JP3988416B2 - 操舵装置におけるハンドル位置補正装置及び車両 - Google Patents

操舵装置におけるハンドル位置補正装置及び車両 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハンドルと操舵輪が機械的な連結を有しない、全電気式または全油圧式などの操舵装置において、ハンドル位置(ハンドル角)と操舵輪の切れ角との位置関係のずれを補正する操舵装置におけるハンドル位置補正装置及び車両に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えばフォークリフト等の産業車両には、全油圧式の操舵装置(パワーステアリング装置)を装備するものがある。ハンドルの操作量に応じた油量の作動油がステアリングシリンダに供給され、ステアリングシリンダが駆動されることによりハンドルの操作量に応じて操舵輪が操舵される。この種の産業車両では荷役操作をしながらハンドルを片手で操作できるようにハンドルにノブ(ハンドルノブ)が設けられたものがある。例えば運転者はハンドルノブ位置を操舵輪の切れ角がどこにあるかを判断する目安とする場合がある。しかし、全油圧式操舵装置では、ハンドル操作量と供給油量との間の多少のずれやオイルリーク等が原因で、ハンドルノブ位置と操舵輪の切れ角との位置関係にずれが発生する問題が生じてしまう。
【0003】
この問題を解決するために、例えば特公平3−30544号公報や特公平4−24270号公報等には、ハンドル角と切れ角のずれを補正するハンドル角補正装置が開示されている。つまり、図17に示すようにパワーステアリング装置51はコントローラ52を備え、コントローラ52はハンドル角センサ53からハンドル回転信号θabs と、シリンダ位置センサ54からシリンダストローク信号sとを入力する。
【0004】
コントローラ52はハンドル回転信号θabs から目標シリンダストロークxgを求め、シリンダストローク信号sから求まるシリンダストロークxと目標シリンダストロークxgとの偏差が許容値を超えると電磁制御弁55を開弁する。これにより、油圧ライン56,57の一方の給送ラインから他方の返送ラインを介して作動油の一部がタンク58に還流し、ハンドル59が空転状態となってハンドル位置(ノブ位置)が操舵輪の切れ角に応じた正規の位置に補正される。
【0005】
また、ハンドルと操舵輪とが機械的に連結されていない操舵装置として、特開平7−206399号公報には図18に示す全電気式操舵装置が開示されている。オーダーピッキングトラック61はコントローラ62を備え、コントローラ62はハンドル63の回転角をポテンショメータ64から入力し、操舵輪65の操舵角(切れ角)をポテンショメータ66から入力する。そして、コントローラ62はポテンショメータ64,66の検知電圧の偏差を算出し、その偏差に応じた駆動電圧をステアリングモータ67(電動モータ)に出力する。これにより、操舵輪65はハンドル63の操作角に応じた切れ角となるように操舵される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、全油圧式操舵装置では、ハンドル59とステアリングシリンダ60との間が油圧回路を介して接続されているため、ハンドル角補正実行中に作動油が電磁制御弁55を介して還流されていても、操舵輪にはステアリングシリンダ60中の作動油の存在によりある程度の保持力が確保される。すなわち、操舵輪に外力が加わっても、ステアリングシリンダ60内の作動油を押し出してステアリングシリンダ60を駆動させるだけの力が加わらないことには操舵輪は変位しない。
【0007】
これに対し、全電気式操舵装置は、ハンドル63と操舵輪65とが機械的にも油圧回路的にも連結されていない、いわゆるステアバイワイヤ方式である。よって、ハンドル63が停止されていてステアリングモータ67が停止状態にあると、操舵輪65に動力が伝わっていない状態にあるので、操舵輪の保持力が比較的弱いものとなっている。特にこの全電気式操舵装置にハンドル位置補正装置を適用する場合、ハンドル68の空転を作り出すためにステアリングモータ67の駆動を停止した場合、操舵輪65の保持力が低下してしまう。例えば操舵輪が走行路面上の障害物(石など)を踏むなどすると、その外力によって操舵輪65の切れ角がハンドルに対してずれてしまう心配があった。
【0008】
ハンドル位置補正を採用する場合、ハンドルと操舵輪との間にずれがあれば、ずれがあるうちはステアリングモータ67の出力を停止し、ずれがなくなるとステアリングモータ67を駆動させる。例えば直進走行中はハンドル63を左右に微操作して直進性を整える操作をよくする。この際、ハンドルの操作方向が小刻みに切り替えられる。この場合、ずれが小さくなる方向にハンドルが操作されたときにはモータが停止され、ずれが大きくなる方向にハンドルが操作されたときにはモータが駆動されることになる。よって、ハンドルを微操作範囲内で左側の切り返し点から右側の切り返し点まで例えば2〜10度の狭い範囲内で一方向に操作する過程では、その前半にずれを解消するために補正がかかってモータが停止され、その後半にずれを広げないように補正が禁止されてモータが駆動されることになる。よって、運転者がハンドルを微操作のため、ある一方向に操作したとき、その操作の後半でモータ出力が急に立ち上がる現象が起きやすい。この場合、運転者は直進性を整えるためにハンドルを普通に微操作しているつもりでも、車両が多少蛇行気味に操舵され易いなど、ハンドル操作の直進安定性が確保されにくいという問題があった。特に、右折や左折のためにコーナを曲がるときにカーブ走行状態から直進状態に戻ったときに直進性を立て直すためハンドルを微調整するが、このような車両姿勢の立て直しのときほど高い直進安定性が要求される。よって、ハンドルと切れ角との位置関係が一致して補正状態から補正禁止状態に切り替わるその前後におけるハンドル操作に対するステアリングモータ67の出力変化をなるべく小さく緩和し、ハンドル操作の直進安定性を確保できるような対策が必要であった。この点は、全電気式操舵装置に限らず、全油圧式操舵装置にとっても同様に問題である。
【0010】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、ハンドルの実位置と操舵輪の切れ角との位置関係が一致して補正状態から補正禁止状態に切り替わる前後における駆動手段の出力差を小さく緩和し、例えばハンドル操作の直進安定性を確保できる操舵装置におけるハンドル位置補正装置及び車両を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために請求項に記載の発明は、ハンドルの実位置を検出するハンドル位置検出手段と、操舵輪の切れ角を検出する切れ角検出手段と、操舵輪を駆動する駆動手段とを備え、ハンドル操作に応じた出力が得られるように前記駆動手段を駆動させる操舵装置において、前記各検出手段により検出された前記ハンドルの実位置と前記切れ角との位置関係のずれを検出すると、前記ハンドル操作に応じて決まる前記駆動手段の出力を停止または低減させることにより前記ハンドルの空転状態を作り出して前記ずれを小さくするように前記ハンドルの実位置を補正する補正手段と、前記ハンドルの実位置と前記切れ角との位置関係が一致して前記補正手段による実行内容が補正状態から補正禁止状態に切り替わる前後における前記駆動手段の出力差を小さく緩和する第2補正を前記駆動手段の出力に与える第2補正手段とを備えていることを要旨とする。なお、操舵装置は全電気式、全油圧式のどちらをも含む。また「ハンドルの実位置と切れ角との位置関係が一致」とは、完全一致に限らず、許容範囲内での一致であってもよい。また、「ハンドルの空転状態」には、操舵輪が停止するものも含む。
【0014】
