JP4151496B2 - 車両の操舵装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ステアリングホイールの操作に応じてアクチュエータにより転舵を行うようにした車両の操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、運転者が操舵するステアリングホイールと転舵輪の転舵機構とが機械的に切り離され、エンコーダ等の検出器によりステアリングホイールの操舵角を検出し、この操舵角検出値に応じて、アクチュエータにより車輪を転舵する操舵装置として、ステアバイワイヤ式の操舵装置が知られている。
この種の操舵装置では、例えば、ラックアンドピニオン機構等で構成される転舵機構を駆動するための転舵軸モータとこの転舵軸モータを駆動する転舵コントローラとからなるサブシステムが、複数、例えば2つ設けられて構成されている。そして、各サブシステムでは、各サブシステム毎に設けられた角度センサによって転舵軸の変位量を検出し、この変位量と、上位コントローラからの目標転舵角指令値とに基づいて、各サブシステム毎に制御量を算出し、これに基づいて転舵軸モータを駆動するようになっている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
【非特許文献1】
「エックスバイワイヤ・デービー6/6−24(XByWire−DB−6/6−24)」,第2.0.0版,エックスバイワイヤ・コンソーシアム(X−By−Wire Consortium),1998年11月26日,p.43−50
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように複数のサブシステムによって転舵機構を駆動するようにした場合、各サブシステム毎に制御量を検出するようにしているため、例えば各角度センサ間における検出誤差等といった、機械的な変位誤差、或いは、電気的な検出誤差によって、各サブシステム毎に、転舵軸モータに対する制御量が異なる場合がある。
【0005】
したがって、このようにサブシステム毎に異なる制御量で転舵軸モータを駆動した場合、場合によっては、それぞれの転舵軸モータが相互に干渉し合い、互いに逆方向に駆動トルクを発生させる場合がある。特に、前記転舵軸モータの制御量を算出するための制御ループ内における演算に、積分成分を有する場合には、互いに逆方向に発生する駆動トルク、すなわち、転舵軸モータへの駆動電流が増加し続けてしまうという問題がある。
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、複数の転舵軸モータを互いに干渉することなく駆動制御することの可能な車両の操舵装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両の操舵装置は、運転者により操舵される操舵機構の操舵量に応じてこの操舵機構と機械的に分離された転舵機構を駆動制御する転舵装置と、前記転舵機構の転舵に伴う反力を前記操舵機構に付与する反力装置との少なくとも何れか一方は、複数の制御ユニットで構成され、各制御ユニットはそれぞれ転舵機構又は操舵機構にトルクを付与するトルク発生手段を備えており、転舵機構又は操舵機構に付与すべき目標トルクを前記複数の制御ユニットで分担して発生する。
このとき、各制御ユニットは、自制御ユニットが代表制御ユニットであるか否かを判断し、代表制御ユニットであると判断した制御ユニットが代表制御ユニットとなり、この代表制御ユニットが前記目標トルクに基づき一つの制御ユニットで発生すべきトルクに応じた一の制御指令値を算出し、各制御ユニットは、前記代表制御ユニットで算出した制御指令値に基づいて、それぞれトルク発生手段を制御する。
各制御ユニットでは、代表制御ユニットで算出した一の制御指令値に基づいて各トルク発生手段を制御するから、各トルク発生手段で発生するトルクは、同等の大きさ及び方向のトルクとなる。よって、各制御ユニットで発生するトルクが互いに干渉することはない。
【0007】
【発明の効果】
本発明に係る車両の操舵装置によれば、操舵機構に反力を付与する反力装置及び転舵機構を駆動制御する転舵装置の少なくとも一方を、複数の制御ユニットで構成し、各制御ユニットにより制御される複数のトルク発生手段によって前記操舵機構又は転舵機構にトルクを付与する際に、自制御ユニットが代表制御ユニットであると判断した制御ユニットが代表制御ユニットとなり、この代表制御ユニットによって一の制御指令値を算出し、各制御ユニットでは、この代表制御ユニットで算出した一の制御指令値に基づいて各トルク発生手段を制御するようにしたから、各トルク発生手段で発生するトルクは同等の大きさの同一方向のトルクとなる。よって、各トルク発生手段で発生するトルクが互いに干渉することを回避することができる。
また、自制御ユニットが代表制御ユニットであると判断した制御ユニットが代表制御ユニットとなるため、何れかの制御ユニットに異常が生じた場合であっても、異常が生じていない制御ユニットが代表制御ユニットとなることにより、トルクの干渉をより確実に回避することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、第1の実施の形態を説明する。
図1は、第1の実施の形態における車両の操舵装置の一例を示す概略構成図である。
図中、10は、ステアリングホイール1とは機械的に切り離された転舵装置、50は、ステアリングホイール1に対して操舵反力を付与するための反力装置である。
【0009】
この反力装置50は、公知の反力装置と同等に構成され、例えば転舵装置10における転舵軸の変位量及び図示しない車速検出手段によって検出した車速等に基づいて上位コントローラ60で算出された、転舵トルクに応じた目標反力トルクに基づいて、図示しない反力発生モータを駆動し、転舵トルクに見合った目標反力トルクをステアリングホイール1の回転中心部に取り付けられたコラムシャフト3に付与する。これによって、運転者に対し、操舵量に応じた操舵反力を与えるようになっている。
【0010】
一方、転舵装置10は、図2に示すように、例えばラックアンドピニオン機構で構成される転舵機構5のピニオンを駆動するための転舵軸モータを駆動する3つのサブシステムSUBa〜SUBcで構成されている。そして、これらサブシステムSUBa〜SUBcは同一構成を有し、通信バス40を介して接続され、サブシステムSUBa〜SUBc及び上位コントローラ60間で互いに信号の授受を行っている。
【0011】
