の吹出モードとしてフェイスモードが設定され、且つ、前席側および後席側の温度制御が最大冷房状態になっている場合を示す。フェイスモード時には前席用フェイス開口部31のみが前席用フェイスドア33により開口され、デフロスタ開口部28と前席用フット開口部34はドア30、36により閉塞される。なお、後席用吹出モードドア38も後席用フェイス開口部39のみ開口する。
【0056】
そして、前席用エアミックスドア20および後席用エアミックスドア21のそれぞれのアクチュエータにおけるサーボモータの作動角θを図3に示す最大冷房時の所定角度θ1に制御することにより、前席用エアミックスドア20および後席用エアミックスドア21はそれぞれ図1の最大冷房位置に操作される。
【0057】
すなわち、前席用エアミックスドア20を構成するフィルムドアの開口部20aが前席用冷風バイパス通路18と全面的に重合して前席用冷風バイパス通路18を全開するとともにフィルムドアの膜部がヒータコア13の前席用通路16を全閉する。また、後席用エアミックスドア21は図1の実線位置に回転してヒータコア13の後席用通路17を全閉するとともに後席用冷風バイパス通路19を全開する。
【0058】
以上により前席側および後席側の双方において最大冷房状態が設定される。また、後席用エアミックスドア21が最大冷房位置に操作されることに連動して、切替ドア43は、図1の実線位置に示すようにヒータコア13の前席用通路16と後席用通路17とを仕切る「仕切り位置」に操作される。
【0059】
この状態において、送風機ユニットの送風機および冷凍サイクルが運転されると、送風機ユニットからの送風空気がケース11の最前部の空気入口空間14に流入した後、蒸発器12で冷却されて冷風となる。
【0060】
最大冷房状態ではこの冷風がそのまま、前席用冷風バイパス通路18、前席用空気混合部27および前席用フェイス開口部31を経て前席用フェイスダクト32を通過し、前席用フェイス吹出口32aから前席乗員の上半身に向けて冷風が吹き出す。
【0061】
これと同時に、冷風がそのまま、後席用冷風バイパス通路19を経て後席用吹出ダクト38の後席用フェイス開口部39、後席用フェイスダクト41を通過し、後席用フェイス吹出口から後席乗員の上半身に向けて冷風が吹き出す。
【0062】
図4は前席側および後席側の吹出モードがフェイスモードであるときに、前席側および後席側の温度制御が中間温度制御状態になっている場合を示す。前席用エアミックスドア20を構成するフィルムドアの開口部20aが前席用冷風バイパス通路18およびヒータコア13の前席用通路16の双方と半開状態で重合して、前席用冷風バイパス通路18およびヒータコア13の前席用通路16の双方を半開状態で開口する。
【0063】
また、後席用エアミックスドア21は図4の実線で示す中間開度位置に回転して後席用冷風バイパス通路19およびヒータコア13の後席用通路17の双方を半開状態で開口する。切替ドア43は、このときもヒータコア13の前席用通路16と後席用通路17とを仕切る「仕切り位置」を維持する。
【0064】
従って、前席側および後席側の双方において、冷風と温風の風量割合により温度調整された所望温度の空調風を車室内の乗員上半身側へ吹き出すことができる。そして、前席用エアミックスドア20および後席用エアミックスドア21の操作位置を独立に制御することにより、前席側および後席側の車室内吹出空気温度を独立に制御することができる。
【0065】
次に、図5は前席側および後席側の双方においてフットモードが設定され、且つ、前席側および後席側の温度制御が最大暖房状態になっている場合を示す。フットモード時には前席用フェイス開口部31が前席用フェイスドア33により全閉され、デフロスタ開口部28がデフロスタドア30により小開度だけ開口し、前席用フット開口部34は前席用フットドア36により全開状態にて開口する。なお、後席用吹出モードドア38は後席用フット開口部40のみ開口する。
【0066】
そして、前席用エアミックスドア20および後席用エアミックスドア21のそれぞれのアクチュエータにおけるサーボモータの作動角θを図3に示す最大暖房時の所定角度θ2に制御することにより、前席用エアミックスドア20および後席用エアミックスドア21はそれぞれ最大暖房位置に操作される。
【0067】
すなわち、前席用エアミックスドア20を構成するフィルムドアの開口部20aがヒータコア13の前席用通路16と全面的に重合して前席用通路16を全開するとともにフィルムドアの膜部が前席用冷風バイパス通路18を全閉する。また、後席用エアミックスドア21は図5の実線位置に回転して後席用冷風バイパス通路19を全閉するとともにヒータコア13の後席用通路17を全開する。
【0068】
以上により前席側および後席側の双方において最大暖房状態が設定される。この最大暖房状態においても、切替ドア43はヒータコア13の前席用通路16と後席用通路17とを仕切る「仕切り位置」に維持される。
