JP3991725B2 - フッ素置換イリジウム錯体、その中間体及びその製造方法 - Google Patents
フッ素置換イリジウム錯体、その中間体及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3991725B2 JP3991725B2 JP2002067917A JP2002067917A JP3991725B2 JP 3991725 B2 JP3991725 B2 JP 3991725B2 JP 2002067917 A JP2002067917 A JP 2002067917A JP 2002067917 A JP2002067917 A JP 2002067917A JP 3991725 B2 JP3991725 B2 JP 3991725B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fluorine
- substituted
- iridium
- phenylpyridine
- reaction
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Description
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL;ElectroLuminescence)材料として有効なフッ素置換されたイリジウム錯体、その中間体及びその製造方法に関する。
【従来の技術】
従来の発光材料は、一重項-三重項遷移による発光を利用した材料(以下、一重項発光材料という。)が用いられており、主に、アルミキノリノールやナイルレッド、ペリレン等が用いられている。
最近になり、トリス(フェニルピリジン)イリジウムが従来の一重項発光材料をはるかに越える発光効率を示すことが判明した(T.TSUTSUI et al.; Jpn. J. Appl. Phys. Vol.38(1999) L1502-L1504, Part2, No.12B, 15 December 1999, Express Letter)。このトリス(フェニルピリジン)イリジウムは、励起三重項状態から基底状態への遷移による発光を利用した材料(以下、三重項発光材料という。)であり、今後この材料を契機に一重項発光材料から三重項発光材料の開発にシフトしていくものと考えられる。
【発明が解決しようとする課題】
有機EL発光材料として上記トリス(フェニルピリジン)イリジウムを考えた場合、その耐久性、特に耐熱性及び耐酸化性が不十分であることが課題として挙げられる。
上記課題を解決する手段としてはイリジウム原子に配位しているフェニルピリジン中の水素原子をフッ素原子で置換することが考えられる。フッ素原子は炭素原子との結合エネルギーが高いため、水素原子をフッ素原子で置換すると耐熱性及び耐酸化性等の向上が期待される。
しかし、フッ素置換フェニルピリジンの報告例は、幾つかあるものの、このフッ素置換フェニルピリジンを配位子としたイリジウム錯体の報告例は、窒素原子から数えて10位の位置にフッ素置換したイリジウム錯体があるに過ぎない。
本発明の目的は、発光効率が高く、耐久性に優れたフッ素置換イリジウム錯体、その中間体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、次の式(1)で示され、窒素原子から数えて2,3,4又は5位の位置に1つだけフッ素が置換されたフッ素置換2-フェニルピリジンとイリジウムとが錯体を形成したフッ素置換イリジウム錯体である。
【化6】
請求項1に係る発明では、上記構造を有するイリジウム錯体はフッ素が配位子である2-フェニルピリジン内に置換されているため、炭素原子との結合エネルギーが高まり、耐熱性及び耐酸化性等が向上する。
請求項2に係る発明は、次の式(2)で表され、窒素原子から数えて3,4又は5位の位置に1つだけフッ素が置換された錯体形成用第1中間体である。
【化7】
請求項3に係る発明は、次の式(3)で表される錯体形成用第2中間体である。
【化8】
但し、XはCl、Br又はI元素である。
請求項4に係る発明は、イリジウム (III) アセチルアセトネートと窒素原子から数えて2,3,4又は5位の位置に1つだけフッ素が置換されたフッ素置換 2- フェニルピリジンとを反応させ、フッ素置換 2- フェニルピリジンとイリジウムとからなる錯体を形成させるフッ素置換イリジウム錯体の製造方法であって、フッ素置換2-フェニルピリジンが次の式(4)で示されるハロゲン化ベンゼンを有機リチウム化合物と反応させた後、塩化亜鉛(II)と反応させることにより得られる塩化亜鉛ベンゼンを次の式(5)で示されるフッ素置換2-ハロゲン化ピリジンとを反応させることにより得られることを特徴とするフッ素置換イリジウム錯体の製造方法である。