この発明によれば、ハンドルの実位置と切れ角との位置関係のずれが検出されると、補正手段により、ハンドル操作に応じて決まる駆動手段の出力が停止または低減されることによりハンドルの空転状態が作り出されてずれを小さくするようにハンドルの実位置が補正される。この補正によってハンドルの実位置と切れ角との位置関係が一致すれば、補正手段はその実行内容を補正状態から補正禁止状態に切り替える。この切り替わり時期及びその前後を含む所定期間内の所定時期に、第2補正手段により、駆動手段の出力を変化させる第2補正が実施され、補正状態から補正禁止状態に切り替わる前後における駆動手段の出力差が小さく緩和される。例えば直進走行中にハンドルを左右に微操作させる際は、補正状態から補正禁止状態に頻繁に切り替ることが起きるが、この切り替り前後で出力が急変する事態は緩和されるので、ハンドル操作の直進安定性が確保され易くなる。
【0015】
請求項に記載の発明は、請求項に記載のハンドル位置補正装置において、前記第2補正手段による前記第2補正は、前記駆動手段の補正禁止後の出力を小さく導く出力変化をその事前のタイミングで前記駆動手段の出力に与える補正であることを要旨とする。
【0016】
この発明によれば、第2補正手段により第2補正が実施されると、駆動手段に出力変化が生じ、この出力変化の影響を受けて補正禁止後の出力が小さく導かれる。つまり第2補正によりもたらされた出力変化の影響で、結果的に補正禁止後の出力が小さく変化する。この結果、補正状態から補正禁止状態に切り替わる前後における駆動手段の出力差が小さく緩和される。
【0017】
請求項に記載の発明は、請求項に記載のハンドル位置補正装置において、前記第2補正手段による前記第2補正は、前記ハンドルの実位置と前記切れ角との位置関係が一致した前後の補正状態と補正禁止状態の各出力より小さな値の出力に補正する補正であることを要旨とする。
【0018】
この発明によれば、第2補正手段により第2補正が実施されると、ハンドルの実位置と切れ角との位置関係が一致した前後の補正状態と補正禁止状態の各出力より小さな値の出力に補正される。このように第2補正によって出力は十分小さく落ち込むので、この出力の落ち込みの結果、補正禁止後の出力は効果的に小さく変化する。なお、この請求項は、第2補正による出力の落ち込みの程度を言っているだけで、第2補正の実施時期を制限するものではない。例えば第2補正の実施時期は、一致とみなされる許容範囲の境界に達した時期、あるいは許容範囲内における完全一致の時期などであってもよく、適宜な時期を設定してよい。
【0019】
請求項に記載の発明は、請求項のいずれか一項に記載のハンドル位置補正装置において、前記第2補正手段は、前記ハンドルの実位置と前記切れ角との位置関係が一致したことを検出したときに、前記駆動手段の出力を低減または停止させることを要旨とする。
【0020】
この発明によれば、第2補正手段は、ハンドルの実位置と前記切れ角との位置関係が一致したことを検出したときに、駆動手段の出力を低減または停止させる第2補正を実施する。
【0021】
請求項に記載の発明は、請求項のいずれか一項に記載のハンドル位置補正装置において、前記第2補正手段は、前記ハンドルと操舵輪の位置関係が一致してずれが解消される所定時期に、前記ハンドル操作に応じた前記駆動手段の出力値を決めるために用いられるパラメータを零または第2補正用の初期値にリセットするリセット手段を備えていることを要旨とする。
【0022】
この発明によれば、第2補正手段のリセット手段は、ハンドルと操舵輪の位置関係が一致してずれが解消される所定時期に、ハンドル操作に応じた駆動手段の出力値を決めるために用いられるパラメータを零または第2補正用の初期値にリセットする。この結果、パラメータがリセットされる前後において、駆動手段の出力差が小さく緩和される。例えば直進走行中にハンドルを左右に微操作させる際は、補正状態から補正禁止状態に頻繁に切り替ることが起きるが、この切り替り前後での出力の急変は緩和されるので、ハンドル操作の直進安定性が確保され易くなる。
【0023】
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載のハンドル位置補正装置において、前記ハンドル位置検出手段は、前記ハンドルの実位置をハンドル一回転単位における相対角度で検出し、前記切れ角を前記ハンドルの相対角度に換算した目標位置を求める目標位置演算手段を備え、前記補正手段は、前記実位置と目標位置との相対角度でのずれを小さくするように前記駆動手段を制御することを要旨とする。
【0024】
この発明によれば、ハンドル位置検出手段は、ハンドルの実位置をハンドル一回転単位における相対角度で検出し、目標位置演算手段は、切れ角をハンドルの相対角度に換算した目標位置を求める。補正手段は、各検出手段により検出された実位置と目標位置との相対角度でのずれを小さくするように駆動手段を制御する。
【0025】
請求項に記載の発明は、請求項1〜のいずれか一項に記載のハンドル位置補正装置において、前記駆動手段は電動機であり、前記ハンドルが操作されていないときに前記操舵輪が変位して前記切れ角がずれたことを検出すると、前記操舵輪の切れ角の前記変位分のずれを解消するように前記電動機を駆動させる操舵輪保持手段を備えていることを要旨とする。
【0026】
この発明によれば、ハンドルが操作されていないときに操舵輪が例えば外力によって変位して切れ角がずれたことが検出されると、操舵輪保持手段により、操舵輪の切れ角の前記変位分のずれを解消するように電動機が駆動される。従って、駆動手段が電動機である全電気式操舵装置において、ハンドル停止中においても操舵輪の保持力が確保される。
【0027】
請求項に記載の発明では、車両は、請求項1〜のいずれか一項に記載のハンドル位置補正装置を備えた操舵装置を装備することを要旨とする。
この発明によれば、請求項1〜のいずれか一項に記載の発明と同様の作用が得られる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を全電気式操舵装置を装備する車両(産業車両)に具体化した一実施形態を図1〜図15に従って説明する。
【0029】
図2は、オーダーピッキング型フォークリフトの斜視図である。車両としてのオーダーピッキング型フォークリフト(以下、単にフォークリフトという)1は車体(機台)2の後部にマスト装置3を装備している。マスト装置3には、運転台4がマスト5に沿って昇降可能に配備されている。マスト5はアウタマスト6およびインナマスト7を備え、インナマスト7の上端にリフトシリンダ8のピストンロッド9(図3参照)の先端が固定されている。そして、リフトシリンダ8が駆動することによって、インナマスト7がアウタマスト6に対してスライドしてマスト5が伸縮動作する。
【0030】
インナマスト7の上端部にはスプロケット10が取着され、運転台4はそのスプロケット10に掛装されたチェーン11に吊り下げられた状態で支持されている。そして、リフトシリンダ8の駆動時にインナマスト7がアウタマスト6に対して伸縮動作することによって、運転台4が車体2に対して昇降移動する。運転台4の下部には一対のフォーク12が取り付けられ、運転台4の昇降移動に伴ってフォーク12が上下方向で位置決めされる。
【0031】
フォークリフト1は後二輪が従動輪(片側のみ図示)、前一輪が駆動操舵輪のバッテリ車であり、車体2に搭載された走行モータ13を駆動源としている。従動輪14は車体2の左右両側から後方へ延出する左右一対のレグ15の後端部にそれぞれ取り付けられ、駆動操舵輪(以下、単に操舵輪という)16は車体2の前部の車幅方向略中央位置に配置されている。
【0032】
運転台4の前方正面(図1の右側側面)にはハンドル17が取り付けられ、このハンドル17を操作することにより操舵輪16が操舵されてフォークリフト1の進行向きが変えられる。ハンドル17は所定箇所にハンドルノブ18が形成され、左右方向のどちらも最大回転量が規制されずに回転できるようになっている。また、運転台4にはハンドル17の他にインストルメントパネル19、操作レバー20、各種スイッチ類(図示省略)が配設されている。