【0069】
最大暖房状態では、送風機ユニットの送風空気の全量がヒータコア13の熱交換用コア部13aに流入し、加熱される。ヒータコア13の前席用通路16で加熱された温風の大部分は前席用温風通路26、前席用空気混合部27およびフット開口部34を通過してフットダクト35のフット吹出口35aから前席乗員の足元側へ向かって吹き出す。また、ヒータコア13の前席用通路16で加熱された温風の一部は前席用空気混合部27からデフロスタ開口部28側へ分岐してデフロスタダクト29のデフロスタ吹出口29aから車両窓ガラスへ向かって吹き出す。
【0070】
なお、フットモードにおいても、前席用エアミックスドア20および後席用エアミックスドア21の操作位置を独立に制御することにより、前席側および後席側の車室内吹出空気温度を独立に制御できることはもちろんである。
【0071】
次に、図6は前席側吹出モードとしてデフロスタモードが設定された場合である。この場合は、デフロスタモードの設定に連動して後席用エアミックスドア21のアクチュエータに対して、サーボモータの作動角θを図3に示すデフロスタモード時の所定角度θ3とする制御信号が入力される。このデフロスタモード時の作動角θ3は、最大暖房時の作動角θ2を所定量超過する角度であり、後席用エアミックスドア21を図3に示すように最大暖房位置に維持したまま、切替ドア43を「後席側シャット位置」に操作する。すなわち、ヒータコア13の後席用通路17と後席用空気出口部37との連通を遮断して後席用通路17を前席用温風通路26に連通させる。
【0072】
ここで、後席用エアミックスドア21とその駆動用アクチュエータのサーボモータとの間に介在されるリンク機構に、サーボモータの作動角θがθ2からθ3に増大しても後席用エアミックスドア21を最大暖房位置に保持する逃がし溝機構が設けてあるので、サーボモータの作動角θがθ2からθ3に増大しても後席用エアミックスドア21を最大暖房位置に維持できる。そして、サーボモータの作動角θがθ2からθ3に増大することにより、切替ドア43を「仕切り位置」から「後席側シャット位置」に切り替えることができる。
【0073】
また、図6に示すようにデフロスタモードの設定に伴って、前席用フェイス開口部31および前席用フット開口部34が前席用フェイスドア33、前席用フットドア36により全閉され、デフロスタ開口部28がデフロスタドア30により全開状態にて開口する。
【0074】
このとき、前席用エアミックスドア20を最大暖房位置に操作すると、このドア20を構成するフィルムドアの開口部20aがヒータコア13の前席用通路16と全面的に重合して前席用通路16を全開するとともにフィルムドアの膜部が前席用冷風バイパス通路18を全閉する。
【0075】
以上により送風機ユニットの送風空気の全量がヒータコア13の熱交換用コア部13aに流入し、加熱される。しかも、ヒータコア13の前席用通路16および後席用通路17の双方を通過した温風の全量をデフロスタ開口部28に流入できる。従って、後席側への吹出風量を零にしてデフロスタ吹出風量を最大限に増大でき、車両窓ガラスの防曇性能を効果的に発揮できる。
【0076】
なお、デフロスタモードにおいても、前席用エアミックスドア20の操作位置は自由に調整できるので、前席用エアミックスドア20の操作位置の調整によりデフロスタ吹出空気温度を任意に調整できる。
【0077】
前席側の吹出モードとして、フェイスモード、フットモードおよびデフロスタモードについて説明したが、その他に、(1)前席用フェイス開口部31と前席用フット開口部34を同時に開口する前席側のバイレベルモード、後席用のフェイス開口部39および後席用のフット開口部40を同時に開口する後席側のバイレベルモード、(2)フットモードに比較してデフロスタ開口部28の開度を増大するとともに、前席用フット開口部34の開度を減少させて、デフロスタ吹出風量とフット吹出風量とを同程度とする前席側のフットデフロスタモード等を設定できる。
【0078】
ところで、本実施形態によると、前席側および後席側への吹出空気温度を独立に制御可能な車両用空調装置(以下、前後独立制御仕様の空調装置という)を、前席側および後席側への吹出空気温度を連動して制御する通常仕様の車両用空調装置に容易に変更できるようになっている。以下、この点について具体的に説明する。図7は図6のA矢視図であり、デフロスタモードにおける最大暖房時の前席用エアミックスドア20の開口部20aとヒータコア13との位置関係を示す。
【0079】
