JP3994239B2 - モータ駆動制御装置およびその制御方法 - Google Patents

モータ駆動制御装置およびその制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のコントローラを備えたモータ駆動制御装置およびその制御方法に係り、特に、複数のコントローラから1つのモータドライバへモータ駆動位置指令を出す場合でも、正確にモータの駆動制御を行うことができ、コントローラ数が増えても処理効率が低下しないモータ駆動制御装置およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
機械装置にモータを用いて位置決め制御系を構成する場合など、1台のモータに、電流増幅する1台の駆動回路と、位置制御する1台のモータドライバと、上位装置の指示に応じて位置指令を出力する1台のコントローラを設けるのが一般的である。しかし、異なるメーカの製品を比較するため、複数のコントローラを設けて時々切替えて使用されたり、予備として設けたコントローラの機能を確認するため、時々、常時使用中のコントローラと切替えて使用されることがある。そのように複数台のコントローラを設けて適宜切替えて使用する場合があるので、その状況を図を用いて説明する。
従来の複数のコントローラを備えたモータ駆動制御装置としては、例えば図3に示すようなものがある。同図において、100はホストコンピュータ、301−1,301−2はそれぞれ駆動位置指令Xs1,Xs2を発する第1および第2コントローラである。303はモータドライバ、104は駆動回路、105はモータである。106はエンコーダで、モータ105の回転軸に設けられモータの回転数、すなわちモータの現在位置を検出し、モータ現在位置情報posをモータドライバ303へフイードバックしている。
このような従来例のモータ駆動制御装置で、モータ105によって駆動される図示しない被駆動体の位置制御を行うには、まず、コントローラ301−1と301−2のうちホストコンピュータ100によって制御権の与えられたコントローラ(ここでは仮に、コントローラ301−1とする。)が、目標位置を入力されると現在位置から目標位置に至る途中の位置に対応するモータ駆動位置指令Xsをモータドライバ303へ逐次出力し、モータドライバ303は、供給された駆動位置指令Xs1における目標位置情報とエンコーダ106から得られるモータ105の現在の位置情報posに基づいて目標位置にモータ105がくるように駆動回路104に電流指令を出し、モータ105は駆動回路104からの電流指令に従って回転する。例えば、初めのモータ105の位置をP0として、まず、第1コントローラ301−1から、目標位置P100に駆動制御するための駆動位置指令Xs1がモータドライバ303へ指示されると、モータドライバ303は供給された駆動位置指令Xs1における目標位置情報(P100)とエンコーダ106から得られるモータ105の現在の位置情報pos(P0)に基づいて、モータ105を目標位置に駆動制御する。しかし、モータ105は実際には位置P100で完全に停止せずに微妙に動いているのが一般的であり、例えば、位置P100を中心として位置P99から位置P101の範囲の位置にあるとする。したがって、第1のコントローラ301−1の駆動位置指令Xs1によってモータ105の現在位置が位置P99にあるときに、ホストコンピュータ100によって制御権が第1のコントローラ301−1から第2コントローラ301−2に移されたとすると、この第2コントローラ301−2がモータ105の位置をさらに200単位ほど駆動制御することになるが、第2コントローラ301−2からは、現在位置P99から200単位移動した目標位置P299に駆動制御するための駆動位置指令Xs2がモータドライバ303へ指示されてしまうことになる。これは、この従来例では第1コントローラ301−1による駆動位置指令Xs1の後に、モータドライバ301から各コントローラ301−1,301−2へ送信される各種情報にはモータ105の現在の位置情報およびステータス情報しか含まれていないためである。つまり、本来、第2コントローラ301−2は、位置P100から200単位移動した目標位置P300に駆動制御したいにもかかわらず、第2コントローラ301−2は、現在位置P99から200単位移動した目標位置P299に駆動制御するため、その結果、モータ105は位置P299を中心とした位置P298から位置P300の範囲に位置することとなり、微妙な誤差が生じてしまう。そしてさらに、第2コントローラ301−2よる駆動制御の後にモータ105の現在位置が位置P298にあるときに、第1コントローラ301−1からモータ105をさらに100単位だけ移動させるべく駆動制御しようとする場合には、第1コントローラ301−1は、現在位置P298から100単位移動した目標位置P398への駆動位置指令Xs1をモータドライバ103へ出力することとなるので、その結果、モータ105は位置P398を中心とした位置P397から位置P399の範囲に位置することになる。このようにして、実際のモータ105の位置と、コントローラ301−1,301−2が駆動しようとする位置と間の誤差が蓄積されていく場合があるという問題があった。
