JP4479424B2 - 車両の操舵装置 - Google Patents

車両の操舵装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4479424B2
JP4479424B2 JP2004253412A JP2004253412A JP4479424B2 JP 4479424 B2 JP4479424 B2 JP 4479424B2 JP 2004253412 A JP2004253412 A JP 2004253412A JP 2004253412 A JP2004253412 A JP 2004253412A JP 4479424 B2 JP4479424 B2 JP 4479424B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steering
subsystem
inspection
steering mechanism
angle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2004253412A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006069307A (ja
Inventor
太 松尾
裕介 加藤
和孝 安達
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2004253412A priority Critical patent/JP4479424B2/ja
Publication of JP2006069307A publication Critical patent/JP2006069307A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4479424B2 publication Critical patent/JP4479424B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Power Steering Mechanism (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Description

本発明は、車両の操舵装置に関し、特にその構成部位について自己で異常診断可能な車両の操舵装置に関する。
従来までパワーステアリング等の自動車ステアリング用補助装置の操舵システムの性能保証レベルを診断するものとして、特許文献1に開示されている負荷装置がある。
この負荷装置では、車両搭載前にシステムを構成するモータに対して、そのモータの特性を考慮した負荷を外部から加えることで、システムの性能保障レベルを診断していた。また、このような装置以外でも、車両搭載後やディーラ等において、「軽い」、「重い」といった官能的な方法によりシステムの診断がなされていた。
ところで、近年、運転者が操舵するステアリングホイールと転舵輪の転舵機構とが機械的に切り離され、エンコーダ等の検出器によりステアリングホイールの操舵角を検出し、この操舵角検出値に応じて、アクチュエータにより車輪を転舵する操舵装置として、ステアバイワイヤ式の操舵装置が提案されている。
この種の操舵装置では、例えば、ラックアンドピニオン機構等で構成される転舵機構を駆動するための転舵軸モータとこの転舵軸モータを駆動する転舵コントローラとからなるサブシステムが、複数、例えば2つ設けられて構成されている。そして、各サブシステムでは、各サブシステム毎に設けられた角度センサによって転舵軸の変位量を検出し、この変位量と、上位コントローラからの目標転舵角指令値とに基づいて、各サブシステム毎に制御量を算出し、これに基づいて転舵軸モータを駆動するようになっている(例えば非特許文献1参照)。
特開2000−193562号公報 「エックスバイワイヤ・デービー6/6−24(XByWire−DB−6/6−24)」,第2.0.0版,エックスバイワイヤ・コンソーシアム(X−By−Wire Consortium),1998年11月26日,p.43−50
前記非特許文献1で開示されているようなステアバイワイヤ式の操舵装置のような冗長構成を採用する装置では、製造の各工程における組付け不良や経時劣化が発生する場合がある。製造の各工程における組付け不良や経時劣化としては、例えばコネクタの接触不良による抵抗増大、ネジの締め付け不良によるフリクションの増大、モータの熱による劣化等が挙げられる。
そのため、前記特許文献1のように外部負荷装置を用いてモータ特性を診断するだけでは、そのような冗長構成のシステムの性能保障レベルを満足できる診断を行うことができない。また、製造ラインでの車両搭載後やディーラにおいて診断を行う場合でも、その診断が、システムとしての性能保証レベルを満足できるような診断となっていることが望ましい。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、外部負荷装置等を用いることなく、簡単な構成によりシステムの異常検査ができる車両の操舵装置の提供を目的とする。
本発明に係る車両の操舵装置は、操舵機構の操舵量に応じて当該操舵機構と機械的に分離された転舵機構を駆動制御する転舵装置と、前記転舵機構の転舵に伴う反力を前記操舵機構に付与する反力装置とを備え、前記転舵装置及び前記反力装置の少なくとも何れか一方は、前記転舵機構又は前記操舵機構を転舵又は操舵するようにトルクを付与するトルク発生手段を複数備えて構成した車両の操舵装置である。
この車両の操舵装置は、2つのトルク発生手段が発生する各トルクが前記転舵機構又は操舵機構にてその転舵方向又は操舵方向で互いに反対になるように作用し、かつその絶対値が同じになるようにしつつ当該各トルクを漸増させて当該2つのトルク発生手段を駆動するとともに当該トルク発生手段を備える前記転舵機構又は操舵機構の動作を検出し、その検出結果に基づいて、当該トルク発生手段の異常を異常判定手段により判定する。
これにより、2つのトルク発生手段の正常又は異常に応じて、当該2つのトルク発生手段を備える転舵機構又は操舵機構が異なる動作をするようになるので、例えば一方のトルク発生手段が異常の場合、転舵機構が転舵動作又は操舵機構が操舵動作するようになるので、その動作を検出することで当該トルク発生手段の異常を判定できる。
本発明によれば、本来車両の操舵装置を構成するトルク発生手段だけで当該トルク発生手段の異常検出ができるから、外部負荷装置等を用いることなく簡単な構成でシステムの異常検査ができるようになる。
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態は、本発明を適用した車両の操舵システムである。図1は、その操舵システムの構成の概略構成図である。
図中、10は、ステアリングホイール1とは機械的に切り離された転舵装置、50は、ステアリングホイール1に対して操舵反力を付与するための反力装置である。
この反力装置50は、公知の反力装置と同等に構成され、例えば転舵装置10における転舵軸の変位量及び図示しない車速検出手段によって検出した車速等に基づいて上位コントローラ60で算出された、転舵トルクに応じた目標反力トルクに基づいて、図示しない反力発生モータを駆動し、転舵トルクに見合った目標反力トルクをステアリングホイール1の回転中心部に取り付けられたコラムシャフト3に付与する。これによって、運転者に対し、操舵量に応じた操舵反力を与えるようになっている。
一方、転舵装置10は、図2に示すように、例えばラックアンドピニオン機構で構成される転舵機構5の回転部材であるピニオンを駆動するための転舵軸モータを駆動する3つのサブシステム(第1乃至第3サブシステム)SUBa〜SUBcで構成されている。そして、これら第1乃至第3サブシステムSUBa〜SUBcは同一構成を有し、通信バス40を介して接続され、他のサブシステム及び上位コントローラ60との間で信号の授受を行っている。
