JP3987688B2 - 内反小趾用くつ下及びその製造方法 - Google Patents

内反小趾用くつ下及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は内反小趾用くつ下及びその製造方法に関し、更に詳細には足の小指が親指方向に曲がる内反小趾を防止又は矯正する内反小趾用くつ下及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
爪先が尖った靴、特にハイヒールを履いていると、足の親指が小指側に曲がる外反母趾と足の小指が親指側に曲がる内反小趾とを併発し易い。かかる外反母趾及び/又は内反小趾が発症すると、歩くときに痛みを伴なうため、外反母趾となった親指(第1指)及び/又は内反小趾となった小指(第5指)の矯正を必要とする。
この矯正には、通常、親指(第1指)と第2指との間、及び小指(第5指)と第4指との間を可及的に広げることが有功である。
このため、外反母趾となった親指(第1指)の矯正には、曲がった親指(第1指)と第2指との間に詰め物を挟むことが行われている。
一方、内反小趾となった小指(第5指)の矯正には、曲がった小指(第5指)と第4指との間に詰め物をして、小指(第5指)と第4指との間を広げようとしても、通常、小指(第5指)は第4指よりも短いため、詰め物を第5指と第4指との間に係止することが困難である。
このため、内反小趾となった小指(第5指)の矯正には、小指(第5指)と第4指との間を可及的に広げるべく、足の各指が挿入される指部が爪先部に形成された5本指のくつ下が利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる5本指のくつ下を履くことによって、靴を脱いでいるときには、くつ下によって足の各指が圧迫されず、各指を自由に動かすことができ、指間の間隙も容易に広げることができる。
しかし、5本指のくつ下は、履く際に、くつ下の各指部に対応する足の指を挿入しなければならず面倒である。
しかも、従来の5本指のくつ下は、各指部が略平行に形成されているため、小指(第5指)と第4指との間を広げる作用は乏しいことが判明した。
そこで、本発明の課題は、容易に履くことができ、且つ小指(第5指)と第4指との間を可及的に広げることのできる内反小趾用くつ下及びその製造方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく検討を重ねた結果、足の小指を単独で挿入するくつ下の小指部を他の指部から独立して形成し、且つこの小指部の先端部がくつ下の側方に突出するように形成することによって、くつ下を履いたとき、足の小指(第5指)と第4指との間を広げることができることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、くつ下編機によってくつ下状に筒編された筒編部の開口部の端部を逢着して形成された縫目が甲側又は足裏側を横断している、足の小指が親指方向に曲がる内反小趾を防止又は矯正する内反小趾用くつ下であって、前記くつ下の爪先部は、前記足の小指が単独で挿入される小指部が、前記足の他の指が挿入される他の指部から独立して形成されるように、二分割又は三分割されて形成され、前記他の指部が前記縫目よりも くつ下の先端側に形成されており、且つ前記縫目よりも踵部側の部位から分岐されている前記小指部の全体がくつ下の側方に突出するように形成されていることを特徴とする内反小趾用くつ下にある。
また、本発明は、くつ下編機を用い、前述した内反小趾用くつ下を製編する際に、該くつ下の甲部を含む筒状部を製編した後、前記筒状部の端部に足の小指が単独で挿入される小指部を、その全体がくつ下の側方に突出するように製編し、次いで、前記筒状部の端部から前記小指部が分岐された本体部を編み立てた後、前記本体部に引き続いて足の小指を除く他の指が挿入される他の指部を製編して、くつ下状に筒編された筒編部を得、その後、前記本体部と他の指部との間に開口する開口部の端部を逢着することを特徴とする内反小趾防止用くつ下の製造方法でもある。
【0005】
かかる本発明において、くつ下の小指部を製編する際に、前記小指部の製編に関与するくつ下編機の編針の数を増減して、前記小指部の先端部に、足の小指を単独で挿入したとき、前記小指部の膨らみを増加する膨らみ増加部を形成することによって、このくつ下を着用したとき、小指に対する圧迫感を少なくできる。
【0006】
