JP3991427B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料タンクとキャニスタとを連通する連通管に設けられた電磁式開閉弁の開閉動作によって燃料タンクの内圧(以下、タンク内圧と言う)を制御する燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ガソリンを燃料とする自動車等においては、燃料タンク内で揮発した蒸発燃料が給油時に大気中へ放出されるのを防止する蒸発燃料処理装置が公知である(例えば、特開平7−237460号公報、特開平7−290982号公報等)。この装置では、燃料タンクからキャニスタへ通じる配管途中に電磁弁が設けられ、この電磁弁が給油口のキャップを開く前に制御回路を通じて開弁制御される。その結果、燃料タンク内で揮発した蒸発燃料がキャニスタへ送り込まれ、キャニスタ内の吸着剤に吸着されるため、給油時に蒸発燃料が大気中へ放出されることを防止できる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来装置では、エンジンの運転状態等に応じてタンク内圧を積極的に制御する技術的思想が無いため、燃料性状や燃料温度の変化に伴って変動する蒸発燃料量を制御することができない。なお、タンク内圧が異常に高圧となった時にタンク内圧を逃がすためのリリーフ弁、あるいは或る所定値で開弁するタンク内圧弁を具備したものはあるが、このリリーフ弁やタンク内圧弁によってタンク内圧をエンジンの運転状態に応じた所定の圧力に保つような制御はできない。
即ち、これらの従来技術においては、燃料性状や燃料温度に係わらず、常に一定の開弁圧を有する開閉弁であるので、タンク内圧がその開弁圧に達すると、多量の蒸発燃料が一度にキャニスタへ導入され、更にキャニスタからエンジン吸気管へ導入されるため、エンジンの空燃比が乱れて運転性能及び排気浄化に悪影響を及ぼすという問題点があった。
【0004】
また、タンク内圧を所定の圧力に制御できない従来装置では、高温環境下で車両を長時間放置した場合等に多量の蒸発燃料が発生するため、蒸発燃料を蓄えるためのキャニスタ容量を大きくする必要があり、車両搭載性の点でも不利である。
本発明は、上記事情に基づいて成されたもので、その目的は、タンク内圧を設定値に保つ様に制御することで、エンジン空燃比の乱れを抑えて運転性能および排気浄化への悪影響を低減するとともに、キャニスタ容量を小さくできる燃料噴射装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(請求項1の手段)
本発明の燃料噴射装置は、燃料タンクと連通管を通じて連通し、燃料タンク内で発生した蒸発燃料を吸着して蓄えるキャニスタと、このキャニスタとエンジンの吸気通路とを連通するパージ通路と、連通管に設けられて連通管を開閉する電磁式開閉弁と、燃料タンクの内圧(タンク内圧)を検出するタンク内圧検出手段と、タンク内圧の基本目標値を運転状態に基づいて算出した後、エンジンの運転条件に応じて基本目標値を補正して目標圧力を算出する内圧設定手段と、タンク内圧を内圧設定手段で設定された目標圧力に保つ様に、タンク内圧検出手段の検出値、及び運転状態に基づいて電磁式開閉弁の開閉動作を制御する制御回路とを備えている。
上記の構成によれば、タンク内圧を内圧設定手段で設定された目標圧力に保つことができる。例えば、運転状態としてのタンク内の燃料温度が上昇した場合には、電磁式開閉弁が開く設定圧をそれに合わせて(温度上昇に合わせて)高くなるように設定してあるため、キャニスタへ導入される蒸発燃料量を少量ずつに抑えることができる。これにより、キャニスタからエンジン吸気管に導入される蒸発燃料量も少量ずつに抑えることができ、エンジン空燃比を補正可能な範囲内にできるので、空燃比の乱れを抑えることができる。
タンク内が設定圧に達した後は、電磁式開閉弁を開くことでタンク内の蒸発燃料がキャニスタへ流れ込み、キャニスタ内に蓄えられるため、タンク内圧が低下して設定圧に近づけることができる。また、外気温の影響等で燃料タンクが冷却されてタンク内の負圧が大きくなる場合には、電磁式開閉弁を開くことでキャニスタに蓄えられている蒸発燃料が燃料タンク内へ戻るため、タンク内圧が上昇して設定圧に近づけることができる。
なお、エンジンの運転条件としては、例えば、エンジンの吸入空気量、タンク内の燃料温度、走行する土地の大気圧等の影響がある。具体的には、エンジンの吸入空気量が多い時は、キャニスタから吸気管へのパージ量を多く取れるため、タンク内圧を低く設定できる。逆に、エンジンの吸入空気量が少ない時は、パージ量が少なくなるため、タンク内圧を高く設定することにより蒸発燃料の発生を抑えることができる。
また、燃料温度が高い時は、蒸発燃料の発生量が多くなるため、タンク内圧を高く設定する。逆に、燃料温度が低い時は、蒸発燃料の発生量が少ないため、タンク内圧を低く設定できる。
更に、高地を走行する時等で大気圧が低い時は、蒸発燃料が発生し易くなるため、タンク内圧を高く設定する。
また、本発明の燃料噴射装置は、制御回路が、給油終了を判定する給油終了判定手段を具備し、この給油終了判定手段で給油終了と判定した時に、燃料タンクの内圧制御へ移行する。つまり、給油時には蒸発燃料の大気中への流出を防止するために電磁式開閉弁を開弁制御し、給油が終了すると、タンク内圧検出手段の検出値に基づき電磁式開閉弁の開閉動作を制御してタンク内圧を設定値に保つためのタンク内圧制御を実行する。
【0008】
(請求項2の手段)