この操舵システムでは、各サブシステムSUBa〜SUBcは、優先順位に従って、マスタサブシステムとして、又はそのマスタサブシステムに従うスレーブサブシステムとして動作する。なお、工場出荷時に優先順位の初期値が設定されている。
第1サブシステムSUBaは、転舵機構5を駆動するための転舵軸モータ11aと、この転舵軸モータ11aを駆動するためのモータドライバ12aと、転舵機構5の動作による図示しない転舵軸の転舵角度及び転舵角速度を検出する角度センサ13aと、転舵軸モータ11aへの供給電流を検出する電流センサ14aと、角度センサ13aの検出信号及び上位コントローラ60からの目標転舵角指令値、又は他のサブシステムからの転舵角度の制御指令値と、電流センサ14aの検出信号とに基づいて転舵軸モータ11aへの電流指令値を算出し、これをモータドライバ12aに出力する転舵軸角度コントローラ20aとを備えている。
なお、転舵軸モータ11aと転舵機構5との間には、図示しないクラッチ機構が設けられている。これにより、クラッチ機構を遮断状態にすることで、転舵軸モータ11aと転舵機構5との間の動力の伝達経路を遮断可能としている。これにより、第1サブシステムSUBaは、当該第1サブシステムSUBaの構成部位の異常、例えば転舵軸モータ11aの異常や転舵軸角度コントローラ20aの異常を検出した場合には、転舵軸モータ11aの駆動を停止するとともに、クラッチ機構を遮断状態に制御するようになっている。
転舵軸角度コントローラ20aは、角度制御演算器21aと、電流制御演算器22aとを備えている。
角度制御演算器21aは、角度センサ13aで検出した転舵軸の転舵角度及び転舵角速度、上位コントローラ60からの目標転舵角度指令値、他のサブシステムが正常動作しているか否かといった稼動状態、及び、予めサブシステムSUBa〜SUBcに対して設定された優先順位に基づいて処理を行っている。これにより、角度制御演算器21aは、サブシステムSUBa〜SUBcのうち、自サブシステムの優先順位が最も高いときには、前記各種情報に基づいて転舵角度の制御量を算出するとともに、これを転舵角度の制御指令値として通信バス40を介して他のサブシステムに通知する。
電流制御演算器22aは、角度制御演算器21aで算出された転舵角度の制御量又は通信バス40を介して他のサブシステムから通知された転舵角度の制御指令値と、電流センサ14aの検出信号とに基づいて電流制御を行う。
前記優先順位は、例えば、サブシステムSUBa〜SUBcの中で、角度センサ13a〜13cからの転舵角度の平均値に最も近い角度センサを有するサブシステムの優先順位を最優先として設定する。
以上のように第1サブシステムSUBaが構成されている。そして、第2及び第3サブシステムSUBb,SUBcも、第1サブシステムSUBaと同一の構成を有している。すなわち、第2及び第3サブシステムSUBb,SUBcも、転舵機構5を駆動するための転舵軸モータ11b,11cと、この転舵軸モータ11b,11cを駆動するためのモータドライバ12b,12cと、転舵機構5の動作による図示しない転舵軸の転舵角度及び転舵角速度を検出する角度センサ13b,13cと、転舵軸モータ11b,11cへの供給電流を検出する電流センサ14b,14cと、角度センサ13b,13cの検出信号及び上位コントローラ60からの目標転舵角指令値、又は他のサブシステムからの転舵角度の制御指令値と、電流センサ14b,14cの検出信号とに基づいて転舵軸モータ11b,11cへの電流指令値を算出し、これをモータドライバ12b,12cに出力する転舵軸角度コントローラ20b,20cとを備えている。ここで、転舵軸角度コントローラ20b,20cは、角度制御演算器21b,21cと、電流制御演算器22b,22cとを備えている。
このように第2及び第3サブシステムSUBb,SUBcも、第1サブシステムSUBaと同一の構成を有しており、それら構成部は、第1乃至第3サブシステムSUBa〜SUBcに関係なく、同じ特性を有している。すなわち、第1乃至第3サブシステムSUBa〜SUBcは、同じ出力特性を有するものとして構成されている。
このように、第2サブシステムSUBb及びSUBcも、第1サブシステムSUBaと同一の機能構成を有していることから、ここでは、その説明は省略する。
次に以上のように構成される車両の操舵システムの動作を説明する。
上位コントローラ60では、ステアリングホイール1の運転者による操舵量を検出する図示しない操舵角センサの検出信号等に基づいて公知の手順で目標転舵角指令値を算出しこれを転舵装置10に出力するとともに、公知の手順で転舵装置10における転舵軸の変位量、車速等に基づいて算出された、転舵トルクに応じた目標反力トルクに基づいて図示しない反力発生モータを駆動する。これによって、転舵トルクに見合った反力トルクがステアリングホイール1の回転中心部に取り付けられたコラムシャフト3に付与され、運転者に対し、操舵量に応じた操舵反力が付与される。
一方、転舵装置10の各サブシステムSUBa〜SUBcでは、転舵軸角度制御処理を実行し、各サブシステムSUBa〜SUBcが正常に動作している場合には、自己診断の結果正常であると判定されるから、上位コントローラ60からの目標転舵角指令値を読み込み、さらに、他のサブシステムから稼動状態情報として異常である旨の通知が行われているかどうかを判定し、他のサブシステムの稼動状態に基づいて自サブシステムの優先順位を認識する。
つまり、今、上位コントローラ60から、第1サブシステムSUBa、第2サブシステムSUBb、第3サブシステムSUBcの順番で優先順位が通知されているものとすると、各サブシステムSUBa〜SUBcが正常に動作している状態では、第1サブシステムSUBaでは自サブシステムの優先順位が最も高いと認識し、第2サブシステムSUBbでは、自サブシステムの優先順位は2番目に高いと認識し、第3サブシステムSUBcでは、自サブシステムの優先順位は最も低いと認識する。すなわち、第1サブシステムSUBaは、自サブシステムがマスタサブシステムとして動作すべきことを認識し、第2及び第3サブシステムSUBb,SUBcは、自サブシステムが第1サブシステムSUBaに従うサブシステム、すなわちスレーブサブシステムとして動作すべきことを認識する。
そして、最優先状態にある第1サブシステムSUBaでは、角度センサ13aからの角度データを読み込み、これを他のサブシステムSUBb,SUBcに通信バス40を介して送信する。
そして、第1サブシステムSUBaでは、上位コントローラ60から通知された目標転舵角指令値と、先に読み込んだ角度データと、に基づいてこの転舵角度が目標転舵角指令値に収束し得るために転舵機構5に付与すべき転舵トルクを算出し、この転舵トルクを発生し得る転舵電流指令値Iを算出する。このサブシステムSUBaで算出した転舵電流指令値IをIaと表し、以後、添字によって、転舵電流指令値Iを算出したサブシステムSUBを表すものとする。
このとき、全てのサブシステムは正常であるから、正常サブシステム数は、“3”となる。これにより、第1サブシステムSUBaでは、転舵電流指令値Iaを“3”で等分してサブシステム当たりの転舵電流指令値を算出し、これを分割転舵電流指令値Isとして通信バス40を介して他の第2及び第3サブシステムSUBb,SUBcに通知する。なお、第1サブシステムSUBaで算出した分割転舵電流指令値IsをIsaと表し、以後、添字によって、分割転舵電流指令値Isを算出したサブシステムを表すものとする。
