JP3988943B2 - カーテンウォール - Google Patents
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また、無目を設けたことで、無目材自体や方立と無目との接合部材などの部材点数が多くなるとともに、方立同士の連結作業の他に、方立と無目との接合部における接合作業も必要になるため、施工手間が掛かるので、コスト低減を図ることが困難であるという問題もある。
ここで、少なくとも上下一対の方立とは、上下に連続して配置された二本の方立の他に、上下に連続して連結された三本以上の複数の方立も含んだ概念である。三本以上の方立が連結された場合には、互いに上下に連結される方立同士の連結部分のうちの、少なくとも1箇所が面材支持部材で連結されていればよく、他の連結部分に面材支持部材が設けられていなくてもよい。
また、上下の方立の連結部分と、上下の面材間の目地材とが略同一高さ位置になり、方立の連結部分が目地材とずれた位置とならないため、外観をより良好にすることができる。
さらに、面材支持部材の他に、上下の方立がジョイントスリーブ等の連結部材で連結される場合には、この連結部材と一体に面材支持部材を形成することで、部材点数を一層削減することができるとともに、方立の連結作業と同時に面材支持部材の取付作業が実行されるので、作業手間をより削減して、低コスト化を一層促進させることができる。
このような構成では、外気温の変動や日射等によって方立に生じる熱伸縮等を、上下の方立の連結部分において吸収可能に構成した場合でも、連結部分の面材支持部材を上側の方立に対して摺動自在に連結したので、上下の方立間の伸縮に面材支持部材が追従でき、確実に面材を支持することができる。
このような構成では、方立を方立本体と押縁とに分割したので、面材を方立本体に設置してから、押縁を方立本体に取り付け、方立本体および押縁間に面材の側端縁を支持させるような取付手順が採用できる。このような取付手順によれば、例えば左右のけんどん式で面材を取り付ける場合と比較して、方立における面材の飲み込み寸法を小さくすることができるので、方立の見付け寸法を小さくして、外観意匠性をより一層向上させることができる。
また、押縁を方立本体に対して上下方向に摺動可能に取り付けたことで、押縁または方立本体の一方に熱伸縮が生じても、一方の伸縮が他方に与える影響を小さくすることができ、前記上下の面材間の目地材や、押縁または方立本体と面材との間に介装されるシール材等への伸縮による負担を軽減させることができる。例えば、押縁が室外側に設けられ、方立本体が室内側に設けられた場合には、押縁に大きな熱伸縮が生じても、押縁が摺動することで押縁の熱伸縮が方立本体に影響しないので、方立本体の熱伸縮がさほど大きくならず、上下の面材間の目地材、および方立本体と面材との間のシール材等の負担が軽減される。また、押縁が室内側に設けられ、方立本体が室外側に設けられた場合には、方立本体に大きな熱伸縮が生じても、押縁の熱伸縮がさほど大きくならず、押縁と面材との間のシール材等の負担が軽減される。
このような構成では、押縁と方立本体との間の断熱材により、押縁および方立本体の一方から他方への熱伝導が小さくなり、一方に大きな熱伸縮が生じても他方の伸縮量を小さくすることができるので、上下の面材間の目地材や、押縁または方立本体と面材との間のシール材等に掛かる負担をより一層軽減させることができる。
図1は、本実施形態のカーテンウォール10の外観姿図である。図2および図3は、それぞれカーテンウォール10の縦断面図であり、図2は、図1に矢視II−II線で示す縦断面図、図3は、図1に矢視III−III線で示す縦断面図である。図4および図5は、それぞれカーテンウォール10の一部を示す横断面図であり、図4は、図1に矢視IV−IV線で示す横断面図、図5は、図1に矢視V−V線で示す横断面図である。図6は、カーテンウォール10の一部を示す縦断面図であり、図1に矢視VI−VI線で示す縦断面図である。なお、各図においては、カーテンウォール10の主要構成部品の断面を示すハッチングが省略されている。
なお、吹抜部分におけるカーテンウォール10面外方向の荷重を支持する構造としては、間柱7に限らず、トラス構造体でもよく、また水平方向に架設した耐風梁や、上下または水平方向に架設したテンショントラス構造体等でもよい。
以上のようにして取り付けられた押縁15は、ガラスパネル12の弾性シール材16およびバックアップ材17によって室外側に付勢されることで、被係止部152Aが係止部142Bから外れることがなく、取付状態を維持できるようになっている。さらに、取付状態において、押縁15は、方立本体14に対して、上下方向に摺動可能になっている。
また、連結部分における上下の押縁15間にも、弾性シール材21が設けられており、この弾性シール材21は、押縁15の見付片部151とガラスパネル12との間の弾性シール材16、および上下のガラスパネル12B,12A間の弾性シール材13に接続されている。
図7は、本実施形態の面材支持部材30を示す正面図である。図8は、面材支持部材30を示す分解斜視図である。図9は、面材支持部材30の取付状態を示す室外側から見た斜視図である。
面材支持部材30は、上下の方立11B,11Aの連結部分における方立本体14の延出部142に取り付けられている。
なお、本実施形態では、面材支持部材30を連結部材19と別体として設けたが、面材支持部材30を連結部材19と一体に形成してもよく、また、連結部材19を省略して、面材支持部材30に連結部材19の機能を付加する構成としてもよい。
