JP4063096B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用空調装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、空調ケース内の空気通路を開閉するドアにフィルムドアを採用した車両用空調装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の空調装置では、ヒータコアをバイパスして冷風が流れる冷風バイパス通路を、ヒータコアの上下両側に設けている。そして、上側の冷風バイパス通路の冷風とヒータコアを通過した温風とを混合する空気混合部と、下側の冷風バイパス通路の冷風とヒータコアを通過した温風とを混合する空気混合部とを、1つの空気混合部で共用させている。
【0003】
このように、1つの空気混合部で共用させるレイアウトでは、下側の冷風バイパス通路を上側の冷風バイパス通路に向けて大きく湾曲させなければならず、圧力損失が大きくなってしまう。
【0004】
そこで、本発明者らは図16に示すように、前席用空気混合部27と後席用空気混合部37とを上下別々に設けて圧力損失の低減を図った空調装置を試作検討した。この空調装置では、前席用空気混合部27への冷風と温風との風量割合を調整する前席用エアミックスドア201と、後席用空気混合部37への冷風と温風との風量割合を調整する後席用エアミックスドア202とをそれぞれ独立に駆動させており、車室内のうち前席ゾーンと後席ゾーンとをそれぞれ独立して空調可能にしている。
【0005】
また、上記試作検討の空調装置では、板ドアに比べて小型化を図ることができるフィルムドアを前席用エアミックスドア201に採用している。一方、後席用エアミックスドア202は、そもそも前席用エアミックスドア201に比べて小型であるため、フィルムドアを採用したところで大幅な小型化を図ることができないといった理由から、後席用エアミックスドア202には、フィルムドアに比べて安価な板ドアを採用している。
【0006】
【特許文献1】
特許第3208979号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のように前席ゾーンと後席ゾーンとをそれぞれ独立して空調可能にした図16に示す空調装置(以下、高級仕様空調装置と呼ぶ)は、主に、グレードの高い仕様の車両に搭載されるものである。これに対し、前席ゾーンおよび後席ゾーンを同じ温度の空調風で空調する空調装置(以下、低級仕様空調装置と呼ぶ)を、同一車両のうちグレードの低い仕様の車両に搭載させたい場合がある。
【0008】
このような場合には、高級仕様空調装置の構成部品と低級仕様空調装置の構成部品とを共通化させてコストダウンを図ることが望ましい。そこで、高級仕様空調装置における前席用エアミックスドア201の回転軸23と後席用エアミックスドア202の回転軸202aとを連結手段により連結して、両エアミックスドア201、202を連動して1つのモータで駆動させることにより、高級仕様空調装置を低級仕様空調装置にすることが考えられる。
【0009】
しかしながら、図16に示す空調装置では、前席用エアミックスドア201にフィルムドアを採用し、後席用エアミックスドア202に板ドアを採用しているので、両ドア201、202の回転軸23、202aにおける回転量および回転トルクが大きく異なる。具体的には、板ドア202では大きな回転トルクが必要となり、フィルムドア201では大きな回転量が必要となる。
【0010】
よって、上述のように両回転軸23、202aを連結して1つのモータで駆動させようとすると、上記モータに、回転トルクおよび回転量がともに大きな仕様のモータを採用しなければならなくなり、しかも、連結手段の他に減速手段をも必要とすることとなるため、構造が複雑となりコストアップとなる。
【0011】
本発明は、上記点に鑑み、低級仕様空調装置において、後席用冷風バイパス通路における圧力損失低減を図りつつ、構造の簡素化によるコストアップ抑制を図ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車室内へ向かって空気が流れるケース(11)と、ケース(11)内に配置され、空気を加熱する暖房用熱交換器(13)と、
暖房用熱交換器(13)をバイパスして冷風が流れる前席用冷風バイパス通路(18)と、暖房用熱交換器(13)をバイパスして冷風が流れる後席用冷風バイパス通路(19)と、
暖房用熱交換器(13)の熱交換用コア部(13a)のうち、前席用冷風バイパス通路(18)に隣接する側に形成される前席用温風通路(16)と、暖房用熱交換器(13)の熱交換用コア部(13a)のうち、後席用冷風バイパス通路(19)に隣接する側に形成される後席用温風通路(17)と、
前席用冷風バイパス通路(18)を通過する冷風と前席用温風通路(16)を通過する温風との風量割合を調整する前席用エアミックスドアと、前席用エアミックスドアと連動し、後席用冷風バイパス通路(19)を通過する冷風と後席用温風通路(17)を通過する温風との風量割合を調整する後席用エアミックスドアと、
前席用エアミックスドアにより調整された冷風および温風を混合させる前席用空気混合部(27)と、後席用エアミックスドアにより調整された冷風および温風を混合させる後席用空気混合部(37)と、
前席用空気混合部(27)にて混合された空調風を車室内前席側へ導出する前席用吹出口(28、31、34)と、後席用空気混合部(37)にて混合された空調風を車室内後席側へ導出する後席用吹出口(39、40)とを備え、
前席用エアミックスドアおよび後席用エアミックスドアを、1枚のフィルム部材(21)からなるスライドドア(20)で一体に構成し、
フィルム部材(21)のフィルム面に対向して配置され、空気流れを閉塞する板側閉塞部(25e)を有する板部材(25)を備え、
前席用冷風バイパス通路(18)に空気を流入させる前席冷風流入口(25d)と、前席用温風通路(16)に空気を流入させる前席温風流入口(25c)と、後席用温風通路(17)に空気を流入させる後席温風流入口(25b)と、後席用冷風バイパス通路(19)に空気を流入させる後席冷風流入口(25a)とを、板部材(25)に形成し、
前席冷風流入口(25d)、前席温風流入口(25c)および後席冷風流入口(25a)をフィルム部材(21)の移動方向に順に並べて配置し、
前席冷風流入口(25d)、板側閉塞部(25e)および後席温風流入口(25b)を移動方向に順に並べて配置し、
前席温風流入口(25c)および板側閉塞部(25e)を移動方向に対して直交する方向に並べて配置し、
後席冷風流入口(25a)および後席温風流入口(25b)を直交する方向に並べて配置し、
フィルム部材(21)を最大冷房位置に移動させたときには、フィルム部材(21)に形成された第1開口部(21a)が前席冷風流入口(25d)に対向し、フィルム部材(21)に形成された第2開口部(21b)が板側閉塞部(25e)に対向し、フィルム部材(21)に形成された第3開口部(21c)が後席冷風流入口(25a)に対向するとともに、前席温風流入口(25c)および後席温風流入口(25b)にフィルム面が対向するようになっており、
フィルム部材(21)を最大暖房位置に移動させたときには、前席温風流入口(25c)に第1開口部(21a)が対向し、後席温風流入口(25b)に第2開口部(21b)が対向するとともに、前席冷風流入口(25d)および後席冷風流入口(25a)にフィルム面が対向するようになっていることを特徴とする。
【0013】
これにより、前席用空気混合部(27)と後席用空気混合部(37)とを別々に備えるので、後席用冷風バイパス通路(19)を前席用空気混合部(27)に向けて大きく湾曲させることを回避でき、圧力損失低減を図ることができる。
【0014】