そして、この分割転舵電流指令値Isaを制御用電流指令値とし、電流センサ14aで検出した転舵軸モータ11aに供給される電流値が、制御用電流指令値つまり分割転舵電流指令値Isaと一致するよう、電流制御演算を行い、これに応じた駆動信号をモータドライバ12aに出力する。
一方、第2サブシステムSUBbでは、自サブシステムは最優先状態のサブシステムではないから、最優先状態の第1サブシステムSUBaから通知された角度センサ13aの角度データを読み込み、これに基づいて転舵電流指令値Ibを算出しこの転舵電流指令値Ibを、所定の記憶領域に保存しておく。
次いで、第2サブシステムSUBbでは、第1サブシステムSUBaにおいて算出した分割転舵電流指令値Isaを読み込み、これを制御用電流指令値とする。例えば、右方向に転舵する場合、制御用電流指令値は正値となり、左方向に転舵する場合、制御用電流指令値は負値となる。
そして、第2サブシステムSUBbでは、電流センサ14bで検出した転舵軸モータ11bに供給される電流値を読み込み、この転舵軸モータ11bへの供給電流が、制御用電流指令値、つまり第1サブシステムSUBaで算出した分割転舵電流指令値Isbと一致するよう、電流制御演算を行い、これに応じた駆動信号をモータドライバ12bに出力する。
同様に、第3サブシステムSUBcにおいても、最優先状態にある第1サブシステムSUBaから通知された角度センサ13aの角度データを読み込み、これに基づいて転舵電流指令値Ic を算出しこれを所定の記憶領域に保存する。
さらに、第3サブシステムSUBcでは、第1サブシステムSUBaから分割転舵電流指令値Iscを読み込んでこれを制御用電流指令値とし、電流センサ14cで検出した転舵軸モータ11cに供給される電流値を読み込み、この転舵軸モータ11cへの供給電流が、制御用電流指令値、つまり第1サブシステムSUBaで算出した分割転舵電流指令値Isaと一致するよう電流制御演算を行い、これに応じた駆動信号をモータドライバ12cに出力する。
以上の動作における、各サブシステムSUBa〜SUBc間での信号の流れを表したものが、図3であって、サブシステムSUBb及びSUBcは、サブシステムSUBaで算出した分割電流指令値Isaを通信バス40を介して受信し、この分割電流指令値Isaと、各角度センサ13a〜13cの検出信号とに基づいて、各転舵軸モータ11a〜11cを駆動制御する。
したがって、各サブシステムSUBa〜SUBcのモータドライバ12a〜12cでは、駆動信号に応じて転舵軸モータ11a〜11cを駆動するが、このとき、各サブシステムSUBa〜SUBcにおいては、各転舵軸モータ11a〜11cへの供給電流が分割転舵電流指令値Isaとなるように制御を行うから、各転舵軸モータ11a〜11cは同じ回転方向にかつ同じ大きさのトルクを発生するように駆動されることになる。
次に、車両の操舵システムにおける検査処理を説明する。図4は、その処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
先ず、ステップS1で、操舵システムでは、検査を実施するサブシステムの組合せを決定する。例えば、上位コントローラ60がその決定をする。
以下、ここで、検査対象とされた1対のサブシステムを第1及び第2検査サブシステムと称し、この例では、第1サブシステムSUBaを第1検査サブシステムSUBaとし、第2サブシステムSUBbを第2検査サブシステムSUBbとした場合について説明する。
続いてステップS2において、操舵システムでは、検査準備をする。図5は、その処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
この図5に示すように、先ずステップS21において、操舵システムでは、検査用の電流指令値(制御用電流指令値)を検査サブシステムに分配するマスタサブシステムを決定する。ここでは、マスタサブシステムとして第3サブシステムSUBcが選定される。例えば、上位コントローラ60がその選定をする。
続いてステップS22において、操舵システムでは、現在の転舵角(検査開始角)を確認する。このときに、特殊な場合を除いては検査開始角に制限はないものとする。ここで、特殊な場合とは、例えば転舵角が既に駆動限界の角度に到達しているような場合である。ここでは、第3サブシステムSUBcは、角度センサ13aから得ている現在の転舵角を0°に設定(仮定)する。
続いてステップS23において、操舵システムでは、各検査サブシステムによる転蛇方向を決定する。例えば、上位コントローラ60がその決定をする。具体的には、第1検査サブシステムSUBaに供給する電流指令値を、右方向に転舵するための正値の電流指令値とし、第2検査サブシステムSUBbに供給する電流指令値を、左方向に転舵するための負値の電流指令値とする。すなわち、第1検査サブシステムSUBaと第2検査サブシステムSUBbとが互いに逆方向に転舵するような電流指令値の設定をする。
続いてステップS24において、操舵システムでは、角度変化の合否判定(検査の合否判定)に用いる定常試験電流値、定常試験電流値到達時間、定常状態試験時間を決める。総合試験時間は定常試験電流値到達時間と定常状態試験時間との合計時間である。
この検査では、供給する電流指令値を徐々に大きくしていき、その電流指令値を最終的には定常値にもっていくようにしている。このようなことから、定常試験電流値は、その定常時の電流指令値であり、定常試験電流値到達時間は、電流指令値を供給開始してからその定常時の電流指令値になるまでの時間であり、定常状態試験時間は、定常値の電流指令値で行う試験(検査)の時間である。
以上のような検査処理により検査準備をして、続くステップS3に進む。
続いてステップS3において、マスタサブシステム(第3サブシステムSUBc)が検査を開始する。
続いてステップS4において、マスタサブシステムは電流指令値を変更する。具体的には、マスタサブシステムは、前記ステップS2で決定した定常試験電流到達時間と定常試験電流値とから電流指令値の絶対値を算出する。すなわち、定常試験電流到達時間経過時に定常試験電流値になるように、定常試験電流到達時間内に単位時間あたりに変化していく電流指令値を、絶対値として算出する。さらに、マスタサブシステムは、そのように算出した電流指令値の絶対値に各検査サブシステムに対応する転舵方向に応じて符号を掛ける。具体的には、第1検査サブシステムSUBaに供給する電流指令値を、当該ステップS4で算出した電流指令値の正値とし、第1検査サブシステムSUBaに供給する電流指令値を、当該ステップS4で算出した電流指令値の負値とする。
続いてステップS5において、マスタサブシステムは、前記ステップS4で算出した電流指令値を第1及び第2検査サブシステムSUBa,SUBbにそれぞれ出力する(分配する)。これにより、第1検査サブシステムSUBaと第2検査サブシステムSUBbとは正負逆の電流指令値に基づいて転舵軸モータ11a,11bを駆動する。なお、マスタサブシステムでは、電流指令値(制御用電流指令値)を0にしている。
すなわち、第1検査サブシステムSUBaでは、電流センサ14aで検出した転舵軸モータ11aに供給される電流値を読み込み、この転舵軸モータ11aへの供給電流が、電流指令値と一致するよう、電流制御演算を行い、これに応じた駆動信号をモータドライバ12aに出力する。一方、第2検査サブシステムSUBbでは、電流センサ14bで検出した転舵軸モータ11bに供給される電流値を読み込み、この転舵軸モータ11bへの供給電流が、電流指令値と一致するよう、電流制御演算を行い、これに応じた駆動信号をモータドライバ12bに出力する。これにより、モータドライバ12a,12bにより転舵軸モータ11a,11bが駆動制御される。