【化9】
但し、XはCl、Br又はI元素である。
【化10】
但し、XはCl、Br又はI元素である。
請求項5に係る発明は、イリジウム (III) アセチルアセトネートと窒素原子から数えて2,3,4又は5位の位置に1つだけフッ素が置換されたフッ素置換 2- フェニルピリジンとを反応させ、フッ素置換 2- フェニルピリジンとイリジウムとからなる錯体を形成させる フッ素置換イリジウム錯体の製造方法であって、フッ素置換2-フェニルピリジンが請求項4記載の式(4)で示されるハロゲン化ベンゼンを金属マグネシウムと反応させることにより得られる有機金属化合物と請求項4記載の式(5)で示されるフッ素置換2-ハロゲン化ピリジンとを反応させることにより得られることを特徴とするフッ素置換イリジウム錯体の製造方法である。
請求項6に係る発明は、イリジウム (III) アセチルアセトネートと窒素原子から数えて2,3,4又は5位の位置に1つだけフッ素が置換されたフッ素置換 2- フェニルピリジンとを反応させ、フッ素置換 2- フェニルピリジンとイリジウムとからなる錯体を形成させるフッ素置換イリジウム錯体の製造方法であって、フッ素置換2-フェニルピリジンが請求項4記載の式(5)で示されるフッ素置換2-ハロゲン化ピリジンを金属マグネシウムと反応させることにより得られる請求項3記載の式(3)で示される錯体形成用第2中間体と請求項4記載の式(4)で示されるハロゲン化ベンゼンとを反応させることにより得られることを特徴とするフッ素置換イリジウム錯体の製造方法である。
請求項4ないし6いずれかに係る発明では、上記方法により、配位子である2-フェニルピリジンの任意の位置にフッ素を導入することができるため、耐久性特に耐熱性、耐酸化性に優れたフッ素置換イリジウム錯体を収率よく製造できる。
【発明の実施の形態】
トリス(フェニルピリジン)イリジウムにおいて、配位子であるフェニルピリジン任意の位置にフッ素を導入することができれば、上記の耐久性、耐酸化性等の面で大いに有効である。本発明者らは以上の問題を鋭意検討した結果、任意の位置にフッ素を導入したフッ素置換2-フェニルピリジンが得られることを確認した。
具体的には、ハロゲン化ベンゼンを有機リチウム化合物と反応させた後、塩化亜鉛(II)と反応させることにより塩化亜鉛ベンゼンとし、これとフッ素置換2-ハロゲン化ピリジンとを反応させるか、若しくはハロゲン化ベンゼンを金属マグネシウムと反応させることにより有機金属化合物とし、これとフッ素置換2-ハロゲン化ピリジンとを反応させるか、又は、フッ素置換2-ハロゲン化ピリジンを金属マグネシウムにより第2中間体とし、これとハロゲン化ベンゼンとを反応させることにより、ピリジン環側にフッ素の入った第1中間体を含むフッ素置換2-フェニルピリジンが得られることを確認した。
更に上記方法により得られたフッ素置換2-フェニルピリジンとイリジウム(III)アセチルアセトネート([CH3COCH=C(O-)CH3]3Ir)とを反応させることにより、目的とする(フッ素置換2-フェニルピリジン)3Ir錯体が得られることが判明し、本発明に至った。
次に本発明の実施の形態について説明する。
イリジウム(III)アセチルアセトネートと窒素原子から数えて2,3,4又は5位の位置に1つだけフッ素が置換されたフッ素置換2-フェニルピリジンとを反応させ、錯体を形成することにより本発明のイリジウム錯体が得られる。配位子となるフッ素置換2-フェニルピリジンの製造方法は、フッ素を置換させる位置によって、フェニル基側にフッ素を置換させる方法と、ピリジン環側にフッ素を置換させる方法の2通りの方法がある。
ピリジン環側にフッ素を置換した第1中間体を含むフッ素置換2-フェニルピリジンの製造方法を説明する。ピリジン環側にフッ素を置換した第1中間体を含むフッ素置換2-フェニルピリジンの製造方法としては、 (1)有機リチウム化合物を用いた方法と、(2)金属マグネシウムを用いた方法により製造される。
(1)有機リチウム化合物を用いた方法
先ず、ハロゲン化ベンゼンを用意し、下記式(6)に示すように、このハロゲン化ベンゼンに有機リチウム化合物(式(6)中ではn-ブチルリチウム)を反応させることにより、リチウム原子がハロゲン化ベンゼン中のハロゲン原子と置換した有機リチウム化合物が得られる。
【化11】