また、本発明に係る車両用空調装置を上述の低級仕様空調装置として適用し、当該低級仕様空調装置を以下のように設計変更することで高級仕様空調装置に変更できる。すなわち、本発明の後席用エアミックスドアを板ドアで構成し、両エアミックスドアを別々に構成することにより、前席用吹出口(28、31、34)から吹き出される空調風の温度と、後席用吹出口(39、40)から吹き出される空調風の温度とをそれぞれ独立して制御できる。
【0015】
そして、高級仕様空調装置における両エアミックスドアを1枚のフィルム部材(21)からなるスライドドアに変更するだけで、高級仕様空調装置を本発明による低級仕様空調装置に変更できるので、図16に示す低級仕様空調装置で必要となる板ドアや、上述の連結手段および減速手段を不要にできる。よって、本発明による低級仕様空調装置によれば構造を簡素にでき、コストアップを抑制を図ることができる。
【0017】
しかも、1枚のフィルム部材(21)を最大冷房位置に移動させると、前席用空気混合部(27)への冷風の風量割合を最大にできると同時に、後席用空気混合部(37)への冷風の風量割合を最大にできる。また、1枚のフィルム部材(21)を最大暖房位置に移動させると、前席用空気混合部(27)への温風の風量割合を最大にできると同時に、後席用空気混合部(37)への温風の風量割合を最大にできる。
【0018】
従って、1枚のフィルム部材(21)を移動させるだけで、車室内前席側の空調状態と車室内後席側の空調状態とを連動させて、最大冷房状態と最大暖房状態とに切り替えることができる。
【0019】
請求項2に記載の発明では、前記直交する方向において、前席温風流入口(25c)の幅寸法と後席冷風流入口(25a)の幅寸法とを略同一にしたことを特徴とする。
【0020】
ここで、フィルム面のうち、最大冷房位置のときに前席温風流入口(25c)を閉塞する部分をフィルム側閉塞部21xとすると、上記請求項2に記載の発明によれば、フィルム側閉塞部21xの幅寸法を、前席温風流入口(25c)の幅寸法および後席冷風流入口(25a)の幅寸法と略同一にできる。よって、フィルム部材(21)の限られたフィルム面面積内においてフィルム側閉塞部21xの幅寸法を必要最小限にでき、ひいては、各開口部(21a、21b、21c)の開口面積を大きくできる。
【0021】
請求項3に記載の発明では、前記直交する方向において、板側閉塞部(25e)の幅寸法と後席温風流入口(25b)の幅寸法とを略同一にしたことを特徴とする。
【0022】
これにより、第3開口部(21c)の幅寸法を、板側閉塞部(25e)の幅寸法および後席温風流入口(25b)の幅寸法と略同一にできる。よって、フィルム部材(21)の限られたフィルム面面積内において第3開口部(21c)の幅寸法を必要最小限にでき、ひいては、各開口部(21a、21b、21c)の開口面積を大きくできる。
【0023】
請求項4に記載の発明では、前記移動方向において、前席冷風流入口(25d)の長さ寸法と、前席温風流入口(25c)の長さ寸法と、後席冷風流入口(25a)の長さ寸法とを、略同一にしたことを特徴とする。
【0024】
これにより、第1開口部(21a)の長さ寸法を、前席冷風流入口(25d)の長さ寸法および前席温風流入口(25c)の長さ寸法と略同一にできる。よって、フィルム部材(21)の限られたフィルム面面積内において第1開口部(21a)の長さ寸法を必要最小限にでき、ひいては、各開口部(21a、21b、21c)の開口面積を大きくできる。
【0025】
請求項5に記載の発明では、車室内へ向かって空気が流れるケース(11)と、
ケース(11)内に配置され、空気を加熱する暖房用熱交換器(13)と、
暖房用熱交換器(13)をバイパスして冷風が流れる前席用冷風バイパス通路(18)と、
暖房用熱交換器(13)をバイパスして冷風が流れる後席用冷風バイパス通路(19)と、
暖房用熱交換器(13)の熱交換用コア部(13a)のうち、前席用冷風バイパス通路(18)に隣接する側に形成される前席用温風通路(16)と、
暖房用熱交換器(13)の熱交換用コア部(13a)のうち、後席用冷風バイパス通路(19)に隣接する側に形成される後席用温風通路(17)と、
前席用冷風バイパス通路(18)を通過する冷風と前席用温風通路(16)を通過する温風との風量割合を調整する前席用エアミックスドアと、
前席用エアミックスドアと連動し、後席用冷風バイパス通路(19)を通過する冷風と後席用温風通路(17)を通過する温風との風量割合を調整する後席用エアミックスドアと、
前席用エアミックスドアにより調整された冷風および温風を混合させる前席用空気混合部(27)と、
後席用エアミックスドアにより調整された冷風および温風を混合させる後席用空気混合部(37)と、
前席用空気混合部(27)にて混合された空調風を車室内前席側へ導出する前席用吹出口(28、31、34)と、
後席用空気混合部(37)にて混合された空調風を車室内後席側へ導出する後席用吹出口(39、40)とを備え、
前席用エアミックスドアおよび後席用エアミックスドアを、1枚のフィルム部材(21)からなるフィルムドア(20)で一体に構成し、
フィルム部材(21)のフィルム面に対向して配置された板部材(25)を備え、
前席用冷風バイパス通路(18)に空気を流入させる前席冷風流入口(25h)と、前席用温風通路(16)および後席用温風通路(17)に空気を流入させる前席後席温風流入口(25g)と、後席用冷風バイパス通路(19)に空気を流入させる後席冷風流入口(25f)とを、板部材(25)に形成し、
前席冷風流入口(25h)、前席後席温風流入口(25g)および後席冷風流入口(25f)をフィルム部材(21)の移動方向に順に並べて配置し、
フィルム部材(21)を最大冷房位置に移動させたときには、フィルム部材(21)に形成された第1開口部(21d)が前席冷風流入口(25h)に対向し、フィルム部材(21)に形成された第2開口部(21e)が後席冷風流入口(25f)に対向するとともに、前席後席温風流入口(25g)にフィルム面が対向するようになっており、
フィルム部材(21)を最大暖房位置に移動させたときには、前席後席温風流入口(25g)に第1開口部(21d)が対向するとともに、前席冷風流入口(25h)および後席冷風流入口(25f)にフィルム面が対向するようになっていることを特徴とする。
【0026】
これにより、上記した請求項1に記載の発明と同様の作用効果を得ることができる。
【0028】
請求項6に記載の発明では、前記移動方向に対して直交する方向において、前席冷風流入口(25h)の幅寸法と、前席後席温風流入口(25g)の幅寸法と、後席冷風流入口(25f)の幅寸法とを、略同一にしたことを特徴とする。
【0029】
ここで、フィルム面のうち、最大冷房位置のときに前席後席温風流入口(25g)を閉塞する部分をフィルム側閉塞部21yとすると、上記請求項6に記載の発明によれば、フィルム側閉塞部21yの幅寸法を、前席後席温風流入口(25g)の幅寸法および後席冷風流入口(25f)の幅寸法と略同一にできる。よって、フィルム部材(21)の限られたフィルム面面積内においてフィルム側閉塞部21yの幅寸法を必要最小限にでき、ひいては、各開口部(21d、21e)の開口面積を大きくできる。
【0030】
また、第1開口部(21d)の幅寸法を、前席冷風流入口(25h)の幅寸法および前席後席温風流入口(25g)の幅寸法と略同一にできる。よって、フィルム部材(21)の限られたフィルム面面積内において第1開口部(21d)の幅寸法を必要最小限にでき、ひいては、各開口部(21d、21e)の開口面積を大きくできる。
【0031】
請求項7に記載の発明では、前記移動方向において、前席冷風流入口(25h)の長さ寸法と、前席後席温風流入口(25g)の長さ寸法と、後席冷風流入口(25f)の長さ寸法とを、略同一にしたことを特徴とする。
【0032】
これにより、第1開口部(21d)の長さ寸法を、前席冷風流入口(25h)の長さ寸法および前席後席温風流入口(25g)の長さ寸法と略同一にできる。よって、フィルム部材(21)の限られたフィルム面面積内において第1開口部(21d)の長さ寸法を必要最小限にでき、ひいては、各開口部(21d、21e)の開口面積を大きくできる。