続いてステップS6において、マスタサブシステムは、角度変化を確認する。具体的には、マスタサブシステムは、角度センサ13aにより転舵角を取得し、その取得した転舵角と角度変化リミッタとを比較する。ここで、角度変化リミッタは、前記ステップS22で設定した転舵角初期値(0°)を基準とした所定の閾値である。マスタサブシステムは、転舵角がこの角度変化リミッタよりも大きい場合、異常であるとしてステップS12に進み、転舵角が角度変化リミッタ以下の場合、正常であるとしてステップS7に進む。
ここで、第1乃至第3サブシステムSUBa〜SUBcは、同じ出力特性を有するものとして構成されていることから、前述したように第1検査サブシステムSUBaと第2検査サブシステムSUBbとを正負逆の電流指令値により駆動し、相反する方向に転舵するようにした場合には、通常は、転舵軸モータ11a,11bの駆動力の均衡が保たれて、ピニオンは回転しない。しかし、例えば検査サブシステムSUBa,SUBbの転舵軸角度コントローラ20b,20cや転舵軸モータ11b,11cに異常が発生している場合には、第1検査サブシステムSUBaと第2検査サブシステムSUBbとを正負逆の電流指令値で駆動しても、転舵軸モータ11a,11bの駆動力の均衡が保たれず、ピニオンが回転するようになる。このような場合、マスタサブシステムが検出する角度は変化する。
ステップS7では、マスタサブシステムは、電流指令値が前記ステップS2で決定した定常試験電流値に到達しているか否かを判定する。ここで、マスタサブシステムは、電流指令値が定常試験電流値に到達している場合、ステップS8に進み、電流指令値が定常試験電流値に到達していない場合、再びステップS4からの処理を開始する。ここで、再びステップS4からの処理を開始した場合、マスタサブシステムは、当該ステップS4で電流指令値を所定量増加させることとなる。
ステップS8では、マスタサブシステムは、定常試験電流値を検査サブシステムに分配する。
続いてステップS9において、マスタサブシステムは、前記ステップS6と同様に、角度変化を確認する。具体的には、ステップS9では、マスタサブシステムは、転舵角を取得し、その取得した転舵角と角度変化リミッタ(所定の閾値)とを比較する。
前記ステップS6では、電流指令値が定常試験電流値に到達するまでの時間内、或いは定常試験電流到達時間内に、電流指令値を増加させて行ったときの角度変化を確認する処理であり、このステップS9では、定常試験電流到達時間経過後に、一定値(定常試験電流値)の電流指令値により行ったときの角度変化を確認する処理になる。
このステップS9で、マスタサブシステムは、転舵角が角度変化リミッタよりも大きい場合、異常であるとしてステップS12に進み、転舵角が角度変化リミッタ以下の場合、正常であるとしてステップS10に進む。
ステップS10では、マスタサブシステムは、定常状態における検査時間をカウントする。
続いてステップS11において、マスタサブシステムは、タイムアウトを判定する。具体的には、マスタサブシステムは、前記ステップS2で算出した定常状態検査時間と前記ステップS10の検査時間カウント値とを比較して、検査時間カウント値が定常状態検査時間よりも大きい場合、タイムアウトと判定し、ステップS12に進み、検査時間カウント値が定常状態検査時間以下の場合、タイムアウトしていないと判定して、再びステップS8からの処理を行う。
ステップS12は、前記ステップS6で角度変化を確認できた場合や前記ステップS9で角度変化を確認できた場合にも進むステップである。このステップS12で、マスタサブシステムは、検査終了処理を行う。
続いてステップS13において、マスタサブシステムは、検査結果を保存する。すなわち、マスタサブシステムは、前記ステップS6や前記ステップS9からステップ12に進んだ場合、マスタサブシステムは、異常であるとする判定結果(検査結果)を保存し、前記ステップS11からステップ12に進んだ場合、マスタサブシステムは、正常であるとする判定結果(検査結果)を保存する。
続いてステップS14において、マスタサブシステムは、冗長構成において検査を行う組合せが全て終了したか否かを判定する。
すなわち、前述の説明では、第1及び第2サブシステムSUBa,SUBbを検査サブシステムとし、第3サブシステムSUBcをマスタサブシステムとして説明しているが、実際には全ての組み合わせについて検査を行うのである。例えば、下記表1のような組み合わせで検査を行う。
Figure 0004479424
このような全ての組み合わせについての検査を実現すべく、このステップS14では、それらの組み合わせ(本例では3通りの組み合わせ)について検査が終了したか否かを判定する。ここで、マスタサブシステムは、全ての組み合わせについて検査を終了している場合には、ステップS15に進み、全ての組み合わせについて検査を終了していない場合には、再びステップS1からの処理を開始する。
ステップS15では、マスタサブシステムは、検査結果の集約を行った後、解析し最終的な検査結果を出力する。この最終的な検査結果として、特定のサブシステム又はそのサブシステムの転舵軸モータが異常であることが特定される。
以上、図4に示したように検査処理を行う。
以上の検査処理の一連の処理は次のようになる。
操舵システムでは、検査を実施するサブシステムの組合せを決定した後(前記ステップS1)、検査準備をする(前記ステップS2)。
検査準備では、操舵システムは、検査用の電流指令値(制御用電流指令値)を検査サブシステムに分配するマスタサブシステムを決定するとともに(前記ステップS21)、現在の転舵角(検査開始角)を確認する(前記ステップS22)。そして、操舵システムでは、検査サブシステムによる転蛇方向を決定するとともに(前記ステップS23)、角度変化の合否判定に用いる定常試験電流値、定常試験電流値到達時間、定常状態試験時間を決める(前記ステップS24)。
この検査準備後、マスタサブシステムが検査を開始し(前記ステップS3)、マスタサブシステムは、電流指令値を変更(算出)するとともに(前記ステップS4)、その電流指令値を第1及び第2検査サブシステムにそれぞれ出力する(前記ステップS5)。これにより、第1検査サブシステムと第2検査サブシステムとは正負逆の電流指令値に基づいて転舵軸モータを駆動する。マスタサブシステムは、このときの角度変化を角度変化リミッタを用いて確認する(前記ステップS6)。ここで、マスタサブシステムは、転舵角がこの角度変化リミッタよりも大きい場合、異常と判定し、転舵角が角度変化リミッタ以下の場合、正常と判定する。
ここで、第1及び第2検査サブシステムは、同じ出力特性を有するものとして構成されていることから、第1及び第2検査サブシステムの転舵軸角度コントローラや転舵軸モータ等の構成部が正常である限り、第1検査サブシステムと第2検査サブシステムとを正負逆の電流指令値により駆動しても、各転舵軸モータの駆動力の均衡が保たれて、ピニオンは回転しない。この場合、そして、ピニオンの回転角(転舵角)が角度変化リミッタよりも大きくならないことから、正常と判定される。
しかし、第1検査サブシステムや第2検査サブシステムの転舵軸角度コントローラや転舵軸モータ等の構成部に異常が発生している場合、第1検査サブシステムと第2検査サブシステムとを正負逆の電流指令値で駆動すると、転舵軸モータの駆動力の均衡が保たれず、ピニオンが回転してしまう。そして、そのようなピニオンの回転が回転角(転舵角)で角度変化リミッタよりも大きくなると、異常と判定されるのである。
このように、マスタサブシステムは、第1検査サブシステムや第2検査サブシステムの転舵軸角度コントローラや転舵軸モータ等の構成部に正常及び異常を、ピニオンの回転角(転舵角)に基づいて判定している。
そして、正常と判定した場合、マスタサブシステムは、電流指令値が定常試験電流値に到達しているか否かを判定する(前記ステップS7)。ここで、マスタサブシステムは、電流指令値が定常試験電流値に到達している場合、定常試験電流値を検査サブシステムに分配し(前記ステップS8)、定常試験電流値に到達していない場合、電流指令値を所定量変化させる(前記ステップS4)。