前記サブシステムSUBaは、転舵機構5を駆動するための転舵軸モータ11aと、この転舵軸モータ11aを駆動するためのモータドライバ12aと、転舵機構5の動作による図示しない転舵軸の転舵角度及び転舵角速度を検出する角度センサ13aと、転舵軸モータ11aへの供給電流を検出する電流センサ14aと、角度センサ13aの検出信号及び前記上位コントローラ60からの目標転舵角指令値、又は他のサブシステムからの転舵角度の制御指令値と、電流センサ14aの検出信号とに基づいて転舵軸モータ11aへの電流指令値を算出し、これをモータドライバ12aに出力する転舵軸角度コントローラ20aとから構成されている。
【0012】
なお、前記転舵軸モータ11aと前記転舵機構5との間には、図示しないクラッチ機構が設けられ、このクラッチ機構を遮断状態にすることによって、転舵軸モータ11aと転舵機構5との間の動力の伝達経路を遮断するようになっている。そして、転舵軸モータ11aの異常或いは転舵軸角度コントローラ20aの異常等といったサブシステムSUBaにおける異常を検出した場合には、前記転舵軸モータ11aの駆動を停止すると共に、前記クラッチ機構を遮断状態に制御するようになっている。
【0013】
前記転舵軸角度コントローラ20aは、角度制御演算器21aと電流制御演算器22aとから構成され、前記角度制御演算器21aは、前記角度センサ13aで検出した転舵軸の転舵角度及び転舵角速度、上位コントローラ60からの目標転舵角度指令値、他のサブシステムが正常動作しているか否かといった稼動状態、及び、予めサブシステムSUBa〜SUBcに対して設定された優先順に基づいて処理を行い、サブシステムSUBa〜SUBcのうち、自サブシステムの優先順位が最も高いときには、前記各種情報に基づいて転舵角度の制御量を算出すると共に、これを転舵角度の制御指令値として通信バス40を介して各サブシステムに通知する。また、前記電流制御演算器22aは、前記角度制御演算器21aで算出された転舵角度の制御量又は通信バス40を介して他のサブシステムから通知された転舵角度の制御指令値と、電流センサ14aの検出信号とに基づいて電流制御を行う。
【0014】
前記優先順位は、例えば、サブシステムSUBa〜SUBcの中で、角度センサ13a〜13cからの転舵角度の平均値に最も近い角度センサを有するサブシステムの優先順位を最優先として設定する。
以上は、サブシステムSUBaについて述べているが、サブシステムSUBb及びSUBcも、サブシステムSUBaと同一の機能構成を有している。
図3は、前記転舵軸角度コントローラ20aにおける転舵軸角度制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。なお、各転舵軸角度コントローラ20a〜20cにおける処理は同一であるので、ここでは、転舵軸角度コントローラ20aにおける処理について説明する。
【0015】
転舵軸角度コントローラ20aでは、この転舵軸角度制御処理を予め設定した所定周期で実行し、まず、ステップS2で、自己診断処理を行う。この自己診断処理は、例えば、イグニッションキー投入時等には、予め設定した自己診断用の転舵角指令値(例えば単位角度等)と、角度センサ13aからの転舵角度とをもとに、転舵角度を単位角度だけ転舵するための電流指令値を算出し、これをモータドライバ12に出力して転舵軸モータ11aを駆動し、このときの角度センサ13aの検出信号に基づいて、指令値に応じただけの転舵が行われたかどうかを判定する。また、その後、転舵軸角度制御処理を開始した後は、この転舵軸角度制御処理を所定周期で実行する毎に、例えば、角度センサ13aの転舵角度の直前の周期における転舵角度に対する変化割合等に基づいて自己診断を行う。
【0016】
そして、この自己診断の結果に基づきサブシステムSUBaが正常であるか否かを判定し(ステップS4)、正常であると判定された場合には、ステップS6に移行し、上位コントローラ60から、通信バス40を介して目標転舵角指令値を読み込み、次いでステップS8に移行し、他のサブシステムSUBb及びSUBcの稼動状態情報を読み込む。そして、この稼動状態情報と、予め設定された優先順位とに基づいて、自サブシステム、つまりSUBaが現在最優先状態にあるか否かを判断する。つまり、例えば優先順位の高い方から、サブシステムSUBa、SUBb、SUBcの順に優先順位が設定されている場合、このとき、サブシステムSUBaは正常であるから、サブシステムSUBaは最優先状態にあると判断する。また、優先順位の高い方から、サブシステムSUBc、SUBa、SUBbの順に優先順位が設定されている場合には、サブシステムSUBaは最優先ではないと判断するが、このとき、他のサブシステムからの稼動状態情報に基づきサブシステムSUBcが故障状態にあると判定される場合には、サブシステムSUBaは最優先であると判断する。
【0017】
そして、自サブシステム(SUBa)が最優先であると判定されたならば、ステップS10からステップS12に移行し、角度センサ13aの検出信号を読み込み、これを通信バス40を介して他のサブシステムSUBb、SUBcに送信する。
次いでステップS14に移行し、角度制御演算処理を実行し電流指令値を算出する。具体的には、ステップS6で読み込んだ目標転舵角指令値と、ステップS12で読み込んだ転舵角度及び転舵角速度と、前回算出時の転舵電流指令値I* 等、電流指令値算出処理実行時に逐次更新している各種内部変数等に基づいて、転舵角度が目標転舵角指令値として指定された角度に収束し得るために転舵機構5に付与すべき転舵トルクを算出し、この転舵トルクを発生し得る転舵電流指令値I* を算出する。なお、ステップS12及びステップS14の処理で、角度制御演算処理を行っている。
【0018】
次いで、ステップS16に移行し、ステップS8で読み込んだ他サブシステムの稼動状態情報に基づいて正常状態にあるサブシステム数をカウントし、続いて、ステップS18に移行して、ステップS14で算出した転舵電流指令値I* を、ステップS16の処理でカウントした正常状態にあるサブシステム数で割り算し、正常なサブシステム当たりの転舵電流指令値を算出する。そして、これを分割転舵電流指令値Is* として通信バス40を介して他の正常なサブシステムSUBb、SUBcに送信する(ステップS20)。
【0019】
次いで、ステップS22に移行し、ステップS14で算出した分割転舵電流指令値Is* を、制御用電流指令値として設定する。
