JP3994208B2 - アクチュエータ制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積分飽和を効率的に防止することができるアクチュエータ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は、従来のアクチュエータ制御手段の模式図である。図3(A)(B)に示す油圧サーボシリンダは、トルクモータTM、油圧アクチュエータ、センサ等からなり、トルクモータTMに入力された電流値mAに応じて油圧アクチュエータのシリンダ側又はロッド側に油圧を流してシリンダを作動させ、その動きをセンサで検出してフィードバック信号(f/b)を出すようになっている。以下、この油圧サーボシリンダを単に、アクチュエータ又はハードウェアと呼ぶ。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図3(C)は、従来の最も単純なフィードバック系の制御ブロック図である。この図において、制御系は、要求位置と移動した位置のフィードバック信号との差を取る減算器1と、この差を制御動作信号とし、ゲインKp で増幅する比例要素2と、この比例要素2の出力(電流)を制限する電流リミッタ3と、電流リミッタ3の制御出力(電流)によりアクチュエータの動作を行なう積分要素4と、この積分要素4の出力を減算器1にフィードバックするフィードバックライン5とから構成される。
かかるアクチュエータ制御において、通常アクチュエータにフェールセーフとなるようにオフセットを持たせている。しかし、このオフセットは運用中変動する。この変動を補正するために積分制御を持つ。一方、アクチュエータにはハードウェアの制限が存在し、この制限を超える要求(位置)が入力された場合、積分の飽和という事象が発生する。
【0004】
従来、様々な積分飽和防止方法が提案されている。図3(D)は、かかる従来の積分飽和防止方法を示す図である。この図に示すように、従来は積分飽和を防止するために、制御出力(電流)に対して制限を設け、次のように積分入力を0に切り換えていた。
▲1▼制御出力が「最大制限」を超え、かつ積分入力が「正」の場合、積分入力を「0」とする。
▲2▼制御出力が「最小制限」を超え、かつ積分入力が「負」の場合積分入力を「0」とする。
しかし、かかる従来の方法は複雑であり、積分飽和防止の定数の決定は、アクチュエータ特性と経験に頼っているのが現状だった。すなわち、積分飽和防止を行うための従来の方法は複雑であり、デジタル制御の場合、積分飽和防止の処置が遅れる問題点があった。また、判断規準の決定に経験的要素が含まれる問題があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、積分飽和を効率的に防止することができるアクチュエータ制御装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、修正要求位置と移動した位置のフィードバック信号との差を取る第1減算器(1)と、この差を制御動作信号としゲインKpで増幅する第1比例要素(2)と、この比例要素の出力電流を制限する第1電流リミッタ(3)と、この電流リミッタの制御出力電流によりアクチュエータの動作を行なう第1積分要素(4)と、この積分要素の出力を前記減算器に前記移動した位置のフィードバック信号としてフィードバックする第1フィードバックライン(5)とを有するアクチュエータ制御装置において、
更に、実要求位置と前記移動した位置のフィードバック信号との差を取る第2減算器(11)と、この差を制御動作信号としゲインKIで増幅する第2比例要素(12)と、この比例要素の出力を制限する速度リミッタ(13)と、この速度リミッタの出力を積分した積分出力を第1減算器へ修正要求位置として入力する第2積分要素(14)と、第1積分要素(4)の出力を第2減算器(11)に前記移動した位置のフィードバック信号としてフィードバックする第2フィードバックライン(15)とを備え、
前記速度リミッタ(13)により第2積分要素(14)への積分入力をアクチュエータの最大移動速度の範囲内に制限する、ことを特徴とするアクチュエータ制御装置が提供される。
【0007】
本発明は、1つのリミッタのみで、上述した積分飽和防止を実現すると共に、経験によらず、定数の決定が可能であることに特徴をもつ。すなわち、積分飽和は、要求に対してハードウェアが追従できない場合に発生する。従って、積分出力をハードウェアが追従できる範囲に抑えることが可能であれば、積分飽和は発生しない点に着目し、積分入力に制限を加えることにより積分飽和を防止することができる。
すなわち、上述した本発明の構成によれば、速度リミッタ(13)により、第2積分要素(14)への積分入力をアクチュエータの最大移動速度の範囲内に制限する。この積分入力の制限値は、通常、アクチュエータの最大移動速度(正負方向供)が既知であるため、この最大移動速度以内の任意の値を設定する。
この構成により、アクチュエータの最大移動速度の範囲内に、積分入力を制限しているため、演算順序からわかるように、積分飽和防止の処置に遅れがない。また、この比例入力をモニタすることによりアクチュエータシステムの追従性を確認することが可能であり故障診断にも利用できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明によるアクチュエータ制御装置の制御ブロック図である。この図に示すように、本発明のアクチュエータ制御装置は、第1減算器1、第1比例要素2、第1電流リミッタ3、第1積分要素4、及び第1フィードバックライン5を有する。
第1減算器1は、修正要求位置と移動した位置のフィードバック信号との差を取る。第1比例要素2は、第1減算器1による差を制御動作信号としゲインKp で増幅する。第1電流リミッタ3は、第1比例要素2の出力電流をアクチュエータに入力可能な電流範囲(ハードウェアの制限)に制限する。第1積分要素4は、第1電流リミッタ3の制御出力電流により作動する図3(A)(B)に示したようなアクチュエータ(例えば油圧サーボシリンダ)に相当する。第1フィードバックライン5は、第1積分要素4の出力を第1減算器1にフィードバックする。以上の構成は、第1減算器1に直接要求位置(実要求位置)が入力されずに、修正要求位置が入力される点を除いて、図3(C)に示した従来のアクチュエータ制御装置と同様である。なお、この図において、第1電流リミッタ3の上流側に位置する加減算器6は、原点におけるオフセット量を加減算するためのものであり、例えば、電流ゼロにおいて油圧サーボシリンダを安全上戻り側に作動させるために設定する。
【0009】