一方、マスタサブシステムは、検査サブシステムに定常試験電流値の分配を開始すると(前記ステップS8)、そのときの角度変化を角度変化リミッタを用いて確認する(前記ステップS9)。ここで、マスタサブシステムは、転舵角がこの角度変化リミッタよりも大きい場合、異常と判定し、転舵角が角度変化リミッタ以下の場合、正常と判定する。
正常と判定した場合には、マスタサブシステムは、定常状態における検査時間をカウントするとともに(前記ステップS10)、その検査時間のタイムアウトを判定する(前記ステップS11)。ここで、マスタサブシステムは、定常状態検査時間と検査時間カウント値とを比較して、検査時間カウント値が定常状態検査時間よりも大きい場合、タイムアウトと判定し、検査時間カウント値が定常状態検査時間以下の場合、タイムアウトしていないと判定する。
タイムアウトしていると判定した場合には、マスタサブシステムは検査終了処理を行うとともに(前記ステップS12)、検査結果を保存する(前記ステップS13)。なお、この検査終了処理は、転舵角が角度変化リミッタよりも大きい場合(前記ステップS6又は前記ステップS9)、異常と判定した場合に直ぐに行われる処理でもある。
そして、マスタサブシステムは、冗長構成において検査を行う組合せが全て終了したか否かを判定する(前記ステップS14)。ここで、マスタサブシステムは、全ての組み合わせについて検査を終了している場合には、検査結果の集約を行った後、解析し最終的な検査結果を出力し(前記ステップS15)、全ての組み合わせについて検査を終了していない場合には、検査を実施するサブシステムの組合せを決定し(前記ステップS1)、他の組み合わせについての検査処理を再び実施する。
以上のような検査処理により、サブシステムの転舵軸角度コントローラや転舵軸モータ等の構成部が正常である限り、2つのサブシステムをそれぞれ正負逆の電流指令値で駆動しても、検査開始時からピニオンの回転角(転舵角)は変化しないので、その状態を検出することで正常と判定できる。その一方で、サブシステムの転舵軸角度コントローラや転舵軸モータ等の構成部に異常が発生している場合に、2つのサブシステムをそれぞれ正負逆の電流指令値で駆動するとピニオンが回転することから、そのピニオンの回転を検出することで異常検出ができる。
なお、操舵システムが2つのサブシステムから構成されている場合で、2つのサブシステムで同時に、まったく同じ動作となる異常を発生している場合に、2つのサブシステムをそれぞれ正負逆の電流指令値で駆動しても、転舵軸モータ11a,11bの駆動力の均衡が保たれて、ピニオンが回転しないことも考えられる。しかし、このようなケースは特殊なケースであるので、システムの故障確率が許容範囲かどうかで、さらに、操舵システムを3つ以上のサブシステム構成とするか考慮されるものである。
さらにこの検査処理により得られる検査結果の具体例を説明する。
ここで、検査条件を次のようにする。操舵システムは3つのサブシステムから構成されており、その3つのサブシステムSUBa〜SUBcを検査対象とする。また、正値の電流指令値を右転舵となる値として、その正値の電流指令値を第1検査サブシステムに供給し、負値の電流指令値を左転舵となる値として、その負値の電流指令値を第2検査サブシステムに供給する。また、検査開始角を0°とし、第1検査サブシステムへの定常試験電流値を10Aとし、第2検査サブシステムへの定常試験電流値を−10Aとし、定常試験電流到達時間を1秒とし、定常状態試験時間を3秒とし、総合試験時間を4秒とし、角度変化リミッタを±1°とする。
このような検査条件の下、第1検査サブシステムと第2検査サブシステムとにおける電流指令値を、絶対値で同値とし、正負逆の値にすることで、第1検査サブシステムと第2検査サブシステムとにおける転陀方向(転舵機構5のピニオンに作用するトルクの方向)が逆になる。ここでは、第1検査サブシステムの転舵軸モータにおいては右転舵となる力が発生し、第2サブシステムの転舵軸モータにおいては左転舵となる力が発生する。
ここで、図6(A)に、第1及び第2検査サブシステムにおける電流指令値の変化を示す。この図6(A)に示すように、定常試験電流到達時間を1秒とし、定常試験電流値を±10Aとしていることから、第1及び第2検査サブシステムに供給される電流指令値は、100msecに1Aの増加割合で変化することになる。そして、第1及び第2検査サブシステムにおける電流指令値がそれぞれ定常試験電流値である+10A,−10Aに到達すると、その後3秒間の定常状態試験を開始する。
そして、マスタサブシステムは、それら期間、すなわち総合試験時間としての合計4秒間、検査判定を行う。すなわち、マスタサブシステムは、電流指令値が定常になるまでの1秒間、さらに定常になってからの3秒間、転舵角(実転舵角)が角度変化リミッタである±1°の許容範囲内になるか否かについて判定する。
図6(B)及び(C)は、このような検査で得られる転舵角の変化の例をそれぞれ示す。図6(B)に示すように、転舵角が角度変化リミッタ内にあれば、マスタサブシステムは、検査サブシステムが正常であると判定する。一方、図6(C)に示すように、転舵角が角度変化リミッタを超えれば、マスタサブシステムは、検査サブシステムが異常であると判定する。
そして、このような検査を3つサブシステムSUBa〜SUBcの全ての組み合わせについて行う。すなわち、下記表2のような組み合わせとして、マスタサブシステムから各サブシステムに電流指令値を供給する(分配する)。このとき、マスタサブシステムの電流指令値は0Aである。
Figure 0004479424
下記表3は、表2のような組み合わせで行った場合の検査結果の一例を示す。
Figure 0004479424
この表3に示す検査結果では、第1サブシステムSUBaと第2サブシステムSUBbとを検査サブシステムとした場合、正常であるとする判定結果を得ており、第1サブシステムSUBaと第3サブシステムSUBcとを検査サブシステムとした場合、異常であるとする判定結果を得ており、第2サブシステムSUBbと第3サブシステムSUBcとを検査サブシステムとした場合、異常であるとする判定結果を得ている。
この表3のような検査結果が得られた場合、マスタサブシステムは、それらの組み合わせから判定して、すなわち異常となったときの回転方向から問題のあるサブシステム又はそのサブシステムの転舵軸モータを特定する。この例では、2つの組み合せ共に、第3サブシステムSUBcの回転指令方向に、回転したという結果から、マスタサブシステムは、第3サブシステムSUBcを問題がある転舵軸モータとして特定する。
次の前述の実施形態における効果を説明する。
前述したように、2つのサブシステムに正負逆の検査用の電流指令値をそれぞれ供給して、転舵装置10の動作を検出し、具体的にはその動作としてピニオンの回転角を検出し、その検出結果に基づいて当該2つのサブシステムに異常があるか否かを判定している。
これにより、操舵システムでは、前記特許文献1で開示されている外部負荷装置等を用いることなく、簡単な構成によりサブシステムの異常検査ができる。さらに、車両搭載後の構成で検査を実現しているので、車両搭載後においてもシステムの動作保証レベルを容易に診断できる。
また、製造時の組み付け工程における組み付け不良や経時劣化等はサブシステムの転舵軸モータの出力トルクの変化として現れるので、サブシステムが正常であることを検査できれば、すなわちサブシステムの転舵軸モータの出力トルクがそれぞれ等しいことを検査できれば、同時に製造時の組み付け工程における組み付け不良や経時劣化等が許容レベル内にあると診断することもできる。
