JP3992337B2 - 鉄構造物の粉体塗料による塗装方法 - Google Patents

鉄構造物の粉体塗料による塗装方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防食性や、可撓性、耐候性、耐薬品性、速硬化性、経済性に対し、3種以上の組み合わせが要求される船舶用部材や、橋梁、プラント等の陸上鉄構造物に対する塗装方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、船舶塗装や橋梁、プラント等の陸上鉄構造物の塗装の合理化が要請され、塗料のハイソリッド化や、速硬化、インライン化による省力化が検討されている。その一貫として塗膜性能に優れ、無溶剤の粉体塗料によるこれらの鉄構造物への粉体塗装が有望と考えられる。
これらの鉄構造物はその使用される箇所により要求性能が異なり、例えば、船舶艤装部材には、耐食性と耐候性が要求され、ロンジなどの補強剤には防食性と可撓性が要求される。また、全ての部材に共通なものとして、鋼板の厚みが厚く、従って、熱容量が大きい場合には、十分な加熱を行うために熱エネルギーの消費量が大きくなる。そこで、塗料の速硬化性が要求される。従って、鉄構造物の使用される箇所に、通常3項目以上の要求性能が同時に要求されることになる。更に、海上橋の場合におけるように、防食性と長期の耐候性も同様に1種類の塗料で要求性能を満たすことは難しい。
【0003】
特開昭59-45367号公報や特公昭63-32828号公報において、配合面からの複合性能を有する粉体塗料組成物の報告がなされているが、基本的に背反する要求性能を満たすように配合すると、各性能が双方とも際だった物にならず、造船用部材に適用することは難しい欠点が見出された。従って、エポキシ樹脂塗料によって付与される耐食性と、アクリル塗料によって付与される耐候性とを同時に満足する塗料は難しい。特に、特開昭59-45367号公報では、同樹脂系で2相分離塗膜が形成可能とのことであるが、同樹脂系の場合、かなりの割合で相溶してしまうため、現実には不可能である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、防食性や、可撓性、耐候性、耐薬品性、速硬化性、経済性等の3種以上の特性の組合せを提供できる船舶用部材や橋梁、プラント等の陸上鉄構造物に対する塗装方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を行った結果、各性能に際だった塗料の2層又は3層といった複層塗膜を形成することにより、各性能が十分に発揮できる塗膜を形成することができることを見出し、本発明に至ったものである。
即ち、本発明は、鉄構造物用部材上に、エポキシ樹脂粉体塗料からなる1次塗料を塗装し、次いで、アクリル樹脂、水酸基含有ポリエステル樹脂、水酸基含有フッ素樹脂及びエポキシ樹脂から成る群から選ばれる樹脂を結合剤成分として含有する粉体塗料からなる2次塗料を塗装することを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の塗装方法について、詳細に説明する。
基材直上の防食性能、鋼材のエッジ部からの腐食を防ぐ1次塗料には基本的には、エポキシ樹脂粉体塗料が使用される。
1次塗料に使用されるエポキシ樹脂としては、従来より、防食性等の目的によって使用されているものであれば、特に制限なく、各種のエポキシ樹脂を使用することができる。
具体的には、エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAや、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ノボラック系のグリシジルエーテル型、グリシジルエステル型、グリシジルアミン型、ジシクロペンタジエン骨格型、ビフェノール型等が挙げられる。経済性と性能とのバランスから、このような樹脂としては、ビスフェノールAや、ビスフェノールF、ノボラック系が好適に使用される。
【0007】
