JP3992369B2 - 内燃機関用潤滑油組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は内燃機関用潤滑油組成物に関し、さらに詳しくは、ガソリンエンジン用の潤滑油として好適であり、低燃費特性,低温での粘度特性及び水混入下での塩基性低下防止能を損なうことなく、酸化安定性と高温デポジット防止性能に優れた内燃機関用潤滑油組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の自動車技術の向上により、エンジンの高出力化、高回転化が図られ、そのために過酷な条件での使用に耐え得る高性能の内燃機関用潤滑油が求められている。さらにエネルギーや環境問題への対応から、内燃機関用潤滑油には燃費改善効果を有することが必須の要求性能となり、また、最近では、環境問題への対応からロングドレン化も必須の要求性能に加わり、内燃機関用潤滑油には高度な潤滑性能が求められている。
【0003】
以上の背景から、近年、自動車等の内燃機関用潤滑油は、燃費改善効果を付与する目的で有機モリブデン系化合物のような摩擦調整剤が使用されている。しかし、有機モリブデン系化合物のような摩擦調整剤を用いた内燃機関用潤滑油はILSAC GF−2規格で規定されているTEOSTデポジット防止性能が低下するという問題が生じることが明らかとなった。その問題を解決するために、例えば、特開昭59−122595号公報では、高粘度の基油を配合して、パネルコーキング試験の高温デポジット量を少なくするエンジン油を提案しているが、高粘度基油の配合量が多いことから、低温特性としてILSAC GF−2規格に規定されているGelation Index(ASTM D−5133)が満足されない。特開平8−283762号公報では、ホウ素含有化合物を配合してホットチューブ試験の高温デポジット量を少なくするエンジン油を提案しているが、配合量が多いため、間欠運転時など、ブローバイガス中に含まれる水がエンジン油に多量混入して、エンジン油の塩基価低下が大きくなり、有機モリブデン化合物を配合することにより達成した低燃費特性を損なう可能性がある。また、最近エンジン油のロングドレン化の要求から、更に酸化安定性が向上したエンジン油も切望されているが、これらの性能を全て満足するエンジン油はまだ開発されていないのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記観点からなされたもので、低燃費性能,低温での粘度特性及び水混入下での塩基性低下防止性を損なうことなく、優れた酸化安定性及び高温に曝される潤滑部分でのデポジット防止性能を有する内燃機関用潤滑油組成物を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、特定の粘度を有する基油に、特定の添加剤を組み合わせて特定量配合することにより本発明の目的を効果的に達成しうることを見出し本発明を完成したものである。
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)100℃における動粘度が2〜12mm2 /sである鉱油を基油とし、該基油に対して、(a)100℃における動粘度が20〜50mm2 /sである鉱油、(b)有機モリブデン化合物、(c)ポリブテニルコハク酸イミドとポリブテニルコハク酸イミドのホウ素付加物からなるイミド化合物であり、イミド化合物のモノイミド体に由来する窒素量のビスイミド体に由来する窒素量に対する重量比が0.4〜2.0、イミド化合物に由来するホウ素量の窒素量に対する重量比が0.05〜0.35であるイミド化合物、及び(d)スルホネートに由来するアルカリ土類金属量のサリチレートに由来するアルカリ土類金属量に対する重量比が0.2〜5.0である、全塩基価が310〜500mgKOH/gのアルカリ土類金属スルホネート及び全塩基価が150〜250mgKOH/gのアルカリ土類金属サリチレートを配合した内燃機関用潤滑油組成物であって、組成物全量基準で、(a)成分の鉱油が0.5〜2.5重量%であり、(b)成分に由来するモリブデン量が100〜2,000重量ppmであり、(c)成分に由来するホウ素量が0.004〜0.014重量%であり、(c)成分に由来する窒素量が0.04〜0.12重量%であり、(d)成分のアルカリ土類金属スルホネートが0.2〜0.8重量%であり、(d)成分のアルカリ土類金属サリチレートが0.3〜3.0重量%である内燃機関用潤滑油組成物。