【0033】
図3は、フォークリフト1の概略構成を示す。フォークリフト1はコントローラ21を備え、コントローラ21にはCPU22、ROM23、RAM24、EEPROM25等が内蔵されている。ROM23には、操舵輪16を操舵させる操舵制御用やハンドルノブ位置補正制御用の制御プログラムが記憶されている。RAM24にはCPU22の演算結果等が一時記憶され、EEPROM25には後述するリンク比や補正低減係数K等が記憶される。CPU22はROM23に記憶された制御プログラムに従って、操舵輪制御やノブ位置補正制御を実行する。なお、CPU22は、補正手段、第2補正手段、リセット手段及び操舵輪保持手段を構成する。
【0034】
ハンドル17にはハンドル位置検出手段を構成するハンドル角センサ26が取り付けられ、ハンドル角センサ26はプーリ27に巻き掛けられた信号線(電線ケーブル)28を介してコントローラ21の入力側に接続されている。ハンドル角センサ26はロータリエンコーダからなり、図5(a)に示すようにハンドル17の主軸29に止着された円板30と、円板30の半径方向外側に配置された3つの受光素子31〜33と、発光素子(図示省略)とを備えている。
【0035】
円板30の周縁部には複数(本例では40個)のスリット34が周方向に等間隔で形成され、そのスリット34の半径方向内側に1つのスリット35が形成されている。半径方向外側の2つの受光素子31,32は、スリット34と相対する位置で周方向に所定の間隔をおいて並んだ状態で配置されている。また、残り1つの受光素子33はスリット35と相対する位置に、かつハンドルノブ18の原点位置に配置されている。
【0036】
受光素子31,32はスリット34を介して発光素子からの光を受光し、互いに位相が90度ずれた図5(b)に示す検出信号(パルス信号)S1,S2をCPU22にそれぞれ出力する。そして、CPU22はこれら2つの検出信号S1,S2のエッジを計数することでハンドル17の操作角(ハンドル角H、実ノブ位置N)を算出する。本例では、ハンドル17の1回転を160分割した分解能で角度検出され、1つのエッジを計数するごとに2.25度の値で角度検出される。
【0037】
また、受光素子33はスリット35を介して発光素子からの光を受光し、図5(b)に示す検出信号(パルス信号)S3をCPU22に出力する。そして、CPU22は検出信号S3のHレベルを検出したとき、ハンドルノブ18が原点位置に位置したと判断する。また、CPU22は検出信号S1の立ち上がりを検出したときに、検出信号S2がHレベルであれば「右操舵」、検出信号S2がLレベルであれば「左操舵」と判断する。さらに、CPU22はハンドル角センサ26からの検出信号に基づき、その検出信号S1(S2)のパルス間隔時間からハンドル17のハンドル操作速度Sを算出する。
【0038】
図3に示すように、フォークリフト1は車体2内に駆動手段、電気式駆動手段及び電動機としてのパワーステアリングモータ(以下、PSモータという)(電動モータ)36を備え、このPSモータ36の出力軸36aに取着されたギヤ37が操舵輪16を支持するギヤホイール38に噛合している。そして、PSモータ36が駆動されると、その駆動力がギヤ37からギヤホイール38へ伝達されて、操舵輪16がPSモータ36の回転方向に応じた方向に操舵される。このPSモータ36および走行モータ13は、コントローラ21によって駆動制御される。
【0039】
ギヤホイール38と相対する位置には切れ角検出手段を構成するタイヤ角センサ39が取り付けられ、タイヤ角センサ39はコントローラ21の入力側に接続されている。タイヤ角センサ39は例えばポテンショメータからなり、操舵輪16の切れ角Rに応じた検出信号(電圧値)をCPU22に出力する。操舵輪16は左右それぞれ最大約90度まで操舵可能となっており、CPU22はタイヤ角センサ39からの検出信号を基にして、その角度範囲内の値で操舵輪16の切れ角Rを算出する。
【0040】
走行モータ13の駆動軸40と相対する位置には車速センサ41が取り付けられている。車速センサ41は走行モータ13の駆動軸40の外周面に形成された被検出部(図示省略)を検出することで駆動軸40の回転に応じた検出信号(パルス信号)を出力する。CPU22は車速センサ41から入力する検出信号のパルス間隔時間を計時してフォークリフト1の車速Vを算出する。
【0041】
ここで、操舵輪16とハンドル17とは機械的に連結されていないことから、ハンドル17と操舵輪16との間にリンク比を設定する必要がある。リンク比とはハンドル17と操舵輪16との間の回転比率であり、本例ではこのリンク比が「12」と設定され、ハンドル17が6回転(360度×6)されると操舵輪16が一方のエンドから他方のエンド(約180度)まで回転する。
【0042】
図4は、フォークリフト1の電気構成図である。コントローラ21は、走行モータ13に接続されたモータ駆動回路43と、PSモータ36に接続されたモータ駆動回路44とを備えている。CPU22はハンドル角センサ26からの検出信号と、タイヤ角センサ39からの検出信号とを入力し、これら信号値に基づき算出された出力指令値(デューティ値)Dm をモータ駆動回路44に出力する。モータ駆動回路44はCPU22からの出力指令値に応じた駆動電流をPSモータ36に出力し、PSモータ36はその電流値に応じた駆動力(トルク)を出力するように駆動される。もちろん、PSモータ36は、電圧制御により駆動されても構わない。このようにして全電気式操舵装置では、操舵輪16がハンドル17の操作に対した切れ角Rに操舵される。
【0043】
CPU22は、第1カウンタ45と第2カウンタ46とを備えている。第1カウンタ45および第2カウンタ46は、ハンドル角センサ26から出力される各パルス信号S1,S2の立ち上がり及び立ち下がりの各エッジをカウントし、ハンドル1回転当たり合計160パルスのカウント値をカウントする。ここで、第1カウンタ45は、PSモータ36を駆動させるためにモータ駆動回路44に出力する出力指令値Dm を決めるために使用される。また、第2カウンタ46は、ノブ位置補正制御を実行するために使用されるもので、ノブ位置のハンドル角に相当する値をカウントする。
【0044】
図6は、PSモータ36の出力指令値の計算方法を説明する説明図である。リンク比が「12」の場合、操舵輪16が一方のエンドから他方のエンドまで回動する際にはハンドル17が6回転する。そして、ハンドル17を1回転したときパルスが0〜159までカウントされることから、操舵輪16が直進状態となったときを基準として、ハンドル17が左操舵されたときを「−」、右操舵されたときを「+」とすると、第1カウンタ45はハンドル17の6回転を−480〜+480の間のカウント値Chとしてカウントする。
【0045】
このとき、CPU22は第1カウンタ45により計数されたカウント値Chを角度換算し、−1080度(−480/160×360度)から+1080度(+480/160×360度)の範囲内で、ハンドル17のハンドル角Hを算出する。なお、第1カウンタ45は操舵輪16の左エンド位置以降、すなわち−480となるとそれ以下ではカウントダウンを行わず、一方の右エンド位置以降、すなわち+480となるとそれ以上ではカウントアップを行わない。
【0046】
一方、操舵輪16の切れ角Rは左右それぞれ最大90度まで回転可能となっていることから、左最大操舵を−90度、右最大操舵を+90度とすると、CPU22はタイヤ角センサ39からの検出信号に基づき、−90度〜+90度の範囲内で操舵輪16の切れ角Rを算出する。そして、CPU22は算出した操舵輪16の切れ角Rにリンク比「12」を乗算して、−1080度〜+1080度の範囲内で切れ角Rをハンドル角に換算したハンドル換算値Htを算出する。
【0047】