更に、くつ下の爪先部が、足の親指が挿入される親指部、前記足の小指が単独で挿入される小指部及び前記足の他の指が挿入される他の指部に三分割されて成るくつ下を、前記くつ下の小指部を製編した後、くつ下の親指部と他の指部とを製編し、前記親指部の製編の際には、前記親指部の製編に関与するくつ下編機の編針の数を増減して、前記親指部の先端部に、親指部に足の親指を挿入したとき、前記親指部の膨らみを増加する膨らみ増加部を形成し、且つ前記他の指部を製編する際にも、前記他の指部の製編に関与するくつ下編機の編針の数を増減して、前記他の指部の先端部に、足の他の指を挿入したとき、前記他の指部の膨らみを増加する膨らみ増加部を形成することによって、くつ下の親指部及び他の指部に、対応する足の親指及び他の指を挿入したとき、親指及び他の指に対する圧迫感を少なくできる。
しかも、このくつ下には、親指部が独立して形成されており、親指部に足の親指を挿入したとき、足の親指(第1指)と第2指との間を広げることができるため、外反母趾の矯正や防止にも有功である。
また、くつ下の爪先部が、足の小指が単独で挿入される小指部と前記足の親指を含む他の指が挿入される他の指部とに二分割されて成るくつ下を、前記くつ下の小指部を編み立てた後、前記他の指部の編み立てに関与するくつ下編機の編針の数を増減しして、前記他の指部の先端部に、足の他の指を挿入したとき、前記他の指部の膨らみを増加する膨らみ増加部を形成することによって、くつ下の親指部及び他の指部に対応する足の親指及び他の指を挿入したとき、親指及び他の指に対する圧迫感を少なくできる。
【0007】
本発明に係る内反小趾用くつ下は、くつ下編機によってくつ下状に筒編された筒編部の開口部の端部を逢着して得られたくつ下であって、この逢着によって形成された縫目が甲側又は足裏側を横断しているくつ下である。
かかるくつ下の爪先部は、足の小指が単独で挿入される小指部が、足の他の指が挿入される他の指部から分割して形成されているため、従来の5本指のくつ下に比較して履き易い。
しかも、他の指部が縫目よりもくつ下の先端側に形成されており、且つ縫目よりも踵部側の部位から分岐されている小指部の全体がくつ下の側方に突出するように形成されているため、くつ下の小指部に単独で挿入された足の小指は、足の他の指との間を可及的に広げることができる。
その結果、内反小趾となった小指を矯正することができ、小指が内反小趾となることを防止することもできる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明に係るくつ下の一例を図1に示す。図1に示すくつ下10は、くつ下編機によって製編されたくつ下あり、くつ下10の爪先部が、小指部12、親指部14及び他の指部16とに三分割されている。
図1(a)は、くつ下10の爪先部の甲側から見た状態を示し、図1(b)は、爪先から見たくつ下10の爪先部の先端から見た状態を示す。また、図1(c)は、くつ下10の裏側から見た状態を示す。
図1に示すくつ下10では、親指部14及び他の指部16が縫目18よりもくつ下の先端側に位置して形成されており、小指部12が親指部14及び他の指部16から独立して形成され且つ小指部12の全体がくつ下10の側方に突出するように形成されている。更に、小指部12は、図1(c)に示す様に、くつ下10の裏側を横断する縫目18の近傍で且つ踵部側から分岐している。この縫目18は、くつ下編機によってくつ下状に筒編された筒編部の開口部の端部を逢着して形成されたものである。
この様に、図1に示すくつ下10では、小指部12を他の指部16との間隔を広くして形成できる。このため、くつ下10を履いたとき、足の小指(第5指)と第4指との間を可及的に広くでき、内反小趾の予防及び矯正に有功である。
更に、図1に示すくつ下10の爪先部には、親指部14が、小指部12及び他の指部16から独立して形成されているため、くつ下10を履いたとき、足の親指(第1指)と第2指との間も広げることができ、親指の外反母趾の予防及び矯正を図ることができる。
したがって、図1に示すくつ下10によれば、親指の外反母趾と小指の内反小趾との予防及び矯正を同時に図ることができる。
【0009】
図1に示すくつ下10には、小指部12、親指部14及び他の指部16の各先端部に、膨らみ増加部20,22,24が形成されている。かかる膨らみ増加部20,22,24のうち、膨らみ増加部20は、くつ下10の小指部12に、足の小指を挿入した際に、小指部12の膨らみを増加する部分であり、膨らみ部22は、くつ下10の親指部14に、足の親指を挿入した際に、親指部14の膨らみを増加する部分である。更に、膨らみ増加部24は、くつ下10の他の指部16に、足の小指及び親指を除く他の指を挿入した際に、他の指部16の膨らみを増加する部分である。