また、前記特許文献1に開示するような外部負荷装置を用いて外部からモータに力を与えて検査を行う場合、検査対象のモータの特性を考慮して外部負荷装置の特性を決定する必要がある。言い換えれば、外部負荷装置で検査をする場合、検査対象のモータ毎に外部負荷装置が必要になるということである。
これに対して、本発明を適用した操舵システムでは、1組のサブシステムを検査対象としていることから、いわば1つのサブシステムの転舵軸モータに外部負荷装置の役割を与え、他のサブシステムを検査しているともいえ、さらにそれらサブシステムの特性は互いに同じである。このようなことから、検査対象のサブシステムの転舵軸モータの特性を考慮する必要もなく、検査を実現しているといえる。
また、サブシステムの構成又は特性は基本的に同じであるから、通常、サブシステムで使用する転舵軸モータを更新しようとする場合、全てのサブシステムについて転舵軸モータを変更することになる。これにより、サブシステムにおいて転舵軸モータが変更されても、外部負荷装置の役目をなす転舵軸モータも自動的に変更されたことになるといえるので、そのように転舵軸モータの変更があった後でも当該転舵軸モータの特性を考慮する必要もなく、検査を実現することができるといえる。
また、前述したように、マスタサブシステムは、複数のサブシステムの全ての組み合わせについて得た検査結果から多数決により、問題のある転舵軸モータを特定している。これにより、複数のサブシステムの中から異常が発生しているサブシステムを特定することができる。
また、前述したように、検査開始後、検査用の電流指令値を定常試験電流になるまで徐々に変化させている。
例えば、検査開始後に通常制御中では発生しないステップ状の電流指令値を検査サブシステムに供給することもできる。しかし、ステップ状の電流指令値を検査サブシステムに供給すると、検査サブシステム毎でその電流指令値に対応する過渡的な特性が異なることが考えられる。例えば、各サブシステムの通信遅れ等により異なってしまうことが考えられる。このように検査サブシステム毎で過渡的な特性が異なってしまうと、検査サブシステムの転舵軸モータの出力トルクが異なってしまうので、ピニオンの回転角が大きく変化してしまう。その結果、本来の検査目的の定常時特性が同じであるのにもかかわらず、過渡的な特性が異なってしまうことで、検査開始時に瞬時にピニオンの回転角が許容範囲(角度変化リミッタ)を超えてしまったり、そのピニオンの回転角が許容範囲を超えないがその許容範囲付近になったままで定常状態となってしまう場合がある。この状態のまま、定常値の電流指令値による検査を行うと、本来であれば許容範囲とされるピニオンの角度変化でも、異常として検出されてしまう可能性がある。
また、許容範囲(角度変化リミッタ)を大きくして検査を行うことも考えられるが、そのようにしてしまうと本来正常とはいえない場合についても正常として検出してしまう可能性がある。このようなことから、精度の高い検査を可能とするために、できる限り許容範囲は小さくすることが望ましい。
よって、前述したように、検査開始後、検査用の電流指令値を通常制御中では発生しないステップ状ではなく、徐々に変化させることで、サブシステム毎に過渡的な特性が異なることによる影響を最小限にして検査を行えるようになり、これにより適正な前記許容範囲を設定できるので精度の高い検査が可能になる。
以上、本発明の実施形態を説明した。しかし、本発明は、前述の実施形態として実現されることに限定されるものではない。
すなわち、前述の実施形態では、本発明を転舵装置10に適用した場合を説明した。しかし、これに限定されるものではない。例えば、反力装置50が図7に示すように、転舵装置10と同様に、複数の反力発生モータによってコラムシャフト3に操舵反力を付与するようにした構成であれば、反力装置50に適用することも可能である。
すなわち、図7に示すように、各反力発生モータ11a′〜11c′をそれぞれ駆動制御するための反力発生コントローラ20a′〜20c′を設け、コラムシャフト3の回転角度を検出するための角度センサ13a′〜13c′の検出信号と、上位コントローラ60で算出された目標反力トルクに応じたコラムシャフト3の目標回転角度と、に基づいて、角度制御演算器21a′〜21c′において角度制御演算を行い、この角度制御演算器21a′〜21c′において算出された電流指令値と、電流センサ14a′〜14c′で検出された反力発生モータ11a′〜11c′への供給信号とを一致し得る駆動電流を電流制御演算器22a′〜22c′において算出し、これを反力発生モータ10a′〜10c′に供給し駆動する。
この場合にも、前述の実施形態と同様に、何れか優先順位の高いサブシステムにおいて電流指令値の算出を行い、これを通信バス40′を介して他のサブシステムに通知し、全てのサブシステムが、同一の電流指令値に基づいて各反力発生モータ11a′〜11c′を駆動する。そして、操舵システムでは、前述の実施形態と同様に、全てのサブシステムの組み合わせについて検査処理を実施する。このようにすることによって、前述の実施形態と同等の作用効果を得ることができる。
また、前述の実施形態では、転舵装置10又は反力装置50を3つのサブシステムで構成した場合を説明した。しかし、この数のサブシステムを備えて構成することに限定されるものではない。例えば、2つのサブシステムにより構成することもできる。この場合、2つの検査サブシステムうちの一つをマスタサブシステムとし、そのマスタサブシステムが、検査用の電流指令値で自身を動作させるとともに、他の検査サブシステムに検査用の電流指令値を供給するようにしてもよい。
また、前述の実施形態では、検査サブシステムでないサブシステムをマスタサブシステムとして、このマスタサブシステムから検査サブシステムに電流指令値を供給している場合を説明した。しかし、これに限定されるものではない。例えば、検査用の電流指令値を検査サブシステムに供給するといったマスタサブシステム相当の機能が、サブシステムでない構成部位により実現可能であれば、当該構成部位が検査サブシステムに電流指令値を供給して検査をするようにしてもよい。
なお、前述の実施形態の説明において、転舵軸モータは、転舵機構又は操舵機構に転舵又は操舵するようにトルクを付与するトルク発生手段を実現しており、サブシステムSUBa〜SUBcは、トルク発生手段に発生させるトルクを電流指令値に基づいて制御する制御ユニットを実現しており、マスタサブシステムは、2つのトルク発生手段が発生する各トルクが転舵機構又は操舵機構にてその転舵方向又は操舵方向で互いに反対になるように作用し、かつその絶対値が同じとなるように駆動するとともに当該トルク発生手段を備える前記転舵機構又は操舵機構の動作を検出し、その検出結果に基づいて、当該トルク発生手段の異常を判定する異常判定手段を実現している。
本発明の実施形態における操舵システムの一例を示す概略構成図である。 前記操舵システムの転舵装置の構成を示す概略構成図である。 前記操舵システムにおける信号の流れを示す概念図である。 前記操舵システムの検査処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 前記検査処理中の検査準備処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 検査処理の検査結果の一例を説明するために用いた図である。 本発明を、前記図1の反力装置に適用した場合の概略構成図である。
符号の説明
1 ステアリングホイール
2L,2R 転舵輪
3 コラムシャフト
10 転舵装置
11a,11b,11c 転舵軸モータ
12a,12b,12c モータドライバ
13a,13b,13c 角度センサ
14a,14b,14c 電流センサ
20a,20b,20c 転舵軸角度コントローラ
50 反力装置
60 上位コントローラ