ハンドル角Hとハンドル換算値Htを算出した後、CPU22はこれら値の差をとって、ハンドル17と操舵輪16との位置関係のずれである差角ΔH(=H−Ht)を算出する。そして、差角ΔHから図9に示す関係を用いてPSモータ36の出力指令値(デューティ値)Dm を算出する。同図に示すように、出力指令値Dm は、差角ΔHの絶対値に対して、差角ΔHの絶対値が0〜HA の範囲では比例的に増加する値をとり、HA を超えると100%の値をとる。このHA は、例えば50〜200度の範囲内の所定値に設定されている。なお、PSモータ36はΔH>0のときに右回転(右操舵回転)され、ΔH<0のときに左回転(左操舵回転)される。なお、以下、特に正負の符号を無視して差角ΔHを用いることにする。
【0048】
また、CPU22はハンドル17が切り返されたとき、またはハンドル17の操舵が止められたときに、ハンドルの位置情報を操舵輪の位置情報に合わせ込む処理を行う。すなわち、CPU22は切れ角Rに応じたカウンタ換算値Ctを算出し、第1カウンタ45にそのカウンタ換算値Ctをセットする。これにより、第1カウンタ45のカウント値Chとカウンタ換算値Ctが同じ値となり、差角ΔHが「0」となってPSモータ36に供給される電流値が「0」となる。
【0049】
つまり、図8(a)に示す差角ΔHが存在する状態でハンドル17が操舵され、この状態でハンドル17の操作が停止されるか、ハンドル17が切り返しされるかすると、第1カウンタ45に切れ角Rから決まるカウンタ換算値Ctを強制的にセットする。この結果、第1カウンタ45を用いた処理上は、図8(b)に示すように差角ΔHがなくなった状態(ΔH=0)になる。よって、差角ΔHを基に出力指令値Dm を決める処理方法を採用するものの、ハンドル操作を停止すれば操舵輪16を停止でき、ハンドル17を切り返せばその切り返しの瞬間に操舵輪16を停止させることができる。そして、ハンドル切り返し後は、逆符号の差角ΔHが生じるので操舵輪16は反転する。
【0050】
また、例えばフォークリフト1が走行しているときに、操舵輪16が走行路面上の障害物(石など)に当たって、ハンドル17を操作していないにも拘わらず操舵輪16の切れ角Rがずれる場合がある。このとき、CPU22が逐次算出する差角ΔHの値が「0」でなくなるので、CPU22はこの差角ΔHを無くすようにPSモータ36を駆動する。このため、操舵輪16の切れ角Rが外力によってずれても元の切れ角Rに復帰させようとする復元力が発生する。PSモータ36の停止中は、操舵輪16に操舵のための動力が伝わっていないので、操舵輪16を一定の切れ角Rに保持する保持力が低下している。しかし、操舵輪16の切れ角Rが外力によってずれようとすると、PSモータ36が駆動されて元の切れ角Rに復帰させる復元力が付与されるので、操舵輪16の保持力が確保される。
【0051】
図7は、ハンドルノブ位置補正制御を説明する説明図である。第2カウンタ46はハンドル17の回転に対して0〜159の間で計160パルスをカウントし、ハンドルノブ18がノブ位置原点と一致して、受光素子33からの検出信号S3のパルスを検出する度にそのカウント値がリセットされる。つまり、第2カウンタ46はハンドルノブ18のノブ位置が最下点にくるノブ位置原点を「0」とし、そのノブ位置原点からハンドル17を操舵したときに0〜159までのカウント値Cnをカウントする。CPU22は第2カウンタ46のカウント値Cnから、0〜360度の範囲内でハンドルノブ18の実ノブ位置(実位置)Nを算出する。つまり実ノブ位置Nは、原点を基準としてハンドル一回転(360゜)のうちどの位置にハンドルノブ18が位置するかをに示す
一方、CPU22は上述したように、−90度〜+90度の範囲内で操舵輪16の切れ角Rを算出し、算出した切れ角Rにリンク比「12」を乗算してハンドル換算値Htを算出している。このとき、CPU22はハンドル換算値Htから、第2カウンタ46のカウント値Cnと比較を行うためのカウンタ換算値Ckを算出する。このカウンタ換算値Ckは0〜159の値であり、操舵輪16の切れ角に対応してハンドルノブ18がいるべき位置に応じた値である。CPU22はカウンタ換算値Ckから、0〜360度の範囲内でハンドルノブ18の目標ノブ位置(目標位置)Noを算出する。
【0052】
また、CPU22はハンドル17の操舵を検出するとその操作方向を検出し、ハンドル17の操作方向経路上で実ノブ位置Nから目標ノブ位置Noへ至るまでのズレ角Δθを算出する。そして、CPU22はズレ角Δθが180度以内(図10(a)参照)であるときには第1補正を実行し、PSモータ36への出力指令値Dm に補正低減係数Kを乗算して出力指令値Dm の値を変化させる。ちなみに、本例では補正低減係数Kの値が「0.5」に設定され、第1補正が実行されることでPSモータ36への駆動電流値が50%に低減される。
【0053】
そして、CPU22は補正低減係数Kが乗算されることで50%に低減された出力指令値Dm (←K・Dm )をモータ駆動回路44に出力し、この出力指令値に基づく電流値がPSモータ36に出力される。これにより、PSモータ36が通常よりも低速で回転し、ハンドル操作時において実ノブ位置Nが目標ノブ位置Noに追いつくことで、ハンドルノブ18の位置ずれが解消される。
【0054】
一方、CPU22はズレ角Δθが180度を超える(図10(b)参照)ときには第1補正を実行しない。この理由として、全電気式操舵装置はハンドル17とPSモータ36とが機械的にリンクされていないので、ハンドル17の実ノブ位置Nが目標ノブ位置Noに対して大きくずれることがある。よって、ハンドル操作方向のズレ角Δθが180度を超える場合に第1補正を行うと、ハンドル操作を止めるタイミングによってはズレ角Δθが補正以前よりも大きくなる場合が生じてしまうからである。
【0055】
そして、ハンドル17を同一方向に回転した場合に、ハンドル17の実ノブ位置Nと目標ノブ位置Noとの間にΔθ≦180度のずれが生じたときのみ補正低減係数K(=0.5)が乗算されるので、PSモータ36の出力が低減される領域と、出力が低減されない領域とがズレ角Δθの180度ごとで交互に現れることになる。つまり、結果として、図11に示すように、ズレ角Δθが180度以内のときが補正許可領域となり、ズレ角Δθが180度を超えるときが補正禁止領域となる。
【0056】
また、CPU22は実ノブ位置Nが目標ノブ位置Noと一致したときに第2補正を実行し、PSモータ36へ供給される電流値を「0」に落とす処理を実行する。つまり、CPU22は第1カウンタ45に操舵輪16の切れ角Rに応じて決まるカウンタ換算値Ctをセットすることで差角ΔHを「0」とし、PSモータ36へ出力される電流値を「0」にする。
【0057】
これは、例えば図12に示すようにフォークリフト1を略90度にカーブさせた際に、カーブ終了時に進行方向を直進状態に戻したときのハンドル操作の直進安定性を高めるためである。つまり、フォークリフト1をカーブした状態から直進状態に戻す際には、ほぼ直進状態に復帰したときにハンドル17を原点を中心として左右に微操作することが通常行われる。このときに第2補正が実行されることによって、実ノブ位置Nが目標ノブ位置Noと一致した瞬間にPSモータ36が一瞬停止される。
【0058】
ところで、ハンドル17を左右に微操作する際、実ノブ位置Nが目標ノブ位置Noに一致する前後で、第1補正は補正許可領域(補正状態)から補正禁止領域(補正禁止状態)に移行し、PSモータ36の出力が低減された状態(K=0.5)から、通常の状態(K=1)に切り替る。しかし、実ノブ位置Nと目標ノブ位置Noが一致した瞬間に、PSモータ36の出力が一瞬「0」となるので、補正低減係数がK=0.5からK=1に切り替った後のPSモータ36の出力(Dm )がその切り替り前の出力(0.5Dm )に比べ極端に増大(例えば倍増)することが回避される。従って、第2補正が実行されることで、補正許可領域から補正禁止領域に切り替る前後でPSモータ36の出力差が小さく緩和されるので、ハンドル17を左右に微操作する際に操舵輪16が若干過大に操舵されて蛇行気味の直進走行となる事態が回避され易くなる。よって、ハンドル操作に対する操舵輪16の直進安定性が確保される。これはカーブ走行における直進復帰時に限らず、直進走行中の直進安定性の確保にも当然寄与する。この第2補正については後でもう一度詳述する。
