JP3992970B2 - 光ファイバ用ガラス母材の製造方法及びその製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は光ファイバ用ガラス母材の製造方法に関し、特に高品質の石英系光ファイバ用ガラス母材のクラッドガラス部を生産性良く低コストで製造する製造方法及び製造装置.に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ファイバ用石英ガラス母材の製造方法はVAD法、MCVD法などが主流とされており、これらの方法によると、高品質の光ファイバ用石英ガラス母材を得ることができる。特にVAD法は生産性が高く、光ファイバ用石英ガラス母材を比較的低コストで得ることができる。
このVAD法は、四塩化珪素(SiCl4)などを酸水素火炎中で火炎加水分解させ、得られたシリカ微粒子を石英ガラス棒などの上に堆積し成長させて多孔質ガラス母材を製造し、その後これを塩素ガスなどの雰囲気中で脱水透明ガラス化して透明ガラス母材とするものである。
石英ガラス母材の製造方法については、上記方法以外にも数多くの方法が提案されており、例えば、熱プラズマ炎中で加熱して得たガラス微粒子を火炎中で直接溶融し、透明ガラスとして堆積させ透明石英ガラス母材とする方法が知られている。この方法によると、多孔質ガラス母材の製造工程と、脱水透明ガラス化工程という2段階の工程を経ることなく、単純な工程で透明石英ガラス母材を得ることができることから、低いコストで石英ガラス母材を得ることができるという利点がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしこの製法は、ガラス微粒子の粒径と形状、加熱するプラズマ炎の熱分布、キャリアガス圧力、流速等のガラス微粒子供給条件の最適条件が限られているために、堆積速度が従来のVAD法に比べ小さかった。そのため生産性の良い製造方法が求められていた。
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、高品質の石英系光ファイバ用ガラス母材のクラッドガラス部を、簡単な工程によって低コストで製造する光ファイバ用ガラス母材の製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、管状ノズルからガラス微粒子をプラズマ炎に投入し、該プラズマ炎により該ガラス微粒子を加熱溶融して、基材上に該ガラス微粒子を堆積することにより光ファイバ用ガラス母材を製造する光ファイバ用ガラス母材の製造方法であって、前記管状ノズルがプラズマ炎を囲むように放射状に複数配置され、この複数の管状ノズルからガラス微粒子をプラズマ炎中に投入して、プラズマ炎の熱を有効に利用するようにしたことを特徴とする光ファイバ用ガラス母材の製造方法である。
これにより、溶融工程によって直接透明ガラス化を実現することができ、塩素などの有害な気体が発生せず、低コストで光ファイバ用ガラス母材を製造することができる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の光ファイバ用ガラス母材の製造方法において、前記管状ノズルの先端部を細めて、ガラス微粒子が拡散せずに集中してプラズマ炎中に投入され、ガラス微粒子が連続してプラズマ炎によって溶融されるようにしたことを特徴とする。
【0005】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の光ファイバ用ガラス母材の製造方法において、前記管状ノズルから供給されるガラス微粒子は、粒径が60〜600μm、パッキング密度が0.3〜0.8g/mlの粒子が混在したガラス微粒子であることを特徴とする。
これにより、低コストで光ファイバ用ガラス母材を製造することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
図1に、本発明の光ファイバ用ガラス母材の製造方法の概略を示す。
図1中、符号1は基材の一例としての石英ガラス棒であり、符号2は、ガラス微粒子を溶融して石英ガラス棒1の外周にクラッド層を形成するためのプラズマ炎である。符号3は管状ノズルであり、この管状ノズル3からガラス微粒子4が供給される。管状ノズル3は、例えば、ガラスによって形成されている。