【0033】
また、第2開口部(21e)の長さ寸法を、前席後席温風流入口(25g)の長さ寸法および後席冷風流入口(25f)の長さ寸法と略同一にできる。よって、フィルム部材(21)の限られたフィルム面面積内において第2開口部(21e)の長さ寸法を必要最小限にでき、ひいては、各開口部(21d、21e)の開口面積を大きくできる。
【0034】
また、請求項8に記載の発明のように、フィルム部材(21)を車両左右方向に別体化し、別体化された2枚のフィルム部材(21R、21L)のそれぞれを各々独立の駆動手段で移動させることにより、車室内のうち運転席側ゾーンと助手席側ゾーンとをそれぞれ独立して空調可能にした車両用空調装置に、上記請求項1ないし7のいずれか1つに記載の発明を用いて好適である。
【0035】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各実施形態を図に基づいて説明する。
【0037】
なお、各実施形態に示す空調装置は、車室内の前席ゾーンおよび後席ゾーンの空調状態を連動して制御する、低級仕様空調装置である。
【0038】
(第1実施形態)
本実施形態による車両用空調装置の室内ユニット部は、大別して、図1に示す空調ユニット10と、この空調ユニット10に空気を送風する送風機ユニット(図示せず)との2つの部分に分かれている。
【0039】
送風機ユニットは車室内前部の計器盤(図示せず)内側のうち、中央部から助手席側へオフセットして配置されており、これに対し、空調ユニット10は車室内前部の計器盤(図示せず)内側のうち、車両左右(幅)方向の略中央部に配置されている。送風機ユニットは周知のごとく外気(車室外空気)と内気(車室内空気)を切替導入する内外気切替箱と、この内外気切替箱を通して吸入した空気を送風する遠心式の送風機とを有している。
【0040】
空調ユニット10は車室内へ向かって送風される空気通路を構成する樹脂製の空調ケース11を有し、この空調ケース11内に冷房用熱交換器をなす蒸発器12と暖房用熱交換器をなすヒータコア13を両方とも一体的に内蔵している。空調ユニット10部は、計器盤内側の略中央部にて、車両の前後方向および上下方向に対して、図1の矢印で示す搭載方向で配置されている。
【0041】
空調ケース11内の、最も車両前方側の部位には空気入口空間14が形成されている。この空気入口空間14には送風機ユニットの遠心式送風機の送風空気が流入する。
【0042】
空調ケース11内において空気入口空間14直後の部位に蒸発器12が略垂直に配置されている。この蒸発器12は周知のごとく冷凍サイクルの低圧冷媒の蒸発潜熱を送風空気から吸熱して送風空気を冷却するものである。そして、蒸発器12の空気流れ下流側(車両後方側)に、所定の間隔を開けてヒータコア13が配置されている。
【0043】
ヒータコア13は、蒸発器12を通過した冷風を再加熱するものであって、その内部に、図示しない車両エンジンから高温の温水(エンジン冷却水)が流れ、この温水を熱源として空気を加熱するものである。ヒータコア13は周知のごとく温水が通過する偏平チューブとこれに接合されたコルゲートフィンとからなる熱交換用コア部13aを有している。この熱交換用コア部13aの下部に温水が流入する入口タンク13bが配置され、熱交換用コア部13aの上部に温水を流出させる出口タンク13cが配置されている。
【0044】
ヒータコア13は、その上部(出口タンク13c側)が下部(入口タンク13b側)よりも車両前方側(蒸発器12側)に位置するように鉛直方向から所定角度だけ傾斜配置されている。
【0045】
ヒータコア13の熱交換用コア部13aの空気通路のうち、上方部分は前席用温風通路16として機能し、下方部分は後席用温風通路17として機能している。また、空調ケース11内の空気通路において、ヒータコア13の上方部位および下方部位には、それぞれヒータコア13をバイパスして空気(冷風)が流れる前席用冷風バイパス通路18、後席用冷風バイパス通路19が形成されている。すなわち、前席用冷風バイパス通路18と前席用温風通路16が互いに隣接して配置され、後席用冷風バイパス通路19と後席用温風通路17が互いに隣接して配置される。
【0046】
ここで、後席側空調能力に比較して前席側空調能力の方を大きくする必要があるため、ヒータコア13の前席用温風通路16の通路面積が後席用温風通路17の通路面積より大きくなっており、同様に、前席用冷風バイパス通路18の通路面積が後席用冷風バイパス通路19の通路面積より大きくなっている。
【0047】
また、蒸発器12とヒータコア13との間にはエアミックスドア20が配置されている。エアミックスドア20は次の2つの機能を有する。すなわち、前席用冷風バイパス通路18を通過する冷風と前席用温風通路16を通過する温風との風量割合を調整する前席用エアミックスドアとしての機能と、後席用冷風バイパス通路19を通過する冷風と後席用温風通路17を通過する温風との風量割合を調整する後席用エアミックスドアとしての機能である。
【0048】
エアミックスドア20は、可撓性を有する1枚のフィルム部材21と、フィルム部材21の一端を巻き取る第1巻き取り軸22と、フィルム部材21の他端を巻き取る第2巻き取り軸23とから構成されている。すなわち、前席用エアミックスドアおよび後席用エアミックスドアは1つのフィルム部材21で一体に構成されている。
【0049】
フィルム部材21は、ポリエチレン樹脂のごとく可撓性、強度に優れた樹脂にて膜状に形成されており、長尺状の長方形に構成される。そして、フィルムドアの長手方向(ドア移動方向)の途中部位には空気を通過させるための複数の開口部21a、21b、21cが形成されている。なお、図1、後述の図2、図6〜図8では、開口部21a、21b、21cの部位を破線にて図示している。これらの開口部21a、21b、21cの配置は後に詳述する。
【0050】
第1巻き取り軸22は、空調ケース11内のうち前席用冷風バイパス通路18の上端部にて回転可能に配置され、第2巻き取り軸23は、空調ケース11内のうち後席用冷風バイパス通路19の下端部にて回転可能に配置されている。そして、フィルム部材21の長手方向の一端部を第1巻き取り軸22に固定し、長手方向の他端部を第2巻き取り軸23に固定し、フィルム部材21の両端部を第1、第2巻き取り軸22、23に巻き取ったり、第1、第2巻き取り軸22、23から巻き戻す(送り出す)ことができるようにしている。
【0051】
以上により、エアミックスドア20は、第1巻き取り軸22と第2巻き取り軸23との間で一定の張力が付与された状態でもって、前席用冷風バイパス通路18、熱交換用コア部13aの前席用温風通路16、後席用温風通路17、および後席用冷風バイパス通路19をそれぞれ横切るようにして、空調ケース14内の上下方向に移動可能となっている。なお、フィルム部材21は、板部材25の空気流れ上流側の面の上を摺動する。
【0052】
上記第1、第2巻き取り軸22、23のうちいずれか一方、例えば、第1巻き取り軸22にサーボモータ(ステップモータ等)により構成されるアクチュエータ(図示せず)を連結し、このアクチュエータにより第1巻き取り軸22を正逆両方向に回転駆動する。
【0053】
第1巻き取り軸22の回転は図示しない回転伝達機構を介して第2巻き取り軸23にも伝達されるので、第1巻き取り軸22に連動して第2巻き取り軸23が正逆両方向に回転するようになっている。これにより、第1、第2巻き取り軸22、23に対するフィルム部材21の巻き取り、巻き戻しが実行される。なお、第1、第2巻き取り軸22、23間の回転伝達機構は周知の機構であるので、その説明は省略する。
【0054】
アクチュエータにより第1巻き取り軸22を正逆両方向に回転させて、エアミックスドア20を空調ケース14内の上下方向に移動させることにより、エアミックスドア20の開口部21a、21b、21cを任意の位置に移動させることができる。