但し、XはCl、Br又はI元素である。
この反応に使用される有機リチウム化合物としては、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム等が挙げられる。溶媒としては、一般的にエーテル系溶媒を使用することができる。エーテル系溶媒としては、テトラヒドロフラン(以下、THFという。)、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。この式(6)に示す反応では、反応温度が−78〜0℃の範囲内で反応時間が0.5〜3時間である。反応温度が−78℃未満では効果的に反応が進行せず、0℃を越えると副反応が起きてしまうため、有機リチウム化合物の収率が低下する。好ましい反応温度は−78〜−40℃である。反応時間が0.5時間未満であると、反応が十分に進行しない。好ましい反応時間は1〜3時間である。
次に、下記式(7)に示すように、有機リチウム化合物に塩化亜鉛(II)を反応させて塩化亜鉛ベンゼンに変換する。
【化12】
ここで、有機リチウム化合物を塩化亜鉛ベンゼンに変換するのは、後述するフッ素置換2-ハロゲン化ピリジンとの反応の際に、有機リチウム化合物の求核性を制御するためである。溶媒としては、一般的にエーテル系溶媒を使用することができる。エーテル系溶媒としては、THF、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。この反応は0℃〜溶媒の沸点の範囲内で1〜5時間行うことにより反応が進行する。
次に、下記式(8)に示すように、塩化亜鉛ベンゼンにフッ素置換2-ハロゲン化ピリジンを添加して、第1中間体を含むフッ素置換2-フェニルピリジンを製造する。
【化13】
但し、X’はCl、Br又はI元素である。
この式(8)に示す反応ではパラジウム触媒、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(PPh3)4]を溶媒中に存在させることにより、塩化亜鉛ベンゼンとフッ素置換2-ハロゲン化ピリジンとの反応が位置選択性よく進行する。ここで使用されるフッ素置換2-ハロゲン化ピリジンの製造方法としては、アミノ基を有した2-ハロゲン化ピリジンのジアゾフッ素化が適当である。溶媒としては、一般的にエーテル系溶媒を使用することができる。エーテル系溶媒としては、THF、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。この反応では、反応温度は0℃〜溶媒の沸点の範囲内で反応時間は1〜24時間である。反応温度が0℃未満では効果的に反応が進行せず、第1中間体を含むフッ素置換2-フェニルピリジンの収率が低下する。溶媒の沸点以上には温度が上がらないため、上限値は溶媒の沸点とした。しかし、沸点近傍の温度で溶媒が激しく還流するような状態で反応を進行させると、収率が低下するため、溶媒が還流しない程度が反応条件としては最適である。反応時間が1時間未満であると、反応が十分に進行しない。好ましくは2〜4時間である。
(2)金属マグネシウムを用いた方法
下記式(9)に示すように、ハロゲン化ベンゼンに金属マグネシウムを反応させることにより、ハロゲン原子とベンゼン環との間にマグネシウムが挿入された有機金属化合物が得られる。
【化14】
但し、XはCl、Br又はI元素である。
この式(9)に示す反応は、エーテル系溶媒中でハロゲン化アルキルとマグネシウムとを作用させることにより得られるグリニャール試薬(Grignard Reagent)の製造方法と同様の方法である。エーテル系溶媒としては、THF、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。この反応では、反応温度が0℃〜溶媒の沸点の範囲内で反応時間が1〜48時間である。反応温度が0℃未満では効果的に反応が進行せず、有機金属化合物の収率が低下する。反応温度の上限値を溶媒の沸点に規定したのは、その温度以上には上がらないからである。溶媒の沸点近傍の温度で溶媒が激しく還流するような状態として反応を進行させると、収率が低下するため、溶媒が緩やかに還流するぐらいが反応条件としては最適である。反応時間が1時間未満であると、反応が十分に進行しない。好ましい反応時間は2〜48時間である。
下記式(10)に示すように、この有機金属化合物にフッ素置換2-ハロゲン化ピリジンと反応させて第1中間体を含むフッ素置換2-フェニルピリジンを製造する。
【化15】
但し、X及びX’はCl、Br又はI元素であり、互いに同一又は異なる元素である。