この問題を解消する手法としては、従来、モータドライバ103へ発した駆動位置指令を複数のコントローラ301−1,301−2間で通信する方法があったが、各コントローラ301−1,301−2間で通信を行わなければならないことから、コントローラの数が増えると効率が悪かった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、上記従来のモータ駆動制御装置にあっては、複数のコントローラから1つのモータドライバへモータ駆動位置指令を発するとき、コントローラから発せられるモータのモータ駆動位置指令(駆動位置指令)に応答してモータドライバが各コントローラに送信する各種情報には、実際のモータの位置情報やステータス情報しか含まれていないので、実際のモータの位置と、各コントローラが駆動しようとする位置と間の誤差が蓄積されていき、コントローラから正確にモータドライバへモータ駆動位置指令を出せない場合があるという問題があった。また、この問題を解消する手法としては、モータドライバへ発したモータ駆動位置指令に関する情報を複数のコントローラ間で通信する方法があるが、この場合、コントローラの数が増えると効率が悪いという問題点があった。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、複数のコントローラを備えたモータ駆動制御装置において、一方のコントローラから他方のコントローラへ制御権を切替えた場合でも、正確にモータの駆動制御を行うことができ、コントローラ数が増えても処理効率が低下しないモータ駆動制御装置およびその制御方法を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は次のように構成したものである。請求項1に記載の発明は、制御権切替え指令を複数のコントローラへ出力するホストコンピュータと、現在位置から目標位置に至る途中の位置に対応するモータ駆動位置指令をモータドライバへ逐次出力する前記複数のコントローラと、前記制御権切替え指令により選択された前記複数のコントローラのいずれか1つのコントローラからの前記モータ駆動位置指令とモータの現在位置とが一致するように駆動回路に電流指令を出力する前記モータドライバと、前記電流指令を受けて前記モータを駆動する電流を制御する前記駆動回路と、前記モータの現在位置を検出する位置検出手段と、を有するモータ駆動制御装置において、前記モータドライバが、前回のモータ駆動位置指令とする前記いずれか1つのコントローラからの前記モータ駆動位置指令と、前記モータの現在位置と、を前記複数のコントローラ全てに出力するものであり、前記複数のコントローラの各々が、前記前回のモータ駆動位置指令と前記モータの現在位置に基づいて、各々自ら出力する次回のモータ駆動位置指令を演算し出力するものである、ことを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明における前記複数のコントローラの各々が、自らのモータ駆動位置指令と、前記前回のモータ駆動位置指令と前記モータの現在位置との差と、を加算して前記次回のモータ駆動位置指令を演算するものであることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、制御権切替え指令を複数のコントローラへ出力するホストコンピュータと、現在位置から目標位置に至る途中の位置に対応するモータ駆動位置指令をモータドライバへ逐次出力する前記複数のコントローラと、前記制御権切替え指令により選択された前記複数のコントローラのいずれか1つのコントローラからの前記モータ駆動位置指令とモータの現在位置とが一致するように駆動回路に電流指令を出力する前記モータドライバと、前記電流指令を受けて前記モータを駆動する電流を制御する前記駆動回路と、前記モータの現在位置を検出する位置検出手段と、を有するモータ駆動制御装置の制御方法において、前記ホストコンピュータが、プログラムまたは外部指令に基づいて前記制御権切替え指令により前記複数のコントローラのいずれか1つのコントローラを選択する処理をし、選択されたコントローラが、自らのモータ駆動位置指令と、前記モータドライバからの前回のモータ駆動位置指令と前記モータの現在位置との差と、を加算して次回のモータ駆動位置指令を演算して前記モータドライバへ出力する処理をし、前記モータドライバが、前記次回のモータ駆動位置指令に基づいて前記駆動回路を介して前記モータを駆動させると共に、前記次回のモータ駆動位置指令と前記モータの現在位置とを前記複数のコントローラ全てに出力する処理をする、ことを特徴とするものである。
【0005】