本発明では、タンク内圧が予め設定された高圧異常時の開弁圧より高くなると開弁し、且つタンク内圧が予め設定された低圧異常時の開弁圧より低くなると開弁する双方向リリーフバルブを設けている。これにより、制御回路への電力供給停止(例えば、中古車センター等でバッテリを外した場合)によって電磁式開閉弁の作動を制御できなくなった場合でも、双方向リリーフバルブが開弁することで燃料タンクとキャニスタとを連通することができる。これにより、タンク内圧を双方向リリーフバルブの開弁圧(高圧側と低圧側)の範囲内に抑えることができるため、タンク内圧が異常に上昇または低下することがなく、燃料タンクへの悪影響を防止できる。
【0009】
(請求項3の手段)
制御回路は、給油開始を判定する給油開始判定手段を具備し、この給油開始判定手段で給油開始と判定した時に電磁式開閉弁を開弁制御する。これにより、給油時に燃料タンク内の蒸発燃料がキャニスタへ流れてキャニスタに蓄えられるため、燃料タンク内の蒸発燃料が大気中へ放出されることはない。また、給油開始判定手段で給油開始と判定する前に給油口のキャップが開いた場合でも、タンク内圧を設定値(例えば大気圧)に保つ様に制御できるため、キャップを開いた時に多量の蒸発燃料が燃料タンクから大気中へ放出されることもない。
【0010】
(請求項4の手段)
給油開始判定手段は、タンク内圧検出手段の検出値の変化速度が所定値以上の時に給油開始と判定する。つまり、給油口のキャップが開弁されるとタンク内圧が上昇あるいは下降する。もしくは実際に給油が行われるとタンク内の燃料残量が変化する(増える)ため、それに伴ってタンク内圧も上昇する。従って、このタンク内圧の変化速度が大きければ(所定値以上)、給油が開始したと判定することができる。この判定手段によれば、給油開始を検出するための専用の検出手段を具備する必要がないというメリットがある。
【0012】
(請求項5の手段)
給油終了判定手段は、満タンによって給油が終了したことを判定する満タン判定手段と、満タンになる前に給油が終了したことを判定する未満タン判定手段とを有している。これにより、確実に給油終了判定ができる。なお、満タン判定手段は、例えばタンク内の液面を検出する液面スイッチや給油口の開閉蓋が閉じたことを検出する検出スイッチ等の検出信号を入力した時、レベルゲージの検出値が設定値以上になった時、あるいはタンク内圧が設定圧以上になった時等、種々の方法によって満タンを判定することができる。
【0013】
(請求項6の手段)
満タン判定手段では、満タン検出バルブが閉じることによるタンク内圧変化値によって満タンと判定することにより、簡単な構成で判定ができる。
【0014】
(請求項7の手段)
未満タン判定手段は、給油が満タンまで達していない状態で、車速またはエンジン回転速度が設定値以上となった時に給油が終了したことを判定することができる。給油を行う場合は、車両が停止している状態、つまり車速が「0」となるため、車速が「0」を超えた時には給油が満タンまで達していない状態で給油が終了していると判定できる。また、エンジン回転速度で判定する場合は、通常、給油時にエンジンを停止するためエンジン回転速度は「0」となるが、エンジンを作動させた状態で給油する(アイドル給油)場合も考えられるため、エンジン回転速度が設定値(例えば2000rpm)以上となった時点で給油が終了したと判定することができる。なお、給油が満タンまで達していない状態は、例えば満タン判定手段の判定結果に基づいて検出できる(つまり、満タン判定手段によって未だ給油が終了していないと判定された時)。
【0015】
(請求項8の手段)
電磁式開閉弁が開弁した状態で、タンク内圧検出手段の検出値が所定値以上または所定値以下の状態が所定時間継続した時にシステム故障であると判定する故障判定手段を具備している。これにより、制御回路を通じて電磁式開閉弁を開弁制御しているにも係わらず、タンク内圧検出手段の検出値が所定値以上または所定値以下の状態が所定時間継続している時には、何らかの異常(例えば、電磁式開閉弁の作動不良、タンク内圧検出手段の故障、信号系統の異常等)が生じていると判定できる。なお、システム故障であると判定した時は、その旨を乗員に知らせるために、警告灯や警報ブザー等を作動させることは言うまでもない。
【0016】
(請求項9の手段)
まず、燃料タンク内を大気圧に調整した後、所定時間経過した時点で検出した燃料タンク内の圧力と大気圧との圧力変化量を算出する。次に、燃料タンク内を所定の負圧に調整した後、所定時間経過した時点で検出した燃料タンク内の圧力と負圧との圧力変化量を算出する。ここで、燃料タンクに圧力漏れが無ければ、正圧下の場合でも負圧下の場合でも、タンク内で発生する蒸発燃料の発生量に応じてタンク内圧が上昇する。ところが、燃料タンクに圧力漏れが有ると、正圧下では燃料タンク内から大気中へ圧力が漏れるのに対し、負圧下では大気中から燃料タンク内へ圧力が流入するため、正圧下でのタンク内圧の変化量より負圧下でのタンク内圧の変化量の方が大きくなる。従って、この圧力変化量に基づいて燃料タンクに圧力漏れが有るか否かを判定することができる。なお、燃料タンク側に圧力漏れが有ると判定された場合は、請求項8の場合と同様に、警告灯や警報ブザー等を作動させて乗員に知らせることは言うまでもない。
【0017】
(請求項10の手段)
制御回路は、エンジン停止時においても電磁式開閉弁の開閉動作を制御することができる。これにより、エンジン作動時のみならず、駐車時(イグニッションオフ)においてもタンク内圧を設定値に保つことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の燃料噴射装置(燃料タンク内圧制御システムと呼ぶ)を図面に基づいて説明する。
図1は燃料タンク内圧制御システムの全体模式図である。
本実施例の燃料タンク内圧制御システムは、燃料タンク1とキャニスタ2との間に介在された電磁式開閉弁3(以下、調圧弁3と言う)の開閉動作によって燃料タンク1内の圧力制御を行うものである。
