JP3987806B2 - 締固め機械 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、転圧ロールを有する締固め機械に関するものであり、特に、転圧時に転圧ロールを加熱する舗装用の締固め機械に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
アスファルト舗装体を、例えば道路工事現場で施工するとき、アスファルトフィニッシャ等でアスファルト混合物を敷き均した後、所望の締固め密度、平坦性等を得るために、転圧ロールを有する締固め機械により1次転圧、2次転圧が行われている。従来、この転圧作業において、敷き均した直後の高温のアスファルト混合物が、締固め機械の転圧ロールに付着することを防止するために、また、アスファルト混合物と転圧ロールの外周面と剥離性を増加させるために、転圧ロールの外周面に、散水したり、また灯油、軽油等を噴霧をしたり、さらに界面活性剤の希釈溶液を散布していた。
【0003】
しかし、散水する方法では、過剰な量の散水を行ってしまった場合に、敷き均したアスファルト混合物の温度が低下して、転圧後の舗装体の締固め密度が低下、表面の粗面化等が生じてしまうことがあるという問題があった。界面活性剤を使用する場合においても、散水する方法と同様の問題を有していた。そして、これらの水分は、舗装体の内部、または、舗装体層間に残留水となって滞水し、ブリスタリングの発生要因となるという問題があった。
また、灯油、軽油等を噴霧する方法では、過剰な噴霧により、舗装体の表面がカットバックされてしまい、強度が低下してしまうという問題があった。
【0004】
また、近年においては、例えば、ダム等の法面に防水層又は免震層としてアスファルト量の多いアスファルト混合物が施工されたり、コンクリート床版上又は鋼床版上等に防水層、応力緩和層等としてアスファルト量の多いストーンマスチックアスファルト混合物等が施工されている。特に、このようなアスファルト混合物は、転圧後の舗装体が所望の密度、空隙率を有することが重要であるが、アスファルト量が多いために転圧ロールに対する付着性がさらに高くなっており、転圧後の舗装体の表面が乱れて、平坦性が失われ易いという問題を抱えている。
【0005】
このような問題を解決する先行技術としては、転圧ロールの内周面に沿って電気ヒータを配設し、この電気ヒータにより転圧ロールを加熱する締固め機械が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−200313号公報(第3−4頁、第1−7図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した特許文献1に記載された発明では、電気ヒータに電力を供給するために、締固め機械に発電機を搭載するか、又は、締固め機械に配設された電気ヒータと外部の発電機を電気ケーブル等で接続しなければならなく、締固め機械の機動性が悪くなってしまうという問題が生じていた。
【0008】
そこで、本発明は、アスファルト混合物の転圧作業に関して、転圧ロールにアスファルト混合物が付着せず、好適な締固め密度の舗装体を施工することが可能である機動性の良い締固め機械を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する手段として、本発明は、転圧ロールと、前記転圧ロールの内部に前記転圧ロールの内周面から離間して設けられ、前記転圧ロールの内部を加熱して、前記転圧ロールを内側から加熱する燃焼手段と、前記燃焼手段に燃料を供給する燃料供給手段とを備えたことを特徴とする舗装用の締固め機械である。
【0010】
ここで、転圧ロールを有する締固め機械とは、例えば、マカダムローラ、タンデムローラ、コンバインドローラだけでなく、その他の転圧ロールが振動する振動ローラや、小型のハンドガイド式ローラ等を含んだ締固め機械を意味するものとする。
また、前記転圧ロールの内部を加熱して、前記転圧ロールを内側から加熱するとは、転圧ロールの内部を加熱又は保温して、転圧ロールを内側から加熱又は保温することを含んで意味するものとする。
【0011】
このような締固め機械によれば、燃焼手段により転圧ロールの内部を加熱又は保温することにより、転圧ロールの外周面を内側から全体的に加熱又は保温することができる。そして、アスファルト混合物の転圧作業において、アスファルト混合物の温度が低下したり、転圧ロールの外周面にアスファルト混合物が付着したりすることを防止できる。
【0012】
すなわち、転圧作業において、アスファルト混合物を構成するアスファルトに、温度の低い転圧ロールが接触すると、アスファルトの温度が低下して、その粘性が低下する反面、アスファルトの粘着性が増加するために、転圧ロールにアスファルト混合物が付着して、転圧後の舗装表面が乱れてしまうが、このような締固め機械によれば、転圧ロール自体が加熱又は保温されているので、アスファルトの温度低下等を防止することができ、転圧後に所望の締固め密度のアスファルト舗装体を得ることができ、且つ、良好な仕上り舗装表面を得ることができる。
【0013】
また、転圧ロールの内部を加熱又は保温することにより、転圧ロールの外周面を全体的に加熱又は保温することができるので、転圧ロールの外周面には温度分布ができにくくなる。
したがって、燃焼手段は、転圧ロールの内部で、その内周面から一定間隔を保持した状態で、且つ、転圧ロールの内周面の全てにわたって加熱できるように設けることが好ましい。
さらに、散水等を行わないので、施工後の舗装体に水が含まれ、施工後にその水が蒸発して、舗装体表面のふくれ上がり、所謂ブリスタリングが発生したり、アスファルト混合物を構成するアスファルトと骨材との界面に水等が浸入して、施工後の舗装体の剥離抵抗性が低下することを防止することができる。さらにまた、灯油等も使用しないので、過剰散布により施工後の舗装体の強度が低下することを防止できる。
