JP3989117B2 - 画像材料用支持体およびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、天然パルプを主成分とする紙を基質(以下、基紙と略することがある)として、その少なくとも一方の面が熱可塑性樹脂を含む樹脂層で被覆した画像材料用支持体の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、支持体製造時、ダイリップ汚れの発生が著しく抑制され、また冷却ロールからの剥離性が改良されて剥離むらの発生が無い、しかも高速かつ安定生産出来る画像材料用支持体の製造方法に関するものであり、さらに、本発明は、見た目の光沢感が極めて優れた画像材料およびそのプリント、特にハロゲン化銀写真印画紙およびそのプリント(ハロゲン化銀写真印画紙プリントのことを、以下、単に写真プリントと略すことがある)を提供出来る、画像材料用支持体およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、画像材料は、画像材料用支持体と該支持体上に設けられた画像形成層とから構成されたものである。例えば、ハロゲン化銀写真材料、インクジェット記録材料、熱移行型熱転写記録受像材料、感熱記録材料、感光感熱記録材料は、画像材料用支持体上にそれぞれハロゲン化銀写真構成層、インク受像層、熱移行型熱転写記録受像層、感熱発色層、感光感熱発色層等の画像形成層及び必要に応じて下引層、保護層等が塗設されたものである。特に、ハロゲン化銀写真構成層としては、ハロゲン化銀写真乳剤層、保護層、下引層、中間層あるいは色混り防止層、ハレーション防止層、もしくはフィルター層、紫外線吸収層等及びそれらの組み合わせから構成されたものである。例えば、単一なハロゲン化銀写真材料は、写真材料用支持体上にハロゲン化銀写真乳剤層とその保護層を設けたものである。また、多層ハロゲン化銀カラー写真材料は、写真材料用支持体上に下引層、青感ハロゲン化銀写真乳剤層と中間層、緑感ハロゲン化銀写真乳剤層と紫外線吸収層、赤感ハロゲン化銀写真乳剤層と保護層等のハロゲン化銀カラー写真構成層が順に設けられて多層配置にされたものである。
【0003】
従来、画像材料用支持体のための基紙面が、熱可塑性樹脂で被覆された樹脂被覆紙型の支持体はよく知られている。ハロゲン化銀写真材料用途のための写真材料用支持体としては、例えば、特公昭55−12584号公報には、基紙がフィルム形成能ある樹脂、好ましくはポリオレフィン樹脂で被覆された写真材料用支持体についての技術が開示されている。米国特許第3,501,298号公報には、基紙の両面がポリオレフィン樹脂で被覆された写真材料用支持体についての技術が開示されている。また、ハロゲン化銀写真材料の迅速写真現像処理方式が適用されて以来、基紙の両面がポリエチレン系樹脂で被覆された写真材料用支持体が、写真印画紙用として主に実用化されており、必要に応じてその一方の画像形成層を設ける側の樹脂層中には鮮鋭度を付与するために、通常二酸化チタン顔料を含有している。
【0004】
また、米国特許第4,774,224号公報には、樹脂被覆の表面粗さが7.5マイクロインチ−AA以下である樹脂被覆紙、特に基紙の表面をポリエチレン樹脂で被覆したポリエチレン樹脂被覆紙を支持体として有する熱転写記録受像要素が提案されている。また、特開昭63−307979号公報には、樹脂被覆紙を支持体として有するインクジェット記録用シートに関する技術が開示されている。
【0005】
しかしながら、基紙、特に天然パルプを主成分とする基紙の画像形成層を設ける側の面を樹脂層で被覆した樹脂被覆紙型の画像材料用支持体は、依然としていくつかの重大な問題点を有しており、未だ満足すべき成果が得られていないのが実情である。
【0006】
基紙の画像形成層を設ける側(以下、画像形成層を設ける側を表側、表側に被覆される樹脂層を表樹脂層、その反対側を裏側、裏側に被覆される樹脂層を裏樹脂層と略すことがある)の面を少なくともフィルム形成能ある樹脂、特にポリエチレン系樹脂を含む樹脂層で被覆した画像材料用支持体用途のための樹脂被覆紙は、通常走行する基紙上に、ポリエチレン系樹脂組成物を溶融押し出し機を用いて、そのスリットダイからフィルム状に流延して被覆し、加圧ロールと冷却ロールとの間で圧着し、冷却後ロールから剥離されるという一連の工程で製造される。その際、グロッシー用途の画像材料用樹脂被覆紙を製造する場合には、冷却ロールとして、鏡面ないしは光沢面または特公昭62−19732号公報に記載の微粗面を有する平滑性の極めて良い冷却ロールが用いられる。かくして樹脂被覆紙の表樹脂層は、その溶融状態で平滑性の極めて良い冷却ロールに圧接されるため平滑性の良い面に加工され、従って該樹脂被覆紙を支持体とする画像材料及びそのプリントでは、見た目の光沢感の高いものが得られるはずである。しかしながら、実際に製造した樹脂被覆紙を支持体とする画像材料及びそのプリントでは、十分に見た目の光沢感の高いものを得ることは出来なかった。特に、樹脂被覆紙を支持体とする写真印画紙では、十分に見た目の光沢感の高い写真印画紙及び写真プリントを得ることは出来なかった。また、樹脂被覆紙の表樹脂層の厚味が薄くなればなる程、特に31μm以下の場合には、該樹脂被覆紙を支持体とする画像材料及びそのプリントの見た目の光沢感が、顕著に低下することが判明した。特に、グロッシー用途の写真材料では、写真プリントにした場合に高度の見た目の光沢感が要求されており、写真プリントの見た目の光沢感の劣る写真材料は、グロッシー用途のものとしては全く不適当で商品価値の無いものになるという問題があった。
【0007】
グロッシー用途の画像材料用樹脂被覆紙は、高度の平滑性が要求されるものの、特に基紙に溶融樹脂を押し出しコーティングする際に表樹脂層の厚味が厚くなればなる程、特に20μm以上の場合や樹脂被覆紙の製造速度が速くなればなる程、特に260m/分以上の場合には、冷却ロールからの樹脂被覆紙の剥離性が悪化し、樹脂被覆紙面上に剥離むらと呼称される幅方向の横段状のむらが発生する事である。この剥離むらが発生すると該樹脂被覆紙を支持体とする画像材料及びプリントにも光沢むらが発生し、見た目の光沢感が益々低下し、商品価値が著しく低下するという問題があった。
【0008】
従来、樹脂被覆紙型の画像材料用支持体の上記した問題点及び別種の欠点を排除、改良するためのいくつかの技術提案がある。特開昭59−198451号公報、特開平1−303435号公報等に共押し出しコーティング法及び逐次押し出しコーティング法の二層押し出しコーティング法により、樹脂被覆紙型の写真用支持体の表樹脂層面に発生する傾向があるクレーター状の細孔を防止、改良し、表面欠陥のない平滑性に優れた写真用支持体を提供する技術の記載もしくは例示があるが、前記した問題点の解決には不十分であり、特に樹脂被覆紙を支持体とする画像材料及びそのプリントの見た目の光沢感を向上、改良するには極めて不十分であった。
【0009】
従来、樹脂被覆層の二酸化チタン顔料の濃度としては9重量%〜15重量%であり、290℃〜340℃の温度で溶融押出しコーティングされている。二酸化チタン顔料の添加量を増加させると、それに伴って押出機ダイリップ部に発生する筋状の汚れ(以下、ダイリップ汚れと略すことがある)が増加し、特に二酸化チタン顔料濃度が20重量%を超えると溶融押出した樹脂面に筋状物が発生し、甚だしい場合には樹脂面が割れる現象さえ起こるという問題がある。
【0010】
このダイリップ汚れの発生原因は、ダイリップ部における溶解物の部分的な滞積、或いは焼付けによるものと考えられているが、このようなダイリップ汚れが発生すると、これによって製造された画像材料用支持体の表面には縦方向に連続的なスジが発現する。このようなダイリップ汚れに起因するスジは、製品の外観を著しく損なうばかりでなく、製品そのものの製造を不可能ならしめる重大問題である。しかも、一度発生したダイリップ汚れを完全に消失させるには、ダイリップを分解して洗浄する以外に方法がなく、その分解、洗浄には多大な手間と時間を要し、生産性の著しい低下をもたらすものであり、当業者はその解決に注力しているのが実状である。
【0011】
従来、ダイリップ汚れの防止方法が種々検討されてきた。例えば、樹脂組成物の改良の面からは、酸化亜鉛と高級脂肪酸の金属塩の特定量を組み合わせて用いる方法(特開昭53−102947号公報)、二酸化チタン顔料の乾燥減量と脂肪酸金属塩の特定量を組み合わせて用いる方法(特開昭57−16819号公報)、酸化防止剤と脂肪酸金属塩の特定量を組み合わせて用いる方法(特開昭60−11841号公報)、二酸化チタン顔料乾燥減量、脂肪酸金属塩、組成物溶融粘度などに関する条件を選択し組み合わせて用いる方法(特公昭59−42296号公報)等の提案がある。また、使用する二酸化チタン顔料が増加するに従い、汚れやグリットが多発することから二酸化チタンの改質が必要であるとの観点から、二酸化チタン表面を含水酸化アルミニウムで処理する方法(特開昭57−108849号公報)、2〜4価のアルコールで処理する方法(特開昭58−17433号公報)、アルキルチタネートで処理する方法(特開昭57−151942号公報)、または有機アルミニウムで処理する方法(特開昭62−141544号公報)、或いは二酸化チタンの乾燥減量を0.35%以下にする方法(特開昭59−1544号公報、特開昭59−121329号公報、特開昭59−215334号公報)、および二酸化チタンの懸濁液電気伝導度を60mho/cm以下にする方法(特開昭58−220140号公報)、などの多くの提案もなされている。
【0012】
しかしながら、これら上記の方法によっても、ダイリップ汚れを防止するには不十分である。また、樹脂層中に二酸化チタン顔料量を増大させたり、溶融押出しコーティングの速度を速くすればする程、溶融押出した樹脂面に筋状物が発生し、甚だしい場合には樹脂面が割れる現象さえ起こるという問題があり、通常、既存の画像材料用支持体における樹脂層中の二酸化チタン顔料の含有量は15重量%以下である。