【0055】
また、空調ケース11内のうちフィルム部材21の空気流れ下流側には、フィルム面に対向して配置され、空気流れを閉塞する板側閉塞部を有する板部材25が備えられている。板部材25には、ヒータコア13の下方部位の一部を閉塞する邪魔板部251が形成されている。
【0056】
図3は、板部材25のうち邪魔板部251の部分とヒータコア13とを示す斜視図であり、図1は、後述の図4および図3のA−A断面図、図2は、図4および図3のB−B断面図である。ヒータコア13の下方部位に向かって流れる空気のうち、板部材25の下端部に形成された後席冷風流入口25aに流入した空気は、図3中の矢印F1に示すように邪魔板部251に衝突し、その後、ヒータコア13をバイパスして後席用冷風バイパス通路19に流入する。
【0057】
また、板部材25のうち邪魔板部251の左右方向に並ぶ位置には、後席温風流入口25aが形成されている。そして、ヒータコア13の下方部位に向かって流れる空気のうち後席温風流入口25bに流入した空気は、熱交換用コア部13aの後席用温風通路17に流入する。
【0058】
なお、後席温風流入口25bはヒータコア13の左右方向略中央に配置され、後席冷風流入口25aは後席温風流入口25bの左右両側に配置されている。また、後席温風流入口25bは、板部材25の強度確保のために複数に分割して形成されている。
【0059】
図4は、板部材25を車両前方側から見た正面図であり、板部材25に形成された複数の流入口25a、25b、25c、25dの配置を模式的に示すものである。
【0060】
当該図4に示すように、板部材25には、前述の後席冷風流入口25aおよび後席温風流入口25bと、前席用温風通路16に空気を流入させる前席温風流入口25cと、前席用冷風バイパス通路18に空気を流入させる前席冷風流入口25dとが形成されている。
【0061】
前席冷風流入口25d、前席温風流入口25cおよび後席冷風流入口25aは、図4の矢印Cに示すフィルム部材21の移動方向C(本実施形態では上下方向)に順に並べて配置されている。なお、前席冷風流入口25dは、板部材25の強度確保のために複数に分割して形成されている。
【0062】
ここで、板部材25のうち前席温風流入口25cの、移動方向Cに直交する方向(本実施形態では左右方向)に隣接する部分を板側閉塞部25eと呼ぶ。本実施形態の板側閉塞部25eは、左右方向略中央に配置され、前席温風流入口25cは板側閉塞部25eの左右両側に配置されている。そして、前席冷風流入口25d、板側閉塞部25eおよび後席温風流入口25bは移動方向Cに順に並べて配置されている。
【0063】
また、前席温風流入口25cおよび板側閉塞部25eは移動方向Cに対して直交する方向に並べて配置され、後席冷風流入口25aおよび後席温風流入口25bは前記直交する方向に並べて配置されている。
【0064】
なお、前記直交する方向において、前席温風流入口25cの幅寸法と後席冷風流入口25aの幅寸法とは略同一に形成され、板側閉塞部25eの幅寸法と後席温風流入口25bの幅寸法とは略同一に形成されている。また、移動方向Cにおいて、前席冷風流入口25dの長さ寸法と、前席温風流入口25cの長さ寸法と、後席冷風流入口25aの長さ寸法とは略同一に形成されている。
【0065】
図5は、フィルム部材21を車両前方側から見た正面図であり、前述の複数の開口部21a、21b、21cの配置を模式的に示すものである。
【0066】
上記特許請求の範囲の請求項1に記載のうち第1開口部に、開口部21aは相当し、開口部21bは第2開口部に相当し、開口部21cは第3開口部に相当する。そして、第1開口部21a、第2開口部21b、第3開口部21cは移動方向Cに順に並べて配置されている。
【0067】
また、第2開口部21bおよび第3開口部21cは移動方向Cから見てラップしないように配置されている。また、第2開口部21bは左右方向略中央に配置され、第3開口部21cは第2開口部21bの左右両側に配置されている。また、第1開口部21aは、フィルム部材21の強度確保のために複数に分割して形成されている。また、移動方向Cにおいて、第1開口部21aの長さ寸法と、第2開口部21bの長さ寸法と、第3開口部21cの長さ寸法とは略同一に形成されている。
【0068】
図4中の一点鎖線はこれらの各開口部21a、21b、21cを示しており、これらの開口部21a、21b、21cの移動によって、上記各通路16、17、18、19の開度を任意に調整して、上記各通路16〜19を通る空気量を任意に調整できる。
【0069】
すなわち、ヒータコア13の熱交換用コア部13aの前席用温風通路16で加熱される温風と、前席用冷風バイパス通路18を通ってヒータコア13をバイパスする冷風との風量割合を任意に調整できる。また、ヒータコア13の後席用温風通路17で加熱される温風と、後席用冷風バイパス通路19を通ってヒータコア13をバイパスする冷風との風量割合を任意に調整できる。
【0070】
図4(a)はフィルム部材21の最大冷房位置を示し、図4(b)は中間位置を示し、図4(c)は最大暖房位置を示している。また、図6は最大冷房位置における空気流れを示す断面図、図7は中間位置における空気流れを示す断面図、図8は最大暖房位置における空気流れを示す断面図であり、図6〜図8の(a)は図3および図4のA−A断面を示し、図6〜図8の(b)はB−B断面を示している。
【0071】
フィルム部材21が最大冷房位置に移動したときには、図4(a)に示すように、第1開口部21aが前席冷風流入口25dに対向し、第2開口部21bが板側閉塞部25eに対向し、第3開口部21cが後席冷風流入口25aに対向する。また、前席温風流入口25cおよび後席温風流入口25bにフィルム面(フィルム部材21のうち開口部21a〜21cの形成されていない部分の面)が対向する。
【0072】
これにより、前席用冷風バイパス通路18および後席用冷風バイパス通路19は開口されて、図6の矢印F3、F4に示すように、後述する前席用空気混合部27および後席用空気混合部37に冷風が流入する。また、前席用温風通路16および後席用温風通路17はフィルム部材21のフィルム面により閉塞される。
【0073】
フィルム部材21が最大暖房位置に移動したときには、図4(c)に示すように、前席温風流入口25cに第1開口部21aが対向し、後席温風流入口25bに第2開口部21bが対向する。また、前席冷風流入口25dおよび後席冷風流入口25aにフィルム面が対向する。
【0074】
これにより、前席用温風通路16および後席用温風通路17は開口されて、図8の矢印F5、F6に示すように前席用空気混合部27および後席用空気混合部37に温風が流入する。また、前席用冷風バイパス通路18および後席用冷風バイパス通路19はフィルム部材21のフィルム面により閉塞される。
【0075】
フィルム部材21が中間位置に移動したときには、図4(b)に示すように、前席冷風流入口25dの一部および前席温風流入口25cの一部に第1開口部21aの一部が対向し、後席冷風流入口25aの一部に第2開口部21bの一部が対向し、後席冷風流入口25aの一部に第3開口部21cの一部が対向する。
【0076】
これにより、前席用冷風バイパス通路18の一部および後席用冷風バイパス通路19の一部は開口されて、図7の矢印F3、F4に示すように前席用空気混合部27および後席用空気混合部37に冷風が流入する。また、前席用温風通路16の一部および後席用温風通路17の一部は開口されて、図7の矢印F5、F6に示すように温風が流入する。
【0077】