【0014】
さらにまた、このような締固め機械は、燃焼手段と燃料供給手段を備えるので、機動性が高く、締固め機械は独立して転圧作業を行うことができる。
【0015】
また、前記締固め機械において、前記燃焼手段に供給された前記燃料に燃焼を開始させる点火手段と、前記燃焼手段で燃焼する前記燃料の燃焼状況を検出する燃焼状況検出手段と、前記燃焼を制御する燃焼制御手段とを備え、前記燃焼制御手段は、前記燃焼状況検出手段により、前記転圧ロールの加熱開始時に前記燃焼手段に点火しないことを検出した場合、又は点火後に前記燃焼手段での失火を検出した場合に、前記点火手段を作動させて、再度燃焼を開始するように点火の制御をすることを特徴とする締固め機械である。
【0016】
このような締固め機械によれば、燃焼状況検出手段により、転圧ロールの加熱開始時に燃焼手段に点火しないことを検出、又は点火後に燃焼手段での失火を検出すると、燃焼制御手段は、点火手段に再度燃焼を開始するように制御するので、確実に転圧ロールを加熱又は保温することができる。
【0017】
また、前記締固め機械において、前記燃料供給手段から前記燃焼手段への前記燃料の供給量を調節する燃料供給調節手段を備え、前記燃焼制御手段は、前記再度燃焼を開始するように点火の制御をするため、前記点火手段を予め定められている基準回数、繰り返して作動させるが、前記繰り返しの作動にかかわらず、点火に失敗した場合は、前記燃料供給調節手段が、前記燃料の供給を停止するように制御可能となっていることを特徴とする締固め機械である。
【0018】
このような締固め機械によれば、転圧ロールの加熱開始時に燃焼手段に点火しないことを検出、又は点火後に燃焼手段での失火を検出すると、燃焼制御手段が繰り返して点火手段を基準回数、繰り返して作動させることにより、確実に燃焼手段に点火して、転圧ロールを加熱又は保温することができる。また、この繰り返した点火手段の作動にかかわらず、点火に失敗した場合には、燃焼制御手段は、燃料供給手段から燃焼手段に供給される燃料の量を調節する燃焼供給調節手段に、燃料の供給を停止するように制御するので、過剰な燃料の爆発、燃料漏れ等の危険を回避することができる。
【0019】
また、前記締固め機械において、前記転圧ロールの外周面の温度を測定する転圧ロール外周面温度測定手段を備え、前記転圧ロールの外周面の温度を予め定められている設定温度と一致させるように構成したことを特徴とする締固め機械である。
【0020】
ここで、予め定められている設定温度とは、アスファルト混合物の種類毎によってそれぞれ定められている最適締固め温度を意味する。一般的に、アスファルト混合物を構成するアスファルトの粘性は温度の低下と共に低下するので、温度が低下するとアスファルト混合物自体の粘度も低下し、施工現場に敷き均したアスファルト混合物を締固め機械により、好適に締固めることができない等の問題が生じる。一方、逆にアスファルト混合物の温度が、最適締固め温度より高い場合は過転圧となってしまい、例えば空隙の多い排水性混合物においては、この過転圧により空隙がつぶれてしまい、施工後に本来の機能を発揮できない場合がある。よって、通常はアスファルト混合物の種類毎に、予め最適締固め温度、さらに詳細には、1次転圧温度、2次転圧温度等がそれぞれ設定されており、各転圧作業時おいて、これらの温度で締固めることが好ましい。
【0021】
したがって、このような締固め機械によれば、転圧ロールの外周面の温度を、予め定められている設定温度と一致させることにより、好適な転圧温度でアスファルト混合物を締固めることができる。また、過剰な温度での転圧による、アスファルト混合物を構成するアスファルトの劣化、及びアスファルトの粘度の過剰な上昇によるアスファルトのダレを防止することができ、転圧後に所望のアスファルト舗装体を得ることができる。
【0022】
また、前記締固め機械において、前記転圧ロール内の温度を測定する転圧ロール内温度測定手段を備え、前記転圧ロール内温度測定手段により異常高温が測定された場合に、前記燃焼制御手段は、前記燃料供給手段を前記燃料の供給を停止するように制御することを特徴とする締固め機械である。
【0023】
ここで、異常高温とは、軸受等の転圧ロールの駆動系機構を破壊するおそれのある高い温度を意味する。
【0024】
このような締固め機械によれば、転圧ロール内温度測定手段により異常高温を測定された場合に、前記燃焼制御手段は前記燃料供給手段を前記燃料の供給を停止して消火するように制御することにより、軸受等の転圧ロールの駆動系機構を保護することが可能である。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。
【0026】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る締固め機械について、図1から図6を参照して説明する。
参照する図面において、図1は、第1実施形態に係る締固め機械の側面図である。図2は、第1実施形態に係る締固め機械の正面図である。図3は、第1実施形態に係る締固め機械の前方の転圧ロールの要部を拡大した断面図である。図4は、図3に示す第1実施形態に係る締固め機械の転圧ロールのX−X断面図である。図5は、第1実施形態に係る締固め機械の転圧ロールの燃焼制御システムの構成を示すブロック図である。
【0027】
(構成)
第1実施形態に係る締固め機械1は、図1に示すように、前部車体38と後部車体39とが、中央のセンターピン40を介して旋回自在に連結されて構成されている。前部車体38と後部車体39には、転圧ロール2、2がそれぞれ設けられており、また、後部車体39の前方には操縦ハンドル41が設けられており、その後方に運転席Cが設けられている。