図7において、斜線部は前席用エアミックスドア20を構成するフィルムドアの膜部20bであり、開口部20aは図示の簡略化のために1つの矩形状開口部として示している。ここで、図6、図7は前席用エアミックスドア20の最大暖房状態を示し、開口部20aはヒータコア13の熱交換用コア部13aの前席用通路16および上側タンク部13cを含む高さHと重合する位置に移動している。従って、前席用エアミックスドア20の開口部20aを通してヒータコア13の前席用通路16全体に確実に空気を流入できる。図7に示す前席用エアミックスドア20の最大暖房位置は、オーバーストロークのない正規の最大暖房位置である。
【0080】
図8は、前後独立制御仕様の空調装置と通常仕様の空調装置におけるドア駆動用アクチュエータを対比して示す。通常仕様では、前席用エアミックスドア20、後席用エアミックスドア21、切替ドア43、および後席用吹出モードドア38を1つのアクチュエータにより連動操作する。図9はこの通常仕様における4種のドア20、21、38、43の連動関係を示すものである。
【0081】
前後独立制御仕様では、前席用エアミックスドア20を専用のアクチュエータにより独立に操作するので、この専用のアクチュエータの作動角θは図3に示すようにθ1〜θ2の範囲でよい。これに反し、通常仕様では、上記4種のドア20、21、38、43を1つのアクチュエータにより連動操作するので、この1つのアクチュエータの作動角θはデフロスタモード時における切替ドア43の切替作動のためにθ1〜θ3の範囲となる。
【0082】
そこで、前席用エアミックスドア20については、θ2〜θ3間の作動角変化によりフィルムドアのオーバストローク作動を行わせる。このオーバストローク作動を図10、図11により説明すると、図10、図11は通常仕様のデフロスタモード時における前席用エアミックスドア20の操作位置であり、図11において2点鎖線20a’は前後独立制御仕様のデフロスタモード時におけるフィルムドアの開口部20aの上端位置を示す。
【0083】
これに対し、通常仕様のデフロスタモード時にはアクチュエータの作動角θがθ2からθ3へと変化することによりフィルムドアの開口部20aの上端位置は図11の実線位置(符号20aの引出線の先端位置)まで下降する。この2点鎖線20a’と実線20a間の距離がフィルムドアのオーバストロークLである。
【0084】
このオーバストロークLの間に切替ドア43の切替作動を実行できる。このオーバストロークLを前席用エアミックスドア20を構成するフィルムドアの作動特性として設定することにより、開口部20aとヒータコア13の熱交換用コア部13aの前席用通路16との重合面積が減少するが、実際には、フィルムドアのオーバストロークLの大部分はヒータコア13の上側タンク13cの部分を移動するのに使用され、前席用通路16の通風面積の減少は僅少量に抑制できる。そのため、デフロスタモード時の吹出風量が減少するという悪影響はほとんど生じない。
【0085】
このように、前席用エアミックスドア20をフィルムドアにより構成しているため、フィルムドアの作動特性としてオーバストロークLを設定するだけで、リンク機構等を何ら複雑化することなく、前後独立制御仕様の空調装置を極めて簡単に通常仕様の空調装置に変更できる。
【0086】
因みに、前席用エアミックスドア20を板ドアにより構成すると、アクチュエータの作動角θがθ2からθ3へと変化しても、この間に前席用エアミックスドア20を最大暖房状態の回転位置に保持したままとするリンク機構を新たに追加設定する必要が生じ、リンク機構が複雑化するが、本実施形態ではこのようなリンク機構の複雑化を招くことなく、フィルムドアのオーバストロークLを単に設定するだけで極めて簡単に前後独立制御仕様を通常仕様に変更できる。
【0087】
(他の実施形態)
なお、上記の一実施形態では、通常仕様の空調装置において、前席用エアミックスドア20、後席用エアミックスドア21、切替ドア43、および後席用吹出モードドア38を1つのアクチュエータにより連動操作するようにしているが、通常仕様の空調装置において、前席用エアミックスドア20、後席用エアミックスドア21、および切替ドア43を1つのアクチュエータにより連動操作し、後席用吹出モードドア38は専用のアクチュエータにより独立に操作するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による空調ユニットの断面図で、フェイスモード時を示す。
【図2】図1の前席用エアミックスドアを構成するフィルムドアの正面図である。
【図3】本発明の一実施形態の前後独立制御仕様によるドア作動特性図である。
【図4】図1の前席用および後席用エアミックスドアを中間温度制御位置に移動させた状態を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施形態による空調ユニットの断面図で、フットモード時を示す。
【図6】本発明の一実施形態による空調ユニットの断面図で、前後独立制御仕様によるデフロスタモード時を示す。
【図7】図6のA矢視図である。
【図8】本発明の一実施形態による前後独立制御仕様と通常仕様のアクチュエータ構成を示す図表である。