小指部12の膨らみ増加部20について、小指部12の先端側[図1(b)の矢印D側]から見た形状を図2に示す。図2から明らかなように、膨らみ増加部20の端縁(a1,a2,a3)、(a4,a5,a6)の形状は略V字状である。更に、親指部14の膨らみ増加部22の端縁形状、すなわち図1(a)の矢印A1から見た膨らみ増加部22の端縁形状及び図1(a)の矢印A2から見た膨らみ増加部22の端縁形状も、略V字状に形成されている。このため、膨らみ増加部20,22は、図1(b)から明らかな様に、小指部20及び親指部22の先端部の略中央に形成されている。
また、他の指部24に形成された膨らみ増加部24の端縁(c3、c1、c6)、(c4、c2、c5)の形状も、他の指部24の側面[図1(a)に示す矢印B1,B2側]から見ると、V字状である。このため、膨らみ増加部24は、他の指部24の先端部の略中央部に形成されている。
この様に、各指部の先端部に所定形状の膨らみ増加部20,22,24が形成されているくつ下10を履くと、各指部に挿入された足の各指に対する圧迫感を可及的に少なくでき、着用感を良好とすることができる。
【0010】
図1に示すくつ下10は、くつ下編機を用い、くつ下10の甲部を含む筒状部11を製編した後、足の小指が挿入される小指部12を、その全体がくつ下10の側方に突出するように製編し、次いで、親指部14及び他の指部16を製編した後、くつ下状に筒編された筒編部の開口部の端部を逢着することによって得ることができる。
かかるくつ下編機として、くつ下編機として汎用されている丸編機を用いてくつ下10を製編する例を説明する。丸編機は、複数本の編針が周囲に配設された針釜を一定方向に回転して編み立てる回転動作と、この針釜を正逆方向に交互に回動して編み立てる回動動作とを併せ持つ。かかる編針は、図3(a)に示す様に、先端部に設けられた鉤部52を一端部で開閉するベラ54の他端部が、鉤部52の首部に設けられた釘56に回動自在に軸着されているものである。また、針釜は、図3(b)に示す様に、筒状部材62の外周面に複数本の縦溝64、46・・が形成され、この縦溝64の各々に図3(a)に示す編針50が上下動可能に挿入されているものである。この針釜60を一定方向に回転させるとき、所定箇所で編針50が順次持ち上げられて編み立て動作を行う。
【0011】
先ず、針釜を一定方向に回転させて所定長さの筒状部(筒編部)11を編み立てた後、針釜を正逆方向に交互に回動させて小指部12を先編して形成し、次いで、親指部14及び他の指部16を編み立てる。
小指部12を先編するには、先ず、針釜を一定方向に回転させて所定長さの筒編部11を製編し、図1(a)に示すe1,e2の位置まで編み立てた後、針釜の編み立てに関与する編針の数(以下、単に針数と称することがある)を、小指部12を編み立てし得る針数に減少し、この針釜を正逆方向に回動させて図2に示すa1,a2位置まで編み立てる。この編み立て方向は、最終的に形成される小指部12の全体が、くつ下10の側方に突出する方向とする。
この様に、a1,a2位置まで編み立てた後、針数を順次減少させてa3,a4位置まで編み立てる。この際、針数の正逆方向の減少数は実質的に同数である。かかるa3,a4位置までの編み立てによって、小指部12の一部12aを形成できる。
更に、a3,a4位置まで編み立てた後、針数を順次増加させてa1,a2位置まで編み立てる。この際、針数の正逆方向の増加数は実質的に同数である。かかるa3,a4位置からa1,a2位置までの編み立てによって、膨らみ増加部20の略半分の20aを形成できる。
次いで、a1,a2位置からa5,a6位置まで、針数を順次減少させて編み立てる。この際、針数の正逆方向の減少数は実質的に同数である。かかるa1,a2位置からa5,a6位置までの編み立てによって、膨らみ増加部20の残り半分の20bを形成できる。
その後、a5,a6位置からa1,a2位置まで針数を順次増加させて編み立てた後、a1位置とa2位置との間で針釜を正逆方向に回動させて残りの小指部12bを形成する。
【0012】
小指部12を形成した後、e1,e2位置からe3,e4位置まで針釜を正逆方向に回動させて小指部12が分岐された本体部15を編み立てた後、親指部14及び他の指部16を編み立てる。