なお、図1に示す第1実施形態に係る締固め機械1は、ダム等の法面転圧用のため、後方の転圧ロール2のレベルを下げて構成されたものであるが、本発明はこれに限定されることはなく、一般的な平坦面で転圧作業をする締固め機械にも、もちろん適用可能である。また、第1実施形態に係る締固め機械1は、法面転圧用のために、車体後方の転圧ロール2のレベルを下げて構成したが、その他に例えば、エンジンマウント(図示しない)及び後記するガスボンベ等を傾斜させて、法面施工用に対応しても良い。
さらに、第1実施形態に係る締固め機械1は、前後の転圧ロール2、2が振動する振動ローラに、燃料供給手段と、燃焼手段と、点火手段と、燃焼状況検出手段と、燃焼制御手段と、燃料供給調節手段と、転圧ロール外周面温度測定手段と、転圧ロール内温度測定手段を付加して構成されたものである。
【0028】
まず、前部車体38に設けられている転圧ロール2について、図1〜図3を参照して説明する。なお、後部車体39に設けられている転圧ロール2の構成も同様であるので、その説明は省略する。
【0029】
転圧ロール2は、図3に示すように、ドラム50と、鏡板48、49と、軸部材35、36とから構成されている。これらは例えば鉄を主成分とする鋼等の材料から形成されており、後記するように転圧ロール2の内部に設けられたラインバーナ11で加熱されて、転圧ロール2の外部に好適に熱が伝達するようになっている。
【0030】
ドラム50は、略円筒体を呈しており、外周面が転圧面である。そして、ドラム50の両端の開口には、リング状の縁50a、50aがそれぞれ設けられており、後記する鏡板48、49と結合できるようになっている。
なお、本明細書中においては、ドラム50の転圧面を、転圧ロール2の転圧面と呼ぶこともある。同様に、ドラム50の内周面を転圧ロール2の内周面と呼ぶこともある。
【0031】
鏡板48は、中央に貫通孔48aを有する薄板のリング状を呈しており、ドラム50の一方の縁50aに例えばボルト等で結合されている。鏡板49も鏡板48と同様の形状をしており、ドラム50の他方の縁50aに結合されている。
また、鏡板49には、図1に示すように、適宜な大きさの空気流通孔53が、転圧ロール2の回転軸を中心として略90°間隔で4箇所にそれぞれ形成されており、後記するラインバーナ11で燃焼するために、酸素を含んだ空気を外部から転圧ロール46内に取り込み、また、燃焼後のガスを外部に排出できるようになっている。なお、鏡板49と反対側の鏡板48についても同様であり、後方の転圧ロール2についても同様に空気流通孔53が形成されている。
【0032】
軸部材35は、円筒部35aと、この円筒部35aの一方の端に形成されたフランジ部35bとが、一体的に形成された部材である。そして、略円筒部35aが転圧ロール2の軸線上の外側となるようにして、フランジ部35bが鏡板48の貫通孔48aに挿通された状態でボルト等で結合されている。軸部材36も軸部材35と同様の形状であり、そのフランジ部36bは鏡板49に結合されている。
【0033】
また、軸部材35の円筒体部35aは、ラジアル転がり軸受51、51(以下、単に「軸受」と呼ぶ。)の内輪の内周面と嵌合しており、軸受51、51の外周面は、略円筒体のハブ32の内周面に嵌合している。同様に、軸部材36の円筒体部36aは軸受52、52の内輪の内周面と嵌合し、軸受52、52の外輪の外周面は、略円筒体のハブ33の内周面に嵌合している。
そして、ハブ32及びハブ33は、図示しない前部車体38によりそれぞれ支持されている。したがって、転圧ロール2は、軸受51、51、52、52を介して前部車体38に回転自在に軸支されている。
【0034】
さらに、軸部材35の略円筒体部35aには、駆動スプロケット26が固定されている。一方、図2に示すように、前部車体38の側部に、走行モータ24が設けられており、その回転軸に走行モータスプロケット25が固定されている。そして、図2、図3に示すように、駆動スプロケット26と走行モータスプロケット25との間には、チェーン27が巻回されている。したがって、走行モータ24が油圧等により回転駆動すると、チェーン27に駆動力が伝達して、転圧ロール2、さらに詳細には、ドラム50と、ドラムの縁50a、50aと、鏡板48、49と、軸部材35、36とが一体的に回転するようになっている。
【0035】
さらにまた、転圧ロール2の内部には、図3に示すように、その回転軸線上に、偏心体12aを有する起振シャフト12が、軸受44、45、46で回転自在に支持されている。そして、起振シャフト12は、振動モータ28に接続しており、振動モータ28が駆動すると、起振シャフト12が回転して、転圧ロール2が振動するようになっている。
【0036】
燃料供給手段は、図1から図3と、図5とに示すように、燃料のプロパンガスを貯蔵したガスボンベ3と、このガスボンベ3から前記燃焼手段までの配管手段とを主要部として連通して構成されており、ガスボンベ3から燃焼手段にガスを供給できるようになっている。
【0037】
ガスボンベ3は、第1実施形態においては公知のものを使用しており、締固め機械1には2基搭載されている。そして、ガスボンベ3は、図2に示すように、前方の転圧ロール2の上方で、前部車体38の左右両側に固定されたガスボンベ支持板4に、帯バンド5でそれぞれ着脱自在に固定されており、締固め機械1の運転・稼動中に脱落しないようになっている。また、各ガスボンベ3には、図1に示すように、元ガス圧調整器29がそれぞれ設けられている。