一方、前記ステップS10で自サブシステム(SUBa)が最優先ではないと判定される場合には、ステップS24に移行し、最優先状態にある他のサブシステムから送信された角度データを読み込む。次いでステップS26に移行し、ステップS24で読み込んだ、最優先状態にあるサブシステムからの角度データと、ステップS6で読み込んだ上位コントローラ60からの目標転舵角指令値とに基づいて、前記ステップS14と同様の処理を行って、転舵角度が目標転舵角指令値に収束し得るために転舵機構に付与すべき転舵トルクを算出し、この転舵トルクを発生し得る転舵電流指令値I* を算出する。そして、この自サブシステムで算出した転舵電流指令値I* を所定の記憶領域に格納する。
【0020】
次いで、ステップS28に移行し、最優先状態にある他のサブシステムで算出した分割転舵電流指令値Is* を、通信バス40を介して読み込み、これを制御用電流指令値として設定する。
このようにして、前記ステップS22又はステップS28の処理で、制御用電流指令値が設定されたならば、ステップS30に移行し、電流センサ14aで検出した転舵軸モータ11aに供給される電流値を読み込む。次いでステップS32に移行し、ステップS30で読み込んだ転舵軸モータ11aへの供給電流が、制御用電流指令値と一致するように電流制御演算を行い、これに応じた駆動信号をモータドライバ12aに出力し処理を終了する(ステップS34)。なお、ステップS30及びステップS32の処理で、電流制御演算処理を行っている。
【0021】
これを受けて、モータドライバ12aは、駆動信号に応じて転舵軸モータ11aを駆動し、転舵軸モータ11aが駆動されることにより転舵機構5に転舵トルクが付与されることになる。
一方、前記ステップS4で、自サブシステム(SUBa)が正常でないと判断される場合にはステップS40に移行し、自サブシステム(SUBa)が異常であることを、通信バス40を介して他のサブシステムSUBb、SUBc及び上位コントローラ60に通知する。そして、処理を終了する。
【0022】
次に、上記実施の形態の動作を説明する。
上位コントローラ60では、ステアリングホイール1の運転者による操舵量を検出する図示しない操舵角センサの検出信号等に基づいて公知の手順で目標転舵角指令値を算出しこれを前記転舵装置10に出力すると共に、公知の手順で転舵装置10における転舵軸の変位量、車速等に基づいて算出された、転舵トルクに応じた目標反力トルクに基づいて図示しない反力発生モータを駆動する。これによって、転舵トルクに見合った反力トルクがステアリングホイール1の回転中心部に取り付けられたコラムシャフト3に付与され、運転者に対し、操舵量に応じた操舵反力が付与される。
【0023】
一方、前記転舵装置10の各サブシステムSUBa〜SUBcでは、転舵軸角度制御処理を実行し、各サブシステムSUBa〜SUBcが正常に動作している場合には、自己診断の結果正常であると判定されるから、ステップS2からステップS4を経てステップS6に移行し、上位コントローラ60からの目標転舵角指令値を読み込み、さらに、他のサブシステムから稼動状態情報として異常である旨の通知が行われているかどうかを判定し、他のサブシステムの稼動状態に基づいて自サブシステムの優先順位を認識する(ステップS8)。
【0024】
つまり、今、上位コントローラ60から、優先順位として、優先順位の高い順に、サブシステムSUBa、SUBb、SUBcとして通知されているものとすると、各サブシステムSUBa〜SUBcが正常に動作している状態では、サブシステムSUBaでは自サブシステムの優先順位が最も高いと認識し、サブシステムSUBbでは、自サブシステムの優先順位は2番目に高いと認識し、サブシステムSUBcでは、自サブシステムの優先順位は最も低いと認識する。
【0025】
そして、最優先状態にあるサブシステムSUBaでは、ステップS10からステップS12に移行し、角度センサ13aからの角度データを読み込み、これを他のサブシステムSUBb及びSUBcに通信バス40を介して送信する。
そして、サブシステムSUBaでは、ステップS12からステップS14に移行し、上位コントローラ60から通知された目標転舵角指令値と、ステップS12で読み込んだ角度データと、に基づいてこの転舵角度が目標転舵角指令値に収束し得るために転舵機構5に付与すべき転舵トルクを算出し、この転舵トルクを発生し得る転舵電流指令値I* を算出する。このサブシステムSUBaで算出した転舵電流指令値I* をIa * と表し、以後、添字によって、転舵電流指令値I* を算出したサブシステムSUBを表すものとする。
【0026】
このとき、全てのサブシステムは正常であるから、正常サブシステム数は、“3”となる(ステップS16)。よって、転舵電流指令値Ia * を“3”で等分してサブシステム当たりの転舵電流指令値を算出し(ステップS18)、これを分割転舵電流指令値Is* として通信バス40を介して他のサブシステムSUBb、SUBcに通知する(ステップS20)。なお、サブシステムSUBaで算出した分割転舵電流指令値Is* をIsa * と表し、以後、添字によって、分割転舵電流指令値Is* を算出したサブシステムを表すものとする。
【0027】
そして、この分割転舵電流指令値Isa * を制御用電流指令値とし(ステップS22)、電流センサ14aで検出した転舵軸モータ11aに供給される電流値が、制御用電流指令値つまり分割転舵電流指令値Isa * と一致するよう、電流制御演算を行い、これに応じた駆動信号をモータドライバ12aに出力する(ステップS30〜S34)。
【0028】
一方、サブシステムSUBbでは、自サブシステムは最優先状態のサブシステムではないから、ステップS10からステップS24に移行し、最優先状態のサブシステムSUBaから通知された角度センサ13aの角度データを読み込み、これに基づいて転舵電流指令値Ib * を算出しこの転舵電流指令値Ib * を、所定の記憶領域に保存しておく(ステップS26)。
【0029】
次いで、ステップS28に移行し、サブシステムSUBaにおいて算出した分割転舵電流指令値Isa * を読み込み、これを制御用電流指令値とする。そして、電流センサ14bで検出した転舵軸モータ11bに供給される電流値を読み込み、この転舵軸モータ11bへの供給電流が、制御用電流指令値、つまり、サブシステムSUBaで算出した分割転舵電流指令値Isb * と一致するよう、電流制御演算を行い、これに応じた駆動信号をモータドライバ12bに出力する(ステップS30〜S34)。
【0030】