【0013】
上記の課題を改良するための比較的最近の技術としては、例えば特開平6−222499号公報には、シート状基体の両面に、ポリオレフィン樹脂を主成分とする樹脂被覆層を形成する写真用支持体の製造方法において、支持体の乳剤が塗布される側の樹脂層が2層であり、紙基体側の樹脂層が添加剤を含まないLDPEであり、特定樹脂温度で上層および下層(上層は下層より低温)樹脂層を形成し、2層の樹脂層の層厚比を、特定とした写真用支持体の製造方法を開示している。
【0014】
また、特開平6−324431号公報には、2層以上の耐水性樹脂被覆層を設けた写真印画紙用支持体において、特定樹脂温度で上層および下層(上層は下層より低温)樹脂層を形成し、上層に特定量の二酸化チタンを含有させ、且つ、上層の耐水性樹脂のメルトインデックスが下層の耐水性樹脂のメルトインデックスより高い写真印画紙用支持体を開示している。
【0015】
さらに、特開平6−342194号公報には、2層以上の耐水性樹脂被覆層を設けた写真印画紙用支持体において、特定樹脂温度で上層および下層(上層は下層より低温)樹脂層を形成し、上層に特定量の二酸化チタンを含有させ、下層には特定の無機顔料を含有させ、且つ、上層の耐水性樹脂のメルトインデックスが下層の耐水性樹脂のメルトインデックスより高い写真印画紙用支持体を開示している。
【0016】
しかし、これら比較的最近の技術をもってしても、極く最近の技術志向である260m/分以上、特に300m/分以上、特に400m/分以上の高速溶融押し出し塗工時のダイリップ汚れや冷却ロールからの樹脂被覆紙の剥離性の悪化に伴う樹脂被覆紙面上に発生する剥離むら、および、ひいては画像材料及びプリントの光沢むらや見た目の光沢感を十分満足させる、商品価値が著しく高い画像材料用支持体を製造することはできない。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、天然パルプを主成分とする紙を基質として、その少なくとも一方の面が熱可塑性樹脂を含む樹脂層で被覆した画像材料用支持体およびその製造方法において、ダイリップ汚れの発生が著しく抑制され、また冷却ロールからの剥離性が改良されて剥離むらの発生が無い、しかも高速かつ安定生産出来、さらに、極めて優れた見た目の光沢感が高い画像材料及び写真プリントを提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達したものである。すなわち、
【0019】
1.本発明は、天然パルプを主成分とする紙を基質として、その少なくとも一方の面が熱可塑性樹脂を含む樹脂層で被覆した画像材料用支持体であって、該樹脂層が最下層と最上層の少なくとも2層から成り、かつ該樹脂層の少なくとも最下層と最上層は、逐次に溶融押し出しコーティングされる逐次押し出しコーティング方式により被覆されて成る画像材料用支持体において、最下層を溶融押し出しコーティングした後、急冷却装置により冷却し、該最下層上に該最上層を溶融押し出しコーティングにより被覆して成ることを特徴とする画像材料用支持体の発明である。
【0030】
.本発明は、天然パルプを主成分とする紙を基質として、その少なくとも一方の面が熱可塑性樹脂を含む樹脂層で被覆した画像材料用支持体の製造方法であって、該樹脂層が最下層と最上層の少なくとも2層から成り、かつ該樹脂層の少なくとも最下層と最上層は、逐次に溶融押し出しコーティングされる逐次押し出しコーティング方式により被覆されて成る画像材料用支持体において、最下層を溶融押し出しコーティングした後、急冷却装置により冷却し、該最下層上に該最上層を溶融押し出しコーティングにより被覆することを特徴とする画像材料用支持体の製造方法の発明である。
【0036】
本発明は、天然パルプを主成分とする紙を基質として、その少なくとも一方の面が熱可塑性樹脂を含む樹脂層で被覆した画像材料用支持体であって、該樹脂層が最下層と最上層の少なくとも2層から成り、かつ該樹脂層の少なくとも最下層と最上層は、逐次に溶融押し出しコーティングされる逐次押し出しコーティング方式により被覆されて成る画像材料用支持体において、最下層を溶融押し出しコーティングし、コロナ放電処理装置により、コロナ放電処理した後、該最下層上に該最上層を溶融押し出しコーティングすることを特徴とする画像材料用支持体の製造方法の発明である。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の画像材料用支持体およびその製造方法について詳述する。
【0042】
本発明は、天然パルプを主成分とする紙を基質として、その少なくとも一方の面が熱可塑性樹脂を含む樹脂層で被覆した画像材料用支持体およびその製造方法であって、該樹脂層が最下層と最上層の少なくとも2層から成り、かつ該樹脂層の少なくとも最下層と最上層は、逐次に溶融押し出しコーティングされる逐次押し出しコーティング方式により被覆されて成る画像材料用支持体において、最下層を溶融押し出しコーティングした後、急冷却装置により冷却し、該最下層上に該最上層を溶融押し出しコーティングにより被覆して成る、高速溶融押し出し塗工に好適な画像材料用支持体およびその製造方法である。
【0043】
従来より、2層から成る写真印画紙用支持体において、上層から成る樹脂層は、170℃〜290℃で溶融押し出しコーティングされ、該樹脂層中には、特定量の二酸化チタン顔料を含有し、下層から成る樹脂層は、290℃〜340℃で溶融押し出しコーティングされた写真印画紙用支持体であって、且つ、上層の耐水性樹脂のメルトインデックスが下層の耐水性樹脂のメルトインデックスより高い写真印画紙用支持体は、既に知られているところである。
【0044】
しかしながら、これらの従来技術は、せいぜい200〜250m/分程度の高速溶融押し出し塗工において、写真印画紙用支持体を製造可能とするものであって、260m/分以上、さらには330m/分以上、特に400m/分以上の高速溶融押し出し塗工時のダイリップ汚れや冷却ロールからの樹脂被覆紙の剥離性の悪化に伴う樹脂被覆紙面上に発生する剥離むら、および、ひいては画像材料およびプリントの光沢むらがなく、見た目の光沢感を十分満足させる、商品価値が著しく高い画像材料用支持体を製造することはできない。
【0045】
本発明は、画像材料用支持体の画像形成する側の面が、少なくとも2層から成る樹脂層において、少なくとも最上層から成る樹脂層は、170〜290℃で溶融押し出しコーティングされたものであって、該樹脂層中には、二酸化チタン顔料が15重量%以上含有し、少なくとも最下層から成る樹脂層は、290〜340℃で、逐次溶融押し出しコーティングされたものである画像材料用支持体であって少なくとも最上層および最下層から成る樹脂層をそれぞれ構成する熱可塑性樹脂樹脂のMFRが、いずれも9g/10分以上であることが好ましい
【0046】
本発明の特に好ましい態様としては、少なくとも最下層から成る樹脂層と少なくとも最上層から成る樹脂層を、逐次に溶融押し出しコーティングした、逐次押し出しコーティング方式により被覆した際に、少なくとも最下層から成る樹脂層を形成した直後に、急冷却装置により該樹脂層を冷却した後、少なくとも最上層から成る樹脂層を溶融押し出しコーティングすることを特徴とする画像材料用支持体の製造方法である。
【0047】
このような本発明の画像材料用支持体の製造方法によれば、基紙の走行速度が260m/分以上、さらには330m/分以上、特に400m/分以上の高速溶融押し出し塗工であっても、塗工時のダイリップ汚れや冷却ロールからの樹脂被覆紙の剥離性の悪化に伴う樹脂被覆紙面上に発生する剥離むら、および、ひいては画像材料およびプリントの光沢むらがなく、見た目の光沢感が極めて優れ、さらには画像材料およびプリントの品質を十分満足させる、商品価値が著しく高い画像材料用支持体を提供することができる。
【0048】
本発明の実施に用いられる基紙は、通常の天然パルプを主成分とする天然パルプ紙が好ましい。また、天然パルプを主成分として合成パルプ、合成繊維とからなる混抄紙でもよい。それらの天然パルプとしては、特開昭58−37642号公報、特開昭60−67940号公報、特開昭60−69649号公報、特開昭61−35442号公報等に記載もしくは例示してあるような適切に選択された天然パルプを用いるのが有利である。天然パルプは塩素、次亜塩素酸塩、二酸化塩素漂白の通常の漂白処理並びにアルカリ抽出もしくはアルカリ処理および必要に応じて過酸化水素、酸素などによる酸化漂白処理など、およびそれらの組み合わせ処理を施した針葉樹パルプ、広葉樹パルプ、針葉樹広葉樹混合パルプの木材パルプが有利に用いられ、また、クラフトパルプ、サルファイトパルプ、ソ−ダパルプなどの各種のものを用いることができる。
【0049】
本発明の実施に用いられる天然パルプを主成分とする基紙中には、紙料スラリ−調製時に各種の添加剤を含有せしめることができる。サイズ剤として、脂肪酸金属塩あるいは脂肪酸、特公昭 62-7534号公報に記載もしくは例示のアルキルケテンダイマー乳化物あるいはエポキシ化高級脂肪酸アミド、アルケニルまたはアルキルコハク酸無水物乳化物、ロジン誘導体等、乾燥紙力増強剤として、アニオン性、カチオン性あるいは両性のポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、カチオン化澱粉、植物性ガラクトマンナン等、湿潤紙力増強剤として、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂等、填料として、クレ−、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン等、定着剤として、塩化アルミニウム、硫酸バン土等の水溶性アルミニウム塩等、pH調節剤として、苛性ソ−ダ、炭酸ソ−ダ、硫酸等、その他特開昭63−204251号公報、特開平1−266537号公報等に記載もしくは例示の着色顔料、着色染料、蛍光増白剤などを適宜組み合せて含有せしめるのが有利である。