【0059】
図1は、ハンドルノブ位置補正実行時にCPU22が行う手順を示すフローチャートである。なお、S160〜S190が第1補正に、S120,S130が第2補正に相当する。このフローチャートは、例えば2〜50(ミリ秒)の範囲内の所定時間の間隔で繰り返し実行される。
【0060】
まず、ステップ(以下、単にSと記す)100では、ハンドル17を切り返した瞬間か、またはハンドル17の操舵を止めた瞬間か否かを判断する。ハンドル17が切り返されたとき、または操舵を止めたときにはS110に移行し、そうでないときにはS120に移行する。
【0061】
S110では、ハンドル17の位置情報を操舵輪16の位置情報に合わせる。すなわち、CPU22は第1カウンタ45に操舵輪16の切れ角Rから決まるカウンタ換算値Ctをセットする。これにより、差角ΔHが「0」となってPSモータ36の出力が「0」となり、操舵輪16の操舵が止まる。従って、ハンドル17が停止されているにも拘わらず、操舵輪16の操舵が継続されたり、ハンドル17を切り返したにも拘わらず操舵輪16の操舵方向が反転しないような不具合が生じない。
【0062】
S120では、ハンドルノブ18の実ノブ位置Nと、操舵輪16の切れ角Rから決まる目標ノブ位置Noとが一致したか否かを判断する。すなわち、第2カウンタ46のカウント値Cnと、操舵輪16の切れ角Rから決まるカウンタ換算値Ckとが一致したか否かを判断する。実ノブ位置Nが目標ノブ位置Noに一致していればS130に進み、一致していなければS140に移行する。
【0063】
S130では、ハンドル17の位置情報を操舵輪16の位置情報に合わせる。すなわち、CPU22は第1カウンタ45に操舵輪16の切れ角Rから決まるカウンタ換算値Ctをセットする。ハンドル操作中に実ノブ位置Nと目標ノブ位置Noが一致する度に差角ΔHが「0」となって出力指令値Dm が「0」となる。この第2補正の結果、PSモータ36の出力が一瞬停止される。
【0064】
よって、走行時の車両直進性を整えるためにハンドル17を左右に微操作する場合に、PSモータ36が過大に駆動されにくくなり、車両が若干左右に蛇行気味に走行することが抑えられる。特にフォークリフト1をカーブさせた状態から直進状態に復帰させたときに、カーブ走行から直進走行に戻ったときのハンドル操作に対する直進安定性が確保される。もちろん、直進走行時の直進安定性も確保される。
【0065】
S140では、ハンドル17と操舵輪16の差角ΔHを算出する。すなわち、CPU22は第1カウンタ45のカウント値Chを基にしてハンドル17のハンドル角Hを算出するとともに、タイヤ角センサ39からの検出信号を基に決まる切れ角Rからハンドル換算値Htを算出する。そして、CPU22は2つの値H,Htの差をとって、ハンドル17と操舵輪16との間の差角ΔHを算出する。
【0066】
S150では、差角ΔHに応じたPSモータ36の出力指令値Dm を算出する。すなわち、CPU22は差角ΔHに図9の関係から決まる所定係数を乗算して出力指令値Dm を算出する。
【0067】
S160では、ハンドル17の操舵方向を求める。すなわち、CPU22はハンドル角センサ26から入力する位相のずれた2つのパルス信号を比較処理してハンドル操舵方向を検出する。そして、ハンドル17が右操舵されたか、左操舵されたかが検出される。
【0068】
S170では、ハンドルノブ18の実ノブ位置Nと目標ノブ位置Noとの間のハンドル操作方向におけるズレ角Δθを算出する。すなわち、CPU22は第2カウンタ46のカウント値Cnを基にハンドルノブ18の実ノブ位置Nを算出するとともに、操舵輪16の切れ角Rから求まるカウンタ換算値Ckを基にハンドルノブ18の目標ノブ位置Noを算出する。そして、CPU22は図10に示すように、実ノブ位置Nと目標ノブ位置Noとの間においてハンドル17の操作方向の差をとってズレ角Δθを算出する。
【0069】
S180では、ハンドル操作方向のズレ角Δθが180度以内(Δθ≦180度)か否かを判断する。Δθ≦180度が成立するときはS190に移行し、Δθ≦180度が不成立のときはS200に移行する。
【0070】
S190では、PSモータ36の出力指令値Dm に補正低減係数Kを乗算する。本例では、PSモータ36への出力指令値Dm に「0.5」が乗算され、その乗算結果として50%軽減された出力指令値Dm が得られる。
【0071】
S200では、出力指令値Dm をPSモータ36に出力する。つまり、補正低減係数Kが乗算された出力指令値Dm が出力されたときには、ハンドル操作の割にPSモータ36の出力が小さく抑えられ、PSモータ36が相対的に低速で回転する。この結果、ハンドル17の操作速度に対して操舵輪16の操舵速度が通常時(補正禁止時)より遅れることになり(例えば通常操舵速度に比べ約半減)、ハンドル17の空転状態が作り出される。これにより実ノブ位置Nが目標ノブ位置Noに追いつくことでハンドルノブ18の位置ずれが解消される。一方、補正低減係数Kが乗算されない出力指令値Dm が出力されたときには、通常の駆動力でPSモータ36が駆動される。
【0072】
例えば図12に示すようにコーナを曲がるときのカーブ走行時におけるハンドルノブ位置補正について説明する。図14は、カーブ走行時における仮出力指令値Dm 、補正低減係数K、最終出力指令値Dm の変化の様子を示すグラフである。ここで、仮出力指令値Dm とは、差角ΔHから図9に示す関係を用いて求められる値を指し、最終出力指令値Dmとは仮出力指令値Dm に補正低減係数K(但しK=1を含む)を乗算して得られる値を指す。なお、出力指令値Dm のグラフ中、「+」表記がハンドル右操舵に対応するモータ右回転(正転)、「−」表記がハンドル左操舵に対応するモータ左回転(逆転)を示す。
【0073】
例えば車両が直進走行している状態から図12に示すように右折する場合、まずハンドル17が右操舵される。直進走行時の第1カウンタが「0」であったとすると、この右操舵の開始ととも第1カウンタ45の値Chはカウントダウンされる。ハンドル17が操作されてΔHが大きくなるに連れて図9の関係に示されるように出力指令値Dm も増大する。例えば図14に示すように右操舵時は、同図(a)に示すような出力指令値Dm が得られる。
【0074】
ハンドル17を右操舵するときにノブずれが発生するが、ハンドル操作方向のズレ角Δθが180度を超えているうちはハンドルノブ位置補正は実行されない。よって、補正低減係数K=0.5は乗算されず、K=1に相当する出力指令値Dm が指令される。
【0075】
そして、ハンドル17を切り返した瞬間、第1カウンタ45に切れ角Rから決まるカウンタ換算値CtがセットされることによりΔHが「0」となる。よって、この切り返しの瞬間、出力指令値Dm が「0」になってPSモータ36が停止される。そしてハンドル17が左方向へ逆操作されるとΔHが「0」から今度はカウントアップされ、ハンドル17が操作されてΔHが大きくなるに連れて図9の関係に示されるように出力指令値Dm も増大する。この左操舵時は同図(b)に示すような出力指令値Dm が得られる。
【0076】
ハンドル17を切り返した後に戻すときは、実ノブ位置Nから目標ノブ位置No に近回りで向かうハンドル操作方向となってズレ角Δθが180度以下になるので、ハンドルノブ位置補正が実行される。このとき出力指令値Dm は正規値の50%に低減される。そして、ハンドル17を直進状態に戻すと、車体を直進走行の状態に整えるために運転者はハンドル17を左右に微操作する。このとき、実ノブ位置Nが目標ノブ位置No を通過する度に、第1カウンタ45に切れ角Rから決まるカウンタ換算値CtがセットされてΔH=0とされるので、PSモータ36の出力が一瞬切られる。このため、ハンドル操作に対する直進安定性が確保される。このため、図14に示すように直進状態に戻った後のハンドル微操作中は実ノブ位置が目標ノブ位置を通過する度にPSモータ36が一瞬切られる。