燃料タンク1は、給油筒1aを具備し、その給油筒1aの先端開口部にキャップ4が着脱自在に取り付けられている。給油筒1aの内部(但し、満タン時の液面より上方)には、キャップ4を開いた時等に燃料が流出(吹き出し)するのを防止する開閉板5が設けられている。この開閉板5は、バネ等により付勢されて常時閉じており、給油筒1aに給油ガン(図示しない)が挿入された時に、給油ガンに押し込まれて開くことができる。燃料タンク1の内部にはサブタンク6が設けられ、このサブタンク6内より吸い上げた燃料をエンジンへ供給する燃料ポンプ7が収納されている。
【0019】
キャニスタ2は、燃料タンク1内で発生した蒸発燃料を蓄えるための容器であり、連通管8を通じて燃料タンク1に接続されている。キャニスタ2の内部には、連通管8を通って流入した蒸発燃料を吸着する吸着剤(例えば活性炭/図示しない)が収納されている。このキャニスタ2には、外気を導入するための大気孔(図示しない)が設けられ、この大気孔にキャニスタ開閉弁9が取り付けられている。キャニスタ開閉弁9は、下述の制御回路10により通電制御される電磁弁であり、通電時に閉弁して大気孔を閉塞する。
このキャニスタ2は、パージ管11(パージ通路)を通じてエンジンの吸気管(スロットル弁の近傍)に接続されている。パージ管11には、キャニスタ2から吸気管へ供給される蒸発燃料のパージ流量を調節するパージ制御弁12が設けられている。このパージ制御弁12は、エンジンの運転状態に応じて制御回路10によりデューティー比制御される。
【0020】
調圧弁3は、連通管8の燃料タンク1側端部に接続されて連通管8を開閉する。
この調圧弁3は、図2に示す様に、励磁コイル3aと、この励磁コイル3aのハウジング3bと、励磁コイル3aの内周を摺動自在に配された弁体3c(磁性体)と、この弁体3cを閉弁側(図2の上方)へ付勢するスプリング(図示しない)等より構成され、内圧センサ13(本発明のタンク内圧検出手段)の検出値に基づいて制御回路10によりオン/オフ制御される。具体的には、励磁コイル3aが通電されると、スプリングの付勢力に抗して弁体3cが図示下方へ吸引されることで連通管8を開き、励磁コイル3aへの通電が停止すると弁体3cがスプリングに付勢されて図示上方へ移動することにより連通管8を閉じる(図2は閉弁状態を示す)。
内圧センサ13は、調圧弁3の近傍で燃料タンク1の上壁面に固定され、通気管14を通じて導入されるタンク内圧を検出する。
【0021】
調圧弁3には、双方向リリーフバルブ15が一体に設けられている。この双方向リリーフバルブ15は、タンク内圧が予め設定された高圧異常時の開弁圧より高くなると開く高圧側ボール弁15aと、タンク内圧が予め設定された低圧異常時の開弁圧より低くなると開く低圧側ボール弁15bとを具備し、それぞれボール弁15a、15bが開くことで燃料タンク1とキャニスタ2とを連通させることができる。この双方向リリーフバルブ15は、制御回路10への電力供給停止(例えばバッテリが外された場合)等によって調圧弁3の作動を通電制御できなくなった場合に、タンク内圧を高圧側と低圧側の開弁圧範囲内に保つことができる。
【0022】
また、調圧弁3には、液面を検知した時に閉弁する2段カットバルブ16が一体に設けられている。この2段カットバルブ16は、図2に示す様に、大型カットバルブ16Aと小型カットバルブ16Bとから成り、それぞれスプリング16a、16bにより液面を検知した際の浮力を補って閉弁する様に構成されたフロート式カットバルブである。
大型カットバルブ16Aは、液面が穴16cを通って充分な浮力を得る設定位置より下方にある時には図示下方へ押し下げられて開弁している。また、液面が穴16cを通って設定位置まで上昇すると、浮力とスプリング16aに付勢されて閉弁する(図2に示す状態)。この大型カットバルブ16Aが開口部16dを閉じてタンク内圧が所定の圧力まで上昇すると燃料給油が停止される。
【0023】
小型カットバルブ16Bは、大型カットバルブ16Aの内部に組み込まれ、車両が転倒した時や、コーナリング時等に燃料タンク1内の液面が片寄った時に、大型カットバルブ16Aと共に閉弁して燃料の流出(連通管8を通ってキャニスタ2側へ流れること)を防止する。つまり、図2に示した様に、大型カットバルブ16Aが開口部16dを塞ぐ位置まで給油された状態(満タン)では、液面が小型カットバルブ16Bを閉弁するための浮力を得る設定位置より下方にあるため、小型カットバルブ16Bはスプリング16bの付勢力に抗して図示下方へ押し下げられて通気穴16eを開いている。これに対して、車両の転倒や傾斜等によって、液面が小型カットバルブ16Bを閉弁するための浮力を得る設定位置より上方まで達すると、小型カットバルブ16Bがスプリング16bに付勢されて通気穴16eを閉じる(図3に示す状態)。この状態では、当然に大型カットバルブ16Aも開口部16dを閉じているため、燃料の流出を防止することができる。 なお、2段カットバルブ16と離れた位置(例えば給油筒1aの近傍)に小型カットバルブ16Bと同一構造のカットバルブ17が設けられており、通気管14を通じて内圧センサ13に接続されている。これにより、液面の傾きによって2段カットバルブ16が閉弁した時でもカットバルブ17から通気管14を通じて内圧センサ13及び調圧弁3までタンク内圧を導入することができる。
【0024】
制御回路10は、燃料ポンプ7に取り付けられて燃料タンク1内に配され、電気配線(信号線)によってエンジン制御装置18(以下、ECU18と言う)に接続されている。
この制御回路10は、各種演算処理を行う周知のCPU、制御用プログラムやデータを予め記憶するROM、読み書き可能なRAM、及びタイマー回路等を内蔵したマイクロコピュータであり、内圧センサ13より入力したセンサ信号、ECU18より受信した通信信号(例えば、エンジン回転数や車速等の運転状態を知らせる信号)、及びROMに記憶された制御用プログラムに基づいて、調圧弁3、キャニスタ開閉弁9、パージ制御弁12、及び燃料ポンプ7を通電制御する。