ガスボンベ3は、入手容易であり、帯バンド5を取り外すことにより容易に取替えることができる。また、施工・転圧面積及び転圧回数に対応して、大型又は小型のガスボンベから適宜選択して使用することも可能である。
【0038】
前記配管手段は、ガスボンベ3側から、図1に示す各ガスボンベ3の元ガス圧調整器29に接続したフレキシブルなガスホース6と、ガス供給調整部と、図3に示す転圧ロール2内部及び軸受51、52の内部に設けられたガス管ブロック7と、このガス管ブロックの前後に配設されたガス管7A、7B、7C、7Dとを主要部として構成されている。
前記したガス供給調整部は、ガスホース6とガス管7Dとの間に設けられており、図5に示すように、ガスホース6側から、供給されるガス中のゴミ及び水分を除去するストレーナ8と、供給ガスの流量を調節する電磁弁9aと、手動式のボールバルブ30と、供給されるガスと圧縮空気とを混合するベンチュリーミキサ10とを含んで構成されている。また、ストレーナ8とボールバルブ30との間には、電磁弁9aを経由するガス流路と並列して、電磁弁9b、ニードルバルブ31を有する別のガス流路が設けられており、詰まり等の異常時に後者の別のガス流路を経由して、ガスを供給できるようになっている。
【0039】
ガスホース6は、その端部が各ガスボンベ3にそれぞれ接続されており、締固め機械1の中央で車体内部に引き込まれた後、転圧ロール2、2の軸受部分付近でストレーナ8に接続されている。
【0040】
転圧ロール2内部及び軸受51、52付近において、ガスの流路は、図3に示すように、ガス管ブロック7とガス管7A、7B、7C、7Dとから構成されている。
【0041】
ガス管ブロック7は、段違いの外周面を有する略円筒体を呈する部材であり、外径が小さい小円筒部7aと、外径が大きい大円筒部7cと、小円筒部7aと大円筒部7cの間の中円筒部7bとが一体的に形成された部材である。
小円筒部7aは、転圧ロール2の軸部材35の円筒部35aに同軸線上で、大円筒部7cが転圧ロール2の内部側となるようにして内装されており、小円筒部7aの開口部は前部車体38から延出するアーム47に固定されている。
また、小円筒部7aは、軸受43の内輪に嵌合しており、中円筒部7bは軸受42の内輪に嵌合している。そして、軸受43、42の外輪は、前記転圧ロール2を構成する軸部材35に嵌合している。
したがって、ガス管ブロック7は、前記したようにアーム47に固定されているが、ガス管ブロック7に外設される転圧ロール2を構成する軸部材35は、軸受43、42により、ガス管ブロック7に対して回転自在となっている。
【0042】
また、ガス管ブロック7の大円筒部7c側の端面には、前記した起振シャフト12の端部を支持する軸受44の外輪が嵌合する凹部が設けられており、起振シャフト12は、ガス管ブロック7に対して回転自在となるように支持されている。
【0043】
ガス管ブロック7の中空部7dは、大円筒部7c側で4股に分岐しており、転圧ロール2の回転軸を中心として90°間隔で4方向にガス流通孔7eが形成されている。すなわち、ガスブロック7に小円筒部7a側から供給されたガスは、中空部7dを経由後、大円筒部7cにおいて各ガス流通孔7eにより4方向に分配されるようになっている。
また、各ガス流通孔7eは、転圧ロール2の回転軸を中心として、略90°間隔で放射状に、且つ、鉛直方向に対してそれぞれ45°傾斜して形成されている(図1、図3参照)。このようにガス流通孔を傾斜して設けることにより、後記するラインバーナ11のガス噴き出し孔11aも対応して傾斜する。したがって、点火時及び燃焼時等に、燃焼後のガスが、転圧ロール2内部の上方に滞留しても、図3に示すように、好適に点火できるようになっている。また、鉛直下側のラインバーナ11のガス噴き出し孔11aも傾斜するので、燃焼時の炎の逆流を防止でき、ラインバーナ11自体が加熱されにくくなっている。
【0044】
各ガス流通孔7eの開口部は、直線型のガス管7Aとそれぞれ接続されており、さらに、その先は略L型、所謂エルボ型のガス管7Bがそれぞれ接続されている。また、各ガス管7Bの開口部は、転圧ロール2の回転軸と平行で、鏡板49の方向をそれぞれ向くように配置されている。
一方、ガス管ブロック7の上流側、つまり、ガスボンベ3側には、略L字型のガス管7Cと、直線型のガス管7Dが順に接続しており、ガス管7Dのさらに上流側つまりガスボンベ3側は、ベンチュリーミキサ10の混合ガスの出口と接続されている。
【0045】
燃焼手段としては、第1実施形態においては、図3、図4に示すように、公知であるスリット状のガス噴き出し口11aを有する4本の棒状のラインバーナ11を使用している。
各ラインバーナ11は、前記したガス管7Bの開口部に、転圧ロール2の回転軸方向と平行になるようにそれぞれ接続されている。
また、各ラインバーナ11のガス管7Bと反対側の端部は、連結部材37aを介して、略十字形を呈する板状の支持部材37bにそれぞれ固定されている(図4参照)。支持部材37bの中央には、前記した起振シャフト12を支持する軸受45の外輪と嵌合する貫通孔が設けられている。
【0046】
各ラインバーナ11のガス噴き出し口11aは、図3、図4に示すように、点火後に炎が外側に向くように配置されており、且つ、点火時に直接炎が転圧ロール2の内周面に接触しないで、転圧ロール2内の空気全体を加熱及び保温するように、転圧ロール2の内周面から離間して設けられている。したがって、各ラインバーナ11に点火されたとき、炎が転圧ロール2の内周面に直接接触して、転圧ロール2が局部的に加熱されることはなく、転圧ロール2内の空気が、全体的に加熱又は保温されるので、転圧ロール2は内側から全体的に加熱又は保温されて、転圧ロール2の外周面に温度勾配が発生しにくくなっている。よって、各ラインバーナ11の長さは、転圧ロール2の内部で回転軸方向で長くなるように設計されることが好ましい。