空調ケース11において、ヒータコア13の空気流れ下流側(車両後方側)の部位には、ヒータコア13との間に所定間隔を開けて上下方向に延びる壁面11aが空調ケース11に一体成形されている。この壁面11aによりヒータコア13の直後から上方に向かう前席温風通路下流部26が形成されている。前席温風通路下流部26の下流側(上方側)はヒータコア13の上方部において前席用冷風バイパス通路18の下流側と合流し、図7に示すように冷風F3と温風F5の混合を行う前席用空気混合部27を形成している。
【0078】
そして、空調ケース11の上面部において、前席用空気混合部27の上方部位にデフロスタ開口部28が開口している。このデフロスタ開口部28にはデフロスタダクト29が接続され、このデフロスタダクト29の先端部にデフロスタ吹出口29aを設け、このデフロスタ吹出口29aから車両前面窓ガラスの内面に向けて空調風を吹き出す。デフロスタ開口部28は回転可能な板状のデフロスタドア30により開閉される。
【0079】
空調ケース11の上面部において、デフロスタ開口部28よりも車両後方側(乗員寄り)の部位に前席用フェイス開口部31が設けられている。この前席用フェイス開口部31は前席用フェイスダクト32を介して計器盤上方側に配置される前席用フェイス吹出口32aに接続され、この前席用フェイス吹出口32aから前席乗員の上半身側に向けて空調風を吹き出す。前席用フェイス開口部31は回転可能な板状の前席用フェイスドア33により開閉される。
【0080】
次に、空調ケース11において、前席用フェイス開口部31の下方側に前席用フット開口部34が設けられている。この前席用フット開口部34にはフットダクト35が接続され、このフットダクト35の下端部に前席用フット吹出口35aを設け、この前席用フット吹出口35aから前席乗員の足元に空調風を吹き出す。前席用フット開口部34は回転可能な板状の前席用フットドア36により開閉される。
【0081】
上記したデフロスタドア30と前席用フェイスドア33と前席用フットドア36は、前席用吹出モードドア手段であって、図示しないリンク機構を介して共通のアクチュエータのサーボモータの出力軸に連結される。従って、この共通のアクチュエータ機構により前席用吹出モードドア30、33、36が連動操作されるようになっている。
【0082】
一方、空調ケース11の車両後方側における下端部付近に後席用空気出口部37が開口しており、この後席用空気出口部37にヒータコア13の熱交換用コア部13aの後席用温風通路17の下流側(車両後方側)および後席用冷風バイパス通路19の下流側(車両後方側)が連通するようになっている。この後席用空気出口部37において後席用温風通路17で加熱された温風と後席用冷風バイパス通路19を通ってヒータコア13をバイパスする冷風とが混合されるので、後席用空気出口部37は後席用空気混合部としての役割を果たす。
【0083】
後席用空気出口部37内にはバタフライドアタイプの後席用吹出モードドア38が回転可能に配置され、この後席用吹出モードドア38により後席用フェイス開口部39および後席用フット開口部40を切替開閉するようになっている。なお、図1では、この両吹出開口部39、40を1つの開口部として簡略図示しているが、実際には、この両吹出開口部39、40を車両左右方向(図1の紙面垂直方向)にずらして配置することにより、バタフライドアタイプの後席用吹出モードドア38により両開口部39、40を切替開閉するようになっている。
【0084】
後席用フェイス開口部39の下流側には後席用フェイスダクト41が接続され、後席用フット開口部40の下流側には後席用フットダクト42が接続される。そして、後席用フェイスダクト41の先端部に設けた後席用フェイス吹出口(図示せず)から後席乗員の上半身側に向けて空調風を吹き出すようになっている。また、後席用フットダクト42の先端部に設けた後席用フット吹出口(図示せず)から後席乗員の足元に向けて空調風を吹き出すようになっている。図示の便宜上、後席用フェイスダクト41と後席用フットダクト42も1つのダクトとして図示している。
【0085】
後席用吹出モードドア38は図示しないリンク機構を介して専用のアクチュエータのサーボモータの出力軸に連結され、この専用のアクチュエータにより回転操作される。
【0086】
後席用吹出モードドア38の操作により、後席用フェイス開口部39のみの開放状態(後席側フェイスモード)と、後席用フット開口部40のみの開放状態(後席側フットモード)と、後席用フェイス開口部39および後席用フット開口部40を同時に開放する状態(後席側バイレベルモード)と、この両開口部39、40を同時に閉塞する状態(後席側シャットモード)とを選択できるようになっている。
【0087】
一方、ヒータコア13の下流側(車両後方側)の下方側部位に、板ドアからなる切替ドア43が回転軸43aにより回転可能に配置されている。すなわち、ヒータコア13の空気下流側部位において、前席用温風通路16と後席用温風通路17との仕切り位置の延長方向に切替ドア43の回転軸43aが配置され、切替ドア43は、ヒータコア13の空気下流側部位において後席用温風通路17に対向する領域で回転する。
【0088】
そして、切替ドア43が図1の実線位置に操作されると、切替ドア43が仕切り部材15の延長上に位置してヒータコア13の前席用温風通路16と後席用温風通路17とを仕切り、後席用温風通路17と前席温風通路下流部26との連通を遮断する。従って、図1の実線位置は切替ドア43の「仕切り位置」である。
【0089】
これに反し、切替ドア43が図1の破線位置に操作されると、後席用温風通路17と後席用空気出口部37との連通を遮断して後席用温風通路17を前席温風通路下流部26に連通させる。従って、図1の破線位置は切替ドア43の「後席側シャット位置」である。
【0090】
次に、上記構成において本実施形態の作動を説明する。
【0091】
図1および図6は前席側および後席側の吹出モードとしてフェイスモードが設定され、且つ、前席側および後席側の温度制御が最大冷房状態になっている場合を示す。フェイスモード時には前席用フェイス開口部31のみが前席用フェイスドア33により開口され、デフロスタ開口部28と前席用フット開口部34はドア30、36により閉塞される。なお、後席用吹出モードドア38も後席用フェイス開口部39のみ開口する。
【0092】
そして、エアミックスドア20は図6の最大冷房位置に操作され、前席側および後席側の双方において最大冷房状態が設定される。また、エアミックスドア20が最大冷房位置に操作されることに連動して、切替ドア43は、図1の実線位置に示すようにヒータコア13の前席用温風通路16と後席用温風通路17とを仕切る「仕切り位置」に操作される。
【0093】
この状態において、送風機ユニットの送風機および冷凍サイクルが運転されると、送風機ユニットからの送風空気がケース11の最前部の空気入口空間14に流入した後、蒸発器12で冷却されて冷風となる。
【0094】
最大冷房状態ではこの冷風がそのまま、前席用冷風バイパス通路18、前席用空気混合部27および前席用フェイス開口部31を経て前席用フェイスダクト32を通過し、前席用フェイス吹出口32aから前席乗員の上半身に向けて冷風が吹き出す。
【0095】
これと同時に、冷風がそのまま、後席用冷風バイパス通路19および後席用空気混合部37を経て後席用フェイス開口部39、後席用フェイスダクト41を通過し、後席用フェイス吹出口から後席乗員の上半身に向けて冷風が吹き出す。
【0096】
図7は前席側および後席側の吹出モードとしてフェイスモードが設定され、且つ、前席側および後席側の温度制御が中間温度制御状態になっている場合を示す。エアミックスドア20以外の各ドア30、33、36、38、43の回動位置は最大冷房状態の場合と同じであり、前席側および後席側の双方において、冷風と温風の風量割合により温度調整された所望温度の空調風を車室内の乗員上半身側へ吹き出す。
【0097】
図8は前席側および後席側の双方においてフットモードが設定され、且つ、前席側および後席側の温度制御が最大暖房状態になっている場合を示す。フットモード時には前席用フェイス開口部31が前席用フェイスドア33により全閉され、デフロスタ開口部28がデフロスタドア30により小開度だけ開口し、前席用フット開口部34は前席用フットドア36により全開状態にて開口する。なお、後席用吹出モードドア38は後席用フット開口部40のみ開口する。