【0077】
この際、ハンドル直進微操作中において、実ノブ位置Nが目標ノブ位置Noに接近するときに補正許可領域(K=0.5)にあり、実ノブ位置Nが目標ノブ位置Noを通過し終わると補正禁止領域(K=1)になる。
【0078】
図13は、直進走行時にハンドルを微操作する際の操舵制御を説明するものである。例えばハンドル微操作時に、ハンドル17を同図(a)の左切り返し点HLから同図(e)の右切り返し点HRまで、左操作するときの最終出力指令値Dm は次のように決まる。
(1) ハンドル17を右操舵から左操舵に切り返した時点(左切り返し点HL)で、第1カウンタ45に切れ角Rから決まるカウンタ換算値Ctがセットされるので、ΔH=0となり最終出力指令値Dm =0になる(同図(a))。
(2) 実ノブ位置Nが目標ノブ位置Noに接近する過程は、補正許可領域なので、切り返し点HLをΔH=0として増加する差角ΔHの値から決まる出力指令値DmにK=0.5を乗算して最終出力指令値「0.5Dm 」が得られる(同図(b))。
(3) 実ノブ位置Nが目標ノブ位置Noを通過する際は、両点N,No が一致した瞬間にΔH=0とされるため、最終出力指令値Dm は「0」になる(同図(c))。
(4) 実ノブ位置Nが目標ノブ位置Noから離間する過程は、補正禁止領域なので、実ノブ位置Nが目標ノブ位置Noに一致した時点をΔH=0として増加する差角ΔHの値から決まる出力指令値「Dm 」がそのまま最終出力指令値になる(同図(d))。
(5) ハンドル17を左操舵から右操舵に切り返す時点(右切り返し点HR)で、第1カウンタ45にそのときの切れ角Rから決まるカウンタ換算値Ctがセットされるので、差角ΔH=0となり最終出力指令値Dm =0になる(同図(e))。
【0079】
図15は、第2補正が、直進操作安定性を保証できる理由を説明するグラフである。同図(a)が第2補正を実施した例、同図(b)が第2補正を実施しない例である。。
【0080】
第2補正を実施しない場合、例えばハンドル左操作過程であれば、左切り返し点HL から右切り返し点HR に至るまでΔHが徐々に増大し、図15(b)の上段に示す山型波形を描くような仮出力指令値Dm が決まる。この際、実ノブ位置Nが目標ノブ位置Noを通過する前は補正許可領域(K=0.5)で、通過後は補正禁止領域(K=1)なので最終出力値Dm は同図(b)下段のように上段の山型の前半部分だけが50%低減され、実ノブ位置Nが目標ノブ位置Noを通過すると最終出力指令値Dm が急増する。つまり、補正実施領域と補正禁止領域の境界を挟む前後で最終出力指令値Dm に大きな差が生じる。従って、運転者はハンドル17を微操作しているつもりでも、ハンドル微操作範囲の中程を過ぎて補正禁止領域に入った時点からPSモータ36が過大な出力となって、操舵輪16の切れ角Rが運転者の意図に反して少し過大に切れてしまう。これが蛇行気味の直進走行を引き起こす原因となる。
【0081】
これに対し、第2補正を実施する場合は、例えばハンドル左操作過程で、左切り返し点HL から徐々に増大したΔHは、ハンドル微操作範囲の中程で実ノブ位置Nが目標ノブ位置Noを通過して両者が一致した時点で一旦「0」になり、この時点からΔHは再び「0」から増大することになる。よって、同図(a)の上段に示す小さめの2つの山型波形を描くように仮出力指令値Dm は決まる。点HL から点HR に至る途中で実ノブ位置Nが目標ノブ位置Noを通過する前は補正許可領域(K=0.5)で、通過後は補正禁止領域(K=1)なので最終出力指令値Dm は同図(a)下段のように上段の前半1つの山型だけが50%低減される。しかし、後半1つの山型がもともと小さめなので、補正実施(許可)領域と補正禁止領域の間で最終出力指令値Dm に大きな差が生じにくくなる。このため、実ノブ位置Nが目標ノブ位置Noを通過した後の出力指令値Dm の増加割合が緩和され、補正実施領域から補正禁止領域に切り換わる時のモータ出力値の急増特性が緩和される。従って、ハンドル微操作範囲の中程を過ぎた時点から補正禁止領域に入った後も、それまでとPSモータ36の出力が大きく変わらず、運転者の意図通りの直進操作安定性が得られる。
【0082】
このように第2補正によれば、補正許可領域から補正禁止領域に移行する変わり目で、ΔHを零にしてPSモータ36の出力を「0」にすることと、補正禁止領域の出力値を決めるΔHを振り出し「0」に戻す(リセットする)こととの2点の理由により、直進操作安定性が保証される。
【0083】
従って、ハンドル微操作中は実ノブ位置Nと目標ノブ位置Noが一致する度に出力指令値Dm が「0」に落ちるため、実ノブ位置Nが目標ノブ位置Noを通過後もPSモータ36の出力値がさほど急増せず、実ノブ位置Nが目標ノブ位置Noを通過する前後におけるPSモータ36の出力差が小さく緩和される。よって、ハンドル直進微操作中は、ハンドル操作量(差角ΔH)に対する操舵輪16の操舵量(最終出力指令値Dm)が比較的安定するので、直進走行安定性が確保され易くなる。例えばハンドル微操作中に車両が蛇行気味に直進走行する不都合を防止できる。特にカーブを曲がり終えて直進状態に戻す際は、車体を直進姿勢に整えるためにハンドル17を微操作するが、このとき少ないハンドル微操作で比較的スピーディに安定な直進状態に復帰できる。
【0084】
従って、この実施形態では以下のような効果を得ることができる。
(1)ハンドルノブ位置補正が実行される際は第1補正が実行され、出力指令値Dm が所定割合(K=0.5)だけ低減される。よって、ハンドルノブ位置補正中であっても、PSモータ36の出力を零にする訳でないので、操舵輪16の保持力が確保される。全油圧式操舵装置であればステアリングシリンダ中の作動油の存在により操舵輪の保持力がある程度確保されるが、全電気式操舵装置ではPSモータ36の停止中は操舵輪16の保持力が確保されにくい。しかし、PSモータ36の出力を零とはせず通常の半分は出力するので、操舵輪の保持力が確保される。従って、ハンドルノブ位置補正実行中に操舵輪16が石などを踏んで外力が加わっても、操舵輪16の切れ角Rが変化する事態は回避でき、ハンドルノブ位置補正を実行することに起因する車体2の不安定化を防止できる。
【0085】
(2)ハンドル操作中は第2補正が実行され、実ノブ位置Nが目標ノブ位置No に一致すると、PSモータ36の出力指令値Dm を「0」とし、PSモータ36を停止する。ハンドル操作中に補正禁止状態から補正許可状態に切り替わって出力指令値が0.5Dm からDm に倍増しても、この切り替り時にPSモータ36が一瞬停止することで、切り替り前後におけるPSモータ36の出力差が小さく緩和される。よって、ハンドル操作に対する直進安定性が確保される。例えばカーブを終了して直進状態に復帰したときに蛇行気味の直進走行となる事態を回避し易い。
【0086】
(3)さらに第2補正では、ハンドル操作中に補正禁止状態から補正許可状態に切り替わる際に第1カウンタ45の処理によりΔH=0にするので、切り替わり前後におけるPSモータ36の出力差をより一層小さく緩和できる。この結果、ハンドル操作に対する直進安定性が一層確保され易い。
【0087】
(4)ハンドル17の操作停止時や切り返し時には、第1カウンタ45に切れ角Rに応じたカウンタ換算値Ctをセットするので、差角ΔHが零になってPSモータ36の出力が落とされる。よって、ハンドル操作停止時またはハンドル切り返し時は、それまで操舵されていた操舵輪16が停止される。このため、ハンドル17を回し過ぎてもその操作量に見合った分だけ操舵輪16が操舵されてしまうことはなく、ハンドル17の操作を停止させればハンドル操作停止と同時に操舵輪16を停止させることができる。そのため、ハンドル17の操作を停止したにも拘わらず、その操作量に見合った角度量だけ操舵輪16が操舵されてしまって、操舵輪16がハンドル操作停止直後しばらく動き続けるなどの不都合を回避することができる。また、ハンドル切り返し時はハンドル17を切り返したと同時に操舵輪16が直ちに反転し逆方向に操舵される。
