JP3990851B2 - 春雨とその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、春雨とその製造方法に関し、極少量のこんにゃく粉を含有させることによって煮切れの抑制された春雨とその製法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、春雨の製造に際しては、主に冷凍製法と非冷凍製法が行われてきた。冷凍製法は水と澱粉を混合した懸濁液を孔を通して麺状にして沸騰水中に落とし込んで糊化し、冷却・乾燥させて春雨を製造するが、冷却を冷凍で行うため冷凍製法と呼ばれる。
【0003】
一方、非冷凍製法では薄層法と呼ばれる製造が主に行われている。原料澱粉と水を混合して澱粉懸濁液を作成し、この懸濁液を金属や樹脂製のコンベア上に薄層に展開して、加熱、非冷凍で冷却してシート上に固め、細断、乾燥させて春雨を製造する。
【0004】
なお、懸濁液作成においては、CMC(カルボキシメチルセルロース)を澱粉に対して0.5〜2%使用して製造する方法(特開昭53−56341号公報)があるが、本発明のように顕著な煮切れ防止効果を期待することはできない。
【0005】
冷凍製法、非冷凍製法の両者の製造法を比較した場合、前者に比べ後者の非冷凍製法すなわち薄層法の春雨では、鍋やスープといった加熱調理において食感がより長持ちし、煮切れしにくい特長を有するものの、加熱調理を継続した場合(鍋或いはスープ等の料理)に、ある一定時間を超すと春雨が煮切れ、食感が著しく低下するため、十分に満足しうる品質を得られない。
【0006】
このため、煮切れを抑制する目的で種々の方法が検討されている。その一つとして、こんにゃく様ハルサメを製造する方法(特開昭48−80750号公報)がある。この方法は、原料澱粉に対し約7重量%のこんにゃく粉を、混合し、アルカリ処理によりゲル化させることで、春雨を煮込んでも溶解、糊化するような恐れをなくする方法であるが、食感として、春雨本来の食感が失われてこんにゃく様の食感に変化し、調理の際にはアルカリ処理によるこんにゃく独特の臭いを発して、春雨としての調理素材価値を低下させるものである。
【0007】
この他に、長時間の煮込みに耐える澱粉麺(特開平2−295445号公報)も挙げられるが、この場合も、春雨に水不溶性食物繊維を多量(原料澱粉の2〜10重量%)に含有させることで、長時間の煮込みに耐える品質になるものの、春雨本来の食感が失われて小麦粉麺に近い食感を有し、透明性のない白濁した麺となり、春雨としての調理素材価値を低下させるものである。
よって、未だ充分に満足しうる春雨を得ないのが実情である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、薄層法で製造される春雨において、調理素材価値を維持したまま加熱調理耐性を向上させて、煮切れ抑制を有するようにすることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意努力した結果、澱粉スラリー製造の段階で、原料澱粉の0.1〜0.3重量%のこんにゃく粉を含有して澱粉スラリーを製造することで、その後に得られる春雨において、春雨特有の透明性のある外観を維持し、よりコシのある食感にしながら、加熱調理耐性を向上させ、煮切れ抑制を有することを見出した。
【0010】
即ち、本発明は、
(1)こんにゃく粉を原料澱粉の0.1〜0.3重量%含有することを特徴とする薄層法による春雨、
(2)こんにゃく粉に水を加えこんにゃく粉を膨潤させ、該膨潤物と原料澱粉を混合し、アルカリ処理を施すことなく澱粉スラリーを製造し、薄層法により製造し、こんにゃく粉を原料澱粉の0.1〜0.3重量%含有せしめることを特徴とする春雨の製造方法
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
春雨は、馬鈴薯澱粉やコーンスターチ、甘藷澱粉、緑豆澱粉、葛澱粉などの澱粉を原料として使用して製造されるものである。葛澱粉を使用するものは葛切りと呼ばれているが、上品質の春雨を葛切りと呼ぶ場合もあり、本発明はこれら各種の澱粉やそれらの加工物から製造されるものである。