この式(10)に示す反応では、式(8)に示す反応と同様に、パラジウム触媒、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(PPh3)4]を触媒として存在させることにより、フッ素置換2-ハロゲン化ピリジンとの反応が位置選択性よく進行する。ここで使用されるフッ素置換2-ハロゲン化ピリジンの製造方法としては、アミノ基を有した2-ハロゲン化ピリジンのジアゾフッ素化が適当である。溶媒としては、一般的にエーテル系溶媒を使用することができる。エーテル系溶媒としては、THF、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。この反応では、反応温度が0℃〜溶媒の沸点の範囲内で反応時間が1〜24時間である。反応温度が0℃未満では効果的に反応が進行せず、第1中間体を含むフッ素置換2-フェニルピリジンの収率が低下する。反応温度の上限値を溶媒の沸点に規定したのは、その温度以上には上がらないからである。溶媒の沸点近傍の温度で溶媒が激しく還流するような状態として反応を進行させると、収率が低下するため、溶媒が還流しない程度が反応条件としては最適である。反応時間が1時間未満であると、反応が十分に進行しない。好ましい反応時間は2〜24時間である。
また、下記式(11)に示すように、フッ素置換2-ハロゲン化ピリジンに金属マグネシウムを反応させることによりハロゲン原子とピリジン環との間にマグネシウムが挿入された第2中間体が得られる。ここで使用されるフッ素置換2-ハロゲン化ピリジンの製造方法としては、アミノ基を有した2-ハロゲン化ピリジンのジアゾフッ素化が適当である。
【化16】
但し、X’はCl、Br又はI元素である。
この式(11)に示す反応は、エーテル溶媒中でハロゲン化アルキルとマグネシウムとを作用させることにより得られるグリニャール試薬の製造方法と同様の方法である。エーテル系溶媒としては、THF、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。この反応では反応温度が0℃〜反応溶媒の沸点の範囲内で反応時間が1〜48時間である。反応温度が0℃未満では効果的に反応が進行せず、第2中間体の収率が低下する。反応温度の上限値を溶媒の沸点に規定したのは、その温度以上には上がらないからである。溶媒の沸点近傍の温度で溶媒が激しく還流するような状態として反応を進行させると、収率が低下するため、溶媒が緩やかに還流する程度が反応条件としては最適である。反応時間が1時間未満であると、反応が十分に進行しない。好ましい反応時間は2〜48時間である。
下記式(12)に示すように、この第2中間体にハロゲン化ベンゼンを反応させて第1中間体を含むフッ素置換2-フェニルピリジンを製造する。
【化17】
但し、X及びX’はCl、Br又はI元素であり、互いに同一又は異なる元素である。
この式(12)に示す反応では、パラジウム触媒、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(PPh3)4]を触媒として存在させることにより、ハロゲン化ベンゼンとの反応が位置選択性よく進行する。溶媒としては、一般的にエーテル系溶媒を使用することができる。エーテル系溶媒としては、THF、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等が挙げられる。この反応では、反応温度が0℃〜溶媒の沸点の範囲内で反応時間が1〜24時間である。反応温度が0℃未満では効果的に反応が進行せず、第1中間体を含むフッ素置換2-フェニルピリジンの収率が低下する。反応温度の上限値を溶媒の沸点に規定したのは、その温度以上には上がらないからである。溶媒の沸点近傍の温度で溶媒が激しく還流するような状態として反応を進行させると、収率が低下するため、溶媒が還流しない程度が反応条件としては最適である。反応時間が1時間未満であると、反応が十分に進行しない。好ましい反応時間は2〜24時間である。
次に、下記式(13)に示すように、イリジウム(III)アセチルアセトネートと上述した方法により得られたフッ素置換2-フェニルピリジンとを反応させ、錯体を形成することにより本発明のイリジウム錯体が製造される。
【化18】