【0025】
ECU18は、エンジンの運転状態を検出する各種センサ(エンジン回転速度センサ、車速センサ、スロットル開度センサ、冷却水温センサ、吸気量センサ、吸気圧センサ等)より入力したセンサ信号、及び制御回路10より入力した信号に基づいてエンジンの運転状態を制御するとともに、制御回路10での制御処理に必要な信号を制御回路10へ送信する。
なお、ECU18及び制御回路10は、イグニッションスイッチをオフ(エンジンキーを抜いた状態)にしてもバッテリより電力の供給を受けて作動することができる。
【0026】
次に、調圧弁3の開閉制御について説明する。
a)タンク内圧制御
図4はタンク内圧制御のフローチャートである。
まず、給油モードか否かを判定する(S100)。ここでは、例えば、給油開始を検出する検出スイッチ(図示しない)のON/OFF信号で判定する。検出スイッチは、給油口を開閉する開閉蓋(図示しない)を開いた時に「ON」、閉じている時に「OFF」となる。
この判定で検出スイッチがONの時(つまり、開閉蓋が開いた時)は、給油中と判定して調圧弁3を開く(S110)。なお、検出スイッチを用いない別の方法として、後述の給油時制御を使用しても良い。
【0027】
一方、検出スイッチがOFFの時(開閉蓋が閉じている時)は、タンク内圧PT(内圧センサ13の検出値)が所定の圧力範囲内(上限圧力値PTmax より低く、且つ下限圧力値PTmin より高い)にあるか否かを判定する(S120)。但し、上限圧力値PTmax は双方向リリーフバルブ15の高圧側開弁圧より低く設定され、下限圧力値PTmin は双方向リリーフバルブ15の低圧側開弁圧より高く設定されている。
【0028】
このステップS120の判定結果がYESの場合、つまりタンク内圧PTが所定の圧力範囲内にある場合は、タイマ回路のカウンタCをリセットした後(S130)、目標圧力(正圧目標値PT1 、負圧目標値PT2 )を算出する(S140/本発明の内圧設定手段)。
目標圧力(PT1 、PT2 )は、図5に示すフローチャートに沿って算出される。
まず、図6及び図7に示すマップ(ROMに記憶されている)より、エンジン回転速度と吸気管圧力とに基づいて基本目標値(PTBASE1 、PTBASE2 )を求める(S141)。なお、エンジン回転速度と吸気管圧力は、それぞれ周知のエンジン回転速度センサと吸気圧センサで検出されたセンサ値がECU18を通じて制御回路10へ入力される。また、エンジン停止時は、固定値をPTBASE1 、PTBASE2 とする。
【0029】
次に、ステップS141で求めた基本目標値(PTBASE1 、PTBASE2 )をエンジンの運転条件に応じて補正する。本実施例では、蒸発燃料の発生量に大きく作用する燃料温度TTNK と大気圧PATM によって補正する。まず、燃料タンク1内の燃料温度TTNK を読込み(S142)、その燃料温度TTNK に対する補正量PTT を図8に示す特性図より算出する(S143)。続いて、大気圧PATM を読込み(S144)、その大気圧PATM に対する補正量PTP を図9に示す特性図より算出する(S145)。なお、図8及び図9の特性図は、予めROMに記憶されている。
各補正量PTT 、PTP を算出した後、基本目標値(PTBASE1 、PTBASE2 )にそれぞれ補正量PTT 、PTP を加えて目標圧力(PT1 、PT2 )を算出する(S146)。
【0030】
続いて、算出された目標圧力(PT1 、PT2 )とタンク内圧PTとを比較する(S150、S160)。ここで、タンク内圧PTが正圧目標値PT1 より小さく(S150の判定結果:NO)、且つ負圧目標値PT2 より大きい場合(S160の判定結果:NO)、つまり内圧センサ13の検出値がPT1 とPT2 との間にある場合は、そのタンク内圧PTを保つために調圧弁3を閉弁する(S170)。
タンク内圧PTが正圧目標値PT1 より大きい場合(S150の判定結果:YES)、またはタンク内圧PTが負圧目標値PT2 より小さい場合(S160の判定結果:YES)は、調圧弁3を開弁して燃料タンク1とキャニスタ2とを連通させる(S110)。
【0031】
これにより、タンク内圧PTが正圧目標値PT1 より大きい場合は、燃料タンク1内の蒸発燃料が連通管8を通ってキャニスタ2へ流入し、キャニスタ2内の吸着剤に吸着されることによりタンク内圧PTが低下する。また、タンク内圧PTが負圧目標値PT2 より小さい場合は、キャニスタ2内に蓄えられた蒸発燃料が吸着剤から脱離して連通管8を通って燃料タンク1内へ戻ることによりタンク内圧PTが上昇する。この結果、図10に示す様に、タンク内圧PTは正圧目標値PT1 と負圧目標値PT2 との間に保たれる。なお、図10は、調圧弁3の開閉動作に伴ってタンク内圧PTが変化する様子を示すタイムチャートである。
【0032】
この実施例においては、燃料温度TTNK が高くなる程、補正量PTT は高くなっている。これにより、蒸発燃料排出量が燃料温度の上昇に伴って次第に増加するのに対応して少量ずつキャニスタ2に導入して、キャニスタ2からエンジンへ導入される蒸発燃料量を少量ずつとして、エンジンの空燃比の乱れを最小限とすることができる。しかも、蒸発燃料が発生しやすい高温においては、タンク内圧を高く設定できるので、蒸発燃料量の発生を抑えることができる。
【0033】
一方、上記ステップS120の判定結果がNOの場合、つまり調圧弁3によってタンク内圧PTを制御しているにも係わらず、タンク内圧PTが所定の圧力範囲外(上限圧力値PTmax より高い、または下限圧力値PTmin より低い)にある場合は、カウンタCを繰り上げて異常判定を行う(S180、S190)。