【図9】本発明の一実施形態の通常仕様によるドア作動特性図である。
【図10】本発明の一実施形態による空調ユニットの断面図で、通常仕様によるデフロスタモード時を示す。
【図11】図10のB矢視図である。
【符号の説明】
11…ケース、13…ヒータコア(暖房用熱交換器)、
13a…熱交換用コア部、16…前席用通路、17…後席用通路、
18…前席用冷風バイパス通路、19…後席用冷風バイパス通路、
20…前席用エアミックスドア、20a…開口部、
21…後席用エアミックスドア、21a…回転軸、22、23…巻き取り軸、
28、31、34…前席用吹出開口部、39、40…後席用吹出開口部。
Claims (4)
- 車室内へ向かって空気が流れるケース(11)と、
前記ケース(11)内に配置され、前記空気を加熱する暖房用熱交換器(13)と、
前記暖房用熱交換器(13)をバイパスして冷風が流れる前席用冷風バイパス通路(18)と、
前記暖房用熱交換器(13)をバイパスして冷風が流れる後席用冷風バイパス通路(19)と、
前記暖房用熱交換器(13)の熱交換用コア部(13a)のうち、前記前席用冷風バイパス通路(18)に隣接する側に形成される前席用通路(16)と、
前記暖房用熱交換器(13)の熱交換用コア部(13a)のうち、前記後席用冷風バイパス通路(19)に隣接する側に形成される後席用通路(17)と、
前記前席用冷風バイパス通路(18)を通過する冷風と前記前席用通路(16)を通過する温風との風量割合を調整する前席用エアミックスドア(20)と、
前記後席用冷風バイパス通路(19)を通過する冷風と前記後席用通路(17)を通過する温風との風量割合を調整する後席用エアミックスドア(21)と、
前記前席用エアミックスドア(20)により温度調整された空調風を車室内前席側へ導出する前席用吹出開口部(28、31、34)と、
前記後席用エアミックスドア(21)により温度調整された空調風を車室内後席側へ導出する後席用吹出開口部(39、40)とを備え、
前記前席用エアミックスドア(20)を空気が通過する開口部(20a)を有するフィルムドアにより構成するとともに、前記前席用エアミックスドア(20)を前記前席用通路(16)の空気流れ上流側に配置し、前記フィルムドアの一端部を巻き取る巻き取り軸(23)を前記前席用通路(16)と前記後席用通路(17)との仕切部に配置し、
また、前記後席用エアミックスドア(21)を回転軸(21a)を中心として回転する板ドアにより構成するとともに、前記後席用エアミックスドア(21)を前記後席用通路(17)の空気流れ上流側に配置することを特徴とする車両用空調装置。 - 前記暖房用熱交換器(13)の熱交換用コア部(13a)のうち、上方側部位に前記前席用通路(16)が形成され、下方側部位に前記後席用通路(17)が形成され、
前記暖房用熱交換器(13)の上方側に前記前席用冷風バイパス通路(18)が形成され、前記暖房用熱交換器(13)の下方側に前記後席用冷風バイパス通路(19)が形成され、
前記前席用エアミックスドア(20)が前記ケース(11)内部の上方側に位置し、前記後席用エアミックスドア(21)が前記前席用エアミックスドア(20)の下方側に位置することを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。 - 前記ケース(11)内部を車両前方側から車両後方側へ向かって空気が流れるようになっており、
前記暖房用熱交換器(13)はその上部が下部より車両前方側に位置するように傾斜配置されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。 - 前記前席用吹出開口部(28、31、34)として、前記空調風を車両窓ガラスに向けて吹き出すためのデフロスタ開口部(28)を備え、
前記暖房用熱交換器(13)の熱交換用コア部(13a)の空気流れ下流側に切替ドア(43)を配置し、
前記切替ドア(43)は、前記前席用通路(16)と前記後席用通路(17)とを仕切る仕切り位置と、前記後席用通路(17)と前記後席用吹出開口部(39、40)との連通を遮断して前記後席用通路(17)を前記デフロスタ開口部(28)側に連通させる後席シャット位置との間で切替作動するようになっており、
前席側の吹出モードとして前記デフロスタ開口部(28)を開口するデフロスタモードが設定されたときに、前記後席用エアミックスドア(21)を前記後席用冷風バイパス通路(19)が全閉され、前記後席用通路(17)を全開する最大暖房位置に操作するとともに、前記切替ドア(43)を前記後席シャット位置に切り替えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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