JP3991618B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、画像形成装置にかかり、特に、複数のレーザビームを走査して画像形成するプロセスを繰り返して複数色の画像を形成する複写機あるいはレーザプリンタ等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
いわゆる電子写真プロセス(帯電、露光、現像、転写、定着)を用いてカラー画像を形成する方法としては、図10に示すような構成の画像形成装置が知られている。
【0003】
この種の画像形成装置では、図10矢印方向に移動する被走査媒体である感光体ドラム40の表面が帯電装置42によって一様に帯電され、露光装置44によって画像信号に応じて変調されたレーザ光で感光体ドラム40が走査露光され、感光体ドラム40の画像部分を除電して潜像が形成される。そして、潜像が現像装置46によって現像されることによりトナー像が形成される。該トナー像は第1転写装置48で像担持体である中間転写ベルト50上に転写される。そして、現像装置46を回転させて異なる色のトナーで上記の処理を繰り返すことによって可視像を形成することにより、中間転写ベルト50上にカラー画像が形成される。
【0004】
中間転写ベルト50上に形成されたカラー画像は、像転写体である用紙52上の所定の位置に重なるように、用紙搬送開始制御装置36により用紙トレイ54内の用紙の搬送が開始され、第2転写装置56によって用紙搬送ロール58で搬送される用紙52上に中間転写ベルト50上に形成されたカラー画像が転写され、定着装置60で用紙52上のトナーを溶融定着される。
【0005】
この種の画像形成装置では、中間転写ベルト50が4周してフルカラー画像を中間転写ベルト50上に形成するため、中間転写ベルト50には副走査方向に移動するベルト位置検出マーク62が設けられており、マーク検出手段64により中間転写ベルト50のベルト移動基準信号(以下、TR0という)が出力される。
【0006】
また、主走査方向のタイミング検出装置として、露光装置44内にはビーム位置検出装置66(図11参照)が設けられている。図11に露光装置44の概略構成を示すが、レーザ68からのビームは矢印方向に回転する回転多面鏡70により等角速度で偏向される。等角速度で偏向されたビームはFθレンズ72によって感光体ドラム46上では等速度運動に変換され、かつビームスポットとして集光される。ビーム位置検出装置66は回転多面鏡70により偏向されたビームの通過を検出し、ビーム位置基準信号(以下、SOS信号という)を送出する。
【0007】
ところで、画像形成装置にはカラーの他、高画質や高速化も要求されるが、露光装置の高解像度化・高速化の方法として、多数本のビームを出射する光源部を用いる方法が提案されている。例えば、8本のビームを用いて被走査体を走査した状態を図12に示す。図12では8本のビームが隣接した8本の走査線をまとめて走査するので、回転多面鏡の回転数を上げることなく高速・高解像度化を実現することができる。
【0008】
複数ビームを用いた露光装置では、図11に示すビーム位置検出装置66は回転多面鏡70による偏向に対してSOS信号を出力するので、複数ビームで複数走査線をまとめて走査する場合は複数走査線(図12の場合は8)を書き込む毎に1回SOS信号が出力されることになる。
【0009】
一般的にTR0信号の周期(中間転写ベルト50が1回転する時間)とSOS信号の周期は一致しないため、実際にはTR0が出力された後に最初に出力されるSOS信号が同期に使われる(図13点線で囲んだ信号)。8本のビームを用いた場合、上述したようにSOS信号が出力された直後にTR0信号が出力された場合は、同期に使用されるSOS信号は約8走査分送れて出力されることになる。
【0010】
この同期遅れは図10に示す複数画像を重ねる画像形成装置では色毎にリードレジ(副走査方向書き込み位置)がずれて、カラーレジずれとなって現れて問題となる。
【0011】
この同期による書き込み位置ずれを補正する方法としては、実開昭63−170819号公報や特開平8−142412号公報に記載の技術で提案されている。例えば、特開平8−142412号公報に記載の技術では、時間T周期で出力されるSOS信号が記録開始信号(TR0信号)発生からt後に出力された場合を考え、tとT/2の関係によって最初の変調信号を送出するビームを2本のビームから選択する。t>T/2のときは第1ラインの画像データは一方のビームに送出され、t<T/2のときは第1ラインの画像データは他方のビームに送出される。このようにして複数ビームのときにTR0とSOSとの時間ずれが大きくなることを防止している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実開昭63−170819号公報や特開平8−142412号公報に記載の技術では、複数ビームの同期ずれによるカラーレジずれは低減されるが、ビーム本数が数十本等、非常に多くなると第1の画像データを送出する選択回路が複雑化するという問題がある。