ここでは、1本の管状ノズルからガラス微粒子4がプラズマ炎2に投入され、溶融したガラス微粒子4が石英ガラス棒1に堆積する例を示している。管状ノズル3はガラス微粒子4を拡散せずにプラズマ炎2中に投入するために、先端の50〜100mmがテーパ付きで細くなるように形成されている。プラズマ炎2の温度は約10000℃と酸水素炎に比べ高温であり、石英の融点約1600℃に比しても十分高いのでガラス微粒子4は溶融し、溶融したガラス微粒子4はプラズマ炎2の向きや重力の合成作用で石英ガラス棒状1に堆積する。
【0008】
図2に、本発明の光ファイバ用ガラス母材の製造方法で用いられる製造装置の一例を示す。この例は、ガラス微粒子を供給するための管状ノズルを、プラズマ炎を囲むように配置した例である。
図2中、符号1は石英ガラス棒であり、符号2は、ガラス微粒子を溶融して石英ガラス棒1の外周にクラッド層を形成するためのプラズマ炎である。符号3はプラズマ炎2の周囲に放射状に設けられた管状ノズルであり、この管状ノズル3からガラス微粒子4が供給される。
【0009】
この管状ノズル3は、石英ガラス棒1の30〜60mm上側または下側に配置され、ガラス微粒子をプラズマ炎2に投入する。このガラス微粒子は、プラズマ炎2により加熱溶融されて、上部または下部に設置した回転かつ往復する石英ガラス棒1などの基材上に堆積する。
管状ノズル3は、管状ノズル本体3aと、内径が細められた先端部3bとからなっている。内径が細められた先端部3bを形成するのは、ガラス微粒子が拡散せずに集中してプラズマ炎2に投入され、ガラス微粒子が連続してプラズマ炎2によって溶融することを可能にするためであり、そのためには管状ノズル3の先端50〜100mmを内径0.5〜1.5mmφに細めて先端部3bを形成することが好ましい。
管状ノズル3は、プラズマ炎2を囲むように、プラズマ炎2の中心から管状ノズル3の先端までの距離が20〜50mmとなるように、放射状に複数配置することが好ましい。また、この管状ノズル3の保持部は上下に移動させることができるようになっている。
【0010】
本発明の光ファイバ用ガラス母材の製造方法は、上述した光ファイバ用ガラス母材の製造装置を用いて、管状ノズル3からプラズマ炎2へガラス微粒子を投入し、プラズマ炎2中でガラス微粒子を直接溶融し、透明ガラスとして石英ガラス棒1に堆積させて透明石英ガラス母材とする方法である。
管状ノズル3からガラス微粒子をプラズマ炎2に投入する際に、ガラス微粒子の流動状態を観察し、プラズマ炎2を有効利用して、溶融したガラス微粒子が石英ガラス棒1に堆積するように制御する。具体的には、複数の管状ノズル3からのガラス微粒子供給条件を、ガラス微粒子の供給重量が1〜30g/minのときの測定結果、表面温度計によって測定したプラズマ炎2の温度、及びプラズマ炎2中心と石英ガラス棒との距離を20〜60mmの範囲内で最適化して堆積させる。
管状ノズル3から供給されるガラス微粒子は、球状で、粒径が60〜600μm、パッキング密度が0.3〜0.8g/ml程度の粒子が混在したガラス微粒子を材料に用いることが、材料と供給装置の低価格化を実現するためには好ましい。
また、パッキング密度が大きいガラス微粒子ほど、石英ガラス棒1からの距離が遠い管状ノズル3から供給することが、ガラス微粒子に充分に熱量を与えるためには好ましい。
【0011】
この例の光ファイバ用ガラス母材の製造方法によると、管状ノズル3からガラス微粒子4をプラズマ炎2に投入し、プラズマ炎2によりガラス微粒子4を加熱溶融して、石英ガラス棒1にガラス微粒子4を堆積することにより、溶融工程によって直接透明ガラス化を実現することができ、塩素などの有害な気体が発生せず、低コストで光ファイバ用ガラス母材を製造することができる。
また、管状ノズル3の先端部を細めてガラス微粒子4を投入することにより、ガラス微粒子4が拡散せずに集中してプラズマ炎2中に投入され、ガラス微粒子4が連続してプラズマ炎2によって溶融されるようにして光ファイバ用ガラス母材を製造することができる。