【0088】
(5)ハンドルノブ18のズレ角Δθは、ハンドル一回転単位の相対角度で求められるので、仮に1回転半ずれても半回転のずれ量の補正だけで済む。
(6)ズレ角Δθが180度以内の近回りのときのみ補正をするので、ハンドルノブ補正を実行したことで、却ってずれが拡大することを回避できる。
【0089】
なお、実施形態は前記に限定されず、例えば、次の態様に変更してもよい。
○ 上記実施形態では、実ノブ位置が目標ノブ位置を通過する際にΔHを零にしたが、この時点でΔHを零とはせず、PSモータ36の出力指令値のみを「0」に落とすだけの方法を採用することができる。この場合、図15(b)と同じで仮出力指令値をとるが、最終出力指令値は同図(b)の下段のグラフにおいて補正領域から補正禁止領域への変わり目で出力指令値が「0」に落ちるので、その後の指令値は高いものの、PSモータ36が実際に指令値に見合った出力を発揮できるまでにはタイムラグができ、補正禁止領域に入った後のPSモータ36の出力が結果的に鈍ることになる。この結果、補正実施から補正禁止への切り替わり前後におけるPSモータ36の出力差が小さく緩和される。
【0090】
○ 補正低減係数Kは一定値(0.5)であることに限定されない。例えば補正低減係数Kを可変の値に設定してもよい。図16に示すように、補正許可領域においてズレ角Δθが減少するに従って比例関係をもって増加する値としてもよい。この設定方法でも、ハンドル位置補正中において出力指令値Dm が所定割合低減されるのみなので、PSモータ36の動力が操舵輪16に少ないながらも伝わるので、操舵輪16の保持力を確保することができる。
【0091】
○ 第1補正の補正許可領域はズレ角が180度以内の時に限定されず、180度以内の任意の値以内の時としてもよい。
○ ハンドルと操舵輪の位置関係のずれが解消されて前記補正禁止領域に移った後に前記出力を小さく制限する制限域を設定してもよい。例えば制限域は直進操作域の範囲内の所定領域にのみ設定する。制限域内の出力を制限する方法としては、上限値を設定しこの上限値を超えない範囲の値に出力を制限する方法、出力を所定割合低減する方法などが挙げられる。出力の制限は直進操作域の範囲内の領域と極く狭い範囲に限られるので、この出力制限がハンドルのずれを助長させることはほとんどない。
【0092】
○ 第2補正は、ハンドルの実位置と操舵輪の切れ角との位置関係のずれが解消された所定時期にPSモータの出力を零にすることに限定されない。単に出力を所定割合低減させるだけでもよい。
【0093】
○ 第2補正の実施時期は、ハンドルの実位置と操舵輪の切れ角との位置関係のずれが解消された時点に限定されない。ずれが解消された時点より少し前後にずれた時期(ずれが解消されたとみなされる時期)であってもよい。また、ずれが許容範囲内に収まったときに補正を止めるように、ハンドルと操舵輪との位置関係の一致条件としてずれの許容範囲を設定している場合は、この許容範囲内の任意のタイミングでPSモータ等の駆動手段の出力を停止または低減する第2補正を実施することができる。もちろん、補正禁止後の出力を小さく導くあるいは直接出力を小さな値に補正することで、ずれが解消されたとみなされて補正領域から補正禁止領域に切り替わった前後における出力差が小さく是正(緩和)されるのであれば、前記許容範囲を多少外れたタイミングで第2補正を実施することも可能である。例えば補正領域で第2補正を実施する、あるいは補正禁止領域で第2補正を実施することも可能である。なお、「出力を小さく導く」とは、補正禁止後の出力に結果的に小さくなるような影響を与える補正を、その事前のタイミングで施して、補正禁止後の出力を結果的に小さく導くことを指す。また、「直接小さな値に補正する」とは、補正禁止後の出力自体を直接小さく補正することを指す。
【0094】
○ 前記実施形態では、ハンドルと操舵輪の位置関係が一致した瞬間のみ第2補正を実施したが、第2補正を行う時期に範囲を持たせてもよい。例えば差角ΔH(≧0)が0°≦ΔH≦2°の範囲にあるときに出力を零または小さく低減する。第2補正を行う時期に範囲を持たせる場合、出力を零にする第2補正とする場合は操舵輪の保持力を確保できるようにその範囲をある程度狭くしておくことが好ましい。これに対し、出力を零にすると操舵輪の保持力が確保され難いほど第2補正を行う時期の範囲を広く設定する場合は、一瞬零になることは構わないが、出力を小さく低減するだけに留める第2補正とすることが好ましい。もちろん、この範囲は、角度(量)で定めるのではなく、時間で定めてもよい。
【0095】
○ ハンドル操作速度に応じた出力に決める構成でも、ずれが解消されたとみなされて補正領域から補正禁止領域に切り替わった時期に、ハンドル操作速度がある値をとっても出力を強制的に零または低減させることをすれば、第2補正は実施可能である。
【0096】
○ 第2補正は、出力(出力指令値)を決めるパラメータである差角ΔHを零にリセットする方法に限定されない。例えば差角ΔHを第2補正用に予め設定された初期値にリセットする方法でも構わない。この場合、図15(a)の出力指令値Dmは「0」にならず初期値Do(>0)になる。但し、初期値は、ハンドルの直進微操作中に補正がかかったときの出力値よりも小さな値になるように設定する。例えば初期値は、それまでの補正中の低減割合よりも小さな低減割合に設定された可変の値に設定することもでき、前記実施形態では補正中の補正低減係数K=0.5よりも小さな係数KoをDm値に乗算した値Doとする(初期値Do=Ko・Dm、但しKo<0.5)。
【0097】
○ 第2補正は、PSモータ等の駆動手段の出力値を決めるパラメータ(例えば差角ΔH)を変える処理(例えばリセット)ではなく、パラメータとは独立にただ単純にハンドルと操舵輪の位置関係が一致した所定時期に駆動手段の出力を一瞬停止または低減させる処理を行うものでもよい。
【0098】
○ ハンドル位置補正は、操舵輪16の切れ角Rから求まる目標ノブ位置にハンドル17の実ノブ位置を近づける方式に限定されない。例えばハンドル17のハンドル角から目標タイヤ角を求め、実タイヤ角を目標タイヤ角に近づける方式を採用してもよい。
【0099】
○ ハンドル17の実ノブ位置Nと目標ノブ位置Noは0〜360度の相対角度で算出されることに限定されず、絶対角度で算出されてもよい。例えば、本例では実ノブ位置Nと目標ノブ位置Noが−1080度〜+1080度の範囲内の絶対角度で算出されてもよい。
【0100】
○ 全電気式操舵装置は、ハンドル角Hとハンドル換算値Htとの差角ΔHに基づき操舵輪16を駆動する出力指令値を決める構成に限定されない。例えばハンドル操作速度からPSモータ36の出力指令値を決める駆動方式を採用してもよい。すなわち、ハンドル操作速度に基づき出力指令値Dm を算出し、その出力指令値Dm に応じた駆動力でPSモータ36を駆動することで操舵輪16を操舵する。
【0101】
○ ハンドル位置補正装置が適用される操舵装置は全電気式に限らない。例えばハンドルの操作量に応じた作動油をステアリングシリンダ(PSシリンダ)に供給して操舵輪を操舵する全油圧式操舵装置にハンドル位置補正装置を適用することもできる。但し、第2補正を適用する構成に限る。例えば第2補正を実行する時期に電磁制御弁を開弁するとともにその開度を補正時の開度よりも大きくする。例えば電磁制御弁を全開にする。なお、この全油圧式操舵装置の場合、駆動手段はステアリングシリンダにより構成され、補正手段は、作動油を還流させるための電磁制御弁、及び電磁制御弁を制御するコントローラ等により構成される。
【0102】
○ ハンドル17にはハンドルノブ18が必ずしも設けられていることに限らず、ハンドル17にノブがないものでもよい。