この異常判定(S190/本発明の故障判定手段)は、ステップS120の判定結果がNOとなってからの経過時間で判定する。
【0034】
異常判定(S190)の結果がNOの場合、つまり経過時間(カウンタC)が設定時間(カウンタCfail)まで達していない場合は、調圧弁3を開弁制御する(S200)。異常判定(S190)の結果がYESの場合は、何らかの異常(調圧弁3の作動不良、信号系統の異常、制御回路10の故障等)が生じていると考えられるため、フェイルフラグをON(S210)した後、乗員に異常であることを知らせるためにフェイルランプを点灯する(S220)。なお、タンク内圧PTが上限圧力値PTmax を越えて更に上昇すると、双方向リリーフバルブ15の高圧側ボール弁15aが開くことによりタンク内圧PTの上昇が抑えられる。この時のタンク内圧PTの変化を図11のタイムチャートに示す。
【0035】
b)給油時制御
図12は給油時制御のフローチャートである。
まず、給油が開始されたか否かを給油フラグFREF によって判定する(S300)。この判定で給油フラグFREF がセットされていない場合(判定結果:NO)、つまり未だ給油が開始されていない場合は、ECU18より送信される車速信号SPDに基づいて車両が停止しているか否かを判定する(S310)。この判定結果がNOの場合、即ち走行中の場合は、給油フラグFREF を0として通常制御(タンク内圧制御)へ移行する(S320)。
【0036】
ステップS310の判定結果がYESの場合、即ち車両が停止している場合は、給油開始を判定する(S330、S340/本発明の給油開始判定手段)。ここでは、キャップ4が開弁されるとタンク内圧PTが上昇あるいは下降する、もしくは実際に給油が開始されると、図13に示すように、給油経過時間に伴ってタンク内圧PTが上昇するため、そのタンク内圧PTの変化速度(PT−PTOLD )を算出して、判定値dPTREF より大きくなった時に「給油開始」と判断することができる。なお、タンク内圧の変化速度による給油判定値は、ガソリン性状(RVP)、タンク温度、給油速度、タンク形状等によって異なるが、例えば、下記の条件において、給油判定値:約2kPa/sec が望ましい。
RVP:62kPa/sec
タンク温度:25℃
給油速度:40L/min
比較的偏平なタンク形状で容量:50L
【0037】
上記のタンク内圧PTの変化速度(PT−PTOLD )が判定値dPTREF 以下の場合(S330の判定結果:NO)でも、次のステップ(S340)でレベルゲージ(図示しない)の検出値(抵抗値)FLに基づいて給油開始を判定することができる。例えば、周知のフロート式レベルゲージであれば、液面の変化に伴って検出値FLが変化するため、その検出値FLの変化量(FL−FLOLD )が判定値dFLREF より大きくなった時(S340の判定結果:YES)に「給油開始」と判断することができる。ステップS330及びS340の判定結果がNOの場合は、給油フラグFREF を0として(S320)、通常制御(タンク内圧制御)へ移行する。
【0038】
ステップ330あるいはステップ340で「給油開始」と判定された時は、給油フラグFREF をセットして(S350)、カウンタCREF を初期値にセットする(S360)。その後、調圧弁3を開弁して(S370)、読み込んだタンク内圧PT(内圧センサ13の検出値)とレベルゲージの検出値FLを更新する(S380、S390)。以上の様に、「給油開始」と判定された時に調圧弁3を開弁することで燃料タンク1とキャニスタ2とが連通され、燃料タンク1内の蒸発燃料がキャニスタ2へ流れてキャニスタ2に蓄えられるため、燃料タンク1内の蒸発燃料が大気中へ放出されることはない。なお、本実施例では、給油口のキャップ4が開いてから「給油開始」の判定が行われるため、実際に調圧弁3が開弁する時には既に給油筒1aのキャップ4が開いているが、上述のタンク内圧制御によってタンク内圧PTを所定の圧力範囲内(例えば大気圧近傍)に保つことで、キャップ4を開いた時に多量の蒸発燃料が大気中へ放出されることはない。
【0039】
一方、ステップS300で給油フラグFREF がセットされている場合(判定結果:YES)は、カウンタCREF を繰り上げて経過時間を判定する(S400、S410)。給油開始からの経過時間が予め設定された時間CTIMEに達していない場合(S410の判定結果:NO)は、以下の各ステップ(S420〜460/本発明の給油終了判定手段)で給油が終了したか否かを判定する。給油終了を判定する際には、満タンまで給油された場合と、満タンまで給油されていない場合とに分けて判定する必要がある。
【0040】
先ず満タンまで給油されたか否かを判定する(本発明の満タン判定手段)。
満タンを検出する方法としては、周知の液面センサ等により満タン時の液面を検出する方法、レベルゲージの検出値FLにより判定する方法、あるいはタンク内圧PTにより判定する方法(下述する)等がある。この何れか1つの方法で満タンを検出しても良いが、本実施例では、より確実な満タン検知を行うために、複数の判定処理を設定している。
最初に、液面センサ等の満タンスイッチ19(図18に示す満タンロールオーバセンサ)により判定する(S420)。この判定結果がNOの場合は、続いてレベルゲージの検出値FLにより判定する(S430)。この判定結果がNOの場合は、更にタンク内圧PTにより判定する(S440)。これらの判定結果が全てNOの場合は、未だ満タンまで液面が達していないと判断できる。
【0041】
ここで、満タンを検出する方法として、液面センサやレベルゲージを用いることは極めて周知であるため、タンク内圧PTによる判定方法について以下に説明する。