【0050】
また、本発明の実施に用いられる天然パルプを主成分とする基紙中あるいは基紙上には、各種の水溶性ポリマーもしくは親水性コロイドまたはラテックス、帯電防止剤、添加剤から成る組成物をサイズプレスもしくはタブサイズプレスあるいはブレード塗工、エアーナイフ塗工などの塗工によって含有あるいは塗設せしめることができる。水溶性ポリマーもしくは親水性コロイドとして、特開平1−266537号公報に記載もしくは例示の澱粉系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ゼラチン系ポリマー、ポリアクリルアミド系ポリマー、セルローズ系ポリマーなど、エマルジョン、ラテックス類として、石油樹脂エマルジョン、特開昭55−4027号公報、特開平1−108538号公報に記載もしくは例示のエチレンとアクリル酸(又はメタクリル酸)とを少なくとも構成要素とする共重合体のエマルジョンもしくはラテックス、スチレン−ブタジエン系、スチレン−アクリル系、酢酸ビニル−アクリル系、エチレン−酢酸ビニル系、ブタジエン−メチルメタクリレート系共重合体及びそれらのカルボキシ変性共重合体のエマルジョンもしくはラテックス等、帯電防止剤として、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩、塩化カルシウム、塩化バリウム等のアルカリ土類金属塩、コロイド状シリカ等のコロイド状金属酸化物、ポリスチレンスルホン酸塩等の有機帯電防止剤など、顔料として、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、酸化チタンなど、pH調節剤として、塩酸、リン酸、クエン酸、苛性ソーダなど、そのほか前記した着色顔料、着色染料、蛍光増白剤などの添加剤を適宜組み合わせて含有せしめるのが有利である。
【0051】
本発明の実施に用いられる基紙の厚みに関しては、特に制限はないが、その坪量は30〜250g/m2のものが好ましい。
【0052】
また、本発明の実施に用いられる天然パルプを主成分とする基紙としては、画像材料およびそのプリントの見た目の光沢感を顕著に改良する観点で、基紙の表側の触針式3次元表面粗さ計を用いてJIS B 0601「表面粗さ−定義及び表示」に準拠した測定方法により、カットオフ値0.8mmでの抄紙方向に沿って測定した中心面平均粗さが1.4μm以下のものが好ましく、1.3μm以下のものが更に好ましく、1.2μm以下のものが一層好ましく、1.1μm以下のものが特に好ましい。
【0053】
中心面平均粗さSRaが1.4μm以下である基紙は、具体的には、以下の方法を用いることにより、好ましくは以下の方法を2つ以上、更に好ましくは3つ以上組み合わせて用いることにより得られる。
【0054】
(1)使用する天然パルプとしては、平滑性の出やすいサルファイトパルプ、好ましくは広葉樹サルファイトパルプを多く用いる。具体的には、特開昭60−67940号公報に記載もしくは例示の広葉樹サルファイトパルプを30重量%以上、好ましくは50重量%以上用いる。
【0055】
(2)湿紙の乾燥途中に緊度プレスを用いる。具体的には、例えば特開平3−29945号公報に記載もしくは例示のような多段の緊度プレスを湿紙に行う。
【0056】
(3)基紙中あるいは基紙上に、各種の水溶性ポリマー、親水性コロイドあるいはポリマーラテックスを含有あるいは塗設せしめる。具体的には、基紙中あるいは基紙上に各種の水溶性ポリマーもしくは親水性コロイドあるいはポリマーラテックスをサイズプレスもしくはタブサイズプレスあるいはブレード塗工、エアーナイフ塗工などの塗工によって固形塗布量として2.2g/m2以上含有あるいは塗設せしめるのが好ましい。
【0057】
(4)基紙を抄造後マシンカレンダー、スーパーカレンダー、熱カレンダー等を用いて少なくとも2系列以上のカレンダー処理を基紙に行う。具体的には、例えば基紙に第1系列のカレンダー処理としてマシンカレンダー処理あるいは/及び熱マシンカレンダー処理を行い、その後第2系列以降のカレンダー処理として必要に応じて更にマシンカレンダー処理を行った後特開平4−110939号公報に記載もしくは例示の熱ソフトカレンダー処理を行うのが好ましい。
【0058】
本発明における画像材料用支持体の基紙の画像形成層を設ける側(表側)は、熱可塑性樹脂を含む樹脂層で被覆される。また、基紙の裏側は、熱可塑性樹脂樹脂を含む樹脂層で被覆されるのが好ましい。それらの熱可塑性樹脂脂としては、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂及びそれらの混合物などの樹脂が好ましく、中でも、溶融押し出しコーティング性の点から、前記したポリオレフィン樹脂あるいは/およびポリエステル樹脂が更に好ましく、ポリエチレン系樹脂が特に好ましい。また、特公昭60−17104号公報に記載もしくは例示の電子線硬化樹脂から成る樹脂層で被覆してもよい。
【0059】
本発明の実施に好ましく用いられる表樹脂層用および裏樹脂層用のポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、超低密度ポリエチレン樹脂、エチレンとプロピレン、ブチレン等のα―オレフィンとの共重合体、エチレンとアクリル酸、アクリル酸エチルエステル、無水マイレン酸等の共重合体またはグラフト共重合体である、所謂カルボキシ変性ポリエチレン樹脂等、またオートクレーブ型反応器、チューブラー型反応器等を用いた高圧ラジカル重合法によるポリエチレン系樹脂、メタロセン重合触媒を用いて重合製造したポリエチレン系樹脂、チーグラー法、フィリップス法等を用いた、メタロセン以外の金属触媒を用いて重合製造したポリエチレン系樹脂およびこれらの混合物をあげることが出来る。それらのポリエチレン系樹脂及び混合物としては、各種の密度、メルトフローレート(以下、JIS K 6760で規定されるメルトフローレートのことを単にMFRと略す)、分子量、分子量分布のものを使用できるが、通常、樹脂層を構成する樹脂成分(混合物である場合には混合物として)の密度が0.90〜0.97g/cm3の範囲、MFRが9g/10分〜50g/10分、好ましくは、MFRが9g/10分〜40g/10分、特に好ましくは、MFRが9g/10分〜20g/10分の範囲のものを単独にあるいは混合して有利に使用できる。
【0060】
本発明における表樹脂層用に好ましく用いられる高圧法により重合製造したポリエチレン系樹脂としては、オートクレーブ型反応器、チューブラー型反応器などを用いた高圧製造法による長鎖分枝を有する各種のポリエチレン系樹脂である。それらの高圧法により重合製造したポリエチレン系樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、エチレンを主成分とするプロピレン、ブチレンなどのα−オレフィンとの共重合体、カルボキシ変性ポリエチレン樹脂などおよびこれらの混合物であり、各種の密度、MFR、分子量、分子量分布のものを使用できるが、通常、密度が0.90〜0.95g/cm3の範囲、MFRが9〜50g/10分、好ましくはMFRが9〜40g/10分、特に好ましくはMFRが9〜20g/10分の範囲のものを単独にあるいは二種以上混合して使用できる。
【0061】
本発明における表樹脂層用に特に好ましく用いられるメタロセン重合触媒を用いて重合製造したポリエチレン系樹脂としては、特表平3−502710号公報、特開昭60−35006号公報、特表昭63−501369号公報、特開平3−234717号公報、特開平3−234718号公報などに記載もしくは開示されている如く、ジルコニウム系またはハフニウム系などのメタロセンと、好ましくはメチルアルミノキサンなどとを組み合わせて触媒活性を高めたものを重合触媒として用いて重合製造されたものである。それらのメタロセン重合触媒を用いて重合製造したポリエチレン系樹脂としては、超低密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレンを主成分とするプロピレン、ブチレンなどのα−オレフィンとの共重合体、カルボキシ変性ポリエチレン樹脂などおよびこれらの混合物であり、各種の密度、MFR、分子量、分子量分布のものを使用できるが、通常、密度が0.87〜0.97g/cm3の範囲、MFRが9〜50g/10分、好ましくはMFRが9〜40g/10分、特に好ましくはMFRが9〜20g/10分の範囲のものを単独にあるいは二種以上混合して使用できる。
【0062】
本発明における表樹脂層用に特に好ましく用いられるメタロセン重合触媒以外の金属重合触媒を用いて重合製造したポリエチレン系樹脂としては、例えばチーグラー法、フィリップス法などを用いて重合製造した各種のポリエチレン系樹脂を挙げることができる。それらの金属メタロセン重合触媒以外の金属重合触媒を用いて重合製造したポリエチレン系樹脂としては、超低密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、エチレンを主成分とするプロピレン、ブチレンなどのα−オレフィンとの共重合体、あるいはカルボキシ変性ポリエチレン樹脂などおよびこれらの混合物であり、各種の密度、MFR、分子量、分子量分布のものを使用できるが、通常、密度が0.87〜0.97g/cm3の範囲、MFRが9〜50g/10分、好ましくはMFRが9〜40g/10分、特に好ましくはMFRが9〜20g/10分の範囲のものを単独にあるいは二種以上混合して使用できる。
【0063】