エポキシ樹脂は、粉体塗料として取扱性の観点から、軟化点30〜160 ℃、好ましくは50〜150 ℃、特に好ましくは60〜150 ℃を有することが適当である。エポキシ樹脂の軟化点が、30℃未満であると、常温で個体を維持することが難しく、粉体塗料用途としては好ましくない。一方、軟化点が160 ℃を越えると、溶融混練において混練機中で反応温度以上となり、塗膜性能に深刻な影響を及ぼすので好ましくない。
また、エポキシ樹脂の当量としては、通常、600 〜2000g/当量、好ましくは、600 〜1500g/当量であることが適当である。
なお、エポキシ樹脂の相転移温度は、20℃以上、好ましくは30℃以上、特に好ましくは40℃以上であることが適当である。相転移温度が20℃未満であると、常温で保管する際、ブロッキング等の紛体性状の悪化があるため好ましくない。
【0008】
1次塗料で、エポキシ樹脂と組合せて使用される硬化剤としては、従来より使用されている各種の硬化剤を、適宜、特に制限されることなく使用することができる。このような硬化剤としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン(DDM)等の芳香族ジアミンや、脂肪族アミンと脂肪族ジカルボン酸との縮合物、ポリアミドアミン、ジシアンジアミド、イミダゾール等のアミン系硬化剤;無水テトラヒドロフタル酸や、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、トリメリット酸エチレングリコールの縮合物等の酸無水物類;デカンジカルボン酸や、イソフタル酸、酸末端ポリエステル樹脂等の酸系硬化剤;更には、三弗化硼素金属錯体等のルイス酸金属錯体類;平均で1分子当たりフェノール性水酸基を1.5 個以上有するフェノール系等が挙げられる。
【0009】
本発明で使用される1次塗料には、上記成分の他に、顔料や、その他の添加剤を適宜配合することができる。
このような顔料としては、従来より使用されているものを適宜使用することができる。このような顔料には、着色剤や、体質顔料等が挙げられる。着色剤としては、例えば、酸化チタンや、ベンガラ、酸化鉄、キナクリドン、カーボンブラック、アゾ化合物、ジオキサン、スレン、フタロシアニンの金属錯体、その他金属塩を主とする物が列挙できる。体質顔料としては、例えば、硫酸バリウムや、二酸化珪素(シリカ)、タルク、炭酸カルシウム、チタン酸カリウムウィスカ、ホウ酸アルミニウムウィスカ、ウォラストナイト、酸化アルミニウム、アスベスト、セラミックパウダ等が挙げられる。また、ストロンチウムクロメート等の防錆顔料も使用可能である。
【0010】
添加剤としては、例えば、レベリング剤や、表面調整剤、ワックス、脱泡剤、難燃剤、酸化防止剤、UV吸収剤等が通常使用できる。また、変成剤としては、熱可塑性樹脂例えば、石油樹脂や、尿素アルデヒド樹脂、テルペン、ポリオレフィン等が挙げられる。
2次塗料としては、必要とする性能により使用される樹脂の種類は変動し得るが、例えば、耐候性を必要とする場合には、アクリル樹脂や、フッ素化したアクリル樹脂、主にイソフタル酸とネオペンチルグリコールとの縮合物からなる水酸基末端ポリエステル樹脂、水酸基を含有するフッ素樹脂等の樹脂、並びに硬化剤としては、アクリル樹脂の場合、官能基がグリシジル基の場合、二塩基酸、水酸基を官能基とする場合には、ポリイソシアネート化合物やグリコールウレア型メラミン硬化剤が使用可能である。可撓性を必要とする場合は、主にテレフタル酸とエチレングリコールとの縮合物からなる水酸基末端ポリエステル樹脂とポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂と1分子当たりフェノール性水酸基を1.5 個以上有するフェノール硬化剤が好適である。
【0011】
なお、1次塗料の場合と同様に、2次塗料の場合にも、顔料や、その他の添加剤を配合してもよく、それらの範囲は、1次塗料の場合と同様である。
1次塗料及び2次塗料の調製に当たっては、例えば、樹脂 100に対し、硬化剤が0.5 〜100 重量部、好ましくは2〜80重量部、顔料が0〜150 重量部、好ましくは0〜60重量部、添加剤を0.1 〜10重量部、好ましくは0.1 〜8重量部で常温で混合した後、1軸及び2軸押し出し機等の粉体塗料製造に常用される混練機を用い、混練する。混練して形成されたペレットをピンミル等の粉砕機を用いて粉砕を行い、篩い等を用いて任意の粒度分布に調整する。