給油によって燃料タンク1内の燃料液面が設定位置まで上昇すると、大型カットバルブ16A(フロート弁)が浮力とスプリング16aに付勢されて開口部16dを閉じるため、給油が継続されているにも係わらず燃料タンク1内の蒸発燃料が抜け難くなることでタンク内圧が上昇する。従って、例えば大型カットバルブ16Aが閉じる時のタンク内圧(それ以上でも良い)の変化速度を判定値として満タンを検出することができる(図14参照)。
【0042】
なお、タンク内圧の上昇により、給油ガンのオートストップ機構が働いて給油を自動停止することができるが、大型カットバルブ16Aが閉じても、小型カットバルブ16Bおよびカットバルブ17が開いていると、給油ガンを手動操作して少量給油を継続することが可能である。この少量給油を継続すると、過給油状態(タンク内の燃料が膨張した際に、空気や燃料が逃げる空間がタンク内に残っていない程、燃料を注入した状態)となる懸念がある。そこで、本システムでは、満タン判定値となるタンク内圧を検出した後、給油ガンのオートストップ機構が確実に働くように、調圧弁3を一定時間閉弁している。これにより、給油ガンの手動操作による給油を停止して過給油を防止することができる。
【0043】
続いて、満タンまで給油されないまま給油が終了したか否かを判定する(本発明の未満タン判定手段)。この場合は、給油燃料が溢れてしまうことが無いため時間的余裕がある。従って、検出方法としては、例えばエンジン回転速度NEや車速SPD等で判定することができる。
先ず、エンジン回転速度NEで判定する(S450)。通常、給油時にはエンジンを停止するため、エンジン回転速度NEは「0」となる。ところが、エンジンを作動させた状態で給油する(アイドル給油)場合も考えられるため、エンジン回転速度NEが設定値(例えば2000rpm)以上となった時点で給油が終了したと判定する。更に車速SPDによる判定を行う(S460)。この判定結果がNOの場合(S410〜460の判定結果が全てNO)は、給油中の処理を継続して調圧弁3を開弁する。
一方、ステップS410〜460の判定処理で何れか1つの判定結果がYESとなった場合は、給油が終了したと判断できるため、給油フラグFREF をリセットして(S320)、通常制御(タンク内圧制御)へ移行する。
【0044】
c)リークチェック制御
図15及び図16はリークチェック制御のフローチャートである。
本実施例のリークチェック制御は、公知の特開平5−125997号公報での問題点に鑑みたものであり、システム系全体(燃料タンク1からパージ制御弁12までの通気系)のリークチェックを実行して「リーク有り」と判定された場合に、そのリーク原因が燃料タンク1側にあるのか、配管側(調圧弁3からパージ制御弁12までの通気系)にあるのかを判定するものである。
先ず、車速信号SPDに基づいてSPD=0であるか否かを判定する(S500)。この判定結果がYESの場合、つまりSPD=0の場合は、ECU18を通じて入力するアイドル信号に基づいてアイドル運転中であるか否かを判定する(S510)。
【0045】
ステップS500の判定結果がNOの場合、およびステップS510の判定結果がNOの場合は、リークチェック制御を行うことなくメインルーチンへ戻る。従って、リークチェック制御は、車両停止中であり、且つアイドル運転状態の時に実行される。これは、システム系全体のリークチェックを行う場合も同じであり、悪路走行中や旋回中にタンク内圧PTが変動して以下のステップにおいて正しい判定ができなくなる可能性があるからである。また、停車中であってもレーシング状態ではエンジン回転数が安定せずにタンク内圧PTが不安定となり、同じく正しい判定ができなくなる恐れがあるからである。
【0046】
一方、ステップS510の判定結果がYESの場合、つまり車両停止中であり、且つアイドル運転中の場合は、現在の処理段階を各フラグF1、F2、F3の状態によって判断する(S520〜540)。
まず、ステップS520〜540までの各フラグF1、F2、F3が全て「0]の場合は、パージ制御弁12を全閉にした後、キャニスタ開閉弁9、及び調圧弁3をそれぞれ全閉にして燃料タンク1からパージ制御弁12までの区間を密閉化する(S550〜570/本発明の圧力調整手段)。即ち、図17のタイムチャートに示す様に、パージ制御弁12を全閉にすることで燃料タンク1からパージ制御弁12までの区間をキャニスタ2の大気孔を通じて大気圧と同じ状態に調整し(時刻T1 )、やや遅れてキャニスタ開閉弁9と調圧弁3とを全閉にすることにより、大気圧に調整された密閉空間を形成する(時刻T2 )。
【0047】
続いて、密閉化直後のタンク内圧P1 を読み込んでタイマTをリセットする(S580)。次に、タイマTをリセットした後の経過時間を判定する(S590)。ここで、未だ所定時間(例えば10秒)経過していない場合(判定結果:NO)は、フラグF1を「1」に設定(S600)してステップS500へ戻る。
ステップ590でタイマTのカウントが終了した場合(判定結果:YES)は、直ちにタンク内圧P2 を読込み(S610)、密閉化後の経過時間におけるタンク内圧PTの変化量ΔP(2-1) を算出する(S620/本発明の圧力変化量算出手段)。即ち、図17に示す様に、大気圧に調整された後、調圧弁3を閉じて燃料タンク1が密閉化されると、蒸発燃料の発生量に応じてタンク内圧PTがΔP(2-1) だけ上昇する。
続いて、フラグF1を「0」に設定(S630)した後、パージ制御弁12と調圧弁3をそれぞれ全開にする(S640、S650)。これにより、パージ制御弁12から燃料タンク1内までの通気系全体に吸気管負圧が導入され始める(時刻T3 )。
【0048】
続いて、タンク内圧PTが所定値(例えば−20mmHg)以下になったか否かを判定する(S660)。この判定結果がNOの場合、つまりタンク内圧PTが所定値まで低下していない場合は、フラグF2を「1」に設定(S670)してステップS500へ戻る。