Claims (5)

  1. 操舵機構の操舵量に応じて当該操舵機構と機械的に分離された転舵機構を駆動制御する転舵装置と、前記転舵機構の転舵に伴う反力を前記操舵機構に付与する反力装置とを備え、前記転舵装置及び前記反力装置の少なくとも何れか一方は、前記転舵機構又は前記操舵機構を転舵又は操舵するようにトルクを付与するトルク発生手段を複数備えて構成した車両の操舵装置であって、
    2つのトルク発生手段が発生する各トルクが前記転舵機構又は操舵機構にてその転舵方向又は操舵方向で互いに反対になるように作用し、かつその絶対値が同じになるようにしつつ当該各トルクを漸増させて当該2つのトルク発生手段を駆動するとともに当該トルク発生手段を備える前記転舵機構又は操舵機構の動作を検出し、その検出結果に基づいて、当該トルク発生手段の異常を判定する異常判定手段を備えることを特徴とする車両の操舵装置。
  2. 前記異常判定手段は、異常検出の処理開始時から予め定めた時間内、前記各トルクを漸増させることを特徴とする請求項1に記載の車両の操舵装置。
  3. 前記異常判定手段は、予め定めた値まで前記各トルクを漸増させることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の操舵装置。
  4. 前記転舵機構又は操舵機構は、前記トルク発生手段からのトルクを回転部材を介して伝達されており、前記異常判定手段は、前記回転部材の角度から前記転舵機構又は操舵機構の動作を検出し、当該回転部材の回転角度が所定の閾値よりも大きくなった場合、前記トルク発生手段が異常と判定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの一に記載の車両の操舵装置。
  5. 少なくとも3つのトルク発生手段を備えて構成されており、
    前記異常判定手段は、前記トルク発生手段の組み合わせ全てについて、2つのトルク発生手段が発生する各トルクが前記転舵機構又は操舵機構にてその転舵方向又は操舵方向で互いに反対になるように作用し、かつその絶対値が同じになるように駆動するとともに当該トルク発生手段を備える前記転舵機構又は操舵機構の動作を検出し、当該トルク発生手段の組み合わせ全てについて得た検出結果に基づいて、異常のあるトルク発生手段を特定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの一に記載の車両の操舵装置。
JP2004253412A 2004-08-31 2004-08-31 車両の操舵装置 Expired - Fee Related JP4479424B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004253412A JP4479424B2 (ja) 2004-08-31 2004-08-31 車両の操舵装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004253412A JP4479424B2 (ja) 2004-08-31 2004-08-31 車両の操舵装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006069307A JP2006069307A (ja) 2006-03-16
JP4479424B2 true JP4479424B2 (ja) 2010-06-09