また、各ラインバーナ11は、転圧ロール2の内部に設けられているので、燃焼中に強風で吹き消されて失火しにくくなっている。
【0047】
点火手段としては、第1実施形態においては、公知であるイグニッションロッド13を使用したが、これに限定されることはなく点火可能であるその他の装置から適宜選択して使用することができる。
イグニッションロッド13は、図3に示すように、各ラインバーナ11のスリット状のガス噴き出し口11aの根元側にそれぞれ取り付けられており、供給されたガスに好適に点火できるようになっている。
【0048】
燃焼状況検出手段としては、第1実施形態においては、公知であるフレームロッド14を使用したが、これに限定されることはなく炎を検出可能であるその他の装置から適宜選択して使用することができる。
フレームロッド14は、図3に示すように、各ラインバーナ11のスリット状のガス噴き出し口11aの根元側にそれぞれ取り付けられており、ラインバーナ11に点火したときに、炎を好適に検出できるようになっている。
また、各イグニッションロッド13と各フレームロッド14の配線は、ガス管ブロック7に形成された配線用穴を通って、転圧ロール2の外部に引き出されている(図示しない)。
【0049】
転圧ロール内温度測定手段としては、第1実施形態においては、公知である熱電対55を使用したが、これに限定されることはなくその他の温度センサから適宜選択して使用することができる。
熱電対55は、軸受42、44、45、46の近傍にそれぞれ設けられており(図3において軸受42、45、46近傍の熱電対55は省略する)、転圧ロール2内の温度、特に軸受42、44、45、46の近傍の温度を測定できるようになっている。また、熱電対55に接続した配線は、前記イグニッションロッド13に接続された配線と同様に、ガス管ブロック7の配線用穴(図示しない)を通って、転圧ロール2の外部に引き出されている。
【0050】
転圧ロール外周面温度測定手段としては、第1実施形態においては、公知である2体の赤外線熱放射温度計15(図1には図示されない)を使用したが、これに限定されることはなく転圧ロール2の外表面の温度測定が可能である例えば熱電対等のその他の温度センサから適宜選択して使用することができる。
赤外線熱放射温度計15(図1には図示されない)は、締め固め機械1の前部車体38及び後部車体39に、それぞれ適宜な手段で固定されており、前後の転圧ロール2、2の外周面の温度を測定できるようになっている。
以上、締固め機械1の前部車体38に設けられた転圧ロール2について説明したが、後方の転圧ロール2も同様の構造となっている。
【0051】
続いて、図5を参照して、第1実施形態に係る締固め機械1の転圧ロール2の燃焼制御システムの構成について説明する。
燃焼制御システムは、燃焼制御手段であるコントローラ16を中心として構成されている。コントローラ16は、ROM、RAM、CPU及びI/O等を中心として構成されたマイクロコンピュータである。また、コントローラ16には後記するような順序で各ラインバーナ11の燃焼を制御できるようなシーケンス制御回路が組み込まれており、さらに、前記ROM又は前記RAMには、イグニッションロッド13及びフレームロッド14を後記するようなタイミングで作動し、ラインバーナ11に点火できるように制御するプログラムが記憶されている。
【0052】
コントローラ16の電気信号入力部は、転圧ロール2の表面温度の基準値となる設定温度の入力を行う転圧ロール加熱設定温度入力部17と、転圧ロール2の外周面の温度を測定する赤外線熱放射温度計15と、ラインバーナ11での燃焼を検出するフレームロッド14と、転圧ロール2内の温度を測定する熱電対55に接続されている。
【0053】
一方、コントローラ16の電気信号出力部は、ガスボンベ3とベンチュリーミキサ10の間に介設され、ガス供給流路の開閉及びガス量を調節をする電磁弁9a、9b(燃料供給調節手段)と、ラインバーナ11に点火するイグニッションロッド13と、オペレータが設定した転圧ロール2の加熱設定温度を表示する設定温度表示部19と、赤外線熱放射温度計15により検出された転圧ロール2の外周面の温度を表示する検出温度表示部20と、ラインバーナ11で燃焼していると点灯し、オペレータに検知させる燃焼ランプ21と、後記するように燃焼制御システムに異常が生じた場合にオペレータに検知させる警報ランプ22及び警報ブザー23と、熱電対55により検出された温度を表示する転圧ロール内軸受温度表示部56にそれぞれ接続されている。
【0054】
コントローラ16は、赤外線熱放射温度計15により検出された検出温度が設定温度付近まで上昇すると、検出温度が一定、すなわち転圧ロール2の外周面を保温できるように、電磁弁9a又は9bの開閉度を調節して、ガス量を調節できるようになっている。
また、コントローラ16は、熱電対55により検出された温度が異常高温であると、電磁弁9a又は9bを閉じて、ガスの供給を停止し、消火するようになっている。
なお、電磁弁9a、9bが、特許請求の範囲における燃料供給調節手段に相当する。但し、燃料供給調節手段は電磁弁9a、9bに限定されることはなく、その他に例えば、単にコック等を使用しても良い。
そして、この燃焼制御システムは、コントローラ16に接続される加熱作動ボタン18のON又はOFFにより、作動又は停止する。
【0055】
コントローラ16は、図1に示す運転席Cの周りに配設されている。
一方、転圧ロール設定温度入力部17、加熱作動ボタン18、設定温度表示部19、検出温度表示部20、燃焼ランプ21、警報ランプ22、警報ブザー23及び転圧ロール内軸受温度表示部56は、図1に示す運転席C前の計器盤Kに配置されている。したがって、オペレータは、運転席Cから遠隔的に転圧ロール2、2を加熱操作できるだけでなく、計器盤Kに集中して配設されているので、例えば速度計等のその他の計器と合わせて集中的に転圧ロール2の加熱・保温状況を管理することができるようになっている。