この式(13)に示す反応では、イリジウム錯体化においては、溶媒としては、グリセロールを使用することができる。この反応は、一般的に溶媒が還流する温度で行われ、反応圧力0.266〜101.08kPa、反応温度が130〜280℃の範囲内で反応時間が1〜12時間である。反応温度が130℃未満では効果的に反応が進行せず、イリジウム錯体の収率が低下する。反応温度の上限値を280℃に規定したのは、使用するグリセロールが290℃で分解してしまうからである。反応時間が1時間未満であると、反応が十分に進行しない。好ましい反応時間は8〜12時間である。
このようにして得られたフッ素置換イリジウム錯体を質量分析、元素分析、IR、NMR等にて測定したところ、それぞれ目的とする化合物が生成していることが確認された。
【実施例】
次に本発明の実施例を説明する。
<実施例1>
先ず、活性化したマグネシウム0.6gとTHF30mlにTHF50mlで希釈したブロモベンゼン3.5gを添加し、50℃で3時間撹拌することによりグリニヤール試薬を調製した。次いで、5-アミノ-2-クロロピリジンのジアゾフッ素化により得られた5-フルオロ-2-クロロピリジン3g、パラジウム触媒1.2gとTHF70mlをフラスコに入れておき、調製したグリニヤール試薬を滴下して40℃で2時間反応させることにより、5-フルオロ-2-(フェニル)ピリジンを得た。
次に、5-フルオロ-2-(フェニル)ピリジン0.54gにイリジウムアセチルアセトネート0.5g、グリセリン50mlを加え、2.66kPa、190℃の条件下で10時間撹拌加熱をした。これに塩酸とジクロロメタンを添加し、有機層を濃縮して(5-フルオロ-2-(フェニル)ピリジン)3Irを得た。
<実施例2>
先ず、活性化したマグネシウム0.6gとジイソプロピルエーテル30mlにジイソプロピルエーテル50mlで希釈したイオドベンゼン4.5gを添加し、60℃で8時間撹拌することによりグリニヤール試薬を調製した。次いで、3-アミノ-2-クロロピリジンのジアゾフッ素化により得られた3-フルオロ-2-クロロピリジン3g、パラジウム触媒1.2gとジイソプロピルエーテル70mlをフラスコに入れておき、調製したグリニヤール試薬を滴下して30℃で2時間反応させることにより、3-フルオロ-2-(フェニル)ピリジンを得た。
次に、3-フルオロ-2-(フェニル)ピリジン0.54gにイリジウムアセチルアセトネート0.5g、グリセリン50mlを加え、2.66kPa、190℃の条件下で10時間撹拌加熱をした。これに塩酸とジクロロメタンを添加し、有機層を濃縮して(3-フルオロ-2-(フェニル)ピリジン)3Irを得た。
<実施例3>
先ず、活性化したマグネシウム0.6gとジエチルエーテル30mlにジエチルエーテル50mlで希釈したクロロベンゼン2.5gを添加し、25℃で12時間撹拌することによりグリニヤール試薬を調製した。次いで、2-アミノ-6-ブロモピリジンのジアゾフッ素化により得られた2-フルオロ-6-ブロモピリジン4g、パラジウム触媒1.2gとジエチルエーテル70mlをフラスコに入れておき、調製したグリニヤール試薬を滴下して25℃で4時間反応させることにより、2-フルオロ-6-(フェニル)ピリジンを得た。
次に、2-フルオロ-6-(フェニル)ピリジン0.54gにイリジウムアセチルアセトネート0.5g、グリセリン50mlを加え、2.66kPa、190℃の条件下で10時間撹拌加熱をした。これに塩酸とジクロロメタンを添加し、有機層を濃縮して(2-フルオロ-6-(フェニル)ピリジン)3Irを得た。
<実施例4>
まず、活性化した金属マグネシウム1.0gに溶媒のジイソプロピルエーテルを30ml添加し、攪拌しておく。5-アミノ-2-クロロピリジンのジアゾフッ素化により得られた5-フルオロ-2-クロロピリジン5gをジイソプロピルエーテル10mlにて希釈したものを滴下し、60℃で5時間攪拌することによりグリニャール試薬を調製した。
次いで、ブロモベンゼン5.8g、パラジウム触媒0.8gとTHF30mlをフラスコに入れておき、先に調製したグリニャール試薬を滴下して50℃で5時間反応させることにより、5-フルオロ-2-(フェニル)ピリジンを得た。
次に、5-フルオロ-2-(フェニル)ピリジン0.54gにイリジウムアセチルアセトネート0.5g、グリセリン50mlを加え、2.66kPa、190℃の条件下で10時間加熱攪拌した。これに塩酸とジクロロメタンを添加し、有機層を濃縮して(5-フルオロ-2-(フェニル)ピリジン)3Irを得た。
<実施例5>
まず、活性化した金属マグネシウム1.0gに溶媒のTHFを30ml添加し、攪拌しておく。3-アミノ-2-クロロピリジンのジアゾフッ素化により得られた3-フルオロ-2-クロロピリジン5gをTHF10mlにて希釈したものを滴下し、30℃で5時間攪拌することによりグリニャール試薬を調製した。