【0012】
本発明に用いるこんにゃく粉は、荒粉から精製した精製こんにゃく粉を使用することができる。
こんにゃく粉は、原料澱粉に対して0.1〜0.3重量%の範囲となるように加える。
【0013】
こんにゃく粉が原料澱粉に対して0.1重量%未満の場合、得られる春雨には煮切れ抑制の効果がほとんど見られず、0.3重量%を超える場合には、煮切れの向上が強く見られない他、春雨の独特の食感が損なわれる。
こんにゃく粉は、水に分散・膨潤させて使用することとし、このこんにゃく粉膨潤液に原料澱粉を混合することで均一な澱粉スラリーを製造することができる。
【0014】
なお、こんにゃく粉は水で膨潤させた後、アルカリ性下で加熱されることで強固なゲル(こんにゃく)を形成することで知られているが、本発明では、こんにゃく粉の膨潤液をアルカリ性下への処理を行わず、こんにゃく粉を膨潤させただけの状態(こんにゃくゾル)で春雨製造に利用する。
本発明の春雨は、前記したように官能上(食感、外観)の特長を失うものではなく、調理条件などは既知の条件を採用すれば良い。
【0015】
本発明中の煮切れとは、加熱調理中の春雨の劣化状態を指し、煮溶けや煮崩れ、煮解け、湯崩れ、麺のゾル化とも表現される用語であり、長時間加熱調理を続けた際に箸などで摘み上げると麺線がブツブツ切れ、摘み上げるのが困難になる可食劣化状態をいう。このため、煮切れまでの時間の長い方が、春雨の可食時間を拡大し、調理素材としての価値を大きくする。
【0016】
いわゆる、小麦麺等の可食状態に速く移行させる湯戻しを速くさせることとは相違する。
次に、本発明を実験例などにより詳しく説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。
【0017】
実験例1
950mlの水に、こんにゃく粉、CMC(カルボキシメチルセルロース)、キサンタンガムの3種類の多糖類を、原料澱粉に対しそれぞれの添加濃度になるように相当量を加え膨潤させ、原料澱粉1000gを加えて、混合、澱粉スラリーを作成した。この澱粉スラリーを、樹脂製シート上に薄層に展開して、蒸気により80℃以上、且つ1分間以上加熱して、冷却、細断後に澱粉麺を得た。
【0018】
このようにして、各多糖類ごとに春雨を作成し、各澱粉スラリーの均一性、各澱粉麺の煮切れまでの時間を評価した。
なお、無添加時は、澱粉スラリーの均一性を保持するため、原料澱粉の一部を糊化して澱粉スラリーを作成した。
結果を表1に示す。
表中、こんにゃく粉0部時の春雨の評価を−とし、各評価項目で0部時よりも特に良いを◎、良いを○、同じものを△、悪いものを×と表示した。
【0019】
【表1】
【0020】
表1から明らかなように、こんにゃく粉添加によって、煮切れまでの時間が最も伸びており、他の多糖類では澱粉スラリーの均一性は見られるものの、煮切れまでの時間はさほど伸びていないことが判明した。
このことは、こんにゃく粉のみが、煮切れまでの時間を伸ばすことを示しており、こんにゃく粉の添加によって、無添加のものに比べて煮切れまでの時間は10分以上も伸びていた。
【0021】
実験例2
950mlの水に、こんにゃく粉を原料澱粉に対し0〜0.5重量%の範囲になるように相当量を加え膨潤させ、原料澱粉1000gを加えて、混合、澱粉スラリーを作成した。この澱粉スラリーを、樹脂製シート上に薄層に展開して、蒸気により80℃以上、且つ1分間以上加熱して、冷却、細断後に澱粉麺を得た。
【0022】
このようにして、こんにゃく粉の濃度ごとに春雨を作成し、各澱粉スラリーの均一性、各澱粉麺の煮切れまでの時間と官能上(食感・外観)の変化を評価した。
なお、こんにゃく粉0重量%時は、澱粉スラリーの均一性を保持するため、原料澱粉の一部を糊化して澱粉スラリーを作成した。
【0023】
結果を表2に示す。
表中、こんにゃく粉0部時の春雨の評価を−とし、煮切れまでの時間は、変化なしを△、0〜5分延長した場合を+、5〜10分延長した場合を++、10分以上延長した場合を+++と表示した。澱粉スラリーの均一性と官能上(食感・外観)の変化については、各評価項目で0部時よりも特に良いを◎、良いを○、同じものを△、悪いものを×と表示した。