(2)(1)記載の内燃機関用潤滑油組成物が、(e)成分として有機ポリサルファイド化合物を、組成物全量基準で、硫黄量として50〜1,000重量ppm含有する内燃機関用潤滑油組成物。
(3)(1)又は(2)記載の内燃機関用潤滑油組成物が、(f)成分として、流動点降下剤を、組成物全量基準で、0.1〜3重量%含有する内燃機関用潤滑油組成物。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について説明する。
先ず、本発明においては、基油として、100℃における動粘度が2〜12mm2 /sである鉱油を用いることが肝要である。好ましくは3〜8mm2 /sである。動粘度が2mm2 /s未満であると、蒸発損失が多く好ましくない。一方12mm2 /sを超えると、粘性抵抗による動力損失が大きくなり燃費改善効果が得られないので好ましくない。鉱油としては、例えばパラフィン基系原油,中間基系原油あるいはナフテン基系原油を常圧蒸留するか、あるいは常圧蒸留の残渣油を減圧蒸留して得られる留出油、またはこれを常法にしたがって精製することによって得られる精製油、例えば、溶剤精製油,水添精製油,脱蝋処理油,白土処理油などを挙げることができ、その中から上記の粘度範囲のものを選択すればよい。なかでも、%CAが10以下の高精製鉱油が好ましい。%CAが5以下のものがさらに好ましい。これらの鉱油は上記粘度範囲のものを二種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0007】
次に、基油に配合する(a)〜(d)成分について説明する。
(a)成分
100℃における動粘度が20〜50mm2 /sである鉱油であることが必要である。20mm2 /s未満では、高温デポジット析出防止性能が低下し、50mm2 /sを超えると、所定のGelation Indexが得られない。好ましくは20〜40mm2 /sである。鉱油としては、基油と同様に、例えばパラフィン基系原油,中間基系原油あるいはナフテン基系原油を常圧蒸留するか、あるいは常圧蒸留の残渣油を減圧蒸留して得られる留出油、またはこれを常法にしたがって精製することによって得られる精製油、例えば、溶剤精製油,水添精製油,脱蝋処理油,白土処理油などを挙げることができ、その中から上記の粘度範囲のものを選択すればよい。なかでも、%CAが10以下の高精製鉱油が好ましい。これらの鉱油は上記粘度範囲のものを二種以上を組み合わせて使用することもできる。
(a)成分の配合量は、組成物全量基準で、0.5〜2.5重量%である。0.5重量%未満であると、高温デポジット析出防止性能が低下する。一方、2.5重量%を超えると、所定のGelation Indexが得られない。好ましくは1.0〜2.0重量%である。
【0008】
(b)成分
有機モリブデン化合物として、モリブデンジチオホスファイト(MoDTP)、モリブデンジチオカーバメイト(MoDTC)、モリブデンアミン塩などを挙げることができる。
(b)成分は、一種あるいは二種以上組み合わせて使用することができ、その配合量はモリブデン量として100〜2,000重量ppmである。100重量ppm未満であると、摩擦低減効果が十分に発揮されない。2,000重量ppmを超えると、その量に見合った摩擦低減効果の向上は認められず、また、コーキングデポジット発生の原因となりやすい。好ましくは、300〜1,000重量ppmの範囲である。
(c)成分
ポリブテニルコハク酸イミドとポリブテニルコハク酸イミドのホウ素付加物からなるイミド化合物である。該ポリブテニルコハク酸イミドは下記一般式(I)
【0009】
【化1】
【0010】
で表わされるモノイミド体と下記一般式(II)
【0011】
【化2】
【0012】
で表わされるビスイミド体がある。
式中、R1 ,R3 及びR4 はそれぞれ数平均分子量300〜3,000のポリブテニル基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。R2 ,R5 及びR6 はそれぞれ炭素数2〜4のアルキレンであり、それらはたがいに同一でも異なっていてもよい。mは1〜10の整数で、nは0又は1〜10の整数である。なお、ここでいうポリブテニル基とは1−ブテンとイソブテンの混合物を重合して得られるポリブテンから得られるものである。
【0013】