本発明の実施に用いられる裏樹脂層用のポリエチレン系樹脂としては、予め溶融・混合して調製したコンパウンド樹脂が好ましい。低密度ポリエチレン樹脂あるいは中密度ポリエチレン樹脂と高密度ポリエチレン樹脂とを予め溶融・混合してコンパウンド樹脂を調製する方法としては、単純溶融混合法、多段溶融混合法等を用いることができる。例えば、押し出し機、二軸押し出し機、加熱ロール練り機、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等を用いて、所定量の低密度あるいは中密度ポリエチレン樹脂と高密度ポリエチレン樹脂、更に必要に応じて酸化防止剤、滑剤等の各種の添加剤を加えて溶融・混合した後、その混合物をペレット化する方法が有利に用いられる。
【0064】
本発明における画像材料用支持体に用いられる表樹脂層中および裏樹脂層中の熱可塑性樹脂としては、好ましくはポリオレフィン樹脂、特に好ましくはポリエチレン系樹脂であって、この場合には、表樹脂層用及び裏樹脂層用の樹脂組成物を溶融押し出し機を用いて、走行する基紙上にそのスリットダイからフィルム状に流延して被覆する、いわゆる溶融押し出しコーティング方式によって製造される。通常は、走行する基紙上に溶融押し出し機を用いて、そのスリットダイから溶融した樹脂組成物をフィルム状に押し出し、流延して被覆し、加圧ロールと冷却ロールとの間で圧着し、冷却ロールから剥離されるという一連の工程で生産される。溶融押し出しコーティングの際、スリットダイとしてはT型ダイ、L型ダイ、フィッシュテイル型ダイのフラットダイが好ましく、スリット開口径は、0.1mm及至2mmであることが望ましい。また、多層共押し出しダイのタイプとしては、フィードブロックタイプ、マルチマニホールドタイプ、マルチスロットタイプ等のいずれのタイプでもよい。また、最下層の樹脂温度は、290℃〜340℃であり、その際、最上層用の樹脂組成物の温度は170℃〜290℃であることが好ましい。
【0065】
本発明における画像材料用支持体の表樹脂層は、2層構成あるいはそれ以上の多層構成にする際に、少なくとも最上層と最下層の熱可塑性樹脂のMFRが9g/10分〜50g/10分、好ましくは、MFRが9g/10分〜40g/10分、特に好ましくは、MFRが9g/10分〜20g/10分の範囲のものを使用し、逐次に溶融押し出しコーティングされる、逐次押し出しコーティング方式(以下、タンデム方式と略すことがある)により被覆したものであって、この場合に、本発明の効果が極めて顕著に発揮されることを見い出した。すなわち、画像材料用支持体の表樹脂層を2層構成あるいはそれ以上の多層構成にする本発明の画像材料用支持体の製造方法によれば、基紙の走行速度が260m/分以上、さらには330m/分以上、特に400m/分以上の高速溶融押し出しコーティングであっても、塗工時のダイリップ汚れや冷却ロールからの樹脂被覆紙の剥離性の悪化に伴う樹脂被覆紙面上に発生する剥離むら、および、ひいては画像材料およびプリントの光沢むらのない、見た目の光沢感に優れた画像材料およびプリントの商品価値が著しく高い画像材料用支持体を製造することができることを見い出した。
【0066】
本発明の画像材料用支持体の表樹脂層における2層構成あるいはそれ以上の多層構成にする際の、各層を構成する熱可塑性樹脂のMFRは、加工前のMFRであって、混合物である場合には混合物のMFRを指すものとする。また、裏樹脂層におけるMFRも同様である。
【0067】
本発明における画像材料用支持体は、表樹脂層が2層あるいはそれ以上の多層構成のものであるが、2層構成のものが本発明の目的を効率的に達成する上で好ましい。また、表樹脂層が2層あるいはそれ以上の多層構成である画像材料用支持体は、全て逐次溶融押し出しコーティング方式によって製造してもよいし、最上層と最下層を除いては、共押し出しコーティング方式を用いてもよい。本発明においては、少なくとも最上層と最下層は、逐次押し出しコーティング方式を用いて画像材料用支持体を製造することを特徴とする。
【0068】
表樹脂層が多層構成である、本発明における画像材料用支持体の樹脂層としては、最上層の樹脂層(以下、単に最上層と略することがある)とそれより下側の樹脂層(以下、単に下側樹脂層と略することがある)とは、同じ物性、組成であってもよいし、異なっていてもよい。最上層および最下層(最下層の樹脂層)を除いて、下側樹脂層に好ましく用いられるポリエチレン系樹脂としては、前記したような各種の密度、MFR、分子量、分子量分布等のものを単独に、または混合して使用出来るし、それらの物性が同じものであってもよいし、異なっていてもよい。本発明における好ましい画像材料用支持体の樹脂層としては、最上層および最下層のMFRは、9g/10分〜50g/10分、好ましくは、MFRが9g/10分〜40g/10分、特に好ましくは、MFRが9g/10分〜20g/10分の範囲のものを単独に、あるいは二種以上混合して使用することを特徴とする。
【0069】
例えば、最上層中のポリエチレン系樹脂として、そのMFR(二種以上含有している場合には、混合物としてのMFR、以下同意義である)が30g/10分であって、下側樹脂層(但し、最下層を除く)中のポリエチレン系樹脂のMFR(二種以上含有している場合には、混合物としてのMFR、以下同意義である)より高いもの、低いもの(但し、MFRが9g/10分以上)あるいは同じものを使用することが出来る。例えば、最上層中のポリエチレン系樹脂のとして、MFRが10g/10分〜50g/10分のもの、下側樹脂層(但し、最下層を除く)中のポリエチレン系樹脂として、MFRが2g/10分〜10g/10分のものを使用出来るし、また、最上層中のポリエチレン系樹脂として、MFRが10g/10分〜20g/10分のもの、下側樹脂層中のポリエチレン系樹脂として、MFRが10g/10分〜50g/10分のものも使用出来るし、また、MFRが同じであるものも使用出来る。最下層のMFRは、9g/10分〜50g/10分、好ましくは、MFRが9g/10分〜40g/10分、特に好ましくは、MFRが9g/10分〜20g/10分の範囲である。
【0070】
本発明の画像材料用支持体の製造方法は、基紙の表面が最下層と最上層の少なくとも2層から成り、且つ、該樹脂層は、少なくとも最下層から成る樹脂層と少なくとも最上層から成る樹脂層が、タンデム方式により被覆されたものであり、好ましくは最上層から成る樹脂層は、170℃〜290℃で溶融押し出しコーティングされたものであって、該樹脂層中には、二酸化チタン顔料が15重量%以上含有し、最下層から成る樹脂層は、290℃〜340℃で溶融押し出しコーティングされたものであることを特徴とするものである。さらに好ましくは、最上層および最下層から成る樹脂層を、それぞれ構成する熱可塑性樹脂のメルトフローレートが、いずれも9g/10分以上であることを特徴とするものである。
【0071】
本発明の画像材料用支持体の製造方法において、少なくとも最下層から成る樹脂層と少なくとも最上層から成る樹脂層が、タンデム方式により被覆される際に、少なくとも最下層から成る樹脂層が形成された直後に、急冷却装置により該樹脂層が冷却された後、少なくとも最上層から成る樹脂層が溶融押し出しコーティングされることが特に好ましい態様である。
【0072】
本発明において用いられる急冷却装置は、溶融押し出しコーティングの際、オンラインで最下層から成る樹脂層が形成された直後に、急冷却させるような装置であれば何れのものでもよい。例えば2本以上の冷却ロールを設けてもよいし、また、走行する紙匹上に急冷チェンバー(一例として液体窒素を充満させた)を設けて急冷したり、あるいは、液体窒素などの急冷物質を、最下層から成る樹脂層が形成された直後に、噴霧するような急冷却装置により急冷すればよい。さらに、これらの冷却装置を多数乃至は数種組み合わせて使用してもよい。
【0073】
この際、冷却する時間は、先行する樹脂層が、急冷却装置により、冷却された後、10秒以内に後続する樹脂層が、溶融押し出しコーティングされることが好ましい。冷却装置を多数乃至は数種組み合わせて使用した場合には、最終の冷却装置により、冷却された後、10秒以内に後続する樹脂層が、溶融押し出しコーティングされるのがよい。
【0074】
少なくとも最下層から成る樹脂層と少なくとも最上層から成る樹脂層が、逐次に溶融押し出しコーティングされる、逐次押し出しコーティング方式により被覆される際に、先行する樹脂層が、コロナ放電処理装置により、コロナ放電処理された後、後続する樹脂層が、溶融押し出しコーティングされることが好ましい。このとき、コロナ放電処理装置を多数乃至は数種組み合わせて使用してもよい。
【0075】
先行する樹脂層が、コロナ放電処理装置により、コロナ放電処理された後、10秒以内に後続する樹脂層が、溶融押し出しコーティングされるにがよい。
【0076】
この際、コロナ放電処理する時間は、先行する樹脂層が、コロナ放電処理装置により、コロナ放電処理された後、10秒以内に後続する樹脂層が、溶融押し出しコーティングされることが好ましい。コロナ放電処理装置を多数乃至は数種組み合わせて使用した場合には、最終のコロナ放電処理装置により、コロナ放電処理された後、10秒以内に後続する樹脂層が、溶融押し出しコーティングされるのがよい。
【0077】
さらに、上記の急冷却装置およびコロナ放電処理装置を併用すると、尚一層効果的である。
【0078】
従来の画像材料用支持体、特に写真印画紙用支持体の製造方法においては、高速樹脂塗工と称しても、基紙の走行速度は、せいぜい200m/分〜250m/分程度しか出し得なかった。その原因の一つとして、樹脂の溶融押し出し適性にある。画像材料用支持体の表樹脂層が2層あるいはそれ以上の多層構成である場合、共押し出しコーティングにより、製造されることが汎用されているが、この際、二酸化チタン顔料を含む上層は、下層よりも低温で樹脂塗工することが通常である。このような温度差を設けて溶融押し出しコーティングすることによって、二酸化チタン顔料を含む上層用の樹脂組成物に起因する溶融押し出しフィルムのダイリップ汚れの発生や冷却ロール汚れに起因する剥離むらを出来るだけ軽減することが行われていた。しかし、共押し出しコーティングの場合には、上層および下層の樹脂乃至樹脂組成物は、2層が直接接した状態で基紙に溶融押し出しコーティングされるため、その温度差は当初、意図した程の差異はなく、上層が比較的高温で溶融押し出しコーティングされることになる。このような状態になることから、ダイリップ汚れの発生や剥離むらが、意外に抑制されないのが実状である。タンデム方式は、これを改良する点で有効である。