【0056】
また、後記するように、燃焼制御システムに異常が生じた場合は、警告ランプ22が点灯し、警告ブザー23が警告音を発するようになっている。よって、異常時にオペレータは、警告ランプ22の点灯を視認すると共に、警告ブザー23が発する警告音を可聴できる。
また、燃焼ランプ21、警報ランプ22及び警報ブザー23は、締固め機械1のオペレータだけでなく、締固め機械1の周囲で作業をする作業員に注意を促すように締固め機械1の車体前後等に設けても良い。
【0057】
このように、第1実施形態に係る締固め機械1は、ラインバーナ11(燃焼手段)と、ガスボンベ3及びこれに付随する配管手段(燃料供給手段)と、イグニッションロッド13(点火手段)と、フレームロッド14(燃焼状況検出手段)と、コントローラ16等(燃焼制御手段)と、電磁バルブ9a(燃料供給調節手段)と、赤外線熱放射温度計15(転圧ロール外周面温度測定手段)と、熱電対55(転圧ロール内温度測定手段)を締固め機械1自体に搭載しているので、機動性が高く独立して転圧作業を行うことができる。
【0058】
(作用と効果)
続いて、図6を参照しながら、第1実施形態に係る締固め機械1の作用と効果について説明する。図6は、第1実施形態に係る締固め機械1の運転方法を示すフローチャートである。
【0059】
例えば、ダムの法面にアスファルト混合物を、アスファルトフィニッシャ(図示しない)で敷き均した後に、第1実施形態に係る締固め機械1で1次転圧を行う場合について説明する。
まず、敷き均したアスファルト混合物の種類に基づいて、転圧ロール設定温度入力部17で、最適1次転圧温度(設定温度)を入力する(S1)。この入力した最適1次転圧温度は、転圧ロール2の設定温度として、図5に示すコントローラ16に記憶されて、設定温度表示部19に表示される。そして、オペレータは、図1に示す元ガス圧調整器29を所定圧に調節した後、図5に示すボールバルブ30を開く。
その後、加熱作動ボタン18をONにし、転圧ロール2の燃焼制御システムを作動する(S2)。
【0060】
加熱作動ボタン18がONになると、図5に示すコントローラ16から電磁弁9aに電気信号が送られて電磁弁9aが開いて、ベンチュリーミキサ10にガスボンベ3からガスが供給される。そうすると、ベンチュリーミキサ10でガスと図示しない圧縮機から送り込まれた圧縮空気とが混合された後に、その混合ガスがラインバーナ11に供給される。その後、コントローラ16からイグニッションロッド13に電気信号が送られて、イグニッションロッド13が作動し、所定時間(例えば、8秒間)点火が試みられる(S3)。
【0061】
イグニッションロッド13により点火を試みた後、一旦イグニッションロッド13の作動、つまり点火を停止し、フレームロッド14で実際にラインバーナ11に点火したか否かを所定時間(例えば、3秒間)検出する。そして、その検出結果は、フレームロッド14からコントローラ16に電気信号として送られる(S4)。
ラインバーナ11に点火していることが検出された場合(S4、Yes)には、その後も、継続してラインバーナ11に点火しているか、すなわち、失火していないかをフレームロッド14で検出する(S5)。
【0062】
継続してラインバーナ11に点火していることが検出された場合(S5、Yes)には、転圧ロール2の設定温度が、転圧ロール2の外周面の温度を測定する赤外線熱放射温度計15で検出された検出温度より高いか否かを判断する(S6)。
前記転圧ロール2の設定温度が、前記検出温度より高い場合(S6、Yes)には、ラインバーナ11での燃焼を継続する。その後、オペレータは、締固め機械1で継続して転圧する場合には、そのまま転圧作業を継続し(S7、Yes)、熱電対55により、異常燃焼により転圧ロール2内の軸受42、44、45、46が異常高温となっていないかを判断する(S20)。
軸受42、44、45、46の耐熱温度が、熱電対55で検出された温度より高い場合(S20、Yes)は、コントローラ16は、再び、フレームロッド13で、継続してラインバーナ11に点火しているか判断する(S5)。一方、熱電対55により検出された温度が、軸受42、44、45、46の耐熱温度以上の場合(S20、No)は、コントローラ16は、転圧ロール2内が異常高温であるとして、転圧ロール2の駆動系機構を保護するために、電磁弁9aを閉じるように制御して、自動的に消火する(S9)。
オペレータが転圧作業を終了する場合(S7、No)には、加熱作動ボタン18をOFFにする(S8)。そうすると、コントローラ16により電磁弁9aが閉じられて、消火されて(S9)、燃焼制御システムの作動が終了する。
【0063】
また、ラインバーナ11に点火後、継続して点火していることが確認されて(S5、Yes)、赤外線熱放射温度計15で検出された転圧ロール2の外周面の温度が、設定温度より高いと判断された場合(S6、No)、コントローラ16は電磁弁9aを閉じるように制御し、一旦消火する(S17)。
【0064】
その後、コントローラ16は、ラインバーナ11での燃焼の停止により、検出温度が設定温度より低下したか否かを継続的に判断する(S18)。検出温度が設定温度より低下したと判断された場合(S18、Yes)には、再びイグニッションロッド13がONとなり点火を試みる(S3)。一方、検出温度が設定温度以上であると判断された場合(S18、No)には、消火状態を維持し、オペレータは継続して転圧作業する場合には、検出温度が設定温度より低下するまでそのまま作業を続ける(S19、Yes)。
【0065】