また、面材支持部材30は、正面視で全体略十字形に形成され、下方に延びて下側の方立11Aにおける方立本体14の延出部142に接続される下側接続部33と、上方に延びて上側の方立11Bにおける方立本体14の延出部142に接続される上側接続部34と、水平方向両側に延びて上側のガラスパネル12Bが載置される面材載置部35とを備えて形成されている。
面材支持部材30の上側接続部34は、方立本体14の延出部142が挿入可能な溝部34A(図7)を有しており、この溝部34Aに延出部142を挿入した状態で、側方からビス止めすることで、延出部142に接続される。すなわち、延出部142には、ビスが挿通される上下方向に長い長孔142D(図8)が設けられており、上側接続部34は、上側の方立11Bに対して上下方向に摺動可能に連結されることとなる。
図10は、カーテンウォール10における各部の支持状態を示す説明図である。図11(A),(B)は、カーテンウォール10における熱膨張時の各部の伸張および移動状態を示す説明図である。なお、図11(A)は、各部が熱膨張する前の状態を示し、図11(B)は、各部が熱膨張した後の状態を示す図である。また、図10、11において、カーテンウォール10の各部である方立11(方立本体14、および押縁15)、およびガラスパネル12の形態を簡略化し、熱膨張による伸張量や移動量について、説明を分かりやすくするために概念的に図示した。
すなわち、下側の方立本体14A、ガラスパネル12A、および押縁15Aは、それぞれ下端が支持されているため上方に向かって伸張し、それらの伸張量は、それぞれδh 、δg 、δo となっている。この際、一般的にアルミ製の方立本体14や押縁15の伸張量δh ,δo と比較して、熱膨張係数が小さいガラス製のガラスパネル12の伸張量δg は小さくなっている。また、室外に配置された押縁15の伸張量δo と比較して、室内に配置された方立本体14の伸張量δh は小さくなり、さらに本実施形態では、押縁15が方立本体14に対して摺動可能に取り付けられるとともに、断熱材18(図4)を介して取り付けられていることから、互いの熱伝導が抑制されるため、方立本体14の伸張量δh は押縁15の伸張量δo よりも小さくなっている。
そして、上側のガラスパネル12Bは、その下端が下側の方立本体14Aに支持されているため、上方に向かって方立本体14の伸張量δh だけ移動し、さらに上方に向かって下側のガラスパネル12Aと略同一の伸張量δg だけ伸張する。
さらに、上側の押縁15Bは、上側の方立本体14Bに対して摺動可能に取り付けられているため、上側のガラスパネル12Bに弾性シール材16の接着力により連動して、下側の方立本体14Aの伸張量δh だけ上方に移動する。そして、上方に移動した位置において上側の押縁15Bは、上下両方向に向かって伸張し、その上下方向の各伸張量は、下側の押縁15と略同一のδo/2 となっている。
(1) 上下の方立11B,11Aの連結部分に設けた面材支持部材30で上側のガラスパネル12Bを支持したので、方立11間に無目等の横材を架設する必要がなく、上下に延びる方立11とガラスパネル12とで外観が構成され、外観意匠性に優れたカーテンウォール10を構築することができる。
例えば、前記実施形態では、建物1が2階建てで、一部に吹抜空間を有しており、この建物1の上下階(1、2階)に跨ってカーテンウォール10が設けられていたが、建物の階数や形態、吹抜空間の有無等は特に限定されない。
また、前記実施形態では、二階分の高さ寸法を有するカーテンウォール10において、方立11およびガラスパネル12を上下に二分割、すなわち上階のフロアレベルFL近傍で上側の方立11Bおよびガラスパネル12Bと、下側の方立11Aおよびガラスパネル12Aとに分割したが、方立およびガラスパネルの分割位置、および分割数は、前記実施形態に限定されるものではない。例えば、各階ごとに方立の上下を床スラブ等に支持させ、この各階ごとの方立および面材をフロア中間高さ位置で上下に二分割、あるいは三分割以上に分割してもよい。三分割以上に分割した場合や、吹抜空間のように高さ寸法が大きい場合には、方立の高さ方向途中位置において、方立を柱や梁、トラス等に支持させるようにしてもよい。
従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
Claims (4)
- 上下に延び躯体に支持された少なくとも上下一対の方立と、前記上下一対の方立を連結する面材支持部材と、所定間隔離れて隣り合う前記上下一対の方立間に配され前記面材支持部材に支持された面材とを備えたカーテンウォール。
- 前記面材支持部材は、前記上下一対の方立のうちの下側の方立に固定され、かつ上側の方立に対して摺動可能に連結された請求項1に記載のカーテンウォール。
- 前記方立は、方立本体と押縁とを備えて構成されており、これらの方立本体と押縁との間に挟まれて前記面材の側端縁が支持されるとともに、当該方立本体に前記面材支持部材が取り付けられ、
前記押縁は、前記方立本体に対して上下方向に摺動可能に取り付けられている請求項1または請求項2に記載のカーテンウォール。 - 前記押縁は、前記方立本体に断熱材を介して取り付けられている請求項3に記載のカーテンウォール。
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