粉体塗料の粒度としては、例えば、10〜200 μm 、好ましくは、25〜130 μm であることが適当である。
【0012】
2次塗料で使用される樹脂は、常温で固形であるものが適当である。従って、樹脂の融点は、例えば、1次塗料で使用されるエポキシ樹脂の場合と同様であることが適当である。
なお、2次塗料で使用されるエポキシ樹脂のエポキシ当量は、通常、600 〜2000、好ましくは600 〜1500のものが良い。
また、エポキシ樹脂の硬化剤としては、官能基としてフェノール性水酸基を有するものが使用可能である。この場合、エポキシ樹脂は、フェノール性水酸基当量が100 〜500 、好ましくは150 〜400 のものが好ましい。
また、2次塗料においてエポキシ樹脂を使用する場合には、ゴム成分を配合することが、防食性を更に向上させる目的では好ましい。このようなゴム成分としては、液状又は固形のSBRや、SBS、SEBS、BR、IR、EPM、EPDM、NBR、CR、IIR等が使用可能である。これらのゴム成分の単体又は複合体で使用可能である。
【0013】
ゴム成分を配合する場合には、エポキシ樹脂の重量に対して、例えば、5〜30重量%、好ましくは、5〜20重量%、特に好ましくは、5〜15重量%の量で配合することが適当である。
また、ゴム成分単体でエポキシ樹脂に混合してもよいが、マトリクスとなるエポキシ樹脂に予め分散を行ったものもでもよい。ただし、固形のゴム成分を使用する場合、ゴム成分の2次凝集体の粒径は5μm 以下、好ましくは、3μm 以下にすることが適当である。5μm を越えると、可撓性の向上が望めないばかりか、塗膜表面に析出したゴム成分が塗膜表面を荒らし、塗膜外観の低下を招くため好ましくない。
上記によって製造した1次塗料及び2次塗料からなる粉体塗料は、粉体塗装用塗装機で任意の膜厚に塗装し、加熱することにより塗膜を形成する。形成方法としては、以下の方法が好適に挙げられる。
(1)常温状態の被塗物に1次塗膜を形成する1次粉体塗料を塗装し、焼き付け乾燥を行った後、熱間状態で2次塗膜を形成する2次粉体塗料を塗装し、焼付ける、2コート2ベーク方式の粉体塗料塗装方法。
(2)十分硬化する温度に予熱した状態の被塗物に、1次塗膜を形成する1次粉体塗料を塗装し、その保持熱で2次塗膜を形成する2次粉体塗料を塗装し、焼付け方法。
(3)粉体塗料が十分硬化する温度に予熱した状態の被塗物に、1次塗膜を形成する1次粉体塗料を塗装し、その保持熱で2次塗膜を形成する2次粉体塗料を塗装し、焼付ける方法。
(4)常温状態の被塗物に、1次塗膜を形成する1次粉体塗料を塗装し、そのまま2次塗膜を形成する2次粉体塗料を塗装し、焼付を行う、2コート1ベーク方式の粉体塗料の塗装方法。
【0014】
なお、3次以降の塗膜を形成する方法は以上の方法の組み合わせより、膨大な数の方法が可能となる。その態様は当業者には自明である。
(1)に関しては、塗膜形成の為の加熱を2回行う必要があり、エネルギー効率としては低いが、造船行程上1次塗装と2次塗装のリードタイムが発生するケースもあるので掲載する。
(2)〜(4)の方法に関しては、加熱が1回で済み、エネルギー効率を確保して、高性能の塗膜を形成することができる。
加熱条件は粉体塗料の組成により必要とする熱量が異なるため、まちまちであるが、通常、被塗物表面温度を155 〜300 ℃、好ましくは、160 〜250 ℃に加熱する必要がある。 155℃未満の場合、2次形成塗膜にポリイソシアネート硬化剤を用いた場合、硬化反応が生じず、健全な塗膜が形成されないので好ましくない。一方、300 ℃を越えると、樹脂成分の分解が生じ易いので、好ましくない。
【0015】
予備加熱して塗装を行う場合には、被塗物を110 〜300 ℃、好ましくは、130 〜250 ℃に予熱する必要がある。110 ℃未満の場合には、塗装を行っても被塗物に付いた塗料が溶融せず、エッジカバリング効果も発揮できないので、好ましくない。一方、300 ℃を越えると、樹脂成分の分解が生じ易いので、好ましくない。
加熱を行う方法としては、従来から使用されているような、金属の加熱方法が特に制限なく、採用することができる。このような方法としては、例えば、熱風加熱や、誘導加熱、赤外線照射による加熱が挙げられる。ただし、炎を直接塗料塗布面に当てて加熱することは、塗膜の燃焼や、分解を生じ易いため好ましくない。