【0098】
そして、エアミックスドア20は図8の最大暖房位置に操作され、前席側および後席側の双方において最大暖房状態が設定される。この最大暖房状態においても、切替ドア43はヒータコア13の前席用温風通路16と後席用温風通路17とを仕切る「仕切り位置」に維持される。
【0099】
最大暖房状態では、送風機ユニットの送風空気の全量がヒータコア13の熱交換用コア部13aに流入し、加熱される。ヒータコア13の前席用温風通路16で加熱された温風の大部分は前席温風通路下流部26、前席用空気混合部27およびフット開口部34を通過してフットダクト35のフット吹出口35aから前席乗員の足元側へ向かって吹き出す。また、ヒータコア13の前席用温風通路16で加熱された温風の一部は前席用空気混合部27からデフロスタ開口部28側へ分岐してデフロスタダクト29のデフロスタ吹出口29aから車両窓ガラスへ向かって吹き出す。
【0100】
これと同時に、ヒータコア13の後席用温風通路17で加熱された温風は後席用空気混合部37を経て後席用フット開口部40、後席用フットダクト42を通過し、後席用フット吹出口から後席乗員の足元側へ向かって温風を吹き出す。
【0101】
前席側の吹出モードとして、フェイスモードおよびフットモードについて説明したが、その他に、(1)前席用フェイス開口部31と前席用フット開口部34を同時に開口する前席側のバイレベルモード、後席用のフェイス開口部39および後席用のフット開口部40を同時に開口する後席側のバイレベルモード、(2)フットモードに比較してデフロスタ開口部28の開度を増大するとともに、前席用フット開口部34の開度を減少させて、デフロスタ吹出風量とフット吹出風量とを同程度とする前席側のフットデフロスタモード、(3)デフロスタ開口部28のみを全開するデフロスタモード等を設定できる。
【0102】
ところで、図1〜図8に示す本実施形態は、前席側および後席側への吹出空気温度を連動して制御する通常仕様空調装置を示しており、当該通常使用空調装置は、前席側および後席側への吹出空気温度を独立に制御可能な高級仕様空調装置に容易に変更できるようになっている。
【0103】
すなわち、図16に示すように、本実施形態のエアミックスドア20を、前席用エアミックスドア201と後席用エアミックスドア202とに別々で構成するように変更する。因みに、前席用エアミックスドア201にはスライドドアを採用し、後席用エアミックスドア202には板ドアを採用する。また、本実施形態の板部材25を、両ドア201、202の間に配置される仕切り板203に変更する。
【0104】
そして、スライドドア201の回転軸23を駆動させるモータと、板ドア202の回転軸202aを駆動させるモータとを別々に設け、各モータをそれぞれ独立して駆動制御することにより、各前席用吹出口28、31、34から吹き出される空調風の温度と、後席用吹出口39、40から吹き出される空調風の温度とをそれぞれ独立して制御可能にする。
【0105】
以上により、本実施形態によれば、図16に示す高級仕様空調装置における両エアミックスドア201、202を1枚のフィルム部材21からなるスライドドア20に変更し、板部材25を仕切り板203に変更だけで、高級仕様空調装置を本実施形態に係る低級仕様空調装置に変更できる。なお、板部材25を仕切り板203に変更するには、空調ケース14を樹脂成形する金型に入れ子を設けるだけで、低級仕様空調装置の空調ケース14と高級仕様空調装置とを製造可能にできる。
【0106】
従って、板ドアや、上述の連結手段および減速手段を不要にした低級仕様空調装置を実現でき、構造を簡素にでき、ひいてはコストアップの抑制を図ることができる。
【0107】
ここで、フィルム面のうち、最大冷房位置のときに前席温風流入口25cを閉塞する部分をフィルム側閉塞部21xとすると、本実施形態では図4に示すように、スライドドア20の移動方向Cに対して直交する方向において、前席温風流入口25cの幅寸法と後席冷風流入口25aの幅寸法とを略同一にしているので、フィルム側閉塞部21xの幅寸法を、前席温風流入口25cの幅寸法および後席冷風流入口25aの幅寸法と略同一にできる。よって、フィルム部材21の限られたフィルム面面積内においてフィルム側閉塞部の幅寸法を必要最小限にできる。
【0108】
また、上記直交する方向において、板側閉塞部25eの幅寸法と後席温風流入口25bの幅寸法とを略同一にしているので、第3開口部21cの幅寸法を、板側閉塞部25eの幅寸法および後席温風流入口25bの幅寸法と略同一にできる。よって、フィルム部材21の限られたフィルム面面積内において第3開口部21cの幅寸法を必要最小限にできる。
【0109】
また、上記移動方向Cにおいて、前席冷風流入口25dの長さ寸法と、前席温風流入口25cの長さ寸法と、後席冷風流入口25aの長さ寸法とを、略同一にしているので、第1開口部21aの長さ寸法を、前席冷風流入口25dの長さ寸法および前席温風流入口25cの長さ寸法と略同一にできる。よって、フィルム部材21の限られたフィルム面面積内において第1開口部21aの長さ寸法を必要最小限にできる。
【0110】
また、本実施形態によれば、前席用空気混合部27と後席用空気混合部37とを別々に備えるので、後席用冷風バイパス通路19を前席用空気混合部27に向けて大きく湾曲させることを回避でき、圧力損失低減を図ることができる。
【0111】
(第2実施形態)
図9に示す本実施形態では、上記第1実施形態に係るエアミックスドア20のフィルム部材21を車両左右方向に別体化し、当該別体化された2枚のフィルム部材21R、21Lのそれぞれを各々独立の駆動手段で移動させることにより、車室内のうち運転席側ゾーンと助手席側ゾーンとをそれぞれ独立して空調可能にしている。
【0112】
(第3実施形態)
上記第1および第2実施形態では、図4に示す配置で各流入口25a〜25eを板部材25に形成しているが、本実施形態では、図10に示す配置で各流入口25f、25g、25hを板部材25に形成している。
【0113】
また、上記第1および第2実施形態では、図3に示すように後席温風流入口25bを後席冷風流入口25aの左右方向に隣り合うように配置しているが、本実施形態では、図10に示すように後席温風流入口25bを前席温風流入口25cと兼ねさせて前席後席温風流入口25gを構成し、当該前席後席温風流入口25gを後席冷風流入口25aの上方に配置している。従って、板部材25の邪魔板部251を板部材25の左右方向全体に亘って延びるように形成している。
【0114】
具体的には、前席冷風流入口25h、前席後席温風流入口25gおよび後席冷風流入口25fは、フィルム部材21の移動方向C(本実施形態では上下方向)に順に並べて配置されている。なお、各流入口25f、25g、25hは、板部材25の強度確保のために複数に分割して形成されている。
【0115】
なお、移動方向Cにおいて、前席冷風流入口25hの長さ寸法と、前席後席温風流入口25gの長さ寸法と、後席冷風流入口25fの長さ寸法とは略同一に形成されている。
【0116】
また、上記第1および第2実施形態では、図5に示す配置で各開口部21a〜21cをフィルム部材21に形成しているが、本実施形態では、図11に示す配置で各開口部21d、21eをフィルム部材21に形成している。
【0117】
具体的には、上記特許請求の範囲の請求項5に記載のうち第1開口部に、開口部21dは相当し、開口部21eは第2開口部に相当する。そして、第1開口部21d、第2開口部21eは移動方向Cに順に並べて配置されている。また、各開口部21d、21eは、フィルム部材21の強度確保のために複数に分割して形成されている。また、移動方向Cにおいて、第1開口部21dの長さ寸法と第2開口部21eの長さ寸法とは略同一に形成されている。