ステップS660の判定結果がYESの場合、つまりタンク内圧PTが所定値以下になった場合は、フラグF2をリセットして(S680)、パージ制御弁12と調圧弁3をそれぞれ全閉する(S690、S700/本発明の圧力調整手段)。この時、燃料タンク1内が所定の負圧(−20mmHg)に調整された状態となる(時刻T4 )。
続いて、調圧弁3を閉じた直後のタンク内圧P3 を読込み、タイマTをリセットする(S710)。その後、所定時間(例えば10秒)経過したか否かを判定し(S720)、未だ経過していない場合(判定結果:NO)は、フラグF3を「1」に設定(S730)してステップS500へ戻る。
【0049】
ステップ720でタイマTのカウントが終了した場合(判定結果:YES)は、直ちにタンク内圧P4 を読込み(S740)、調圧弁3を閉じた後のタンク内圧PTの変化量ΔP(4-3) を算出する(S750/本発明の圧力変化量算出手段)。即ち、燃料タンク1内に負圧(−20mmHg)を導入して調圧弁3を閉じると、所定時間経過する間に燃料タンク1内で発生する蒸発燃料の発生量に応じてタンク内圧PTがΔP(4-3) だけ上昇する。
続いて、下記の数式に示すリーク判定条件に基づいてリーク判定を行う(S760/本発明の圧力漏れ判定手段)。
【数1】
ΔP(4-3) >α・ΔP(2-1) +β
α:大気圧と負圧との違いによる蒸発燃料量の差を補正する係数
β:内圧センサ13精度、キャニスタ開閉弁9の漏れ等を補正する係数
【0050】
即ち、燃料タンク1側にリーク原因があるならば、正圧下では燃料タンク1内から大気中へ圧力が漏れるのに対し、負圧下では大気中から燃料タンク1内へ圧力が流入する。従って、大気圧下でのタンク内圧PTの変化量ΔP(2-1) より負圧下でのタンク内圧PTの変化量ΔP(4-3) の方が大きくなるはずである。
そこで、リーク判定の結果がYESの場合、つまり上記の数式が成立する場合は、燃料タンク1側に「リーク有り」と判定し、リークフラグFTを「1」に設定した後、警報ランプや警報ブザー等を作動させて乗員に異常を知らせる(S770、780)。一方、リーク判定の結果がNOの場合、つまり上記の数式が成立しない場合は、調圧弁3からパージ制御弁12までの通気系側に「リーク有り」と判定し、リークフラグFLを「1」に設定した後、警報ランプや警報ブザー等を作動させて乗員に異常を知らせる(S790、800)。
その後、各フラグF1、F2、F3をリセットして(S810)、リークチェック制御を終了する。
【0051】
(本実施例の効果)
本実施例では、1個の調圧弁3に多様な機能(つまり、タンク内圧を所定の圧力範囲内に保つための内圧制御バルブとしての機能、給油時に開弁して蒸発燃料の流出を防止するORVRバルブとしての機能、及びリークチェック時に開弁して燃料タンク1内に負圧を導入するOBD2バルブとしての機能)を持たせることができる。これにより、各機能毎に専用のバルブを設けた従来システムと比較して部品点数を削減でき、且つシステム構成を簡単にできる。
また、調圧弁3によってタンク内圧を積極的に制御することにより、燃料性状や燃料温度の変化に伴って変動する蒸発燃料量を制御することができる。その結果、燃料タンク1及びキャニスタ2からエンジン吸気管へ導入される蒸発燃料量の変化を抑制できるため、エンジン空燃比の乱れを抑えて、運転性能及び排気浄化への悪影響を低減できる。
【0052】
燃料温度や大気圧によってタンク内圧の設定値(目標圧力)を補正できるため、蒸発燃料が発生し易い条件の時(例えば燃料タンク1内の燃料温度が高い時、大気圧が低い時等)はタンク内圧を高くすることで蒸発燃料の発生を抑えることができる。この結果、蒸発燃料を蓄えるためのキャニスタ2の容量を小さくできるため、車両搭載性を向上できるメリットがある。
本実施例では、タンク内圧の変化速度、またはレベルゲージの検出値に基づいて給油開始を判定することができる。この場合、タンク内圧を検出するための内圧センサ13、及び燃料残量を検出するためのフロート式レベルゲージを給油開始の判定手段として利用できるため、給油開始を検出するための専用の検出手段を具備する必要がない。
【0053】
本実施例では、調圧弁3、キャニスタ開閉弁9、パージ制御弁12、及び燃料ポンプ7を通電制御する制御回路10を設けて、その制御回路10をエンジンの運転状態を制御するECU18と電気配線によって接続されている。しかも、その制御回路10を燃料タンク1に取り付けているため、調圧弁3、キャニスタ開閉弁9、パージ制御弁12、及び燃料ポンプ7がそれぞれ通電作動時に発生する電気ノイズの媒体となる電気配線を短くできることから、電気ノイズの発生量を低減できる。また、制御回路10を燃料タンク1内に配置しているため、燃料タンク1内の燃料によって制御回路10を冷却できるメリットもある。
【0054】
(変形例)
本実施例では、車両が転倒した時や燃料タンク1内の液面が傾いた時等に2段カットバルブ16が閉じることで燃料の流出を防止する構成であるが、2段カットバルブ16の代わりに、図18に示す様に、満タン・ロールオーバセンサ19を設けて、このセンサ19が液面を検出した時に調圧弁3を閉弁制御して燃料流出を防止する構成としても良い。
本実施例の調圧弁3は、通電時に開弁し、通電停止時に閉弁する構造であるが、その逆に通電時に閉弁し、通電停止時に開弁する構造としても良い。この場合、バッテリが外されて調圧弁3の作動を制御できなくなった時でも、調圧弁3が開弁状態となる。これにより、燃料タンク1内で蒸発燃料が発生してもキャニスタ2内に蓄えることができるため、タンク内圧の異常上昇を防止できる。
本実施例のシステムは、エンジン停止時(イグニッションオフ)においても調圧弁3の開閉動作を制御してタンク内圧を設定値に保つように構成することができる。
【0055】