一方、オペレータが締固め機械1による転圧作業の終了、又は、燃焼制御システムの作動の停止する場合には、加熱作動ボタン18をOFFにする(S8)。そうすると、コントローラ16により、電磁弁9aが閉じられ、ラインバーナ11から消火されて(S9)、転圧ロール2の燃焼制御システムの作動が終了する。
【0066】
前記したフレームロッド14による未点火又は失火の検出、すなわち、加熱開始時、ラインバーナ11に現に未点火が検出された場合(S4、No)と、一旦点火した後に失火が検出された場合(S5、No)には、コントローラ16は、再度イグニッションロッド13に所定時間(例えば、8秒間)点火を試みるように電気信号を送る(S10)。前記所定時間(例えば8秒間)後に、ラインバーナ11に現に点火したか否かをフレームロッド14で所定時間(例えば、3秒間)、再び検出し(S11)、点火した場合(S11、Yes)には、継続してラインバーナ11に点火しているかを判断する(S5)。一方、点火しなかった場合(S11、No)には、さらに再びイグニッションロッド13で所定時間(例えば、8秒間)、点火を試みる(S12)。そして、ラインバーナ11に点火したか否かを再びフレームロッド14で所定時間(例えば、3秒間)検出して判断する(S13)。点火した場合(S13、Yes)には、続いて、継続して点火しているかを判断する(S5)。一方、点火しなかった場合(S13、No)には、さらにまた再びイグニッションロッド13により所定時間(例えば、8秒間)点火を試みる(S14)。そして、ラインバーナ11に点火したか否かを再びフレームロッド14により所定時間(例えば、3秒間)検出して判断する(S15)。点火した場合(S15、Yes)には、続いて継続して点火しているかを判断する(S5)。
【0067】
一方、3回連続して点火しなかった場合(S15、No)には、コントローラ11は、燃焼制御システムに例えばラインバーナ11における詰まり等の異常があると判断する。
そして、コントローラ16から、警報ランプ22及び警報ブザー23に電気信号が送られて、警報ランプ22が点灯し、警報ブザー23が警告音を発して、オペレータに燃焼制御システムの異常を警告し(S16)、電磁弁9aを自動的に閉じた後に、燃焼制御システムの作動を終了する。
なお、第1実施形態においては、特許請求の範囲における「予め定められている基準回数」を3回とした場合である。
【0068】
このように、イグニッションロッド13による点火、及びフレームロッド14による検出を、繰り返して行うことにより、確実にラインバーナ11に点火して、転圧ロール2、2を加熱又は保温することができる。
また、この一連の繰り返した作動にかかわらず、ラインバーナ11に点火しない場合には、オペレータに検知することにより危険を回避すると共に、ガス供給電磁弁9aを閉じることにより、ガス漏れ等の危険を回避することができる。
【0069】
(変形例)
以上、本発明の好適な実施形態について一例を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、例えば以下のような、適宜変更が可能である
【0070】
前記した形態では、転圧ロール2内部で4本の棒状のラインバーナ11を、転圧ロール2の回転軸方向と平行になるように設けたが、ラインバーナ11の本数は適宜変更して良く、例えば、転圧ロール2の回転軸を中心として、45°間隔で、つまり合計8本のラインバーナ11を設けても良い。このように構成すると、転圧ロール2をさらに全体的に加熱又は保温することができる。
【0071】
前記した形態では、各ラインバーナ11が転圧ロール2内で、転圧ロール2の軸を中心として、軸方向に平行で90度間隔にラインバーナ11を4本設けて構成したが、その他に例えば、ラインバーナ11が略円柱体の周面を網目状を呈するように構成したり、ラインバーナ11が転圧ロール2内周面から一定距離で離間した状態で、螺旋状を呈するように構成しても良い。このように構成すると、さらに転圧ロール2の外周面をさらに均一に加熱及び保温できるだけでなく、例えば夜間、又は寒冷地等での施工において、転圧ロール2を加熱する時間を短縮することが可能となり、施工時間の短縮に繋げることができる。
【0072】
前記した形態では、各ラインバーナ11でのガスの燃焼により、転圧ロール2内部の空気を全体的に加熱又は保温して、転圧ロール2の外周面を内側から全体的に加熱又は保温するとしたが、その他に例えば、転圧ロール2を2重円筒状に形成し、外側円筒部の内周面と内側円筒部の内周面の隙間に、例えばパラフィン等の畜熱体を封入して構成したり、その隙間に仕切り板を設けてハニカム構造として畜熱性を有するように構成して、ラインバーナ11で、内側円筒の内側から加熱又は保温するように構成しても良い。このようにすれば、一旦、転圧ロール2の外周面の温度が設定温度に上昇すれば、ラインバーナ11における燃焼を停止しても、一定時間、転圧ロール2は保温されるので燃料を節約することができる。
また、加熱時に流動性を有する畜熱体を封入した場合は、隙間にじゃま板を設けると、転圧ロール2の回転で畜熱体が撹拌混合されて、さらに、加熱された畜熱体が重力により常に下方から充填されるので、転圧ロール2の接触面はほぼ一定温度となり好都合である。
【0073】
前記した形態では、燃料をプロパンガスとして燃料供給手段を構成したが、その他に例えば、石油系の灯油、重油等を使用して燃料供給手段を構成しても良い。この場合、使用する燃料に応じて、燃焼手段には例えば石油バーナ等から適宜選択することが可能である。
【0074】
前記した形態では、車体の前後に振動する転圧ロール2、2を有する振動ローラに、ガスボンベ3、ラインバーナ11等を付加して、第1実施形態に係る締固め機械1を構成したが、その他に例えば、マカダムローラ、コンバインドローラ、ハンドガイド式ローラ等に適用して締固め機械1を構成しても良い。