以上のように、一のコントローラからのモータ駆動位置指令が目標とする位置情報を位置検出手段からの現位置情報と共に、他のコントローラへ送信するようにしているので、これにより各コントローラは各駆動制御段階における目標位置情報と実際の位置情報とを考慮した目標位置へのモータ駆動位置指令を発行することが可能となる。従って複数のコントローラから1つの駆動手段へモータ駆動位置指令を出す場合でも正確にモータの駆動制御を行うことができ、さらに駆動手段へ発したモータ駆動位置指令に関する情報を複数のコントローラ間で通信する必要もないのでコントローラ数が増えても処理効率が低下することもない。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のモータ駆動制御装置およびその制御方法の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係るモータ駆動制御装置の構成図である。図1において、図3(従来例)と重複する部分には同一の符号を付する。図1において、本実施形態のモータ駆動制御装置は、制御権切替え等を指令するホストコンピュータ100と、駆動対象であるモータ105と、モータ駆動位置指令Xs1およびXs2をそれぞれ発する第1コントローラ101−1および第2コントローラ101−2と、モータ105の現在位置を検出する位置検出手段(エンコーダ)106と、第1コントローラ101−1または第2コントローラ101−2からの駆動位置指令Xs1またはXs2に応じてモータ105を駆動制御する駆動手段としてのモータドライバ103および駆動回路104とを備えて構成されている。
モータドライバ103は、第1コントローラ101−1または第2コントローラ101−2から与えられた駆動位置指令Xs1またはXs2における目標位置情報とエンコーダ106から得られるモータ105の現在の位置情報posを基に駆動回路104を通じてモータ105を駆動制御するとともに、第1コントローラ301−1および第2コントローラ301−2へ各種情報、すなわち、モータ105の現在の位置情報および各種ステータス(過電流・断線などのトラブル情報)等の情報の他に、本発明による情報駆動位置指令Xs1またはXs2が目標とする位置情報も出力するようにしている。
【0007】
次に本実施形態のモータ駆動制御装置において実施される複数のコントローラ101−1,101−2によるモータ105の駆動制御の処理について、図2のフローチャートを参照して説明する。
1)まず、ステップS201では、ホストコンピュータはプログラムに従って又は外部指令を受けて第1コントローラ(又は第2コントローラ)へ制御権を切替える。
2)次に、ステップS202では、制御権のある第1コントローラ(又は第2コントローラ)はプログラムに従いフィードバック位置、指令位置等からモータ運動量を計算する。
3)次に、ステップS203では、制御権のある第1コントローラ(又は第2コントローラ)はモータドライバへモータ駆動位置を指令する。
4)さらに、ステップS204では、モータドライバが駆動回路を使用して指令位置までモータを駆動する。
5)そして、ステップS205では、モータドライバがエンコーダからのフィードバック位置、指令位置、及び各種ステータスを第1コントローラ及び第2コントローラへ送信する。
6)さらに、ステップS206第1コントローラ及び第2コントローラは動作完了などのステータスをホストコンピュータへ送信する。
以上のステップS201からステップS206までの処理が繰り返し行われる。
このようにして、例えば、初めのモータ105の位置をP0として、第1コントローラ101−1から目標位置P100に駆動制御するための駆動位置指令Xs1がモータドライバ103へ指示された場合、駆動回路104の駆動制御によってモータ105が位置P100で完全に停止せずに微妙に動いて、例えば位置P100を中心とした位置P99から位置P101の範囲の位置にあったとしても、制御権が切替えられて第2コントローラ101−2によってモータ105の位置をさらに200単位ほど駆動制御しようする場合第2コントローラ101−2には第1コントローラ101−1に送られた位置P100に駆動制御するための駆動位置指令Xs1が与えられているため、これを基にしてモータ105の位置を第1のコントローラ101−1の駆動位置指令Xs1が目標位置としたP100から200単位移動した目標位置P300という制御するための駆動位置指令Xs2がモータドライバ103へ指示されることが可能となる。この結果、モータドライバ103は与えられた目標位置へモータ105を駆動制御し、モータ105は位置P300を中心とした位置P299から位置P301の範囲の位置にある。
そしてさらに、第2コントローラ101−2による駆動制御の後にモータ105の現在位置が位置P299にあるときに、ホストコンピュータ100によって再び制御権が第1コントローラ101−1(あるいは、図示のない第3のコントローラに)切替えられても、第1コントローラ101−1からモータ105をさらに100単位だけ移動させるべく駆動制御しようとする場合同様にして、第1コントローラ101−1は、第2のコントローラ101−2の駆動位置指令Xs2が目標位置としたP300からから100単位移動した目標位置P400への駆動位置指令Xs1をモータドライバ103へ出力することができ、その結果、モータ105は位置P400を中心とした位置P399から位置P401の範囲に位置することになる。
【0008】