ここで、親指部14を編み立てる際には、e3,e4位置まで編み立てた針釜の編み立てに関与する針数を、親指部14を編み立てし得る針数に減少し、b1、b2位置まで針釜を正逆方向に回動させて親指部14の一部を編み立てた後、針数を順次減少させてb3,b4位置まで編み立てる。この際、針数の正逆方向の減少数は実質的に同数である。
更に、針釜を、b3,b4位置からb1、b2位置まで針数を順次増加しつつ回動させて編み立てた後、b1、b2位置からb5、b6位置まで針数を順次減少しつつ回動させて編み立てることによって、膨らみ増加部22を形成できる。
次いで、針釜の編み立てに関与する針数を、親指部14を編み立てし得る針数とし、b1位置とb2位置との間で針釜を正逆方向に回動させて残りを編み立てて親指部12bを形成する。
【0013】
また、他の指部16を編み立てる際には、針釜の編み立てに関与する針数を、他の指部16を編み立て得る針数とし、c1、c2位置まで針釜を、編み立てに関与する針数を順次減少させつつ、正逆方向に回動させて編み立てる。この際、針数の正逆方向の減少数は実質的に同数である。
更に、c1、c2位置からc3、c4位置まで針釜を、編み立てに関与する針数を順次減少させつつ、正逆方向に回動させて編み立てる。この際、針数の正逆方向の減少数は実質的に同数であるが、c1、c2位置まで編み立てる際の針数の減少割合よりも高い割合で針数を減少する。
針釜を、c3,c4位置に到達した針釜をc1,c2まで針数を順次増加しつつ回動させて編み立てた後、c3,c4位置からc5,c6位置まで針数を順次減少しつつ回動させて編み立てることによって、膨らみ増加部24を形成できる。この際の針数の正逆方向の増減数は実質的に同数である。
次いで、c5,c6位置に到達した針釜を、正逆方向に回動しつつ、編み立てに関与する針数を次第に増加してc1,c2位置まで編み立てる。この際、針数の正逆方向の増加数は実質的に同数である。
その後、c1,c2位置に到達した針釜を正逆方向に回動させて編み立て、他の指部16を完成する。この際、針数の正逆方向の増加数は実質的に同数であるが、c4,c6位置からc1,c2位置まで編み立てる際の針数の増加数よりも少ない。
更に、くつ下状に筒編された筒編部の開口部の端部を逢着して縫目18を形成する箇所まで必要に応じて針釜を所定方向に回転して編み立てた後、筒状部の本体部15と親指部14及び他の指部16との間に開口している開口部を逢着して縫目18を形成することによって、図1に示すくつ下10を得ることができる。
【0014】
この様にして形成されたくつ下10には、小指部12、親指部14及び他の指部16の各々に形成された膨らみ増加部20,22,24の各端縁には、各端縁を形成するループの一部が互いに絡み合わされて連結されてなる連結線が形成されている。この連結線は、針釜が正方向又は逆方向に回動した際の回動端でもある。
かかる連結線のうち、小指部12の連結線a13,a14,a24,a26は、小指部12の膨らみ増加部20の端縁であり、くつ下10の甲側又は裏側から見ると、V字状である。また、親指具14の連結線b13,b15,b24,b26は、親指部14の膨らみ増加部22の端縁であり、親指部14の側面[図1(a)に示す矢印A1,A2側]から見ると、V字状である。更に、他の指部24の連結線c13,c16,c24,c25も、他の指部16の膨らみ増加部24の端縁であり、他の指部24の側面[図1(a)に示す矢印B1,B2側]から見ると、V字状である。
尚、これまでの図1の説明における「実質的に同数」とは、針釜が正方向に回動した際の針数の減少数又は増加数と、逆方向に回動した際の針数の減少数又は増加数との間に、編み立てに関与する編針の針数の約10%程度が相違してもよいことを意味する。
【0015】
図1に示すくつ下10は、爪先部が三分割されているものであるが、図4に示す様に、小指部12と他の指部32との二分割されているくつ下30であってもよい。図4に示すくつ下30でも、小指部12は、縫目18よりも踵部側の部位から分岐されていると共に、小指部12の全体がくつ下30の側方に突出するように形成されている。
一方、他の指部32は、小指を除く他の四本指が挿入される部分であり、他の四本指が挿入された際に、他の指部32の膨らみを増加する膨らみ増加部34が先端部の略中央部に形成されている。このため、くつ下30を履いたとき、くつ下による圧迫感が少なく親指を動かし易いため、親指の外反母趾の防止又は矯正に有功である。