【0075】
前記した形態では、転圧ロール2、2の外周面の温度を測定する赤外線熱放射型温度計15を設けたが、さらに、締固め機械1の車体の前後に、敷き均したアスファルト混合物、または転圧中のアスファルト混合物の温度を測定する温度センサ等を設けて、転圧中の舗装体の表面の温度を測定するように構成しても良い。このように構成すると、転圧中のアスファルト混合物の温度を把握でき、好適に施工管理を行うことができる。
【0076】
前記した形態では、フレームロッド14によりラインバーナ11での未点火又は失火が確認されると、イグニッションロッド13の8秒間の作動による点火と、フレームロッド14による3秒間の炎の検出とを最高3回まで繰り返したが、この繰り返し回数、点火時間、及び、検出時間は適宜変更しても良い。
【0077】
前記した形態では、スリット状のガス噴き出し口11aを備えるラインバーナ11を使用したが、その他に例えば、ガスの噴き出し領域が広がるように、ガス噴き出し口11aは例えば複数の十字形の孔によって構成されてもよいし、また、転圧ローラ2の軸方向に対して垂直方向に炎が形成されるようなバーナを使用しても良い。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、アスファルト混合物の転圧作業に関して、転圧ロールにアスファルト混合物が付着せず好適な締固め密度の舗装体を施工することが可能である機動性の良い締固め機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る締固め機械の側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る締固め機械の正面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る締固め機械の前方の転圧ロールの要部を拡大した断面図である。
【図4】図3に示す第1実施形態に係る締固め機械の転圧ロールのX−X断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る締固め機械の転圧ロールの燃焼制御システムの構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る締固め機械の運転方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 締固め機械
2 転圧ロール
3 ガスボンベ
6 ガスホース
7 ガス管ブロック
7A、7B、7C、7D ガス管
9a、9b 電磁弁
11 ラインバーナ
12 起振シャフト
13 イグニッションロッド
14 フレームロッド
16 コントローラ
38 前部車体
39 後部車体
40 センターピン
41 操縦ハンドル
55 熱電対
K 計器盤
C 運転席
Claims (7)
- 転圧ロールと、
前記転圧ロールの内部に前記転圧ロールの内周面から離間すると共に、前記転圧ロールの回転軸と平行で設けられ、前記転圧ロールの内部を加熱して、前記転圧ロールを内側から加熱する複数のラインバーナと、
前記ラインバーナに燃料を供給する燃料供給手段と、を備え、
前記転圧ロールの側面視において、各ラインバーナのガス噴き出し孔からの炎が前記内周面に直接接触することなく放射状となるように、前記複数のラインバーナは配置されている
ことを特徴とする締固め機械。 - 請求項1に記載の締固め機械において、
前記各ラインバーナのガス噴き出し孔は、鉛直方向に対して斜めである
ことを特徴とする締め固め機械。 - 請求項1又は請求項2に記載の締固め機械において、
前記転圧ロールの鏡板には、複数の空気流通孔が形成されている
ことを特徴とする締固め機械。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の締固め機械において、
前記ラインバーナに供給された前記燃料に燃焼を開始させる点火手段と、
前記ラインバーナで燃焼する前記燃料の燃焼状況を検出する燃焼状況検出手段と、
前記燃焼を制御する燃焼制御手段とを備え、
前記燃焼制御手段は、前記燃焼状況検出手段により、前記転圧ロールの加熱開始時に前記ラインバーナに点火しないことを検出した場合、又は点火後に前記ラインバーナでの失火を検出した場合に、前記点火手段を作動させて、再度燃焼を開始するように点火の制御をすることを特徴とする締固め機械。 - 請求項4に記載の締固め機械において、
前記燃料供給手段から前記ラインバーナへの前記燃料の供給量を調節する燃料供給調節手段を備え、
前記燃焼制御手段は、前記再度燃焼を開始するように点火の制御をするため、前記点火手段を予め定められている基準回数、繰り返して作動させるが、
前記繰り返しの作動にかかわらず、点火に失敗した場合は、前記燃料供給調節手段が、前記燃料の供給を停止するように制御可能となっていることを特徴とする締固め機械。 - 請求項4又は請求項5に記載の締固め機械において、
前記転圧ロールの外周面の温度を測定する転圧ロール外周面温度測定手段を備え、
前記転圧ロールの外周面の温度を予め定められている設定温度と一致させるようにしたことを特徴とする締固め機械。 - 請求項4から請求項6のいずれか1項に記載の締固め機械において、
前記転圧ロール内の温度を測定する転圧ロール内温度測定手段を備え、
前記転圧ロール内温度測定手段により異常高温が測定された場合に、前記燃焼制御手段は、前記燃料供給手段を前記燃料の供給を停止するように制御することを特徴とする締固め機械。
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