【0079】
タンデム方式で溶融押し出しコーティングする際の高速樹脂塗工においては、樹脂特性そのものの面で問題がある。通常、上層に用いられる樹脂組成物のMFRは、下層に用いられる樹脂乃至樹脂組成物のMFRに比べて、比較的高いMFRのものが使用される。樹脂中に含有する各種の組成物に起因する流動性の悪化を比較的高いMFRを持つ樹脂を用いることによって、改良する目的も一つにはあるが、高速樹脂塗工においては、高いMFRを持つ樹脂を用いることが必要要因である。低いMFRを持つ樹脂を高速樹脂塗工に用いた場合には、流動性の点で、さほど高速樹脂塗工出来ず、甚だしい場合には樹脂の耳切れ状態となり、高速樹脂塗工不能となる。
【0080】
本発明の画像材料用支持体の製造方法においては、最上層および最下層から成る樹脂層を、それぞれ構成する熱可塑性樹脂樹脂のMFRが、いずれも9g/10分以上である比較的高いMFRを用いることを特徴とするものであり、2層の流動性が、略々一致することから、高速樹脂塗工が好適に行われるものと考えられる。この際、最上層および最下層から成る樹脂層を構成する熱可塑性樹脂樹脂のMFRが、いずれも9g/10分以上であればよいが、最下層の樹脂層のMFRよりも最上層の樹脂層のMFRが若干高い方が好ましい。最上層の樹脂層のMFRは9〜20、最下層の樹脂層のMFRは9〜15が好適である。
【0081】
このようにして製造された本発明の画像材料用支持体は、紙基質の走行速度が260m/分以上、さらには330m/分以上、特に400m/分以上の高速溶融押し出しコーティングであっても、ダイリップ汚れや冷却ロールからの樹脂被覆紙の剥離性の悪化に伴う樹脂被覆紙面上に発生する剥離むら、および、ひいては画像材料およびプリントの光沢むらがなく、見た目の光沢感が極めて優れ、さらには画像材料およびプリントの品質を十分満足させる、商品価値が著しく高い画像材料用支持体の提供を可能ならしめたものである。
【0082】
本発明の画像材料用支持体およびその製造方法においては、最上層中のポリエチレン系樹脂として、その密度(二種以上含有している場合には、混合物としての密度、以下同意義である)が下側樹脂層中のポリエチレン系樹脂の密度(二種以上含有している場合には、混合物としての密度、以下同意義である)より高いもの、低いものあるいは同じものを使用することが出来る。例えば、最上層中のポリエチレン系樹脂として、密度が0.925g/cm3〜0.970g/cm3のもの、下側樹脂層中のポリエチレン系樹脂として、密度が0.870g/cm3〜0.925g/cm3のものを使用出来るし、一方最上層中のポリエチレン系樹脂として、密度が0.870g/cm3〜0.925g/cm3のもの、下側樹脂層中のポリエチレン系樹脂として、密度が0.925g/cm3〜0.970g/cm3のものを使用出来るし、また密度が同じであるものを使用出来る。
【0083】
また、最上層中のポリエチレン系樹脂として、その融点が下側樹脂層中のポリエチレン系樹脂の融点より高いもの、低いものあるいは同じものを少なくとも1種使用出来る。例えば、最上層中のポリエチレン系樹脂として、融点が115℃以上のもの、下側樹脂層中のポリエチレン系樹脂として、融点が115℃未満のものを使用出来るし、一方最上層中のポリエチレン系樹脂として、融点が115℃未満のもの、下側樹脂層中のポリエチレン系樹脂として、融点が115℃以上のものと使用出来るし、また、融点が同じであるものを使用出来る。
【0084】
本発明における画像材料用支持体の特に好ましい多層構成の樹脂層としては、本発明の効果、即ち該支持体を有する画像材料及びそのプリントの見た目の光沢感の改良効果及び剥離性の改良効果を極めて顕著に発揮出来るという観点から、最上層中のポリエチレン系樹脂としては、その密度が、下側樹脂層中のポリエチレン系樹脂の密度より高いものを少なくとも1種使用するか、または融点が、下側樹脂層中のポリエチレン系樹脂の融点より高いものを少なくとも1種使用するか、あるいは密度、融点共が下側樹脂層中のポリエチレン樹脂のそれらより高いものを少なくとも1種使用している多層構成の樹脂層が好ましい。
【0085】
本発明における画像材料用支持体の表樹脂層中及び必要に応じて裏樹脂層中には、各種の添加剤を含有せしめることが出来る。支持体の白色度及び画像の鮮鋭度を改良する目的で、特公昭60−3430号公報、特公昭63−11655号公報、特公平1−38291号公報、特公平1−38292号公報、特開平1−105245号公報等に記載もしくは例示の二酸化チタン顔料を含有せしめるのが好ましい。また、二酸化チタンの他に酸化亜鉛、タルク、炭酸カルシウム等の白色顔料、離型剤として、ステアリン酸アミド、アラキジン酸アミド等の脂肪酸アミド、顔料の分散剤及び離型剤として、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、特開平1−105245号公報に記載もしくは例示のヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、リン系、硫黄系等の各種酸化防止剤、コバルトブルー、群青、セリアンブルー、フタロシアニンブルー等のブルー系の顔料や染料、コバルトバイオレット、ファストバイオレット、マンガンバイオレット等のマゼンタ系の顔料や染料、特開平2−254440号公報に記載もしくは例示の蛍光増白剤、紫外線吸収剤等の各種の添加剤を適宜組み合わせて含有せしめることが出来る。それらの添加剤は、樹脂のマスターバッチあるいはコンパウンドとして含有せしめるのが好ましい。また、プリントの鮮鋭度または白色度あるいは画像材料用支持体の耐熱性、耐光性または離型性の効果的な向上等の点から、酸化チタン等の白色顔料及び蛍光増白剤、着色顔料や着色染料あるいは酸化防止剤、紫外線吸収剤または離型剤等その他の添加剤を下側樹脂層中より最上層中に高濃度に含有せしめるのが好ましい。特に、二酸化チタン顔料の最上層中の含有割合(最上層中の重量に対する割合として)を、9重量%以上、更に12重量%以上、なお更に15重量%以上、特に17重量%以上にすることが好ましい。
【0086】
本発明の実施に当り、表・裏の樹脂組成物を基紙にコーティングする前に、基紙にコロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施すのが好ましい。また、特公昭61−42254号公報に記載の如く、基紙に接する側の溶融樹脂組成物にオゾン含有ガスを吹きつけた後に走行する基紙に樹脂層を被覆しても良い。また、表、裏の樹脂層は逐次、好ましくは連続的に、押し出しコーティングされる、所謂タンデム押し出しコーティング方式で基紙に被覆されるのが好ましく、必要に応じて裏の樹脂層も二層以上の多層構成で被覆しても良い。また、画像材料用支持体の表樹脂層面は光沢面、特公昭62−19732号公報に記載の微粗面、マット面あるいは絹目面等に加工することが出来、裏樹脂層は通常無光沢面に加工するのが好ましい。
【0087】
本発明における画像材料用支持体の表樹脂層の被覆厚さとしては、8〜100μmの範囲が有用であるが、12〜60μmの範囲が好ましく、18〜40μmの範囲が特に好ましい。また、本発明における特に好ましい画像材料用支持体である、樹脂層が少なくとも最下層から成る樹脂層と少なくとも最上層から成る樹脂層を逐次に溶融押し出しコーティングして被覆された多層構成の場合、少なくとも最下層から成る樹脂層の厚さとしては、画像材料及びそのプリントの見た目の光沢感の改良効果の観点から、表側の全樹脂層厚さの25%以上の厚さが好ましく、39%以上の厚さが一層好ましく、50%以上の厚さが特に好ましいが、特に制限されるものではない。また、裏側の基紙面は、フィルム形成能ある樹脂を主成分とする裏樹脂層で好ましくは被覆されるが、その樹脂はポリエチレン系樹脂が好ましく、その被覆厚さとしては表側の樹脂層と、特にカールバランスを取る範囲で適宜設定するのが好ましく、一般に8〜100μmの範囲が有用であるが、好ましくは12〜60μmの範囲である。
【0088】
本発明における画像材料用支持体の表樹脂層面上には、コロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施した後、特開昭61−84643号公報、特開平1−92740号公報、特開平1−102551号公報、特開平1−166035号公報等に記載もしくは例示のような下引層を塗設することができる。また、本発明における画像材料用支持体の裏樹脂層面上には、コロナ放電処理、火炎処理などの活性化処理を施した後、帯電防止等のために各種のバックコート層を塗設することができる。また、バックコート層には、特公昭52−18020号公報、特公昭57−9059号公報、特公昭57−53940号公報、特公昭58−56859号公報、特開昭59−214849号公報、特開昭58−184144号公報等に記載もしくは例示の無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、親水性バインダー、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤等を適宜組み合わせて含有せしめることができる。
【0089】