同様に、サブシステムSUBcにおいても、最優先状態にあるサブシステムSUBaから通知された角度センサ13aの角度データを読み込み、これに基づいて転舵電流指令値Ic * を算出しこれを所定の記憶領域に保存する(ステップS24、S26)。
さらに、サブシステムSUBaから分割転舵電流指令値Isc * を読み込んでこれを制御用電流指令値とし、電流センサ14cで検出した転舵軸モータ11cに供給される電流値を読み込み、この転舵軸モータ11cへの供給電流が、制御用電流指令値、つまりサブシステムSUBaで算出した分割転舵電流指令値Isa * と一致するよう電流制御演算を行い、これに応じた駆動信号をモータドライバ12cに出力する(ステップS30〜S34)。
【0031】
このサブシステムSUBbにおける動作と同様に、サブシステムSUBcも動作する。
以上の動作における、各サブシステムSUBa〜SUBc間での信号の流れを表したものが、図4であって、サブシステムSUBb及びSUBcは、サブシステムSUBaで算出した分割電流指令値Isa * を通信バス40を介して受信し、この分割電流指令値Isa * と、各角度センサ13a〜13cの検出信号とに基づいて、各転舵軸モータ11a〜11cを駆動制御する。
【0032】
したがって、各サブシステムSUBa〜SUBcのモータドライバ12a〜12cでは、駆動信号に応じて転舵軸モータ11a〜11cを駆動するが、このとき、各サブシステムSUBa〜SUBcにおいては、各転舵軸モータ11a〜11cへの供給電流が分割転舵電流指令値Isa * となるように制御を行うから、各転舵軸モータ11a〜11cは同じ回転方向に且つ同じ大きさのトルクを発生するように駆動されることになる。
【0033】
この状態から、図5に示すように、最優先の状態にあったサブシステムSUBaにおいて異常が発生すると、サブシステムSUBaでは、自己診断の結果異常であることを検出するから、ステップS4からステップS40に移行し、サブシステムSUBaが異常であることを通信バス40を介して他のサブシステムSUBb及びSUBcに通知する。そして、以後、自己診断の結果正常と判断されるまでは、ステップS2、S4、S40の処理を繰り返し行い、駆動軸モータ11aを駆動しない。
【0034】
一方、正常なサブシステムSUBbでは、ステップS2からステップS4を経てステップS6に移行し、上位コントローラ60から目標転舵角指令値を読み込み、ステップS8の処理で自サブシステムの優先順位を認識するが、このときサブシステムSUBaが異常であることが通知されているから、上位コントローラ60から先に通知された優先順位にしたがって、サブシステムSUBaの次に優先順位の高い、自サブシステム(SUBb)が最優先状態にあると認識する。
【0035】
したがって、ステップS8からステップS10を経てステップS12に移行し、角度センサ12bの検出信号を他のサブシステム、つまりサブシステムSUBcに通知すると共に、これに基づいて転舵電流指令値Ib * を算出し、現在正常なサブシステム数、この場合“2”で等分した値を、分割転舵電流指令値Isb * として算出し、これを制御用電流指令値として設定すると共に、これを他の正常なサブシステムつまりSUBcに通知する(ステップS14〜S20)。
【0036】
そして、この分割転舵電流指令値Isb * と電流センサ14bの検出信号とに基づいて電流制御演算を行い、転舵軸モータ11bを駆動する。
一方、サブシステムSUBcでは、サブシステムSUBcの次に優先順位が高いから、ステップS10からステップS24に移行し、今度は、サブシステムSUBbから角度データを受信し、これに基づいて転舵電流指令値Ic * を算出しこれを所定の記憶領域に格納すると共に、サブシステムSUBbから分割転舵電流指令値Isb * を入力し、これと電流センサ14cの検出信号とに基づいて電流制御演算を行い、転舵軸モータ11cを駆動する。
【0037】
したがって、この場合も、転舵軸モータ11b及び11cは、同一の分割転舵電流指令値Isb * に基づいて制御が行われるから、同一方向に回転し且つ同じ大きさのトルクを発生することになる。また、このとき、サブシステムSUBaに異常が発生しているため、本来ならば3つの転舵軸モータ11a〜11cによってトルクを発生すべきところを、2つの転舵軸モータ11b及び11cによってトルクを発生することになるが、転舵電流指令値Ib * を2等分し、これを分割転舵電流指令値Isb * として設定しているから、二つの転舵軸モータ11b及び11cのみを駆動する場合であっても、転舵電流指令値Ib * に応じたトルクが発生されることになり、つまり、転舵角度を目標転舵角指令値に一致し得るトルクを発生させることができる。
【0038】
また、例えば、各サブシステムSUBa〜SUBcが正常に動作し、サブシステムSUBaが最優先状態のサブシステムとして動作している状態から、図6に示すように、サブシステムSUBbの転舵軸モータ11bに異常が発生した場合には、ステップS2で自己診断を行ったときにこれが検出される。したがって、サブシステムSUBbでは、ステップS2からステップS4を経てステップS40に移行し、サブシステムSUBbが異常であることを他のサブシステムSUBa及びSUBcに通知する。
【0039】
サブシステムSUBaでは、角度センサ13aの検出信号及び目標転舵角指令値に基づいて上記と同様にして転舵電流指令値Ia * を算出するが、正常なサブシステムはSUBa及びSUBcの二つであるから転舵電流指令値Ia * を二等分して分割転舵電流指令値Isa * を算出する。
一方、サブシステムSUBcでは、サブシステムSUBbが異常であることを認識するが、サブシステムSUBaの方が優先順位が高いから、サブシステムSUBaから通知される分割転舵電流指令値Isa * に基づいて転舵軸モータ11cを駆動する。
【0040】
そして、この状態から、さらに、サブシステムSUBaが異常となった場合には、サブシステムSUBcでは、自サブシステムよりも優先順位の高いサブシステムSUBa及びSUBbが共に異常であるから、自サブシステムが最優先状態にあると認識し、角度センサ13cの検出信号と上位コントローラ60からの目標転舵角指令値とに基づいて転舵電流指令値Ic * を算出し、この場合正常なサブシステムは、SUBcだけであるから、この転舵電流指令値Ic * を分割転舵電流指令値Isc * とし、この分割転舵電流指令値Isc * に基づいて転舵軸モータ11cを駆動する。つまり、転舵軸モータ11cのみによって、転舵トルクを発生させることになる。
【0041】