○ 産業車両はオーダーピッキング型フォークリフト1に限定されず、カウンタバランス式やリーチ式等の他の様式のフォークリフトでもよい。また、本例のハンドルノブ位置補正制御は産業車両に用いることに限らず、自動車等の車両に用いてもよい。
【0103】
前記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を、以下に記載する。
(1)前記第2補正手段による第2補正は、前記補正禁止後の出力を小さくする。
【0104】
(2)前記第2補正手段による第2補正は、補正禁止後の出力を小さく導く補正、または補正禁止後の出力を小さく低減させる補正である。
【0105】
(3)前記第2補正手段による第2補正は、補正禁止状態に切り替った後の前記駆動手段の出力を直接もしくは間接的に小さくするものである。なお、「間接的に」とは、「結果的に」程度の意味である。
【0106】
(4)前記第2補正手段による前記第2補正は、前記ハンドルの実位置と前記切れ角との位置関係が一致したときの前記駆動手段の出力を、該一致前後の各出力より小さくする補正である。
【0107】
(5)前記パラメータは、前記ハンドルの実位置と前記操舵輪の切れ角との位置関係の差角である。
(6)ハンドル操作方向を検出する操作方向検出手段を備え、前記補正手段は、前記ハンドル操作方向が、前記実位置から前記目標位置に近回りで至る方向であれば補正を実行する。
【0108】
(7)前記補正手段は、前記各検出手段により検出された前記ハンドルの実位置と前記切れ角との位置関係のずれを検出すると、前記ハンドル操作に応じて決まる前記駆動手段の出力を所定割合低減させるように該駆動手段を制御して前記ハンドルの空転状態を作り出すことにより前記ずれを小さくするように前記ハンドルの実位置を補正する。
【0109】
(8)前記駆動手段は電気式駆動手段であって、前記操舵装置は全電気式操舵装置である。
(9)前記駆動手段は油圧式駆動手段であって、前記操舵装置は全油圧式操舵装置である。なお、駆動手段は、ステアリングシリンダにより構成され、補正手段は、コントローラ、電磁制御弁等により構成される。
【0110】
(10)前記ハンドル位置補正装置を備えた産業車両。
(11)前記技術的思想(10)において、前記産業車両は、車体に対して運転台が昇降するオーダーピッキング型である。
【0112】
【発明の効果】
以上詳述したように各請求項に記載の発明によれば、ハンドルと操舵輪との位置関係が一致して補正状態から補正禁止状態に切り替わった前後における駆動手段の出力差が第2補正によって小さく緩和されるので、例えばハンドル操作の直進安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 一実施形態におけるハンドルノブ位置補正の実行手順を示すフローチャート。
【図2】 オーダーピッキング型フォークリフトの斜視図。
【図3】 フォークリフトの概略構成を示す模式側面図。
【図4】 フォークリフトの電気的構成図。
【図5】 (a)はハンドル角センサの構成図、(b)はハンドル角センサから出力される信号波形図。
【図6】 PSモータの出力指令値の計算方法を説明する説明図。
【図7】 ハンドルノブ位置補正制御を説明する説明図。
【図8】 (a)はハンドルと操舵輪に差角が生じたときの説明図、(b)はその差角を無くす処理の説明図。
【図9】 差角とモータ出力指令値との関係を示すグラフ。
【図10】 (a)はズレ角が180度以内のときの状態図、(b)はズレ角が180度を超えるときの状態図。
【図11】 ズレ角と補正低減係数の関係を示すグラフ。
【図12】 車両がカーブ走行したときの動作図。
【図13】 ハンドル微操作中における第2補正を説明する説明図。
【図14】 カーブ走行過程における出力指令値の変化を示すグラフ。
【図15】 (a)は第2補正の原理説明をする出力指令値のグラフ、(b)は第2補正を実施しない場合の出力指令値のグラフ。
【図16】 別例におけるズレ角と補正低減係数の関係を示すグラフ。
【図17】 従来技術におけるパワーステアリング装置の概略構成図。
【図18】 従来技術における全電気式操舵装置を備えたオーダーピッキングトラックの概略構成図。
【符号の説明】
1…車両としてのフォークリフト、2…車体、4…運転台、16…操舵輪、17…ハンドル、21…コントローラ、22…補正手段、第2補正手段、リセット手段及び操舵輪保持手段を構成するCPU、26…ハンドル位置検出手段を構成するハンドル角センサ、36…駆動手段、電気式駆動手段及び電動機としてのPSモータ、39…切れ角検出手段を構成するタイヤ角センサ、45…第2補正手段及びリセット手段を構成する第1カウンタ、46…ハンドル位置検出手段を構成する第2カウンタ、R…切れ角、N…実位置としての実ノブ位置、No…目標位置としての目標ノブ位置。

Claims (8)

  1. ハンドルの実位置を検出するハンドル位置検出手段と、操舵輪の切れ角を検出する切れ角検出手段と、操舵輪を駆動する駆動手段とを備え、ハンドル操作に応じた出力が得られるように前記駆動手段を駆動させる操舵装置において、
    前記各検出手段により検出された前記ハンドルの実位置と前記切れ角との位置関係のずれを検出すると、前記ハンドル操作に応じて決まる前記駆動手段の出力を停止または低減させることにより前記ハンドルの空転状態を作り出して前記ずれを小さくするように前記ハンドルの実位置を補正する補正手段と、
    前記ハンドルの実位置と前記切れ角との位置関係が一致して前記補正手段による実行内容が補正状態から補正禁止状態に切り替わる前後における前記駆動手段の出力差を小さく緩和する第2補正を前記駆動手段の出力に与える第2補正手段と
    を備えている操舵装置におけるハンドル位置補正装置。
  2. 前記第2補正手段による前記第2補正は、前記駆動手段の補正禁止後の出力を小さく導く出力変化をその事前のタイミングで前記駆動手段の出力に与える補正である請求項1に記載の操舵装置におけるハンドル位置補正装置。
  3. 前記第2補正手段による前記第2補正は、前記ハンドルの実位置と前記切れ角との位置関係が一致した前後の補正状態と補正禁止状態の各出力より小さな値の出力に補正する補正である請求項2に記載の操舵装置におけるハンドル位置補正装置。
  4. 前記第2補正手段は、前記ハンドルの実位置と前記切れ角との位置関係が一致したことを検出したときに、前記駆動手段の出力を低減または停止させる請求項1〜のいずれか一項に記載の操舵装置におけるハンドル位置補正装置。
  5. 前記第2補正手段は、前記ハンドルと操舵輪の位置関係が一致してずれが解消される所定時期に、前記ハンドル操作に応じた前記駆動手段の出力値を決めるために用いられるパラメータを零または第2補正用の初期値にリセットするリセット手段を備えている請求項〜4のいずれか一項に記載の操舵装置におけるハンドル位置補正装置。
  6. 前記ハンドル位置検出手段は、前記ハンドルの実位置をハンドル一回転単位における相対角度で検出し、
    前記切れ角を前記ハンドルの相対角度に換算した目標位置を求める目標位置演算手段を備え、
    前記補正手段は、前記実位置と目標位置との相対角度でのずれを小さくするように前記駆動手段を制御する請求項〜5のいずれか一項に記載の操舵装置におけるハンドル位置補正装置。
  7. 前記駆動手段は電動機であり、前記ハンドルが操作されていないときに前記操舵輪が変位して前記切れ角がずれたことを検出すると、前記操舵輪の切れ角の前記変位分のずれを解消するように前記電動機を駆動させる操舵輪保持手段を備えている請求項1〜6のいずれか一項に記載の操舵装置におけるハンドル位置補正装置。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のハンドル位置補正装置を備えた操舵装置を装備する車両
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