【0013】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、複数ビームの同期ずれによる画像ずれを簡単な構成で低減することができる画像形成装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、画像データに応じて変調される複数ビームを一括して被走査体上を走査することにより被走査体上に画像を形成して、前記画像を担持する像担持体上に前記被走査体上に形成された画像を複数重ねて1つの画像を形成する画像形成装置であって、前記複数ビームによる前記走査の開始位置を検出し、画像データに応じて変調される複数ビームを被走査体上を走査することにより被走査体上に予め定めた複数色の各色の画像を順次形成して、前記画像を担持する像担持体上に前記被走査体上に形成された画像を順次重ねて1つの画像を形成する画像形成装置であって、前記複数ビームによる前記走査の位置を検出し、ビーム位置検出信号を出力するビーム位置検出手段と、前記像担持体上の基準位置が所定位置に到達したことを検出し、像担持体位置検出信号を出力する像担持体位置検出手段と、前記像担持体上に、最初の画像を形成するときの前記像担持体位置検出信号から前記ビーム位置検出信号が出力されるまでの時間を計測する計測手段と、前記最初の画像以降の画像を形成する際に、前記像担持体上の基準位置が所定位置に到達したことを検出してから前記計測手段によって計測された時間を経過するまでの間に検出された前記ビーム位置検出信号を無効化する無効化手段と、各色の画像を形成する際に、前記複数ビームのうち、前記像担持体位置検出信号の周期と前記ビーム位置検出信号の周期との剰余分に基づいて算出される時間及び画像の形成順序に応じて定められたビームに、前記像担持体位置検出信号の出力後の前記ビーム位置検出信号に基づいて前記画像データを送出する送出手段と、を備えることを特徴としている。
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、ビーム位置検出手段では、被走査体上に画像を形成する際の複数ビームによる走査の位置が検出されてビーム位置検出信号が出力され、像担持体位置検出手段では、像担持体上の基準位置が所定位置に達したことが検出されて像担持体位置検出信号が出力される。
【0016】
ところで、ビーム位置検出信号と像担持体位置検出信号は相互に同期していないが、それぞれの周期は一定であり、それぞれの信号の周期ずれは一定の関係で変化していくので、像担持体位置検出信号が出力されてから最初のビーム位置検出信号が出力されるタイミングで画像形成を行なうと、担持体位置検出信号が出力されてから最初のビーム位置検出信号が出力されるまでの時間は、順次画像を形成する毎に変化していく。従って、像担持体位置検出信号に対するビーム位置検出信号の出力タイミングによっては、ビーム位置検出信号に基づいて形成される画像位置が、像担持体上で常に異なる位置に形成されてしまい、複数ビームの同期ずれによる画像ずれを生じる。
【0017】
そこで、計測手段では、最初の画像を形成するときの像担持体位置検出信号が出力されてからビーム位置検出信号が出力されるまでの間の時間が計測され、無効化手段では、最初の画像以降の画像を形成する際に、像担持体位置検出信号が出力されてから計測手段によって計測された時間が経過するまでの間のビーム位置検出手段によって検出されたビーム位置検出信号が無効化される。このように、計測手段によって計測した最初の画像を形成するときの像担時体位置検出信号が出力されてからビーム位置検出信号が出力されるまでの間の時間を計測し、続いて画像形成する際に、像担持体位置検出信号が出力されてから該時間内に出力されるビーム位置検出信号を無効化することにより、ビーム位置検出信号に同期して形成される画像位置が像担持体上で前記出力タイミングによって常に異なる位置に形成されてしまうのを防止できる。
【0018】
しかし、このまま画像形成を行なったのでは、各色の画像は像担持体上で一定の関係でずれて重なることになってしまう。
【0019】