このポリブテニルコハク酸イミドは、例えば数平均分子量300〜3,000のポリブテンまたは数平均分子量300〜3,000の塩素化ポリブテンを無水マレイン酸と100〜200℃で得られるポリブテニルコハク酸無水物をポリアミンと反応させることによって得ることができる。反応条件によって、モノイミド体、ビスイミド体、モノイミド体とビスイミド体の混合物が生成するが、いずれも使用できる。ポリアミンとしては、ジエチレントリアミン,トリエチレンテトラミン,テトラエチレンペンタミン,ペンタエチレンヘキサミンなどを挙げることができる。ポリブテニルコハク酸イミドのホウ素付加物は、例えば数平均分子量300〜3,000のポリブテンを無水マレイン酸と反応させてポリブテニルコハク酸無水物とした後、さらに上記のポリアミンと酸化ホウ素,ハロゲン化ホウ素,ホウ素酸,ホウ素酸エステル,ホウ素酸のアンモニウム塩等のホウ素化合物を反応させて得られる中間体と反応させてイミド化させることによって得られる。このホウ素付加物中のホウ素量は0.1〜5重量%の範囲が好ましい。(c)成分のイミド化合物としては、通常、ポリブテニルコハク酸イミドとポリブテニルコハク酸イミドのホウ素付加物を混合したものが使用されるが、ポリブテニルコハク酸イミドのホウ素付加物の調製の際にホウ素の量を少なくしたものをそのまま使用してもよい。
【0014】
(c)成分のイミド化合物において、イミド化合物のモノイミド体に由来する窒素量のビスイミド体に由来する窒素量に対する重量比を0.4〜2.0に調整しておく必要がある。0.4未満であると、酸化安定性が低下し、2.0を超えると、シールゴムの適合性が低下し好ましくない。また、イミド化合物に由来するホウ素量の窒素量に対する重量比を0.05〜0.35に調整しておく必要がある。0.05未満であると、高温デポジット析出防止性能が低下し、0.35を超えると、耐水性が低下し好ましくない。
【0015】
(c)成分のイミド化合物は、ポリブテニルコハク酸イミド,及びそのホウ素付加物とも一種あるいは二種以上組み合わせて使用することができ、その配合量については、組成物全量基準で、ホウ素量が0.004〜0.014重量%になるようにする必要がある。0.004重量%未満であると、高温デポジット析出防止性能が得られず、0.014重量%を超えると、耐水性が低下し好ましくない。好ましくは、0.005〜0.014重量%の範囲である。また、窒素量を0.04〜0.12重量%になるようにする必要がある。0.04重量%未満であると、高温デポジット析出防止性能が低下し、またスラッジの分散性も低下し好ましくない。一方、0.12重量%を超えると、耐水性が低下し、またシールゴムの適合性も低下し好ましくない。好ましくは、0.05〜0.10重量%の範囲である。
【0016】
(d)成分
全塩基価が310〜500mgKOH/gのアルカリ土類金属スルホネートと全塩基価が150〜250mgKOH/gのアルカリ土類金属サリチレートの混合物である。
アルカリ土類金属のスルホネートは、各種スルホン酸のアルカリ土類金属塩であり、通常、各種スルホン酸のアルカリ土類金属塩を炭酸化する方法により得られる。スルホン酸としては、芳香族石油スルホン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸、アルキルアリールスルホン酸等があり、具体的には、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジラウリルセチルベンゼンスルホン酸、パラフィンワックス置換ベンゼンスルホン酸、ポリオレフィン置換ベンゼンスルホン酸、ポリイソブチレン置換ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などを挙げることができる。
このアルカリ土類金属スルホネートの全塩基価は310〜500mgKOH/gである必要がある。310mgKOH/g未満であると、高温デポジット析出防止性が低下し、500mgKOH/gを超えると、沈澱を生じる可能性があり好ましくない。
【0017】
アルカリ土類金属サリチレートは、アルキルサリチル酸のアルカリ金属塩であり、通常、炭素数8〜18のα−オレフィンでフェノールをアルキル化し、次いでコルベシュミット反応でカルボキシル基を導入した後、複分解し、炭酸化する方法により得られる。アルキルサリチル酸の具体的例としては、ドデシルサリチル酸,ドデシルメチルサリチル酸,テトラデシルサリチル酸,ヘキサデシルサリチル酸,オクタデシルサリチル酸,ジオクチルサリチル酸などを挙げることができる。