1次塗膜及び2次塗膜の厚みは、好ましくは80μm 以上、特に好ましくは140 μm 以上が適当である。
【0016】
【実施例】
以下、本発明について、実施例及び比較例により更に詳細に説明する。なお、実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、それぞれ重量基準で示した値である。
<塗料1の調製>
エポキシ当量900 g/当量のエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製:エピコート 1004F)55部に、硬化剤としてビスフェノールA骨格フェノール硬化剤(ダウケミカルズ製:DEH-81)12部、表面調整剤としてアクリル酸共重合物(モンサント社製:モダフローパウダー2000)1部、顔料として硫酸バリウム16部、酸化チタン15部、カーボンブラック0.3 部を混合し、120 ℃でエクストルーダーを用いて混練し、出てきた粉体塗料混合物のペレットをピンミルを用いて粉砕を行い、分級機で平均粒径40μm の粉体塗料Aを作成した。
<塗料2の調製>
水酸基価35mgKOH/g の水酸基末端ポリエステル樹脂(日本ユピカ製:GV-540)53重量部に、MEK オキシムでイソシアネート基をブロックしたH12MDI骨格ポリイソシアネート樹脂(McWHORTER 製:24-2435)12部、表面調整剤としてアクリル酸共重合物(モンサント社製:モダフローパウダー2000)を1部、脱泡剤としてベンゾイン0.5 重量部、反応触媒としてジブチルチンジラウレート0.5 部、顔料として硫酸バリウム20部、酸化チタン10部、カーボンブラック0.2 部を混合し、120 ℃でエクストルーダーを用いて混練し、出てきた粉体塗料組成物ペレットをピンミルを用いて粉砕、分級機で分級を行い平均粒径37μm の粉体塗料Bを作成した。
【0017】
<塗料3の調製>
エポキシ当量900 g/当量のエポキシ樹脂(油化シェルエポキシ製:エピコート 1004F)55部に硬化剤としてアジピン酸ジヒドラジド5部、硬化促進剤として2−フェニルイミダゾール0.3 部、表面調整剤としてアクリル酸共重合物(モンサント社製:モダフローパウダー2000)1部、顔料としてシリカ30部、酸化チタン10部、カーボンブラック0.2 部を混合、120 ℃でエクストルーダーを用いて混練し、出てきた粉体塗料混合物のペレットをピンミルを用いて粉砕を行い、分級機で平均粒径40μm の粉体塗料Cを作成した。
<塗料4の調製>
水酸基価50mgKOH/g のFEVE(フルオロエチレン−ビニルエーテル共重合体)(旭硝子社製:ルミフロンLF−710F)51部にIPDI系ポリイソシアネート樹脂(Huls社製:ベスタゴンB−1065)19部に表面調整剤としてアクリル酸共重合物(モンサント社製:モダフローパウダー2000)1部、脱泡剤としてベンゾイン0.5 重量部、硬化触媒としてジブチルチンジラウレート0.1 部、酸化チタン30部を混合し、120 ℃でエクストルーダーを用いて混練し、出てきた粉体塗料組成物ペレットをピンミルを用いて粉砕、分級機で分級を行い平均粒径37μm の粉体塗料Dを作成した。
【0018】
<塗料5の調製>
エポキシ当量900 のビスフェノールA型エポキシ樹脂(大日本インキ化学社製:エピクロン4050)46部にフェノール性水酸基当量300 のフェノール樹脂(油化シェルエポキシ社製:エピキュア172 )12部、ゴム成分としてポリシロキサンをコア、アクリルをシェルとするコアシェル樹脂(Wacker社製:Modifier445006VP)10部、表面調整剤としてアクリル酸共重合物(モンサント社製:モダフローパウダー2000)1部、シリカ30部、カーボンブラック1部を 120℃でエクストルーダーを用いて混練し、出てきた粉体塗料組成物ペレットをピンミルを用いて粉砕、分級機で分級を行い平均粒径37μm の粉体塗料Eを作成した。
<塗料6の調製>
エポキシ当量 460g/当量の熱硬化アクリル樹脂(三井東圧化学(株)社製商品名;アルマテックスPD7690);80部に1,10- デカンジカルボン酸(DDA);5部、添加剤としてアクリルオリゴマー(BASF社製商品名;アクロナールAF);0.5 部、脱泡剤としてベンゾイン;0.4 部を溶融混練して、出てきた粉体塗料組成物ペレットをピンミルを用いて粉砕、分級機で分級を行い、平均粒径37μm の粉体塗料Fを作成した。
【0019】
実施例1
厚さ7mm、大きさ 300× 300mmの熱間圧延鋼板(SS−400 材)を210 ℃に調整した恒温機中に40分間投入し、被塗物表面温度が 190℃になった状態で粉体塗料Cを粉体塗料静電塗装機(松尾産業社製:MXR− 200)を用い、80kvの負電荷をかけ被塗物に対し膜厚が 150μm になるよう塗装を行った。被塗物温度が 160℃以上ある状態でかつ粉体塗料Cが溶融状態の時に粉体塗料Aを同様の塗装機を用い、膜厚70μm になるよう塗装を行い、そのまま放置し約 220μm の塗膜を形成した。
【0020】
実施例2
厚さ7mm、大きさ 300× 300mmの熱間圧延鋼板(SS- 400 材)を 210℃に調整した恒温機中に40分間投入し、被塗物表面温度が 190℃になった状態で粉体塗料Cを粉体塗料静電塗装機(松尾産業社製:MXR−200)を用い、80kvの負電荷をかけ被塗物に対し膜厚が 150μm になるよう塗装を行った。粉体塗料Cが溶融状態の時に粉体塗料Bを同様の塗装機を用い、膜厚70μm になるよう塗装を行い、その後、200 ℃に調整した恒温機中に15分間放置し約 220μm の塗膜を形成した。
【0021】
実施例3
厚さ7mm、大きさ 300× 300mmの熱間圧延鋼板(SS−400材)を 210℃に調整した恒温機中に40分間投入し、被塗物表面温度が 190℃になった状態で粉体塗料Cを粉体塗料静電塗装機(松尾産業社製:MXR−200)を用い、80kvの負電荷をかけ被塗物に対し膜厚が 150μm になるよう塗装を行った。粉体塗料Cが溶融状態の時に粉体塗料Dを同様の塗装機を用い、膜厚40μm になるよう塗装を行い、その後、 200℃に調整した恒温機中に15分間放置し約 190μm の塗膜を形成した。
【0022】
実施例4
厚さ7mm、大きさ 300× 300mmの熱間圧延鋼板(SS−400材)に粉体塗料Cを粉体塗料静電塗装機(松尾産業社製:MXR−200)を用い、80kvの負電荷をかけ被塗物に対し膜厚が 110μm になるよう塗装を行った。そのまま粉体塗料Eを同様の塗装機を用い、膜厚60μm になるよう塗装を行い、その後、 200℃に調整した恒温機中に15分間放置し約 170μm の塗膜を形成した。
【0023】
実施例5
厚さ7mm、大きさ 300×300 mmの熱間圧延鋼板(SS−400材)に粉体塗料Cを粉体塗料静電塗装機(松尾産業社製:MXR−200)を用い、80kvの負電荷をかけ被塗物に対し膜厚が 110μm になるよう塗装を行った。そのまま粉体塗料Fを同様の塗装機を用い、膜厚60μm になるよう塗装を行い、その後、 200℃に調整した恒温機中に15分間放置し約 170μm の塗膜を形成した。
【0024】
比較例1
厚さ7mm、大きさ300 × 300mmの熱間圧延鋼板(SS−400材)を 210℃に調整した恒温機中に40分間投入し、被塗物表面温度が 190℃になった状態で粉体塗料Cを粉体塗料静電塗装機(松尾産業社製:MXR−200)を用い、80kvの負電荷をかけ被塗物に対し膜厚が 220μm になるよう塗装を行い。その後、 200℃に調整した恒温機中に5分間放置し約 220μm の塗膜を形成した。
【0025】
比較例2
厚さ7mm、大きさ 300× 300mmの熱間圧延鋼板(SS−400材)に粉体塗料Bを粉体塗料静電塗装機(松尾産業社製:MXR−200)を用い、80kvの負電荷をかけ被塗物に対し膜厚が 220μm になるよう塗装を行い。その後、 200℃に調整した恒温機中に30分間放置し約 220μm の塗膜を形成した。
以上の塗装板に対し、以下の試験を行った。
1.塗膜の表面状態
目視にて観察し、塗膜表面に異常がないかを見る。
○:異常なし
×:異常あり
2.耐衝撃試験
JIS K5400−1990 8.3.2に準拠した試験を行い、塗膜に割れ、剥がれが発生しなかった最大落下高さ(cm)を測定した。但し、ポンチ径は約0.1cm(1/4インチ)、重りの重量は1000g とする。実施例4については
供試温度を−20℃とした。
【0026】
3.エリクセン試験