そこで、この画像のずれ(最初に画像形成を行なった画像に対する各画像のずれ)は、像担持体位置検出信号の周期とビーム位置検出信号の周期との剰余分に基づいて算出される時間で表すことができるので、送出手段では、上述のようになされたビーム位置検出信号に基づいて、像担持体位置検出信号の周期とビーム位置検出信号の周期との剰余分に基づいて算出される時間に応じて定められたビームに画像データが送出される。すなわち、像担持体位置検出信号の周期とビーム位置検出信号の周期との剰余分から算出される時間及び画像の形成順序に応じて、複数ビームの中から画像データを送出するビームが選択され、複数ビームの配置オフセットを利用して各画像のずれを補正することができる。なお、画像データが送出されないビームについては、ブランクの画像データを送出するようにしてもよい。
【0020】
なお、像担持体位置検出信号の周期とビーム位置検出信号の周期との剰余分に基づいて算出される時間ΔTは、像担持体位置検出信号の周期をTtr、ビーム位置検出信号の周期をTssとすると、ΔT=(Ttr MOD Tss)×Tssから算出することができ、複数ビームのビーム数をNとすると、ΔTの間に走査される走査ラインΔLは、ΔL=ΔT×(N/Tss)により算出することができ、送出手段では、ΔLに応じて定められたビームに画像データが送出される。ここで、Ttr MOD Tssは、Ttr/Tssの剰余を示す。
【0021】
このように、最初の画像形成時の像担持体位置検出信号が出力されてから最初のビーム位置検出信号が出力されるまでの時間を計測し、続いて行なう画像形成時に、計測された時間に出力されるビーム位置検出信号を無効化し、像担時体位置検出信号の周期とビーム位置検出信号の周期との剰余分から算出される時間及び画像の形成順序に応じて定められたビームに画像データを送出することで、複数画像を重ね合わせる際のずれを補正することができ、複数ビームの同期ずれによる画像ずれを簡単な構成で低減することができる。
【0022】
しかし、ビーム位置検出信号と像担時体位置検出信号の周期差の関係は、画像形成装置の設置されている周囲温度の影響で、像担時体に用いるベルト等の伸縮により変化が生じる。そこで、請求項2に記載の発明のように、前記剰余分から算出される時間を更新する更新手段をさらに備えることにより、更新された前記剰余分から算出される時間に応じたビームを送出手段により選択すれば、さらに複数ビームの同期ずれによる画像ずれの低減を精度よく行なうことができる。
【0023】
また、上述のようにすることによって、像担時体上の画像のずれを低減することができるが、用紙などの像担持体上の画像を転写する像転写体に、画像を転写する場合には、像転写体の絶対的なずれを生じてしまい、複数の画像を1枚の像転写体にプリントして、像転写体の端部を基準として裁断して使用したりする場合には、裁断された各像転写体上での画像位置が一定にならず、場合によっては画像が切れてしまうことがある。そこで、請求項3に記載の発明のように、計測手段によって計測された時間に基づいて像転写体に転写させるタイミングを調整手段によって調整することにより、像転写体の絶対的なずれを防止することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。本実施の形態は、図10に示すカラーY→カラーM→カラーC→カラーKの順に画像を形成するカラー画像形成装置に本発明を適用したものである。
【0025】
本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成は、図10で説明した構成と同一であるため説明を省略する。
[第1実施形態]
図1には、第1実施形態に係る画像形成装置の制御系を示す。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置の制御系は、カウンタ10を備えており、該カウンタ10にマーク検出手段64により検出されたベルト移動基準信号(TR0信号)、ビーム位置検出装置66によって検出されたビーム位置基準信号(SOS信号)及び所定のクロック(CLK)信号が入力される。なお、マーク検出手段64は本発明の像担持体位置検出手段に相当し、ビーム位置検出装置66は本発明のビーム位置検出手段に相当する。
【0027】
カウンタ10はTR0信号を基準にSOS信号が入力されるまでのCLK信号のクロック数をカウントし、マスク時間計測器12に出力する。
【0028】
マスク時間計測器12には、カウンタ10によりカウントされたクロック数が入力されると共に、カラーY、カラーM、カラーC、カラーKの何れかを表すCOLOR信号が入力され、TR0信号がカウンタ10に入力されてからSOS信号が入力されるまでの時間(マスク時間)を、カウンタ10によりカウントされたクロック数から算出し、マスク時間信号としてマスク手段14に出力するようになっている。なお、カウンタ10及びマスク時間計測器12は本発明の計測手段に相当する。
【0029】