また、管状ノズル3がプラズマ炎2を囲むように放射状に複数配置され、この複数の管状ノズル3からガラス微粒子4をプラズマ炎2中に投入し、複数の管状ノズル3からのガラス微粒子4の供給条件を、ガラス微粒子4の供給重量が1〜30g/minのときの測定結果、プラズマ炎2の温度、プラズマ炎2と石英ガラス棒1との距離により最適化して、ガラス微粒子4を供給することにより、プラズマ炎2の熱使用効率を最大にしてガラス微粒子を堆積させることができる。
【0012】
また、管状ノズル3から供給されるガラス微粒子4を、粒径が60〜600μm、パッキング密度が0.3〜0.8g/ml の粒子が混在したガラス微粒子4とすることにより、低コストで光ファイバ用ガラス母材を製造することができる。
また、この例の光ファイバ用ガラス母材の製造装置によると、先端部を細めた管状ノズル3を、プラズマ炎2を囲むように放射状に複数配置することにより、生産性良く、低コストで光ファイバ用ガラス母材を製造することが可能な光ファイバ用ガラス母材の製造装置を実現することができる。
【0013】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、管状ノズルからガラス微粒子をプラズマ炎に投入し、プラズマ炎によりガラス微粒子を加熱溶融して、基材上にガラス微粒子を堆積することにより、溶融工程によって直接透明ガラス化を実現することができ、塩素などの有害な気体が発生せず、低コストで光ファイバ用ガラス母材を製造することができる。
また、管状ノズルの先端部を細めてガラス微粒子を投入することにより、ガラス微粒子が拡散せずに集中してプラズマ炎中に投入され、ガラス微粒子が連続してプラズマ炎によって溶融されるようにして光ファイバ用ガラス母材を製造することができる。
また、管状ノズルがプラズマ炎を囲むように放射状に複数配置され、この複数の管状ノズルからガラス微粒子をプラズマ炎中に投入し、複数の管状ノズルからのガラス微粒子供給条件を、ガラス微粒子の供給重量が1〜30g/minのときの測定結果、プラズマ炎温度、プラズマ炎と基材との距離により最適化して、ガラス微粒子を供給することにより、プラズマ炎の熱使用効率を最大にしてガラス微粒子を堆積させることができる。
【0014】
また、管状ノズルから供給されるガラス微粒子を、粒径が60〜600μm、パッキング密度が0.3〜0.8g/ml の粒子が混在したガラス微粒子とすることにより、低コストで光ファイバ用ガラス母材を製造することができる。
また、本発明によると、先端部を細めた管状ノズルを、プラズマ炎を囲むように放射状に複数配置することにより、生産性良く、低コストで光ファイバ用ガラス母材を製造することが可能な光ファイバ用ガラス母材の製造装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光ファイバ用ガラス母材の製造方法の概略を示す図である。
【図2】本発明の光ファイバ用ガラス母材の製造方法で用いられる製造装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…石英ガラス棒、2…プラズマ炎、3…管状ノズル、4…ガラス微粒子。
Claims (3)
- 管状ノズルからガラス微粒子をプラズマ炎に投入し、該プラズマ炎により該ガラス微粒子を加熱溶融して、基材上に該ガラス微粒子を堆積することにより光ファイバ用ガラス母材を製造する光ファイバ用ガラス母材の製造方法であって、
前記管状ノズルがプラズマ炎を囲むように放射状に複数配置され、この複数の管状ノズルからガラス微粒子をプラズマ炎中に投入して、プラズマ炎の熱を有効に利用するようにしたことを特徴とする光ファイバ用ガラス母材の製造方法。 - 前記管状ノズルの先端部を細めて、ガラス微粒子が拡散せずに集中してプラズマ炎中に投入され、ガラス微粒子が連続してプラズマ炎によって溶融されるようにしたことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ用ガラス母材の製造方法。
- 前記管状ノズルから供給されるガラス微粒子は、粒径が60〜600μm、パッキング密度が0.3〜0.8g/mlの粒子が混在したガラス微粒子であることを特徴とする請求項1又は2記載の光ファイバ用ガラス母材の製造方法。
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