本発明における画像材料用支持体は、各種の写真構成層が塗設されてカラー写真印画紙用、白黒写真印画紙用、写植印画紙用、複写印画紙用、反転写真材料用、銀塩拡散転写法ネガ用及びポジ用、印刷材料用等各種の用途に用いることができる。例えば、塩化銀、臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀乳剤層を設けることができる。ハロゲン化銀写真乳剤層にカラーカプラーを含有せしめて、多層ハロゲン化銀カラー写真構成層を設けることができる。また、銀塩拡散転写法用写真構成層を設けることができる。それらの写真構成層の結合剤としては、通常のゼラチンの他に、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、多糖類の硫酸エステル化合物などの親水性高分子物質を用いることができる。また、上記の写真構成層には各種の添加剤を含有せしめることができる。例えば、増感色素として、シアニン色素、メロシアニン色素など、化学増感剤として、水溶性金化合物、イオウ化合物など、カブリ防止剤もしくは安定剤として、ヒドロキシ−トリアゾロピリミジン化合物、メルカプト−複素環化合物など、硬膜剤としてホルマリン、ビニルスルフォン化合物、アジリジン化合物など、塗布助剤として、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、スルホコハク酸エステル塩など、汚染防止剤として、ジアルキルハイドロキノン化合物など、そのほか蛍光増白剤、鮮鋭度向上色素、帯電防止剤、pH調製剤、カブらせ剤、更にハロゲン化銀の生成・分散時に水溶性イリジウム、水溶性ロジウム化合物などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
【0090】
本発明に係る写真材料は、その写真材料に合わせて「写真感光材料と取扱法」(共立出版、宮本五郎著、写真技術講座2)に記載されている様な露光、現像、停止、定着、漂白、安定などの処理を行うことが出来る。また、多層ハロゲン化銀カラー写真材料は、ベンジルアルコール、タリウム塩、フェニドンなどの現像促進剤を含む現像液で処理してもよいし、ベンジルアルコールを実質的に含まない現像液で処理することもできる。
【0091】
本発明における画像材料用支持体は、各種の熱移行型熱転写記録受像層が塗設されて各種の熱移行型熱転写記録受像材料用支持体として用いることができる。それらの熱移行型熱転写記録受像層に用いられる合成樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、スチレンアクリレート樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等のエステル結合を有する樹脂、ポリウレタン樹脂等のウレタン結合を有する樹脂、ポリアミド樹脂等のアミド結合を有する樹脂、尿素樹脂等の尿素結合を有する樹脂、その他ポリカプロラクタム樹脂、スチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂等を挙げられる。これら樹脂に加えて、これらの混合物もしくは共重合体等も使用できる。
【0092】
本発明に係わる熱移行型熱転写記録受像層中には、上記合成樹脂の他に離型剤、顔料等を加えても良い。上記離型剤としては、ポリエチレンワックス、アミドワックス、テフロンパウダー等の固形ワックス類、弗素系、リン酸エステル系界面活性剤、シリコーンオイル類等が挙げられる。これら離型剤の中でシリコーンオイルが最も好ましい。上記シリコーンオイルとしては、油状の物も使用できるが、硬化型のものが好ましい。硬化型のシリコーンオイルとしては、反応硬化型、光硬化型、触媒硬化型等が挙げられるが、反応硬化型のシリコーンオイルが特に好ましい。反応硬化型シリコーンオイルとしては、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル等が挙げられる。上記反応性シリコーンオイルの添加量は、受像層中に0.1〜20重量%が好ましい。上記顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の体質顔料が好ましい。また、受像層の厚さとしては、0.5〜20μmが好ましく、2〜10μmが更に好ましい。
【0093】
本発明における画像材料用支持体は、各種のインク受像層が塗設されて各種のインクジェット記録材料用支持体として用いることができる。それらのインク受像層中にはインクの乾燥性、画像の鮮鋭性などを向上させる目的で各種のバインダーを含有せしめることができる。それらのバインダーの具体例としては、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、酵素処理ゼラチン、ゼラチン誘導体、例えばフタル酸、マレイン酸、フマル酸などの二塩基酸の無水物と反応したゼラチンなどの各種のゼラチン、各種ケン化度の通常のポリビニルアルコール、カルボキシ変性、カチオン変性および両性のポリビニルアルコールおよびそれらの誘導体、酸化澱粉、カチオン化澱粉、エーテル化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジウムハライド、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸メタクリル酸共重合体塩、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルエーテル、アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体およびそれらの塩、ポリエチレンイミンなどの合成ポリマー、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体などの共役ジエン系共重合体ラテックス、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの酢酸ビニル系重合体ラテックス、アクリル酸エステル重合体、メタクリル酸エステル重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系重合体または共重合体のラテックス、塩化ビニリデン系共重合体ラテックスなどあるいはこれらの各種重合体のカルボキシル基などの官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス、メラミン樹脂、尿素樹脂などの熱硬化合成樹脂系などの水性接着剤およびポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂などの合成樹脂系接着剤、特公平3−24906号公報、特開平3−281383号公報、特6−92011号公報に記載もしくは例示のアルミナゾル、シリカゾルなどの無機系バインダーなどを挙げることができ、これらを単独あるいは併用して含有せしめることができる。
【0094】
本発明に係わるインクジェット記録材料のインク受像層中には、バインダーの他に各種の添加剤を含有せしめることができる。例えば、界面活性剤として、長鎖アルキルベンゼンスルフォン酸塩、長鎖、好ましくは分枝アルキルスルフォコハク酸エステル塩などのアニオン系界面活性剤、長鎖、好ましくは分岐アルキル基含有フェノールのポリアルキレンオキサイドエーテル、長鎖アルキルアルコールのポリアルキレンオキサイドエーテル等のノニオン系界面活性剤、特公昭47−9303号公報、米国特許3,589,906号明細書等に記載のフルオロ化した界面活性剤など、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤、ポリマーの硬膜剤として、活性ハロゲン化合物、ビニルスルフォン化合物、アジリジン化合物、エポキシ化合物、アクリロイル化合物、イソシアネート化合物等の硬膜剤、防腐剤として、特開平1−102551号公報に記載もしくは例示のP−ヒドロキシ安息香酸エステル化合物、ベンズイソチアゾロン化合物、イソチアゾロン化合物等、特開昭63−204251号公報、特開平1−266537号公報等に記載もしくは例示の着色顔料、着色染料、蛍光増白剤など、黄変防止剤としてヒドロキシメタンスルフォン酸ソーダ、P−トルエンスルフィン酸ソーダ等、紫外線吸収剤として、ヒドロキシ−ジ−アルキルフェニル基を2位に有するベンゾトリアゾール化合物など、酸化防止剤として、特開平1−105245号公報に記載もしくは例示のポリヒンダードフェノール化合物など、鉛筆加筆剤として、澱粉粒、硫酸バリウム、二酸化珪素等の有機または無機の粒子径0.2〜5μmの微粒子、特公平4−1337号公報等に記載もしくは例示のオルガノポリシロキサン化合物、pH調節剤として、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、硫酸、塩酸、リン酸、クエン酸など、オクチルアルコール、シリコン系消泡剤などの各種の添加剤を適宜組み合わせて含有せしめることができる。
【0095】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
【0096】
<紙の製造>
広葉樹漂白クラフトパルプ85重量%及び広葉樹漂白サルファイトパルプ15重量%から成る混合パルプを叩解後のパルプの繊維長(JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法No.52−89「紙及びパルプ繊維長試験方法」に準拠して測定した長さ加重平均繊維長で表示して)が0.60mmになるように叩解後、パルプ100重量部に対して、カチオン化澱粉3重量部、アニオン化ポリアクリルアミド0.2重量部、アルキルケテンダイマー乳化物(ケテンダイマー分として)0.4重量部、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン樹脂0.4重量部および適当量の蛍光増白剤、青色染料、赤色染料を添加して紙料スラリーを調製した。その後、紙料スラリーを200m/分で走行している長網抄紙機にのせ、適切なタービュレンスを与えつつ紙匹を形成し、ウェットパートで15〜100kgf/cmの範囲で線圧が調節された3段のウェットプレスを行った後、スムージングロールで処理し、引き続く乾燥パートで30〜70kgf/cmの範囲で線圧が調節された2段の緊度プレスを行った後、乾燥した。その後、乾燥の途中でカルボキシ変性ポリビニルアルコール2重量部、蛍光増白剤0.05重量部、青色染料0.002重量部、塩化ナトリウム4重量部及び水94重量部から成るサイズプレス液を25g/m2サイズプレスし、最終的に得られる紙の水分が絶乾水分率で8重量%になるように乾燥し、線圧70kgf/cmでマシンカレンダー処理して、坪量160g/m2の中心面平均粗さ(SRa)が1.30μmである画像材料用支持体の紙を製造した。