勿論、親指と第2指との間に詰め物をして両指間を広くしてくつ下30を履いても、他の指部32の先端部に膨らみ増加部34が形成されているため、親指に対する圧迫感が少ない。
【0016】
図4に示すくつ下30も、図3に示す丸編機によって形成でき、小指部12を先編して針釜がe3,e4位置に到達するまでは、図1に示すくつ下10と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
3,e4位置に到達した針釜は、その編み立てに関与する針数を、他の指部32を編み立て得る針数とし、d1、d2位置まで針釜を、編み立てに関与する針数を次第に減少させつつ、正逆方向に回動させて編み立てる。この際、針数の正逆方向の減少数は実質的に同数である。
次いで、d1、d2位置からe3、e4位置まで針釜を、編み立てに関与する針数を増加させつつ、正逆方向に回動させて編み立てる。この際、針数の正逆方向の増加数は実質的に同数である。
更に、e3,e4位置に到達した針釜を、d3,d4位置まで針釜を、編み立てに関与する針数を次第に減少させつつ、正逆方向に回動させて編み立てる。この際、針数の正逆方向の減少数は実質的に同数である。
この様に、針釜を、編み立てに関与する針数を増減しつつ、回動させた結果、他の指部32の先端部の略中央部に膨らみ増加部34を形成できる。
【0017】
その後、d4,d2位置に到達した針釜を、正逆方向に回動しつつ、編み立てに関与する針数を次第に増加してe3,e4位置まで編み立てる。この際、針数の正逆方向の増加数は実質的に同数である。
3,e4位置に到達した針釜を、必要に応じて針釜を所定方向に回転して編み立てた後、くつ下状に筒編された筒編部の本体部15と他の指部32との間に開口している開口部の端部を逢着して縫目18を形成することによって、図4に示すくつ下30を得ることができる。
この様にして形成されたくつ下10の他の指部32に形成された連結線のうち、連結線e11,e14,e22,e23は他の指部32の膨らみ増加部34の端縁であり、くつ下30の側面から見ると、V字状である。
尚、これまでの図4の説明における「実質的に同数」とは、針釜が正方向に回動した際の針数の減少数又は増加数と、逆方向に回動した際の針数の減少数又は増加数との間に、編み立てに関与する編針の針数の約10%程度が相違してもよいことを意味する。
【0018】
また、爪先部が小指部と他の指部との二分割されているくつ下であっても、図5に示す様に、他の指部42に膨らみ増加部が実質的に形成されていないくつ下40であってもよい。このくつ下40においても、小指部12は、その全体がくつ下40の側方に突出するように形成されている。
図5に示すくつ下40も、図3に示す丸編機によって形成でき、小指部12を先編して針釜がe3,e4位置に到達するまでは、図1に示すくつ下10と同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
3,e4位置に到達した針釜は、その編み立てに関与する針数を、他の指部42を編み立て得る針数とし、f1、f2位置まで針釜を正逆方向に回動させて編み立てる。この際、針数の正逆方向の減少数は実質的に同数である。かかるe3,e4位置からf1、f2位置までの編み立てによって、他の指部42の甲側を形成できる。
次いで、f1、f2位置からe3,e4位置まで針釜を正逆方向に回動させて編み立てる。この際、針数の正逆方向の増加数は実質的に同数である。かかるf1,f2位置からe3,e4位置までの編み立てによって、他の指部42の裏側を形成できる。
その後、e3,e4位置に到達した針釜を、必要に応じて針釜を所定方向に回転して編み立てた後、くつ下状に筒編された筒編部の本体部15と他の指部42との間に開口している開口部の端部を逢着して縫目18を形成することによって、図5に示すくつ下40を得ることができる。
【0019】
【発明の効果】
本発明に係るくつ下は、従来の5本指のくつ下に比較して履き易く、靴を脱いだとき、靴からの圧迫から開放され、くつ下の小指部に単独で挿入された足の小指は、足の他の指との間を可及的に広げることができる。その結果、内反小趾となった小指を矯正でき、小指が内反小趾となることを防止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るくつ下の一例を示す部分正面図、側面図及び背面図である。
【図2】 図1に示す小指部の先端部を説明する説明図である。