マスク手段14には、さらにTR0信号及びSOS信号が入力され、TR0信号が入力されてから、上記マスク時間が経過するまでに入力されたSOS信号を無効化し、それ以外のSOS信号はそのまま出力するようになっている。なお、マスク手段14からはマスクSOS信号(MSOS)信号が書出し許可信号発生器16に出力される。また、マスク手段14は本発明の無効化手段に相当する。
【0030】
書出し許可信号発生器16には、書出しリクエスト(PS_REQ)信号が入力されるようになっており、PS_REQ信号のオンオフに応じて、マスク手段14からのMSOS信号に同期してカラーYのページ書出し許可信号PS_Yを画像データ出力装置18に出力し、SOS信号から所定のタイミングで走査毎にデータ書き込み許可を与えるライン書出し許可信号LS_Yを画像データ出力装置18に出力するようになっている。
【0031】
画像データ出力装置18は、書出し許可信号発生器16から出力されるページ書出し許可信号PS_Y及びライン書出し許可信号LS_Yが共にオンとなる時のみ、画像データをNビーム露光装置22に出力することで、画像形成を行なう。また、画像データ出力装置18にはオフセット量メモリ20が接続されており、オフセット量メモリ20よりブランクデータ(Yブランクデータ、Mブランクデータ、Cブランクデータ、及びKブランクデータ)が入力されるようになっている。
【0032】
オフセット量メモリ20には、像担持体位置検出信号周期とビーム位置検出信号周期の剰余分から算出される時間に応じて定められた上述のブランクデータが格納されている。なお、ブランクデータはNビーム露光装置の画像データを送出するビームを規定するものである。
【0033】
ここで、オフセット量メモリ20に記憶されるブランクデータの算出方法を以下に示す。
【0034】
像担持体位置検出信号周期をTtr、ビーム位置検出信号周期をTss、Nビーム露光装置22の光源のビーム数をNとすると、各カラー画像形成持のTR0信号を基準にした場合、図2に示すように、カラー画像を形成するたびに、以下の(1)式で求められる時間ΔTだけずれたタイミングでSOS信号を発生する。
【0035】
ΔT=(Ttr MOD Tss)×Tss・・・(1)
1走査でN本の画像が書き込まれるため、時間ΔTで書き込まれるライン画像ΔLは以下の(2)式で表される。
【0036】
ΔL=ΔT×(N/Tss)
=(Ttr MOD Tss)×N・・・(2)
ここで、例えば、Ttr=6s
Tss=0.7ms
N=5
とすると、
ΔL=(6 MOD 0.0007)×5
=2.1428571ライン
となる。
【0037】
1ライン単位で副走画像形成位置を合わせる場所は、画像形成カラーを変更する度に、ΔLの小数点以下を四捨五入した値、ここでは2ライン分だけ、早いタイミングで画像形成すればよいことになる。しかし画像形成タイミングを早めることは困難なので、逆に早いタイミングで形成されるカラー画像形成開始時に上述のΔLからなるブランクデータを挿入し、実際の画像形成タイミングを遅くすることで同様の効果を得ることができる。
【0038】
図2に示すように4色の画像を形成する場合は、
Yブランクデータは、ΔL+ΔL+ΔL=2+2+2=6ライン
Mブランクデータは、ΔL+ΔL=2+2=4ライン
Cブランクデータは、ΔL=2ライン
Kブランクデータは、0ライン
のブランクデータがオフセット量メモリ20に予め記憶される。
【0039】
なお、書出し許可信号発生器16、画像データ出力装置18、及びオフセット量メモリ20は本発明の送出手段に相当する。
【0040】
次に画像データ出力装置18について説明する。図3には画像データ出力装置18の概略構成を示す。
【0041】
図3に示すように、画像データ出力装置18は、それぞれのカラー画像毎の処理部(カラーY処理部24Y、カラーM処理部24M、カラーC処理部24C、及びカラーK処理部24K)が設けられており、それぞれの処理部は同一構成であるため、カラーY処理部24Yを代表して説明する。
【0042】
カラーY処理部24Yは、カラーY制御手段26及びページデータメモリY28からなり、ページデータメモリY28には、1ビームの走査データをラインデータとしてMラインのデータが記憶されており、カラーY制御手段26には、上述の書出し許可信号発生器16より各カラー毎に出力される書出し許可信号PS_Y、ライン書出し許可信号LS_Y及びYブランク(データ)が入力される。
【0043】
そして、カラーY制御手段26では、入力される信号に基づいて選択器30に出力するラインデータとブランクデータ挿入を制御するようになっている。
【0044】
選択器30では入力されるラインデータやブランクデータをNビーム露光装置22のビーム毎にデータを選択して出力し、これによってNビーム露光装置22によって画像が形成される。
【0045】
続いて、本実施形態の作用を説明する。