このように、何れかのサブシステムが代表となって分割転舵電流指令値Is* を算出し、この代表のサブシステムにおいて算出した分割転舵電流指令値Is* に基づいて各サブシステムでは転舵軸モータを駆動するようにしているから、各転舵軸モータは、供給される電流値が分割転舵電流指令値Is* となるように駆動制御されることになる。
よって、各転舵軸モータはそれぞれ異なる転舵軸角度コントローラによって駆動制御されるが、同一の分割転舵電流指令値Is* に基づいて駆動制御されるから、同一方向に且つ同じトルクを発生するように動作することになる。したがって、各転舵軸モータが互いに干渉することを回避することができる。
【0042】
また、サブシステムSUBa〜SUBcのうち何れかのサブシステムに異常が発生した場合であっても、各サブシステムにおいて、他のサブシステムの異常状態を認識するようにし、正常なサブシステムの何れかが代表となり分割転舵電流指令値Is* を算出するようにしているから、代表のサブシステムに異常が発生した場合であっても、他のサブシステムにおいて的確に分割転舵電流指令値Is* を算出することができる。また、このとき、正常なサブシステムの数に応じて分割転舵電流指令値Is* を算出するようにしているから、何れかのサブシステムにおいて、転舵軸モータを駆動することができない場合であっても、転舵トルクとして発生すべきトルクを確実に発生させることができ、継続して転舵トルクを発生することができる。
【0043】
特に、転舵装置10は、排気マニホールド或いは排気管に近い場所等、熱環境の悪い場所に設置されているため、転舵軸モータ11a〜11cは、過熱等による悪影響を受けやすい。しかしながら上述のように、何れかの転舵軸モータに異常が発生した場合であっても継続して転舵トルクを発生させることができるから、冗長性をより有効に活用することができる。
【0044】
また、最優先のサブシステムを例えばSUBaとしたとき、サブシステムSUBaでは、その角度センサ13aで算出した角度データを、他のサブシステムSUBb及びSUBcに通知し、通知された各サブシステムSUBb及びSUBcにおいても、この通知された角度データをもとに、転舵電流指令値I* をそれぞれ算出するようにしている。
【0045】
ここで、前記転舵電流指令値I* を算出する際には、前回の転舵電流指令値I* 等、前回の転舵電流指令値I* の算出に用いた各種内部変数に基づいて、今回の転舵電流指令値I* を算出するようにしている。したがって、仮に前記サブシステムSUBbで、転舵電流指令値I* を算出していないものとすると、サブシステムSUBaに異常が発生し、サブシステムSUBaに代わりサブシステムSUBbが転舵電流指令値I* を算出するための角度制御演算を引き継いで行う場合、サブシステムSUBbでは、転舵電流指令値I* を算出していないため、新たに内部変数の算出等を行う必要がある。しかしながら、上述のように、サブシステムSUBb及びSUBcにおいても、転舵電流指令値I* を算出するようにしているから、サブシステムSUBb或いはSUBcにおいて角度制御演算を引き継ぐ場合であっても、速やかに引き継ぎを行うことができる。また、このとき、サブシステムSUBb及びSUBcにおいては、自サブシステムの角度センサ13b或いは13cの検出信号ではなく、角度制御演算を行っているサブシステムSUBaの角度センサ13aの検出信号に基づいて、転舵電流指令値I* を算出するようにしているから、内部変数を変えることなく、そのまま転舵電流指令値I* の算出を行うことができる。
【0046】
次に、第2の実施の形態を説明する。
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態と同様に、最優先状態にあるサブシステムが転舵電流指令値I* を算出し、これに基づき分割転舵電流指令値Is* を算出して正常なサブシステムに伝達するが、最優先状態にあるサブシステムを除く、サブシステムでは、転舵電流指令値I* の算出を行わないようになっている。
【0047】
図7は、第2の実施の形態における車両の操舵装置の一例を示す概略構成図である。なお、図7において、上記第1の実施の形態における図2に示す構成図と同一部には同一符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
図7に示すように、各サブシステムSUBは、他のサブシステムに対し、角度センサ13の検出信号を送信しない。
【0048】
つまり、図8のフローチャートに示すように、各サブシステムは、自サブシステムが最優先状態にあると判定したときには、ステップS10からステップS12aに移行し、角度センサ信号の読み込みを行い、この角度データの送信は行わずにステップS14に移行する。
一方、各サブシステムは、自サブシステムが最優先状態にないと判定したときには、他のサブシステムからの角度データの受信及びこの受信した角度データに基づく転舵電流指令値の算出及び記憶は行わず、ステップS10からそのままステップS28に移行し、他のサブシステムで算出した分割転舵電流指令値Is* を受信し、これに基づいて転舵軸モータ11の制御を行う。なお、上記第1の実施の形態における図3に示すフローチャートと同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
【0049】
そして、この第2の実施の形態における、転舵軸角度コントローラ20a〜20cの角度制御演算器21a〜21cは、例えば、図9に示すようなロバスト外乱補償器101を備えており、これに基づき転舵機構5に付与すべき転舵トルクを算出するようになっている。なお、図9において、Gp(Z-1)は離散化した制御対象の伝達特性、H(Z-1)はローパスフィルタを表す。また、Zは遅延演算子であり、Z-1を乗じた形式で、1サンプリング周期前の値を表す。
【0050】
前記ロバスト外乱補償器101は、図9に示すように転舵トルクの指令値を入力、角度センサ13で検出される実転舵角度を出力としている。そして、角度センサ13で検出される実転舵角度に、制御対象の伝達関数の逆系を掛け合わせて転舵機構5に付与すべき転舵トルクの指令値を逆算し、この逆算した転舵トルクの指令値と、算出される実際の転舵トルクの指令値との差を外乱補償値とし、これを転舵トルクの指令値から差し引く構成となっている。
【0051】