【図3】 図1に示すくつ下を製編する編機に使用される編針及び針釜を説明する説明図である。
【図4】 本発明に係るくつ下の他の例を示す部分正面図、側面図及び背面図である。
【図5】 本発明に係るくつ下の他の例を示す部分正面図、側面図及び背面図である。
【符号の説明】
10,30,40 くつ下
12 小指部
14 親指部
16,32,42 他の指部
18 縫目
20,22,24,34 膨らみ増加部

Claims (8)

  1. くつ下編機によってくつ下状に筒編された筒編部の開口部の端部を逢着して形成された縫目が甲側又は足裏側を横断している、足の小指が親指方向に曲がる内反小趾を防止又は矯正する内反小趾用くつ下であって、
    前記くつ下の爪先部は、前記足の小指が単独で挿入される小指部が、前記足の他の指が挿入される他の指部から独立して形成されるように、二分割又は三分割されて形成され、
    前記他の指部が前記縫目よりもくつ下の先端側に形成されており、且つ前記縫目よりも踵部側の部位から分岐されている前記小指部の全体がくつ下の側方に突出するように形成されていることを特徴とする内反小趾用くつ下。
  2. くつ下の小指部の先端部に、足の小指が単独で挿入された際に、前記小指部の膨らみを増加する膨らみ増加部が形成されている請求項1記載の内反小趾用くつ下。
  3. くつ下の爪先部が、足の親指が挿入される親指部、前記足の小指が単独で挿入される小指部及び前記足の他の指が挿入される他の指部に三分割されて形成され、
    前記親指部の先端部に、前記足の親指が挿入された際に、前記親指部の膨らみを増加する膨らみ増加部が形成されていると共に、
    前記他の指部の先端部にも、前記足の他の指が挿入された際に、前記他の指部の膨らみを増加する膨らみ増加部が形成されている請求項1又は請求項2項記載の内反小趾用くつ下。
  4. くつ下の爪先部が、足の小指が単独で挿入される小指部と足の親指を含む他の指が挿入される他の指部とに二分割されて形成され、
    前記他の指部の先端部に、前記足の他の指が挿入された際に、前記他の指部の膨らみを増加する膨らみ増加部が形成されている請求項1又は請求項2記載の内反小趾用くつ下。
  5. くつ下編機を用い、請求項1記載の内反小趾用くつ下を製編する際に、
    該くつ下の甲部を含む筒状部を製編した後、前記筒状部の端部に足の小指が単独で挿入される小指部を、その全体がくつ下の側方に突出するように製編し、
    次いで、前記筒状部の端部から前記小指部が分岐された本体部を編み立てた後、前記本体部に引き続いて足の小指を除く他の指が挿入される他の指部を製編して、くつ下状に筒編された筒編部を得、
    その後、前記本体部と他の指部との間に開口する開口部の端部を逢着することを特徴とする内反小趾防止用くつ下の製造方法。
  6. くつ下の小指部を製編する際に、前記小指部の製編に関与するくつ下編機の編針の数を増減して、前記小指部の先端部に、足の小指を単独で挿入したとき、前記小指部の膨らみを増加する膨らみ増加部を形成する請求項5記載の内反小趾防止・矯正用くつ下の製造方法。
  7. くつ下の爪先部が、足の親指が挿入される親指部、前記足の小指が単独で挿入される小指部及び前記足の他の指が挿入される他の指部に三分割されて成るくつ下を、前記くつ下の小指部を製編した後、くつ下の親指部と他の指部とを製編し、
    前記親指部の製編の際には、前記親指部の製編に関与するくつ下編機の編針の数を増減して、前記親指部の先端部に、前記足の親指を挿入したとき、前記親指部の膨らみを増加する膨らみ増加部を形成し、
    前記他の指部を製編する際には、前記他の指部の製編に関与するくつ下編機の編針の数を増減して、前記他の指部の先端部に、前記足の他の指を挿入したとき、前記他の指部の膨らみを増加する膨らみ増加部を形成する請求項5又は請求項6記載の内反小趾用くつ下の製造方法。
  8. くつ下の爪先部が、足の小指が単独で挿入される小指部と前記足の親指を含む他の指が挿入される他の指部とに二分割されて成るくつ下を、前記くつ下の小指部を編み立てた後、
    前記他の指部の編み立てに関与するくつ下編機の編針の数を増減して、前記他の指部の先端部に、足の他の指を挿入したとき、前記他の指部の膨らみを増加する膨らみ増加部を形成する請求項5又は請求項6記載の内反小趾用くつ下の製造方法。
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