【0024】
【表2】
【0025】
表2から明らかなように、こんにゃく粉の含有量が0.2重量%の時に、煮切れまでの時間が最も伸びており、含有量が少ない場合(0.1重量%未満)、澱粉スラリーの均一性が得られない他、煮切れまでの時間も伸びていないことがわかった。一方、こんにゃく粉の含有量を高くした場合(0.3重量%を超える場合)には、煮切れまでの時間がさほど伸びておらず、逆に官能上、特に食感の変化が著しく、固くボソボソとなり、春雨特有の食感が失われることが判明した。
【0026】
このことは、こんにゃく粉の含有量が0.1〜0.3重量%の範囲でのみ、煮切れまでの時間を伸ばし、且つ官能上の特長を失わない効果があることを示している。また、この範囲内でこんにゃく粉を含有した春雨は、より弾力性のある食感が生まれ、食感の改善効果も見られた。
【0027】
実施例1:こんにゃく粉入り春雨
水498gに、精製こんにゃく粉1gを分散、膨潤させて、原料澱粉(じゃがいも澱粉:コーンスターチ=6:4の比率で混合したもの)500gを投入、混合して春雨用澱粉スラリーを作成した。
【0028】
一方、対照としてこんにゃく粉0のものの澱粉スラリーを同様に作成した。この澱粉スラリーを樹脂製のコンベア上で1mmの厚みで薄層に展開して、蒸気により85℃で2分間加熱し、コンベアから剥して冷却し、シート状に固めた。固めたシートを1.2mm巾のロールカッターにて細断し、竿掛けして70℃の乾熱機内で乾燥させ、長さ18cmでカットして、春雨を作った。
【0029】
この春雨を調理機中で長時間煮込み続けた結果、こんにゃく粉を含有していない春雨は、加熱開始後20〜25分で煮切れして、食するのに適さなくなったのに対し、本発明方法で作った春雨は、35分まで煮切れが見られず、煮切れまでの時間が10分(50%)以上伸びていた。また、この春雨を湯戻し(調理開始)7分後で試食したところ、こんにゃく粉を含有していないものと比べても外観に全く差がなく、食感はより弾力性のあるものであった。
【0030】
実施例2:こんにゃく粉入り葛切り
水498gに、精製こんにゃく粉1gを分散、膨潤させて、葛澱粉を300g、馬鈴薯澱粉を200g投入、混合して葛切り用澱粉スラリーを作成した。
一方、対照としてこんにゃく粉0のものの澱粉スラリーを同様に作成した。
【0031】
この澱粉スラリーを樹脂製のコンベア上で2mmの厚みで展開して、蒸気により80℃で5分間加熱し、コンベアから剥して冷却し、シート状に固めた。固めたシートを2.5mm巾のロールカッターにて細断し、竿掛けして70℃の乾熱機内で乾燥させ、長さ20cmでカットして、葛切りを作った。
【0032】
この葛切りを、実験例1と同様に長時間煮込み続けた結果、こんにゃく粉を含有していない葛切りは、加熱開始後30〜35分で煮切れし、食するのに適さなくなるのに対し、本発明方法で作った葛切りは、45分まで煮切れが見られず、煮切れまでの時間が10分(30%)以上伸びていた。
【0033】
【発明の効果】
春雨を製造する際に、本発明のようにこんにゃく粉を含有して製造すると、春雨の加熱調理時において、煮切れまでの時間が伸び、可食時間が長くなる。
しかも、こんにゃく粉の含有量は原料澱粉に対し0.1〜0.3重量%と極少量であり、春雨の調理素材としての価値である、透明性のある外観や特有の食感をそのまま維持、または向上させることができる。
このため、従来の春雨と同様もしくはそれ以上に弾力性のある、官能上の特長を維持したまま、より加熱調理耐性のある春雨を提供することができるという効果をもつ。
Claims (2)
- こんにゃく粉を原料澱粉の0.1〜0.3重量%含有することを特徴とする薄層法による春雨。
- こんにゃく粉に水を加えこんにゃく粉を膨潤させ、該膨潤物と原料澱粉を混合し、アルカリ処理を施すことなく澱粉スラリーを製造した後、薄層法により製造し、こんにゃく粉を原料澱粉の0.1〜0.3重量%含有せしめることを特徴とする春雨の製造方法。
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