【0046】
プリント開始の際、まずマスク時間計測器12にCOLOR信号としてカラーYを表すCOLOR信号が入力され、カラーYの画像形成が開始される。マスク時間計測器12では、マスク手段14にマスク時間信号を0として出力した後、カウンタ10によってカウントされたTR0信号が入力されてから最初にSOS信号が入力されるまでのCLK信号のクロック数からマスク時間が計測される。そして、該マスク時間は、マスク時間信号としてマスク手段14に出力される。
【0047】
マスク手段14では、TR0信号が入力された後、マスク時間計測器12より入力されたマスク時間(マスク時間信号)が経過するまでは、入力されたSOS信号が無効化され、それ以外の場合はSOS信号をそのままMSOS信号として書出し許可発生器16に出力される。
【0048】
1色目であるカラーYの画像形成開始時は、マスク時間が0となるため、マスク手段14で無効化されるSOS信号はない。カラーYの処理が開始され、書出し許可信号発生器16に入力される書出しリクエスト信号PS_REQがオンとなった後、マスク手段14からのMSOS信号に同期してカラーYのページ書出し許可信号PS_Yがオンとなり、画像データ出力装置18に出力される。
【0049】
また、書出し許可信号発生器16では、SOS信号から所定のタイミングで走査毎にデータ書き込み許可を与えるライン書出し許可信号LS_Yがオンとなり出力される。
【0050】
一方、オフセット量メモリ20からは、Yブランクデータが画像データ出力装置18に出力される。
【0051】
画像データ出力装置18のカラーY処理部24YにおけるカラーY制御手段26には、上述のPS_Y、LS_Y、及びYブランクデータが入力され、選択器30に出力するラインデータ及びブランクデータ挿入が制御される。なお、カラーY制御手段26において、PS_Y、LS_Yが共にオンとなる時のみ、画像データ出力装置18からNビーム露光装置22に各ビームに対応する画像データが出力され、これによって画像形成がなされる。
【0052】
ここで、Nビーム露光装置22への画像データ1〜画像データNは、信号名の数字が小さいほど画像形成開始端側に画像形成するものとすると、ブランクYが上述した例のように6である場合、画像形成開始後の最初の走査において、画像データ1〜6は全てオフとなり、それ以外は、画像形成開始からS回目の走査において、画像データNはラインデータ(S×N−ブランクY)が出力される。
【0053】
上述のようにカラーYについて画像形成が終了すると、続いて、カラーMを表すCOLOR信号がマスク時間計測器12に入力されて、カラーYと同様に処理され、順次、カラーC、カラーKについても同様に処理されて画像形成が終了する。
【0054】
通常、SOS信号とTR0信号は相互には同期していないが、それぞれの周期は一定であり、SOS信号の周期は回転多面鏡の回転速度と反射面数で決まり、TR0信号の周期はベルトの周長と移動速度で決まる。従って、SOS信号とTR0信号の同期ずれは一定の関係で変化していく。
【0055】
そこで、本実施の形態では、上述のようにずれ方が一定のSOS信号とTR0信号の同期ずれ変化をオフセット量メモリ20に予め記憶しておき、これに基づいてNビームのうちの何れかのビームに第1ラインの画像データが送出される。これによって、SOS信号とTR0信号の同期ずれ変化を補正することが可能となる。
【0056】
しかしながら、同期のずれかが一定であっても、TR0信号のタイミングによって、カラーレジ発生の仕方が異なるが、本実施の形態では、上述したマスク時間が設けられており、マスク時間の間のSOS信号が無効化され、これによってカラーレジ発生の仕方が異なるのを防止することができる。
【0057】
図4はマスク時間を設けない場合の画像を示す。なお、図4はTR0信号に対して同期するSOS信号が後に書き込み画像ほど次第に遅れていく関係であるときのカラーレジのずれ方4パターン(a〜d)を示す。
【0058】
図4(a)は1色目(▲1▼)のSOS信号がTR0信号直後に出力され、2色目以降のTR0からSOS信号までの時間が後に書き込む画像ほど長くなっていく状態を示す。この場合、用紙上のカラーレジは図4右側に示すようにリードエッジ(上側端部)から▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼の順に画像がずれる。
【0059】
図4(b)に示すように、1色目のSOS信号が出力された直後にTR0信号が発生すると、TR0信号から同期に使用されるSOS信号までの時間は、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲1▼の順に長くなるため、カラーレジずれの表れ方が(a)とは異なる形になる。同様に(c)、(d)でもさらに異なるずれ方となる。従って、このままではSOS信号とTR0信号の同期ずれは一定の関係で変化していても、カラーレジのずれ方はTR0信号が図4(a)〜(d)のどのタイミングで発生するかによって、様々な形となってしまう。