このアルカリ土類金属サリチレートの全塩基価は150〜250mgKOH/gである必要がある。150mg/g未満であると、酸化安定性が低下し、250mgKOH/gを超えると、耐水性が低下し好ましくない。
本発明においては、上記のスルホネートに由来するアルカリ土類金属量のサリチレートに由来するアルカリ土類金属量に対する重量比を0.2〜5.0に調整する必要がある。0.2未満であると、高温デポジット析出防止性が低下し、5.0を超えると、酸化安定性が低下し好ましくない。
【0018】
(d)成分は、スルホネート,サリチレートともに、それぞれ一種でもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(d)成分の配合量については、アルカリ土類金属スルホネートは、組成物全量基準で、0.2〜0.8重量%である。0.2重量%未満であると、高温デポジット析出防止性が低下し、0.8重量%を超えると、耐水性が低下し好ましくない。好ましくは、0.4〜0.8重量%である。
【0019】
一方、アルカリ土類金属サリチレートは、組成物全量基準で、0.3〜3.0重量%である。0.3重量%未満であると、酸化安定性が低下し、3.0重量%を超えると、高温デポジット析出防止性が低下し好ましくない。好ましくは、1.0〜2.5重量%である。
以上のスルホネート,サリチレートのアルカリ土類金属としては、カルシウム,バリウム,マグネシウム等が挙げられるが、効果の点でカルシウムが好ましい。
【0020】
本発明においては、高温デポジット析出防止性能を更に向上させるために、(e)成分として、有機ポリサルファイド化合物を、Gelation Indexを更に改良するために、(f)成分として、流動点降下剤を配合することが好ましい。
(e)成分
有機ポリサルファイド化合物とは、分子中に二個以上の硫黄原子が隣接して結合する有機化合物である。好ましい有機ポリサルファイドとして、硫化オレフィン,ジヒドロカルビルポリサルファイドなどを挙げることができる。
【0021】
硫化オレフィンとしては、例えば、下記の一般式(III)
R7 −Sx −R8 ・・・(III)
(式中、R7 は炭素数2〜15のアルケニル基、R8 は炭素数2〜15のアルキル基又はアルケニル基を示し、xは2〜8の整数を示す。)
で表される化合物などを挙げることができる。この化合物は、炭素数2〜15のオレフィン又はその2〜4量体を、硫黄,塩化硫黄等の硫化剤と反応させることによって得られ、該オレフィンとしては、プロピレン,イソブテン,ジイソブテンなどが好ましい。
【0022】
また、ジヒドロカルビルポリサルファイドは、下記の一般式(IV)
R9 −Sy −R10 ・・・(IV)
(式中、R9 及びR10は、それぞれ炭素数1〜20のアルキル基又は環状アルキル基,炭素数6〜20のアリール基,炭素数7〜20のアルキルアリール基又は炭素数7〜20のアリールアルキル基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、yは2〜8の整数を示す。)
で表される化合物である。ここで、R9 及びR10がアルキル基の場合、硫化アルキルと言われる。
【0023】
上記一般式(IV)におけるR9 及びR10の具体例としては、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,tert−ブチル基,各種ペンチル基,各種ヘキシル基,各種ヘプチル基,各種オクチル基,各種ノニル基,各種デシル基,各種ドデシル基,シクロヘキシル基,シクロオクチル基,フェニル基,ナフチル基,トリル基,キシリル基,ベンジル基,フェネチル基などを挙げることができる。
【0024】
このジヒドロカルビルポリサルファイドとしては、例えば、ジベンジルポリサルファイド,ジ−tert−ノニルポリサルファイド,ジ−tert−ドデシルポリサルファイド,ジ−tert−ブチルポリサルファイド,ジオクチルポリサルファイド,ジフェニルポリサルファイド,ジシクロヘキシルポリサルファイドなどを好ましく挙げることができる。
【0025】
中でも、特に、ジ−tert−ノニルポリサルファイド,ジ−tert−ドデシルポリサルファイド,ジ−tert−ブチルポリサルファイドなどのジヒドロカルビルポリサルファイドが好ましい。
(e)成分は、一種あるいは二種以上組み合わせて使用することができ、その配合量は、組成物全量基準で、硫黄量として50〜1,000重量ppmである。50重量ppm未満であると、高温デポジット析出防止性能が発揮されない場合があり、1,000重量ppmを超えると、その量に見合った高温デポジット析出防止性能は認められない場合がある。好ましくは、100〜600重量ppmの範囲である。
【0026】
(f)成分
流動点降下剤として、ポリアルキルメタクリレート,塩素化パラフィン−ナフタレン縮合物,ポリアルキルポリスチレンなどを挙げることができる。
(f)成分は、一種あるいは二種以上組み合わせて使用することができ、その配合量は、組成物全量基準で、0.1〜3重量%である。0.1重量%未満であると、Gelation Indexの改良の効果が発揮されない場合があり、3重量%を超えると、その量に見合ったGelation Indexの改良の効果は認められない場合がある。好ましくは、0.3〜1.5重量%の範囲である。
【0027】
さらに、本発明の組成物には、通常潤滑油の物性向上のために、本発明の目的が損なわれない範囲で、従来から潤滑油に慣用されている各種添加剤、例えば、ZnDTP等の、他の摩耗防止剤、ポリメタクリレート,オレフィンコポリマー等の粘度指数向上剤、フェノール系,アミン系,硫黄系等の酸化防止剤、多価アルコール部分エステル,アミン,アミド等の摩擦調整剤、ベンゾトリアゾール,チアジアゾール等の金属不活性化剤、アルケニルコハク酸やその部分エステル,ポリアルキレンエーテル,ポリアルキレンアルキルフェニルエーテル等の防錆剤、シリコーン油等の消泡剤などを、組成物全量基準で、(a)〜(f)成分以外の添加剤全部で、3〜10重量%の範囲で配合することができる。
【0028】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1〜16及び比較例1〜9
基油(パラフィン系鉱油:100℃における動粘度4.3mm2 /s,%CA=0)に下記の添加剤を第1表及び第2表に示す割合で配合し、実施例と比較例の潤滑油組成物を得た。その潤滑油組成物について、下記に示す方法で高温デポジット量、摩擦係数、耐水性、高温酸化安定性及び低温粘度特性について評価し、その結果を第1表(実施例)、第2表(比較例)に示す。
【0029】
(1)添加剤
(a)成分
・鉱油1(パラフィン系水素化改質鉱油:100℃における動粘度30.8mm2 /s、%CA=0、実施例1,4〜16,比較例1,3〜9)
・鉱油2(パラフィン系水素化改質鉱油:100℃における動粘度32.8mm2 /s、%CA=3.9、実施例2)
・鉱油3(パラフィン系水素化改質鉱油:100℃における動粘度32.0mm2 /s、%CA=8.7、実施例3)
(b)成分
・MoDTC(Mo含量4.5重量%、実施例1〜5,8〜16,比較例2〜9)
・MoDTP(Mo含量9.0重量%、実施例6)
・Moアミン塩(Mo含量4.5重量%、実施例7)
(c)成分
・ポリブテニルコハク酸モノイミド(ポリブテニル基の数平均分子量950、窒素含量1.8重量%、実施例1〜16,比較例1,2,4,7〜9)
・ポリブテニルコハク酸モノイミドのホウ素付加物(ポリブテニル基の数平均分子量950、窒素含量2.3重量%、ホウ素含量1.9重量%、実施例1〜8,10〜16,比較例1〜3,5,7〜9)
・ポリブテニルコハク酸ビスイミドA(ポリブテニル基の数平均分子量950、窒素含量1.1重量%、実施例1〜7,10〜14,16,比較例1〜9)
・ポリブテニルコハク酸ビスイミドB(ポリブテニル基の数平均分子量2,000、窒素含量0.86重量%、実施例8,15)
・ポリブテニルコハク酸モノイミドのホウ素付加物(ポリブテニル基の数平均分子量2,000、窒素含量0.79重量%、ホウ素含量0.25重量%、実施例9,比較例6)
【0030】
(d)成分
・CaスルホネートA(全塩基価450mgKOH/g、Ca含量14.9重量%、実施例1〜11,13〜16,比較例1〜8)
・CaスルホネートB(全塩基価320mgKOH/g、Ca含量12.5重量%、実施例12)
・CaサリチレートA(全塩基価170mgKOH/g、Ca含量6.0重量%、実施例1〜13,16,比較例1〜9
・CaサリチレートB(全塩基価230mgKOH/g、Ca含量8.1重量%実施例14,15)
・Caフェネート(全塩基価260mgKOH/g、Ca含量9.2重量%、比較例9)
なお、全塩基価は、JIS K 2501(過塩素酸法)により測定した値である。
(e)成分
・ジ−tert−ドデシルトリサルファイド(S含量20.7重量%、実施例16)
(f)成分
・流動点降下剤(ポリメタクリレート;重量平均分子量6,000、実施例1〜16,比較例1〜9)
【0031】
(その他の添加剤;実施例1〜16,比較例1〜9)
・ZnDTP(セカンダリタイプ、組成物全量基準で、P量で0.1重量%)
・粘度指数向上剤(ポリメタクリレート;重量平均分子量180,000と480,000の混合物)
・酸化防止剤(フェノール系、組成物全量基準で、0.5重量%)
・消泡剤(シリコーン油、組成物全量基準で、0.001重量%)
【0032】
(2)評価方法
(i)高温デポジット量(mg)
ILSAC GF−2で規定されているChrysler TEOST Test(Method33)(ASTM RR:D02:1391)に準拠して測定した。ILSAC GF−2規格値は60mg以下である。
(ii)摩擦係数(μ)
ブロック オン リング試験機(LFW−1)で回転数1,400rpm、荷重20lbs、油温80℃、時間15分、リングの半分が試料油に浸漬する油量でテストブロックにFalex社製H−60テストブロック、テストリングにFalex社製S−10テストリングを用いてブロックに荷重をかけ、リングを回転させたときに生じる抵抗を歪み計で検出し、摩擦係数を算出した。
【0033】
(iii)耐水性(水混合安定性試験後の全塩基価低下率(%))
油圧作動油加水分解試験(ASTM D−2619)に準拠した方法で試料100g(油97.5g、水2.5g)を62℃で24時間処理した後、水と油を遠心分離し、さらに上澄みを80℃、10時間脱水処理した後、得られた油の全塩基価(JIS K 2501;塩酸法)を測定して、試験前の全塩基価(JIS K 2501;塩酸法)からの低下率(%)を測定した。
(iv)高温酸化安定性
ISOT(JIS K 2514)試験、150℃、72時間後の全塩基価(JIS K 2501;塩酸法)で評価した。
(v)低温粘度特性
Gelation IndexをASTM D−5133に準拠して測定した。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】
【表7】
【0041】
【発明の効果】
本発明の内燃機関用潤滑油組成物は、低燃費性能,低温での粘度特性及び水混入下での塩基性低下防止性を損なうことなく、優れた酸化安定性及び高温に曝される潤滑部分でのデポジット防止性能を有するものであり、特にエンジン油として実用的である。
Claims (3)
- 100℃における動粘度が2〜12mm2 /sである鉱油を基油とし、該基油に対して、(a)100℃における動粘度が20〜50mm2 /sである鉱油、(b)有機モリブデン化合物、(c)ポリブテニルコハク酸イミドとポリブテニルコハク酸イミドのホウ素付加物からなるイミド化合物であり、イミド化合物のモノイミド体に由来する窒素量のビスイミド体に由来する窒素量に対する重量比が0.4〜2.0、イミド化合物に由来するホウ素量の窒素量に対する重量比が0.05〜0.35であるイミド化合物、及び(d)スルホネートに由来するアルカリ土類金属量のサリチレートに由来するアルカリ土類金属量に対する重量比が0.2〜5.0である、全塩基価が310〜500mgKOH/gのアルカリ土類金属スルホネート及び全塩基価が150〜250mgKOH/gのアルカリ土類金属サリチレートを配合した内燃機関用潤滑油組成物であって、組成物全量基準で、(a)成分の鉱油が0.5〜2.5重量%であり、(b)成分に由来するモリブデン量が100〜2,000重量ppmであり、(c)成分に由来するホウ素量が0.004〜0.014重量%であり、(c)成分に由来する窒素量が0.04〜0.12重量%であり、(d)成分のアルカリ土類金属スルホネートが0.2〜0.8重量%であり、(d)成分のアルカリ土類金属サリチレートが0.3〜3.0重量%である内燃機関用潤滑油組成物。
- 請求項1記載の内燃機関用潤滑油組成物が、(e)成分として有機ポリサルファイド化合物を、組成物全量基準で、硫黄量として50〜1,000重量ppm含有する内燃機関用潤滑油組成物。
- 請求項1又は2記載の内燃機関用潤滑油組成物が、(f)成分として、流動点降下剤を、組成物全量基準で、0.1〜3重量%含有する内燃機関用潤滑油組成物。
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