【0118】
図10(a)はフィルム部材21の最大冷房位置を示し、図10(b)は中間位置を示し、図10(c)は最大暖房位置を示している。また、図12は最大冷房位置における空気流れを示すD−D断面図、図13は中間位置における空気流れを示すD−D断面図、図14は最大暖房位置における空気流れを示すD−D断面図である。
【0119】
フィルム部材21が最大冷房位置に移動したときには、図10(a)に示すように、第1開口部21dが前席冷風流入口25hに対向し、第2開口部21eが後席冷風流入口25fに対向するとともに、前席後席温風流入口25gにフィルム面が対向する。
【0120】
これにより、前席用冷風バイパス通路18および後席用冷風バイパス通路19は開口されて、図12の矢印F7、F8に示すように、前席用空気混合部27および後席用空気混合部37に冷風が流入する。また、前席用温風通路16および後席用温風通路17はフィルム部材21のフィルム面により閉塞される。
【0121】
フィルム部材21が最大暖房位置に移動したときには、図10(c)に示すように、前席後席温風流入口25gに第1開口部21dが対向するとともに、前席冷風流入口25hおよび後席冷風流入口25fにフィルム面が対向する。
【0122】
これにより、前席用温風通路16および後席用温風通路17は開口されて、図14の矢印F9、F10に示すように前席用空気混合部27および後席用空気混合部37に温風が流入する。また、前席用冷風バイパス通路18および後席用冷風バイパス通路19はフィルム部材21のフィルム面により閉塞される。
【0123】
フィルム部材21が中間位置に移動したときには、図10(b)に示すように、前席冷風流入口25hの一部および前席後席温風流入口25gの一部に第1開口部21dの一部が対向し、後席冷風流入口25fの一部に第2開口部21eの一部が対向する。
【0124】
これにより、前席用冷風バイパス通路18の一部および後席用冷風バイパス通路19の一部は開口されて、図13の矢印F7、F8に示すように前席用空気混合部27および後席用空気混合部37に冷風が流入する。また、前席用温風通路16の一部および後席用温風通路17の一部は開口されて、図13の矢印F9、F10に示すように温風が流入する。
【0125】
以上により、本実施形態によっても、上記第1実施形態と同様に、1枚のフィルム部材21を移動させるだけで、車室内前席側の空調状態と車室内後席側の空調状態とを連動させて、最大冷房状態と最大暖房状態とに切り替えることを実現できる。
【0126】
(第4実施形態)
図15に示す本実施形態では、上記第3実施形態に係るエアミックスドア20のフィルム部材21を車両左右方向に別体化し、当該別体化された2枚のフィルム部材21R、21Lのそれぞれを各々独立の駆動手段で移動させることにより、車室内のうち運転席側ゾーンと助手席側ゾーンとをそれぞれ独立して空調可能にしている。
【0127】
(他の実施形態)
上記第1〜第4実施形態に係る低級仕様空調装置では、エアミックスドア20、切替ドア43、および後席用吹出モードドア38を1つのアクチュエータにより連動操作するようにしているが、低級仕様空調装置において、エアミックスドア20および切替ドア43を1つのアクチュエータにより連動操作し、後席用吹出モードドア38は専用のアクチュエータにより独立に操作するようにしてもよい。
【0128】
また、上記第1〜第4実施形態では、第1巻き取り軸22の回転は図示しない回転伝達機構を介して第2巻き取り軸23にも伝達されるので、第1巻き取り軸22に連動して第2巻き取り軸23が正逆両方向に回転するようになっている。これにより、第1、第2巻き取り軸22、23に対するフィルム部材21の巻き取り、巻き戻しが実行される。これに対し、第1巻き取り軸22のみを片方向に回転可能にし、第2巻き取り軸23にスプリング等の弾性手段を備え、第1巻き取り軸22を回転駆動させると弾性手段に弾性力が蓄えられ、第1巻き取り軸22の回転駆動を解除すると、第2巻き取り軸23の弾性手段に蓄えられた弾性力により第2巻き取り軸23でフィルム部材21を巻き取るようにしてもよい。
【0129】
上記第1および第2実施形態では、板部材25と邪魔板部251とを樹脂にて一体に形成しているが、本発明の実施にあたり、板部材25と邪魔板部251とを別体に形成してもよい。また、上記第1〜第4実施形態では、空調ケース14と板部材25とを樹脂にて一体に形成しているが、本発明の実施にあたり、空調ケース14と板部材25とを別体に形成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る空調ユニットのフェイスモード時の状態を示す、図4および図3のA−A断面図である。
【図2】第1実施形態に係る空調ユニットのフェイスモード時の状態を示す、図4および図3のB−B断面図である。
【図3】図1および図2に示す板部材のうち邪魔板部の部分とヒータコアとを示す斜視図である。
【図4】図1および図2に示す板部材を車両前方側から見た正面図であり、(a)はスライドドアを最大冷房位置にした状態を示し、(b)は中間位置にした状態を示し、(c)は最大暖房位置にした状態を示す。
【図5】図1および図2に示すフィルム部材を車両前方側から見た正面図である。
【図6】第1実施形態に係る空調ユニットの最大冷房位置における空気流れを示す断面図であり、(a)はA−A断面図、(b)はB−B断面図である。
【図7】第1実施形態に係る空調ユニットの中間位置における空気流れを示す断面図であり、(a)はA−A断面図、(b)はB−B断面図である。
【図8】第1実施形態に係る空調ユニットの最大暖房位置における空気流れを示す断面図であり、(a)はA−A断面図、(b)はB−B断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るフィルム部材を車両前方側から見た正面図である。
【図10】本発明の第3実施形態に係る板部材を車両前方側から見た正面図であり、(a)はスライドドアを最大冷房位置にした状態を示し、(b)は中間位置にした状態を示し、(c)は最大暖房位置にした状態を示す。
【図11】第3実施形態に係るフィルム部材を車両前方側から見た正面図である。
【図12】第3実施形態に係る空調ユニットの最大冷房位置における空気流れを示す断面図である。
【図13】第3実施形態に係る空調ユニットの中間位置における空気流れを示す断面図である。
【図14】第3実施形態に係る空調ユニットの最大暖房位置における空気流れを示す断面図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係るフィルム部材を車両前方側から見た正面図である。
【図16】本発明者らが試作検討した高級仕様空調装置および低級仕様空調装置を示す、断面図である。
【符号の説明】
11…ケース、13…ヒータコア(暖房用熱交換器)、
16…前席用温風通路、17…後席用温風通路、
18…前席用冷風バイパス通路、19…後席用冷風バイパス通路、
20…フィルムドア(前席用および後席用エアミックスドア)、
21…フィルム部材、27…前席用空気混合部、37…後席用空気混合部。
Claims (8)
- 車室内へ向かって空気が流れるケース(11)と、
前記ケース(11)内に配置され、前記空気を加熱する暖房用熱交換器(13)と、
前記暖房用熱交換器(13)をバイパスして冷風が流れる前席用冷風バイパス通路(18)と、
前記暖房用熱交換器(13)をバイパスして冷風が流れる後席用冷風バイパス通路(19)と、
前記暖房用熱交換器(13)の熱交換用コア部(13a)のうち、前記前席用冷風バイパス通路(18)に隣接する側に形成される前席用温風通路(16)と、
前記暖房用熱交換器(13)の熱交換用コア部(13a)のうち、前記後席用冷風バイパス通路(19)に隣接する側に形成される後席用温風通路(17)と、