そして、前記転舵トルクの指令値を逆算するための逆算部〔H(Z-1)/Gp(Z-1)〕111では、角度センサ13で検出される実転舵角度を入力、転舵トルクの指令値の逆算値を出力とし、現サンプリング周期、1サンプリング周期前及び2サンプリング周期前の入力にそれぞれ所定のゲインK1〜K3を乗算した値の総和と、出力の積分成分に対して所定のゲインK4を乗算したものとの和から、前記転舵トルクの指令値の逆算値を算出するようになっている。そして、このとき、出力の積分成分にゲインK4を乗算する乗算器112の出力側には、この乗算結果を制限するリミッタ113が設けられ、これによって、転舵トルク指令値の推定値を制限するようになっている。そして、前記リミッタ113の制限値は、角転舵軸モータ11a〜11cに流すことの可能な最大定格電流から定まる最大転舵トルク値の総和としている。
【0052】
次に、第2の実施の形態の動作を説明する。
例えば、サブシステムSUBaが最優先状態のサブシステムとして動作している状態から、このサブシステムSUBaに何らかの異常が発生すると、サブシステムSUBaの次に優先順位の高いサブシステム、例えばSUBbが、最優先状態のサブシステムとなり、転舵電流指令値I* の算出を開始する。このとき、サブシステムSUBbの角度制御演算器21bにおいて、内部変数を一旦零にリセットした後、角度制御演算を開始すると、図9(b)に示すようにロバスト外乱補償器101では複数のサンプリング周期における転舵角に基づいて転舵角の積分演算を行っており、この複数のサンプリング周期における転舵角が零にリセットされてしまうことから、ロバスト外乱補償器101の出力は異常な値となってしまう。つまり、ロバスト外乱補償器101において、積分成分以外の変数については零にリセットされたとしても角度制御演算の開始に伴って速やかに入力に応じた正常な値となる。しかしながら、逆算部111においては、積分演算を行っており、この積分演算は、角度制御演算の開始からの異常な演算結果の影響を受けているため、この逆算部111の出力が正常な値に収束するまでにはある程度の時間を要することになる。
【0053】
このため、角度制御演算を引き継いだサブシステムSUBbでは、角度制御演算を引き継いだ時点からしばらくの間は、ロバスト外乱補償器101の出力が異常な値となることから、転舵トルク指令値に異常な補償がかかることになって、転舵角度制御の応答性に悪影響を与えることになる。
例えば、高速で直進走行中にサブシステムSUBaからサブシステムSUBbに角度制御演算を引き継いだ場合、このサブシステムSUBbによる角度制御演算開始直後からある期間は、異常な転舵トルク指令値に応じて転舵輪の制御が行われるため、車両挙動が不安定になりやすい。
【0054】
しかしながら、図9(b)に示すように、ロバスト外乱補償器101の積分成分の出力を制限するリミッタ113を設け、このリミッタ113によって、大きな値が積分成分に蓄積されることを制限するようにしているから、ロバスト外乱補償器101の出力を制限することができる。このため、転舵トルク指令値にかかる補償分を抑制することができるから、転舵トルク指令値を制限することができる。よって、転舵角度制御への悪影響を抑制することができる。
【0055】
また、前記リミッタ113の制限値として、各転舵軸モータに流すことの可能な最大定格電流から決定される最大転舵トルクの総和を設定するようにしている。ここで、正常に制御が行われている状態では、転舵トルクの推定値の積分成分は、最大でも、各転舵軸モータに流すことの可能な最大定格電流から決定される最大転舵トルクの総和となる。よって、転舵トルクの推定値を最大転舵トルクに制限することにより、正常制御時における制御に影響を及ぼすことなく、外乱補償器の異常な出力を最小限に抑えることができ、結果として異常な転舵トルク指令値の出力を最小限に抑えることができ、よって、転舵角度制御への悪影響を最小限に抑えることができる。
【0056】
また、このように、リミッタ113を設けることによって、最優先状態のサブシステムの切り替わり時における異常な転舵トルク指令値の出力を最小限に抑えることができ、スムーズな切替を実現することができるから、上記第1の実施の形態のように、各サブシステムにおいて、転舵トルク指令値の算出を行わなう必要がない。したがって、その分、処理負荷を軽減することができる。
【0057】
なお、上記各実施の形態においては、3つのサブシステムによって3つの転舵軸モータ11a〜11cを駆動するようにした場合について説明したが、これに限るものではなく、2つ或いは4つ以上のサブシステムによって2或いは4以上の転舵軸モータを駆動するようにした場合であっても適用することができる。
この場合にも上記と同様に処理を行えばよく、各サブシステムが正常に動作していれば、何れかのサブシステムにおいて算出した転舵電流指令値I* を、サブシステム数で割り算するようにすればよい。
【0058】
また、上記各実施の形態においては、角度制御演算器21a〜21cにおいて、転舵電流指令値I* を算出するようにし、最優先の状態にあるサブシステムで算出した分割転舵電流指令値Is* を、他のサブシステムに送信するようにした場合について説明したが、これに限るものではなく、角度制御演算器21a〜21cにおいて、転舵機構に付与すべきトルク指令値を算出するようにした場合であっても適用することができる。この場合には、最優先の状態にあるサブシステムで算出したトルク指令値を正常なサブシステム数で割り算した値を他のサブシステムに送信するようにし、電流制御演算器22a〜22cでは、この分割したトルク指令値と電流センサの検出信号とに基づいて転舵軸モータ11a〜11cを駆動制御するようにしてもよい。
【0059】
また、上記各実施の形態においては、転舵装置10に適用した場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、反力装置50が図10に示すように、前記転舵装置10と同様に、複数の反力発生モータ(図7の場合3つ)によってコラムシャフト3に操舵反力を付与するようにした構成であれば、反力装置50に適用することも可能である。
【0060】
すなわち、図10に示すように、各反力発生モータ11a′〜11c′をそれぞれ駆動制御するための反力発生コントローラ20a′〜20c′を設け、コラムシャフト3の回転角度を検出するための角度センサ13a′〜13c′の検出信号と、上位コントローラ60で算出された目標反力トルクに応じたコラムシャフト3の目標回転角度と、に基づいて、角度制御演算器21a′〜21c′において角度制御演算を行い、この角度制御演算器21a′〜21c′において算出された電流指令値と、電流センサ14a′〜14c′で検出された反力発生モータ11a′〜11c′への供給信号とを一致し得る駆動電流を電流制御演算器22a′〜22c′において算出し、これを反力発生モータ10a′〜10c′に供給し駆動する。