Family

ID=36150382

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004253412A Expired - Fee Related JP4479424B2 (ja) 2004-08-31 2004-08-31 車両の操舵装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4479424B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5035744B2 (ja) * 2006-11-02 2012-09-26 日本精工株式会社 電動パワーステアリング制御装置、および方法
JP7370901B2 (ja) * 2020-02-26 2023-10-30 ニデックモビリティ株式会社 制御装置および制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006069307A (ja) 2006-03-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN109606461B (zh) 用于转向系统的三重冗余故障保险
CN110550096B (zh) 电动助力转向装置及其控制方法、双转向电机同步装置及方法
WO2015040961A1 (ja) パワーステアリング装置および車両搭載機器の制御装置
JP4525621B2 (ja) 車両の操舵装置
CN104169703B (zh) 扭矩传感器的异常诊断装置以及异常诊断方法
CN111699125B (zh) 为包括有冗余设计的控制装置的机动车辆的机电转向系统提供转向辅助的方法
JP2000043749A (ja) 操舵制御装置および操舵装置
CN109533007B (zh) 线控转向系统诊断
CN110641547B (zh) 车辆用转向系统
JP2007069848A (ja) 車両用操舵制御装置
CN114026010B (zh) 转向控制装置以及包括该转向控制装置的转向辅助系统
JP6282452B2 (ja) 車両操舵用制御装置
JP2007190985A (ja) 車両用操舵装置
JP6591283B2 (ja) 車両操舵装置
JP4479424B2 (ja) 車両の操舵装置
JP5076564B2 (ja) 駆動制御装置およびそれを用いた操舵制御装置
JP2006228002A (ja) 故障検知機能付き二重系システム
JP4382345B2 (ja) 車両用操舵装置
KR100802741B1 (ko) 듀얼모터식 좌우독립형 sbw 시스템의 듀얼모터 제어방법
JP5332213B2 (ja) ステアバイワイヤシステムの診断装置およびステアバイワイヤシステムの診断方法
JP4969662B2 (ja) 車両制御装置
JP5092509B2 (ja) 電動パワーステアリング装置
KR101544884B1 (ko) Mdps 시스템 및 제어방법
JP2004142731A (ja) 車両の操舵装置
US20230202555A1 (en) Steering control device and method

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070625

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090813

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090825

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20091023

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100223

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100308

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130326

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4479424

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130326

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees