JP3992351B2 - ポジ型感光性樹脂組成物及びそれを用いた半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高感度で高残膜率のパターンを得ることができ、封止樹脂との密着性及び保存安定性に優れるポジ型感光性樹脂組成物とそれを用いた半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体素子の表面保護膜、層間絶縁膜には耐熱性が優れ、又卓越した電気特性、機械特性等を有するポリイミド樹脂が用いられているが、近年半導体素子の高集積化、大型化、パッケージの薄型化、小型化、半田リフローによる表面実装への移行等により耐熱サイクル性、耐熱ショック性等の著しい向上の要求があり、更に高性能の樹脂が必要とされるようになってきた。
一方、ポリイミド樹脂自身に感光性を付与する技術が最近注目を集めてきており、例えば下記式(VI)に示される感光性ポリイミド樹脂が挙げられる。
【0003】
【化9】
【0004】
これを用いるとパターン作成工程の一部が簡略化でき、工程短縮および歩留まり向上の効果はあるが、現像の際にN−メチル−2−ピロリドン等の溶剤が必要となるため、安全性、取扱い性に問題がある。
そこで最近、アルカリ水溶液で現像ができるポジ型の感光性樹脂が開発されている。例えば、特公平1−46862号公報においてはポリベンゾオキサゾール前駆体とジアゾキノン化合物より構成されるポジ型感光性樹脂が開示されている。これは高い耐熱性、優れた電気特性、微細加工性を有し、ウェハーコート用のみならず層間絶縁用樹脂としての可能性も有している。このポジ型の感光性樹脂の現像メカニズムは、未露光部のジアゾキノン化合物はアルカリ水溶液に不溶であるが、露光することによりジアゾキノン化合物が化学変化を起こし、アルカリ水溶液に可溶となる。この露光部と未露光部との溶解性の差を利用し、露光部を溶解除去することにより未露光部のみの塗膜パターンの作成が可能となるものである。
これら感光性樹脂を実際に使用する場合、特に重要となるのは感光性樹脂の感度である。低感度であると、露光時間が長くなりスループットが低下する。そこで感光性樹脂の感度を向上させようとして、例えばベース樹脂の分子量を小さくすると、現像時に未露光部の膜減りが大きくなるために、必要とされる膜厚が得られなかったり、パターン形状が崩れるといった問題が生じる。
又このような感光性樹脂を半導体素子の表面保護膜として用いた場合、特に問題となるのは後工程でその上に成形されるパッケージ用封止樹脂との密着性である。密着性が悪いとその界面で剥離が発生し、半導体パッケージがクラックしたり、そのクラックに水が進入し半導体の電気的不良を発生したりする。
更に重要な問題は感光性樹脂組成物の保存安定性である。一般的に感光性樹脂組成物はベース樹脂、感光剤、その他の添加剤と共に、溶液状態で製品化されている。感光性樹脂組成物は、その使用期限を延ばすために冷凍や冷蔵で保管される。また製品を輸送する際にはドライアイスを入れて輸送するが、この場合、―60〜―50℃にまで温度が下がり、感光剤や添加剤等が析出し、使用できなくなる事がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高感度で高残膜率のパターンを得ることができ、封止樹脂との密着性及び保存安定性に優れるポジ型感光性樹脂組成物及びそれを用いた半導体装置を提供することを目的とする。
【0006】
本発明は、一般式(I)で示されるポリアミド100重量部と、一般式( II )又は一般式( III )で示される感光性ジアゾキノン化合物1〜100重量部と、一般式( IV )で表わされるビスフェノール化合物および一般式(V)で表わされるトリスフェノール化合物を両者合計1〜30重量部と、からなることを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物に関するものである。
【0007】
【化10】
【0008】
【化11】
【0009】
【化12】
【0010】
【化13】
【0011】
【化14】
【0012】
式(I)のポリアミドは、Xの構造を有するビスアミノフェノールとYの構造を有するジカルボン酸と、更にEの構造を有する酸無水物からなり、このポリアミドを約300〜400℃で加熱すると脱水閉環し、ポリベンゾオキサゾールという耐熱性樹脂に変化する。
本発明のポリアミド(I)のXは、例えば、
【0013】
【化15】
【0014】
等であるがこれらに限定されるものではない。
この中で特に好ましいものとしては、
【0015】
【化16】
【0016】
より選ばれるものである。
又式(I)のYは、例えば、
【0017】
【化17】
【0018】
等であるがこれらに限定されるものではない。
これらの中で特に好ましいものとしては、
【0019】
【化18】
【0020】
より選ばれるものである。
又式(I)のEは、例えば、
【0021】
【化19】
【0022】
等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。この中で特に好ましいものとしては、
【0023】
【化20】
【0024】
より選ばれるものである。本発明はYの構造を有するジカルボン酸誘導体とXの構造を有するビスアミノフェノールを反応させてポリアミドを合成した後、式(I)のEに示すアルケニル基又はアルキニル基を少なくとも1個有する酸無水物を用いて末端のアミノ基をキャップするものである。
更に、式(I)のZは、例えば
【0025】
【化21】
【0026】
等であるがこれらに限定されるものではない。
式(1)のZは、例えば、シリコンウェハーのような基板に対して、特に優れた密着性が必要な場合に用いるが、その使用割合bは最大40.0モル%までである。40.0モル%を越えると樹脂の溶解性が極めて低下し、現像残り(スカム)が発生し、パターン加工ができない。なお、これらX、Y、E、Zの使用にあたっては、それぞれ1種類であっても2種類以上の混合物であっても構わない。
【0027】
本発明で用いる感光性ジアゾキノン化合物は、1,2−ベンゾキノンジアジドあるいは1,2−ナフトキノンジアジド構造を有する化合物と、支持体であるフェノール系化合物との反応物である。
本発明のポジ型感光性樹脂組成物においては、現像時に特に高感度、高残膜率を得る目的で、一般式(II)又は一般式(III)で示される構造を有する感光性ジアゾキノン化合物を組成に加えることが重要である。ポジ型の感光性樹脂の現像メカニズムは前述したように露光部と未露光部との溶解性の差を利用しており、高感度、高残膜率を得ようとする場合、その差を大きくするために露光部はより溶けやすく、未露光部はより溶けにくくなるように溶解性を変化させることが必要である。その溶解性の差の変化は支持体であるフェノール系化合物の構造にも因るところが大きい。そこで現像時において、露光部では溶解性を促進させ、かつ未露光部では溶解阻止効果を助けて十分な残膜率を保持させることができる支持体を有する感光性ジアゾキノン化合物を探索した結果、支持フェノール系化合物の分子量を調節し、水酸基を有する芳香族基を適度に均等に配置させ、かつ水酸基に対しパラ位が未置換である芳香族基を少なくとも1つ有するような構造を持つフェノール系化合物を支持体とした感光性ジアゾキノン化合物が優れていることを見いだした。更に、この感光性ジアゾキノン化合物はポリベンゾオキサゾール前駆体と組み合わせた方が、ポリイミド前駆体と組み合わせるよりも高感度を保ちながら高残膜率を発現することを見いだした。
一般式(II)に示される感光性ジアゾキノン化合物としては、下記のもの等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0028】
【化22】
【0029】
【化23】
【0030】
【化24】
【0031】
一般式(III)に示される感光性ジアゾキノン化合物としては、下記のもの等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0032】
【化25】
【0033】
【化26】
【0034】
【化27】
【0035】
これらの中で特に高感度、高残膜率の点から好ましいものとしては下記のものがある。
【0036】
【化28】
【0037】
【化29】
【0038】
また、感光性ジアゾキノン化合物のポリアミドへの配合量は、ポリアミド100重量部に対し、1〜100重量部で、配合量が1重量部未満だと樹脂のパターニング性が不良であり、逆に100重量部を越えると感度が大幅に低下するだけでなく、フィルムの引張り伸び率が著しく低下する。
【0039】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物には、必要により感光特性を高めるためにジヒドロピリジン誘導体を加えることができる。ジヒドロピリジン誘導体としては、例えば2,6−ジメチル−3,5−ジアセチル−4−(2′−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン、4−(2′−ニトロフェニル)−2,6−ジメチル−3,5−ジカルボエトキシ−1,4−ジヒドロピリジン、4−(2′,4′−ジニトロフェニル)−2,6−ジメチル−3,5−ジカルボメトキシ−1,4−ジヒドロピリジン等を挙げることができる。
【0040】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物においては更に一般式(IV)で示されるビスフェノール化合物と一般式(V)で示されるトリスフェノール化合物とを併用することが重要である。これら一般式(IV)、一般式(V)で示されるフェノール化合物類をポリベンゾオキサゾール前駆体とジアゾキノン化合物より構成されるポジ型感光性樹脂組成に加えると封止樹脂との密着性が向上し、更に現像時において高感度、高残膜率が得られ、また、―60〜―50℃の低温で保管しても、フェノールの析出等が無く保存性に優れたポジ型感光性樹脂組成物が得られる。封止樹脂との密着性は一般式(IV)、一般式(V)で示されるフェノール化合物類を単独で加えるだけでもある程度は有効であるが、それぞれ単独で添加量を増やすと、一般式(IV)で示されるビスフェノール化合物は、―60〜―50℃の低温で保管すると、析出が起こりやすくなる。また一般式(V)で示されるトリスフェノール化合物は、著しい残膜率の低下が見られる。しかし一般式(IV)で示されるビスフェノール化合物と一般式(V)で示されるトリスフェノール化合物とを併用することにより、各々が有する欠点が改善され、更に高感度の感光特性と封止樹脂との優れた密着性も発現した。
フェノール化合物類の添加量は、一般式(I)で示されるポリアミド100重量部に対して、一般式(IV)で表わされるビスフェノール化合物と一般式(V)で表わされるトリスフェノール化合物を両者合計1〜30重量部である。両フェノール化合物の添加量が30重量部より多いと、前述のように−60〜−50℃の低温保管で析出が生じたり、現像時に著しい残膜率の低下が起こる。添加量が1重量部未満では、封止樹脂との密着性が低下するばかりか現像時における感度が低下する。
一般式(IV)に示されるビスフェノール化合物としては下記のもの等を挙げることができるがこれらに限定されない。
【0041】
【化30】
【0042】
【化31】
【0043】
【化32】
【0044】
【化33】
【0045】
これらの中で特に、好ましいものとしては、
【0046】
【化34】
【0047】
である。
また、一般式(V)に示される化合物としては下記のもの等を挙げることができるがこれらに限定されない。
【0048】
【化35】
【0049】
【化36】
【0050】
【化37】
【0051】
これらの中で特に、好ましいものとしては、
【0052】
【化38】
【0053】
である。
本発明におけるポジ型感光性樹脂組成物には、必要によりレベリング剤、シランカップリング剤等の添加剤を添加することができる。
本発明においてはこれらの成分を溶剤に溶解し、ワニス状にして使用する。溶剤としては、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチル−1,3−ブチレングリコールアセテート、1,3−ブチレングリコール−3−モノメチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メチル−3−メトキシプロピオネート等が挙げられ、単独でも混合して用いてもよい。
【0054】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の使用方法は、まず該組成物を適当な支持体、例えば、シリコンウェハー、セラミック基板、アルミ基板等に塗布する。塗布量は、半導体装置の場合、硬化後の最終膜厚が0.1〜20μmになるよう塗布する。膜厚が0.1μm以下であると、半導体素子の保護表面膜としての機能を十分に発揮することが困難となり、20μm以上であると、微細な加工パターンを得ることが困難となるばかりでなく、加工に時間がかかりスループットが低下する。塗布方法としては、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等がある。次に、60〜130℃でプリベークして塗膜を乾燥後、所望のパターン形状に化学線を照射する。化学線としては、X線、電子線、紫外線、可視光線等が使用できるが、200〜500nmの波長のものが好ましい。次に照射部を現像液で溶解除去することによりレリーフパターンを得る。現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類、エチルアミン、n−プロピルアミン等の第1アミン類、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン等の第2アミン類、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第3アミン類、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム塩等のアルカリ類の水溶液、及びこれにメタノール、エタノールのごときアルコール類等の水溶性有機溶媒や界面活性剤を適当量添加した水溶液を好適に使用することができる。現像方法としては、スプレー、パドル、浸漬、超音波等の方式が可能である。次に、現像によって形成したレリーフパターンをリンスする。リンス液としては、蒸留水を使用する。次に加熱処理を行い、オキサゾール環を形成し、耐熱性に富む最終パターンを得る。
本発明によるポジ型感光性樹脂組成物は、半導体用途のみならず、多層回路の層間絶縁やフレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜や液晶配向膜等としても有用である。
【0055】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
《実施例1》
*ポリアミドの合成
ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸1モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体443.2g(0.9モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン366.3g(1.0モル)とを温度計、攪拌機、原料投入口、乾燥窒素ガス導入管を備えた4つ口のセパラブルフラスコに入れ、N−メチル−2−ピロリドン3000gを加えて溶解させた。その後オイルバスを用いて75℃にて12時間反応させた。
次にN−メチル−2−ピロリドン500gに溶解させた5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物32.8g(0.2モル)を加え、更に12時間攪拌して反応を終了した。反応混合物をろ過した後、反応混合物を水/メタノール=3/1の溶液に投入、沈殿物を濾集し水で充分洗浄した後、真空下で乾燥し、目的のポリアミド(A−1)を得た。
【0056】
*ポジ型感光性樹脂組成物の作製
合成したポリアミド(A−1)100g、下記式の構造を有するジアゾキノン(B−1)25gをN−メチル−2−ピロリドン250gに溶解した後、0.2μmのテフロンフィルターで濾過し感光性樹脂組成物を得た。
【0057】
*特性評価
このポジ型感光性樹脂組成物をシリコンウェハー上にスピンコーターを用いて塗布した後、ホットプレートにて120℃で4分乾燥し、膜厚約5μmの塗膜を得た。この塗膜にg線ステッパー露光機NSR−1505G3A(ニコン(株)製)によりレチクルを通して50mJ/cm2から10mJ/cm2ずつ増やして540mJ/cm2まで露光を行った。
次に1.40%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に60秒浸漬することによって露光部を溶解除去した後、純水で30秒間リンスした。その結果、露光量230mJ/cm2で照射した部分よりパターンが成形されていることが確認できた。(感度は230mJ/cm2)。この時の残膜率(現像後の膜厚/現像前の膜厚×100)は93.1%と非常に高い値を示した。
【0058】
《実施例2》
実施例1におけるポリアミドの合成において、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸1モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体の代わりに、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸1モルと1−ヒドロキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール2モルとを反応させて得られたジカルボン酸誘導体を用いてポリアミド(A−2)を合成し、その他は実施例1と同様の評価を行った。
《実施例3》
実施例1におけるポリアミドの合成においてヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパンの替わりに3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホンを用いて、ポリアミド(A−3)を合成し、その他は実施例1と同様の評価を行った。
《実施例4》
実施例1におけるポリアミドの合成において5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物の替わりに無水マレイン酸を用いてポリアミド(A−4)を合成し、その他は実施例1と同様の評価を行った。
《実施例5》
実施例1における感光性樹脂組成物中の感光性ジアゾキノン化合物B−1をB−2に替えて、更に該成分の添加量を表1の様に替えた他は実施例1と同様の評価を行った。
《実施例6》
実施例1における感光性樹脂組成物中の感光性ジアゾキノン化合物B―1をB−3に替えて、更に該成分の添加量を表1の様に替えた他は実施例1と同様の評価を行った。
《実施例7》
実施例1における感光性樹脂組成物中の感光性ジアゾキノン化合物B−1の添加量を表1の様に替えた他は実施例1と同様の評価を行った。
【0059】
《比較例1》
3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物322.2g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドンに懸濁して完全に溶解した後、p−キシレン−2,5−ジアミンを129.4g(0.95モル)加え、30℃で18時間反応を行った。反応物をメタノールで再沈して固形物を凝集し、メタノールで洗浄後、48時間減圧乾燥して目的のポリアミド(A−5)を合成した。その他は実施例1と同様の評価を行った。
《比較例2》
実施例1における感光性樹脂組成物中の感光性ジアゾキノン化合物B−1をB−4に替えて、更に該成分の添加量を表1の様に替えた他は実施例1と同様の評価を行った。
《比較例3》
実施例1における感光性樹脂組成物中の感光性ジアゾキノン化合物B−1をB−5に替えて、更に該成分の添加量を表1の様に替えた他は実施例1と同様の評価を行った。
《比較例4》
実施例1における感光性樹脂組成物中の感光性ジアゾキノン化合物B−1をB−6に替えて、更に該成分の添加量を表1の様に替えた他は実施例1と同様の評価を行った。
《比較例5》
実施例2における感光性樹脂組成物中の感光性ジアゾキノン化合物B−1の添加量を表1の様に替えた他は実施例1と同様の評価を行った。
《比較例6》
実施例2における感光性樹脂組成物中の感光性ジアゾキノン化合物B−1の添加量を表1の様に替えた他は実施例1と同様の評価を行った。
実施例1〜7、比較例1〜6の評価結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
《実施例8》
実施例1における感光性樹脂組成物に、下記式の構造を有するビスフェノール化合物(C−1)6g、下記式の構造を有するトリスフェノール化合物(D−1)6gを加え、実施例1と同様の評価を行った。この時の感度は190mJ/cm2、残膜率は91.5%と、共に高い値を示した。
次に、このポジ型感光性樹脂組成物を実施例1と同様にしてシリコンウエハー上に塗布し、プリベークした後、オーブン中30分/150℃、30分/250℃、30分/350℃の順で加熱、樹脂を硬化させ後、この硬化膜の上に半導体封止用エポキシ樹脂組成物(住友ベークライト(株)製、EME−6300H)を2×2×2mm(横×縦×高さ)の大きさに成形した。テンシロンを用いて、ポリベンゾオキサゾール樹脂硬化膜上に成形した封止用エポキシ樹脂組成物の剪断強度を測定した結果、3.7kg/mm2であった。
【0062】
次に表面にAl回路を備えた模擬素子ウエハーにこのポジ型感光性樹脂組成物を最終膜厚5μmとなるように塗布した後、パターン加工を施し、最終ベークした。その後チップサイズ毎に分割して16Pin DIP(Dual Inline Package)用リードフレームに導電性ペーストを用いてマウントした後、半導体封止用エポキシ樹脂(住友ベークライト(株)製、EME―6300H)で封止して、半導体装置を得た。20個の半導体装置を85℃/85%湿度の条件下で168時間処理した後、260℃半田浴槽に10秒間浸漬し、ついで高温、高湿のプレッシャークッカー処理(125℃、2.3atm、100%RH)を1000時間施したがAl回路のオープン不良は0であった。
* 保存性安定性評価
100mlのボトルに入れたポジ型感光性樹脂組成物とドライアイス10kgを発砲スチロールの箱に入れ、ふたをしてそのまま密閉し、5日間放置放置後、更に−20〜−15℃の冷凍庫に1週間入れた。しかしポジ型感光性樹脂組成物中に析出物等はなく、保存安定性は良好であった。
《実施例9》
実施例8におけるポリアミドをA−1からA−2に、感光性ジアゾキノンをB−1からB−2に、ビスフェノール化合物C−1をC−2に替えて、更に各成分の添加量を表2の様に替えた他は実施例8と同様の評価を行った。
《実施例10》
実施例8におけるトリスフェノール化合物D−1をD−2に替えて、更に各成分の添加量を表2の様に替えた他は実施例8と同様の評価を行った。
【0063】
《比較例7》
実施例9におけるビスフェノール化合物C−2をC−3に替えて、更に各成分の添加量を表2の様に替えた他は実施例8と同様の評価を行った。
《比較例8》
実施例8におけるトリスフェノール化合物D−1をD−3に替えて、更に該成分の添加量を表2の様に替えた他は実施例8と同様の評価を行った。
《比較例9》
実施例9におけるビスフェノール化合物C−2の添加量を30gに、トリスフェノール化合物D−1の添加量を15gにして、更に各成分の添加量を表2の様に替えた他は実施例8と同様の評価を行った。
《比較例10》
実施例8におけるビスフェノール化合物C−1の添加量を0.2gに、トリスフェノール化合物D−1の添加量を0.2にして、更に各成分の添加量を表2の様に替えた他は実施例8と同様の評価を行った。
《比較例11》
実施例9におけるビスフェノール化合物C−2の添加量を0gに、トリスフェノール化合物D−1の添加量を18gにして、更に各成分の添加量を表2の様に替えた他は実施例8と同様の評価を行った。
《比較例12》
実施例9におけるビスフェノール化合物C−2の添加量を20gに、トリスフェノール化合物D−1の添加量を0gにして、更に各成分の添加量を表2の様に替えた他は実施例8と同様の評価を行った。
以上実施例8〜10、比較例7〜12の評価結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
【化39】
【0066】
【化40】
【0067】
【化41】
【0068】
【化42】
【0069】
* 評価結果
実施例1〜4と比較例1は、共にポリアミドと感光性ジアゾキノン(B−1)のみの組成による評価である。両例とも同程度の感度を示したが、残膜率は比較例1のポリイミド前駆体(A−5)の場合、ポリベンゾオキサゾール前駆体(A−1〜4)に比べて大幅に低下した。これは、ベース樹脂と感光剤との相互作用に原因があると思われる。B−1中の水酸基に対して未置換のパラ位には電子密度が高くなる傾向にある。実施例1〜4では、A−1〜4中に存在する水酸基が、B−1中の高電子密度にあるパラ位と水素結合することによって、感光剤による溶解阻止効果をベース樹脂が十分に受けることが出来たために高い残膜率を示したと考えられる。しかし水酸基が存在しないA−5では、感光剤との相互作用が弱くなるために残膜率が低下したものと考えられる。
実施例1,5,6と比較例2〜4は感光性ジアゾキノンの種類による評価である。感光基が適度に均等に配置されておらず、未置換パラ位が無い感光性ジアゾキノンを用いている比較例2〜4は低感度を示し、その割に残膜率は高くない。低感度の原因は現像時の露光部での溶解性にムラが生じるためと考えられる。
実施例1,7と比較例5、6は感光性ジアゾキノンの量による評価である。添加量が1重量部未満である比較例5は、溶解阻止効果が働かないために残膜率が著しく低下しており、100重量部よりも多い比較例6では逆に溶解阻止効果が強すぎて感度が大幅に低下している。
実施例8〜10と比較例7〜12はビスフェノール化合物およびトリスフェノール化合物の種類と量による評価である。ビスフェノール化合物の種類を代えた比較例7は、高感度化が認められるも著しい残膜率の低下が見られる。トリスフェノール化合物の種類を代えた比較例8では逆に低感度、高残膜率の結果となっている。両フェノール化合物の添加量が30重量部より多い比較例9では残膜率の低下と同時に冷凍時の保存で析出を生じ、1重量部未満である比較例10では、感度が低下すると共に封止樹脂との密着性が低下し、半導体装置の信頼性も低下している。トリスフェノール化合物のみの組成である比較例11は、比較例7同様、高感度なるも大幅な残膜率の低下が確認できる。ビスフェノール化合物のみの組成である比較例12は、高感度、高残膜率を示しているが冷凍保存時に析出を生じている。
【0070】
【発明の効果】
本発明によれば、高感度で高残膜率なパターンが得れ、封止樹脂との密着性、保存安定性に優れるポジ型感光性樹脂組成物及びそれを用いた高信頼性の半導体装置を得ることができる。
Claims (5)
- 請求項1ないし4のいずれかに記載のポジ型感光性樹脂組成物を、加熱脱水閉環後の膜厚が0.1〜20μmになるように半導体素子上に塗布し、プリベーク、露光、現像、加熱して得られる半導体装置。
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