前記前席用冷風バイパス通路(18)を通過する冷風と前記前席用温風通路(16)を通過する温風との風量割合を調整する前席用エアミックスドアと、
前席用エアミックスドアと連動し、前記後席用冷風バイパス通路(19)を通過する冷風と前記後席用温風通路(17)を通過する温風との風量割合を調整する後席用エアミックスドアと、
前記前席用エアミックスドアにより調整された冷風および温風を混合させる前席用空気混合部(27)と、
前記後席用エアミックスドアにより調整された冷風および温風を混合させる後席用空気混合部(37)と、
前記前席用空気混合部(27)にて混合された空調風を車室内前席側へ導出する前席用吹出口(28、31、34)と、
前記後席用空気混合部(37)にて混合された空調風を車室内後席側へ導出する後席用吹出口(39、40)とを備え、
前記前席用エアミックスドアおよび前記後席用エアミックスドアを、1枚のフィルム部材(21)からなるフィルムドア(20)で一体に構成し、
前記フィルム部材(21)のフィルム面に対向して配置され、空気流れを閉塞する板側閉塞部(25e)を有する板部材(25)を備え、
前記前席用冷風バイパス通路(18)に空気を流入させる前席冷風流入口(25d)と、前記前席用温風通路(16)に空気を流入させる前席温風流入口(25c)と、前記後席用温風通路(17)に空気を流入させる後席温風流入口(25b)と、前記後席用冷風バイパス通路(19)に空気を流入させる後席冷風流入口(25a)とを、前記板部材(25)に形成し、
前記前席冷風流入口(25d)、前記前席温風流入口(25c)および前記後席冷風流入口(25a)を前記フィルム部材(21)の移動方向に順に並べて配置し、
前記前席冷風流入口(25d)、前記板側閉塞部(25e)および前記後席温風流入口(25b)を前記移動方向に順に並べて配置し、
前記前席温風流入口(25c)および前記板側閉塞部(25e)を前記移動方向に対して直交する方向に並べて配置し、
前記後席冷風流入口(25a)および前記後席温風流入口(25b)を前記直交する方向に並べて配置し、
前記フィルム部材(21)を最大冷房位置に移動させたときには、前記フィルム部材(21)に形成された第1開口部(21a)が前記前席冷風流入口(25d)に対向し、前記フィルム部材(21)に形成された第2開口部(21b)が前記板側閉塞部(25e)に対向し、前記フィルム部材(21)に形成された第3開口部(21c)が前記後席冷風流入口(25a)に対向するとともに、前記前席温風流入口(25c)および前記後席温風流入口(25b)に前記フィルム面が対向するようになっており、
前記フィルム部材(21)を最大暖房位置に移動させたときには、前記前席温風流入口(25c)に前記第1開口部(21a)が対向し、前記後席温風流入口(25b)に前記第2開口部(21b)が対向するとともに、前記前席冷風流入口(25d)および前記後 席冷風流入口(25a)に前記フィルム面が対向するようになっていることを特徴とする車両用空調装置。 - 前記直交する方向において、前記前席温風流入口(25c)の幅寸法と前記後席冷風流入口(25a)の幅寸法とを略同一にしたことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。
- 前記直交する方向において、前記板側閉塞部(25e)の幅寸法と前記後席温風流入口(25b)の幅寸法とを略同一にしたことを特徴とする特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
- 前記移動方向において、前記前席冷風流入口(25d)の長さ寸法と、前記前席温風流入口(25c)の長さ寸法と、前記後席冷風流入口(25a)の長さ寸法とを、略同一にしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
- 車室内へ向かって空気が流れるケース(11)と、
前記ケース(11)内に配置され、前記空気を加熱する暖房用熱交換器(13)と、
前記暖房用熱交換器(13)をバイパスして冷風が流れる前席用冷風バイパス通路(18)と、
前記暖房用熱交換器(13)をバイパスして冷風が流れる後席用冷風バイパス通路(19)と、
前記暖房用熱交換器(13)の熱交換用コア部(13a)のうち、前記前席用冷風バイパス通路(18)に隣接する側に形成される前席用温風通路(16)と、
前記暖房用熱交換器(13)の熱交換用コア部(13a)のうち、前記後席用冷風バイパス通路(19)に隣接する側に形成される後席用温風通路(17)と、
前記前席用冷風バイパス通路(18)を通過する冷風と前記前席用温風通路(16)を通過する温風との風量割合を調整する前席用エアミックスドアと、
前席用エアミックスドアと連動し、前記後席用冷風バイパス通路(19)を通過する冷風と前記後席用温風通路(17)を通過する温風との風量割合を調整する後席用エアミックスドアと、
前記前席用エアミックスドアにより調整された冷風および温風を混合させる前席用空気混合部(27)と、
前記後席用エアミックスドアにより調整された冷風および温風を混合させる後席用空気混合部(37)と、
前記前席用空気混合部(27)にて混合された空調風を車室内前席側へ導出する前席用吹出口(28、31、34)と、
前記後席用空気混合部(37)にて混合された空調風を車室内後席側へ導出する後席用吹出口(39、40)とを備え、
前記前席用エアミックスドアおよび前記後席用エアミックスドアを、1枚のフィルム部材(21)からなるフィルムドア(20)で一体に構成し、
前記フィルム部材(21)のフィルム面に対向して配置された板部材(25)を備え、
前記前席用冷風バイパス通路(18)に空気を流入させる前席冷風流入口(25h)と、前記前席用温風通路(16)および前記後席用温風通路(17)に空気を流入させる前席後席温風流入口(25g)と、前記後席用冷風バイパス通路(19)に空気を流入させる後席冷風流入口(25f)とを、前記板部材(25)に形成し、
前記前席冷風流入口(25h)、前記前席後席温風流入口(25g)および前記後席冷風流入口(25f)を前記フィルム部材(21)の移動方向に順に並べて配置し、
前記フィルム部材(21)を最大冷房位置に移動させたときには、前記フィルム部材(21)に形成された第1開口部(21d)が前記前席冷風流入口(25h)に対向し、前記フィルム部材(21)に形成された第2開口部(21e)が前記後席冷風流入口(25f)に対向するとともに、前記前席後席温風流入口(25g)に前記フィルム面が対向するようになっており、
前記フィルム部材(21)を最大暖房位置に移動させたときには、前記前席後席温風流 入口(25g)に前記第1開口部(21d)が対向するとともに、前記前席冷風流入口(25h)および前記後席冷風流入口(25f)に前記フィルム面が対向するようになっていることを特徴とする車両用空調装置。 - 前記移動方向に対して直交する方向において、前記前席冷風流入口(25h)の幅寸法と、前記前席後席温風流入口(25g)の幅寸法と、前記後席冷風流入口(25f)の幅寸法とを、略同一にしたことを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。
- 前記移動方向において、前記前席冷風流入口(25h)の長さ寸法と、前記前席後席温風流入口(25g)の長さ寸法と、前記後席冷風流入口(25f)の長さ寸法とを、略同一にしたことを特徴とする請求項5または6に記載の車両用空調装置。
- 前記フィルム部材(21)を車両左右方向に別体化し、前記別体化された2枚のフィルム部材(21R、21L)のそれぞれを各々独立の駆動手段で移動させることにより、車室内のうち運転席側ゾーンと助手席側ゾーンとをそれぞれ独立して空調可能にしたことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
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