JIS K5400−1990 8.2.2に準拠し、エリクセン試験機を用いて、試験片の裏面から鋼球を押し出して、試験片を変形させたときに塗膜に割れ及びはがれを生じるまでの押し出し距離を調べる。
4.付着性試験
JIS K5400-1990 8.5.2 に準拠した試験を行った。但し、切り傷の間隔は1mmとする。
評価点数:
10点:切り傷1本ごとが、細くて両側が滑らかで、切り傷の交点と正方形の一目一目にはがれがない。
8点:切り傷の交点にわずかなはがれがあって、正方形の一目一目にはがれがなく、欠損部の面積は、全正方形面積の5%以内。
【0027】
5.促進耐候性試験
JIS K5400-1990 9.8.1 に準拠、照射時間500時間後の塗膜をJIS
K 5400-1990 7.6鏡面光沢度により光沢を測定し、初期光沢値からの保持率を測定した。但し、実施例3は、5000時間後の塗膜をJIS K5400-1990 7.6 鏡面光沢度により光沢を測定し、初期光沢値からの保持率を測定した。
評価基準:
A:異常なし B:チョーキング
6.塩水噴霧試験
JIS K5400-1990 9.1 に準拠し、720 時間後に塗膜に入れたクロスカット部にカッターを入れ、引き起こし、クロスカット部からの片側剥離幅(mm)を測定した。また、塗板エッジ部からの錆の発生状況を目視で観察した。
エッジ部の目視判定基準
○:錆の発生無し
×:錆の発生あり
【0028】
7.耐湿性試験
JIS K5400-1990 9.2.2 回転式に準拠、720 時間後の塗膜に対し、JISK5400-1990 8.5.2 に準拠した付着性試験を行った。但し、切り傷の間隔は1mmとする。
○:塗膜にしわ、膨れ、割れ、錆、はがれが認められず、くもり・白化・変色がない。
×:塗膜にしわ、膨れ、割れ、錆、はがれが認めら、くもり・白化・変色がある。
結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
Figure 0003992337
本発明の塗膜形成方法である実施例1から実施例5は、試験結果が良好であった。エポキシ樹脂粉体塗料のみの比較例1は、エリクセン試験において塗膜の割れ及びはがれの生じる押し出し距離が短く、付着性も不良で好ましくない。水酸基含有ポリエステル樹脂粉体料のみの比較例2は、塩水噴霧、及び耐湿性において不良であり、好ましくない。
【0030】
【発明の効果】
本発明において、1次塗料及び2次塗料の各粉体塗料を2層で形成することによって、従来1種の塗料だけでは発揮できなかった、複数の性能を同時に、又は1種の性能であっても向上した性能を保有する塗膜を形成することができる。例えば、防食性が良好ではあるが、耐候性に劣るエポキシ樹脂塗膜に、耐候性を付与した塗膜を容易に形成することができる。特に、最上層の塗膜を、フッ素樹脂粉体塗料塗膜にした場合、その耐候性能は群を抜く物が得られる。また、常温塗装では、塗膜形成時に、硬化収縮により鋼材エッジ端面の塗膜厚保が確保されず、エッジ端面から錆が進行するといった問題があるが、1次塗膜を予熱塗装することによりエッジ端面の塗膜厚を確保することができる。更に、1次塗膜の硬化が完了する以前の半硬化状態で2次塗膜の塗装を行うと、塗膜界面が無くなり、1次塗膜から2次塗膜の連続構造を形成することができ、あたかも1層で多岐に渡る複数の性能を有する塗膜が形成できる。更に、溶剤系でこの性能を保持させようとすると、ショッププライマーと、エポキシプライマー(ミストコート)と、エポキシ樹脂塗料下塗と、エポキシ樹脂塗料上塗と、フッ素樹脂塗装というふうに5層の塗膜が必要であるが、粉体塗料では2層又は3層程度でこれを実現することが出来、塗装費用の大幅な削減が可能である。また、付着力が脆弱なエポキシ樹脂上塗/フッ素樹脂塗料間の付着力と比較して遙かに付着力が大きく、剥離等が発生しにくい。

Claims (1)

  1. 155〜300℃に予熱された鉄構造物用部材上に、エポキシ樹脂粉体塗料からなる1次塗料を塗装し、次いで、前記1次塗料の塗膜が完全に硬化する前に、アクリル樹脂又は水酸基含有ポリエステル樹脂を結合剤成分として含有する粉体塗料からなる2次塗料を塗装し、焼付けることを特徴とする鉄構造物用粉体塗料塗膜形成方法。
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