本発明のアクチュエータ制御装置は、更に、第2減算器11、第2比例要素12、速度リミッタ13、第2積分要素14、及び第2フィードバックライン15を有する。
第2減算器11は、実要求位置と移動した位置のフィードバック信号との差を取る。第2比例要素12は、第2減算器11による差を制御動作信号としゲインKI で増幅する。速度リミッタ13は、第2比例要素12の出力を制限する。本発明によれば、この速度リミッタ13により第2積分要素14への積分入力をアクチュエータの最大移動速度の範囲内に制限するようになっている。
第2積分要素14は、速度リミッタ13の出力電流を積分した積分出力を第1減算器1へ修正要求位置として入力する。更に、第2フィードバックライン15は、第1積分要素4の出力を第2減算器11にフィードバックする。
【0010】
言い換えれば、第2減算器11、第2比例要素12、速度リミッタ13、第2積分要素14、及び第2フィードバックライン15は、実要求位置から修正要求位置を演算し、同時に速度リミッタ13により第2積分要素14への積分入力をアクチュエータの最大移動速度の範囲内に制限するようになっている。
【0011】
図2は、本発明の効果を示す模式図である。この図において、(A)は、本発明による制御特性、(B)は従来の積分飽和防止装置の制御特性、(C)は積分飽和防止装置を持たない場合、または積分飽和防止装置の定数設定不良時の制御特性を示し、特に(C)は積分飽和状態を示している。
上述した本発明の構成によれば、速度リミッタ13により、第2積分要素14への積分入力をアクチュエータの最大移動速度の範囲内に制限している。この積分入力の制限値は、通常、アクチュエータの最大移動速度(正負方向共)が既知であるため、この最大移動速度以内の任意の値を設定する。したがって、この構成により、積分出力はアクチュエータが動ける範囲となるため、図2(A)に示すように、アクチュエータが追従できるためアクチュエータの動きとフィードバックの動きとがほぼ一致する。また、この比例入力をモニタすることによりアクチュエータシステム故障診断にも利用できる。また、積分入力制限が演算上流に位置するためデジタル制御においても積分飽和防止の処置に遅れがない。
これに対して、従来の制御では、図2(B)に示すように、条件による切換のため段差ができ、フィードバックの動きとは一致しない。更に、定数の設定によっては、積分飽和が生じると図2(C)のように、その差は更に大きくなる。
【0012】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0013】
【発明の効果】
上述したように、本発明のアクチュエータ制御装置は、積分飽和を効率的に防止することができ、これにより、デジタル制御における目標特性への追従性能を高めることができる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるアクチュエータ制御装置の制御ブロック図である。
【図2】本発明の効果を示す模式図である。
【図3】従来のアクチュエータ制御手段の模式図である。
【符号の説明】
1 減算器(第1減算器)
2 比例要素(第1比例要素)
3 電流リミッタ(第1電流リミッタ)
4 積分要素(第1積分要素)
5 フィードバックライン(第1フィードバックライン)
11 第2減算器
12 第2比例要素
13 速度リミッタ
14 第2積分要素
15 第2フィードバックライン
Claims (1)
- 修正要求位置と移動した位置のフィードバック信号との差を取る第1減算器(1)と、この差を制御動作信号としゲインKpで増幅する第1比例要素(2)と、この比例要素の出力電流を制限する第1電流リミッタ(3)と、この電流リミッタの制御出力電流によりアクチュエータの動作を行なう第1積分要素(4)と、この積分要素の出力を前記減算器に前記移動した位置のフィードバック信号としてフィードバックする第1フィードバックライン(5)とを有するアクチュエータ制御装置において、
更に、実要求位置と前記移動した位置のフィードバック信号との差を取る第2減算器(11)と、この差を制御動作信号としゲインKIで増幅する第2比例要素(12)と、この比例要素の出力を制限する速度リミッタ(13)と、この速度リミッタの出力を積分した積分出力を第1減算器へ修正要求位置として入力する第2積分要素(14)と、第1積分要素(4)の出力を第2減算器(11)に前記移動した位置のフィードバック信号としてフィードバックする第2フィードバックライン(15)とを備え、
前記速度リミッタ(13)により第2積分要素(14)への積分入力をアクチュエータの最大移動速度の範囲内に制限する、ことを特徴とするアクチュエータ制御装置。
Priority Applications (1)
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JP13169098A JP3994208B2 (ja) | 1998-05-14 | 1998-05-14 | アクチュエータ制御装置 |
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JP13169098A JP3994208B2 (ja) | 1998-05-14 | 1998-05-14 | アクチュエータ制御装置 |
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JPH11327603A JPH11327603A (ja) | 1999-11-26 |
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JP13169098A Expired - Lifetime JP3994208B2 (ja) | 1998-05-14 | 1998-05-14 | アクチュエータ制御装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2014141961A1 (ja) | 2013-03-14 | 2014-09-18 | 株式会社Ihi | アクチュエータ制御装置 |
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-
1998
- 1998-05-14 JP JP13169098A patent/JP3994208B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014141961A1 (ja) | 2013-03-14 | 2014-09-18 | 株式会社Ihi | アクチュエータ制御装置 |
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