【0061】
そして、この場合にも、上記第1の実施の形態と同様に、何れか優先順位の高いサブシステムにおいて前記電流指令値の算出を行い、これを通信バス40′を介して他のサブシステムに通知し、全てのサブシステムが、同一の電流指令値に基づいて各反力発生モータ11a′〜11c′を駆動するようにすればよい。
このようにすることによって、上記第1の実施の形態と同等の作用効果を得ることができる。また、同様にして、上記第2の実施の形態に適用することで、第2の実施の形態と同等の作用効果を得ることができる。
【0062】
ここで、上記各実施の形態において、転舵軸モータ11a〜11cがトルク発生手段に対応し、サブシステムSUBa〜SUBcが制御ユニットに対応し、図3のステップS8及びステップS10の処理が代表動作判断手段に対応し、ステップS14の処理が制御指令値算出手段に対応し、ステップS20の処理及び通信バス40が送信手段に対応し、ステップS24の処理が受信手段に対応し、ステップS20及びステップS24の処理、通信バス40が指令値伝達手段に対応し、ステップS12〜ステップS26の処理が制御手段に対応し、角度センサ13a〜13cが動作量検出手段に対応し、図3のステップS2、S4及びS40の処理が故障診断手段に対応し、ステップS8の処理が故障情報受信手段に対応している。また、第2の実施の形態において、逆算部111が積分手段に対応し、リミッタ113が制限手段に対応している。
【0064】
また、操舵機構の操舵量に応じて当該操舵機構と機械的に分離された転舵機構を駆動制御する転舵装置と、前記転舵機構の転舵に伴う反力を前記操舵機構に付与する反力装置とを備え、前記転舵装置及び前記反力装置の少なくとも何れか一方は、前記転舵機構又は前記操舵機構にトルクを付与するトルク発生手段を有し且つ当該トルク発生手段のトルク発生量を制御指令値に基づいて制御する制御ユニットを複数備えて構成され、さらに前記転舵機構又は操舵機構に付与すべき目標トルクを前記複数の制御ユニットで分担して発生するようにした車両の操舵装置であって、前記制御ユニットは、自制御ユニットが代表制御ユニットであるかどうかを判断する代表動作判断手段と、前記目標トルクに基づき各制御ユニットで発生すべきトルクに応じた一の制御指令値を算出する制御指令値算出手段と、他の制御ユニットと前記制御指令値の授受を行う指令値伝達手段と、前記代表動作判断手段で前記自制御ユニットが代表制御ユニットであると判断されるとき、前記制御指令値算出手段で算出した制御指令値に基づき前記トルク発生手段を制御すると共に前記制御指令値を前記指令値伝達手段により他の制御ユニットに伝達し、前記自制御ユニットが代表制御ユニットでないと判断されるとき、前記指令値伝達手段により伝達された他の制御ユニットで算出された前記制御指令値に基づき前記トルク発生手段を制御する制御手段と、を備える構成としたから、何れの制御ユニットに異常が発生した場合であっても、各トルク発生手段で発生するトルクを同等の大きさの同一方向のトルクとすることができ、各トルク発生手段で発生するトルクが互いに干渉することを回避することができる。
【0065】
また、前記制御指令値算出手段は、前記制御指令値を算出するための指令値算出用データを積分する積分手段を備え、当該積分手段の積分出力を用いて前記制御指令値を算出し且つ自制御ユニットが前記代表制御ユニットに切り替わった時点から前記制御指令値の算出を開始する手段であって、前記積分手段の積分出力を制限する制限手段を備える構成としたから、代表制御ユニットに切り替わった時点で内部変数をリセットした後演算を開始する場合に、積分手段での内部変数が異常な値であるため、異常な制御指令値が算出されることに起因して、制御指令値算出手段による制御の応答性に悪影響を及ぼすことを回避することができる。
【0066】
また、前記トルク発生手段は駆動モータであって、前記制限手段は、各制御ユニットの駆動モータの最大定格電流から定まる各制御ユニットで発生可能な最大駆動トルクの総和を前記制限値として設定する構成としたから、異常な制御指令値が算出されることを最小限に抑えることができ、制御の応答性への悪影響を最小限に抑えることができる。
【0067】
また、前記制御指令値算出手段は、前記代表動作判断手段で代表制御ユニットでないと判断されるときにも、前記制御指令値の算出を行う構成としているから、制御指令値の演算に、過去の制御指令値算出時に用いた各種内部変数を用いるような場合であっても、代表制御ユニットが切り替わり的確な内部変数が設定されていないことに起因して制御指令値に悪影響を及ぼすことなく、的確な制御指令値を算出することができる。
【0068】
また、各制御ユニットは、前記操舵機構又は前記転舵機構の動作量を検出する動作量検出手段を備え、前記制御指令値算出手段は、前記動作量検出手段で検出した動作量に基づいて前記制御指令値を算出し、前記制御手段は、前記代表動作判断手段で代表制御ユニットであると判断されるときには、自制御ユニットの前記動作量検出手段で検出した動作量を、前記指令値伝達手段により他の制御ユニットに通知し、前記制御指令値算出手段は、前記代表動作判断手段で代表制御ユニットでないと判断されるときには、前記指令値伝達手段により通知された代表制御ユニットからの前記動作量をもとに、前記制御指令値を算出する構成としたから、各制御ユニットが同一の動作量をもとに制御指令値を算出することで、各制御ユニットにおける内部変数をより的確に一致させることができ、代表制御ユニットが切り替わり的確な内部変数が設定されていないことに起因して制御指令値に悪影響を及ぼすことを、より確実に抑制することができる。
【0069】
また、前記代表動作判断手段は、自制御ユニットの故障診断を行い異常を検出したときこれを他制御ユニットに通知する故障診断手段と、他制御ユニットの故障情報を受信する故障情報受信手段と、を備え、前記故障診断手段による自制御ユニットの故障情報及び前記故障情報受信手段による他制御ユニットの故障情報と、予め設定された優先順位とに基づき、自制御ユニットが正常であり、且つ正常に動作している制御ユニットの中で優先順位が最も高いときに、前記代表制御ユニットであると判断する構成としたから、複数の制御ユニットのうち、自制御ユニットが代表制御ユニットであるかどうかを容易的確に判断することができる。
【0070】
また、前記制御手段は、前記故障診断手段で異常を検出したとき前記トルク発生手段の制御を停止し、前記制御指令値算出手段は、前記代表動作判断手段で自制御ユニットが代表制御ユニットであると判断されるときには、正常に動作している制御ユニットの数に基づいて前記制御指令値を算出する構成としたから、正常にしている制御ユニットの数に応じて、目標トルクを発生し得る制御指令値を的確に算出することができる。
さらに、前記転舵装置を、前記複数の制御ユニットで構成するようにしたから、転舵制御をより高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における操舵装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】図1の転舵装置10の構成を示す概略構成図である。
【図3】図2の転舵軸角度コントローラ20aで実行される転舵軸角度制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図4】正常時における信号の流れを示す概念図である。
【図5】転舵軸角度コントローラ20aに異常が発生したときの信号の流れを示す概念図である。
【図6】転舵軸モータ11bに異常が発生したときの信号の流れを示す概念図である。
【図7】転舵装置10の構成を示す概略構成図である。
【図8】図7の転舵軸角度コントローラ20aで実行される転舵軸角度制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図9】図7の角度制御演算器21aを構成するロバスト外乱補償器の一例を示すブロック図である。
【図10】本発明を、図1の反力装置50に適用した場合の概略構成図である。
【符号の説明】
1 ステアリングホイール
2L、2R 転舵輪
3 コラムシャフト
10 転舵装置
11a、11b、11c 転舵軸モータ
12a、12b、12c モータドライバ
13a、13b、13c 角度センサ
14a、14b、14c 電流センサ
20a、20b、20c 転舵軸角度コントローラ
50 反力装置
60 上位コントローラ
101 ロバスト外乱補償器
111 逆算部
113 リミッタ
Claims (8)
- 操舵機構の操舵量に応じて当該操舵機構と機械的に分離された転舵機構を駆動制御する転舵装置と、前記転舵機構の転舵に伴う反力を前記操舵機構に付与する反力装置とを備え、
前記転舵装置及び前記反力装置の少なくとも何れか一方は、前記転舵機構又は前記操舵機構にトルクを付与するトルク発生手段をそれぞれ備えた複数の制御ユニットを有し且つ各制御ユニットは前記トルク発生手段のトルク発生量を制御指令値に基づいて制御し、
さらに前記転舵機構又は操舵機構に付与すべき目標トルクを前記複数の制御ユニットで分担して発生するようにした車両の操舵装置であって、
前記制御ユニットは、自制御ユニットが代表制御ユニットであるかどうかを判断する代表動作判断手段と、
前記目標トルクに基づき各制御ユニットで発生すべきトルクに応じた一の制御指令値を算出する制御指令値算出手段と、
他の制御ユニットと前記制御指令値の授受を行う指令値伝達手段と、
前記代表動作判断手段で前記自制御ユニットが代表制御ユニットであると判断されるとき、前記制御指令値算出手段で算出した制御指令値に基づき前記トルク発生手段を制御すると共に前記制御指令値を前記指令値伝達手段により他の制御ユニットに伝達し、前記自制御ユニットが代表制御ユニットでないと判断されるとき、前記指令値伝達手段により伝達された他の制御ユニットで算出された前記制御指令値に基づき前記トルク発生手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする車両の操舵装置。 - 前記制御指令値算出手段は、前記制御指令値を算出するための指令値算出用データを積分する積分手段を備え、当該積分手段の積分出力を用いて前記制御指令値を算出し且つ自制御ユニットが前記代表制御ユニットに切り替わった時点から前記制御指令値の算出を開始する手段であって、
前記積分手段の積分出力を制限する制限手段を備えることを特徴とする請求項1記載の車両の操舵装置。 - 前記トルク発生手段は駆動モータであって、
前記制限手段は、各制御ユニットの駆動モータの最大定格電流から定まる各制御ユニットで発生可能な最大駆動トルクの総和を前記制限値として設定するようになっていることを特徴とする請求項2記載の車両の操舵装置。 - 前記制御指令値算出手段は、前記代表動作判断手段で代表制御ユニットでないと判断されるときにも、前記制御指令値の算出を行うことを特徴とする請求項1記載の車両の操舵装置。
- 各制御ユニットは、前記操舵機構又は前記転舵機構の動作量を検出する動作量検出手段を備え、
前記制御指令値算出手段は、前記動作量検出手段で検出した動作量に基づいて前記制御指令値を算出し、
前記制御手段は、前記代表動作判断手段で代表制御ユニットであると判断されるときには、自制御ユニットの前記動作量検出手段で検出した動作量を、前記指令値伝達手段により他の制御ユニットに通知し、
前記制御指令値算出手段は、前記代表動作判断手段で代表制御ユニットでないと判断されるときには、前記指令値伝達手段により通知された代表制御ユニットからの前記動作量をもとに、前記制御指令値を算出することを特徴とする請求項3記載の車両の操舵装置。 - 前記代表動作判断手段は、自制御ユニットの故障診断を行い異常を検出したときこれを他制御ユニットに通知する故障診断手段と、
他制御ユニットの故障情報を受信する故障情報受信手段と、を備え、
前記故障診断手段による自制御ユニットの故障情報及び前記故障情報受信手段による他制御ユニットの故障情報と、予め設定された優先順位とに基づき、自制御ユニットが正常であり、且つ正常に動作している制御ユニットの中で優先順位が最も高いときに、前記代表制御ユニットであると判断するようになっていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の車両の操舵装置。 - 前記制御手段は、前記故障診断手段で異常を検出したとき前記トルク発生手段の制御を停止し、
前記制御指令値算出手段は、前記代表動作判断手段で自制御ユニットが代表制御ユニットであると判断されるときには、正常に動作している制御ユニットの数に基づいて前記制御指令値を算出するようになっていることを特徴とする請求項6記載の車両の操舵装置。 - 前記転舵装置は、前記複数の制御ユニットで構成されることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の車両の操舵装置。
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