【0097】
<裏面樹脂層の形成>
次に、画像形成層を塗設する側とは反対側の紙面(裏面)をコロナ放電処理した後、該裏面に低密度ポリエチレン樹脂(密度=0.924g/cm3、MFR=1g/10分)30重量部と高密度ポリエチレン樹脂(密度=0.967g/cm3、MFR=15g/10分)70重量部から成るコンパウンド樹脂組成物を樹脂温度320℃で25μmの樹脂厚さに紙の走行速度を表樹脂層の加工速度に合わせて溶融押出コーティングした。この際、冷却ロールは、液体ホーニング法で粗面化されたもので、下記バック層を塗設後の該バック層面の中心面平均粗さ(SRa)が1.15μmになる粗面度のものを用いた。
【0098】
バック層は、裏面樹脂層にコロナ放電処理後、以下のバック層用塗液をオンマシン塗布した。乾燥重量分として、コロイダルシリカ:スチレン系ラテックス=1:1から成り、さらにポリスチレンスルフォン酸ソーダ0.021g/m2の他、適量の塗布助剤などを含むバック層用塗液をラテックス分(固形重量計算で)として0.21g/m2になる塗布量で塗設した。
【0099】
<タンデム方式による表面用多層樹脂層の形成(1)>
樹脂組成物(R1):高密度ポリエチレン樹脂(密度0.967g/cm3、MFR=9g/10分)70重量部と低密度ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm3、MFR=9g/10分)30重量部とを溶融押し出し機を用いて予め溶融・混合して調製したコンパウンド樹脂組成物であり、そのペレットとして使用した。
【0100】
樹脂組成物(R2):チューブラ法低密度ポリエチレン樹脂(密度0.918g/cm3、MFR=9g/10分、融点108℃)47.5重量%、含水酸化アルミニウム(対二酸化チタンに対してAl2O3分として0.50重量%)で表面処理したアナターゼ型二酸化チタン顔料50重量%とステアリン酸亜鉛2.5重量%および酸化防止剤、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン150ppmから成る二酸化チタン顔料マスターバッチを作製した。
【0101】
実施例1〜3
樹脂組成物(R1)を溶融押し出し塗工機のホッパー中に投入し、上記の裏面樹脂層が形成された支持体の表面に、コロナ放電処理した後、樹脂温度320℃、樹脂厚さ13μmで、鏡面の冷却ロール(冷却水温度11℃)とプレスロールの線圧40kgf/cmで、表1記載の条件で、溶融押し出しコーティングし、下層樹脂層を形成した。引き続き、樹脂組成物(R1)66重量部と樹脂組成物(R2)34重量部をブレンダー中で十分混練した後、溶融押し出し塗工機のホッパー中に投入し、樹脂温度290℃、樹脂厚さ17μm、鏡面の冷却ロール(条件は下層時と同じ)で、表1記載の条件で溶融押し出しコーティングし、上層樹脂層を形成し、実施例1〜3の本発明の画像材料用支持体を製造した。
【0102】
<共押し出し方式表面用多層樹脂層の形成(1)>
樹脂組成物(R3):高密度ポリエチレン樹脂(密度0.967g/cm3、MFR=5g/10分)70重量部と低密度ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm3、MFR=5g/10分)30重量部とを溶融押し出し機を用いて予め溶融・混合して調製したコンパウンド樹脂組成物であり、そのペレットとして使用した。
【0103】
樹脂組成物(R4):チューブラ法低密度ポリエチレン樹脂(密度0.918g/cm3、MFR=5g/10分、融点108℃)47.5重量%、含水酸化アルミニウム(対二酸化チタンに対してAl2O3分として0.50重量%)で表面処理したアナターゼ型二酸化チタン顔料50重量%とステアリン酸亜鉛2.5重量%および酸化防止剤、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン150ppmから成る二酸化チタン顔料マスターバッチを作製した。
【0104】
比較例1〜3
共押し出し機を用いること、並びに上記の樹脂組成物(R3)および樹脂組成物(R4)を用いること以外は、実施例1〜3と同様にして、表1記載の条件で溶融押し出しコーティングし、比較例1〜3の本発明外の画像材料用支持体を製造した。ただし、この際、共押し出し機の下層に接するダイブロックの温度は320℃、上層に接するダイブロックの温度は290℃で行った。
【0105】
比較例4
上記の樹脂組成物(R1)および樹脂組成物(R2)を用いること以外は、比較例3と同様にして、表1記載の条件で溶融押し出しコーティングし、比較例4の本発明外の画像材料用支持体を製造した。
【0106】
このようにして得られた各実施例および各比較例試料につき、下記の試験方法によって、各特性値を得た。
【0107】
ダイリップ汚れは、以下に記載の方法で評価した。
【0108】
上記の実施例1〜3の本発明の画像材料用支持体および比較例1〜4の本発明外の画像材料用支持体の7種類について、1時間製造後ダイリップに発生したダイリップ汚れの発生本数を測定した。2本以下であれば、実操業上支障ないが、5本以上になると、実操業上支障をきたす。3〜4本発生すると、短期間操業は可能であるが、長期間操業は不可能である。
【0109】
剥離むらは、以下に記載の方法で評価した。
【0110】
上記の実施例1〜3の本発明の画像材料用支持体および比較例1〜4の本発明外の画像材料用支持体の7種類について、1時間製造後の各画像材料用支持体の表側の鏡面の表面状態を斜光で観察し、剥離むらの発生の程度を10人のモニターにより視覚的に判定して、10段階のグレード評価を行った。評価基準(グレード数値の大きい程、剥離むらの発生が少ないこと、グレード数値の小さい程、剥離むらの発生が多いことを表す)としては、以下の通りである。
【0111】
グレード10〜9:剥離むらの発生が極めてまたはかなり少なく、極めて良好である。
グレード 8〜7:剥離むらの発生が少なく良好である。
グレード 6〜5:剥離むらの発生がややあるが、実用可能である。
グレード 4〜1:剥離むらの発生が多く、実用上問題がある。
【0112】
次に、画像材料用支持体を有する写真プリントの見た目の光沢感の評価方法としては、以下に記載の方法で評価した。
【0113】
画像材料用支持体上に隣接して順に、黄色発色カプラーを含む青感乳剤層、色混り防止剤を含む中間層、マゼンタ発色カプラーを含む緑感乳剤層、紫外線吸収剤を含む紫外線吸収層、シアン発色カプラーを含む赤感乳剤層及び保護層を多層塗布用Eバーにより塗設してゼラチンの総量が7g/m2であるカラー印画紙を作成した。各色感乳剤層は硝酸銀で0.6g/m2に相当する塩臭化銀を含み、さらにハロゲン化銀の生成、分散及び成膜に必要なゼラチンの他、適量のカブリ防止剤、増感色素、塗布助剤、硬膜剤、増粘剤及び適量のフィルター染料などを含む。
【0114】
次に、作成したカラー印画紙を35℃、常湿下に5日間保存後、集合写真を焼き付け、現像、漂白・定着、安定の現像処理をした後乾燥し、写真プリントを作成した。または、別途白べた(未露光)及び黒べた(黒色発色)の焼き見本も作成した。なお、露光、現像、乾燥の一連の処理は、自動プリンター及び自動現像機により行った。なお、発色現像処理は、発色現像(45秒)→漂白・定着(45秒)→安定(1分30秒)→乾燥の手順で行われた。
【0115】
得られた集合写真、白べた及び黒べたの写真プリントについて、10人のモニターにより視覚的に写真プリントの見た目の光沢感を総合的に判定して、10段階のグレード評価を行った。評価基準(グレード数値の大きい程、見た目の光沢感が高いこと、グレード数値の小さい程、見た目の光沢感が低いことを表す)としては、以下のとおりである。
【0116】
グレード10〜9:見た目の光沢感が極めてまたはかなり高い。
グレード 8〜6:見た目の光沢感が高い。
グレード 5〜4:見た目の光沢感がやや低いが、実用可能である。
グレード 3〜1:見た目の光沢感が低く、実用上問題がある。
【0117】
このようにして得られた試験結果を表1に示す。
【0118】
【表1】
Figure 0003989117
【0119】
実施例4
上記の冷却ロールにおいて、オンラインで冷却ロールを2本連続して並置すること以外は、実施例2と同様にして、実施例4の本発明の画像材料用支持体を製造した。
【0120】
実施例5
上記実施例4において、冷却ロールの代わりに、コロナ放電処理をすること以外は、実施例2と同様にして、実施例5の本発明の画像材料用支持体を製造した。
【0121】
実施例6
上記と同様にして、オンラインで冷却ロールを2本連続して並置すること、および、コロナ放電処理をすること以外は、実施例2と同様にして、実施例6の本発明の画像材料用支持体を製造した。
【0122】
このようにして得られた実施例4〜6の試料について、試験した結果を表2に示す。
【0123】
【表2】
Figure 0003989117
【0124】
実施例7
上記実施例5において、コロナ放電処理の代わりに、液体窒素噴霧をすること以外は、実施例5と同様にして、実施例7の本発明の画像材料用支持体を製造した。試料を試験した結果、実施例5と同様の良好な結果が得られた。