次いで、ブロモベンゼン5.8g、パラジウム触媒0.8gとTHF30mlをフラスコに入れておき、先に調製したグリニャール試薬を滴下して35℃で8時間反応させることにより、3-フルオロ-2-(フェニル)ピリジンを得た。
次に、3-フルオロ-2-(フェニル)ピリジン0.54gにイリジウムアセチルアセトネート0.5g、グリセリン50mlを加え、2.66kPa、190℃の条件下で10時間加熱攪拌した。これに塩酸とジクロロメタンを添加し、有機層を濃縮して(3-フルオロ-2-(フェニル)ピリジン)3Irを得た。
<実施例6>
まず、活性化した金属マグネシウム1.0gに溶媒のジイソプロピルエーテルを30ml添加し、攪拌しておく。2-アミノ-6-ブロモピリジンのジアゾフッ素化により得られた2-フルオロ-6-ブロモピリジン5gをジイソプロピルエーテル10mlにて希釈したものを滴下し、20℃で40時間攪拌することによりグリニャール試薬を調製した。
次いで、ブロモベンゼン5.8g、パラジウム触媒0.8gとジイソプロピルエーテル30mlをフラスコに入れておき、先に調製したグリニャール試薬を滴下して25℃で16時間反応させることにより、2-フルオロ-6-(フェニル)ピリジンを得た。
次に、2-フルオロ-6-(フェニル)ピリジン0.54gにイリジウムアセチルアセトネート0.5g、グリセリン50mlを加え、2.66kPa、190℃の条件下で10時間加熱攪拌した。これに塩酸とジクロロメタンを添加し、有機層を濃縮して(2-フルオロ-6-(フェニル)ピリジン)3Irを得た。
<評価>
表1に実施例1〜3の原料、反応条件及び得られた化合物を、表2に実施例4〜6の原料、反応条件及び得られた化合物をそれぞれ示す。
【表1】
【表2】
表1〜表2より明らかなように、上記製造方法により、イリジウム錯体の配位子である2-フェニルピリジンの任意の位置にフッ素を導入することができる。
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の上記式(1)に示す構造を有するイリジウム錯体はフッ素が配位子である2-フェニルピリジン内に置換されているため、炭素原子との結合エネルギーが高まり、耐熱性及び耐酸化性等が向上する。また、本発明の製造方法は、耐久性特に耐熱性、耐酸化性に優れたフッ素置換イリジウム錯体を収率よく製造でき、得られたフッ素置換イリジウム錯体は、高発光効率有機EL材料として極めて有効である。
Claims (6)
- イリジウム (III) アセチルアセトネートと窒素原子から数えて2,3,4又は5位の位置に1つだけフッ素が置換されたフッ素置換 2- フェニルピリジンとを反応させ、前記フッ素置換 2- フェニルピリジンとイリジウムとからなる錯体を形成させるフッ素置換イリジウム錯体の製造方法であって、
前記フッ素置換2-フェニルピリジンが次の式(4)で示されるハロゲン化ベンゼンを有機リチウム化合物と反応させた後、塩化亜鉛(II)と反応させることにより得られる塩化亜鉛ベンゼンを次の式(5)で示されるフッ素置換2-ハロゲン化ピリジンとを反応させることにより得られることを特徴とするフッ素置換イリジウム錯体の製造方法。
- イリジウム (III) アセチルアセトネートと窒素原子から数えて2,3,4又は5位の位置に1つだけフッ素が置換されたフッ素置換 2- フェニルピリジンとを反応させ、前記フッ素置換 2- フェニルピリジンとイリジウムとからなる錯体を形成させるフッ素置換イリジウム錯体の製造方法であって、
前記フッ素置換2-フェニルピリジンが請求項4記載の式(4)で示されるハロゲン化ベンゼンを金属マグネシウムと反応させることにより得られる有機金属化合物と請求項4記載の式(5)で示されるフッ素置換2-ハロゲン化ピリジンとを反応させることにより得られることを特徴とするフッ素置換イリジウム錯体の製造方法。 - イリジウム (III) アセチルアセトネートと窒素原子から数えて2,3,4又は5位の位置に1つだけフッ素が置換されたフッ素置換 2- フェニルピリジンとを反応させ、前記フッ素置換 2- フェニルピリジンとイリジウムとからなる錯体を形成させるフッ素置換イリジウム錯体の製造方法であって、