以上のように、本実施形態のモータ駆動制御装置では、駆動位置指令Xs1またはXs2に応答した各種情報として、エンコーダ106からのモータ105の現在の位置情報(フィードバック位置情報)および各種ステータス情報の他に、該モータ駆動位置指令Xs1またはXs2が目標とする位置情報をも第1コントローラ101−1および第2コントローラ101−2に送信するので、各コントローラ101−1,101−2は、各駆動制御段階における目標位置情報と実際の位置情報とを考慮した目標位置への駆動位置指令Xs1,Xs2を発行することが可能となるので、2つのコントローラ101−1,101−2から1つのモータドライバ103へ駆動位置指令Xs1,Xs2を出す場合でも、正確にモータ105の駆動制御を行うことができ、さらに、モータドライバ103へ発した駆動位置指令Xs1,Xs2に関する情報をコントローラ101−1,101−2間で通信する必要もないので、コントローラ数が増えても処理効率が低下することもない。
【0009】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のモータ駆動制御装置およびその制御方法によれば、1のコントローラからモータ駆動位置指令がモータドライバに発せられ、モータドライバが該モータ駆動位置指令に応じた駆動制御を行ったとき、モータドライバ、1のコントローラからのモータ駆動位置指令が目標とする位置情報を、位置検出手段からの現位置情報と共に、他のコントローラへも送信することとしたので、複数のコントローラのうち制御権を切替えて常時どれか1つのコントローラからモータ駆動位置指令を出す場合でも、正確にモータの駆動制御を行うことができ、さらに、複数のコントローラ間通信の必要もなく、コントローラ数が増えても処理効率が低下しないモータ駆動制御装置およびその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るモータ駆動制御装置の構成図である。
【図2】複数のコントローラによるモータの駆動制御の処理を説明するフローチャートである。
【図3】従来の複数のコントローラを備えたモータ駆動制御装置の構成図である。
【符号の説明】
100 ホストコンピュータ
101−1,301−1 第1コントローラ
101−2,301−2 第2コントローラ
103,303 モータドライバ
104 駆動回路
105 モータ
106 エンコーダ(位置検出手段)
Xs モータ駆動位置指令
pos モータ位置情報

Claims (3)

  1. 制御権切替え指令を複数のコントローラへ出力するホストコンピュータと、現在位置から目標位置に至る途中の位置に対応するモータ駆動位置指令をモータドライバへ逐次出力する前記複数のコントローラと、前記制御権切替え指令により選択された前記複数のコントローラのいずれか1つのコントローラからの前記モータ駆動位置指令とモータの現在位置とが一致するように駆動回路に電流指令を出力する前記モータドライバと、前記電流指令を受けて前記モータを駆動する電流を制御する前記駆動回路と、前記モータの現在位置を検出する位置検出手段と、を有するモータ駆動制御装置において、
    前記モータドライバが、前回のモータ駆動位置指令とする前記いずれか1つのコントローラからの前記モータ駆動位置指令と、前記モータの現在位置と、を前記複数のコントローラ全てに出力するものであり、
    前記複数のコントローラの各々が、前記前回のモータ駆動位置指令と前記モータの現在位置に基づいて、各々自ら出力する次回のモータ駆動位置指令を演算し出力するものである、ことを特徴とするモータ駆動制御装置。
  2. 前記複数のコントローラの各々が、自らのモータ駆動位置指令と、前記前回のモータ駆動位置指令と前記モータの現在位置との差と、を加算して前記次回のモータ駆動位置指令を演算するものであることを特徴とする請求項1記載のモータ駆動制御装置。
  3. 制御権切替え指令を複数のコントローラへ出力するホストコンピュータと、現在位置から目標位置に至る途中の位置に対応するモータ駆動位置指令をモータドライバへ逐次出力する前記複数のコントローラと、前記制御権切替え指令により選択された前記複数のコントローラのいずれか1つのコントローラからの前記モータ駆動位置指令とモータの現在位置とが一致するように駆動回路に電流指令を出力する前記モータドライバと、前記電流指令を受けて前記モータを駆動する電流を制御する前記駆動回路と、前記モータの現在位置を検出する位置検出手段と、を有するモータ駆動制御装置の制御方法において、
    前記ホストコンピュータが、プログラムまたは外部指令に基づいて前記制御権切替え指令により前記複数のコントローラのいずれか1つのコントローラを選択する処理をし、
    選択されたコントローラが、自らのモータ駆動位置指令と、前記モータドライバからの前回のモータ駆動位置指令と前記モータの現在位置との差と、を加算して次回のモータ駆動位置指令を演算して前記モータドライバへ出力する処理をし、
    前記モータドライバが、前記次回のモータ駆動位置指令に基づいて前記駆動回路を介して前記モータを駆動させると共に、前記次回のモータ駆動位置指令と前記モータの現在位置とを前記複数のコントローラ全てに出力する処理をする、ことを特徴とするモータ駆動制御装置の制御方法。
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