【0125】
<タンデム方式による表面用多層樹脂層の形成(2)>
樹脂組成物(R5):高密度ポリエチレン樹脂(密度0.967g/cm3、MFR=20g/10分)70重量部と低密度ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm3、MFR=20g/10分)30重量部とを溶融押し出し機を用いて予め溶融・混合して調製したコンパウンド樹脂組成物であり、そのペレットとして使用した。
【0126】
樹脂組成物(R6):チューブラ法低密度ポリエチレン樹脂(密度0.918g/cm3、MFR=20g/10分、融点108℃)47.5重量%、含水酸化アルミニウム(対二酸化チタンに対してAl2O3分として0.50重量%)で表面処理したアナターゼ型二酸化チタン顔料50重量%とステアリン酸亜鉛2.5重量%および酸化防止剤、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン150ppmから成る二酸化チタン顔料マスターバッチを作製した。
【0127】
実施例8
樹脂組成物(R5)を溶融押し出し塗工機のホッパー中に投入し、上記の裏面樹脂層が形成された支持体の表面に、コロナ放電処理した後、樹脂温度290℃、樹脂厚さ13μmで、鏡面の冷却ロール(冷却水温度11℃)とプレスロールの線圧40kgf/cmで、表1記載の条件で、溶融押し出しコーティングし、下層樹脂層を形成した。引き続き、樹脂組成物(R5)62重量部と樹脂組成物(R6)38重量部をブレンダー中で十分混練した後、溶融押し出し塗工機のホッパー中に投入し、樹脂温度250℃、樹脂厚さ17μm、鏡面の冷却ロール(条件は下層時と同じ)で、表3記載の条件で溶融押し出しコーティングし、上層樹脂層を形成し、実施例8の本発明の画像材料用支持体を製造した。ただし、この際、下層樹脂層を形成後、2秒後に下層樹脂層面に対して液体窒素ガスを噴霧装置より噴霧し、更に2秒後に上層樹脂層を形成した。
【0128】
<共押し出し方式表面用多層樹脂層の形成(2)>
樹脂組成物(R7):高密度ポリエチレン樹脂(密度0.967g/cm3、MFR=4g/10分)70重量部と低密度ポリエチレン樹脂(密度0.924g/cm3、MFR=4g/10分)30重量部とを溶融押し出し機を用いて予め溶融・混合して調製したコンパウンド樹脂組成物であり、そのペレットとして使用した。
【0129】
樹脂組成物(R8):チューブラ法低密度ポリエチレン樹脂(密度0.918g/cm3、MFR=7g/10分、融点108℃)47.5重量%、含水酸化アルミニウム(対二酸化チタンに対してAl2O3分として0.50重量%)で表面処理したアナターゼ型二酸化チタン顔料50重量%とステアリン酸亜鉛2.5重量%および酸化防止剤、テトラキス〔メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン150ppmから成る二酸化チタン顔料マスターバッチを作製した。
【0130】
比較例5
共押し出し塗工機を用いること、並びに上記の樹脂組成物(R7)および樹脂組成物(R8)を用いること以外は、実施例8と同様にして、表1記載の条件で溶融押し出しコーティングし、比較例5の本発明外の画像材料用支持体を製造した。
【0131】
このようにして得られた実施例8および比較例5の試料につき、上記と同様にして試験した結果を表3に示す。
【0132】
【表3】
Figure 0003989117
【0133】
実施例9
樹脂組成物(R1)を溶融押し出し塗工機のホッパー中に投入し、上記の裏面樹脂層が形成された支持体の表面に、コロナ放電処理した後、樹脂温度340℃、樹脂厚さ6μmで、鏡面の冷却ロール(冷却水温度11℃)とプレスロールの線圧40kgf/cmで、押し出し塗工速度330m/分で、溶融押し出しコーティングし、最下層樹脂層を形成した。引き続き、共押し出し塗工機を用いて、下層は樹脂組成物(R1)を用い、上層は樹脂組成物(R1)85重量部と樹脂組成物(R2)15重量部を用いブレンダー中で十分混練した後、共押し出し塗工機のホッパー中にそれぞれ投入し、下層の樹脂温度は290℃、上層の樹脂温度は170℃で、上層および下層の樹脂厚さがそれぞれ7μmとなるように共押し出し塗工した。この際、樹脂層が形成されてから3秒後に、樹脂層面に対して液体窒素ガスを噴霧装置より噴霧し、更に、3秒後に樹脂層面に対してコロナ放電装置によりコロナ放電処理した。更に3秒後引き続き、樹脂組成物(R5)85重量部と樹脂組成物(R6)15重量部をブレンダー中で十分混練した後、溶融押し出し塗工機のホッパー中に投入し、樹脂温度240℃、樹脂厚さ10μm、で溶融押し出しコーティングし、最上層樹脂層を形成し、実施例9の本発明の画像材料用支持体を製造した。なお、共押し出し塗工機および最上層用溶融押し出し塗工機の場合も鏡面の冷却ロールを用い、条件は最下層時と同じである。また、押し出し塗工速度も同じである。
【0134】
<評価>
表1の結果から、基紙上に、下層樹脂層(MFR9g/10分)および二酸化チタン顔料17重量%含有した上層樹脂層(MFR9g/10分)を、タンデム方式により製造した本発明の実施例1〜3は、下層樹脂層(MFR5g/10分)および二酸化チタン顔料17重量%含有した上層樹脂層(MFR5g/10分)を、共押し出し方式により製造した本発明外の比較例1〜3と比較して、ダイリップ汚れ、剥離むらおよび見た目の光沢感のいずれの特性においても、優れたものが得られることが解る。特に、比較例1〜3は、押し出し塗工速度が260〜400m/分に増加するにつれて、全ての特性値が悪化することが解る。一方、本発明の実施例1〜3は、押し出し塗工速度が増加しても、悪化することなく、押し出し塗工速度が400m/分の場合に、ダイリップ汚れが僅か1本発生する程度であって、実操業上は全く支障がなく、如何に高速で、長時間操業に適しているかが解る。上層樹脂層および下層樹脂層とも実施例3と同じ樹脂組成物を用いても、共押し出し方式により製造した比較例4は、実施例3と比べて、ダイリップ汚れ、剥離むらおよび見た目の光沢感の全ての特性において劣ることが解る。また、表2の結果から、下層樹脂層形成後、さらに冷却ロールにより冷却した実施例4、および下層樹脂層形成後、コロナ放電処理を施した実施例5は、実施例2と比べて一段と特性が向上することが解る。さらに、下層樹脂層形成後、冷却ロールにより冷却した後、さらにコロナ放電処理を施した実施例6は、格段に特性が向上することが解る。また、下層樹脂層形成後、液体窒素噴霧により冷却した実施例7は、実施例5と同様の良好な結果が得られた。さらに、表3の結果から、基紙上に、下層樹脂層(MFR15g/10分)および二酸化チタン顔料19重量%含有した上層樹脂層(MFR20g/10分)を、タンデム方式により製造した、本発明の実施例8は、下層樹脂層(MFR4g/10分)および二酸化チタン顔料19重量%含有した上層樹脂層(MFR7g/10分)を、共押し出し方式により製造した、本発明外の比較例5と比較して、ダイリップ汚れ、剥離むらおよび見た目の光沢感のいずれの特性においても、極めて優れたものが得られることが解る。特に、高速で、しかも二酸化チタン顔料が19重量%も含有しているにも拘わらず、ダイリップ汚れの発生が著しく抑制されることが解る。また、実施例8を用いた写真プリントのシャープネスは、格段に優れていた。またさらに、最上層および最下層はタンデム方式で、その中間層は共押し出し方式により製造した実施例9は、剥離むらおよび見た目の光沢感の特性において、実施例2よりも若干良好な結果が得られた。
【0135】
【発明の効果】
本発明により、見た目の光沢感が極めて優れ、かつ光沢むらがない画像材料およびそのプリントが提供でき、しかも支持体製造時のダイリップ汚れの発生が著しく抑制され、冷却ロールからの剥離性が改良されて剥離むらの発生のない、それ故、高速かつ安定生産できる、紙を基質とする優れた樹脂被覆紙型の画像材料用支持体を提供できる。

Claims (3)

  1. 天然パルプを主成分とする紙を基質として、その少なくとも一方の面が熱可塑性樹脂を含む樹脂層で被覆した画像材料用支持体であって、該樹脂層が最下層と最上層の少なくとも2層から成り、かつ該樹脂層の少なくとも最下層と最上層は、逐次に溶融押し出しコーティングされる逐次押し出しコーティング方式により被覆されて成る画像材料用支持体において、最下層を溶融押し出しコーティングした後、急冷却装置により冷却し、該最下層上に該最上層を溶融押し出しコーティングにより被覆して成ることを特徴とする画像材料用支持体。
  2. 天然パルプを主成分とする紙を基質として、その少なくとも一方の面が熱可塑性樹脂を含む樹脂層で被覆した画像材料用支持体の製造方法であって、該樹脂層が最下層と最上層の少なくとも2層から成り、かつ該樹脂層の少なくとも最下層と最上層は、逐次に溶融押し出しコーティングされる逐次押し出しコーティング方式により被覆されて成る画像材料用支持体において、最下層を溶融押し出しコーティングした後、急冷却装置により冷却し、該最下層上に該最上層を溶融押し出しコーティングにより被覆することを特徴とする画像材料用支持体の製造方法。
  3. 天然パルプを主成分とする紙を基質として、その少なくとも一方の面が熱可塑性樹脂を含む樹脂層で被覆した画像材料用支持体の製造方法であって、該樹脂層が最下層と最上層の少なくとも2層から成り、かつ該樹脂層の少なくとも最下層と最上層は、逐次に溶融押し出しコーティングされる逐次押し出しコーティング方式により被覆されて成る画像材料用支持体において、最下層を溶融押し出しコーティングし、コロナ放電処理装置により、コロナ放電処理した後、該最下層上に該最上層を溶融押し出しコーティングすることを特徴とする画像材料用支持体の製造方法。
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