前記フッ素置換2-フェニルピリジンが請求項4記載の式(5)で示されるフッ素置換2-ハロゲン化ピリジンを金属マグネシウムと反応させることにより得られる請求項3記載の式(3)で示される錯体形成用第2中間体と請求項4記載の式(4)で示されるハロゲン化ベンゼンとを反応させることにより得られることを特徴とするフッ素置換イリジウム錯体の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002067917A JP3991725B2 (ja) | 2001-04-24 | 2002-03-13 | フッ素置換イリジウム錯体、その中間体及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001-126506 | 2001-04-24 | ||
JP2001126506 | 2001-04-24 | ||
JP2001-230758 | 2001-07-31 | ||
JP2001230758 | 2001-07-31 | ||
JP2002067917A JP3991725B2 (ja) | 2001-04-24 | 2002-03-13 | フッ素置換イリジウム錯体、その中間体及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003113161A JP2003113161A (ja) | 2003-04-18 |
JP3991725B2 true JP3991725B2 (ja) | 2007-10-17 |
Family
ID=27346601
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002067917A Expired - Fee Related JP3991725B2 (ja) | 2001-04-24 | 2002-03-13 | フッ素置換イリジウム錯体、その中間体及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3991725B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3960765B2 (ja) * | 2001-09-03 | 2007-08-15 | 三洋電機株式会社 | 発光素子用発光材料 |
DE10223337A1 (de) * | 2002-05-25 | 2003-12-04 | Covion Organic Semiconductors | Verfahren zur Herstellung von hochreinen, tris-orthometallierten Organo-Iridium-Verbindungen |
KR100880220B1 (ko) * | 2004-10-04 | 2009-01-28 | 엘지디스플레이 주식회사 | 유기 실리콘을 갖는 페닐 피리딘기를 포함하는 이리듐화합물계 발광 화합물 및 이를 발색 재료로서 사용하는유기전계발광소자 |
WO2015046452A1 (ja) * | 2013-09-27 | 2015-04-02 | コニカミノルタ株式会社 | イリジウム錯体、イリジウム錯体の製造方法、有機エレクトロルミネッセンス素子、表示装置及び照明装置 |
-
2002
- 2002-03-13 JP JP2002067917A patent/JP3991725B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2003113161A (ja) | 2003-04-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US6946688B2 (en) | Electroluminescent iridium compounds with fluorinated phenylpyridines, phenylpyrimidines, and phenylquinolines and devices made with such compounds | |
US6670645B2 (en) | Electroluminescent iridium compounds with fluorinated phenylpyridines, phenylpyrimidines, and phenylquinolines and devices made with such compounds | |
US9478756B2 (en) | Organometallic compound, and organic light-emitting diode using same | |
KR100676965B1 (ko) | 신규 이리듐 착화합물 및 이를 이용한 유기 전계 발광 소자 | |