本実施例では、請求項1の「運転状態」の例として、燃料温度を例示して説明したが、これに限られるものではない。例えば、エンジン負荷に応じてタンク内圧設定を変えることも可能である。この場合、エンジン負荷に応じて電磁式開閉弁(調圧弁3)の開閉動作を制御回路10が制御し、タンク内圧がエンジン負荷に応じて設定されている。即ち、高負荷の時には、開弁圧を高く、アイドリングの時には開弁圧を低く設定しておく。これにより、空気量ならびに噴射燃料量が少なく、キャニスタ2から吸気管への蒸発燃料量が空燃比の変動に敏感なアイドリング時には、燃料タンク1からキャニスタ2への蒸発燃料の導入量を少なくすることができる。また、空気量ならびに噴射燃料量が多く、キャニスタ2から吸気管への蒸発燃料量が空燃比の変動に鈍感な高負荷時には、燃料タンク1からキャニスタ2への蒸発燃料の導入量を多くすることができる。これにより、負荷全域で空燃比の変動を補正により抑える範囲内とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料タンク内圧制御システムの全体模式図である。
【図2】調圧弁と2段カットバルブの断面図(液面が水平の場合)である。
【図3】調圧弁と2段カットバルブの断面図(液面が傾いた場合)である。
【図4】タンク内圧制御のフローチャートである。
【図5】タンク内圧制御の目標圧力を算出するフローチャートである。
【図6】正圧側の基本目標値を決定するマップである。
【図7】負圧側の基本目標値を決定するマップである。
【図8】燃料温度による補正量を示す特性図である。
【図9】大気圧による補正量を示す特性図である。
【図10】タンク内圧制御のタイムチャートである。
【図11】タンク内圧制御のタイムチャートである。
【図12】給油時制御のフローチャートである。
【図13】給油時のタンク内圧の変化を示すグラフである。
【図14】給油時のタンク内圧の変化を示すグラフである。
【図15】リークチェック制御のフローチャートである。
【図16】リークチェック制御のフローチャートである。
【図17】リークチェック制御のタイムチャートである。
【図18】満タン・ロールオーバセンサの使用例を示す図である。
【符号の説明】
1 燃料タンク
2 キャニスタ
3 調圧弁(電磁式開閉弁)
8 連通管
10 制御回路
11 パージ管(パージ通路)
13 内圧センサ(タンク内圧検出手段)
15 双方向リリーフバルブ
Claims (10)
- 燃料タンクと連通管を通じて連通し、前記燃料タンク内で発生した蒸発燃料を吸着して蓄えるキャニスタと、
このキャニスタとエンジンの吸気通路とを連通するパージ通路と、
前記連通管に設けられて前記連通管を開閉する電磁式開閉弁と、
前記燃料タンクの内圧(タンク内圧と呼ぶ)を検出するタンク内圧検出手段と、
前記タンク内圧の基本目標値を運転状態に基づいて算出した後、前記エンジンの運転条件に応じて前記基本目標値を補正して目標圧力を算出する内圧設定手段と、
前記タンク内圧を前記内圧設定手段で設定された目標圧力に保つ様に、前記タンク内圧検出手段の検出値、及び前記運転状態に基づいて前記電磁式開閉弁の開閉動作を制御する制御回路とを備え、
前記制御回路は、給油終了を判定する給油終了判定手段を具備し、この給油終了判定手段で給油終了と判定した時に、前記燃料タンクの内圧制御へ移行することを特徴とする燃料噴射装置。 - 前記タンク内圧が予め設定された高圧異常時の開弁圧より高くなると開弁し、且つ前記タンク内圧が予め設定された低圧異常時の開弁圧より低くなると開弁して前記燃料タンクと前記キャニスタとを連通させる双方向リリーフバルブを設けたことを特徴とする請求項1に記載した燃料噴射装置。
- 前記制御回路は、給油開始を判定する給油開始判定手段を具備し、この給油開始判定手段で給油開始と判定した時に前記電磁式開閉弁を開弁制御することを特徴とする請求項1または2に記載した燃料噴射装置。
- 前記給油開始判定手段は、前記タンク内圧検出手段の検出値の変化速度が所定値以上の時に給油開始と判定することを特徴とする請求項3に記載した燃料噴射装置。
- 前記給油終了判定手段は、満タンによって給油が終了したことを判定する満タン判定手段と、満タンになる前に給油が終了したことを判定する未満タン判定手段とを有することを特徴とする請求項4に記載した燃料噴射装置。
- 前記満タン判定手段は、満タン検出バルブが閉じることによるタンク内圧変化値が所定値以上の時に満タンと判定することを特徴とする請求項5に記載した燃料噴射装置。
- 前記未満タン判定手段は、給油が満タンまで達していない状態で、車速またはエンジン回転速度が設定値以上となった時に給油が終了したことを判定する請求項5に記載した燃料噴射装置。
- 前記電磁式開閉弁が開弁した状態で、前記タンク内圧検出手段の検出値が所定値以上または所定値以下の状態が所定時間継続した時にシステム故障であると判定する故障判定手段を具備していることを特徴とする請求項1〜7に記載した何れかの燃料噴射装置。
- 前記電磁式開閉弁を開弁して前記燃料タンク内に圧力を導入した後、前記燃料タンク内の圧力が所定圧力に達した時点で前記電磁式開閉弁を閉弁して前記燃料タンク内を所定圧力に調整する圧力調整手段と、前記電磁式開閉弁を閉弁した時点の前記燃料タンク内の圧力と前記電磁式開閉弁を閉弁してから所定時間経過した時点の前記燃料タンク内の圧力との圧力変化量を算出する圧力変化量算出手段と、この圧力変化量算出手段で算出された圧力変化量に基づいて、前記燃料タンクに圧力漏れが有るか否かを判定する圧力漏れ判定手段とを具備していることを特徴とする請求項1〜8に記載した何れかの燃料噴射装置。
- 前記制御回路は、エンジン停止時においても前記電磁式開閉弁の開閉動作を制御することを特徴とする請求項1〜9に記載した何れかの燃料噴射装置。
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