【0060】
本実施の形態は、図5に示すように、上述したように1色目のTR0信号からSOS信号までの時間を表すマスク時間(図5の太線部分)が設けられており、2色目以降はTR0信号発生からマスク時間経過するまでに発生したSOS信号は無視し、TR0信号からマスク時間経過後に最初に出力されたSOS信号を同期信号として用いる。このように、マスク時間内に発生したSOS信号を無視すると、図5右側に示すように、TR0信号の発生するタイミング(a)〜(d)に係らず、カラーレジのずれ方は常に一定になる。従って、一定となったカラーレジずれの関係に合わせて、各色の第1ライン画像データを送出するビームを決定することにより、常にTR0とSOS信号の関係から第1ライン画像データを送出する信号を切り替えることなしに、カラーレジを一定に保つことができる。
【0061】
なお、図6に示すように、TR0信号に対して同期するSOS信号が次第に遅れていく場合についても、同様にカラーレジを一定に保つことができる。図6及び図7はTR0信号に対してSOS信号が次第に前にずれてくる場合を示すが、マスク時間を設定しない図6では、図4と同様に、カラーレジのずれ方はTR0信号が発生するタイミングによって変化してしますが、第1色目のTR0信号からSOS信号までの時間をマスク時間(図7太線部分)とすると、図7に示すように、図5と同様にどのタイミングでTR0が出力されてもカラーレジのずれ方は同じとなる。
[第2実施形態]
第1実施形態に係る画像形成装置の制御系では、オフセット量メモリ20に記憶される各カラーのブランクデータは固定値であったが、高精度にカラーレジずれ補正を行なうためには、何らかの原因で像端時体位置検出(TR0)信号周期とビーム位置検出(SOS)信号周期との少なくとも一方の周期が変化した場合には、オフセット量メモリ20に記憶されたブランクデータを更新する必要がある。
【0062】
例えば、図5や図7に示すSOS信号とTR0信号の周期差によるカラーレジずれの関係は、画像形成装置の設置されている周囲温度等の影響で中間転写ベルト50が伸縮すると変化してしまう。
【0063】
そこで、第2実施形態に係る画像形成装置の制御系では、像担持体位置検出信号周期またはビーム位置検出信号周期の周期変動原因を装置内温度変動として検出して、更新するようになっている。
【0064】
なお、その他の構成については、第1実施形態と同一であるため同一符号を付して説明を省略する。
【0065】
図8には、第2実施形態に係る画像形成装置の制御系を示す。図8に示すように、第2実施形態に係る画像形成装置の制御系は、第1実施形態に対して、画像形成装置内の温度を検出し、検出された温度を表す温度(TEMP)信号を出力する温度検出センサ32が設けられており、該温度検出センサ32より出力されるTEMP信号は、温度補正演算器34に入力されるようになっている。
【0066】
温度補正演算器34は図示しないメモリを備えており、該メモリには装置内の温度と各カラー毎のオフセット量の関係が予め定められた補正テーブルが記憶されており、補正テーブルより得られるオフセット量に応じたブランクデータを算出し、オフセットデータとして出力する。また、温度補正演算器34は電源投入時や待機時間が30分を越えた後のプリント時等の所定タイミングとなったときに、オフセット量メモリ20Aに記憶されたブランクデータを更新するための書換え(WRITE)信号をオフセット量メモリ20Aに出力すると共に、温度補正演算器34によって得られる新規のオフセットデータをオフセット量メモリ34に出力するようになっており、オフセット量メモリ20Aは、オフセット量メモリ20Aに記憶されているブランクデータを温度補正演算器34から出力される新規のオフセットデータに書き換えるようになっている。
【0067】
なお、温度センサ32及び温度補正演算器34は本発明の更新手段に相当する。
【0068】
続いて、第2実施形態の作用を説明する。
【0069】
温度検出センサ32では、画像形成装置内の温度が検出されてTEMP信号として温度補正演算器34に出力される。温度補正演算器34では、TEMP信号と予め定められた補正テーブルからオフセット量が算出され、該オフセット量に応じたブランクデータが算出される。
【0070】
そして、所定タイミングとなったときに、WRITE信号及び温度補正演算器34によって算出されたブランクデータがオフセットデータとしてオフセット量メモリ20Aに出力される。
【0071】
オフセット量メモリ20Aでは、記憶されたブランクデータが温度補正演算器34より入力されたオフセットデータに書換えられる。
【0072】
これにより、温度等の外乱等があってもリードレジずれを高精度に補正することができる。
【0073】
なお、第2実施形態では、外部信号として、温度検出センサ32より得られるTEMP信号を用いるようにしたが、これに限るものではなく、例えば、特開昭63−27127号公報に記載の技術のように、像担持体の所定位置に各カラーの位置検知用画像(レジマーク)を形成し、レジスト検知装置によりレジマークの理想位置からのずれを直接測定して得られる測定信号を用いて、オフセットデータを生成するようにしてもよく、これによって、高精度に補正を行なうことが可能となる。
[第3実施形態]
図9に示す用紙搬送開始制御装置36は画像形成プロセスが終了するタイミング(例えば最終画像のTR0信号発生から時間Tps経過後)に合わせて用紙52の搬送を開始するが、第1実施形態及び第2実施形態ではカラーレジずれは補正できるものの、用紙上の絶対的なリードレジがずれてしまい、複数の画像を1枚の紙にプリントし、紙の端部を基準として裁断して使用したりする場合、裁断された各紙上での画像位置が一定にならず、場合によっては画像が切れてしまう等の問題が発生することがある。
【0074】
そこで、第3実施形態の画像形成装置に係る制御系では、用紙搬送開始制御装置36によって制御される用紙の搬送タイミングを制御する構成とされている。
【0075】
なお、第2実施形態と同一構成については同一符号を付して説明を省略する。
【0076】
図9には、第3実施形態に係る画像形成装置の制御系を示す。図9に示すように、第2実施形態に対して、マスク時間信号から用紙搬送タイミングTpsを演算して補正するタイミング補正演算器38が設けられており、マスク時間計測器12に該タイミング補正演算器38が接続され、タイミング補正演算器38によって算出された用紙搬送タイミングTpsが用紙搬送開始制御装置36に出力されるようになっている。
【0077】
また、用紙搬送開始制御装置36には、COLOR信号及びTR0信号が入力されるようになっている。
【0078】
なお、用紙搬送開始制御装置36及びタイミング補正演算器38は本発明の調整手段に相当する。
【0079】
次に、上述ように構成された第3実施形態の作用を説明する。
【0080】
用紙上に書き込まれる画像のリードレジずれ量は、マスク時間に比例して長くなる。従って、タイミング補正演算器38では、マスク時間をTm、マスク時間が0の場合に用紙上のリードレジが理想的になる用紙搬送開始タイミングをTpsn(最終画像のTR0信号発生から用紙搬送を開始するまでに経過した時間)とすると、
用紙搬送タイミングTps=Tpsn−Tm・・・(3)
となるように用紙搬送タイミングTpsが算出され、用紙搬送開始制御装置36に算出結果(Tps)が出力される。
【0081】
用紙搬送開始制御装置36では、COLOR信号が最終画像形成色であるカラーKとなり、TR0信号から所定の時間Tps、すなわち、タイミング補正演算器38より得られる用紙搬送開始タイミングTpsが経過した時点で用紙搬送が開始される。これによって、カラーレジ及び用紙上のリードレジ共にずれのない良好な画像を得ることができる。
【0082】
また、カラーレジだけではなく、画像の絶対的な用紙に対する位置も合わせる場合には、用紙搬送開始制御装置36によって用紙を搬送開始させるタイミングをSOS信号に同期させれば、用紙に対するリードレジも合わせることが可能となる。
【0083】
なお、第1実施形態乃至第3実施形態では、図10に示すような中間転写ベルト50上に複数色の画像を重ねる画像形成装置に本発明を適用するようにしたが、これに限るものではなく、例えば、図14に示すような中間転写ベルト50の代わりに、用紙を静電気的に保持する用紙保持ドラム74により用紙を保持し、用紙上で4色のトナー画像を重ね合わせて定着する画像形成装置や、図15に示すような感光体ドラム40上に4色のトナー像を重ね合わせて用紙に転写後定着する画像形成装置等の被走査体(本実施の形態では感光体ドラム40)上に画像を時系列的に生成する方式の画像形成装置に本発明を適用することができ、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。ここで、図14の場合、被走査体は感光体ドラム40で像担持体は用紙保持ドラム74となり、図15の場合、被走査体と像担持体を感光体ドラム40が兼ねることになる。
【0084】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、最初の画像形成時の像担持体位置検出信号が出力されてから最初のビーム位置検出信号が出力されるまでの時間を計測し、続いて行なう画像形成時に、計測された時間に出力されるビーム位置検出信号を無効化し、像担時体位置検出信号の周期とビーム位置検出信号の周期との剰余分から算出される時間に応じて定められたビームに画像データを送出することにより、複数画像を重ね合わせる際のずれを補正することができるので、複数ビームの同期ずれによる画像ずれを簡単な構成で低減することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の制御系を示すブロック図である。
【図2】 オフセット量メモリに記憶されるブランクデータを説明するための図である。
【図3】 画像データ出力装置の構成を示すブロック図である。
【図4】 TR0信号に対して同期するSOS信号が後に書き込む画像ほど次第に遅れていく時のマスク時間を設けない場合の画像を示す図である。
【図5】 TR0信号に対して同期するSOS信号が後に書き込む画像ほど次第に遅れていく時のマスク時間を設けた場合の画像を示す図である。
【図6】 TR0信号に対して同期するSOS信号が後に書き込む画像ほど次第に早くなる時のマスク時間を設けない場合の画像を示す図である。
【図7】 TR0信号に対して同期するSOS信号が後に書き込む画像ほど次第に早くなる時のマスク時間を設けた場合の画像を示す図である。
【図8】 本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の制御系を示すブロック図である。
【図9】 本発明の第3実施形態に係る画像形成装置の制御系を示すブロック図である。
【図10】 被走査体上に画像を時系列的に生成する方式の画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図11】 露光装置の概略構成を示す図である。
【図12】 複数(8本)のビームを用いて被走査体を走査線をまとめて走査した状態を示す図である。
【図13】 TR0信号周期とSOS信号周期における同期に使用されるSOS信号を示す図である。
【図14】 中間転写ベルトの代わりに、用紙を静電気的に保持する用紙保持ドラムにより用紙を保持し、用紙上で4色のトナー画像を重ね合わせて定着する画像形成装置を示す図である。
【図15】 感光体ドラム上に4色のトナー像を重ね合わせて用紙に転写後定着する画像形成装置を示す図である。
【符号の説明】
10 カウンタ
12 マスク時間計測器
14 マスク手段
16 書出し許可信号発生器
18 画像データ出力装置
20 オフセット量メモリ
22 Nビーム露光装置
32 温度センサ
34 温度補正演算器
36 用紙搬送開始制御装置
38 タイミング補正演算器
64 マーク検出手段
66 ビーム位置検出装置

Claims (3)

  1. 画像データに応じて変調される複数ビームを被走査体上を走査することにより被走査体上に予め定めた複数色の各色の画像を順次形成して、前記画像を担持する像担持体上に前記被走査体上に形成された画像を順次重ねて1つの画像を形成する画像形成装置であって、
    前記複数ビームによる前記走査の位置を検出し、ビーム位置検出信号を出力するビーム位置検出手段と、
    前記像担持体上の基準位置が所定位置に到達したことを検出し、像担持体位置検出信号を出力する像担持体位置検出手段と、
    前記像担持体上に、最初の画像を形成するときの前記像担持体位置検出信号から前記ビーム位置検出信号が出力されるまでの時間を計測する計測手段と、
    前記最初の画像以降の画像を形成する際に、前記像担持体上の基準位置が所定位置に到達したことを検出してから前記計測手段によって計測された時間を経過するまでの間に検出された前記ビーム位置検出信号を無効化する無効化手段と、
    各色の画像を形成する際に、前記複数ビームのうち、前記像担持体位置検出信号の周期と前記ビーム位置検出信号の周期との剰余分に基づいて算出される時間及び画像の形成順序に応じて定められたビームに、前記像担持体位置検出信号の出力後の前記ビーム位置検出信号に基づいて前記画像データを送出する送出手段と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記剰余分から算出される時間を更新する更新手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記計測手段によって計測された時間に基づいて、前記像担持体上の画像を転写する像転写体に転写させるタイミングを調整する調整手段を更に備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成装置。
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