JP4299144B2 (ja) | フッ素化フェニルピリジン、フェニルピリミジン、およびフェニルキノリンを含むエレクトロルミネッセンスイリジウム化合物ならびにこのような化合物を用いて製造されるデバイス | |
JP4918365B2 (ja) | フッ素化フェニルピリジン配位子を有するエレクトロルミネセンスイリジウム化合物、およびかかる化合物で製造されたデバイス | |
JP5669346B2 (ja) | 新規な赤色エレクトロルミネッセンス化合物およびそれを使用した有機エレクトロルミネッセンスデバイス | |
JP2004503059A (ja) | フッ素化フェニルピリジン、フェニルピリミジン及びフェニルキノリンを伴うエレクトロルミネセントイリジウム化合物及びかかる化合物で作られたデバイス | |
CN1606431A (zh) | 镧系元素与氧化膦、氧化-硫化膦、n-氧化吡啶和氧化膦-( n-氧化吡啶)形成的光活性配合物,以及用这些配合物制造的器件 | |
TW200406480A (en) | Metallic complexes covalently bound to conjugated polymers and electronic devices containing such compositions | |
JP2010523528A5 (ja) | ||
JP3991728B2 (ja) | フッ素置換イリジウム錯体の製造方法 | |
JP3991725B2 (ja) | フッ素置換イリジウム錯体、その中間体及びその製造方法 | |
JPWO2012074022A1 (ja) | イリジウムカチオン錯体および発光組成物 | |
JP3991727B2 (ja) | フッ素置換イリジウム錯体、その中間体及びその製造方法 | |
JP3991726B2 (ja) | フッ素置換イリジウム錯体の製造方法 | |
TWI391468B (zh) | 新穎紅色電致發光化合物及使用該化合物之有機電致發光裝置 | |
EP1604411B1 (en) | Method for the production of metal complexes | |
KR101553590B1 (ko) | 청색인광 도펀트의 리간드 제조 방법 | |
AU2002231155A1 (en) | Electroluminescent iridium compounds with fluorinated phenylpyridines, phenylpyrimidines, and phenylquinolines and devices made with such compounds |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040323 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20061128 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070119 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070703 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070716 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100803 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100803 Year of fee payment: 3 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100803 Year of fee payment: 3 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110803 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120803 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120803 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130803 Year of fee payment: 6 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |